(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記同期ステップでは、前記同期信号の受信を失敗した場合に、次の同期信号を受信するタイミングにおいて、前記同期信号を受信するための受信時間を同期信号が送信される可能性がある時間幅だけ長くする請求項1に記載の無線通信方法。
【背景技術】
【0002】
多くの無線システムにおいて消費電力を低減するために無線端末は消費電力が非常に小さい休止状態と送信や受信を行うことのできる動作状態を繰り返す間欠動作を行っている。たとえば、間欠的に受信を行っている無線端末2に対して他の無線端末1からデータを送信する場合、無線端末2がデータを受信のために間欠的に受信を行っているタイミングに合わせて、無線端末1がデータを送信することで無線端末2はデータを受信することができる。
【0003】
2つの無線端末の間でタイミングの同期を維持する方法は、2つの方法が適用可能である。1つ目の方法を
図13を参照して説明する。
図13は、2つの無線端末の間でタイミングの同期を維持する方法の処理手順を示すシーケンス図である。1つ目の方法は、
図13に示すように、無線端末2が定期的に送信する同期信号を無線端末1が受信する方法である。
図13に示す[R]は、間欠受信動作を示している。
図13に示す処理手順おいて、無線端末2は、同期信号間隔(Tsync)の間隔で同期信号を無線端末1に対して送信する(ステップS1、S2)。無線端末1は、送信された同期信号を受信し、無線端末2が送信するタイミングを計算して求める。そして、無線端末1は、計算したタイミングに基づいて、データ送信を行う(ステップS3)。無線端末2は、このデータを間欠受信動作によってデータ受信する。
【0004】
次に、2つ目の方法を
図14を参照して説明する。
図14は、2つの無線端末の間でタイミングの同期を維持する方法の処理手順を示すシーケンス図である。2つ目の方法は、無線端末1が定期的に送信する同期信号を無線端末2が受信する方法である。
図14に示す[R]は、間欠受信動作を示している。
図14に示す処理手順において、無線端末1は、同期信号間隔(Tsync)の間隔で同期信号を無線端末2に対して送信する(ステップS11、S12)。無線端末2は、送信された同期信号を受信し、無線端末1が送信するタイミングを計算して求める。そして、無線端末1は、データ送信を行う(ステップS13)。無線端末2は、計算したタイミングに基づいて、このデータを間欠受信動作によってデータ受信する。
【0005】
このように、2つの無線端末は、前述の2つの方法を実行することにより、同期を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態による無線通信システムを説明する。
図1は第1実施形態の装置構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、無線通信によって同期信号を受信する側の無線端末である。符号2は、無線端末1に対して、同期信号を送信する側の無線端末である。
【0020】
第1実施形態では、同期信号を送信する無線端末2と無線端末2が送信する同期信号を受信することで無線端末2に同期を合わせる無線端末1が存在する場合に、無線端末2は同期信号を送信する際に予め定められた送信間隔にランダムなオフセットの時間を加えて送信する。この時、無線端末2は送信する同期信号に情報として端末IDの他に、次回以降の同期信号の送信タイミングにおいて付加するオフセット時間の情報を重畳し送信する。そして、同期信号を受信する無線端末1は同期信号に重畳されている次回以降の同期信号のオフセット時間の情報を利用して次に送られてくる同期信号のタイミングを知り、これに合わせて同期信号の受信タイミングを設定する。
【0021】
この動作を
図2を参照して説明する。
図2は、第1実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャートである。まず、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS21)。また、無線端末1も基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS31)。
【0022】
次に、無線端末2は、ランダムなオフセット時間(ΔT(n))を設定する(ステップS22)。そして、無線端末2は、Tsync+ΔT(n−1)の間隔でΔT(n)の情報を重畳した同期信号を送信する(ステップS23)。無線端末2は、ステップS22、S23の処理動作を繰り返し実行する。
【0023】
この同期信号は、無線端末1が受信し(ステップS32)、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する(ステップS33)。無線端末1は、ステップS32、S33の処理動作を繰り返し実行する。
【0024】
次に、
図3を参照して、第1実施形態による無線通信システムの動作を説明する。
図3は、無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。まず、無線端末1、2は、それぞれ基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する。そして、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n−1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS41)。この同期信号には、ΔT(n)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS51)。
