特許第6240771号(P6240771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240771
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】燃料電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20171120BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20171120BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20171120BHJP
【FI】
   H01M4/86 M
   H01M4/90 B
   H01M4/92
   H01M4/86 B
   H01M4/88 K
   B01J23/89 M
   !H01M8/10
【請求項の数】18
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-531674(P2016-531674)
(86)(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公表番号】特表2017-501537(P2017-501537A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】KR2014011499
(87)【国際公開番号】WO2015080497
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0147138
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、グァンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、キョ−ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン−フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、チュン−ヨン
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/168912(WO,A1)
【文献】 特表2016−525264(JP,A)
【文献】 Limiao Chen 他,Bimetallic AgM(M=Pt、Pd、Au)nanostructures:Synthesis and applications for surface−enhanced Raman Scattering,RSC Advances,2013年 1月23日,3,4391-4399
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86 − 4/98
B01J23/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード、アノード、および前記カソードおよびアノードの間に備えられた電解質膜を含み、
前記カソードおよびアノードのうち少なくとも1つは、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を含む、燃料電池であり、
前記第1金属または前記第2金属は互いに異なり、前記第1金属はニッケルである燃料電池。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子は1個の前記ボウル状粒子で構成された金属ナノ粒子である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子は2個の前記ボウル状粒子が一部接した形態である、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記ボウル状粒子が一部接した領域は接線の傾きが反転する領域を含む、請求項3に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記ボウル状粒子の粒径は1nm以上20nm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項6】
ボウル状粒子の厚さがボウル面の厚さである時、前記ボウル状粒子の厚さは0nm超過5nm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記ボウル状粒子は、前記第1金属を含む第1層、および前記第2金属を含む第2層を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記ボウル状粒子は、前記第1金属の含量が前記第2金属の含量より高い第1層、および前記第2金属の含量が前記第1金属の含量より高い第2層を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記第1金属と第2金属の原子百分率比は1:5〜10:1である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記第2金属は、
周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されたいずれか1つである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記第2金属は、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)、および銅(Cu)からなる群から選択されたいずれか1つである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項12】
前記担体は炭素系物質または無機物微粒子である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項13】
前記炭素系物質は、カーボンブラック、炭素ナノチューブ(CNT)、グラファイト(Graphite)、グラフェン(Graphene)、活性炭、多孔性炭素(Mesoporous Carbon)、炭素繊維(Carbon fiber)およびカーボンナノワイヤー(Carbon nano wire)からなる群から選択された少なくとも1つである、請求項12に記載の燃料電池。
【請求項14】
前記無機物微粒子は、アルミナ、シリカ、チタニアおよびジルコニアからなる群から選択された少なくとも1つである、請求項12に記載の燃料電池。
【請求項15】
前記金属ナノ粒子の担体に対する担持率は10重量%〜70重量%である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項16】
前記第1金属はニッケルであり、前記第2金属は白金である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項17】
電解質膜を準備するステップ、
前記電解質膜の一面にカソードを形成するステップ、および
前記電解質膜の他面にアノードを形成するステップを含み、
前記カソードおよびアノードのうち少なくとも1つは、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を含み、
前記第1金属または前記第2金属は互いに異なり、前記第1金属はニッケルである燃料電池の製造方法。
【請求項18】
前記カソードを形成するステップおよびアノードを形成するステップのうち少なくとも1つのステップは、前記担体−金属ナノ粒子複合体を製造するステップをさらに含み、
前記担体−金属ナノ粒子複合体を製造するステップは、溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、
前記溶液に担体を添加して攪拌するステップ、および
前記溶液に還元剤を添加して担体上で金属ナノ粒子を形成するステップを含み、
前記第2界面活性剤の濃度、チェーン長さ、外側端部の大きさまたは電荷の種類を調節し、前記第1金属および前記第2金属を含む1以上のボウル状粒子を形成する、請求項17に記載の燃料電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2013年11月29日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0147138号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【0002】
本出願は燃料電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、石油や石炭のような従来のエネルギー資源の枯渇が予測されており、これらを代替できるエネルギーに対する関心が高まっている。このような代替エネルギーの1つとして燃料電池は、高効率で、NOxおよびSOxなどの公害物質を排出せず、用いられる燃料が豊かであるという長所があるために特に注目を浴びている。
【0004】
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気化学的に反応させて電気エネルギーを発生させる装置である。燃料電池は、水素を燃料に、酸素を酸化剤に用いており、電極は、水素の酸化反応(Hydrogen Oxidation Reaction、HOR)に触媒作用をするアノードと酸素の還元反応(Oxygen Reduction Reaction、ORR)に触媒作用をするカソードとからなる。燃料電池での電極はこのような触媒作用をする触媒を含み、触媒材料として通常用いられるものは白金である。しかし、白金は高費用および不純物に対する許容値が低い問題点があるため、白金の使用量を減らし、且つ、純粋白金より優れた電気化学的活性および安定性を提供する触媒を製造および使用することに対して多くの研究が行われている。このような研究は主に白金そのものの活性を増大させる方案または白金と遷移金属との合金形態の電極触媒を提案するものであったが、最近では電気化学的活性および安定性を有するナノ粒子構造の形態に対する関心が高まっている。
【0005】
