【文献】
Yanchun Zhao et al.,Methanol electro-oxidation on Ni@Pd core-shell nanoparticles supported on multi-walled carbon nanotubes in alkaline media,International Journal of hydrogen energy,ND,ELSEVIER,2010年,Vol.35,3249-3257
【文献】
Mee Rahn Kim et al.,Facile fabrication of hollow Pt/Ag nanocomposites having enhanced catalytic properties,Applied Catalysis B: Environmental,2011年,Vol.103,253-260
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中空金属ナノ粒子の断面のエネルギー分散型スペクトル元素分析機(EDS)を用いて得られる元素分析データにおいて、第1金属および第2金属のうちのいずれか1つの原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在する中空金属ナノ粒子を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料電池。
前記担体−中空金属ナノ粒子複合体を形成するステップは、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップの後、担体を添加するものである請求項19に記載の燃料電池の製造方法。
前記界面活性剤の濃度は、前記溶媒に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、CMC)の1倍以上5倍以下である請求項18〜24のいずれか1項に記載の燃料電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0017】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0018】
本明細書の一実施態様は、カソードと、アノードと、前記カソードおよびアノードの間に備えられた電解質膜とを含む燃料電池において、前記カソードおよびアノードのうちの少なくとも1つは、電極触媒を含み、前記電極触媒は、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含む中空金属ナノ粒子を含み、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、30nm以下である燃料電池を提供する。
【0019】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、30nm以下であってもよく、より具体的には20nm以下であってもよく、または12nm以下であってもよく、または10nm以下であってもよい。あるいは、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、6nm以下であってもよい。前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上であってもよい。中空金属ナノ粒子の粒径が30nm以下の場合、ナノ粒子を様々な分野で利用できるという利点が大きい。また、中空金属ナノ粒子の粒径が20nm以下の場合、より好ましい。さらに、中空金属ナノ粒子の粒径が10nm以下、または6nm以下の場合、粒子の表面積がさらに広くなるので、様々な分野で利用できる応用可能性がさらに大きくなるという利点がある。例えば、前記粒径範囲に形成された中空金属ナノ粒子が触媒として使用されると、その効率が著しく上昇できる。
【0020】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、グラフィックソフトウェア(MAC−View)を用いて200個以上の中空金属ナノ粒子に対して測定し、得られた統計分布により平均粒径を測定した値を意味する。
【0021】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上30nm以下であってもよい。
【0022】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下であってもよい。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上12nm以下であってもよい。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上10nm以下であってもよい。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上6nm以下であってもよい。
【0026】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子において、シェル部の厚さは、0nm超過5nm以下、より具体的には0nm超過3nm以下であってもよい。
【0027】
例えば、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、30nm以下であり、シェル部の厚さが0nm超過5nm以下であってもよく、より具体的には、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、20nm以下または10nm以下であり、シェル部の厚さが0nm超過3nm以下であってもよい。本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の中空の粒径は、1nm以上10nm以下、具体的には1nm以上4nm以下であってもよい。また、それぞれのシェルの厚さは、0.25nm以上5nm以下、具体的には0.25nm以上3nm以下であってもよい。前記シェル部は、第1金属および第2金属が混合されて形成されたシェルであってもよく、それぞれ第1金属および第2金属の混合比率が異なって別途に形成された第1シェルおよび第2シェルを含む複数のシェルであってもよい。あるいは、第1金属のみを含む第1シェルおよび第2金属のみを含む第2シェルを含む複数のシェルであってもよい。
【0028】
本明細書の一実施態様によれば、前記多数の中空金属ナノ粒子の粒径は、中空金属ナノ粒子の平均粒径の80%〜120%の範囲以内であってもよい。具体的には、前記中空金属ナノ粒子の粒径は、中空金属ナノ粒子の平均粒径の90%〜110%の範囲以内であってもよい。前記範囲を外れる場合、中空金属ナノ粒子の大きさが全体的に不均一になるので、中空金属ナノ粒子によって要求される特有の物性値を確保しにくいことがある。例えば、中空金属ナノ粒子の平均粒径の80%〜120%の範囲を外れる中空金属ナノ粒子が触媒として使用される場合、触媒の活性がやや不十分であり得る。
【0029】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒は、担体に前記中空金属ナノ粒子が担持された担体−中空金属ナノ粒子複合体を含むことができる。
【0030】
本明細書の一実施態様は、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含み、粒子の元素分析データにおいて、第1金属および第2金属のうちのいずれか1つの原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在する中空金属ナノ粒子を含む燃料電池用触媒を提供する。
【0031】
また、本明細書の一実施態様は、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含み、粒子の元素分析データにおいて、第1金属および第2金属のうちのいずれか1つの原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在する中空金属ナノ粒子が担体に担持されたことを含む燃料電池用触媒を提供する。
【0032】
