(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の無線通信方式及び第2の無線通信方式で通信可能な複数の無線端末と、前記無線端末と前記第1の無線通信方式で通信可能なアクセスポイントと、を含む無線通信システムが行う無線通信方法であって、
前記無線端末が、前記第1の無線通信方式で前記アクセスポイントと直接無線通信可能か否かを判定するステップと、
前記無線端末が、前記アクセスポイントと直接無線通信可能と判定された場合に、自装置を中継端末として機能させるステップと、
前記中継端末として機能している無線端末が、前記第2の無線通信方式で他の無線端末と通信を行い、前記他の無線端末と前記アクセスポイントとの間で無線通信を中継するステップと、
を有し、
前記第1の無線通信方式と前記第2の無線通信方式とは周波数帯が同一である、
無線通信方法。
第1の無線通信方式及び第2の無線通信方式で通信可能な複数の無線端末と、前記無線端末と前記第1の無線通信方式で通信可能なアクセスポイントと、を含む無線通信システムが行う無線通信方法であって、
前記無線端末が、前記第1の無線通信方式で前記アクセスポイントと直接無線通信可能か否かを判定するステップと、
前記無線端末が、前記アクセスポイントと直接無線通信可能と判定された場合に、自装置を中継端末として機能させるステップと、
前記中継端末として機能している無線端末が、前記第2の無線通信方式で他の無線端末と通信を行い、前記他の無線端末と前記アクセスポイントとの間で無線通信を中継するステップと、
を有し、
前記アクセスポイントは第1の間隔で間欠的にビーコンを送信し、
前記中継端末として機能していない無線端末は第2の間隔で間欠的にビーコンを送信し、
前記中継端末として機能している無線端末は、前記第1の間隔及び前記第2の間隔でそれぞれ間欠的にビーコンを送信し、
前記アクセスポイント及び前記無線端末は、自装置が送信したビーコンのタイミングに基づいてその後の所定のタイミングで受信処理を行い、受信処理において通信要求が受信された場合には、前記通信要求の送信元である装置と通信を開始する
無線通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1(A)及び
図1(B)は、本発明の第1の実施形態による無線ネットワークシステム1の構成の説明図である。
図1(A)及び
図1(B)に示すように、本発明の第1の実施形態による無線ネットワークシステム1は、アクセスポイント10と、複数の無線端末11(無線端末11a〜11c)とから構成される。
【0016】
アクセスポイント10は、第1の無線通信方式で、無線通信を行うことができる。無線端末11(無線端末11a〜11c)は、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式との2つの無線通信方式で無線通信を行うことができる。アクセスポイント10は固定の基地局であり、通常、商用電源で駆動されている。無線端末11(無線端末11a〜11c)は移動局又は固定局であり、通常、電池で駆動されている。
【0017】
第1の無線通信方式は、アクセスポイント10の通信可能エリア17内での無線通信に用いられる。これに対して、第2の無線通信方式は、アクセスポイント10の通信可能エリア17外での無線通信に用いられる。好ましくは、広域なカバーエリアを確保するために、第1の無線通信方式は第2の無線通信方式に対して、より送信出力が大きいものが用いられる。また、柔軟な経路設定を可能とするために、第2の無線通信方式は第1の無線通信方式に対して、より通信速度が高速なものが用いられる。
【0018】
ここで、アクセスポイント10の通信可能エリア17は、単にアクセスポイント10との距離だけで決まるものではない。それ以外にも、アクセスポイント10と無線端末11(無線端末11a〜11c)との間に障害物があり、無線端末11がアクセスポイント10に直接通信できない場合がある。また、マルチパス干渉やシャドウイングなどにより、無線端末11がアクセスポイント10にアクセスできない場合がある。アクセスポイント10の通信可能エリア17は、距離だけでなく、これら多数の要因の影響を含めて決定される。
【0019】
本発明の第1の実施形態による無線ネットワークシステム1では、無線端末11(無線端末11a〜11c)は、アクセスポイント10と直接無線通信可能な端末(無線端末11a及び11c)と、アクセスポイント10と直接無線通信不可能な端末(無線端末11b)とに区別される。アクセスポイント10と直接無線通信可能な端末(無線端末11a及び11c)は、中継端末として機能する。無線端末11(無線端末11a〜11c)は、アクセスポイント10と接続してデータを送受信する際、アクセスポイント10と直接通信可能な場合は、第1の無線通信方式で、アクセスポイント10と通信を行う。アクセスポイント10と直接無線通信できない周辺の無線端末(無線端末11b)は、第2の無線通信方式で、中継端末(無線端末11a又は11c)を介して、アクセスポイント10と通信を行う。
【0020】
図2は、アクセスポイント10の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、アクセスポイント10は、通信部20と、制御部21とを備えている。通信部20は、第1無線通信方式変復調部22と、第1無線通信方式送受信部23とからなる。
【0021】
制御部21は、アクセスポイント10の全体制御を行っている。また、制御部21は、ネットワーク網15とのデータのやり取りを行う。
【0022】