金属ナノ粒子の合成方法には、溶液上で還元剤により金属イオンを還元させる方法、γ線を用いた方法、電気化学的方法などがあるが、従来の方法は、均一な大きさと模様を有するナノ粒子の合成が難しく、有機溶媒を用いることによって環境汚染、高費用(high cost)などが問題になるなど、色々な理由で高品質のナノ粒子の経済的な大量生産が困難であった。
【0006】
また、金属ナノ粒子は、熱処理温度や反応温度によって不安定になり易いので担体に分散させて用いる場合が多い。よって、均一な大きさの高品質の金属ナノ粒子を担体に効率的に担持できる方法の開発が求められた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願が解決しようとする課題は、均一なナノサイズの金属粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を電極触媒として含む燃料電池およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
本出願が解決しようとする課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は下記の記載によって当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、カソード、アノード、および前記カソードおよびアノードの間に備えられた電解質膜を含み、前記カソードおよびアノードのうち少なくとも1つは、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を含む燃料電池を提供する。
【0010】
また、本出願は、電解質膜を準備するステップ、前記電解質膜の一面にカソードを形成するステップ、および前記電解質膜の他面にアノードを形成するステップを含み、前記カソードおよびアノードのうち少なくとも1つは、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を含む燃料電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本出願の燃料電池は少なくとも1つの電極が担体−金属ナノ粒子複合体を含み、前記担体−金属ナノ粒子は数ナノメートルで均一な大きさの金属ナノ粒子が担体に担持された複合体として、金属ナノ粒子の担体に対する分散度および担持率に優れるので、優れた触媒の効果を示すことができる。
【0012】
また、前記担体に担持された前記金属ナノ粒子は1以上のボウル状粒子を含み、ボウル構造で金属ナノ粒子の内部表面積まで反応が起こる接触面積として活用することができるので、触媒効率が画期的に増加するという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本出願の一実現例による担体−金属ナノ粒子複合体の製造過程で担体上に界面活性剤がミセルを形成する様子を簡略に示すものである。
図2】本出願の一実現例による担体−金属ナノ粒子複合体の製造過程で担体上に界面活性剤がミセルを形成する様子を簡略に示すものである。
図3】本出願のボウル状粒子断面の一例を示すものである。
図4】本出願の2個のボウル状粒子が一部接した形態の金属ナノ粒子の断面の一例を示すものである。
図5】本出願の実施例による金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図6】本出願の実施例による金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図7】従来の担体−金属ナノ粒子複合体の透過電子顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図8】本出願の一実現例による担体−金属ナノ粒子複合体の構造を簡略に示すものである。
図9】燃料電池の電気発生原理を簡略に示すものである。
図10】本出願の一実現例による燃料電池用の膜電極接合体の構造を簡略に示すものである。
図11】本出願の一実現例による燃料電池を簡略に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述している実施状態を参照すれば明らかになるであろう。しかし、本出願は、以下にて開示される実施状態に限定されず、互いに異なる様々な形態で実現され、本実施状態は、単に本出願の開示が完全になるようにし、本出願が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本出願は、請求項の範疇によって定義されるのみである。図面に示された構成要素の大きさおよび相対的な大きさは説明の明瞭性のために誇張されることがある。
【0015】
他の定義がなければ、本出願に用いられる全ての用語(技術および科学的な用語を含む)は、本出願が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって共通に理解できる意味として用いられる。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されないものである。
【0016】
以下、本出願についてより詳細に説明する。
【0017】
本出願の一実現例は、カソード、アノード、および前記カソードおよびアノードの間に備えられた電解質膜を含み、
前記カソードおよびアノードのうち少なくとも1つは、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を含む燃料電池を提供する。
【0018】
本出願の一実現例による燃料電池は、アノードの触媒層とカソードの触媒層が電解質膜に接触するようにする形態であり、当分野で周知の通常の方法によって製造されることができる。一例として、前記カソード、アノード、および前記カソードおよびアノードの間に位置する電解質膜を密着させた状態で100〜400℃で熱圧着して製造されることができる。
【0019】
前記アノードはアノード触媒層とアノード気体拡散層を含むことができる。アノード気体拡散層は再びアノード微細気孔層とアノード基材を含むことができる。
【0020】
前記カソードはカソード触媒層とカソード気体拡散層を含むことができる。カソード気体拡散層は再びカソード微細気孔層とカソード基材を含むことができる。
【0021】
図9は燃料電池の電気発生原理を概略的に示すものであり、燃料電池において、電気を発生させる最も基本的な単位は膜電極接合体(MEA)であり、これは電解質膜Mと該電解質膜Mの両面に形成されるアノードAおよびカソードC電極で構成される。燃料電池の電気発生原理を示した図9を参照すれば、アノードA電極では、水素またはメタノール、ブタンのような炭化水素などの燃料Fの酸化反応が起こって水素イオン(H+)および電子(e-)が発生し、水素イオンは電解質膜Mを通してカソードC電極に移動する。カソードC電極では、電解質膜Mを通して伝えられた水素イオンと、酸素のような酸化剤Oおよび電子が反応して水Wが生成される。このような反応によって外部回路に電子の移動が発生する。
【0022】
前述したように、膜−電極接合体(MEA)は、燃料と空気の電気化学触媒反応が起こる電極(カソードとアノード)と水素イオンの伝達が起こる高分子膜の接合体を意味するものであり、電極(カソードとアノード)と電解質膜が接着された単一の一体型ユニット(unit)である。
【0023】
図10は燃料電池用の膜電極接合体の構造を概略的に示すものであり、燃料電池用の膜電極接合体は電解質膜10、および該電解質膜10を間に置いて互いに対向して位置するアノードおよびカソードを備える。
【0024】
アノードはアノード触媒層20とアノード気体拡散層50で構成され、アノード気体拡散層50は再びアノード微細気孔層30とアノード基材40で構成される。ここで、アノード気体拡散層はアノード触媒層と電解質膜との間に備えられる。
【0025】
カソードはカソード触媒層21とカソード気体拡散層51で構成され、カソード気体拡散層51は再びカソード微細気孔層31とカソード基材41で構成される。ここで、カソード気体拡散層はカソード触媒層と電解質膜との間に備えられる。
【0026】
図10はアノードおよびカソードを触媒層および気体拡散層に区分されたアノードおよびカソードを示しているが、本出願がこれのみに限定されるものではなく、アノードおよびカソードの構造は必要に応じて変更されることができる。
【0027】
前記アノードの触媒層および前記カソードの触媒層のうち少なくとも1つは前記担体−中空金属ナノ粒子複合体を触媒として含むことができる。残りは白金、ルテニウム、オスミウム、白金−ルテニウム合金、白金−オスミウム合金、白金−パラジウム合金および白金−遷移金属合金からなる群から選択された触媒が好ましく用いられることができる。前記触媒は、それ自体で用いられることができるだけでなく、炭素系担体に担持されて用いられることができる。
【0028】
前記担体−中空金属ナノ粒子複合体を触媒として用いる場合、前記中空金属ナノ粒子が中空および空洞によって広い表面積を有するため、反応面積が増加して触媒活性を高める効果を有し、さらには燃料電池の性能を高めることができる。
【0029】
触媒層を導入する過程は当技術分野で周知の通常の方法によって行うことができ、例えば、触媒インクを電解質膜に直接的にコーティングするか、気体拡散層にコーティングして触媒層を形成することができる。この時、触媒インクのコーティング方法は特に制限されるものではないが、スプレーコーティング、テープキャスティング、スクリーン印刷、ブレードコーティング、ダイコーティングまたはスピンコーティング方法などを用いることができる。触媒インクは代表的に触媒、ポリマーイオノマー(polymer ionomer)および溶媒からなることができる。
【0030】
前記気体拡散層は電流伝導体としての役割と共に反応ガスと水の移動通路になるものであり、多孔性の構造を有する。よって、前記気体拡散層は導電性基材を含んでなることができる。導電性基材としてはカーボン紙(Carbon paper)、炭素布(Carbon cloth)または炭素フェルト(Carbon felt)が好ましく用いられることができる。前記気体拡散層は、触媒層および導電性基材の間に微細気孔層をさらに含んでなることができる。前記微細気孔層は低加湿条件での燃料電池の性能を向上させるために用いられることができ、気体拡散層の外に抜け出る水の量を少なくして電解質膜が十分な湿潤状態にあるようにする役割をする。