本明細書の一実施態様によれば、前記燃料電池用触媒は、上述した電極触媒であってもよい。
【0033】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子および前記担体の質量比は、1:9〜4:6であってもよい。
【0034】
本明細書の一実施態様によれば、前記担体は、炭素系物質であってもよい。
【0035】
本明細書の一実施態様によれば、前記炭素系物質は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト(Graphite)、グラフェン(Graphene)、活性炭、多孔性炭素(Mesoporous Carbon)、炭素繊維(Carbonfiber)、およびカーボンナノワイヤ(Carbon nano wire)からなる群より選択されるものであってもよい。
【0036】
本明細書において、中空とは、中空金属ナノ粒子のコア部分が空いていることを意味する。また、前記中空は、中空コアと同じ意味で使われてもよい。前記中空は、ホロー(hollow)、孔、ボイド(void)、ポーラス(porous)の用語を含む。
【0037】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空は、内部物質が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上存在しない空間を含むことができる。あるいは、内部の50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上が空いている空間を含んでもよい。あるいは、内部の孔隙率が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上の空間を含む。
【0038】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空コアの体積は、前記中空金属ナノ粒子の全体体積の50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上であってもよい。本明細書の一実施態様によれば、前記中空コアの体積は、前記中空金属ナノ粒子の全体体積の100体積%未満であってもよい。また、本明細書の一実施態様によれば、前記中空コアの体積は、前記中空金属ナノ粒子の全体体積の90体積%以下であってもよい。
【0039】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子のシェル部は、第1金属および第2金属を含む金属で形成される。すなわち、本明細書の前記中空金属ナノ粒子のシェル部は、金属酸化物でない金属で形成される。
【0040】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部は、中空外部の全面に存在し、前記中空を取り囲む形態で存在してもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部は、中空の外側面全体に形成される。すなわち、前記シェル部は、前記中空金属ナノ粒子の形態を構成することができる。
【0041】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子は、球形状であってもよい。この場合、前記シェル部の形態は、中空コアを含む球形状であってもよい。
【0042】
前記球形状とは、完全な球形のみを意味するものではなく、ほぼ球形状のものを含むことができる。例えば、前記中空金属ナノ粒子は、球形状の外表面が平坦でないことがあり、1つの中空金属のナノ粒子において曲率半径が一定でないこともある。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部は、単一層のシェルであってもよく、2層以上のシェルであってもよい。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部は、前記第1金属および前記第2金属が混合されてなってもよい。具体的には、前記シェル部が単一層の場合、第1金属および第2金属が混合された形態で存在し得る。この時、均一にまたは不均一に混合されてもよい。
【0045】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部は、前記第1金属からなる第1シェルと、前記第2金属からなる第2シェルとを含むことができる。
【0046】
あるいは、本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部は、第1金属を含む第1シェルと、第2金属を含む第2シェルとを含む複数のシェルを含むことができる。
【0047】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部が単一層の場合、第1金属および第2金属が混合された形態で存在し得る。この時、均一にまたは不均一に混合されてもよい。
【0048】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部の第1金属および第2金属の原子百分率比は、1:5〜10:1であってもよい。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部が単一層の場合、シェルにおいて第1金属の比率がグラデーションの状態で存在し得る。第2金属の比率は、シェルにおいて一定の比率で存在し得、第1金属は、グラデーション形態の比率で存在し得る。
【0050】
一例として、シェルの断面を基準とする時、中心部において第1金属の比率が最も高く、シェルの両端にいくほど第1金属の比率が低くなり得る。すなわち、中空コアに隣接した部分からシェルの中心にいくほど第1金属の比率が高くなり、シェルの中心からシェルの外側縁にいくほど第1金属の比率が低くなり得る。この時、シェルの中心部に第1金属の比率が最も高い地点が存在し得る。
【0051】
他の例として、シェル中において中空コアに接する部分には、第1金属が50体積%以上、または70体積%以上存在し得、シェル中において外部と接する表面部分には、第2金属が50体積%以上、または70体積%以上存在し得る。
【0052】
あるいは、前記シェルが、それぞれ第1金属および第2金属の混合比率が異なって別途に形成された第1シェルまたは第2シェルであってもよい。この時、それぞれのシェルにおいて第1金属:第2金属の原子百分率比が1:5〜10:1であってもよい。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記シェル部が2層以上の場合、それぞれのシェルは、第1金属または第2金属のみを含んでもよい。例えば、中空金属ナノ粒子は、中空コアと、第1金属を含む1つまたは2つ以上の第1シェルと、第2金属を含む1つまたは2つ以上の第2シェルとを含むことができる。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1シェルは、中空外部の全面に存在してもよい。
【0055】
前記第2シェルは、第1シェルの外側表面の少なくとも一領域に存在し得、第1シェルの外側表面の全面を取り囲む形態で存在し得る。前記第2シェルが第1シェルの外側表面の一部領域に存在する場合、不連続面の形態で存在してもよい。
【0056】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子は、中空コアと、前記中空コアの外側表面全体に形成された第1金属を含む第1シェルと、前記第1シェルの外側表面全体に形成された第2金属を含む第2シェルとを含むことができる。あるいは、本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子は、前記中空コアの外側表面全体に形成された第1金属および第2金属を含む単一層のシェルを含むことができる。この場合、中空コアに正電荷を有する界面活性剤を含んでもよい。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属および第2金属は、互いに異なり、それぞれ周期律表上3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタン族金属、およびアクチニウム族金属からなる群より選択されたものであってもよい。
