特許第6240716号(P6240716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240716関係性判定装置、学習装置、関係性判定方法、学習方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240716
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】関係性判定装置、学習装置、関係性判定方法、学習方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G06F17/30 220Z
   G06F17/30 170Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-124261(P2016-124261)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2015-26529(P2015-26529)の分割
【原出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-170817(P2016-170817A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 淳司
(72)【発明者】
【氏名】塚田 信吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚
(72)【発明者】
【氏名】柏野 牧夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 眞也
(72)【発明者】
【氏名】住友 弘二
(72)【発明者】
【氏名】河西 奈保子
(72)【発明者】
【氏名】守谷 健弘
(72)【発明者】
【氏名】鎌本 優
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル パブロ ナバ
(72)【発明者】
【氏名】白木 善史
【審査官】 吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−317238(JP,A)
【文献】 特開2009−129338(JP,A)
【文献】 特開2011−081763(JP,A)
【文献】 特開2012−128700(JP,A)
【文献】 特開2010−165097(JP,A)
【文献】 特開2006−099195(JP,A)
【文献】 特開2013−17734(JP,A)
【文献】 栗田 雄一,動線情報に基づく個人識別と人間関係の可視化,計測自動制御学会論文集,日本,社団法人計測自動制御学会,2010年 5月31日,第46巻 第5号,257−265ページ
【文献】 河合 度巳,携帯端末の動きを用いたユーザの類似性抽出による共感空間形成システムの検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年 1月17日,Vol.112 No.406,27−32ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報とを取得する第1の学習時取得手段と、
前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報を取得する第2の学習時取得手段と、
前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された、前記集合に対して付された前記正解情報とを関連付けて判定器を生成する生成手段と、
所定の空間に判定時に存在する複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報とを取得する判定時取得手段と、
前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成手段によって生成された前記判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報を判定する判定手段とを具備することを特徴とする関係性判定装置。
【請求項2】
所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報とを取得する第1の学習時取得手段と、
前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報を取得する第2の学習時取得手段と、
前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された、前記集合に対して付された前記正解情報とを関連付けて判定器を生成する生成手段とを具備することを特徴とする学習装置。
【請求項3】
所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報とを関連付けて生成された判定器と、
所定の空間に判定時に存在する複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報とを取得する判定時取得手段と、
前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成された前記判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報を判定する判定手段とを具備することを特徴とする関係性判定装置。
【請求項4】
前記第2の学習時取得手段は、
前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体がどのような関係にある複数の学習時生命体の集合であるかを示す関係情報の正解情報をさらに取得し、
前記生成手段は、
前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された前記集合に対して付された前記関係情報の前記正解情報とを関連付けて判定器をさらに生成するものであり、