【0031】
具体的に、本出願は、1つまたは2つ以上の前記膜−電極接合体と前記膜−電極接合体の間に介在するバイポーラ板を含むスタック、燃料を前記スタックに供給する燃料供給部、および酸化剤を前記スタックに供給する酸化剤供給部を含むことを特徴とする高分子電解質型の燃料電池を提供する。
【0032】
本出願の一実現例による燃料電池は、スタック、燃料供給部および酸化剤供給部を含んでなる。
【0033】
図11は燃料電池の構造を概略的に示すものであり、燃料電池はスタック60、酸化剤供給部70および燃料供給部80を含んでなる。
【0034】
スタック60は上述した膜電極接合体を1つまたは2つ以上含み、膜電極接合体が2つ以上含まれる場合にはこれらの間に介在するセパレーターを含む。セパレーターは、膜電極接合体が電気的に接続されることを防ぎ、外部から供給された燃料および酸化剤を膜電極接合体に伝達する役割をする。
【0035】
酸化剤供給部70は酸化剤をスタック60に供給する役割をする。酸化剤としては酸素が代表的に用いられ、酸素または空気をポンプ70で注入して用いることができる。
【0036】
燃料供給部80は燃料をスタック60に供給する役割をし、燃料を貯蔵する燃料タンク81および燃料タンク81に貯蔵された燃料をスタック60に供給するポンプ82で構成されることができる。燃料としては気体または液体状態の水素または炭化水素燃料が用いられることができる。炭化水素燃料の例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたは天然ガスが挙げられる。
【0037】
前記燃料電池は、高分子電解質燃料電池、直接液体燃料電池、直接メタノール燃料電池、直接ギ酸燃料電池、直接エタノール燃料電池、または直接ジメチルエーテル燃料電池などが可能である。
【0038】
本出願の一実現例は、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を提供する。
【0039】
本出願において、前記ボウル状とは断面上で曲線の領域を少なくとも1つ含むものを意味することができる。または、前記ボウル状とは、断面上に曲線の領域と直線の領域が混合しているものを意味することができる。または、前記ボウル状は半球状であってもよく、前記半球状は必ずしも球の中心を過ぎるように分けた形態である必要はなく、球の一領域が除去された形態であってもよい。さらに、前記球は完全な球状のみを意味するものではなく、大まかに球形状のものを含むことができる。例えば、球の外表面が平坦でなくてもよく、球の曲率半径が一定でなくてもよい。または、本出願の前記ボウル状粒子は、中空ナノ粒子の30%〜80%、具体的には30%〜70%、より具体的には40%〜70%領域が連続して形成されないものを意味することができる。
【0040】
図3には本出願によるボウル状粒子の断面の一例を示す。
【0041】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子は1個の前記ボウル状粒子で構成されることができる。この場合、前記金属ナノ粒子の断面は図3に示された断面のうち1つであってもよい。
【0042】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子は2個の前記ボウル状粒子が一部接した形態であってもよい。
【0043】
本出願の前記2個のボウル状粒子が一部接した形態の金属ナノ粒子は中空ナノ粒子の一部が割れた形態であってもよい。
【0044】
図4には本出願の前記2個のボウル状粒子が一部接した形態の金属ナノ粒子の断面の一例を示す。
【0045】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子が一部接した領域は接線の傾きが反転する領域を含むことができる。具体的には、前記ボウル状粒子が接した領域は接線の傾きの符号が反転する領域を含むことができる。例えば、2個のボウル状粒子が一部接した形態は「3」または「W」字の形態であり、2つの粒子が接する頂点を有することができる。または、球の形状において一部が割れて上記の形態を有することができる。
【0046】
図8は、本出願の一実現例による担体−金属ナノ粒子複合体の構造を簡略に示すものである。図8を参照して説明すれば、担体1に金属ナノ粒子2,3,4が担持されている。前記金属ナノ粒子のうち金属ナノ粒子2は前述した1個の前記ボウル状粒子で構成された一例であり、金属ナノ粒子3,4は前述した2個の前記ボウル状粒子が一部接した形態または中空ナノ粒子の一部が割れた形態の一例である。
【0047】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子の粒径は1nm以上30nm以下であってもよい。具体的には、前記ボウル状粒子の粒径は1nm以上20nm以下であってもよく、より具体的には、前記ボウル状粒子の粒径は3nm以上10nm以下であってもよい。
【0048】
金属ナノ粒子の粒径が30nm以下である場合、ナノ粒子を色々な分野で利用できるという長所がある。また、金属ナノ粒子の粒径が20nm以下である場合により好ましい。さらに、金属ナノ粒子の粒径が10nm以下である場合、粒子の表面積がより広くなるため、色々な分野で利用できる応用可能性がより大きくなるという長所がある。例えば、前記粒径範囲で形成された金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体が触媒として用いられれば、その効率が顕著に上昇する。
【0049】
本出願の前記ボウル状粒子の粒径とは、前記ボウル状粒子の一末端領域から他の一領域までの直線上の最長距離を意味することができる。または、前記ボウル状粒子の粒径とは、前記ボウル状粒子を含む仮想の球の粒径を意味することができる。
【0050】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の製造時、1つ以上の金属ナノ粒子を製造することができる。
【0051】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子は単一層であってもよい。この場合、前記単一層は前記第1金属および前記第2金属をいずれも含むことができる。
【0052】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子が単一層である場合、前記第1金属および前記第2金属が混合した形態で存在してもよい。さらに、前記ボウル状粒子が単一層である場合、前記第1金属および前記第2金属は均一または不均一に混合していてもよい。
【0053】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子は2層以上であってもよい。具体的に、本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子が2層以上である場合、前記第1金属を含む第1層、および前記第2金属を含む第2層を含むことができる。
【0054】
本出願の一実現例によれば、前記第1層は、前記第1金属を含み、前記第2金属を含まなくてもよい。また、前記第2層は、前記第2金属を含み、前記第1金属を含まなくてもよい。
【0055】
また、本出願の一実現例によれば、前記第1層は前記第2金属の含量より前記第1金属の含量が高くてもよい。また、前記第2層は前記第1金属の含量より前記第2金属の含量が高くてもよい。
【0056】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子は、前記第1金属の含量が前記第2金属の含量より高い第1層、および前記第2金属の含量が前記第1金属の含量より高い第2層を含むことができる。
【0057】
具体的には、本出願の一実現例によれば、前記第1層における前記第1金属の含量は、前記第2層に対向して最も遠く離れた領域で最も高く、前記第2層に近いほど前記第1金属の含量が次第に小さくなってもよい。また、前記第1層における前記第2金属の含量は前記第2層から遠くなるほど増加してもよい。
【0058】
また、本出願の一実現例によれば、前記第2層における前記第2金属の含量は、前記第1層に対向して最も遠く離れた領域で最も高く、前記第1層に近いほど前記第2金属の含量は次第に小さくなってもよい。また、前記第2層における前記第2金属の含量は前記第1層から遠くなるほど増加してもよい。
【0059】
具体的に、前記金属ナノ粒子は第1金属および第2金属がグラデーションして状態で存在してもよく、前記第1層において前記第2層と対向して最も遠く離れた領域には第1金属が50体積%以上、または70体積%以上で存在してもよく、前記第2層において前記第1層と対向して最も遠く離れた領域には第2金属が50体積%以上、または70体積%以上で存在してもよい。
【0060】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属と第2金属の原子百分率比は1:5〜10:1であってもよい。前記原子百分率比は、前記金属ナノ粒子が第1層および第2層で形成される場合、第1層の第1金属と第2層の第2金属の原子百分率比であってもよい。または、前記原子百分率比は、前記金属ナノ粒子が第1金属および第2金属を含む単一層で形成される場合、第1金属と第2金属の原子百分率比であってもよい。
【0061】
本出願の一実現例によれば、前記ボウル状粒子の厚さは0nm超過5nm以下であってもよい。具体的には、前記ボウル状粒子の厚さは0nm超過3nm以下であってもよい。
【0062】
本出願において、前記ボウル状粒子の厚さとはボウル状粒子をなす金属層の厚さを意味することができる。前記金属層は金属を含む殻を意味することができ、ボウル状粒子の厚さは金属を含む殻の厚さであってもよい。また、形状の側面において、前記ボウル状粒子の厚さはボウル状粒子のボウル面の厚さを意味することができる。
【0063】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属は、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されたものであってもよい。具体的には、前記第1金属は、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)、および銅(Cu)からなる群から選択されたものであってもよい。
