【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発/次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
銀(Ag)及び銅(Cu)の少なくともいずれかを含む導電インクを有する導電パターニング膜を基板上に積層させる反転オフセット印刷により前記下地金属層を形成する、請求項1〜6いずれか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子デバイスの製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本第1実施形態においては、本発明を液晶ディスプレイ及び電気泳動ディスプレイの駆動回路基板1(電子デバイス)の製造方法に適用した例について説明する。なお、本実施形態の電子デバイスの製造方法は、本実施形態の駆動回路基板1の製造方法にのみ適用されるものではなく、他の電子デバイス(例えば、TFT構造を有するセンサや、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、インバーター、メモリ等の複数の素子同士を層間接続する回路を有する電子デバイス)の製造方法に適用することも可能である。これに加え、本実施形態の撥液性を有するバンク層の形成はELの発光素子のパターン化にも有益に適用できる。
【0013】
本実施形態において、駆動回路基板1は、画素ごとに設けられることによりアレイ状に配列された複数のボトムゲートボトムコンタクト型の有機TFT構造を有している。
図1は、駆動回路基板1の一部を模式的に示す断面図であり、複数備えられるTFT構造のうちの1つのTFT構造を示す図である。この図に示すように、駆動回路基板1は、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム2と、ゲート電極3と、ゲート絶縁膜4と、ソース電極5と、ドレイン電極6と、バンク層7(絶縁層)と、半導体層8と、保護膜9と、中間層10(第2絶縁層)と、コンタクトホール11と、画素電極12とを備えている。なお、駆動回路基板1の設置姿勢については特に限定されるものではないが、以下の説明においては、説明の便宜上、PENフィルム2側(すなわち
図1の下側)を下部、画素電極12側(すなわち
図1の上側)を上部とする。
【0014】
PENフィルム2は、ゲート電極3、ゲート絶縁膜4、ソース電極5、ドレイン電極6、バンク層7(絶縁層)、半導体層8、保護膜9(保護層)、中間層10及び画素電極12を直接的あるいは間接的に支持する支持基体である。PENフィルム2は、可撓性を有している。このため、PENフィルム2を上記支持基体として用いることにより、駆動回路基板1にフレキシブル性を付与し、次世代フレキシブルトランジスタに対応することが可能となる。
【0015】
なお、PENフィルム2に換えて、他の支持基体を用いることも可能である。例えば、セルロースナノファイバーを適用した表面平滑紙、ガラス織布エポキシ積層板、ガラス不織布エポキシ積層板、紙エポキシ積層板、紙フェノール積層板、ガラス織布ポリイミド積層板等のガラス繊維強化プラスチック、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のプラスチックフィルム、絶縁体で被覆された銅、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属板または箔、超薄膜ガラス、アルミナ、ジルコニア、シリカ等を用いることもできる。ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の柔軟性を有するプラスチック素材を用いた場合にも、PENフィルム2を用いた場合と同様に、次世代フレキシブルトランジスタに対応することが可能となる。なお、これら支持基体表面に表面円滑性の向上や支持基体状に形成される電極等の機能層との密着性の向上を目的として、樹脂等による下地層を形成するようにしても良い。
【0016】
ゲート電極3は、PENフィルム2上に形成されている。このゲート電極3は、銀(Ag)や銅(Cu)等の金属により形成されており、不図示のゲート線と接続されている。このゲート電極3には、不図示のゲート線を通じて、行選択用の信号電圧が印加される。例えば、このゲート電極3は、他の画素に対して設けられたTFT構造のゲート電極3と、不図示のゲート線と共に、反転オフセット印刷法により一括形成される。この反転オフセット印刷法では、まずシリコーンゴム等を有するロール状のブランケットの表面に均一なインクの薄膜を形成し、インクの溶剤を適度に蒸発させることによりインクを半乾燥で流動性がない状態とする。次いで、凸版(抜き版)をインクの薄膜に軽く押し当て、不要なインクパターンを取り除くことでブランケット状にパターニングされた機能性薄膜(パターニング膜)を形成し、ブランケットを転写対象に軽く押し当ててパターニング膜を完全転写する。さらに、必要に応じオーブン熱風加熱焼成、IR焼成、キセノンパルス光焼成等を施しパターニング膜を導電性機能膜へと改質する。なお、ロール状のブランケットと平板状の抜き版との組み合わせの他、ロール状のブランケットとロール状の抜き版との組み合わせ、平板状のブランケットとロール状の抜き板との組み合わせを用いることが可能である。
【0017】
例えば、本実施形態では、ナノ銀やナノ銅を含む導電性インクの薄膜をブランケットの表面に均一な膜厚で形成し、導電性インクを半乾燥させて流動性のない状態とする。次いで、ゲート電極3及びゲート線の形成領域以外の領域が凸とされた凸版を導電性インクの薄膜に軽く押し当て、ゲート電極3及びゲート線の形成領域以外の領域の導電性インクパターンを取り除くことで、ゲート電極3及びゲート線の形状にパターニングされた導電パターニング膜を形成する。さらに、ブランケットをPENフィルム2に軽く押し当てて導電パターニング膜をPENフィルム2に転写し、その後、オーブン加熱焼成、IR焼成、キセノンパルス光焼成及び水素プラズマ焼成等の改質処理により要求される導電性を持ったゲート電極3及びゲート線を一括形成する。
