特許第6240761号(P6240761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240761
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】固体酸化物燃料電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20160101AFI20171120BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01M8/02 K
   H01M8/02 E
   H01M4/86 T
   H01M8/12
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-525306(P2016-525306)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-525268(P2016-525268A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】KR2014006980
(87)【国際公開番号】WO2015016599
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0091212
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョン−ウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、グァンユク
(72)【発明者】
【氏名】シン、トン−オ
(72)【発明者】
【氏名】リュ、チャンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュンチュン
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−031516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 4/86
H01M 4/88
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気極前駆体を用意するステップと、
電解質前駆体を用意するステップと、
燃料極前駆体を用意するステップと、
前記空気極前駆体と前記燃料極前駆体との間に前記電解質前駆体を備えるステップと、
前記空気極前駆体、前記電解質前駆体、および前記燃料極前駆体を同時に焼成する焼成ステップとを含み、
前記電解質前駆体は、ガラスフリットを含み、
前記ガラスフリットは、焼結助剤であり、
前記ガラスフリットのガラス転移温度(Tg)は、450℃以上900℃以下であり、
前記ガラスフリットは、La23−B23−BaO−TiO2を含み、
前記ガラスフリットの平均粒径は、500nm以上20μm以下であり、
前記電解質は、前記ガラスフリットまたはガラスフリット由来の物質がない状態より、焼成温度が1%〜50%さらに低く、
前記電解質は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)およびガドリニアドープされたセリア(GDC)からなる群から選択される1以上を含み、
前記空気極前駆体を用意するステップ、前記電解質前駆体を用意するステップ、および前記燃料極前駆体を用意するステップは、テープキャスティング法を利用して膜を形成するステップを含む
固体酸化物燃料電池の製造方法。
【請求項2】
前記焼成ステップの温度は、800℃以上1,600℃以下である請求項1に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2013年7月31日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0091212号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、固体酸化物燃料電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
第3世代燃料電池と呼ばれる固体酸化物燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)は、酸素または水素イオンを透過可能な固体酸化物を電解質として用いる燃料電池であって、1937年にBauerとPreisによって初めて作動した。SOFCは、現存する燃料電池のうち、最も高い温度(700℃〜1000℃)で作動する。すべての構成要素が固体からなっているため、他の燃料電池に比べて構造が簡単であり、電解質の損失および補充と腐食の問題がない。また、高温で作動するため、貴金属触媒を必要とせず、直接的な内部改質を通した燃料供給が容易である。高温のガスを排出するため、廃熱を利用した熱複合発電が可能であるという利点も持っている。このような利点のおかげで、SOFCに関する研究は21世紀初めの商業化を目指して活発な研究が行われている。
【0004】
一般的なSOFCは、酸素イオン伝導性電解質と、その両面に位置した空気極(正極、cathode)および燃料極(負極、anode)とからなっている。空気極で酸素の還元反応によって生成された酸素イオンが電解質を通して燃料極に移動し、再び燃料極に供給された水素と反応することで水を生成し、この時、燃料極で電子が生成され、空気極で電子が消耗するので、2つの電極を互いに連結して電流を発生させることが基本的な作動原理である。図1は、固体酸化物燃料電池の作動原理の一例を示すものである。すなわち、空気極を通して流入する酸素と、燃料極を通して流入する水素とが反応して電流が発生できる。
【0005】