前記判定手段は、
前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成手段によって生成された前記判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気の良し悪しを示す雰囲気情報と、前記複数の判定時生命体の関係情報とを判定することを特徴とする請求項1に記載の関係性判定装置。
【請求項5】
前記第2の学習時取得手段は、
前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体がどのような関係にある複数の学習時生命体の集合であるかを示す関係情報の正解情報をさらに取得し、
前記生成手段は、
前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された前記集合に対して付された前記関係情報の前記正解情報とを関連付けて判定器をさらに生成することを特徴とする請求項2に記載の学習装置。
【請求項6】
前記判定器は、
前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報及び位置情報と、前記複数の学習時生命体がどのような関係にある複数の学習時生命体の集合であるかを示す関係情報の正解情報とを関連付けて生成された判定器を含むものであり、
前記判定手段は、
前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成された前記判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気の良し悪しを示す雰囲気情報と、前記複数の判定時生命体の関係情報とを判定することを特徴とする請求項3に記載の関係性判定装置。
【請求項7】
前記第1の学習時取得手段は、
前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報のみを取得し、
前記判定時取得手段は、
前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報のみを取得することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の関係性判定装置。
【請求項8】
前記第1の学習時取得手段は、
前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報のみを取得することを特徴とする請求項2または請求項5に記載の学習装置。
【請求項9】
前記判定時取得手段は、
前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報のみを取得することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の関係性判定装置。
【請求項10】
学習装置を用いて、前記学習装置が備える各手段が実行する方法であって、
前記学習装置の第1の学習時取得手段が、
所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報とを取得し、
前記学習装置の第2の学習時取得手段が、
前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報を取得し、
前記学習装置の生成手段が、
前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された前記集合に対して付された前記正解情報とを関連付けて判定器を生成することを特徴とする学習方法。
【請求項11】
関係性判定装置を用いて、前記関係性判定装置が備える各手段が実行する方法であって、
前記関係性判定装置が、
所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報とを関連付けて判定器を生成し、
前記関係性判定装置の判定時取得手段が、
所定の空間に判定時に存在する複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報とを取得し、
前記関係性判定装置の判定手段が、
前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成された判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報を判定することを特徴とする関係性判定方法。
【請求項12】
請求項1、3、4、6、7、9のいずれかに記載の関係性判定装置、または、請求項2、5、のいずれかに記載の学習装置の一部分として動作するコンピュータに用いられるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記関係性判定装置の各手段と前記判定器、または、前記学習装置の各手段と前記判定器として機能させるための関係性判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関係性判定装置、学習装置、関係性判定方法、学習方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の生命体の対話の状態を分析する技術が知られている。