【0018】
このような反転オフセット印刷法を用いることにより、インクに流動性がない状態でパターニング及びブランケットに形成されたパターンを基体状に完全転写することができるため、フォトリソグラフィー工程によるエッチング製膜に匹敵する、微細でかつラインエッジがシャープな高品質な画線特性を有するパターニング膜を形成することができる。さらに、反転オフセット印刷法によれば、パターニング膜の表面にブランケットの表面平滑性が反映されるため、パターニング膜の表面平滑性の優れ、均一な膜厚のパターニング膜を形成することができる。このような均一な膜厚のパターニング膜が転写されるため、反転オフセット印刷法によれば、最終的に得られるパターニング層の膜厚を均一にすることができる。さらに、反転オフセット印刷法によれば、パターニングプロセス及び転写プロセスが軽い力での押し当てにより行われるため、ブランケットの変形等に起因する印刷位置ずれを実質的に無視できる程度に小さく抑えることができる。このため、反転オフセット印刷法によれば、極めて高いアライメント精度にてパターニング膜を転写対象に転写することができる。さらに、反転オフセット印刷法によれば、インクが半乾燥されて流動性がない状態のパターニング膜として転写対象に転写される。このため、反転オフセット印刷法によれば、転写対象の表面の液体に対する特性(すなわち撥液性及び親液性)に影響を受けずにパターニング層を形成することができる。
【0019】
したがって、ゲート電極3及びゲート線を反転オフセット印刷法により形成することによって、ゲート電極3及びゲート線を高い精度で微細化することができ、ゲート電極3及びゲート線の層厚を均一にすることができ、ゲート電極3及びゲート線を位置精度高く形成することができ、PENフィルム2の表面の液体に対する特性に影響を受けずにゲート電極3及びゲート線を形成することができる。
【0020】
また、上述の導電性インクとしては、反転オフセット印刷法に適した性能を有しているものを用いる。すなわち、導電性インクとして、ブランケット上に無欠陥の均一な薄膜を形成できる優れた濡れ性を有し、抜き版パターンを正確に反映する優れたインク転写性を有し、シャープなラインエッジを形成する優れたインク膜の切れ性を有し、パターニング膜を軽い力での押し当てにより転写対象に転写可能とするパターニング膜転写性を有しているものを選択する。このような導電性インクとしては、例えば、日本国特許第4375499号公報に開示されたものを好適に用いることができる。
【0021】
なお、ゲート電極3及びゲート線の形成方法としては、反転オフセット印刷法に限定されるものではない。例えば、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、水無しグラビアオフセット印刷、スクリーン印刷等の各種有版印刷、インクジェット法、親撥パターンを適用したディッピング法やスリットダイコート塗工法によってゲート電極3及びゲート線を形成することも可能である。また、製造工程の複雑化を招くことから好ましくはないものの、フォトリソグラフィー工程によりゲート電極3及びゲート線を形成することも可能である。
【0022】
ゲート絶縁膜4は、ゲート電極3を覆うようにPENフィルム2の表面(上部の面)に積層されている。なお、ゲート絶縁膜4は、不図示のゲート線もゲート絶縁膜4と同様に覆っている。このゲート絶縁膜4は、ゲート電極3とソース電極5及びドレイン電極6との間に配置されており、ゲート電極3とソース電極5及びドレイン電極6との短絡を防止する。例えば、このゲート絶縁膜4は、反転オフセット印刷法によって形成される。ゲート絶縁膜4は、PEMフィルム2の表面の全域に形成されるため、ブランケットの表面に形成されたインクの薄膜をパターニングすることなくPEMフィルム2上に転写することにより形成される。例えば、本実施形態では、絶縁膜形成用インクの薄膜をブランケットの表面に均一な膜厚で形成し、絶縁膜形成用インクを半乾燥させて流動性のない状態とすることでベタ膜を形成する。次いで、このベタ膜をパターニングすることなく、ブランケットをゲート電極3が形成されたPENフィルム2の表面に軽く押し当ててベタ膜をPENフィルム2に転写し、その後、焼成して乾燥させることによりゲート絶縁膜4を形成する。
【0023】
このような反転オフセット印刷法を用いることにより、上述のように、ベタ膜の表面にブランケットの表面平滑性が反映されるため、均一な膜厚のベタ膜を形成することができる。したがって、本実施形態にて、ゲート絶縁膜4を反転オフセット印刷法により形成することによって、ゲート絶縁膜4の層厚を均一にすることができる。なお、
図1では、模式図であることから、ゲート電極3の上部の領域においてゲート絶縁膜4が他の領域と比較して薄く描かれている。実際には、下地の凹凸に倣い、ゲート絶縁膜4は、ゲート電極3の上部の領域において上方に盛り上がる。このため、ゲート電極3の上部の領域であっても、ゲート絶縁膜4の膜厚が十分に確保され、ゲート電極3とソース電極5及びドレイン電極6との短絡をより確実に防止することが可能となる。また、反転オフセット印刷法を用いることにより、上述のように、インクが半乾燥されて流動性がない状態のベタ膜が転写される。したがって、本実施形態にて、ゲート絶縁膜4を反転オフセット印刷法により形成することによって、PENフィルム2の表面の液体に対する特性に影響を受けずにゲート絶縁膜4を形成することができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、ゲート絶縁膜4をPENフィルム2の全面に形成しているが、ゲート絶縁膜4をパターニングして形成するようにしても良い。上述のように、反転オフセット印刷法によれば、表面平滑性に優れ、膜厚の均一性に優れたパターニング膜を形成することができ、さらにブランケットの変形等に起因する印刷位置ずれを実質的に無視できる程度に小さく抑えることができる。したがって、反転オフセット印刷法を用いることによって、必要に応じて、ゲート絶縁膜4をパターニングすることができる。例えば、ゲート電極3やゲート線の形成領域のみに合わせて局所的にゲート絶縁膜4を形成することにより、ゲート電極3やゲート線の形成領域以外の領域における駆動回路基板1の厚みを抑えることが可能となる。