【0064】
本出願の一実現例によれば、前記第2金属は前記第1金属と互いに異なってもよい。
【0065】
本出願の一実現例によれば、前記第2金属は、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されたものであってもよい。具体的には、前記第2金属は、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)、および銅(Cu)からなる群から選択されたものであってもよい。
【0066】
具体的な例として、本出願の一実現例によれば、前記第1金属は白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)および金(Au)からなる群から選択されたものであってもよく、より具体的には白金(Pt)であってもよい。この場合、前記第2金属はルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されたものであってもよく、より具体的にはニッケル(Ni)であってもよい。
【0067】
具体的な他の例として、本出願の一実現例によれば、前記第1金属はルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されたものであってもよく、より具体的にはニッケル(Ni)であってもよい。この場合、前記第2金属は白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)および金(Au)からなる群から選択されたものであってもよく、より具体的には白金(Pt)であってもよい。
【0068】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属または前記第2金属は互いに異なり、前記第1金属または前記第2金属はニッケルであってもよい。
【0069】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属または前記第2金属は互いに異なり、前記第1金属または前記第2金属は白金であってもよい。
【0070】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属はニッケルであり、前記第2金属は白金であってもよい。
【0071】
本出願の一実現例によれば、前記担体は炭素系物質または無機物微粒子であってもよい。
【0072】
前記炭素系物質は、炭素ナノチューブ(CNT)、グラファイト(Graphite)、グラフェン(Graphene)、活性炭素(Activated carbon)、多孔性炭素(Mesoporous Carbon)、カーボンブラック(Carbon black)、炭素ナノ繊維(Carbon nano fiber)、カーボンナノワイヤー(Carbon nano wire)、カーボンナノホーン(Carbon nanohorn)、カーボンエアロゲル(Carbon aerogel)、カーボンナノリング(Carbon nano ring)、フラーレン(C60)およびスーパーP(Super P)からなる群から選択されたものであってもよい。
【0073】
前記カーボンブラックとしては、デンカブラック、ケッチェンブラックまたはアセチレンブラックなどがある。
【0074】
前記炭素ナノチューブは、SWCNT、DWCNT、MWCNT、機能化されたSWCNT、機能化されたDWCNT、機能化されたMWCNT、精製されたSWCNT、精製されたDWCNTまたは精製されたMWCNTのうち1つまたはこれらの混合物を含むことができる。炭素ナノチューブはグラフェンシート(graphene sheet)が継ぎ目なしに巻かれてチューブ模様の形状をなしている。このチューブが1つである場合を単一壁炭素ナノチューブ(Single Walled Carbon Nanotube:SWCNT)といい、2個のチューブが巻かれている場合を二重壁炭素ナノチューブ(Double−Walled Carbon Nanotube:DWCNT)といい、2個以上のチューブが巻かれている場合を多重壁炭素ナノチューブ(Multi−Walled Carbon Nanotube:MWCNT)という。
【0075】
前記無機物微粒子は、アルミナ、シリカ、チタニアおよびジルコニアからなる群から選択されたものであってもよい。
【0076】
本出願の一実現例によれば、担体−金属ナノ粒子複合体において、金属ナノ粒子の担体に対する担持率は10重量%〜70重量%であってもよい。
【0077】
また、本出願の一実現例は、
電解質膜を準備するステップ、
前記電解質膜の一面にカソードを形成するステップ、および
前記電解質膜の他面にアノードを形成するステップを含み、
前記カソードおよびアノードのうち少なくとも1つは、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子が担体に担持された担体−金属ナノ粒子複合体を含む燃料電池の製造方法を提供する。
【0078】
本出願の一実現例によれば、前記カソードを形成するステップおよびアノードを形成するステップのうち少なくとも1つのステップは、前記担体−金属ナノ粒子複合体を製造するステップをさらに含み、
前記担体−金属ナノ粒子複合体を製造するステップは、溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、
前記溶液に担体を添加して攪拌するステップ、および
前記溶液に還元剤を添加して担体上で金属ナノ粒子を形成するステップを含むことができる。
【0079】
以下、本出願による前記金属ナノ粒子の製造方法についてより詳細に記述する。
【0080】
本出願の一実現例は、溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップ、および前記溶液に担体を添加して担体に前記金属ナノ粒子を担持させるステップを含み、前記金属ナノ粒子は、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む担体−金属ナノ粒子複合体の製造方法を提供する。
【0081】
また、本出願の一実現例は、溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、前記溶液に担体を添加して攪拌するステップ、および前記溶液に還元剤を添加して担体上で金属ナノ粒子を形成するステップを含み、前記金属ナノ粒子は、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む担体−金属ナノ粒子複合体の製造方法を提供する。
【0082】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法は前記金属ナノ粒子の内部に中空コアを形成することができる。
【0083】
本出願において、前記中空とは金属ナノ粒子のコア部分が空いていることを意味する。また、前記中空は中空コアと同一な意味として用いられることができる。前記中空はホロー(hollow)、穴、ボイド(void)などの用語を含むことができる。
【0084】
本出願の一実現例によれば、前記中空は内部物質が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上存在しない空間を含むことができる。または、内部の50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上が空いている空間を含むこともできる。または、内部の孔隙率が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上の空間を含むことができる。
【0085】
本出願において、シェルまたはシェル部は前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を構成する金属層を意味することができる。具体的には、シェルまたはシェル部は前記ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を意味することができる。ボウル状粒子は前記シェル部がボウル状であるものを意味することができる。
【0086】
本出願の製造方法において、シェルまたはシェル部はミセルの外部に形成される殻を意味することができる。前記殻は前記第1金属塩および前記第2金属塩のうち少なくとも1つによって形成されることができる。
【0087】
また、シェルまたはシェル部が複数の層を含む場合、第1シェル、第2シェルなどで示すことができる。前記第1シェルは前記金属ナノ粒子の第1層であってもよく、前記第2シェルは前記金属ナノ粒子の第2層であってもよい。
【0088】
本出願の一実現例による金属ナノ粒子の製造方法は還元電位差を利用しないため、シェルを形成する第1金属イオンと第2金属イオン間の還元電位を考慮しないという長所がある。本出願の前記製造方法は金属イオン間の電荷(charge)を利用するため、従来の還元電位差を利用した金属ナノ粒子の製造方法に比べて単純である。よって、本出願の前記金属ナノ粒子の製造方法は、大量生産が容易であり、安価で金属ナノ粒子を製造することができる。さらには、還元電位差を利用しないため、従来の金属ナノ粒子の製造方法に比べて用いる金属塩の制約が減って様々な金属塩を用いることができるという長所がある。
【0089】
本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、第1および第2界面活性剤が溶液上でミセル(micelle)を形成するステップを含むことができる。
【0090】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法は、前記第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオン、および前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。
