特許第6241465号(P6241465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241465
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】高純度ビニレンカーボネート
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/40 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   C07D317/40
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-176506(P2015-176506)
(22)【出願日】2015年9月8日
(62)【分割の表示】特願2011-205643(P2011-205643)の分割
【原出願日】2001年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-14041(P2016-14041A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2000-362419(P2000-362419)
(32)【優先日】2000年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】宮内 博夫
(72)【発明者】
【氏名】岡野 一哉
【審査官】 新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5901918(JP,B2)
【文献】 特許第5457647(JP,B2)
【文献】 特許第4255228(JP,B2)
【文献】 特開2014−40478(JP,A)
【文献】 特開2000−188126(JP,A)
【文献】 特開2000−138071(JP,A)
【文献】 特開2000−026449(JP,A)
【文献】 米国特許第03457279(US,A)
【文献】 米国特許第02873230(US,A)
【文献】 英国特許出願公告第00899205(GB,A)
【文献】 SCHNAUTZ, N. G. et al.,Radiation polymerization of vinylene carbonate,Report,1978年,PER-11,p.11-6,https://inis.iaea.org/search/search.aspx?orig_q=RN:10432614
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 317/40
H01M 10/052
H01M 10/0567
H01M 14/00
H01G 9/02
H01G 11/64
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
純度99.9%以上であり、塩素化合物の含有量が全塩素量として15ppm以下であって、非極性溶媒中に溶解した際に析出しないことを特徴とするリチウム二次電池用電解液用のビニレンカーボネートの工業的な精製方法であって、
粗ビニレンカーボネートを芳香族炭化水素溶媒と非極性溶媒の混合溶媒に溶解させ、次いで冷却し、ビニレンカーボネートを固体として析出させるビニレンカーボネートの精製方法。
【請求項2】
非極性溶媒が、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のビニレンカーボネートの精製方法。
【請求項3】
混合溶媒がトルエンとヘキサンの混合溶媒である請求項1に記載のビニレンカーボネートの精製方法。
【請求項4】
芳香族炭化水素溶媒と非極性溶媒の重量比が90:10〜50:50である請求項1〜3のいずれか1項に記載のビニレンカーボネートの精製方法。
【請求項5】
混合溶媒の使用量が粗ビニレンカーボネートに対して0.5〜20重量倍である請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニレンカーボネートの精製方法。
【請求項6】
冷却後の粗ビニレンカーボネートを過冷却状態にして晶析させる請求項1〜5のいずれか1項に記載のビニレンカーボネートの精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度ビニレンカーボネートに関する。
ビニレンカーボネートは、リチウム二次電池用電解液の溶媒及び添加剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
ビニレンカーボネートの合成法としては、これ迄に幾つかの方法が報告されている。例えばエチレンカーボネートの塩素化で得られるクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素による方法(M.S.Newman and R.W.Addor,J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))、特開平11−180974号公報)やエチレンカーボネートの脱水素による方法(米国特許第3,457,279号公報)等が知られている。
【0003】
電解液の溶媒として用いられるビニレンカーボネートについては、高品質のものが要求されるが、例えばクロロエチレンカーボネートを原料とするビニレンカーボネートについては、非常に多様な有機塩素化合物や無機塩素化合物を不純物として含有している。
このため、粗ビニレンカーボネートの精製方法についても、今迄に幾つかの方法が提案されている。
【0004】
例えば、減圧条件での蒸留(M.S.Newman and R.W.Addor,J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))、融液晶析法によりビニレンカーボネートを部分的に結晶化させる操作を数回繰り返す方法(英国特許第899205号公報)とゾーンメルティングによる方法(M.Zief,H.Ruch and C.H.Schramm,J.Chem.Education,40,351(1963))及びクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応をジブチルカーボネート等の高沸点溶媒中で行い、次いで蒸留する方法(特開2000−26449号公報)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−180974号公報