【0025】
また、上述の絶縁膜形成用インクとしては、反転オフセット印刷法に適した性能を有しているものを用いる。すなわち、絶縁膜形成用インクとして、少なくとも、ブランケット上に無欠陥の均一な薄膜を形成できる優れた濡れ性を有し、パターニング膜を軽い力での押し当てにより転写対象に転写可能とするパターニング膜転写性を有しているものを選択する。さらに、ゲート絶縁膜4のパターニングを行う場合には、絶縁膜形成用インクとして、上記性能に加えて、抜き版のパターンを正確に反映する優れたインクの切れ性、転写性を有しているものを選択する。このような絶縁膜形成用インクとしては、例えば、日本国特開2010−265423号公報、日本国特許第4626837号公報に開示されたものを好適に用いることができる。
【0026】
なお、ゲート絶縁膜4の形成方法としては、反転オフセット印刷法に限定されるものではない。例えば、ダイコート法、スピンコート法、インクジェット法、スパッタ法、真空蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いることも可能である。
【0027】
ソース電極5は、ゲート絶縁膜4上であって、一部の領域(
図1においては右部の領域)がゲート電極3の上方に位置するように配置されている。このソース電極5は、不図示のソース線と接続されている。このソース電極5には、不図示のソース線を通じて、画像信号が供給される。このようなソース電極5は、本実施形態において、ベース金属層5a(下地金属層)と、めっき層5bとを有している。ベース金属層5aは、ソース線と同様に銀(Ag)や銅(Cu)を有する金属層であり、ゲート電極3の上方からソース線に至るまでの領域に形成されている。めっき層5bは、ベース金属層5a上であって、上方から見て、バンク層7の後述する半導体用開口部7aに露出する領域(ゲート電極3に掛かる領域)に形成されている。
【0028】
めっき層5bは、半導体層8との接触領域に形成されており、ソース電極5の半導体層8との接触面の相性を向上させることによるトランジスタの性能向上を目的として形成される。半導体層と接触する電極上へめっき層を形成することにより、表面平滑性を向上させることができる。また、めっき層5bの形成材料として、半導体層8の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルにマッチングした金属を選択することにより、ソース電極5と半導体層8との相性を向上させることができる。さらに、めっき層5bを形成することにより、必要に応じてソース電極5の表面の仕事関数と半導体層8の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルのマッチングのために形成され、電極表面処理に用いる自己組織化単分子膜(SAM)の均一な形成を実現することが可能となる。ここで、半導体層8がp型半導体層である場合には、ソース電極5の表面の仕事関数がp型半導体層のイオン化ポテンシャルの値と同等若しくはこれより深くなるように、めっき層5bの形成材料が好適に選択される。なお、「ソース電極5の仕事関数がp型半導体層のイオン化ポテンシャルの値と同等若しくはこれより深くなる」とは、光電分光装置で測定したソース電極5表面の仕事関数と半導体層8のイオン化ポテンシャルとの差(金属−半導体)が、例えば−0.6eV〜2eVの範囲に収まることを意味する。さらに、ソース電極5表面の仕事関数と半導体層8のイオン化ポテンシャルとの差は、−0.3eV〜2eVであることが好ましく、0eV〜2eVであるとより好ましい。
【0029】
例えば、半導体層8がp型半導体層である場合には、めっき層5bの形成材料としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)あるいはイリジウム(Ir)、または、これら金属を含む各種合金を用いることができる。また、このようなめっき層5bは、金(Au)、ニッケル(Ni)あるいはプラチナ(Pt)等の高価な金属が形成材料として好適に用いられるが、本実施形態においては、ソース電極5の半導体層8との接触面のみにめっき層5bが形成されることから、形成材料の使用量を最小限に抑えることができる。このため、最小限の製造コストの上昇で、TFTの電気特性を大きく向上させることができる。また、例えば、ソース電極5のベース金属層5aが銅(Cu)を有する場合には、銀(Ag)によりめっき層5bを形成しても良い。また、半導体層8とのマッチングを向上させるためにめっき層5b上にさらにSAM処理を行う場合、めっき層5bを形成する金属としては、大気中で実質的に金属表面酸化皮膜が形成されないことから、各種SAM材料による表面修飾反応が容易で且つ均一な表面処理が可能な金(Au)が特に好ましい。
【0030】
また、例えば、半導体層8がn型半導体層である場合には、ソース電極5の表面の仕事関数がn型半導体層の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルと同等若しくはこれより浅くなるように、めっき層5bの形成材料が選択される。ここで、「ソース電極5の表面の仕事関数がn型半導体層の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルと同等若しくはこれより浅くなる」とは、光電分光装置で測定したソース電極5表面の仕事関数と半導体層8の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルとの差(金属−半導体)が、例えば−2eV〜0.2eVの範囲に収まることを意味する。さらに、ソース電極5表面の仕事関数と半導体層8の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルとの差は、−2eV〜0eVであることが好ましく、−2eV〜−0.1eVであるとより好ましい。