【0058】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属および前記第2金属は、互いに異なり、それぞれ白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレン(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)、および銅(Cu)からなる群より選択されてもよい。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属および前記第2金属のうちのいずれか1つは、白金(Pt)であり、残りのいずれか1つは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)、またはパラジウム(Pd)であってもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属および前記第2金属のうちのいずれか1つは、白金(Pt)であり、残りの1つは、ニッケル(Ni)であってもよい。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の元素分析データにおいて、第1金属および第2金属のうちのいずれか1つの原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在し得る。
【0061】
前記粒子の元素分析データにおいて、粒子内に含まれた原子百分率を示すグラフにおいて、ピークとは、グラフの傾きが正の値から負の値に変化しながら、その形状が尖っている点を意味する。
【0062】
本明細書の一実施態様によれば、メジャーピークは、粒子の元素分析データにおいて、粒子内に含まれた原子百分率を示すピークのうち、ピークを連結した連結線の峰それぞれの頂点に位置したピークを意味する。ここで、各峰の頂点に位置したピークは1個でもよいが、同一の原子百分率値を有する2以上でもよい。
【0063】
本明細書の一実施態様によれば、メジャーピークは、粒子の元素分析データにおいて、粒子内に含まれた原子百分率を示すピークのうち、ピークを連結した連結線の峰のうちピークの平均値より高い高さを有する峰それぞれの頂点に位置したピークを意味する。ここで、ピークの平均値とは、原子百分率を示すすべてのピークの平均値を意味する。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、メジャーピークは、粒子の元素分析データにおいて、粒子内に含まれた原子百分率を示すピークのうち、ピークを連結した連結線の峰のうち1番目または2番目に高い高さを有する峰の頂点に位置したピークを意味する。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の粒径を100%とする時、粒径の一終点から0%〜30%の領域内に第1金属の原子百分率を示す少なくとも1つのメジャーピークが存在し、粒径の他の終点から0%〜30%の領域内に第1金属の原子百分率を示す他の少なくとも1つのメジャーピークが存在し得る。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の粒径を100%とする時、粒径の一終点から0%〜30%の領域内に第2金属の原子百分率を示す少なくとも1つのメジャーピークが存在し、粒径の他の終点から0%〜30%の領域内に第2金属の原子百分率を示す他の少なくとも1つのメジャーピークが存在し得る。
【0067】
この時、中空金属ナノ粒子の粒径は、第1金属のピークが連結されたグラフの始点や一終点から他の終点までを意味し、始点または終点は、第1金属のピークが連結された、グラフの始まる地点;または第1金属のピークが連結された、グラフの縦の値が0になる地点を意味する。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2金属の原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在し得る。この時、前記中空金属ナノ粒子の粒径を100%とする時、粒径の一終点から0%〜30%の領域内に第2金属の原子百分率を示す少なくとも1つのメジャーピークが存在し、粒径の他の終点から0%〜30%の領域内に第2金属の原子百分率を示す他の少なくとも1つのメジャーピークが存在し得る。
【0069】
そして、中空金属ナノ粒子の粒径は、第2金属のピークが連結された、グラフの始点や一終点から他の終点までを意味し、始点または終点は、第2金属のピークが連結された、グラフの始まる地点、または第2金属のピークが連結された、グラフの縦の値が0になる地点を意味する。
【0070】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属または第2金属の原子百分率を示すピークが粒径の全領域で複数個存在し得る。
【0071】
本明細書の一実施態様によれば、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含み、粒子の元素分析データにおいて、第1金属の原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在し、第2金属の原子百分率を示すピークが粒径の全領域で複数個存在する中空金属ナノ粒子を提供することができる。
【0072】
本明細書の一実施態様によれば、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含み、粒子の元素分析データにおいて、第2金属の原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在し、第1金属の原子百分率を示すピークが粒径の全領域で複数個存在する中空金属ナノ粒子を提供することができる。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含み、粒子の元素分析データにおいて、第1金属の原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在し、第2金属の原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在する中空金属ナノ粒子を提供することができる。
【0074】
前記粒子の断面の元素分析データは、エネルギー分散型スペクトル元素分析機(Energy Dispersive Spectrometer:EDS)を用いて得られる。具体的には、前記断面の元素分析データは、粒子を上から透過してみた時、2次元領域でどの元素が測定されるかを確認するものである。すなわち、前記中空金属ナノ粒子の場合には、シェル部が相対的に中空の位置する領域より元素が密集して分布するため、メジャーピーク形態で観察が可能である。さらに、元素の量が相対的に微量の場合、全領域で複数個のピークで観察できる。
【0075】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空ナノ粒子は、中空コアの内部に陰イオン性界面活性剤または陽イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0076】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒は、カソードに含まれてもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒は、カソード用電極触媒であってもよい。
【0077】
本明細書の一実施態様は、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含む中空金属ナノ粒子を含む電極触媒を製造するステップと、電解質膜を用意するステップと、前記電解質膜の一面にカソードを形成するステップと、前記電解質膜の他面にアノードを形成するステップとを含み、前記中空金属ナノ粒子の平均粒径は、30nm以下であり、前記カソードを形成するステップおよび前記アノードを形成するステップのうちの少なくとも1つのステップは、前記電極触媒を用いるものである燃料電池の製造方法を提供する。