第1無線通信方式変復調部22は、ネットワーク網15からのデータを制御部21を介して受け取り、このデータを第1の無線通信方式に従って変調して、第1無線通信方式送受信部23に出力する。また、第1無線通信方式変復調部22は、第1無線通信方式送受信部23からのデータを復調して、制御部21を介して、ネットワーク網15に出力する。
【0023】
第1無線通信方式送受信部23は、第1無線通信方式変復調部22の出力を受け取り、第1の無線通信方式に対応する所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、第1無線通信方式送受信部23は、第1の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、第1無線通信方式変復調部22に出力する。
【0024】
図3は、無線端末11(無線端末11a〜11c)の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、無線端末11は、通信部30と、制御部31とを備えている。通信部30は、第1無線通信方式変復調部32と、第1無線通信方式送受信部33と、第2無線通信方式変復調部35と、第2無線通信方式送受信部36とからなる。
【0025】
制御部31は、無線端末11の全体制御を行っている。また、制御部31に対して、タッチパネルやキーボード等のデータ入力部や、ディスプレイ等のデータ出力部を設けるようにしても良い。
【0026】
第1無線通信方式変復調部32は、制御部31からのデータを受け取り、第1の無線通信方式に従って変調して、第1無線通信方式送受信部33に出力する。また、第1無線通信方式変復調部32は、第1無線通信方式送受信部33からのデータを復調して、制御部31に出力する。
【0027】
第1無線通信方式送受信部33は、第1無線通信方式変復調部32からの信号を受け取り、第1の無線通信方式に対応する所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、第1無線通信方式送受信部33は、第1の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、第1無線通信方式変復調部32に出力する。
【0028】
第2無線通信方式変復調部35は、制御部31からのデータを受け取り、第2の無線通信方式に従って変調して、第2無線通信方式送受信部36に出力する。また、第2無線通信方式変復調部35は、第2無線通信方式送受信部36からのデータを復調して、制御部31に出力する。
【0029】
第2無線通信方式送受信部36は、第2無線通信方式変復調部35からの信号を受け取り、第2の無線通信方式に対応する所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、第2無線通信方式送受信部36は、第2の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、第2無線通信方式変復調部35に出力する。
【0030】
図4は、無線端末11がアクセスポイント10と直接無線通信可能な端末であるか否かを判定するための処理を示すフローチャートである。
図4において、無線端末11(無線端末11a〜11c)の制御部21は、第1の無線通信方式に設定し(ステップS1)、アクセスポイント10が探索できるか否かを判定する(ステップS2)。アクセスポイント10が探索できた場合には(ステップS2:Yes)、制御部21は、アクセスポイント10と直接無線通信可能な端末であると判定し(ステップS3)、中継端末としての機能を動作させる(ステップS4)。アクセスポイント10が探索できない場合には(ステップS2:No)、制御部21は、アクセスポイント10と直接無線通信不可能は端末であると判定する(ステップS5)。
【0031】
なお、アクセスポイント10と直接無線通信可能か否かの判定処理は、所定時間毎に、繰り返して行うようにしても良い。また、無線端末11が移動されたか否かを検出し、無線端末11が移動されたら、アクセスポイント10と直接無線通信可能か否かの判定処理を実行させるようにしても良い。
【0032】
図5は、無線端末11が通信を行うときの処理を示すフローチャートである。
図5において、無線端末11(無線端末11a〜11c)の制御部21は、自端末がアクセスポイント10と直接無線通信が可能な端末か否かを判定する(ステップS101)。アクセスポイント10と直接無線通信が可能な端末か否かは、
図4に示した処理により判定される。アクセスポイントと直接通信が可能な端末の場合(無線端末11a及び11cの場合)には(ステップS101:Yes)、制御部21は、第1の無線通信方式に設定し(ステップS102)、第1の無線通信方式で、アクセスポイント10と直接通信を行う(ステップS103)。
【0033】
ステップS101で、アクセスポイント10と直接通信が不可能な端末の場合(無線端末11bの場合)(ステップS101:No)は、制御部21は、第2の無線通信方式に設定し(ステップS104)、中継端末として機能する無線端末11(無線端末11a及び11c)を探索できたか否かを判定する(ステップS105)。中継端末として機能する無線端末が探索できたら(ステップS105:Yes)、制御部21は、第2の無線通信方式で、中継端末として機能する無線端末11(無線端末11a又は11c)に中継を依頼し、アクセスポイント10と通信を行う(ステップS106)。
【0034】