【0031】
例えば、半導体層8がn型半導体層である場合には、めっき層5bの形成材料としては、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、カドニウム(Cd)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、インジウム(In)あるいはアルミニウム(Al)、または、これら金属を含む各種合金を用いることができる。
【0032】
ドレイン電極6は、ゲート絶縁膜4上であって、一部の領域(
図1においては左部の領域)がゲート電極3の上方に位置するように配置されている。また、ドレイン電極6は、コンタクトホール11の下端に到達する広さで形成されている。このドレイン電極6は、コンタクトホール11を通じて、画素電極12と接続されており、画素電極12に画像信号を伝達する。このようなドレイン電極6は、ベース金属層6a(下地金属層)と、めっき層6bとを有している。ベース金属層6aは、ソース線と同様に銀(Ag)や銅(Cu)を有する金属層であり、ゲート電極3の上方からコンタクトホール11の下端に至るまでの領域に形成されている。めっき層6bは、ベース金属層6a上であって、ドレイン電極6の半導体層8との接触面に形成される。換言すれば、めっき層6bは、ベース金属層6aの、上方から見てバンク層7の後述する半導体用開口部7aに露出する領域(すなわち、断面図では、ゲート電極3に掛かる領域)に形成されている。また、めっき層6bは、上方から見て、コンタクトホール11に露出する領域にも形成されている。なお、コンタクトホール11に露出する領域に形成されためっき層6bは形成しなくとも良い。
【0033】
ドレイン電極6のめっき層6bも、ソース電極5のめっき層5bと同様に、例えば、半導体層8がp型半導体層である場合には、ソース電極5の表面の仕事関数がp型半導体層のイオン化ポテンシャルの値と同等若しくはこれより深くなるように、めっき層5bの形成材料が好適に選択される。例えば、半導体層8がp型半導体層である場合には、めっき層6bの形成材料としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)あるいはイリジウム(Ir)、または、これら金属を含む各種合金を用いることができる。このめっき層6bの形成材料としては、金(Au)、ニッケル(Ni)あるいはプラチナ(Pt)等の高価な金属が形成材料としてさらに好適に用いられるが、本実施形態においては、主としてドレイン電極6の半導体層8との接触面に対して局所的にめっき層6bが形成されるため、めっき層6bの形成材料の使用量を最小限に抑えることができ、最小限の製造コストの上昇で、TFTの電気特性を大きく向上させることができる。また、例えば、ドレイン電極6のベース金属層6aが銅を有する場合には、銀(Ag)によりめっき層6bを形成しても良い。また、半導体層8とのマッチングを向上させるためにめっき層6b上にさらにSAM処理を行う場合、めっき層6bを形成する金属としては金(Au)が特に好ましい。
【0034】
また、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aは、他の画素に対して設けられたTFT構造のソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aと、不図示のソース線と共に、反転オフセット印刷法により一括形成される。例えば、本実施形態では、ナノ銀やナノ銅を含む導電性インクの薄膜をブランケットの表面に均一な膜厚で形成し、導電性インクを半乾燥させて流動性のない状態とする。次いで、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線の形成領域以外の領域が凸とされた凸版を導電性インクの薄膜に軽く押し当て、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線の形成領域以外の領域の導電性インクパターンを取り除くことで、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線の形状にパターニングされた導電パターニング膜を形成する。さらに、ブランケットをゲート絶縁膜4が形成されたPENフィルム2に軽く押し当てて導電パターニング膜をゲート絶縁膜4上に転写し、その後、オーブン加熱焼成、IR焼成、キセノンパルス光焼成、水素プラズマ焼成等の改質処理により要求される導電性を有するソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を一括形成する。
【0035】
このように、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を反転オフセット印刷法により形成することによって、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を高い精度で微細化することができる。また、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線の層厚を均一にすることができる。また、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を位置精度高く形成することができ。また、ゲート絶縁膜4の表面の液体に対する特性に影響を受けずにソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を形成することができる。このため、例えば、ゲート絶縁膜4が表面の液体に対する特性がPENフィルム2と異なり、かつ、ゲート絶縁膜4をパターニングした場合であっても、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を好適に形成することが可能となる。さらに、ソース電極5のベース金属層5a上にめっき層5bを形成し、ドレイン電極6のベース金属層6a上にめっき層6bを形成することにより、必要とされる部分のみに微細なめっきパターン層を形成することができる。