【0078】
本明細書の一実施態様は、中空コア(core)部と、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部とを含み、粒子の元素分析データにおいて、第1金属および第2金属のうちのいずれか1つの原子百分率を示すメジャーピークが少なくとも2個存在する中空金属ナノ粒子を含む電極触媒を製造するステップと、電解質膜を用意するステップと、前記電解質膜の一面にカソードを形成するステップと、前記電解質膜の他面にアノードを形成するステップとを含み、前記カソードを形成するステップおよび前記アノードを形成するステップのうちの少なくとも1つのステップは、前記電極触媒を用いるものである燃料電池の製造方法を提供する。
【0079】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒を製造するステップは、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に還元剤を添加して中空金属ナノ粒子を形成するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセル領域が中空に形成されることを含むことができる。
【0080】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒を製造するステップは、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に還元剤を添加して中空金属ナノ粒子を形成するステップと、前記中空金属ナノ粒子を担体に担持して担体−中空金属ナノ粒子複合体を形成するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセル領域が中空に形成されることを含むことができる。
【0081】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒を製造するステップは、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に担体を添加して分散させるステップと、前記溶液に還元剤を添加して前記担体に前記中空金属ナノ粒子が担持された担体−中空金属ナノ粒子複合体を形成するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子は、前記ミセル領域が中空に形成されたことを含むことができる。
【0082】
本明細書の一実施態様は、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に還元剤を添加して中空金属ナノ粒子を形成するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセル領域が中空に形成されることを含む前記燃料電池用触媒の製造方法を提供する。
【0083】
また、本明細書の一実施態様は、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に還元剤を添加して中空金属ナノ粒子を形成するステップと、前記中空金属ナノ粒子を担体に担持するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセル領域が中空に形成されることを含む前記燃料電池用触媒の製造方法を提供する。
【0084】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子を担体に担持するステップは、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップの後に担体を添加するものであってもよい。
【0085】
また、本明細書の一実施態様は、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に担体を添加して分散させるステップと、前記溶液に還元剤を添加して前記担体に中空金属ナノ粒子が担持された担体−中空金属ナノ粒子複合体を形成するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子は、前記ミセル領域が中空に形成されたことを含む前記燃料電池用触媒の製造方法を提供する。
【0086】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記担体−中空金属ナノ粒子複合体を形成するステップは、前記還元剤を添加する前に、前記溶液に前記担体を添加するものであってもよい。すなわち、本明細書の一実施態様に係る燃料電池用触媒の製造方法によれば、前記中空金属ナノ粒子を担体上で製造することができる。この場合、製造方法の中間ステップで担体を添加するため、担体と製造された中空金属ナノ粒子との接着力が良くなり、中空金属ナノ粒子の安定性に優れるという利点がある。
【0087】
本明細書の一実施態様に係る電極触媒を製造するステップは、前記担体上で中空金属ナノ粒子の分散度に優れるという利点もある。分散度に優れるほど反応に参加できる活性点が多くなるので、反応性が良くなる効果がある。また、中空金属ナノ粒子と担体とのインタラクション(interaction)が良くなるので、耐久性が向上できるという利点がある。
【0088】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子は、下記の製造方法により製造されたものであってもよい。
【0089】
本明細書の一実施態様に係る中空金属ナノ粒子を形成するステップは、第1金属塩、第2金属塩、および界面活性剤を溶媒に添加して溶液を形成するステップと、前記溶液に還元剤を添加して中空金属ナノ粒子を形成するステップとを含み、前記溶液を形成するステップは、前記界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの外部に前記第1金属塩および前記第2金属塩が取り囲むことを含み、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセル領域が中空に形成されることを含むものであってもよい。
【0090】
本明細書の一実施態様に係る中空金属ナノ粒子を形成するステップは、還元電位差を利用しないことから、第1金属と第2金属との間の還元電位を考慮しないという利点がある。金属イオン間の電荷(charge)を利用するため、従来の製造方法に比べて単純で、大量生産が容易な方法であるという利点がある。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属塩は、溶液上でイオン化して第1金属の金属イオンを提供できるものであれば特に限定されない。第1金属塩は、第1金属を含むことができる。ここで、第1金属は、第2金属と異なるものであってもよい。
【0092】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2金属塩は、溶液上でイオン化して第2金属の金属イオンを提供できるものであれば特に限定されない。第2金属塩は、第2金属を含むことができる。ここで、第2金属は、第1金属と異なるものであってもよい。
【0093】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属塩および第2金属塩はそれぞれ、第1金属および第2金属の窒酸化物(Nitrate、NO
3-)、塩化物(Chloride、Cl
-)、臭化物(Bomide、Br
-)、ヨウ化物(Iodide、I
-)のようなハロゲン化物(Halide)、水酸化物(Hydroxide、OH
-)、または硫酸化物(Sulfate、SO