図3において、[R]は、間欠受信動作を示す。無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。
【0025】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS42)。この同期信号には、ΔT(n+1)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS52)。無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n+1)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。
【0026】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n+1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS43)。この同期信号には、ΔT(n+2)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS53)。無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n+2)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。無線端末1、2は、このような処理動作を繰り返し実行する。
【0027】
なお、重畳するオフセット時間の情報は、オフセット時間そのものであったり、受信側で計算することによりオフセット時間を知ることができる情報である。また、重畳するオフセット時間の情報は、次の同期信号のオフセット時間だけでなく、複数回分の同期信号のオフセット時間である。
【0028】
無線端末1は受信した同期信号に情報として重畳されている次回の同期信号の送信タイミングに付加されるオフセット時間の情報を利用して次回の同期信号の受信タイミングを合わせるとともに、2回以上複数回受信した同期信号から補正値を計算する際に利用することで正しい補正値を計算する。
【0029】
この方法によれば複数の無線端末がそれぞれランダムなオフセットを加えて同期信号を送信するため、各無線端末からの同期信号が連続して衝突する可能性を大幅に減らすとともに、精度よく同期の補正をかけることが可能となる。
【0030】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による無線通信システムを説明する。第1実施形態の方法を用いた場合、なんらかの影響で無線端末2からの同期信号を無線端末1が受信できなかった場合に、無線端末1は無線端末2からの次の同期信号の送信に付加されるオフセット時間を知ることができず、タイミングがずれてしまう可能性がある。そのため、無線端末1が同期信号を受信できなかった場合には、次の同期信号の受信タイミングにおいて同期信号を受信する受信時間をオフセット時間による変動分と相対誤差による変動分を反映させた長い時間に変更する。
【0031】
この動作を
図4を参照して説明する。
図4は、第2実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
図4において、
図2に示す処理動作と同じ処理動作には、同じ符号を付与してその説明を簡単に行う。
【0032】
まず、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS21)。また、無線端末1も基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS31)。
【0033】
次に、無線端末2は、ランダムなオフセット時間(ΔT(n))を設定する(ステップS22)。そして、無線端末2は、Tsync+ΔT(n−1)の間隔でΔT(n)の情報を重畳した同期信号を送信する(ステップS23)。無線端末2は、ステップS22、S23の処理動作を繰り返し実行する。
【0034】
この同期信号は、無線端末1が受信する(ステップS32)。そして、無線端末1は、同期信号の受信に成功したか否かを判定する(ステップS34)。この判定の結果、同期信号の受信に成功した場合、無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する(ステップS33)。一方、同期信号の受信に失敗した場合、無線端末1は、同期信号受信の受信時間を拡大する(ステップS35)。無線端末1は、ステップS32〜S35の処理動作を繰り返し実行する。
【0035】
次に、
図5を参照して、第2実施形態による無線通信システムの動作を説明する。
図5は、無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。まず、無線端末1、2は、それぞれ基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する。そして、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n−2)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS41)。この同期信号には、ΔT(n−1)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS54)。無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n−1)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。