このように、本発明の第1の実施形態による無線ネットワークシステム1では、無線端末11(無線端末11a〜11c)は、アクセスポイント10と直接無線通信可能な端末(無線端末11a及び11c)と、アクセスポイント10とは直接無線通信不可能な端末(無線端末11b)とに区別される。アクセスポイント10と直接無線通信可能な端末(無線端末11a及び11c)は、中継端末として機能する。したがって、中継端末となる無線端末(無線端末11a及び11c)は、アクセスポイント10と直接無線通信可能か否かに応じて自律的に設定される。そして、無線端末11(無線端末11a〜11c)は、アクセスポイント10と接続してデータを転送する際、アクセスポイント10と直接通信可能であれば、第1の無線通信方式で、アクセスポイント10と通信を行う。アクセスポイント10と通信が行えない場合には、第2の無線通信方式で、中継端末(無線端末11a又は11c)を介して、アクセスポイント10と通信を行う。
【0035】
図1(A)に示すように、この例では、無線端末11a及び11cは、通信可能エリア17内にある。したがって、無線端末11a及び11cは、中継端末として機能する。また、無線端末11a及び11cは、アクセスポイント10と接続してデータを転送する際、第1の無線通信方式で、アクセスポイント10と直接通信を行う。これに対して、無線端末11bは、通信可能エリア17の外にあり、アクセスポイント10と直接通信が行えない。この場合、無線端末11bは、アクセスポイント10と接続してデータを転送する際、第2の無線通信方式で、中継端末として機能する無線端末を探索する。ここで、無線端末11aが中継端末として探索されたとする。この場合、無線端末11bは、第2の無線通信方式で、無線端末11aと通信を行う。無線端末11aは、第1の無線通信方式でアクセスポイント10と通信を行う。これにより、無線端末11bは、無線端末11aを中継して、アクセスポイント10と通信を行うことができる。
【0036】
本実施形態では、このように、アクセスポイント10と直接無線通信不可能な無線端末11bは、中継端末として機能する無線端末11aを介して、アクセスポイント10と通信を行うことができる。ここで、仮に、無線端末11aが故障するか、何らかの要因で無線端末11aとアクセスポイント10との間の第1の無線通信方式による通信が途絶したとする。このような場合には、
図1(B)に示すように、無線端末11bは、無線端末11cを中継して、アクセスポイント10と通信を行うことができる。
【0037】
ここで、無線端末11a及び無線端末11cとアクセスポイント10との間では、第1の無線通信方式により、通信が行われる。第1の無線通信方式は第2の無線通信方式に対してより高出力で狭帯域なものが用いられる。このため、本実施形態では、第2の無線通信方式だけでセルを構成したようなマルチホップ無線通信方式の場合に比べて、より少ない設備(少ないアクセスポイント及び少ない無線端末)で、広いエリアに跨がる無線ネットワークを構成できる。また、本実施形態は、第1の無線通信方式だけで中継機能も実現する場合に比べて、無線端末性能を緩和できる。このことは、無線端末コストの削減や、無線端末消費電力の削減に効果がある。
【0038】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態による無線ネットワークシステム201の構成の説明図である。
図6に示すように、本発明の第2の実施形態による無線ネットワークシステム201は、アクセスポイント210と、複数の無線端末211(無線端末211a、211b、211c)とから構成される。これらの基本構成は、前述の第1の実施形態に係る無線ネットワークシステム1における、アクセスポイント10と、複数の無線端末11(無線端末11a〜11c)と同様である。
【0039】
本発明の第2の実施形態では、無線ネットワークシステム201は、所謂リスンアフタートークを基本とした自律分散的に動作するシステムとしている。すなわち、本発明の第2の実施形態に係る無線ネットワークシステム201では、アクセスポイント210及び無線端末211(無線端末211a〜211c)は、自己を識別できる信号を含むビーコンを間欠的に送信する。アクセスポイント210及び無線端末211(無線端末211a〜211c)は、通信要求があるときは、その通信相手のビーコンを受信し、そのビーコンのタイミングを基に、その通信相手が受信をしているタイミングでレスポンスを返信する。ビーコンを送信したアクセスポイント210及び無線端末211(無線端末211a〜211c)は、そのビーコンの送信の後に、所定のタイミングで受信を行い、自局宛の呼び出しがないかを探索し、自局宛ての呼び出しがあれば、その局と通信を開始する。
【0040】
図7は、本発明の第2の実施形態による無線ネットワークシステムにおけるビーコンの説明図である。
図6に示したように、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)とアクセスポイント10との間では、第1の無線通信方式により、通信が行われる。このような第1の無線通信方式による通信を確立するために、アクセスポイント210は、
図7(A)に示すように、第1の無線通信方式のビーコンB1を間欠的に送信している。また、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)は、
図7(B)に示すように、第1の無線通信方式のビーコンB1を間欠的に送信している。
【0041】
アクセスポイント210と直接無線通信不可能な端末(無線端末211b)は、中継端末として機能する端末(無線端末211a又は211c)を中継して、アクセスポイント210と通信を行う。この際、アクセスポイント210と直接無線通信不可能な端末(無線端末211b)と、中継端末として機能する端末(無線端末211a又は211c)との間では、第2の無線通信方式により、通信が行われる。このような第2の無線通信方式による通信を確立するために、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)は、