【0091】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と逆の電荷を有し、前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と同じ電荷を有することができる。
【0092】
したがって、溶液でミセルを形成する前記第1界面活性剤の外側端部に前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンが位置して前記ミセルの外面を囲む形態となることができる。さらに、前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが、前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンの外面を囲む形態となることができる。前記第1金属塩および前記第2金属塩は還元剤によって各々第1金属および第2金属を含むシェル部を形成することができる。
【0093】
本出願において、前記界面活性剤の外側端部はミセルを形成する前記第1または第2界面活性剤のミセル外側部を意味することができる。本出願の前記界面活性剤の外側端部は界面活性剤の頭部を意味することができる。また、本出願の前記外側端部は前記界面活性剤の電荷を決定することができる。
【0094】
また、本出願の界面活性剤は外側端部の種類に応じてイオン性または非イオン性に分類され、前記イオン性は陽性、陰性、両性イオン性(zwitterionic)または両性(amphoteric)であってもよい。前記両性イオン性界面活性剤は陽性および陰性の電荷をいずれも含有する。本出願の界面活性剤の陽性および陰性電荷がpHに依存的であれば、両性界面活性剤であってもよく、これは一定pHの範囲で両性イオン性であってもよい。具体的には、本出願でのアニオン性界面活性剤は界面活性剤の外側端部が陰電荷を帯びることを意味し、カチオン性界面活性剤は界面活性剤の外側端部が陽電荷を帯びることを意味することができる。
【0095】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法によって製造される金属ナノ粒子は、前記シェル部の1または2以上の領域に空洞(cavity)が形成されることができる。
【0096】
本出願の前記空洞(cavity)は前記金属ナノ粒子の外側表面の一領域から連続する空いた空間を意味することができる。本出願の前記空洞は前記シェル部の外側表面の一領域から1つのトンネルの形態で形成されることができる。前記トンネル形態は一直線であってもよく、曲線または直線の連続した形態であってもよく、曲線と直線が混合された連続した形態であってもよい。
【0097】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が中空を含む場合、前記空洞は前記シェル部の外面から中空に達する空いた空間であってもよい。
【0098】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が1以上のボウル状粒子を含む場合、前記空洞はシェル部を形成しない空いた空間を意味することもできる。
【0099】
本出願の前記空洞は前記金属ナノ粒子の内部表面積を活用できるようにする役割をすることができる。具体的には、前記空洞は前記金属ナノ粒子が触媒などの用途として用いられる場合、反応物質と接する表面積を増加させる役割をすることができる。よって、前記空洞により、前記金属ナノ粒子の高い活性を示すことができる。
【0100】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法によって製造された前記金属ナノ粒子はボウル状粒子、または2以上のボウル状粒子が一部接している形態であってもよい。
【0101】
本出願の前記ボウル状粒子または2以上のボウル状粒子が一部接している形態の金属ナノ粒子は、前記空洞の大きさが前記全体シェル部の30%以上を占めるものを意味することができる。
【0102】
また、前記2以上のボウル状粒子が一部接している形態の金属ナノ粒子は、前記空洞が連続して形成され、前記金属ナノ粒子の一部が割れた形態であるものを意味することができる。
【0103】
また、前記ボウル状粒子は、前記空洞が連続して形成され、ナノ粒子表面の30%以上がシェル部を形成しないものを意味することができる。具体的には、本出願の前記ボウル状粒子は、中空ナノ粒子の全体シェル部の30%以上80%以下、具体的には30%以上70%以下、より具体的には40%以上70%以下の領域が連続して形成されないものを意味することができる。
【0104】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法は、前記第2界面活性剤の濃度、チェーン長さ、外側端部の大きさまたは電荷の種類を調節して、前記シェル部の1または2以上の領域に空洞(cavity)を形成することができる。
【0105】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤は溶液でミセルを形成して前記金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンがシェル部を形成する役割をすることができ、前記第2界面活性剤は前記金属ナノ粒子の空洞を形成する役割をすることができる。
【0106】
本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第1および第2界面活性剤の濃度を異にして前記空洞の大きさまたは個数を調節するステップを含むことができる。具体的に、本出願の一実現例によれば、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤のモル濃度の0.01〜0.05倍であってもよい。すなわち、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤のモル濃度の1/100〜1/20倍であってもよい。具体的には、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤のモル濃度の1/30〜1/10であってもよい。
【0107】
本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップにおいて、前記第1界面活性剤と前記第2界面活性剤は前記濃度比に応じてミセルを形成することができる。前記第1および第2界面活性剤のモル濃度比を調節して前記金属ナノ粒子の空洞の大きさまたは空洞の個数を調節することができる。さらに、前記空洞が連続して形成されるようにしてボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を製造することもできる。
【0108】
また、本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤の外側端部の大きさを調節して前記空洞の大きさを調節するステップを含むことができる。
【0109】
また、本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるように調節して前記第2界面活性剤領域に空洞を形成するステップを含むことができる。
【0110】
本出願の一実現例によれば、前記第2界面活性剤のチェーン長さは前記第1界面活性剤のチェーン長さの0.5〜2倍であってもよい。具体的には、前記チェーン長さは炭素の個数に応じて決定されることができる。
【0111】
本出願の一実現例によれば、前記第2界面活性剤のチェーン長さを第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるようにすることにより、前記第2界面活性剤の外側端部に結合される金属塩が前記金属ナノ粒子のシェル部を形成しないようにすることができる。
【0112】
また、本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤の電荷を前記第1界面活性剤の電荷と互いに異なるように調節して空洞を形成するステップを含むことができる。
【0113】
本出願の一実現例によれば、溶媒中でミセルを形成する前記第1および第2界面活性剤の外側端部に前記第1および第2界面活性剤と逆の電荷の第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオンが位置することができる。また、前記第1金属イオンの外面には前記第1金属イオンの電荷と逆の前記第2金属イオンが位置することができる。
【0114】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤の外側端部に形成された前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができ、前記第2界面活性剤の外側端部に位置する第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは前記シェルを形成することができず空洞を形成することができる。
【0115】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がアニオン性界面活性剤である場合、前記溶液を形成するステップで前記第1界面活性剤はミセルを形成し、前記ミセルは第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオンのカチオンで囲まれることができる。さらに、アニオンの第2金属イオンを含む原子団イオンが前記カチオンを囲むことができる。さらに、還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップにおいて、前記ミセルを囲んだカチオンが第1シェルを形成し、前記カチオンを囲むアニオンが第2シェルを形成することができる。
【0116】