【0036】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n−1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS41)。この同期信号には、ΔT(n)の情報が重畳されている。このとき、無線端末1は、同期信号の受信に失敗する(ステップS51)。これを受けて、無線端末1は、次回の受信時間を拡大する。
【0037】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS42)。この同期信号には、ΔT(n+1)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS52)。この時、無線端末1は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻前から受信動作を開始するともに、受信時間を拡大する。そして、同期信号の受信に成功した場合、無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n+1)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。
【0038】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n+1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS43)。この同期信号には、ΔT(n+2)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS53)。無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n+2)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。無線端末1、2は、このような処理動作を繰り返し実行する。
【0039】
このようにすることにより、同期信号の受信に失敗しても次の同期信号を受信することができるようになる。データ受信側が同期信号を受信することにより同期を維持している無線通信システムの場合は、同様に同期信号と同期信号の間の間欠受信の受信時間に関しても、同期信号が受信できなかった場合には受信時間を拡大することによって、同期信号を受信できなかった後に発生するデータ送信に関しても、受信することができるようになる。
【0040】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態による無線通信システムを説明する。第1実施形態または第2実施形態の方法を用いた場合、なんらかの影響で無線端末2からの同期信号を無線端末1が受信できなかった場合に、無線端末1は無線端末2からの次の同期信号の送信に付加されるオフセット時間を知ることができず、タイミングがずれてしまう可能性がある。そこで、無線端末1は無線端末2からの同期信号を受信した際には同期信号を受信したことを知らせるための返信(ACK)を送信し、無線端末2はこれを受信することで次回の送信に付加するオフセット値を更新する。ACKを返信することにより、同期信号を送信する無線端末2は同期信号を受信する無線端末2が同期状態にあるかそれとも同期を外れているかを認識することができるようになる。
【0041】
無線端末1は同期信号を受信するタイミングで無線端末2からの同期信号を受信できなかった時や、キャリアセンスなどによりACKを送信できなかった場合には同期信号の受信タイミングに加えるオフセット値を更新しないまたはオフセット値を0として次回の同期信号の受信に備える。無線端末2が無線端末1からのACKを受信しなかった場合は、次回の同期信号の送信時には前回と同じオフセット値またはオフセット値を0として送信する。
【0042】
この動作を
図6を参照して説明する。
図6は、第3実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
図6において、
図4に示す処理動作と同じ処理動作には、同じ符号を付与してその説明を簡単に行う。
【0043】
まず、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS21)。また、無線端末1も基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS31)。
【0044】
次に、無線端末2は、ランダムなオフセット時間(ΔT(n))を設定する(ステップS22)。そして、無線端末2は、Tsync+ΔT(n−1)の間隔でΔT(n)の情報を重畳した同期信号を送信する(ステップS23)。
【0045】
この同期信号は、無線端末1が受信する(ステップS32)。そして、無線端末1は、同期信号の受信に成功したか否かを判定する(ステップS34)。この判定の結果、同期信号の受信に成功した場合、無線端末1は、ACKを返信し(ステップS36)、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する(ステップS33)。
【0046】
一方、同期信号の受信に失敗した場合、無線端末1は、今回と同じΔT(n−1)を用いて次回の同期信号受信タイミングを計算する(ステップS37)。無線端末1は、ステップS32〜S37の処理動作を繰り返し実行する。
【0047】
無線端末1からACKが返信された場合、無線端末2は、このACKを受信し(ステップS24)、ACKの受信に成功したか否かを判定する(ステップS25)。この判定の結果、ACKの受信に失敗した場合、無線端末2は、ステップS23に戻って処理を繰り返す。一方、ACKの受信に成功した場合、無線端末2は、ステップS22に戻って処理を繰り返す。
【0048】
次に、