例えば、対話者間の共感・反感を複数の外部観測者の解釈の集合体として捉え、それと対話者の視線や表情など非言語行動との関連性を表す数理モデルを構築し、その仮説モデルの立案・検証により事象の理解へとアプローチする技術がある。具体的には、外部観測者の解釈の集合体を確率分布として表現し、それを非言語行動が与えられたもとでの事後確率分布として推測する問題を定式化する。さらに、推測された分布と外部観測者による解釈の分布との比較により、モデルの妥当性を検証する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】熊野史朗、大塚和弘、三上弾、大和淳司、「複数人対話を対象とした表情と視線に基づく共感/反感の推定モデルとその評価」、社団法人電子情報通信学会信学技報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の技術では、対象人物の顔画像情報や音声情報を用いて2者間の共感や反感を推定している。しかし、これらは、例えば心拍数、血圧、呼吸といった生体情報に大きく左右されるものである一方で、上記の従来の技術では、これらの生体情報を考慮しておらず、所定の空間に存在する複数人の生命体の関係性を適切に判定できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、所定の空間に存在する複数の生命体の関係性を適切に判定することができる関係性判定装置、学習装置、関係性判定方法、学習方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の実施形態における関係性判定装置の第の態様は、所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報とを取得する第1の学習時取得手段と、前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報を取得する第2の学習時取得手段と、前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された、前記集合に対して付された前記正解情報とを関連付けて判定器を生成する生成手段と、所定の空間に判定時に存在する複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報とを取得する判定時取得手段と、前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成手段によって生成された前記判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報を判定する判定手段とを具備する装置を提供する。
この発明の実施形態における学習装置の態様は、所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報とを取得する第1の学習時取得手段と、前記所定の空間に存在する前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報を取得する第2の学習時取得手段と、前記第1の学習時取得手段により取得された前記複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記第2の学習時取得手段により取得された、前記集合に対して付された前記正解情報とを関連付けて判定器を生成する生成手段とを具備する装置を提供する。
この発明の実施形態における関係性判定装置の第の態様は、所定の空間に学習時に存在する複数の学習時生命体それぞれの生体情報と位置情報と、前記複数の学習時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報の正解情報とを関連付けて生成された判定器と、所定の空間に判定時に存在する複数の判定時生命体それぞれの生体情報と、位置情報とを取得する判定時取得手段と、前記判定時取得手段により取得された前記複数の判定時生命体それぞれの生体情報及び位置情報から、前記生成手段によって生成された前記判定器により、前記複数の判定時生命体の集合で形成される雰囲気良し悪しを示す雰囲気情報を判定する判定手段とを具備する装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の空間に存在する複数の生命体の関係性を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態における関係性判定装置の構成例を示す図。
図2】本発明の第1の実施形態における判定器生成部5により生成される判定ベースの一例を説明するための図。
図3】本発明の第1の実施形態における判定器生成部5による学習により生成された学習の結果である判定ベース31の一例を示す図。
図4】本発明の第1の実施形態における判定器13の構成例を示す図。
図5】本発明の第1の実施形態における関係性判定装置の動作の一例を説明するためのフローチャート。
図6】本発明の第2の実施形態における学習部1Aの構成例を示す図。
図7】本発明の第2の実施形態におけるカテゴリ判定部1Bの構成例を示す図。
図8】本発明の第2の実施形態における判定器生成部5による学習により生成された学習の結果である判定ベース60の一例を示す図。
図9】本発明の第2の実施形態における関係性判定装置の動作の一例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、所定の建物内の所定エリアにおける複数人のそれぞれの位置情報及び生体情報を取得し、これら取得された位置情報及び生体情報と所定の判定ベースとを照合することで、会議室において行われている会議に参加している複数人の関係性カテゴリを判定する場合について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態における関係性判定装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態における関係性判定装置1は、学習部1A及びカテゴリ判定部1Bを有する。学習部1Aは、学習時位置情報取得部2、学習時生体情報取得部3、関係性カテゴリ入力部4及び判定器生成部5を有する。
【0012】
学習時位置情報取得部2は、学習により判定器13、つまり関係性カテゴリの判定ベース(例えば関係性カテゴリの判定用のモデル)を生成する際に、所定の建物内の所定のエリアに学習時に存在する複数人のそれぞれの位置情報を取得する。この位置情報の取得の方法は、所定エリア内で各人の席に取り付けられたセンサなどにより検出しても良いし、複数人のそれぞれが所持する携帯電話のGPS(Global Posting System)などの衛星測位システムによる位置に基づいて定めても良いし、複数人のそれぞれの周辺に取り付けられた、複数人のそれぞれ自身の生体情報を反映して発光する発光器から発光する可視光を所定エリア内に取り付けられたカメラによって撮影し、この撮影された画像から複数人のそれぞれの位置を定めても良く、その方法は問わない。
