【実施例】
【0054】
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は幾多の他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0055】
以下、実施例及び実験例を挙げてさらに説明するが、本発明がこれらの実施例及び実験例によって制限されるものではない。
【0056】
<化学式(1)を含む非水電解液の製造>
実施例1
エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:4:3(体積比)の組成を有する電解液溶媒にLiPF
6を1M濃度となるように溶解した。また、非水電解液添加剤として、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1)及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)を3:1の重量比で製造した後、前記混合物に前記添加剤を非水電解液の総量を基準に2重量%の量で添加して非水電解液を製造した。
【0057】
実施例2
前記実施例1の非水電解液の製造において、非水電解液添加剤として、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート単独で添加したことを除いて、実施例1と同一の方法で非水電解液を製造した。
【0058】
比較例1
前記実施例1の非水電解液の製造において、非水電解液添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤の代わりに、プロパンスルトン(PS)及びビニレンカーボネート(VC)を1.5:1重量比で製造して添加したことを除いて、実施例1と同一の方法で非水電解液を製造した。
【0059】
比較例2
前記実施例1の非水電解液の製造において、非水電解液添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤の代わりに、プロパンスルトン(PS)、ビニレンカーボネート(VC)及びエチレンスルフェート(ESa)を0.5:3:1重量比で製造して添加したことを除いて、実施例1と同一の方法で非水電解液を製造した。
【0060】
比較例3
前記実施例1の非水電解液の製造において、非水電解液添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤の代わりに、プロパンスルトン(PS)及びビニレンカーボネート(VC)を1.5:3重量比で製造して添加し、LiPF
6を1.3M濃度で用いたことを除いて、実施例1と同一の方法で非水電解液を製造した。
【0061】
比較例4
前記実施例1の非水電解液の製造において、非水電解液添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤の代わりに、プロパンスルトン(PS)、ビニレンカーボネート(VC)及びLiBF
4を1.5:1:2の重量比で製造して添加したことを除いて、実施例1と同一の方法で非水電解液を製造した。
【0062】
比較例5
前記実施例1の非水電解液の製造において、非水電解液添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤の代わりに、トリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)単独を添加したことを除いて、実施例1と同一の方法で非水電解液を製造した。
【0063】
[リチウム二次電池の製造]
実施例3
正極活物質としてLi(Li
0.2Mn
0.55Ni
0.15Co
0.1)O
2 94重量%、導電剤としてカーボンブラック(carbon black)3重量%、バインダーとしてPVdF 3重量%を溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極混合物スラリーを製造した。前記正極混合物スラリーを厚さが20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布し、乾燥して正極を製造した。
【0064】
また、負極活物質として炭素粉末、バインダーとしてPVdF、導電剤としてカーボンブラック(carbon black)をそれぞれ96重量%、3重量%及び1重量%にして溶媒であるNMPに添加して負極混合物スラリーを製造した。前記負極混合物スラリーを厚さが10μmの負極集電体である銅(Cu)薄膜に塗布し、乾燥して負極を製造した後、ロールプレス(roll press)を行って負極を製造した。
【0065】
このように製造された正極と負極をPE分離膜と共に通常の方法でポリマー型電池を製作した後、前記実施例1で製造された非水電解液を注液してリチウム二次電池の製造を完成した。
【0066】
実施例4
非水電解液として、実施例2で製造された非水電解液を用いたことを除いて、実施例3と同一の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0067】
比較例6
非水電解液として、比較例1で製造された非水電解液を用いたことを除いて、実施例3と同一の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0068】
比較例7から比較例10
非水電解液として、比較例2から5で製造された非水電解液をそれぞれ用いたことを除いて、実施例3と同一の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0069】