図7(B)に示すように、第2の無線通信方式のビーコンB2も間欠的に送信している。また、アクセスポイント210と直接無線通信不可能な端末(無線端末211b)は、
図7(C)に示すように、第2の無線通信方式のビーコンB2を間欠的に送信している。
【0042】
ここで、本実施形態では、第1の無線通信方式は第2の無線通信方式に対して、より高出力で狭帯域なものが用いられる。また、第2の無線通信方式は第1の無線通信方式に対してより高速なものが用いられる。第2の無線通信方式は第1の無線通信方式に対してより高速なものであることから、第1の無線通信方式のビーコンB1は低速ビーコンとし、第2の無線通信方式のビーコンB2は高速ビーコンとしている。
【0043】
更に、電力消費量の削減を図るため、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)における第1の無線通信方式のビーコンB1の送信周期T1は、
図7(B)に示すように、第2の無線通信方式のビーコンB2の送信周期T2より長くしている。これにより、アクセスポイント210と直接無線通信可能な無線端末211(無線端末211a及び211c)のビーコン送信に係わる電力消費が削減され、無線端末211〜211cを、小型の電池で駆動できる。
【0044】
より具体的には、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)の第1の無線通信方式のビーコンB1の送信周期T1と第2の無線通信方式のビーコンB2の送信周期T2は、以下のように設定される。
【0045】
例えば、第2の無線通信方式のビーコンB2は、速度が100kbps、ビーコンの送信周期(頻度)が10秒、ビーコン送信に要するビット長が100ビットとし、送信時の消費電力が100mW、送信後の受信にかかる電力も同様に100mWとする。この場合、第2の無線通信方式のビーコンB2送信に係わる平均の消費エネルギーは、以下の式で表される。
2×100mW×100ビット/100kbps/10sec=0.2mW
これは、ほぼ単三型電池1〜2本で10年程度の動作が可能な水準である。
【0046】
これに対して、第1の無線通信方式のビーコンB1の速度を第2の無線通信方式のビーコンB2の速度の1/10の10kbpsであるとする。そして、第2の無線通信方式のビーコンB2と同様に、第1の無線通信方式のビーコンB1の送信周期を10秒としたとする。また、第2の無線通信方式のビーコンB2と同様に、ビーコン送信に要するビット長が100ビットとし、送信時の消費電力が100mW、送信後の受信にかかる電力も同様に100mWとしたとする。この場合、第2の無線通信方式のビーコンB2の送信に係わる平均の消費エネルギーは、以下の式で表される。
2×100mW×100ビット/10kbps/10sec=2.0mW
【0047】
このように、ビーコンの速度を下げると、それに反比例して、消費電力は増大する。そこで、本実施形態では、第1の無線通信方式のビーコンB1の送信周期T1を、第2の無線通信方式のビーコンB2の送信周期T2の1/10の100秒程度にまで長くする(頻度を下げる)ようにしている。これにより、第1の無線通信方式のビーコンB1に係る電力は、
2×100mW×100ビット/10kbps/100sec=0.2mW
となり、第2の無線通信方式のビーコンB2に係る電力と同程度まで下げることができる。これにより、電池駆動が可能になる。
【0048】
なお、第1の無線通信方式のビーコンB1の周期を100秒程度にまで長くすると、その通信相手は、1回通信するごとに100秒程度連続受信する必要がある。このため、通信の相手方は、小型電池では実現が困難である。しかしながら、このときのアクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)の第1の無線通信方式での相手方は、アクセスポイント210である。アクセスポイント210は、商用電源で駆動されるため、受信時間が長くなっても、電源の問題は生じない。また、アクセスポイント210は、電力消費の制約が少ないことから、アクセスポイント210から送信する第1の無線通信方式のビーコンB1(
図7(A))については、送信周期を短くすることができる。
【0049】
なお、アクセスポイント210と直接無線通信不可能な端末(無線端末211b)については、アクセスポイント210に第1の無線通信方式のビーコンB1を送信する必要はない。したがって、
図7(C)に示すように、アクセスポイント210と直接無線通信不可能な端末(無線端末211b)については、第2の無線通信方式のビーコンB2の周期を短く(例えば5秒)とすることができる。
【0050】
このように、本実施形態では、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)は、第1の無線通信方式のビーコンB1と第2の無線通信方式のビーコンB2を送出する構成としている。これにより、アクセスポイント210と直接無線通信可能な端末(無線端末211a及び211c)を中継端末として動作させることができる。また、第1の無線通信方式のビーコンB1の送信周期を第2の無線通信方式のビーコンB2の送信周期より長くすることで、無線端末211を電池駆動とすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、無線端末211(無線端末211a〜211c)がアクセスポイント10と通信可能な端末であるか否かを、アクセスポイント210からの第1の無線通信方式のビーコンB1の受信状況によって、自発的に判断できる。