また、本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がカチオン性界面活性剤である場合、前記溶液を形成するステップで前記第1界面活性剤はミセルを形成し、前記ミセルは第1金属イオンを含む原子団イオンのアニオンで囲まれることができる。さらに、カチオンの第2金属イオンまたは第2金属イオンを含む原子団イオンが前記アニオンを囲むことができる。さらに、還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップにおいて、前記ミセルを囲んだアニオンが第1シェルを形成し、前記アニオンを囲むカチオンが第2シェルを形成することができる。
【0117】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセルを形成する第1および第2界面活性剤領域を中空に形成するステップを含むことができる。
【0118】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤はいずれもカチオン性界面活性剤であってもよい。
【0119】
または、本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤はいずれもアニオン性界面活性剤であってもよい。
【0120】
本出願の一実現例によれば、前記第1および第2界面活性剤が同じ電荷を有する場合、第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるようにしてミセルを形成することができる。
【0121】
具体的には、第2界面活性剤のチェーン長さの差によって、第2界面活性剤の外側端部に位置する第1および第2金属イオンは前記第1界面活性剤の外側端部に位置する第1および第2金属イオンと隣接しなくなってシェル部を形成しなくなる。
【0122】
図3および4には本出願の製造方法によって形成される前記金属ナノ粒子の断面の一例を示す。
【0123】
具体的に、図3は1個のボウル状粒子からなる金属ナノ粒子に関するものである。すなわち、第2界面活性剤が連続して分布する領域にシェル部が形成されずボウル状の金属ナノ粒子が形成されるようにする。
【0124】
また、図4は2つのボウル状粒子が接している金属ナノ粒子に関するものである。すなわち、第2界面活性剤が連続して分布する領域にはシェル部が形成されず、ボウル状粒子が接する部分は第2界面活性剤が非常に少ない量で分布して、シェル部が完全に形成されないようにしてボウル状粒子が接する形態を形成することができる。また、2以上のボウル状粒子が接して図4の形態に形成されることができる。
【0125】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であり、前記第2界面活性剤は非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0126】
本出願の一実現例によれば、前記第2界面活性剤が非イオン性界面活性剤である場合、第2界面活性剤の外側端部には金属イオンが位置しないので前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。よって、前記第2界面活性剤が非イオン性である場合、チェーン長さが第1界面活性剤と同一または異なる場合にも前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。
【0127】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であり、前記第2界面活性剤は両性イオン性界面活性剤であってもよい。
【0128】
本出願の一実現例によれば、前記第2界面活性剤が両性イオン性界面活性剤である場合、第2界面活性剤の外側端部には金属イオンが位置しないので前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。よって、前記第2界面活性剤が両性イオン性である場合、チェーン長さが第1界面活性剤と同一または異なる場合にも前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。
【0129】
前記アニオン性界面活性剤は、ナトリウムヘキサンスルホネート、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、ナトリウム1−ヘプタンスルホネート、カリウムラウレート、トリエタノールアミンステアレート、アンモニウムラウリルスルフェート、リチウムドデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムドデシルスルフェート、アルキルポリオキシエチレンスルフェート、アルギン酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびその塩、グリセリルエステル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、胆汁酸およびその塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ステアリン酸およびその塩、カルシウムステアレート、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホサクシネート、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、リン脂質およびカルシウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0130】
前記カチオン性界面活性剤は、第4級(quaternary)アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、カチオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、(C12−C15)−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、(C12−C15)−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、四級化(quaternized)ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、MIRAPOL(ポリクオタニウム−2)、Alkaquat(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、Rhodiaによって製造)、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、カチオン性グアーガム、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミンおよびポロキサミンからなる群から選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0131】
本出願の前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪(fatty)アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、トリエタノールアミンステアレート、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、およびポリビニルピロリドンからなる群から選択されたものであってもよい。
【0132】
本出願の前記両性イオン性界面活性剤は、ベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドプロピルベタイン、ココアンホカルボキシグリシネート、サルコシネートアミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、両性イミダゾリン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−コールアミド−1−プロピルジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、ドデシルホスフォコリンおよびスルホ−ベタインからなる群から選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0133】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下であってもよい。具体的には、前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の2倍であってもよい。
【0134】
本出願において、前記臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、CMC)は、界面活性剤が溶液中で分子またはイオンの集団(ミセル)を形成する濃度の下限を意味する。
【0135】
界面活性剤の最も重要な特性は、界面活性剤が界面、例えば、空気−液体界面、空気−固体界面および液体−固体界面上で吸着する傾向を有することである。界面活性剤が凝集した形態で存在しないという意味で遊離(free)している場合、それらはモノマーまたはユニマー(unimer)と呼ばれ、ユニマー濃度を増加させれば、それらは凝集して小さい凝集体の実体(entity)、すなわち、ミセル(micelle)を形成する。このような濃度を臨界ミセル濃度(Critical Micell Concentration)とすることができる。
【0136】
前記第1界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の1倍未満であれば、第1金属塩に吸着される第1界面活性剤の濃度が相対的に少なくなる。それにより、形成されるコア粒子の量も全体的に少なくなる。一方、第1界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の5倍を超過すれば、第1界面活性剤の濃度が相対的に多くなって中空コアを形成する金属ナノ粒子と中空コアを形成しない金属粒子が混ざって凝集する。よって、前記第1界面活性剤の濃度が溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下である場合に、前記金属ナノ粒子の形成が円滑に行われる。
【0137】