実験例1
<45℃での寿命特性-正極のロールプレス(roll press)の実施有無に伴うリチウム二次電池の寿命特性の比較>
実施例3と4、及び比較例6から8で製造されたリチウム二次電池(電池容量3.26mAh基準)を45℃で1Cの定電流で4.35Vとなるまで充電し、以後4.35Vの定電圧で充電して充電電流が0.163mAhとなれば充電を終了した。以後、10分間放置した後、2Cの定電流で2.94Vとなるまで放電した。これを1から100回のサイクル及び200回のサイクルで繰り返して行った。その結果をそれぞれ
図1及び
図2に示した。
【0070】
具体的に検討してみれば、
図1は、正極の製造時にロールプレス(roll press)を行っていない正極を用いたリチウム二次電池の寿命特性の結果を示す図であり、
図2は、ロールプレス(roll press)を行った正極を用いたリチウム二次電池の寿命特性の結果を示す図である。
【0071】
図1と
図2を検討してみれば、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))を非水電解液の添加剤として含む本発明の実施例3及び4のリチウム二次電池は、正極の製造時のロールプレスの実施有無に係らず100回のサイクルまで傾きが緩慢であった。
【0072】
これに反し、比較例6から8では、正極にロールプレスを行っていない場合、1回のサイクルの実施以後から傾きが急激に落ちて70回のサイクル以後は測定が不可能であり、正極にロールプレスを行った場合、約25回のサイクルまで緩慢な傾きを維持していたが、約50回のサイクルまではサイクル数が増加するほど傾きが著しく減少することを確認することができる。
【0073】
したがって、
図1と
図2の寿命特性の結果、本発明の実施例のように、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート単独、またはテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤を用いた場合、正極のロールプレスの実施有無に係らず、200回のサイクルまで優れた寿命性能を見せることを確認した。
【0074】
実験例2
<45℃での寿命特性−正極の乾燥及びロールプレス(roll press)の実施有無に伴うリチウム二次電池の寿命特性の比較>
実施例3、及び比較例9と10で製造されたリチウム二次電池(電池容量3.26mAh基準)を45℃で1Cの定電流で4.35Vとなるまで充電し、以後4.35Vの定電圧で充電して充電電流が0.163mAhとなれば充電を終了した。以後、10分間放置した後、2Cの定電流で2.94Vとなるまで放電した。これを1から30回のサイクルで繰り返して行った。
【0075】
このとき、実施例3、及び比較例9と10で製造されたリチウム二次電池に用いられた正極の乾燥及びロールプレスの実施有無は、下記表1の通りである:
【表1】
【0076】
前記表1に基づく寿命特性の結果を
図3から5に示した。
【0077】
図3は、正極の製造時に乾燥及びロールプレス(roll press)を全て行っていない正極を用いたリチウム二次電池の寿命特性の結果であり(A)、
図4は、乾燥は行い、ロールプレスを行っていない正極を用いたリチウム二次電池の寿命特性の結果であり(B)、
図5は、乾燥及びロールプレス(roll press)を全て行った正極を用いたリチウム二次電池の寿命特性の結果である(C)。
【0078】
具体的に検討してみれば、
図3に示す通り、乾燥及びロールプレス(roll press)を全て行っていない正極を用いたリチウム二次電池に対する寿命特性の結果、実施例3は、30回のサイクルまで寿命特性結果のグラフが緩慢であった。これに反し、比較例9及び10の二次電池は、10回目のサイクルから傾きが著しく減少することを確認することができる。特に、電解液添加剤としてTMSPaのみを用いた比較例10のリチウム二次電池の場合、5回目のサイクルから急激に落ちることが分かる。
【0079】
図4及び
図5も同様に、実施例3のリチウム二次電池の場合、乾燥及びロールプレスの実施有無と係らず、安定的な寿命特性を見せた。これに反し、比較例9及び10のリチウム二次電池の場合、乾燥及びロールプレスに影響を受け、寿命性能が実施例3に比べて低下した。
【0080】
図6から
図8は、
図3から
図5のグラフをリチウム二次電池別に分離して示したグラフである。
【0081】
図6は、実施例3のリチウム二次電池に対する乾燥及びロールプレスの実施有無に対するグラフである。実施例3のリチウム二次電池は、乾燥及びロールプレスの実施有無に係らず、30回のサイクルまで寿命特性に全て優れることを確認することができる。
【0082】
これに反し、
図7は、比較例9のリチウム二次電池に対する乾燥及びロールプレスの実施有無に対するグラフである。比較例9のリチウム二次電池は、乾燥及びロールプレスを全て行った場合、30回のサイクルまで寿命特性に優れていたが、乾燥またはロールプレスを行っていない場合、寿命特性が減少した。
【0083】
一方、
図8は、比較例10のリチウム二次電池に対する乾燥及びロールプレスの実施有無に対するグラフである。比較例10のリチウム二次電池は、乾燥及びロールプレスを全て行った場合、30回のサイクルまで寿命特性に優れていたが、乾燥またはロールプレスを行っていない場合、寿命特性が減少した。特に、比較例10のリチウム二次電池は、比較例9に比べても乾燥及びロールプレスの実施有無に影響をさらに受けることが分かる。
【0084】
<化学式(1)を含む正極の製造>