【特許文献2】米国特許第3,457,279号公報
【特許文献3】英国特許第899,205号公報
【特許文献4】特開2000−26449号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M.S.Newman and R.W.Addor,J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955)
【非特許文献3】M.Zief,H.Ruch and C.H.Schramm,J.Chem.Education,40,351(1963)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、蒸留による精製法の場合、沸点がビニレンカーボネートに近い有機塩素化合物が製品中に不純物として混入するために品質的に満足できるものではない。
また、クロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を高沸点溶媒中で行う方法については、高価な溶媒の回収が容易ではなく、工業的に満足できるものではない。
一方、融液晶析による方法については、高品質の製品を得ようとすれば、回収率を低くしなければならず、経済的に満足できるものではない。
【0008】
本発明は、高品質のビニレンカーボネートを従来の方法よりも経済的に製造することが
できる方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討した結果、粗ビニレンカーボネート中に不純物として含まれる塩素化合物については、極性溶媒及び/又は芳香族炭化水素溶媒に溶解すること、しかもその量が少ない場合には前記溶媒中に非極性溶媒が含まれていても塩素化合物は溶解したままであること、従って、かかる溶媒を用いて粗ビニレンカーボネートの晶析精製をすれば、不純物が製品の表面に付着したり、或いはそれ自身が固体として析出するという問題は起こらず、製品品質が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、純度99.5%以上であり、塩素化合物の含有量が全塩素量として500ppm以下であるビニレンカーボネート、にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粗ビニレンカーボネートを極性溶媒及び/又は芳香族炭化水素溶媒を含む溶媒に溶解させ、次いでビニレンカーボネートを固定として析出させることにより、高品質のビニレンカーボネートを経済的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の対象となる粗ビニレンカーボネートについては、その製造方法が限定されるものではないが、不純物として塩素化合物を含むものが好ましく、例えば前述したクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応(M.S.Newman and R.W.Addor,J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))により得られたものが好ましい。
【0012】
但し、原料となる粗ビニレンカーボネートの純度については、単蒸留等により好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上迄精製したものがよい。
粗ビニレンカーボネートを溶解させる溶媒としては、極性溶媒及び/又は芳香族炭化水素溶媒、即ち、極性溶媒及び芳香族炭化水素溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒が用いられる。かかる溶媒は単独でも二種以上の混合物でもよい。なお、本発明でいう「溶解」とは、粗ビニレンカーボネートと上記溶媒とがエマルジョン様に懸濁状態にあるものをも包含する。
【0013】
但し、かかる溶媒については、塩素含有不純物の溶解量が、溶媒100g当り0.1g以上、好ましくは1g以上であるものが好ましい。
なお、粗ビニレンカーボネート中に含まれる塩素化合物とは、ビニレンカーボネートがクロロエチレンカーボネートの脱塩酸により製造された場合には、例えばクロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、クロロアセトアルデヒド、クロロエタノール、ジメトキシメチルクロライド、反応溶媒の塩素化物のような有機塩素化合物である。
【0014】
この場合、かかる非極性溶媒の具体例としては、例えばプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる極性溶媒の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘキサノール、4−メチル−4−ヘキサノール、2−メチル−4−ヘキサノール、4−メチル−2−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、レゾルシノール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、1−フェニル−2−ブタノール、3−フェニル−1−ブタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、グリセロール等のアルコール類;エタノールアミン、プロパノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、t−ブチルアミン、1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−エチレンジアミン、ジ(n−ブチル)アミン、トリブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、N,N−ジメチルトルイジン等のアミン類;アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサナール、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;ブタノン、アセトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類;フラン、ピロール、ピリジン、チオフェン等のヘテロ芳香族化合物;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボキシアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、プロモベンゼン等のハロ芳香族化合物;臭化エチル、塩化エチル、フッ化エチル、臭化ブチル、塩化ブチル、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル化合物;ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、1−ニトロブタン、2−ニトロブタン、ニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン等のニトロ化合物が挙げられる。