【0036】
また、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を形成するための導電性インクとしては、反転オフセット印刷法に適した性能を有しているものを用いる。すなわち、導電性インクとして、ブランケット上に無欠陥の均一な薄膜を形成できる優れた濡れ性を有し、抜き版パターンを正確に反映する優れたインク転写性を有し、シャープなラインエッジを形成する優れたインク膜の切れ性を有し、パターニング膜を軽い力での押し当てにより転写対象に転写可能とするパターニング膜転写性を有しているものを選択する。このような導電性インクとしては、例えば、ゲート電極3及びゲート線を形成する導電性インクと同様に、日本国特許第4375499号公報に開示されたものを好適に用いることができる。ただし、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を形成するための導電性インクと、ゲート電極3及びゲート線を形成する導電性インクとを必ずしも同じものを用いる必要はない。
【0037】
また、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線の形成方法としては、反転オフセット印刷法に限定されるものではない。例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、水無しグラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷法のほか撥液パターンを利用した、スリットダイコート法、スピナーコート法等によってソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を形成することも可能である。また、製造工程の複雑化を招くことから好ましくはないものの、フォトリソグラフィー工程によりソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を形成することも可能である。
【0038】
ソース電極5のめっき層5b及びドレイン電極のめっき層6bは、電解めっきや無電解めっきにより形成することができる。ただし、めっき層5b及びめっき層6bを形成する時点において、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aを電気的に導通させることは困難である場合には、無電解めっきによりめっき層5b及びめっき層6bを形成することが好ましい。
【0039】
なお、めっき層5b及びめっき層6bに換えて、真空蒸着やスパッタ法によって、導電性の堆積層を形成するようにしても良い。このような場合には、半導体層8としてp型半導体を用いる場合には、例えば、仕事関数が大きな酸化インジウムスズ(ITO)の堆積層をベース金属層5a及びベース金属層6aの表面に形成することができる。また、半導体層8としてn型半導体を用いる場合には、例えば、仕事関数が小さなカルシウム(Ca)の堆積層をベース金属層5a及びベース金属層6aの表面に形成することができる。
【0040】
また、未めっきのソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6a、またはめっき層5b及びめっき層6bの表面には、必要に応じて、有機化合物の自己組織化単分子膜(SAM)を形成するようにしても良い。めっき層5b及びめっき層6bの表面へのSAM処理は、金属表面の酸化、コンタミ発生の抑制が容易であり、金属表面の清浄性が担保でき、SAMによる表面処理が欠陥なくかつ均一に行えることから、実施することがより好ましい。なお、SAM処理を行う場合のめっき層5b及びめっき層6bの形成材料については特に制限はなく、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)あるいは金(Au)等が好適に用いられる。特に金(Au)は外部環境による表面酸化の懸念がなく、好適に使用できる。
【0041】
例えば、半導体層8がp型半導体を有する場合には、トランジスタの性能向上を目的として、半導体層8と接触するソース電極5及びドレイン電極6の表面の仕事関数を深く(大きく)することを目的としたSAM処理が有効である。金属表面の仕事関数をさらに深くするためのSAM処理では、分極率が高くかつ金属と容易に結合するチオール基を有する化合物が一般的に用いられる。これらSAM処理材料としては、例えば、各種フッソ置換チオール化合物が好適に適用できる。具体的には、例えばペンタフルオロベンゼンチオール、トリフルオロメチルベンゼンチオール、テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール等のフッソ置換芳香族チオール化合物、ペルフルオロアルキルチオール、トリフルオロメタンチオール、ペンタフルオロエタンチオール、ヘプタフルオロプロパンチオール、ノナフルオロブタンチオール等の脂肪族チオール化合物、その他ブタンナトリウムチオール、ブタン酸ナトリウムチオール、ブタノールナトリウムチオール等のチオール化合物を含む薄膜、または、各種アミノチオフェノール、各種ジチオール化合物、チオアセチル、ジスルフィド(R−S−S−R)、オリゴチオフェン、オリゴフェニレンを含む薄膜をSAMとすることができる。