【0052】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態による無線ネットワークシステム301の構成の説明図である。
図8に示すように、本発明の第3の実施形態による無線ネットワークシステム301は、アクセスポイント310と、複数の無線端末311(無線端末311a〜311c)とから構成される。これらの基本構成は、前述の第1の実施形態に係る無線ネットワークシステム1における、アクセスポイント10と、複数の無線端末11(無線端末11a〜11c)と同様である。
【0053】
ここで、アクセスポイント310と直接無線通信可能な端末(無線端末311a及び311c)と、アクセスポイント310との間では、第1の無線通信方式により、通信が行われる。アクセスポイント310と直接無線通信不可能な端末(無線端末311b)と、中継端末として機能する無線端末(無線端末311a)との間では、第2の無線通信方式により、通信が行われる。本発明の第3の実施形態では、第1の無線通信方式の無線周波数帯と第2の無線通信方式の無線周波数帯を同一としている。第1の無線通信方式の無線周波数帯と第2の無線通信方式の無線周波数帯を同一とすれば、無線端末311(無線端末311a〜311c)の送受信部のアンテナ、フィルタ、その他の無線部品類を共通にでき、消費電力の低減や、機器の小型化が容易となる。
【0054】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る無線ネットワークシステムにおける無線端末311(無線端末311a〜311c)の概略構成を示すブロック図である。
図9に示すように、無線端末311は、通信部330と、制御部331とを備えている。通信部330は、第1無線通信方式変復調部332と、第2無線通信方式変復調部335と、共通方式送受信部341とからなる。
【0055】
制御部331は、無線端末311の全体制御を行っている。また、制御部331に対して、タッチパネルやキーボード等のデータ入力部や、ディスプレイ等のデータ出力部を設けるようにしても良い。
【0056】
第1無線通信方式変復調部332は、制御部331からのデータを受け取り、第1の無線通信方式に従って変調して、共通方式送受信部341に出力する。また、第1無線通信方式変復調部332は、共通方式送受信部341からのデータを復調して、制御部331に出力する。
【0057】
第2無線通信方式変復調部335は、制御部331からのデータを受け取り、第2の無線通信方式に従って変調して、共通方式送受信部341に出力する。また、第2無線通信方式変復調部335は、共通方式送受信部341からのデータを復調して、制御部331に出力する。
【0058】
制御部331は、第1の無線通信方式を使用するか、第2の無線通信方式を使用するかに応じて、共通方式送受信部341を制御している。共通方式送受信部341を第1の無線通信方式で使用する場合には、共通方式送受信部341は、第1無線通信方式変復調部332からの信号を受け取り、所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、共通方式送受信部341は、第1の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、第1無線通信方式変復調部332に出力する。
【0059】
共通方式送受信部341を第1の無線通信方式で使用する場合には、共通方式送受信部341は、第2無線通信方式変復調部335からの信号を受け取り、所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、共通方式送受信部341は、第2の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、第2無線通信方式変復調部335に出力する。
【0060】
第1の無線通信方式と第2の無線通信方式の無線周波数帯を同一であるから、共通方式送受信部341において、アンテナ、フィルタ、その他の無線部品類は、第1の無線通信方式の場合と第2の無線通信方式の場合とで、共通に使用される。このような構成とすることにより、部品点数が削減され、低コスト化が図れる。
【0061】
また、無線ネットワークに使用できる周波数帯は、制限されている場合がある。また、使用するのに免許が必要な周波数帯がある。第1の無線通信方式と第2の無線通信方式の無線周波数帯が異なると、このような運用上の問題が生じる可能性がある。第1の無線通信方式と第2の無線通信方式の無線周波数帯を同一とすることで、このような運用上の問題が軽減でき、別周波数帯を用いる場合に比べて容易に無線ネットワークを構成できる。
【0062】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態による無線ネットワークシステム401の構成の説明図である。
図10に示すように、本発明の第4の実施形態による無線ネットワークシステム401は、アクセスポイント410と、複数の無線端末411(無線端末411a〜411c)とから構成される。これらの基本構成は、前述の第1の実施形態に係る無線ネットワークシステム1における、アクセスポイント10と、複数の無線端末11(無線端末11a〜11c)と同様である。
【0063】