SOFCの空気極と燃料極は、気孔度が高くなければならず、これらの間に備えられる電解質は緻密な組織を持たなければならない。そのため、これらを製造するためには、個別的に焼成工程が行われており、特に緻密な組織を持たなければならない電解質の場合には、特に高い温度で焼成しなければならなかった。これによって、焼結温度差による各構成間の歪み現象が発生し、それぞれの構成を別個に焼成して工程費用が上昇する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国公開特許公報第2011−0073180号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、上記の問題を解決することのできる固体酸化物燃料電池およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様は、空気極と、燃料極と、前記空気極および前記燃料極の間に備えられた電解質とを含み、前記空気極、前記燃料極、および前記電解質のうちの少なくとも1つは、ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質を含む固体酸化物燃料電池を提供する。
【0009】
また、本明細書の一実施態様は、空気極前駆体を用意するステップと、電解質前駆体を用意するステップと、燃料極前駆体を用意するステップと、前記空気極前駆体と前記燃料極前駆体との間に前記電解質前駆体を備えるステップと、前記空気極前駆体、前記電解質前駆体、および前記燃料極前駆体を同時に焼成する焼成ステップとを含み、前記空気極前駆体、前記電解質前駆体、および前記燃料極前駆体のうちの少なくとも1つは、ガラスフリットを含む固体酸化物燃料電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書の一実施態様に係る固体酸化物燃料電池は、空気極、電解質、および燃料極の各界面における歪み現象を最小化することができる。
【0011】
また、本明細書の一実施態様に係る固体酸化物燃料電池は、1回の焼成工程により製造することができるという利点がある。
【0012】
さらに、本明細書の一実施態様に係る固体酸化物燃料電池は、低い温度の焼成ステップにもかかわらず、緻密な組織の電解質を形成することができる。
【0013】
また、本明細書の一実施態様に係る固体酸化物燃料電池は、低い温度の焼成過程および焼成ステップの一元化により優れた工程効率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】固体酸化物燃料電池の作動原理の一例を示すものである。
図2】実施例1によるSEMイメージを示すものである。
図3】実施例2によるSEMイメージを示すものである。
図4】比較例1によるSEMイメージを示すものである。
図5】実施例3によるSEMイメージを示すものである。
図6】実施例4によるSEMイメージを示すものである。
図7】比較例2によるSEMイメージを示すものである。
図8】実施例5によるSEMイメージを示すものである。
図9】実施例6によるSEMイメージを示すものである。
図10】比較例3によるSEMイメージを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0016】
本明細書の一実施態様は、空気極と、燃料極と、前記空気極および前記燃料極の間に備えられた電解質とを含み、前記空気極、前記燃料極、および前記電解質のうちの少なくとも1つは、ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質を含む固体酸化物燃料電池を提供する。
【0017】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリット(glass frit)または前記ガラスフリット由来の物質は、焼結助剤であってもよい。具体的には、本明細書の前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質は、前記空気極、燃料極、および/または電解質の形成時の焼結温度を下げる役割を果たすことができる。また、本明細書の前記ガラスフリットは、焼結を促進して焼結時間を短縮する役割を果たすことができる。
【0018】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、一般的に通用するガラスフリットであれば制限なく使用できる。
【0019】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、非結晶性化合物であってもよい。また、本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、非結晶性化合物の原料を溶融させて急冷した後、必要に応じて粉砕した粉末状の物質を意味することができる。
【0020】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、SiO2、B23、Al23、Bi23、PbO、CaO、BaO、LiO、MgO、Na2O、K2O、ZnO、MnO、ZrO2、V25、P25、Y23、SrO、GaO、Se23、TiO2、およびLa23からなる群より選択される1種以上を含むことができる。本明細書の前記ガラスフリットは、前記構成のほか、添加物をさらに含んでもよく、一般的なガラスフリットであれば制限なく使用できる。
【0021】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、ZnO−SiO2系、ZnO−B23−SiO2系、ZnO−B23−SiO2−Al23系、Bi23−SiO2系、Bi23−B23−SiO2系、Bi23−B23−SiO2−Al23系、Bi23−ZnO−B23−SiO2系、Bi23−ZnO−B23−SiO2−Al23系、およびLa23−B23−BaO−TiO2系ガラスフリットからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0022】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットの平均粒径は、500nm以上20μm以下であってもよい。