【0042】
このような自己組織化単分子膜をめっき層5b及びめっき層6bの表面に形成することによって、ソース電極5及びドレイン電極6の表面における仕事関数を、半導体層8の仕事関数若しくはイオン化ポテンシャルエネルギー準位に応じて調整することを可能とし、ソース電極5及びドレイン電極6と半導体層8とのマッチングを向上させることができる。なお、めっき層5b及びめっき層6bを形成せずに、ベース金属層5a及びベース金属層6aの表面に直接自己組織化単分子膜を形成しても良い。このような場合には、めっき層5b及びめっき層6bを形成する工程を省略することができる。
【0043】
上述のような自己組織化単分子膜の金属表面への形成方法に制限はないが、SAM材料をイソプロピルアルコール、トルエン、キシレン等の適当な溶剤で適切な濃度に希釈してスピンコート法により塗布する方法や、めっき層5b及びめっき層6bが形成されたPENフィルム2を、自己組織化単分子膜の形成材料を含む溶液中に浸漬する方法によって形成することができる。また、めっき層5b及びめっき層6bを形成するときのめっき液に自己組織化単分子膜の形成材料を含有させておくことにより、表面に自己組織単分子膜が形成されためっき層5b及びめっき層6bを形成することができる。
【0044】
図1に示すように、バンク層7は、ソース電極5、ドレイン電極6及びソース線が形成されたゲート絶縁膜4上に形成されている。このバンク層7は、半導体層8の形成領域を区画するための隔壁であり、半導体用開口部7aを有する絶縁層である。半導体用開口部7aは、ゲート電極3の上方に配置されており、ソース電極5の一部領域(めっき層5bが形成された領域)とドレイン電極6の一部領域(めっき層6bが形成された領域)とを露出する広さ及び形状である。また、バンク層7は、コンタクトホール11の下部を形成する貫通孔7b(開口部)を有している。
【0045】
本実施形態においては、このバンク層7は、反転オフセット印刷法によって形成される。例えば、本実施形態では、絶縁性のバンク層形成用インクの薄膜をブランケットの表面に均一な膜厚で形成し、バンク層形成用インクを半乾燥させて流動性のない状態とする。次いで、半導体用開口部7a及び貫通孔7bの形成領域が凸とされた凸版をバンク層形成用インクの薄膜に軽く押し当て、半導体用開口部7a及び貫通孔7bの形成領域のバンク層形成用インクパターンを取り除くことで、半導体用開口部7a及び貫通孔7bの形成領域が開口された形状にパターニングされたバンク層形成用パターニング膜を形成する。さらに、ブランケットをソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線が形成されたゲート絶縁膜4に軽く押し当ててバンク層形成用パターニング膜をゲート絶縁膜4上に転写し、その後、焼成して乾燥させることによりバンク層7を一括形成する。
【0046】
このような反転オフセット印刷法を用いることにより、バンク層形成用パターニング膜の表面にブランケットの表面平滑性が反映されるため、表面平滑性に優れ、膜厚が均一なバンク層形成用パターニング膜を形成することができる。したがって、本実施形態によれば、バンク層7の層厚を均一にすることができる。なお、
図1では、模式図であることから、ソース電極5及びドレイン電極6の上部の領域においてバンク層7が他の領域と比較して薄く描かれている。実際には、下地の凹凸に倣い、バンク層7は、ソース電極5及びドレイン電極6の上部の領域において上方に盛り上がる。このため、半導体用開口部7aの深さを十分に確保することができる。
【0047】
また、本実施形態では、反転オフセット印刷法を用いてバンク層7を形成するため、インクが半乾燥されて流動性がない状態のバンク層形成用パターニング膜が転写される。したがって、ゲート絶縁膜4、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aの表面の液体に対する特性に影響を受けずにバンク層7を形成することができる。例えば、フォトリソグラフィー工程でバンク層を形成しようとすると、液体状のバンク層形成材料インクをソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aが形成されたゲート絶縁膜4上に塗布することになる。このとき、例えば、ゲート絶縁膜4の表面の液体に対する特性と、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aの表面の特性とが異なると、塗布された液体状のバンク層形成材料の厚みが均一にならず、局所的に高さの十分でないバンク層が形成される場合がある。これに対して、本実施形態では、上述のように、ゲート絶縁膜4、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aの表面の液体に対する特性に影響を受けずにバンク層7を形成することができるため、狙った高さのバンク層7を確実に形成することができる。
【0048】
また、本実施形態では、反転オフセット印刷法を用いてバンク層7及び中間層10を形成する。反転オフセット印刷の適用により、微細なバンク構造を有するバンク層7及び中間層10の形成を実現しかつ優れた印刷位置精度のバンク層7及び中間層10の積層を実現できる。ここで、貫通孔7bは、中間層10に形成される後述の貫通孔10aと連通されることによりコンタクトホール11を形成する。バンク層形成に反転オフセット印刷法を適用することにより、優れたパターンの形成位置精度を実現できることから、バンク層7の貫通孔7bと中間層10の貫通孔10aとの正確な積層が実現できる。これにより下層のドレイン電極6と画素電極12を欠陥無く確実に連結を実現できる。また、反転オフセット印刷法の適用により、本実施形態では、貫通孔7b及び貫通孔10aを正確な位置に形成できるため、貫通孔7b及び貫通孔10aの径を最小限に抑えることができる。また、微細なバンクパターン構造を形成できる。このため、本実施形態によれば、フォトリソグラフィー工程によるバンク構造形成により形成される半導体電子デバイスに匹敵する微細で高密度の半導体電子デバイスを形成することができる。