図7を参照して、第2実施形態による無線通信システムの動作を説明する。
図7は、無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。まず、無線端末1、2は、それぞれ基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する。そして、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n−2)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS41)。この同期信号には、ΔT(n−1)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS54)。無線端末1は、無線端末2に対してACKを返信する(ステップS55)とともに、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。
【0049】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n−1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS41)。この同期信号には、ΔT(n)の情報が重畳されている。このとき、無線端末1は、同期信号の受信に失敗する(ステップS51)。
【0050】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n−1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS45)。この同期信号には、ΔT(n)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS52)。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS52)。無線端末1は、無線端末2に対してACKを返信する(ステップS56)とともに、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。
【0051】
次に、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)の開始時刻からΔT(n+1)だけ遅れた時刻に同期信号を送信する(ステップS46)。この同期信号には、ΔT(n)の情報が重畳されている。これを受けて、無線端末1は、この同期信号を受信する(ステップS53)。無線端末1は、無線端末2に対してACKを返信する(ステップS57)とともに、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算する。無線端末1、2は、このような処理動作を繰り返し実行する。
【0052】
このようにすることにより、同期信号の受信失敗によるタイミングのずれを減少させることが可能となる。
【0053】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態による無線通信システムを説明する。第4実施形態では、同期信号に対するACKの返信の間隔を同期信号を送信する間隔に対して十分に長い時間とすることで消費電力の低減を図るものである。無線端末1はACKの受信の有無にかかわらず同期信号のオフセット値を更新する。無線端末1はACKの返信間隔以上の時間ACKを受信しなかった場合には、無線端末1は無線端末2との間の同期が外れたと判断して、別に定められる最初に同期を補足するための手順に進む。最初に同期を補足するための手順に進む前に、次の同期信号の送信タイミングでは同期信号にオフセット値を0として同期信号を送信し、同期信号受信側もオフセット値を0として同期信号の受信を試みる。また、この時の同期信号に対してはACKを返すこととすることで、長時間同期信号の受信失敗が続くことを回避する。
【0054】
この動作を
図8を参照して説明する。
図8は、第4実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
図8において、
図6に示す処理動作と同じ処理動作には、同じ符号を付与してその説明を簡単に行う。
【0055】
まず、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)と、ACK送信間隔(Tack)を設定する(ステップS26)。また、無線端末1も基準同期信号送信間隔(Tsync)と、ACK送信間隔(Tack)を設定する(ステップS38)。
【0056】
次に、無線端末2は、ランダムなオフセット時間(ΔT(n))を設定する(ステップS22)。そして、無線端末2は、Tsync+ΔT(n−1)の間隔でΔT(n)の情報を重畳した同期信号を送信する(ステップS23)。
【0057】
この同期信号は、無線端末1が受信する(ステップS32)。そして、無線端末1は、同期信号の受信に成功したか否かを判定する(ステップS34)。この判定の結果、同期信号の受信に失敗した場合、無線端末1は、オフセットを0とし次回の同期信号受信タイミングを計算し(ステップS40)、ステップS32に戻る。
【0058】
一方、同期信号の受信に成功した場合、無線端末1は、ACKを送信するタイミングか否かを判定する(ステップS39)。この判定の結果、ACKを送信するタイミングであれば、無線端末1は、ACKを送信する(ステップS36)。一方、ACKを送信するタイミングでなければACK送信を行わない。
【0059】
次に、無線端末1は、同期信号に重畳されたΔT(n)を読み取り次回の同期信号受信タイミングを計算し(ステップS33)、ステップS32に戻る。
【0060】