本出願の一実現例によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤および/またはミセルを囲む第1および第2金属塩を調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。
【0138】
本出願の一実現例によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤のチェーン長さによって金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、第1界面活性剤のチェーン長さが短ければ、ミセルの大きさが小さくなり、それによって金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0139】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤のチェーンの炭素数は15個以下であってもよい。具体的には、前記チェーンの炭素数は8個以上15個以下であってもよい。または、前記チェーンの炭素数は10個以上12個以下であってもよい。
【0140】
本出願の一実現例によれば、ミセルを形成する第1界面活性剤の対イオン(counter ion)の種類を調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、第1界面活性剤の対イオンの大きさが大きいほど、第1界面活性剤の外側端部の頭部との結合力が弱くなってミセルの大きさが大きくなり、それによって前記金属ナノ粒子の大きさが大きくなる。
【0141】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がアニオン性界面活性剤である場合、前記第1界面活性剤は対イオン(counter ion)としてNH4+、K+、Na+またはLi+を含むものであってもよい。
【0142】
具体的には、前記第1界面活性剤の対イオンがNH4+である場合、前記第1界面活性剤の対イオンがK+である場合、前記第1界面活性剤の対イオンがNa+である場合、前記第1界面活性剤の対イオンがLi+である場合の順に金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0143】
本出願の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がカチオン性界面活性剤である場合、前記第1界面活性剤は対イオンとしてI-、Br-またはCl-を含むものであってもよい。
【0144】
具体的には、前記第1界面活性剤の対イオンがI-である場合、前記第1界面活性剤の対イオンがBr-である場合、前記第1界面活性剤の対イオンがCl-である場合の順に金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0145】
本出願の一実現例によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤の外側端部の頭部の大きさを調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。さらに、ミセルの外面に形成された第1界面活性剤の頭分の大きさを大きくする場合、第1界面活性剤の頭部間の反発力が大きくなって、ミセルが大きくなり、それによって前記金属ナノ粒子の大きさが大きくなる。
【0146】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の大きさは前記で記述された要素が複合的に作用して決定されることができる。
【0147】
本出願の一実現例によれば、前記金属塩は溶液上でイオン化して金属イオンを提供できるものであれば特に限定されない。前記金属塩は、溶液状態でイオン化して金属イオンを含むカチオンまたは金属イオンを含む原子団イオンのアニオンを提供することができる。前記第1金属塩と前記第2金属塩は互いに異なってもよい。具体的には、前記第1金属塩は金属イオンを含むカチオンを提供し、前記第2金属塩は金属イオンを含む原子団イオンのアニオンを提供することができる。具体的には、前記第1金属塩はNi2+のカチオンを提供することができ、前記第2金属塩はPtCl42-のアニオンを提供することができる。
【0148】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属塩および第2金属塩は溶液上でイオン化して金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンを提供できるものであれば特に限定されない。
【0149】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属塩および第2金属塩は、各々独立して、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されたものの塩であってもよい。
【0150】
具体的には、前記第1金属塩および前記第2金属塩は互いに異なり、各々独立して、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、Cr(クロム)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択された金属の塩であってもよい。
【0151】
より具体的には、本出願の一実現例によれば、前記第1金属塩はルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択された金属の塩であってもよく、さらに具体的にはニッケル(Ni)の塩であってもよい。
【0152】
より具体的には、本出願の一実現例によれば、前記第2金属塩は白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択された金属の塩であってもよい。より具体的には白金(Pt)、パラジウム(Pd)および金(Au)からなる金属の塩であってもよく、さらに具体的には白金(Pt)の塩であってもよい。
【0153】
本出願の一実現例によれば、前記第1金属塩および第2金属塩は、各々独立して、金属の硝酸化物(Nitrate)、塩化物(Chloride)、臭化物(Bomide)、ヨウ化物(Iodide)のようなハロゲン化物(Halide)、水酸化物(Hydroxide)または硫酸化物(Sulfate)であってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0154】
本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップでの前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は1:5〜10:1であってもよい。具体的には、前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は2:1〜5:1であってもよい。
【0155】
前記第1金属塩のモル数が前記第2金属塩のモル数より少なければ、第1金属イオンが中空を含む第1シェルを形成し難い。また、第1金属塩のモル数が第2金属塩のモル数より10倍を超過すれば、第2金属イオンが第1シェルを囲む第2シェルを形成し難し。よって、前記範囲内で第1および第2金属イオンが円滑に前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。
【0156】
本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、安定化剤をさらに添加するステップをさらに含むことができる。
【0157】
安定化剤としては、例えば、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムからなる群から選択された1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0158】
本出願の一実現例によれば、前記溶液に担体を添加して攪拌するステップは5分〜120分間、より具体的には10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間行うことができる。
【0159】
本出願の一実現例による製造方法において、前記担体は前述した通りである。
【0160】
本出願の一実現例によれば、前記担体を添加するステップは、前記担体を溶媒に分散させるステップを含むことができる。具体的には、溶媒に担体を分散させた後、前記溶液に添加すれば、担体および粒子の絡み合いを抑制することができる。
【0161】
本出願の製造方法において、担体−金属ナノ粒子複合体は、形成された金属ナノ粒子が担体に担持されることができる。この場合、形成された金属ナノ粒子のうち、必要に応じた金属ナノ粒子だけを選択的に担体に担持できるという長所がある。また、金属ナノ粒子が担持される担体の部分を必要に応じて選択できるという長所がある。
【0162】
本出願の製造方法において、担体−金属ナノ粒子複合体は、担体上で金属ナノ粒子が形成されることができる。この場合、金属ナノ粒子が形成される前に第1金属塩と第2金属塩が担体に分散されるため、金属塩が満遍なく分散されるという長所がある。それにより、金属ナノ粒子が形成された時、粒子同士の凝集がより少なく生じる。また、担体と金属ナノ粒子間の接着力または結合力が高くなるという長所がある。
【0163】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記還元剤と共に非イオン性界面活性剤をさらに添加することを含むことができる。
【0164】
前記非イオン性界面活性剤はシェルの表面に吸着され、溶液内で形成された金属ナノ粒子が均一に分散できるようにする役割をする。よって、金属粒子がか固まったり凝集して沈殿することを防止し、金属ナノ粒子が均一な大きさに形成されるようにする。前記非イオン性界面活性剤の具体的な例示は前述した非イオン性界面活性剤の例示と同様である。
【0165】
本出願の一実現例によれば、前記溶媒は水を含む溶媒であってもよい。具体的には、本出願の一実現例によれば、前記溶媒は第1金属塩および第2金属塩を溶解させるものであり、水または水と炭素数1〜6のアルコールの混合物であってもよく、より具体的には水であってもよい。