ここで、アクセスポイント410と直接無線通信可能な端末(無線端末411a及び411c)と、アクセスポイント410との間では、第1の無線通信方式により、通信が行われる。アクセスポイント410と直接無線通信不可能な端末(無線端末411b)と、中継端末として機能する無線端末(無線端末411a)との間では、第2の無線通信方式により、通信が行われる。
【0064】
本発明の第4の実施形態では、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とは、それぞれ変復調の方式が同じで、第1の無線通信方式は第2の無線通信方式に対して低速(狭帯域)若しくは高出力、又は低速(狭帯域)且つ高出力に設定される。このようにすると、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで共通の変復調部を用いることができ、無線端末411を低コスト化、低消費電力化することができる。
【0065】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る無線ネットワークシステム401における無線端末411(無線端末411a〜411c)の概略構成を示すブロック図である。
図11に示すように、無線端末411は、通信部430と、制御部431とを備えている。通信部430は、共通方式変復調部442と、第1無線通信方式送受信部433と、第2無線通信方式送受信部436からなる。
【0066】
制御部431は、無線端末411の全体制御を行っている。また、制御部431に対して、タッチパネルやキーボード等のデータ入力部や、ディスプレイ等のデータ出力部を設けるようにしても良い。また、制御部431は、第1の無線通信方式を使用するか、第2の無線通信方式を使用するかに応じて、共通方式変復調部442を制御している。共通方式変復調部442は、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とに共通な大部分の機能が実装されている。
【0067】
共通方式変復調部442を第1の無線通信方式で使用する場合には、共通方式変復調部442は、制御部431からのデータを受け取り、所定の方式で変調して、第1無線通信方式送受信部433に出力する。また、共通方式変復調部442は、第1無線通信方式送受信部433からのデータを復調して、制御部431に出力する。
【0068】
共通方式変復調部442を第2の無線通信方式で使用する場合には、共通方式変復調部442は、制御部431からのデータを受け取り、所定の方式で変調して、第2無線通信方式送受信部436に出力する。また、共通方式変復調部442は、第2無線通信方式送受信部436からのデータを復調して、制御部431に出力する。
【0069】
第1無線通信方式送受信部433は、共通方式変復調部442からの信号を受け取り、第1の無線通信方式に対応する所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、第1無線通信方式送受信部433は、第1の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、共通方式変復調部442に出力する。
【0070】
第2無線通信方式送受信部436は、共通方式変復調部442からの信号を受け取り、第2の無線通信方式に対応する所望の周波数に変換し、増幅して、送信する。また、第2無線通信方式送受信部436は、第2の無線通信方式の信号を受信すると、この信号を増幅し、所望の周波数に変換して、共通方式変復調部442に出力する。
【0071】
本実施形態では、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで、同様の変復調方式が用いられる。したがって、共通方式変復調部442により、第1の無線通信方式の信号と第2の無線通信方式の信号を変復調できる。これにより、無線端末411の低コスト化、低消費電力化を図ることができる。
【0072】
また、本実施形態では、第1無線通信方式送受信部433と第2無線通信方式送受信部436とが別々に設けられている。このため、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで、速度や出力を各々最適に設定できる。第1の無線通信方式は、第2の無線通信方式に対して、低速(狭帯域)若しくは高出力、又は低速(狭帯域)且つ高出力に設定できる。これにより、第1の無線通信方式による通信距離を、第2の無線通信方式による通信距離よりも長くすることができる。
【0073】
また、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式で通信速度を異なるようにできる。例えば、第1の無線通信方式が1kbpsから10kbps程度、第2の無線通信方式が100kbps程度としても良い。このような通信速度は、1回の通信に数キロバイト程度を通信するM2M(Machine to Machine)又はセンサーネットワークのような用途において、好適である。
【0074】
また、第1の無線通信方式の通信速度を1kbpsから10kbps程度に設定すると、第1の無線通信方式の通信速度により十分な通信距離(例えば数km)を確保しつつ、1回あたりの通信時間を数秒以内に終了できる。このため、多数の無線端末との通信機会(例えば基地局あたり数千から数万の端末を収容)を確保することができる。これと共に、無線端末411の消費エネルギーを抑え、電池寿命を長期化(例えば10年)にすることが可能になる。
【0075】