【0049】
また、上述のバンク層形成用インク及び後述の中間層形成用インクとしては、反転オフセット印刷法に適した印刷性能と、バンク層7及び中間層10として電気絶縁性等の膜性能機能を有しているものを用いる。要求される印刷特性は、少なくとも、ブランケット上に無欠陥の均一な薄膜を形成できる優れた濡れ性を有し、パターニング膜を軽い力での押し当てにより転写対象に転写可能とするパターニング膜転写性を有し、抜き版パターンを正確に反映する優れたインク転写性を有し、優れたインク膜の切れ性を有しているものを選択する。このようなバンク層形成用インク及び中間層形成用インクとしては、絶縁膜形成用インクと同様に、例えば、日本国特開2010−265423号公報、日本国特許第4626837号公報に開示されたものを好適に用いることができる。また、これら熱架橋性のインクに加え、ラジカル重合やカチオン重合性のモノマー、オリゴマー、ポリマー等を主成分とするエネルギー線架橋性のインクも好適に適用できる。なお、バンク層形成用インクは、絶縁膜形成用インクと必ずしも同一のものを用いる必要はない。
【0050】
また、半導体層8の形成の容易簡便さ向上や形成位置、膜厚及び特性の均一性の向上を目的として、半導体層8の形成材料の溶媒に対して撥液性を有しているバンク層7を形成することが好ましい。このようにバンク層7が撥液性を有することによって、半導体材料を含むインクをバンク層7上に塗布すると、自発的に半導体用開口部7aに収容させることが可能となり、正確な位置精度で容易に半導体パターン層を形成することができる。反転オフセット印刷法により微細な撥液バンクを正確な位置に形成することにより、インクジェット法やフレキソ印刷を用いた半導体層8の形成位置精度の格段の向上、パターン欠陥の減少の効果を得ることができる。また、これに加えて、撥液バンク形成により半導体層自己組織化が可能となることから、スピンコート法やスリットダイコート法、ディップコート法等の簡素な塗布法で半導体層のパターンニングを実現することができる。撥液バンクの撥液性は、半導体材料を含むインクに適用する溶剤による接触角が40°より大きいことが好ましく、さらに50°より大きいことがより好ましく、60°より大きいことが最も好ましい。
【0051】
このような撥液性を有するバンク層7を形成するためのバンク層形成用インクとしては、反転オフセット印刷用絶縁インク、例えば日本国特開2010−265423号公報、日本国特許第4626837号公報に開示された熱架橋性の絶縁インク及びエネルギー線架橋硬化型インクに撥液性の高いフッソ化化合物やフッ素化系界面活性剤を添加することにより得られる。とくに紫外線重合性のオリゴマー系のフッソ系界面活性剤の添加がバンクの撥液化に優れた効果を示す。反転印刷絶縁インクの撥液化に好適に適用できるフッソ系界面活性剤として例えばDIC株式会社の重合性界面活性剤であるRS−75、RS−76−E、RS−76−NS、RS−90が好適に適用できる。
【0052】
さらには、半導体用開口部7aの底部に露出されるゲート絶縁膜4の表面は、親液性であることが好ましい。これによって、半導体インクの自己組織化特性をさらに高めることができ、よりパターン精度を高めることができる。つまり、ゲート絶縁膜4は親液性を有するインクにより形成され、バンク層7は撥液性を有するインクにより形成されることが望ましい。また、ゲート絶縁膜4の表面及びバンク層7の表面に対して、各種プラズマ処理、UVオゾン処理等を行うことによって、親液性及び撥液性を付与するようにしても良い。
【0053】
半導体層8は、バンク層7の半導体用開口部7aの内部にて、ソース電極5とドレイン電極6とに接続されるように形成されている。このような半導体層8は、p型半導体層あるいはn型半導体層を有し、真空蒸着法、スパッタ法、フレキソ印刷法、スピンコート法、インクジェット法等によって形成される。このような半導体層8の形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば日本国特許第4605319号公報、日本国特表2013−534726号公報に開示されたものを用いることができる。
【0054】
例えば、半導体層8の形成材料については、常温もしくは加熱状態で溶媒に溶解性有する半導体材料もしくは熱処理により半導体薄膜を形成する各種有機半導体原体、酸化物半導体を形成する各種錯体材料であれば、無機半導体材料及び有機半導体材料のいずれかに限定されるものではない。例えば、p型半導体材料としては、各種の結晶性及び非結晶の高分子有機半導体及(PTAA、F8BT、F8T2、P3HT、PBTTT、pDA2T−C16その他)、低分子半導体(TIPSペンタセン、TES−ADTの他BTBT、DNTT等の各種チエノフェン系半導体その他)及びこれらブレンド半導体(低分子半導体+各種ポリマー、低分子半導体+高分子半導体)を用いることができる。また、n型半導体材料としては、有機高分子系半導体(BBL、Boramer
TMT01、各種ベンゾチアゾール系高分子その他)、有機低分子系半導体(TCNQ、F4TCNQ、PTDCA、各種キノイド系分子その他)等の有機半導体の他、塗布形成タイプの各種酸化物半導体(ZnO系、IGZO系)を用いることができる。
【0055】
保護膜9は、半導体層8の上部であって、半導体用開口部7aを上部から閉塞するように形成されている。この保護膜9は、半導体層8に直接接触しても半導体層8にダメージを与えないことが要求される。これら材料として半導体材料及びそのインク溶剤成分と直交性を有するフッ素系樹脂によって形成されることが好ましい。これにより半導体層形成以降の電子デバイス形成プロセスからの半導体層のダメージを防止することができる。このような保護膜9は、フッソ系樹脂をフッソ系溶剤に溶解したインクを用い、例えばスクリーン印刷法によって形成することができる。このような保護膜用のフッソ系樹脂として例えば、フッソ系溶剤への溶解が可能な旭ガラス社製のCYTOPやDupont社製のAFポリマー等が好適に適用できる。