【0013】
学習時生体情報取得部3は、学習により判定器13を生成する際に、所定エリアに学習時に存在する複数人のそれぞれの生体情報を取得する。ここで、生体情報とは、例えば、心拍数、心音強度、身体運動リズム・強度、血圧、呼吸(数、深さ)、声(高さ)、発汗、瞳孔径、眼球運動、瞬き、皮膚温度などである。この生体情報の取得方法は、複数人のそれぞれに取り付けられた生体情報取得器(例えば、取得対象が血圧であれば血圧計)から有線或いは無線ネットワークを介して取得しても良い。また、複数人のそれぞれの周辺に取り付けられた、複数人のそれぞれ自身の生体情報を反映して発光する発光器から発光する生体情報を反映した可視光を使用して、可視光通信により生体情報を伝送しても良く、その方法は問わない。
【0014】
なお、所定の情報(本実施形態では、位置情報及び/又は生体情報)を可視光通信を使用して送信する技術については、公知の技術であるのでここでは詳述しない(例えば、「白色LED照明信号伝送と電力線信号伝送の融合システム」 小峰他 電子情報通信学会技術研究報告 SST, スペクトル拡散 101(730), 99-104, 2002-03-12)。
【0015】
関係性カテゴリ入力部4は、所定エリア内に存在する複数人の関係性のカテゴリ(例えば教師と生徒、リーダーとメンバーなど)の正解情報を入力する。
【0016】
判定器生成部5は、複数人それぞれの生体情報及び位置情報と、取得された関係性のカテゴリとを関連付けて判定器13の判定ベースを生成する。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態における判定器13における判定の際に使用され、判定器生成部5により生成される判定ベースの一例を説明するための図である。
図2に示すように、判定のために使用される判定ベース31は、位置情報21、生体情報22及び関係性カテゴリ23を含む。
【0018】
位置情報21は、所定エリアに学習時に存在する複数人のそれぞれの位置情報であり、本実施形態においては、説明を簡単にするために、所定エリアにおける位置をx−y座標で表わすものとするが、これに限られるものではない。
【0019】
生体情報22は、所定エリアに学習時に存在する複数人のそれぞれの生体情報であり、本実施形態においては、説明を簡単にするために、心拍数を例にとり説明するが、これに限られるものではない。例えば、生体データは、1つに限られるものではなく、複数の生体データ(心拍数、心音強度、身体運動リズム・強度、血圧、呼吸(数、深さ)、声(高さ)、発汗、瞳孔径、眼球運動、瞬き、皮膚温度など)を使用しても良い。
【0020】
関係性カテゴリ23は、所定エリアに存在している関係性カテゴリ(例えば教師1人と生徒10人、リーダー1人とメンバー20人など)であるがこれに限られるものではない。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施形態における判定器生成部5による学習により生成された学習の結果である判定ベース31の一例を示す図である。
図3に示すように、関係性カテゴリの判定の際に使用される各判定ベース31a、31b・・・は、関係性カテゴリ(例えば教師1人と生徒10人、リーダー1人とメンバー20人)毎に、学習された結果である位置情報(x,y)及び生体情報(心拍数)を含む。
【0022】
また、本実施形態では、教師1人と生徒20人、リーダー1人とメンバー30人、というように、第1の種別(例えば教師や会議のリーダー)と第2の種別(例えば生徒や会議のリーダー)の組み合わせにおいて、人数が異なる複数のパターンに応じた判定ベースを生成することができる。また、上記のように、関連性のカテゴリは、1人対複数人の関係に限らず、例えば友人同士、親子、上司と部下など、1人対1人の関係であってもよいし、特定のスポーツの対戦チーム同士など、複数人対複数人の関係であってもよい。
【0023】
なお、学習の方法については、同一の関係性カテゴリについて1回に限らず、同一の関係性カテゴリについて複数回、位置情報及び生体情報を取得し、これら取得した複数の位置情報及び生体情報の平均値を使用してもよく、また、他の学習方法を採用しても良い。
【0024】
カテゴリ判定部1Bは、判定時位置情報取得部11、判定時生体情報取得部12及び判定器13を有する。
【0025】
判定時位置情報取得部11は、判定器13により関係性のカテゴリを判定する際に、所定エリアに判定時に存在する複数人のそれぞれの位置情報を取得する。この位置情報の取得の方法は、所定エリア内の席に取り付けられたセンサにより検出しても良いし、複数人のそれぞれが所持する携帯電話のGPSなどの衛星測位システムによる位置に基づいて定めても良いし、複数人のそれぞれに取り付けられた発光器から発光する可視光を所定エリア内に取り付けられたカメラによって撮影し、この撮影された画像から複数人のそれぞれの位置を定めても良く、その方法は問わない。
【0026】
判定時生体情報取得部12は、判定器13により関係性のカテゴリを判定する際に、所定エリアに判定時に存在する複数人のそれぞれの生体情報を取得する。この生体情報の取得方法は、複数人のそれぞれに取り付けられた生体情報取得器(例えば、血圧であれば血圧計)から有線或いは無線ネットワークを介して取得しても良い。また、複数人のそれぞれに取り付けられた発光器から発光する生体情報を反映した可視光を所定エリア内に取り付けられたカメラによって撮影し、この撮影された画像から生体情報を定めても良く、その方法は問わない。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態における判定器13の構成例を示す図である。