また、第2の無線通信方式の通信速度を100kbps程度に設定すると、アクセスポイント410と無線通信可能な無線端末411(無線端末411a及び411c)は、その周囲にある端末の情報を多数収集できる。すなわち、第2の無線通信方式の通信速度を100kbps程度に設定すると、アクセスポイント410と無線通信可能な通信端末として、例えば10〜100の無線端末の情報を収集できる。なお、情報を収集できる端末の数は、基本的には第1の無線通信方式と第2の無線通信方式との通信速度の比で与えられえる。
【0076】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図12(A)及び
図12(B)は、本発明の第5の実施形態による無線ネットワークシステム501の構成を示す図である。
図12(A)及び
図12(B)に示すように、本発明の第5の実施形態による無線ネットワークシステム501は、アクセスポイント510と、複数の無線端末511(511a〜511c)とから構成される。これらの基本構成は、前述の第1の実施形態に係る無線ネットワークシステム1における、アクセスポイント10と、複数の無線端末11(無線端末11a〜11c)と同様である。
【0077】
本発明の第5の実施形態では、更に、アクセスポイント510と直接無線通信可能な端末(無線端末511a及び511c)は、互いに通信を行うことができる。そして、アクセスポイント510と直接通信可能な端末(無線端末511a及び511c)は、第1の無線通信方式でアクセスポイント510と直接通信を行うことも、中継端末とされた他の端末(無線端末511a又は511c)を介して、アクセスポイント510と通信を行うこともできる。
【0078】
例えば、アクセスポイント510と直接通信可能な無線端末511cは、
図12(A)に示すように、第1の無線通信方式でアクセスポイント510と直接通信を行う。更に、無線端末511cは、
図12(B)に示すように、中継端末とされた無線端末511aを介して、アクセスポイント510と通信を行うこともできる。このため、何らかの要因で、アクセスポイント510との間で第1の無線通信方式での通信が行えなくなった場合でも、通信経路が確保でき、信頼性が向上できる。
【0079】
なお、アクセスポイント510と直接通信可能な端末(無線端末511a及び511c)は、アクセスポイント510からの電波強度、通信実績、周囲端末の状態などを判断基準にして、直接アクセスポイント510と通信を行うか、他の中継端末とされた端末(無線端末511a又は511c)に中継を委託するかを判定できる。また、この判定基準は、環境変動などを検知して、動的に変更しても良い。
【0080】
無線端末511(無線端末511a又は511c)とアクセスポイント510との直接無線通信の状態は、周囲の状況や時間的要因により複雑に変化する。この通信の状態は、端末設置時の周囲の環境情報からだけでは、容易に予想できない。中継端末を固定して設置して、周囲の端末の通信を補償する場合、その中継端末は、周囲の状況や時間的要因を十分に考慮して、周波数帯域や送信出力に余裕をもって、設置しなければならない。さもないと、変動要因によって頻繁にアクセスポイントとの通信が途絶し、結果として中継機能が失われる。
【0081】
これに対して、本実施形態によれば、常時特定の端末が中継端末として機能するのではなく、その時点でアクセスポイント510と通信可能である端末が中継端末として機能する。アクセスポイント510と通信可能な端末が自律的に中継端末として機能するため、中継端末の配置設計が不要である。中継端末として機能する無線端末511(無線端末511a及び511c)は、周囲の無線端末511(無線端末511b)に対して、アクセスポイント510との通信を中継する。これにより、長距離を通信できるという第1の無線通信方式の利点を最大限に活用して、広域なセルをカバーできる。
【0082】
また、アクセスポイント510と通信可能である無線端末511は、アクセスポイント510との通信が良好であると共に、周囲の無線端末との通信が良好である可能性が高い。例えば、アクセスポイント510と通信可能な端末は、地上高の高い位置に設置されている可能性が高い。地上高の高い位置は、アクセスポイント510との通信が良好であるばかりでなく、周囲の無線端末との通信が良好である可能性が高い。よって、アクセスポイント510と通信可能である無線端末511(511a及び511c)が自律的に中継端末となることで、中継地点として好適な場所に、中継端末が自動的に配置されることになる。
【0083】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図13は、本発明の第6の実施形態による無線ネットワークシステム601の構成の説明図である。
図13に示すように、本発明の第6の実施形態による無線ネットワークシステム601は、アクセスポイント610と、複数の無線端末611(無線端末611a、611b、611c)とから構成される。これらの基本構成は、前述の第1の実施形態に係る無線ネットワークシステム1における、アクセスポイント10と、複数の無線端末11(無線端末11a〜11c)と同様である。
【0084】
図14は、本発明の第6の実施形態に係る無線ネットワークシステム601における無線端末611(無線端末611a〜611c)の概略構成を示すブロック図である。
図14に示すように、無線端末611は、通信部630と、制御部631とを備えている。通信部630は、共通方式変復調部632と、共通方式送受信部633とを備えている。共通方式変復調部632及び共通方式送受信部633は、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで、時分割で、共通に使用される。共通方式変復調部632の動作は、第1の実施形態における第1無線通信方式変復調部32及び第2無線通信方式変復調部35と同様である。共通方式送受信部633の動作は、第1の実施形態における第1無線通信方式送受信部33及び第2無線通信方式送受信部36と同様である。