【0166】
本出願による前記製造方法において、溶媒として水を用いる場合、製造工程中で有機溶媒を処理する後処理工程が必要でなく、よって、費用の節減効果および環境汚染の防止効果がある。
【0167】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法は常温で行われることができる。具体的には、4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には15℃以上28℃以下で行うことができる。
【0168】
本出願の一実現例において、前記溶液を形成するステップは常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には15℃以上28℃以下で行うことができる。溶媒として有機溶媒を用いれば、100℃を超過する高温で製造しなければならないという問題がある。本出願は、常温で製造することができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用の節減効果が大きい。
【0169】
本出願の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは5分〜120分間、より具体的には10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間行うことができる。
【0170】
本出願の一実現例によれば、前記溶液に還元剤および/または非イオン性界面活性剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップは常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度で行うことができる。本出願による製造方法は、常温で製造することができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用の節減効果が大きい。
【0171】
前記金属ナノ粒子を形成するステップは、溶液と還元剤および/または非イオン性界面活性剤を一定時間反応させて、具体的には5分〜120分間、より具体的には10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間反応させて行うことができる。
【0172】
本出願の一実現例によれば、前記還元剤の標準還元電位は−0.23V以下であってもよい。
【0173】
前記還元剤は、標準還元−0.23V以下、具体的には−4V以上−0.23V以下の強い還元剤であり、且つ、溶解された金属イオンを還元させて金属粒子として析出できる還元力を有するものであれば特に限定されない。具体的には、前記還元剤はNaBH4、NH2NH2、LiAlH4およびLiBEt3Hからなる群から選択された少なくともいずれか1つであってもよい。
【0174】
弱い還元剤を用いる場合、反応速度が遅く、溶液の後続的な加熱が必要であるなど、連続工程化し難いので大量生産に問題があり、特に、弱い還元剤の一種であるエチレングリコールを用いる場合、高い粘度による流れ速度の低下により連続工程での生産性が低いという問題点がある。よって、本出願の前記還元剤を用いる場合には前記問題点を克服することができる。
【0175】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法は、金属ナノ粒子を形成するステップ後に中空内部の界面活性剤を除去するステップをさらに含むことができる。除去方法は特に制限されず、例えば、水で洗浄する方法を利用することができる。前記界面活性剤はアニオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤であってもよい。
【0176】
本出願の一実現例によれば、前記製造方法は、前記金属ナノ粒子を形成するステップ後、または中空内部の界面活性剤を除去するステップ後に前記金属ナノ粒子に酸を加えてカチオン性金属を除去するステップをさらに含むことができる。このステップにおいて、金属ナノ粒子に酸を加えれば、3dバンド(band)金属が溶出される。前記カチオン性金属は、具体的にはルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、Cr(クロム)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されたものであってもよい。
【0177】
本出願の一実現例によれば、前記酸は特に限定されず、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸および臭化水素酸からなる群から選択されたものを用いることができる。
【0178】
本出願の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が形成された後、溶液に含まれた金属ナノ粒子を析出するために、金属ナノ粒子を含む溶液を遠心分離することができる。遠心分離後、分離された金属ナノ粒子のみを回収することができる。必要に応じて、金属ナノ粒子の焼成工程をさらに行うことができる。
【0179】
本出願の前記ナノ粒子は一般的にナノ粒子が用いられる分野で従来のナノ粒子の代わりに用いられることができる。本出願の前記金属ナノ粒子は、従来のナノ粒子に比べて、大きさが非常に小さく、比表面積がより広いため、従来のナノ粒子に比べて優れた活性を示すことができる。具体的には、本出願の前記金属ナノ粒子は触媒、ドラッグ・デリバリー(drug delivery)、ガスセンサなど様々な分野に用いられることができる。前記ナノ粒子は、触媒として化粧品、殺虫剤、動物栄養剤または食品補充剤において活性物質製剤として用いられることもでき、電子製品、光学用品または重合体において顔料として用いられることもできる。
【実施例】
【0180】
以下、本出願を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本出願による実施例は色々な他の形態に変形されることができ、本出願の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものではない。本出願の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本出願をより完全に説明するために提供されるものである。
【0181】
下記実施例での第1金属塩は前記第1金属の前駆体である第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを含む塩であり、第1金属を提供する役割をする。また、第2金属塩は前記第2金属の前駆体である第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを含む塩であり、第2金属を提供する役割をする。
【0182】
[実施例]
第1金属塩としてNi(NO32、第2金属塩としてK2PtCl4、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてナトリウムヘキサンスルホネート(sodium hexanesulfonate)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、K2PtCl4とNi(NO32のモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、ナトリウムヘキサンスルホネートのモル比は1:1であった。
【0183】
次に、還元剤としてNaBH4を添加して30分間反応させた。その後、蒸留水に分散させたカーボン(カーボンブラック(Vulcan XC 72))を前記溶液に添加して30分間攪拌した。
【0184】
次に、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本出願の担体−金属ナノ粒子複合体を製造した。
【0185】
前記実施例により製造された担体−金属ナノ粒子複合体の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図5および図6に示す。
【0186】
図5および6に示すように、本出願による担体−金属ナノ粒子複合体の金属ナノ粒子は担体上でボウル状に形成されていることを確認することができる。具体的には、ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を図6で矢印で表示した。その反面、図7は従来の担体−金属ナノ粒子複合体の透過電子顕微鏡(TEM)のイメージであり、金属ナノ粒子がソリッド(solid)の球形状であることを確認することができる。
【0187】
したがって、本出願の一実施状態による燃料電池は、担体−金属ナノ複合体をカソードおよびアノードのうち少なくとも1つの電極に触媒として含み、前記ナノ粒子の広い表面積および高い担体分散率によって触媒活性を高めることができ、さらには燃料電池の性能を高めることができる。
【0188】
以上、添付図面を参照して本出願の実施例を説明したが、本出願は前記実施例に限定されるものではなく互いに異なる様々な形態で製造されることができ、本出願が属する技術分野で通常の知識を有した者であれば、本出願の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できるということを理解するであろう。よって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的であって、限定的ではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0189】
1 ・・・担体
2、3、4 ・・・金属ナノ粒子
10 ・・・電解質膜
20、21 ・・・触媒層
30、31 ・・・微細気孔層
40、41 ・・・電極基材
50、51 ・・・気体拡散層
60 ・・・スタック
70 ・・・酸化剤供給部
80 ・・・燃料供給部
81 ・・・燃料タンク
82 ・・・ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11