【0016】
これらの中でも、エーテル類、ケトン類、エステル類、アルコール類が好ましい。
また、芳香族炭化水素溶媒の具体例としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン、トルエン、キシレンが好ましく、トルエンが特に好ましい。
かかる溶媒の使用量については、特に限定はされないが、粗ビニレンカーボネートに対して、通常、0.5〜20重量倍、好ましくは0.7〜5重量倍、より好ましくは0.8〜3重量倍である。
【0017】
晶析はビニレンカーボネートの約5〜70重量%の溶液を放置して結晶を析出させてもよいが、その溶液を過冷却状態にすることにより結晶を析出させるのが好ましい。この場合、例えばその溶液を先ず0〜20℃(温度A)迄冷却し、温度Aで約1〜2時間撹拌した後、更に温度Aよりも5〜15℃低い温度B迄、例えば0.1〜10℃/時の速度で温度を下げ、この温度Bで約1〜2時間撹拌して晶析させるという手法が好ましい。
【0018】
なお、過冷却状態にして晶析を行う場合、その溶液に冷却された溶媒を添加するとか、ドライアイス等の低温を固体を投入する等して局所的な温度分布を作るとか、その溶液に脂肪族炭化水素のようなビニレンカーボネートの溶解度の小さい溶媒を添加するとか、液体又は固体のビニレンカーボネートを添加する等して局所的な濃度分布を作るとか、或いは種晶等を加えることも好ましい。
【0019】
結晶を更に析出又は成長させる方法としては、例えば冷却、脂肪族炭化水素のようなビニレンカーボネートの溶解度の小さい溶媒を添加する方法、冷却された溶媒を添加する方法、液体のビニレンカーボネートを添加する方法等やそれらの組合せによる方法が使用できる。
ビニレンカーボネートの回収率は使用する溶媒に対する溶解度に依存し、温度、溶媒量で任意に設定することが出来るが、通常ビニレンカーボネートの回収率が60%以上、好ましくは80%以上になるように設定される。
【0020】
析出した固体は、濾過、遠心分離等の方法で分離される。必要があれば、更に固体表面を適当な溶媒で洗浄する。この固体は、通常は融点以上に加熱し、ビニレンカーボネートを液体として取得する。このビニレンカーボネートはそのまま製品とすることもできるが、必要があればトッピング等で残留溶媒を除去することもできる。
このような方法により高純度のビニレンカーボネートを得ることができる。
【0021】
但し、本発明にいう高純度ビニレンカーボネートとは、純度99.5%以上、好ましくは99.7%以上、より好ましくは99.9%以上で、塩素化合物の含有量が全塩素量として500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは50ppm以下のものを指す。
なお、この方法でも充分な品質のビニレンカーボネートが得られるが、更に高品質なものが必要である場合には本発明の方法を繰り返して使用することが出来る。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、分析はガスクロマトグラフィーで実施した。純度は溶媒が残存している場合は溶媒をカットした数値を使用した。
純度=(ビニレンカーボネート面積)/(全面積−残留溶媒ピーク面積)
実施例1〜10
撹拌機能を備えた500mlの四つ口フラスコに、ビニレンカーボネート(VC)と溶媒を仕込み、撹拌しながら、1時間当り2℃の速度で冷却した。ある温度(温度A)まで冷却すると固体が析出するので、その温度で1時間撹拌した後、所定の温度(温度B)まで1時間当り2℃の速度で冷却し、更に1時間撹拌した。固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。以下の表1に結果を示した。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例11、12
撹拌機能を備えた50mlの三つ口フラスコに、ビニレンカーボネート(純度99.24%、全塩素6270ppm)10g、溶媒10gを仕込み、撹拌しながら冷却したところ固体が析出した。5℃で1時間撹拌した後、撹拌を停止し、−5℃で12時間静置した。固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。結果を以下の表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例13
撹拌機能を備えた250L反応器に、ビニレンカーボネート(純度98.69%、全塩素3160ppm)40.0kgとトルエン40.0kg、ヘキサン40.0kgを仕込み撹拌しながら冷却した。14.7℃で種晶40gを添加し30分撹拌した後、14.3〜5℃で6時間撹拌し、更に4時間かけて4.0℃まで冷却した。固体を濾別し、5℃のヘキサン40kgで2回洗浄し、VCを固体で得た。回収率93.2%、純度99.94%、全塩素11ppm。
【0027】
実施例14
掻き取り翼付きの250L反応器に、ビニレンカーボネート(純度98.69%、全塩素3160ppm)50.0kgとトルエン50.0kg、ヘキサン50.0kgを仕込み撹拌しながら冷却した。14.7℃で種晶50gを添加し30分撹拌した後、2.5時間かけて4.0℃まで冷却した。固体を濾別し、5℃のヘキサン50kgで2回洗浄し、VCを固体で得た。回収率93.3%、純度99.94%、全塩素15ppm。
【0028】
比較例1
ビニレンカーボネート100g(純度99.24%、全塩素6270ppm)を4段の蒸留塔を使用し、還流比5〜10で2回精密蒸留した。収率69%、純度99.80%、全塩素量530ppm。