実施例5
テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)を3:1の重量比で混合して添加剤混合物を製造した後、正極混合物スラリーの全体重量に対して前記添加剤混合物を2重量%、正極活物質としてLi(Li
0.2Mn
0.55Ni
0.15Co
0.1)O
2 92.12重量%、導電剤としてカーボンブラック(carbon black)2.94重量%、バインダーとしてPVdF 2.94重量%を溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極混合物スラリーを製造した。前記正極混合物スラリーを厚さが20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布し、乾燥して正極を製造した。
【0085】
<リチウム二次電池の製造>
また、負極活物質として炭素粉末、バインダーとしてPVdF、導電剤としてカーボンブラック(carbon black)をそれぞれ96重量%、3重量%及び1重量%にして溶媒であるNMPに添加して負極混合物スラリーを製造した。前記負極混合物スラリーを厚さが10μmの負極集電体である銅(Cu)薄膜に塗布し、乾燥して負極を製造した後、ロールプレス(roll press)を行って負極を製造した。
【0086】
非水電解液は、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:4:3(体積比)の組成を有する電解液溶媒にLiPF
6を1M濃度となるように溶解した。前記溶液に非水電解液添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)及びプロパンスルトン(PS)を1:1.5重量比で添加して非水電解液を製造した。
【0087】
このように製造された正極と負極をPE分離膜と共に通常の方法でポリマー型電池を製作した後、製造された前記非水電解液を注液してリチウム二次電池の製造を完成した。
【0088】
実施例6
前記実施例5の正極を製造するとき、添加剤混合物を用いる代わりにテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート単独を用いたことを除いて、実施例5と同一の方法で正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0089】
比較例11
前記実施例5の正極を製造するとき、添加剤混合物を用いないことを除いて、実施例5と同一の方法で正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0090】
比較例12
前記実施例5の正極を製造するとき、添加剤混合物を用いる代わりにTMSPa単独を用いたことを除いて、実施例5と同一の方法で正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0091】
実験例3
<45℃での寿命特性-正極の乾燥及びロールプレス(roll press)の実施>
実施例5と6、及び比較例11と12で製造されたリチウム二次電池(電池容量3.26mAh基準)を45℃で1Cの定電流で4.35Vとなるまで充電し、以後4.35Vの定電圧で充電して充電電流が0.163mAhとなれば充電を終了した。以後10分間放置した後、2Cの定電流で2.94Vとなるまで放電した。これを1から100回のサイクルで繰り返して行った。
【0092】
このとき、実施例5と6、及び比較例11と12で製造されたリチウム二次電池に用いられた正極の乾燥及びロールプレスは全て行われた。前記寿命特性の結果は
図9に示した。
【0093】
図9を検討してみれば、添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))を正極に含む本発明の実施例5と6のリチウム二次電池は、100回のサイクルまで傾きが緩慢であった。
【0094】
また、正極の添加剤としてテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))及びTMSPaを混合した添加剤混合物を用いた実施例5の寿命特性が、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))を単独で用いた実施例6に比べて100回のサイクルまでさらに優れていたが、正極にテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェートを含んでいない比較例11及び12に比べて著しい差を見せた。
【0095】
具体的に、本発明の実施例5と6は、正極添加剤を用いていない比較例11に比べ、90回目のサイクルでは約25%程度の向上を見せ、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェートを含まず、TMSPaだけを添加した比較例12に比べ、100回目のサイクルでは約150%以上の放電容量の向上を見せた。
【0096】
したがって、
図9のリチウム二次電池の寿命特性の結果、本発明の実施例のように、テトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))単独、またはテトラ(トリメチルシリル)ピロフォスフェート(化合物(1))及びトリス(トリメチルシリル)フォスフェート(TMSPa)の混合添加剤を用いた場合、化学式(1)で表される化合物を含んでいない比較例等に比べ、高温及び高電圧で優れた寿命性能を見せることを確認した。