【0023】
前記ガラスフリットの平均粒径が前記範囲内にある場合、焼結助剤として前記電解質の焼成温度を円滑に下げることができる。前記範囲未満の場合、ガラスフリットの溶融が速すぎて焼成温度を十分に下げられない問題が発生し、前記範囲を超える場合、電解質中で欠陥領域として作用する問題が発生し得る。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットのガラス転移温度(Tg)は、前記固体酸化物燃料電池の焼成温度より100℃〜800℃低いものであってもよい。前記ガラスフリットのガラス転移温度は、ガラスフリットの相(phase)が変化する温度を意味することができ、これは、固体状態のガラスフリットが液体状態に変化する温度を意味することができる。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、固体酸化物燃料電池の形成のための焼成時、固体酸化物燃料電池の焼成温度より100℃〜800℃低いので、液状の形態に変化して、前記空気極、燃料極、および/または電解質の前駆体の焼結を促進させることができ、焼結温度を下げることができる。
【0026】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットのガラス転移温度(Tg)は、450℃以上900℃以下であってもよい。
【0027】
本明細書の一実施態様によれば、前記電解質は、前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質を含むことができる。前記ガラスフリットは、前記電解質の焼結温度を下げることができ、焼結時間を縮小する役割を果たす。
【0028】
本明細書の一実施態様によれば、前記電解質は、前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質を含み、前記電解質は、前記ガラスフリットまたはガラスフリット由来の物質がない状態より、焼成温度が1%〜50%さらに低いものであってよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記電解質は、前記ガラスフリットまたはガラスフリット由来の物質がない状態より、焼成温度が1%〜15%さらに低くてよいし、または5%〜10%さらに低くてよい。
【0029】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質の含有量は、前記電解質の総重量に対して0.01重量%以上10重量%以下であってもよい。
【0030】
前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質の含有量が前記範囲内にある場合、電解質の緻密度を向上させると共に、電解質中で前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質による副作用を最小化することができる。具体的には、前記含有量範囲を超える場合、電解質のイオン伝導度が低下し、欠陥領域が生じる問題が発生し得る。また、前記含有量範囲未満の場合、ガラスフリットまたはガラスフリット由来の物質による電解質の緻密度の向上効果を発揮できない問題が発生し得る。
【0031】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリット由来の物質は、ガラスフリットが溶融後再凝固したものであってもよい。具体的には、前記ガラスフリット由来の物質は、前記空気極、燃料極、および/または電解質に含まれていて、焼結過程を経由しながら、ガラスフリットが溶けた後再凝固するものであってもよい。また、本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリット由来の物質は、前記ガラスフリットが溶融して前記電解質物質と混合された後再凝固する過程で前記電解質物質を含むことができる。
【0032】
本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、電解質に含まれていて、電解質中で前記電解質物質と共に電解質を構成することができ、前記ガラスフリットは、電解質をより緻密な構造に形成させることができ、電解質物質が固く結合されるようにする役割を果たすことができる。
【0033】
また、本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットは、電解質に含まれた後、焼結過程を経由しながら流動的な状態になり、燃料極および/または空気極にも移動した後再凝固できる。すなわち、本明細書の一実施態様によれば、前記ガラスフリットまたは前記ガラスフリット由来の物質は、電解質だけでなく、空気極および/または燃料極にも含まれていてよい。
【0034】
本明細書の一実施態様によれば、前記電解質の空隙率は、0%以上5%以下であってもよい。具体的には、前記電解質の空隙率は、0%に近いほど、固体酸化物燃料電池の性能に優れる。これは、電解質でのガスの移動が起こる場合、効率が低下し得るからである。
【0035】
本明細書の一実施態様によれば、前記固体酸化物燃料電池は、同時焼成によって製造が可能なため、各構成間の界面の間における歪み現象が最小化できる。すなわち、各構成の接合面の結合力に優れたものになり得る。
【0036】
本明細書の一実施態様によれば、前記電解質は、イオン伝導性を有する固体酸化物を含むことができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記電解質は、酸化ジルコニウム系、酸化セリウム系、酸化ランタン系、酸化チタン系、酸化ビズマス系物質からなる群より選択される1種以上を含む複合金属酸化物が挙げられる。より具体的には、前記電解質は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、サマリアドープされたセリア(SDC)、ガドリニアドープされたセリア(GDC)が挙げられる。