4-)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0094】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属塩は、ミセルを形成する界面活性剤の外面を取り囲む形態になってもよい。また、前記第2金属塩は、前記第1金属塩を取り囲む形態になってもよい。前記第1金属塩および前記第2金属塩は、還元剤によってそれぞれ第1金属および第2金属を含むシェル部を形成することができる。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1金属塩および第2金属塩のモル比は、1:1〜10:1、具体的に2:1〜5:1であってもよい。第1金属塩のモル数が第2金属塩のモル数より少なければ、第1金属が中空を含む第1シェルを形成しにくい。また、第1金属塩のモル数が第2金属塩のモル数より10倍を超えると、第2金属塩が第1シェルを取り囲む第2シェルを形成しにくい。
【0096】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶媒は、水を含む溶媒であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記溶媒は、第1金属塩および第2金属塩を溶解させるもので、水、または水とC1〜C6のアルコールとの混合物であってもよく、具体的には水であってもよい。
【0097】
本明細書の前記電極触媒を製造するステップは、溶媒として有機溶媒を使用しなくてもよいので、製造工程中において有機溶媒を処理する後処理工程が必要でなくなり、したがって、費用節減効果および環境汚染防止効果がある。
【0098】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤は、前記溶液中においてミセルを形成することができる。前記ミセルの外側面の電荷の種類によって、前記界面活性剤の電荷を区分することができる。すなわち、ミセルの外側面の電荷が陰イオン性の場合、前記ミセルを形成する界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤であってもよい。また、ミセルの外側面の電荷が陽イオン性の場合、前記ミセルを形成する界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤であってもよい。
【0099】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤であってもよい。具体的には、カリウムラウレート、トリエタノールアミンステアレート、アンモニウムラウリルスルフェート、リチウムドデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムドデシルスルフェート、アルキルポリオキシエチレンスルフェート、ナトリウムアルギネート、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびその塩、グリセリルエステル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、胆汁酸およびその塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ステアリン酸およびその塩、カルシウムステアレート、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、リン脂質、およびカルシウムカルボキシメチルセルロースから構成された群より選択されるものであってもよい。
【0100】
前記界面活性剤が陰イオン性界面活性剤の場合、ミセルを形成する界面活性剤の外側面が陰イオン性を呈するため、陽イオンを呈する第1金属塩に取り囲まれる。さらに、前記第1金属塩は、陰イオンを呈する第2金属塩に取り囲まれる。
【0101】
本明細書の一実施態様によれば、前記陰イオン性界面活性剤がミセルを形成する領域は、前記陽イオンを呈する第1金属塩および前記陰イオンを呈する第2金属塩が存在しなくなり、中空を形成することができる。すなわち、還元剤によって前記第1金属塩および前記第2金属塩が第1金属および第2金属を含むシェル部に形成される場合、前記ミセルをなす領域は、金属を含まない中空コアになってもよい。
【0102】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤であってもよい。具体的には、4級(quaternary)アンモニウム化合物、ベンズアルコニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12−15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ポリクォート(POLYQUAT)10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、ベンズアルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、4級化(quaternized)ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、「ミラポール(MIRAPOL)」(ポリクオタニウム−2)、「アルカクォート(Alkaquat)」(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ロディア(Rhodia)により製造される)、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化4級アクリルアミド、メチル化4級重合体、陽イオン性グアーガム、ベンズアルコニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミン、およびポロキサミンから構成された群より選択されるものであってもよい。
【0103】
前記界面活性剤が陽イオン性界面活性剤の場合、ミセルを形成する界面活性剤の外側面が陽イオン性を呈するので、陰イオンを呈する第1金属塩に取り囲まれる。さらに、前記第1金属塩は、陽イオンを呈する第2金属塩に取り囲まれる。
【0104】
本明細書の一実施態様によれば、前記陽イオン性界面活性剤がミセルを形成する領域は、前記陰イオンを呈する第1金属塩および前記陽イオンを呈する第2金属塩が存在しなくなり、中空を形成することができる。すなわち、還元剤によって前記第1金属塩および前記第2金属塩が第1金属および第2金属を含むシェル部に形成される場合、前記ミセルをなす領域は、金属を含まない中空コアになってもよい。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤の濃度は、前記溶媒に対する臨界ミセル濃度(crtical micelle concentration、CMC)の1倍以上5倍以下であってもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記溶媒として水が選択される場合、溶液中において界面活性剤の濃度は、水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、CMC)の1倍以上5倍以下であってもよい。
【0106】
前記界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の1倍未満であれば、第1金属塩に吸着される界面活性剤の濃度が相対的に少なくなり得る。これによって、形成されるコアを形成する界面活性剤の量も全体的に少なくなり得る。一方、界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の5倍を超えると、界面活性剤の濃度が相対的に多くなり、中空コアを形成する界面活性剤と中空コアを形成しない金属粒子とが混ざって凝集し得る。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する前記界面活性剤および/またはミセルを取り囲む第1および第2金属塩を調節して、前記中空金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。
【0108】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する前記界面活性剤のチェーン長さによって中空金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、界面活性剤のチェーン長さが短ければ、ミセルの大きさが小くなって、中空の大きさも小くなり、これによって、中空金属ナノ粒子の大きさが小くなり得る。