図4に示すように、判定器13は、判定部41及び判定器生成部5によって生成された判定ベース31a、・・・、31nを有する。
判定器13の判定部41は、判定時位置情報取得部11によって取得された位置情報、判定時生体情報取得部12によって取得された生体情報及び判定器生成部5によって生成された判定ベース31a、31b、・・・、31nに基づいて、関係性のカテゴリの判定を行なう。
【0028】
判定部41による判定は、判定時に取得された位置情報及び生体情報と、学習により生成された判定ベース31a、・・・、31nとを照合(比較)し、その照合の結果、最も一致率の高い判定ベースのカテゴリを関係性のカテゴリとして判定して出力する。なお、判定器13による判定方法はこれに限られるものではない。
【0029】
図5は、本発明の第1の実施形態における関係性判定装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、最初に、学習により判定器の生成が行われる(学習モード)。
具体的には、学習時位置情報取得部2により所定エリア内に学習時に存在する複数人のそれぞれの位置情報を取得し、学習時生体情報取得部3により所定エリア内に学習時に存在する複数人のそれぞれの生体情報を取得する(S1)。
【0030】
次に、判定器生成部5は、複数人のそれぞれの生体情報及び位置情報と、取得された関係性のカテゴリとを関連付けて判定器13の判定ベースを生成する(S2)。
【0031】
そして、予め定められた基準(例えば、カテゴリの数、学習の回数など)に従って、判定器生成部5により学習が終了したか否かの判定が行なわれる(S3)。学習が終了していないと判定された場合には、S1の処理に戻り、学習モードを継続する。
【0032】
一方、学習が終了したと判定された場合には、生成された判定ベースを使用した判定器13による関係性判定モードが実行可能になる。
【0033】
関係性判定モードにおいては、まず、判定時位置情報取得部11は所定エリア内に判定時に存在する複数人のそれぞれの位置情報を取得し、判定時生体情報取得部12は所定エリアに判定時に存在する複数人のそれぞれの生体情報を取得する(S4)。この判定時のエリアは学習時のエリアと異なっていてもよい。
【0034】
判定器13の判定部41は、判定時位置情報取得部11によって取得された位置情報、判定時生体情報取得部12によって取得された生体情報及び判定器生成部5によって生成された判定ベース31a、31b、・・・、31nに基づいて、関係性のカテゴリの判定を行なう(S5)。
【0035】
そして、判定器13は、S5において判定された結果である関係性のカテゴリを出力する(S6)。
また、本実施形態では、判定器13は、関係性のカテゴリに加えて、関係性の詳細情報を求めて出力することができる(S7)。この関係性の詳細情報とは、上記のように判定された関連性のカテゴリにおける、第1の種別(例えば教師や会議のリーダー)に属する人と第2の種別(例えば生徒や会議のメンバー)に属する人とで形成される雰囲気の良し悪し(例えば会議の進行がスムーズであるか否か、教師の授業に生徒が引き込まれているか否か)や、第1の種別に属する人と第2の種別に属する人との間の関係の良し悪し(例えば親近感を抱いているか否か)である。
【0036】
この関係性の詳細情報を判定するには、例えば、判定ベース31の生成時に、この判定ベース31に上記の雰囲気の良し悪しや関係の良し悪しなどの正解情報を含めておき、判定部41が、判定時に取得された位置情報及び生体情報と、学習により生成された判定ベース31とを照合し、その照合の結果、最も一致率の高い判定ベースにおける関係性の詳細情報を判定して出力する。
【0037】
したがって、本発明の第1の実施形態における関係性判定装置によれば、所定の空間に存在する複数の生命体の位置情報及び生体情報を基に、その空間に存在する複数の生命体が教師と生徒の関係であることや、会議のリーダーとメンバーの関係であることなどの関係性の判定を行なうことができ、いままでにない用途において生体情報を有効活用することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、この実施形態における構成のうち第1の実施形態で説明した部分と同一部分の詳細な説明は省略する。
上述の第1の実施形態では、複数人の生体情報及び位置情報を学習し、それを関係性判定に使用する場合について説明した。しかしながら、学習を行なう対象は、生体情報及び位置情報に限らず、生体情報、位置情報と関連する他の情報、例えば感情情報を使用しても良く、関係性の特性によっては、他の情報を基に学習を行なった方が判定精度が高くなる場合がある。
【0039】
この第2の実施形態は、複数人の生体情報及び位置情報に基づいて、複数人のそれぞれの感情情報を算出し、この算出された感情情報を判定ベースに含めて学習の対象とすることにより、関係性の判定精度の向上を図るものである。
【0040】
具体的には、関係性判定装置1の学習部1Aに感情変換部51、カテゴリ判定部1Bに感情変換部52を設ける。
【0041】
図6は、本発明の第2の実施形態における学習部1Aの構成例を示す図である。
図6に示すように、第2の実施形態における判定器生成部5には、複数人のそれぞれの位置情報及び関係性のカテゴリ(正解情報)が入力されるとともに、感情変換部51にて、生体情報及び位置情報に基づいて算出された感情情報が入力される。
【0042】
感情変換部51は、生体情報及び位置情報に基づいて、感情情報を出力する。なお、生体情報のみに基づいて感情情報を算出しても良く、位置情報は必須ではない。本実施形態においては、位置情報も加えて感情情報を出力することにより、位置による感情情報の傾向を補正することができる。例えば、所定フロア内の特定の人物から遠い位置が他の位置よりも感情の起伏が少ない傾向があることを補正したりすることができる。
感情情報は、例えば、驚き、興奮、楽しい、眠気、憂鬱、悲しみ、緊張などを示す情報であるが、これに限られるものではない。