【0037】
前記YSZは、イットリア(yttria)安定化酸化ジルコニウムであって、(Y23x(ZrO21-xで表され、xは0.05〜0.15であってもよい。
【0038】
前記ScSZは、スカンジナビア安定化酸化ジルコニウムであって、(Sc23x(ZrO21-xで表され、xは0.05〜0.15であってもよい。
【0039】
前記SDCは、サマリウムドープセリアであって、(Sm23x(CeO21-xで表され、xは0.02〜0.4であってもよい。
【0040】
前記GDCは、ガドリニウムドープセリアであって、(Gd23x(CeO21-xで表され、xは0.02〜0.4であってもよい。
【0041】
本明細書の一実施態様によれば、前記電解質の厚さは、10nm以上100μm以下であってもよい。より具体的には、100nm以上50μm以下であってもよい。
【0042】
本明細書の一実施態様によれば、前記空気極は、金属酸化物を含むことができる。具体的には、前記空気極は、ペロブスカイト(perovskite)型の結晶構造を有する金属酸化物粒子が用いられ、(Sm,Sr)CoO3、(La,Sr)MnO3、(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Fe,Co)O3、(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などの金属酸化物粒子が挙げられ、前記金属酸化物は、単独または2種以上を混合して前記燃料極に含まれていてもよい。また、本明細書の一実施態様によれば、前記空気極を形成する材料として、白金、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を含むことができる。さらに、前記空気極を形成する材料として、ストロンチウム、コバルト、鉄などがドープされたランタンマンガナイトが用いられる。例えば、前記空気極は、La0.8Sr0.2MnO3(LSM)、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23(LSCF)などが挙げられる。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記燃料極は、前述した電解質に含まれる物質および酸化ニッケルが混合されたサーメット(cermet)が使用できる。さらに、前記燃料極は、活性炭素を追加的に含んでもよい。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、前記固体酸化物燃料電池は、2以上の単位セルを互いに連結するインターコネクトを含むスタックと、燃料を前記スタックに供給する燃料供給部と、空気を前記スタックに供給する空気供給部とを含み、前記単位セルは、前記固体酸化物燃料電池を含むことができる。
【0045】
明細書の一実施態様によれば、前記燃料極は、ASL(Anode Support Layer)およびAFL(Anode Functional Layer)を含むことができる。前記AFLは、多孔性膜であってもよく、これは、ASLおよび電解質膜の間に備えられるとよい。より具体的には、前記ASLは、電解質膜と接して、電気化学的反応が起こる領域になる。
【0046】
本明細書の一実施態様によれば、前記ASLは、アノードの支持層の役割を果たし、このために、AFLに比べて相対的により厚く形成されるとよい。また、前記ASLは、燃料をAFLにまで円滑に到達させ、電気伝導度に優れたものに形成できる。
【0047】
本明細書の一実施態様によれば、前記空気極は、CSL(Cathode Support Layer)およびCFL(Cathode Functional Layer)を含むことができる。
【0048】
本明細書の一実施態様によれば、前記CFLは、多孔性膜であってもよく、これは、CSLおよび電解質の間に備えられるとよい。より具体的には、前記CSLは、電解質膜と接して、電気化学的反応が起こる領域になる。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記CSLは、カソードの支持層の役割を果たし、このために、CFLに比べて相対的により厚く形成されるとよい。また、前記CSLは、空気をCFLにまで円滑に到達させ、電気伝導度に優れたものに形成できる。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、前記インターコネクトは、それぞれの単位セルに燃料が移動可能な燃料流路と、それぞれの単位セルに空気が移動可能な空気流路とを含むことができる。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記スタックは、2以上の単位セルのスタック(stack)であってもよい。また、前記インターコネクトは、それぞれの単位セルを連結する燃料流路および空気流路を含むことができる。
【0052】
本明細書の一実施態様によれば、前記スタックは、それぞれの単位セルが直列に積層され、前記単位セルの間にこれらを電気的に連結する分離板(seperator)がさらに備えられてもよい。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記固体酸化物燃料電池は、平板型、円筒型、または平管型であってもよい。
【0054】
本明細書の一実施態様は、空気極前駆体を用意するステップと、電解質前駆体を用意するステップと、燃料極前駆体を用意するステップと、前記空気極前駆体と前記燃料極前駆体との間に前記電解質前駆体を備えるステップと、前記空気極前駆体、前記電解質前駆体、および前記燃料極前駆体を同時に焼成する焼成ステップとを含み、前記空気極前駆体、前記電解質前駆体、および前記燃料極前駆体のうちの少なくとも1つは、ガラスフリットを含む固体酸化物燃料電池の製造方法を提供する。