無線端末1からACKが返信された場合、無線端末2は、ACKを受信するタイミングか否かを判定する(ステップS27)。この判定の結果、ACKを受信するタイミングでなければステップS22に戻る。一方、ACKを受信するタイミングであれば、無線端末2は、ACKを受信し(ステップS24)、ACKの受信に成功したか否かを判定する(ステップS25)。この判定の結果、ACKの受信に失敗した場合、無線端末2は、オフセットを0とし、ΔT(n)の情報を重畳した同期信号を送信する(ステップS27)。一方、ACKの受信に成功した場合、無線端末2は、ステップS22に戻って処理を繰り返す。
【0061】
次に、
図9を参照して、第4実施形態による無線通信システムの動作を説明する。
図9は、無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。無線端末2は、無線端末1に対して、前述した手順により同期信号の送信オフセットに基づいて同期信号を送信する(ステップS61〜S69)。これを受けて、無線端末1は、受信した同期信号に重畳された同期信号の受信オフセットに基づいて、同期信号の受信を行う(ステップS71〜S79)。そして、無線端末1は、ACK送信間隔(Tack)に基づいて、無線端末2に対して、ACKを送信する(ステップS80、S81)。これを受けて、無線端末2は、このACKを受信する。無線端末2は、前回のACK受信からTack後にACKを受信したかいなかでACKを受信するべきかを判断する。
【0062】
この時、無線端末1がACKを送信する間隔は、無線端末1がACKを受信しなかったと判断する時間間隔よりも短ければよく、必ずしも一定の周期である必要はない。
図13に示すように同期信号と同期信号の間に無線端末2は無線端末1からのデータ送信に備えて、間欠的に短い受信(受信窓)を繰り返しているため、その受信窓のいずれかのタイミングに合わせてACKを返すことで同期信号の受信を無線端末2に知らせることができる(
図9の右図(拡大図)参照)。
【0063】
また、補正値を計算するに当たって利用する同期信号受信のタイミングはACK返すタイミングの同期信号のACKを受信した信号のみを用いて行うことによって補正値の信頼性を高めるようにしてもよい。
【0064】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態による無線通信システムを説明する。第5実施形態では、一定の割合でランダムに同期信号の送信を取りやめることで同期信号の連続しての衝突を回避する。同期信号を受信する無線端末1は同期信号を受信しない場合も引き続き予め決められた同期信号の送信間隔で同期信号の受信を行い、第4実施形態と同様に同期信号の送信間隔よりも長い間隔でACKを返信する。
【0065】
この動作を
図10を参照して説明する。
図10は、第5実施形態による無線通信システムの動作を示すフローチャートである。まず、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS111)。また、無線端末1も基準同期信号送信間隔(Tsync)を設定する(ステップS101)。
【0066】
次に、無線端末2は、同期信号を送信するタイミングであるか否かを判定しながら(ステップS112)、同期信号を送信するタイミングまで待機する。そして、同期信号を送信するタイミングになった時点で、無線端末2は、同期信号を間引くか否かを判定する(ステップS113)。この判定の結果、同期信号を間引かないのであれば、無線端末2は無線端末1に対して同期信号を送信する(ステップS114)。
【0067】
一方、無線端末1は、同期信号を受信するタイミングであるか否かを判定しながら(ステップS102)、同期信号を受信するタイミングまで待機する。そして、同期信号を受信するタイミングで受信を開始し(ステップS103)、同期信号の受信に成功したか否かを判定する(ステップS104)。続いて、無線端末1は、ACKを送信するタイミングであるか否かを判定し(ステップS105)、ACKを送信するタイミングでなければステップS102に戻る。一方、ACKを送信するタイミングであれば、無線端末1は、ACKを送信し(ステップS106)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。
【0068】
これを受けて、無線端末2は、ACKを受信したか否かを判定し(ステップS115)、ステップS113に戻る。
【0069】
一方、ステップS113において、同期信号を間引くのであれば、無線端末2は、同期信号送信を中止する(ステップS116)。そして、無線端末2は、ACKを受信したか否かを判定する(ステップS117)。この判定の結果、ACKを受信しなければ無線端末2は、ステップS113に戻る。ACKを受信した場合、無線端末2は、次の同期信号送信タイミングで同期信号を送信し(ステップS118)、ステップS113に戻る。
【0070】
次に、
図11を参照して、第5実施形態による無線通信システムの動作を説明する。
図11は、無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。まず、無線端末2は、基準同期信号送信間隔(Tsync)で同期信号を無線端末1に対して送信する(ステップS120〜S125)。これを受けて、無線端末1は、基準同期信号送信間隔(Tsync)で同期信号を受信する(ステップS131〜S139)。ただし、所定の同期信号は間引かれて、送信されないため、無線端末1においても同期信号の受信はできないことになる。
図11に示す例では、ステップS120とS121の間と、ステップS122とS123の間と、ステップS123とS124の間の同期信号は間引かれて送信されない。一方、無線端末1は、ACK送信間隔(Tack)でACKを無線端末2に対して送信する(ステップS141〜S143)。