【0043】
なお、生体情報から感情変換を行なう技術は公知の技術であり、例えば、「人間の感情を考慮したバイオメトリクス」 情報学ワークショップ2004、平成16年9月()、「MOLMOD:生体情報を用いた雰囲気の取得手法の構築」(http://WWW.ht.sfc.keio.ac.jp/~jum-p/ips_molmod.pdf)、「表情と生体情報による感情の強さの推定」(
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieeheiss1987/119/6/119_6_668/_pdf)が挙げられる。
【0044】
図7は、本発明の第2の実施形態におけるカテゴリ判定部1Bの構成例を示す図である。
図7に示すように、第2の実施形態における判定器13には、複数人のそれぞれの位置情報及び関係性のカテゴリが入力されるとともに、感情変換部52にて、生体情報及び位置情報に基づいて算出された感情情報が入力される。
【0045】
感情変換部52は、生体情報及び位置情報に基づいて、感情情報を出力する。なお、生体情報のみに基づいて感情情報を算出しても良く、位置情報は必須ではない。
【0046】
図8は、本発明の第2の実施形態における判定器生成部5による学習により生成された学習の結果である判定ベース60の一例を示す図である。
図8に示すように、判定のために使用される判定ベース60は、感情情報61、位置情報62及び関係性カテゴリ63を含む。位置情報62及び関係性カテゴリ63については、上述の実施の形態と同様である。
【0047】
感情情報61は、例えば、驚き、興奮、楽しい、眠気、憂鬱、悲しみ、緊張などを示す情報であるが、これに限られるものではない。
【0048】
図9は、本発明の第2の実施形態における関係性判定装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、最初に、学習により判定器の生成が行われる(学習モード)。
具体的には、所定フロアに学習時に存在する複数人のそれぞれの位置情報を学習時位置情報取得部2により取得し、所定フロアに学習時に存在する複数人のそれぞれの生体情報を学習時生体情報取得部3により取得する(S11)。
【0049】
感情変換部51は、S11において学習時に取得された複数人のそれぞれの位置情報及び複数人のそれぞれの生体情報に基づいて、複数人のそれぞれの感情情報を生成する(S12)。
【0050】
次に、判定器生成部5は、複数人のそれぞれの感情情報及び位置情報と、取得された関係性のカテゴリとを関連付けて判定器13の判定ベースを生成する(S13)。
【0051】
そして、予め定められた基準(例えば、カテゴリの数、学習の回数など)に従って、判定器生成部5により学習が終了したか否かの判定が行なわれる(S14)。学習が終了していないと判定された場合には、S11の処理に戻り、学習モードを継続する。
【0052】
一方、学習が終了したと判定された場合には、生成された判定ベースを使用した判定器13による関係性判定モードが実行可能になる。
【0053】
関係性判定モードにおいては、まず、判定時位置情報取得部11は、所定エリアに判定時に存在する複数人のそれぞれの位置情報を取得し、判定時生体情報取得部12は、所定エリアに判定時に存在する複数人のそれぞれの生体情報を取得する(S15)。
【0054】
S15において関係性判定時に取得された複数人のそれぞれの位置情報及び複数人のそれぞれの生体情報に基づいて、感情変換部52は、複数人のそれぞれの感情情報を生成する(S16)。
【0055】
感情変換部52により生成された感情情報、判定時位置情報取得部11によって取得された位置情報及び判定器生成部5によって生成された判定ベース60に基づいて、判定器13の判定部41は、関係性のカテゴリの判定を行なう(S17)。
【0056】
そして、判定器13は、S17において判定された結果である関係性のカテゴリを出力する(S18)。
【0057】
また、第1の実施形態と同様に、判定器13は、関係性のカテゴリに加えて、関係性の詳細情報を判定して出力することができる(S19)。この関係性の詳細情報を判定するには、例えば、判定ベース60の生成時に、この判定ベース60に上記の雰囲気の良し悪しや関係の良し悪しなどの正解情報を含めておき、判定器13が、判定時に取得された感情情報及び生体情報と、学習により生成された判定ベース60とを照合し、その照合の結果、最も一致率の高い判定ベースにおける関係性の詳細情報を判定して出力する。
【0058】
したがって、本発明の第2の実施形態の関係性判定装置によれば、所定の空間に存在する複数の生命体の位置情報及び感情情報を基に、その空間に存在する複数の生命体の関係性の判定を行なうことができるので、いままでにない用途において生体情報を有効活用することができる。
【0059】
なお、上述の各実施形態では、所定フロア内の複数人が教師と生徒の関係にあることや会議のリーダーとメンバーとの関係にあることを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、各実施形態は、講演や演説会場(発言者と傍聴者との関係)、落語・演劇(出演者と観客との関係)にも適用することができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
また、上記の各実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【符号の説明】
【0062】
1…関係性判定装置
1A…学習部
1B…カテゴリ判定部
2…学習時位置情報取得部
3…学習時生体情報取得部
4…関係性カテゴリ入力部
5…判定器生成部
11…判定時位置情報取得部
12…判定時生体情報取得部
13…判定器
21…位置情報
22…生体情報
23…関係性カテゴリ
31、60…判定ベース
41…判定部
51、52…感情変換部
61…感情情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9