【0109】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤のチェーンの炭素数は、15個以下であってもよい。具体的には、前記チェーンの炭素数は、8個以上15個以下であってもよい。あるいは、前記チェーンの炭素数は、10個以上12個以下であってもよい。
【0110】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する界面活性剤のカウンターイオン(counter ion)の種類を調節して、前記中空金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、界面活性剤のカウンターイオンの大きさが大きいほど、界面活性剤の外側端の頭部分との結合力が弱くなって、中空の大きさが大きくなり、これによって、前記中空金属ナノ粒子の大きさが大きくなり得る。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤が陰イオン性界面活性剤の場合、前記界面活性剤は、カウンターイオン(counter ion)として、NH
4+、K
+、Na
+、またはLi
+を含むものであってもよい。
【0112】
具体的には、界面活性剤のカウンターイオンがNH
4+の場合、界面活性剤のカウンターイオンがK
+の場合、界面活性剤のカウンターイオンがNa
+の場合、界面活性剤のカウンターイオンがLi
+の場合の順に、中空ナノ粒子の大きさが小くなり得る。これは、下記に述べる実施例によって確認することができる。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記界面活性剤が陽イオン性界面活性剤の場合、前記界面活性剤は、カウンターイオンとして、I
-、Br
-、またはCl
-を含むものであってもよい。
【0114】
具体的には、界面活性剤のカウンターイオンがI
-の場合、界面活性剤のカウンターイオンがBr
-の場合、界面活性剤のカウンターイオンがCl
-の場合の順に、中空ナノ粒子の大きさが小くなり得る。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、ミセルを形成する前記界面活性剤の外側端の頭部分の大きさを調節して、前記中空金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。さらに、ミセルの外面に形成された界面活性剤の頭部分の大きさを大きくする場合、界面活性剤の頭部分間の反撥力が大きくなって、中空が大きくなり、これによって、前記中空金属ナノ粒子の大きさが大きくなり得る。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子の大きさは、上記に述べた要素が複合的に作用して決定できる。
【0117】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒を製造するステップは、常温で行われる。具体的には、4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には15℃以上28℃以下で行うことができる。
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には15℃以上28℃以下で行うことができる。溶媒として有機溶媒を使用すれば、100℃を超える高温で製造しなければならない問題がある。
【0119】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液を形成するステップは、5分〜120分間、より具体的には10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間行うことができる。
【0120】
本明細書の一実施態様によれば、前記溶液に還元剤を添加して中空金属ナノ粒子を形成するステップも、常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には15℃以上28℃以下で行うことができる。
【0121】
前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、溶液と還元剤とを一定時間反応させて、具体的には5分〜120分間、より具体的には10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間反応させて行うことができる。
【0122】
本明細書に係る電極触媒を製造するステップは、常温で行うことができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用節減効果が大きい。
【0123】
本明細書の一実施態様によれば、前記還元剤は、標準還元−0.23V以下、具体的には、−4V以上−0.23V以下の強い還元剤でありながら、溶解した金属イオンを還元させて金属粒子として析出させられる還元力を有するものであれば特に限定されない。
【0124】
このような還元剤は、例えば、NaBH
4、NH
2NH
2、LiAlH
4、およびLiBEt
3Hからなる群より選択された少なくともいずれか1つであってもよい。
【0125】
弱い還元剤を使用する場合、反応速度が遅く、溶液の後続加熱を必要とするなど、連続工程化しにくくて大量生産に問題があり得、特に、弱い還元剤の一種であるエチレングリコールを使用する場合、高粘度による流れ速度の低下で連続工程での生産性が低い問題がある。
【0126】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、非イオン性界面活性剤をさらに添加するものであってもよい。本明細書の一実施態様によれば、前記非イオン性界面活性剤は、具体的には、ポリオキシエチレン脂肪(fatty)アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、トリエタノールアミンステアレート、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、およびポリビニルピロリドンから構成された群より選択されるものであってもよい。
【0127】
前記非イオン性界面活性剤は、シェルの表面に吸着され、溶液内で形成された中空金属ナノ粒子が均一に分散できるようにする役割を果たす。それによって、中空金属粒子が固まったり凝集して沈殿するのを防止し、中空金属ナノ粒子が均一な大きさに形成できるようにする。
【0128】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップは、安定化剤をさらに添加することができる。
【0129】
本明細書の一実施態様によれば、前記安定化剤は、具体的には、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウム、およびクエン酸三ナトリウムからなる群より選択される1または2以上を含むことができる。
【0130】
本明細書の一実施態様によれば、前記製造方法は、中空金属ナノ粒子を形成するステップの後に、中空内部の界面活性剤を除去するステップをさらに含むことができる。除去方法は特に制限されず、例えば、水で洗浄する方法を使用することができる。前記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤または陽イオン性界面活性剤であってもよい。
【0131】
本明細書の一実施態様に係る中空金属ナノ粒子の製造方法は、前記中空金属ナノ粒子を形成するステップの後に、中空金属ナノ粒子に酸を加えて、第1金属を含む第1シェルを除去するステップをさらに含むことができる。
【0132】
本明細書の一実施態様によれば、前記酸は特に限定されず、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、および臭化水素酸からなる群より選択されるものを使用することができる。
【0133】