【0071】
このように、無線端末2から送信する同期信号を間引くことにより、同期信号の送信回数を減らすことができるため、同期信号を送信する無線端末2の消費電力を低減することができる。
【0072】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態による無線通信システムを説明する。
図12は、第6実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図である。第6実施形態は、1つの無線基地局4と複数の無線端末1、2、3が通信を行うスター型の無線通信システムである。無線端末1、2、3はそれぞれ独自のタイミングで同期信号を送信しており、同期信号と同期信号の間に短い受信時間(受信窓)を設定して受信を行う間欠受信機能部11、21、31を備えている。無線基地局4では各無線端末1、2、3の同期信号を受信することで、各無線端末1、2、3の受信時間のタイミングを間欠受信タイミング管理機能部41によって管理しており、無線基地局4から無線端末1、2、3へ向けてデータの送信がある場合はその受信タイミングに合わせてデータを送信する。
【0073】
この時、各無線端末1、2、3に向けてのデータの送信機会を一定とするために、無線端末1、2、3の受信時間の間隔や同期信号の送信時間の間隔は同じとすることが一般的である。そのため多数の無線端末が存在した場合に、無線端末同士の同期信号の送信タイミングが一旦一致してしまうとしばらくの間タイミングが一致し続けてしまうため、本実施形態では各無線端末1、2、3が同期信号を送信するときにランダムなオフセット時間を追加し同期信号を送信する。一方で無線基地局4で無線端末1、2、3の受信タイミングを管理するためには、同期信号を送信するときに追加されるオフセット時間を知る必要があるため、各無線端末が同期信号を送信する前に無線基地局に対して予め次の同期信号に加えられるオフセット時間を通知しておく。第1実施形態のように、この通知を前回の同期信号に重畳するようにしてもよい。
【0074】
無線基地局4は同期信号を受信していることを知らせるための確認信号(ACK)を各無線端末1、2、3に対して送信することで同期信号がとれていることを知らせる。無線区間の通信品質が比較的良い場合には同期信号を受信できないことは少ないと考えられるため、確認信号は第4実施形態のように同期信号の送信間隔に対して十分に長い時間間隔で各無線端末1、2、3が無線基地局4からのデータ受信を待つ受信窓に合わせて送信する。無線端末1、2、3はACKの送信間隔以上これを受信することができなかった場合には、無線基地局4との同期を取り直す処理へ移行する。
【0075】
このような方法により、スター型の無線ネットワークにおいて、無線端末の間欠的な受信時間をきわめて短くすることと、同期信号の送信回数を削減することで、無線端末の大幅な低消費電力化を実現することが可能となる。
【0076】
なお、前述した説明においては、ランダムなオフセット時間として、基準同期信号送信間隔の開始時刻から遅らせる例を説明したが、オフセット時間は、基準同期信号送信間隔の開始時刻から早めるようにしてもよい。
【0077】
以上説明したように、同期信号を送信する無線端末は同期信号にランダムなオフセット時間を付加して送信し、そのオフセット時間を予め受信側に通知したうえで送信することにより、同期確立を低消費電力化を図りつつ実現することができる。この方法であればオフセット時間がランダムであるため衝突を避けることができ、同期信号送信側の無線端末と同期信号受信側の無線端末で付加されたオフセット時間を共有しているため、受信側の無線端末で補正をかけることも可能である。
【0078】
また、オフセット時間を予め通知する方法では、通知を受け取れなかった場合に同期信号送信側の無線端末と同期信号受信側の無線端末の間にオフセット時間の不一致が生じる。これを解決するために、同期信号受信側の無線端末は同期信号を受信した場合に、受信したことを送信側の無線端末に通知し(ACK)、同期信号送信側の無線端末はACKを受け取った場合にのみオフセット時間を更新する手続きを取ることで不一致の発生を削減することができる。また、ACKを返すことで消費電力が大きくなることが懸念される場合、一定の割合でACKの返信を間引くことも可能である。
【0079】
さらに同期信号送信側の消費電力を低減するために、同期信号の送信自体を一定の割合でランダムに間引くようにした。この場合、同期信号を受信する無線端末が一定時間同期信号を受信できない場合には同期信号の送信を要求するために、同期信号が受信できていないことを同期信号送信側の無線端末に通知する信号を送る。これにより、一定時間以上同期信号が受信できない状態を回避することで、同期信号の衝突を回避しつつ低消費電力で同期状態を維持することができる。
【0080】
この構成によれば、特に多数の無線端末が存在し各々が同期信号を送信しているときにその衝突が連続して発生することを回避しながら無線端末の低消費電力化を図ることが可能となる。また、特に1つの無線基地局と複数の無線端末の間で無線通信を行うスター型のネットワーク構成の無線システムにおいて、無線基地局と無線端末がそれぞれ自律分散的に同期信号を送信する場合の無線端末の同期信号が衝突した場合に、衝突が連続して起こることを回避するとともに、無線端末の消費電力を低減することができる。
【0081】
前述した実施形態における無線基地局または無線端末の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
【0082】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。