【0055】
本明細書の一実施態様によれば、前記焼成ステップの温度は、800℃以上1,600℃以下であってもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記焼成ステップの温度は、1,000℃以上1,400℃以下であってもよい。
【0056】
本明細書の一実施態様に係る固体酸化物燃料電池の製造方法において、前記電解質前駆体は、ガラスフリットを含むものであってもよい。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記焼成ステップは、前記ガラスフリットが溶融後再凝固するステップを含むことができる。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、前記空気極前駆体を用意するステップ、前記電解質前駆体を用意するステップ、および前記燃料極前駆体を用意するステップは、それぞれ独立に、テープキャスティング法またはスクリーンプリンティング法を利用して膜を形成した後、乾燥するステップを含むことができる。
【実施例】
【0059】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0060】
[実施例1]
空気極前駆体、電解質前駆体としてLa23−B23−BaO−TiO2系ガラスフリットが全体電解質前駆体に対して5重量%含まれたYSZ、および燃料極前駆体を、それぞれテープキャスティング法を利用して膜を形成し、これらを順次に積層した。さらに、前記積層された膜を1,350℃の温度で焼成して、固体酸化物燃料電池を製造した。そして、製造された固体酸化物燃料電池の電解質膜の緻密度を検査するために、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0061】
図2は、実施例1によるSEMイメージを示すものである。
【0062】
[実施例2]
ガラスフリットの含有量を10重量%にしたことを除き、前記実施例1と同様の方法で固体酸化物燃料電池を製造し、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0063】
図3は、実施例2によるSEMイメージを示すものである。
【0064】
[比較例1]
ガラスフリットを含まないことを除き、前記実施例1と同様の方法で固体酸化物燃料電池を製造し、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0065】
図4は、比較例1によるSEMイメージを示すものである。
【0066】
[実施例3]
空気極前駆体、電解質前駆体としてLa23−B23−BaO−TiO2系ガラスフリットが全体電解質前駆体に対して5重量%含まれたYSZ、および燃料極前駆体を、それぞれテープキャスティング法を利用して膜を形成し、これらを順次に積層した。さらに、前記積層された膜を1250℃の温度で焼成して、固体酸化物燃料電池を製造した。そして、製造された固体酸化物燃料電池の電解質膜の緻密度を検査するために、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0067】
図5は、実施例3によるSEMイメージを示すものである。
【0068】
[実施例4]
ガラスフリットの含有量を10重量%にしたことを除き、前記実施例3と同様の方法で固体酸化物燃料電池を製造し、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0069】
図6は、実施例4によるSEMイメージを示すものである。
【0070】
[比較例2]
ガラスフリットを含まないことを除き、前記実施例3と同様の方法で固体酸化物燃料電池を製造し、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0071】
図7は、比較例2によるSEMイメージを示すものである。
【0072】
[実施例5]
空気極前駆体、電解質前駆体としてLa23−B23−BaO−TiO2系ガラスフリットが全体電解質前駆体に対して5重量%含まれたGDC、および燃料極前駆体を、それぞれテープキャスティング法を利用して膜を形成し、これらを順次に積層した。さらに、前記積層された膜を1350℃の温度で焼成して、固体酸化物燃料電池を製造した。そして、製造された固体酸化物燃料電池の電解質膜の緻密度を検査するために、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0073】
図8は、実施例5によるSEMイメージを示すものである。
【0074】
[実施例6]
ガラスフリットの含有量を10重量%にしたことを除き、前記実施例5と同様の方法で固体酸化物燃料電池を製造し、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0075】
図9は、実施例6によるSEMイメージを示すものである。
【0076】
[比較例3]
ガラスフリットを含まないことを除き、前記実施例5と同様の方法で固体酸化物燃料電池を製造し、電解質の断面を電子顕微鏡(SEM)で確認した。
【0077】
図10は、比較例3によるSEMイメージを示すものである。
【0078】
前記実施例および比較例をみると、ガラスフリットが含まれずに焼成された電解質の断面に比べて、ガラスフリットが含まれて焼成された電解質の断面が緻密な構造に形成されていることが分かる。
【0079】
実施例4におけるSEMイメージは、1250℃の温度で焼成しても、1350℃で焼成した比較例1に比べて、緻密な構造の電解質が形成されたことが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10