本明細書の一実施態様によれば、前記中空金属ナノ粒子が形成された後、溶液に含まれた中空金属ナノ粒子を析出するために、中空金属ナノ粒子を含む溶液を遠心分離することができる。遠心分離後、分離された中空金属ナノ粒子のみを回収することができる。必要に応じて、中空金属ナノ粒子の焼成工程を追加的に行うことができる。
【0134】
本明細書の一実施態様によれば、均一な大きさを有する中空金属ナノ粒子を製造することができる。従来の方法では数ナノサイズの中空金属ナノ粒子を製造しにくかっただけでなく、均一な大きさに製造することはさらに難しかった。
【0135】
本明細書の一実施態様は、カソードと、前記カソードに対向して配置されるアノードと、前記カソードおよびアノードの間に配置される電解質膜とを含み、前記カソードおよびアノードのうちの少なくとも1つが前記燃料電池用触媒を含む触媒層を含む膜電極接合体を提供する。
【0136】
本明細書の一実施態様によれば、前記触媒層は、カソードに含まれてもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記燃料電池用触媒は、燃料電池のカソード触媒であってもよい。
【0137】
また、本明細書の一実施態様は、前記膜電極接合体を含む燃料電池を提供する。
【0138】
本明細書の一実施態様によれば、前記燃料電池は、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、または直接メタノール燃料電池(DMFC)であってもよい。
【0139】
図1は、燃料電池の一実施形態を示す分解斜視図である。また、
図2は、
図1の燃料電池を構成する膜電極接合体(MEA)の断面模式図である。
【0140】
図1に示す燃料電池1は、2個の単位セル11が一対のホルダ12、12に狭持されて概略的に構成されている。単位セル11は、膜電極接合体10と、膜電極接合体10の厚さ方向の両側に配置されたバイポーラプレート20、20とから構成されている。バイポーラプレート20、20は、導電性を有する金属またはカーボンなどから構成されており、膜電極接合体10にそれぞれ接合することにより、集電体として機能すると共に、膜電極接合体10の触媒層に対して酸素および燃料を供給する。
【0141】
また、
図1に示す燃料電池1は、単位セル11の数が2個であるが、単位セルの数は2個に限定されず、燃料電池に要求される特性によって、数十から数百個まで増やすこともできる。
【0142】
膜電極接合体10は、
図2に示すように、電解質膜100と、電解質膜100の厚さ方向の両側に配置された触媒層110、110’と、触媒層110、110’にそれぞれ積層された、微細気孔層121、121’および支持体122、122’を含む気体拡散層120、120’とから構成される。
【0143】
気体拡散層120、120’は、バイポーラプレート20、20を通して供給された酸素および燃料を触媒層110、110’の全面に拡散させ、触媒層110、110’で形成される水を速かに排出し、空気の流れを円滑にできるように多孔性を呈することが有利である。また、触媒層110、110’で発生した電流を伝達するために、電気伝導性を有する必要がある。
【0144】
気体拡散層120、120’は、微細気孔層121、121’および支持体122、122’からなる。支持体122、122’は、金属またはカーボン系素材などのような電気伝導性物質であってもよい。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス(carboncloth)、カーボンフェルト、または金属布などの導電性基板を使用することができ、これに制限されるものではない。
【0145】
微細気孔層121、121’は、一般的に粒径の小さい導電性粉末、例えば、カーボン粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭素、カーボンファイバー、フラーレン(fullrene)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、カーボンナノホーン(carbon nanohorn)、またはカーボンナノリング(carbon nano−ring)を含むことができる。微細気孔層121、121’を構成する導電性粉末は、粒子の大きさが小さすぎると、圧力強化が激しくて気体拡散が不十分であり得、粒子の大きさが過度に大きくなると、気体の均一な拡散が困難であり得る。したがって、気体の拡散効果を考慮して、一般的に10nm〜50nmの範囲の平均粒径を有する導電性粉末を使用することができる。
【0146】
気体拡散層120、120’は、商用製品を使用してもよく、カーボンペーパーのみを購入した後、その上に微細気孔層121、121’を直接コーティングして用意してもよい。前記微細気孔層120、120’は、前記導電性粉末の間に形成された空隙を通して気体拡散が起こり、これら空隙の平均気孔サイズは特に限定されない。例えば、微細気孔層120、120’の平均気孔サイズは、1nm〜10μmの範囲であってもよい。例えば、微細気孔層120、120’の平均気孔サイズは、5nm〜1μmの範囲、10nm〜500nmの範囲、または50nm〜400nmの範囲であってもよい。
【0147】
気体拡散層120、120’の厚さは、気体の拡散効果および電気抵抗などを考慮して、200μm〜400μmの範囲であってもよい。例えば、気体拡散層120、120’の厚さは、100μm〜350μmであってもよいし、より具体的には200μm〜350μmであってもよい。
【0148】
触媒層110、110’は、燃料極および酸素極として機能するもので、上述した燃料電池用電極触媒およびバインダーが含まれてそれぞれ構成され、前記電極触媒の電気化学的な表面積を増加させられる物質がさらに含まれてもよい。
【0149】
触媒層110、110’は、電極反応を効果的に活性化させ、電気抵抗が過度に増加しないように厚さが10μm〜100μmであってもよい。例えば、前記触媒層110,110’は、厚さが20μm〜60μmであってもよいし、より具体的には、厚さが30μm〜50μmであってもよい。
【0150】
触媒層110、110’は、触媒層の接着力の向上および水素イオンの伝達のために、バインダー樹脂をさらに含むことができる。前記バインダー樹脂としては、水素イオン伝導性を有する高分子樹脂を使用することが好ましく、より好ましくは、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、およびこれらの誘導体からなる群より選択された陽イオン交換基を有する高分子樹脂を使用することができる。好ましくは、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルフィド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル−エーテルケトン系高分子、またはポリフェニルキノキサリン系高分子の中から選択された1種以上の水素イオン伝導性高分子を含むことができる。
【0151】
触媒層110、110’、微細気孔層121、121’、および支持体122、122’は、互いに隣接して配置され、必要に応じて、異なる機能を有する層が前記層の間に追加的に挿入されてもよい。これらの層は、膜電極接合体のカソードおよびアノードを構成する。
【0152】
触媒層110、110’に隣接して電解質膜100が配置される。前記電解質膜としては特に制限されるわけではないが、例えば、ポリベンズイミダゾール(PBI)、架橋結合されたポリベンズイミダゾール、ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)、ポリウレタン(Polyurethane)、および改質されたポリテトラフルオロエチレン(modified PTFE)からなる群より選択された1つ以上の高分子電解質膜を使用することができる。
【0153】
電解質膜100には、リン酸または有機リン酸を含浸させ、リン酸以外に他の酸も使用することができる。例えば、電解質膜100に、ポリリン酸、ホスホン酸(H
3PO
3)、オルトリン酸(H
3PO
4)、ピロリン酸(H
4P
2O
7)、トリリン酸(H
5P
3O