【0085】
図15は、本発明の第6の実施形態による無線ネットワークシステムにおける時分割処理の説明に用いるタイミング図である。本実施形態では、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで共通の共通方式変復調部632及び共通方式送受信部633を設け、これを時分割で使用することで、回路規模の削減を図っている。すなわち、
図15のタイムチャートで示すように、共通方式変復調部632及び共通方式送受信部633は、期間Taでは第1の無線通信方式として動作され、期間Tbでは第2の無線通信方式として動作される。共通方式変復調部632は、例えば、その変調速度を第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで切り替えるような構成により実現できる。また、共通方式送受信部633は、例えば、その送信出力を第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とで切り替えるような構成により実現できる。
【0086】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図16(A)及び
図16(B)は、本発明の第7の実施形態による無線ネットワークシステム701の構成の説明図である。
図16(A)及び
図16(B)に示すように、本発明の第7の実施形態による無線ネットワークシステム701は、アクセスポイント710と、複数の無線端末711(無線端末711a〜711h)とから構成される。
【0087】
本実施形態では、第1の無線通信方式により、アクセスポイント710と、アクセスポイント710と直接無線通信可能な端末(無線端末711a〜711c)とで、スター型のネットワークが形成される。また、第2の無線通信方式により、アクセスポイント710と直接無線通信不可能な端末(無線端末711d〜711h)の間で、マルチホップ型のネットワークが形成される。そして、アクセスポイント710と直接無線通信可能な端末(無線端末711a〜711c)を中継端末とすることで、スター型のネットワークとマルチホップ型のネットワークとが結ばれる。
【0088】
このように、本実施形態では、2種類の無線通信方式により、スター型とマルチホップ型の2種類のネットワークが形成される。例えば、所謂リスンアフタートークを基本としたシステムとした場合、第1の無線通信方式のビーコンと、第2の無線通信方式のビーコンを時分割で送出することで、2種類のネットワークの通信を行うことができる。
【0089】
また、第1の無線通信方式のビーコンと、第2の無線通信方式のビーコンの送出周期を適切に設定することによって、中継端末として動作する無線端末711の消費電力の低減が図れる。例えば、ビーコンの周期を長くすれば、情報伝達遅延は増大するが、消費電力は削減できる。
【0090】
例えば、
図16(A)に示すように、無線端末711d〜711hからなるマルチホップ型のネットワークが、無線端末711aを中継して、アクセスポイント710と接続されているとする。ここで、無線端末711aの情報処理量が増大しており、消費電力が大きくなっているとする。無線端末711cは情報処理量が少なく、消費電力に余裕があるとする。このような場合には、無線端末711aからの第2の無線通信方式のビーコンの送信周期を長くする。これに対して、情報処理量の少ない無線端末711cは、第2の無線通信方式のビーコンの送信周期を短くする。このようにすれば、
図16(B)に示すように、無線端末711d〜711hからなるマルチホップ型のネットワークは、無線端末711cを中継して、アクセスポイント710と接続される確率が高くなる。これにより、無線端末711aの負担を軽減できる。
【0091】
なお、上述のように、2種類の無線通信方式により、スター型とマルチホップ型の2種類のネットワークを形成するようにした場合、全ての無線端末711a〜711hに、第1の無線通信方式の通信機能と第2の無線通信方式の通信機能とを持たせる必要はない。例えば、
図16の例では、マルチホップ型のネットワークの下位の無線端末711f〜711hは、第2の無線通信方式の通信機能だけでも良い。本実施形態は、既存のマルチホップ型のネットワークに、第1の無線通信方式の通信機能と第2の無線通信方式の通信機能とを有する無線端末を追加するだけで、容易に構築できる。
【0092】
また、アクセスポイント710には、第1の無線通信方式の通信機能だけでなく、第2の無線通信方式の通信機能を持たせるようにしても良い。このようにすれば、第2の無線通信方式を用いてアクセスポイント710の比較的近傍にある無線端末を、マルチホップ通信によって収容することが可能である。
【0093】
なお、無線ネットワークシステム1、201、301、401、501、601、701の全部又は一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行っても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、更に前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0094】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。