10)、メタリン酸、またはその誘導体などのリン酸系物質が含浸できる。これらリン酸系物質の濃度は特に制限されるわけではないが、少なくとも80重量%、90重量%、95重量%、98重量%であってもよいし、例えば、80〜100重量%のリン酸水溶液を使用することができる。
【0154】
燃料電池は、空気極のカソード、水素極のアノード、および膜電極接合体(MEA)から構成され、このうち、空気極のカソードで起こるORR(Oxygen Reduction Reaction)反応が全体燃料電池反応のRDS(Rate determining Step)であってもよい。
【0155】
本明細書の一実施態様によれば、前記電極触媒は、前記カソードに含まれ、前記中空金属ナノ粒子の酸素還元時に発生する中間反応物(OH)との強い結合力を弱化させることにより、酸素還元反応の活性を増加させることができる。
【0156】
本明細書の一実施態様に係る電極触媒をカソード触媒に適用する場合、商用の20%Pt/C触媒に対比して、質量あたりの活性が60%程度向上する結果を示す。また、カソードでのORRがより容易に起こるため、燃料電池の性能が向上できる。さらに、前記電極触媒は、耐久性に優れるという利点がある。具体的には、1000回以上の長い作動後にも優れた酸素還元活性を維持することができる。
【0157】
上記の効果に加えて、本明細書の一実施態様に係る電極触媒は、価格の高い白金の含有量を低下させても優れた効果を発揮できるため、燃料電池の製造単価を下げるのに効果的である。
【実施例】
【0158】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書による実施例は、種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供される。
【0159】
本明細書の一実施態様に係る燃料電池に含まれる電極触媒の活性および耐久性を測定するために、反電極を製造して電極触媒の活性および耐久性を測定した。具体的には、基準電極としてAg/AgCl飽和KClを使用し、相対電極としてPt wireを使用し、作業電極として直径5mmのglassy carbon回転電極を使用した3電極の半電池(half cell)を製造し、さらに、電極触媒を用いて触媒インクを製造し、触媒インクを作業電極にコーティングして、カソードの性能を測定した。前記反電極を用いて測定した電極触媒の性能は、単位電池内における性能と同一である。そのため、下記の実施例による燃料電池の性能は、単位電池内における電極触媒の性能と同一である。
【0160】
[実施例1]−電極触媒の製造
Ni(NO
3)
20.1mmolと、K
2PtCl
40.3mmol、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(Trisodium Citrate)1.5mmol、界面活性剤としてリチウムドデシルスルフェート(Lithium dodecylsulfate、LiDS)3.2mmolを、水260mlに添加し、溶解させて溶液を形成して30分撹拌した。この時、Ni(NO
3)
2とK
2PtCl
4のモル比は3:1であり、この時、測定された前記LiDSの濃度は、水に対する臨界ミセル濃度(CMC)の約2倍であった。
【0161】
続いて、還元剤のNaBH
41.1mmolを溶液に添加して、2時間反応させた。合成されたPtNi中空金属ナノ粒子分散液をカーボン分散液に滴加後、15時間撹拌した後、水で5回洗浄して、電極触媒を製造した。
【0162】
前記実施例1により製造された電極触媒のPt含有量は24.4wt%であり、Niの含有量は1.6wt%であった。
【0163】
図3および
図4は、実施例1により製造された電極触媒の透過電子顕微鏡(TEM)イメージである。
【0164】
[実施例2]−電極触媒の活性測定
前記実施例1で製造された電極触媒2mg、エタノール1.6ml、蒸留水0.4ml、および5wtナフィオン溶液(nafion solution)20μlを混合して、触媒インクを製造した。前記触媒インクを2時間超音波処理をし、分散して触媒分散液を製造した。
【0165】
作業電極である5mm直径のglassy carbon回転電極(RDE:Rotaing Disk Electrode)上に前記触媒分散液を16μl塗布し、常温で乾燥して、触媒層を形成した。この場合、前記作業電極上に形成された触媒の量は15μgであった。
【0166】
さらに、0.1M HClO
4溶液を電解液として使用し、循環電圧電流(Cyclic Voltammetry)を標準水素電極(NHE)基準として0〜1.2Vの範囲、50mV/sの速度で15回繰り返し電極表面を洗浄(cleaning)した後に、ORR活性実験を進行させた。この時、使用されたポテンショスタット(potentiostat)は、PAR(Princeton Applied Research)社のVersa STAT MCモデルを使用した。
【0167】
前記ORR活性実験は、1,600rpmおよび60℃で、酸素を50cc/minの速度で供給しながら進行させ、標準水素電極(NHE)基準として0.3〜1.2Vの範囲、20mV/sの速度で15回繰り返し後の最後のデータを使用した。
【0168】
[比較例1]
前記実施例2において、電極触媒を20%Pt/C(E−TEK社)としたことを除けば、前記実施例2と同様の条件でORR活性実験を進行させた。
【0169】
前記実施例2および比較例1によるORR測定結果は、
図5に示した。
【0170】
図5において、x軸は、ポテンショスタットからかける電圧を示し、同一の電流密度値で電圧の高い方に移動するほど酸素還元反応がよく起こることを意味する。
図5において、同一の電流密度値で、実施例2および比較例1の電圧を比較した時、実施例2による電極触媒が50mV程度さらに高い所に移動したことが分かり、これは、実施例2による電極触媒が比較例1の電極触媒より優れた活性を示すことを表す。
【0171】
さらに、下記表1は、実施例2および比較例1による電極触媒に含有されている金属gあたりの電流値を示すものである。下記表1から明らかなように、実施例2による電極触媒は、同一の電圧で、比較例1による電極触媒に比べて高い電流値を示す。
【0172】
【表1】
【0173】
[実施例3]−電極触媒の耐久性測定
前記実施例2と同一の作業電極および触媒層を用いた。さらに、0.1M HClO
4溶液を電解液として使用し、循環電圧電流(Cyclic Voltammetry)を標準水素電極(NHE)基準として0〜1.2Vの範囲、50mV/sの速度で1,000回繰り返し後の水素吸着ピーク(peak)の面積を測定した。水素吸着ピークの面積からPtの表面積(ECSA:Electrochemical Surface Area)の計算は次の式を利用した。
【0174】
【数1】
【0175】
前記Q
Hは、水素吸着ピークの面積である。
【0176】
下記表2は、実施例3による電極触媒のECSAを示すものである。
【0177】
【表2】
【0178】
図6は、実施例3による電極触媒の耐久性の測定結果を示すものである。具体的には、
図6は、実施例3による電極触媒を1,000回繰り返した循環電圧電流(CV:Cyclic Voltammetry)の結果を示すものである。
【0179】
[比較例2]−電極触媒の耐久性測定
前記比較例1による電極触媒を、前記実施例3と同様の方法で耐久性を測定した。
【0180】
図7は、比較例2による電極触媒の耐久性の測定結果を示すものである。具体的には、
図7は、比較例2による電極触媒を1,000回繰り返した循環電圧電流(CV:Cyclic Voltammetry)の結果を示すものである。
【0181】
下記表3は、比較例2による電極触媒のECSAを示すものである。
【0182】
【表3】
【0183】
燃料電池の駆動中に発生するECSA値の減少は、反応中に触媒粒子の焼結作用のために発生するものであって、ECSAが減少すると、触媒の反応面積が減少して触媒の活性が低下する。
【0184】
図6および
図7、表2および表3から明らかなように、1,000回のCV繰り返し実験後のECSAは、実施例3は20%程度減少したのに対し、比較例2は58%程度減少した。この結果から、実施例3による電極触媒の耐久性が、商用触媒の比較例2による電極触媒に比べて優れた耐久性を有することが分かる。