【0056】
中間層10は、保護膜9が形成された後にバンク層7上に形成される絶縁層であり、バンク層7の貫通孔7bと連通される貫通孔10a(連通開口部)を有している。貫通孔10aは、バンク層7の貫通孔7bに対して上部から接続されており、コンタクトホール11の上部を形成している。
【0057】
本実施形態においては、この中間層10は、上述のように反転オフセット印刷法によって形成される。例えば、本実施形態では、絶縁性の中間層形成用インクの薄膜をブランケットの表面に均一な膜厚で形成し、中間層形成用インクを半乾燥させて流動性のない状態とする。次いで、貫通孔10aの形成領域が凸とされた凸版を中間層形成用インクの薄膜に軽く押し当て、貫通孔10aの形成領域の中間層形成用インクパターンを取り除くことで、貫通孔10aの形成領域が開口された形状にパターニングされた中間層形成用パターニング膜を形成する。さらに、ブランケットを保護膜9が形成された後にバンク層7に軽く押し当てて中間層形成用パターニング膜をバンク層7上に転写し、その後、加熱、エネルギー線等により乾燥や架橋硬化させることにより要求される絶縁性、機械強度、耐溶剤性等の膜特性を発揮する中間層10を一括形成する。
【0058】
このように、中間層10の形成に反転オフセット印刷法を用いることにより、平滑なブランケット上形成された反転オフセット印刷法用の中間層形成用インクを流動性の無い状態でパターンニングされことから、設計値通りの形状の中間層10が形成できる。また、パターンニング膜が流動性の無い状態で先に形成された保護膜9上に完全転写されることから、撥液性の高いフッソ系樹脂による保護膜パターンが形成された表面においても、ハジキ等による膜厚の不均一性が発生せず基体表面の特性に影響を受けない均一な膜厚を有する中間層10を形成できる。なお、
図1では、模式図であることから、保護膜9の上部の領域において中間層10が他の領域と比較して薄く描かれている。実際には、下地の凹凸に倣い、中間層10は、保護膜9の上部の領域において上方に盛り上がる。
さらに、反転オフセット印刷法を用いて中間層10を形成するため、ブランケットの変形等に起因する印刷位置ずれを実質的に無視できる程度に小さく抑えることができる。このため、上述のように、貫通孔10aを正確な位置に配置することができる。
【0059】
なお、上述の中間層10は、必ずしも設ける必要はない。例えば、中間層10を設けない場合には、画素電極12がバンク層7及び保護膜9の表面に形成され、スルーホールがバンク層7の貫通孔7bのみによって構成される。
【0060】
コンタクトホール11は、ドレイン電極6と画素電極12との導通を確保するためにバンク層7及び中間層10を貫通する貫通孔である。このコンタクトホール11は、バンク層7に形成された貫通孔7bと、この貫通孔7bの上部に接続される中間層10の貫通孔10aとが連通されることにより形成されている。画素電極12は、中間層10の表面(
図1の上部の面)に形成されており、コンタクトホール11を介してドレイン電極6と接続されている。このような画素電極12は、例えばグラビアオフセット印刷によって形成される。スクリーン印刷により画素電極12を形成しても良いが、グラビアオフセット印刷によって、より画素電極12をより緻密に配置することが可能となる。例えば、画素電極12は銀(Ag)や銅(Cu)やカーボン等の導電材料を用いた導電インクを用いたグラビアオフセット印刷法により形成することができる。グラビアオフセット印刷法により、微細な導電パターンの形成を実現し、集積密度の高い高精細な電子デバイスが形成できる。さらにグラビアオフセット印刷による画素パターンの形成と同時にドレイン電極6まで貫通したコンタクトホール11内へ導電インクを欠陥無く押し込むことができ、ドレイン電極6と画素電極12との導通を信頼性高く担保することができる。もちろん、TFT代表される半導体デバイスの集積度がそれほど要求されない場合にはスクリーン印刷による画素及びコンタクトホール11内への導電インク押し込みを行うこともできる。また、コンタクトホール11によるドレイン電極6と画素電極12との導通担保する方法として、グラビアオフセット印刷等を用い、コンタクトホール11が形成される位置に導電性のビアポストを形成しても良く、また、形成されたコンタクトホール11内にインクジェットにより導電インクを充填することで形成することもできる。また、これら導電性インクは所望のパターン形成後にオーブン加熱焼成、IR焼成、キセノンパルス光焼成及び水素プラズマ焼成等の改質処理により要求される導電性を持った導電膜に改質することができる。
【0061】
次に、このように構成された駆動回路基板1の製造方法の一例について、
図2A〜2E及び
図3A〜3Dを参照して説明する。
【0062】
まず、
図2Aに示すように、PENフィルム2をガラス基板Gの表面に対して貼付する。このガラス基板Gは、製造過程においてPENフィルム2を支え、PENフィルム2の変形を防止する。必要に応じてフィルム表面平滑層を形成し、続いて、
図2Bに示すように、ゲート電極3及び不図示のゲート線を上述した反転オフセット印刷法により、PENフィルム2上に形成する。このようにゲート電極3及びゲート線を反転オフセット印刷法により形成することによって、ゲート電極3及びゲート線を高い精度で微細化することができ、ゲート電極3及びゲート線の層厚を均一にすることができ、ゲート電極3及びゲート線を位置精度高く形成することができ、PENフィルム2の表面の液体に対する特性に影響を受けずにゲート電極3及びゲート線を形成することができる。
【0063】
続いて、
図2Cに示すように、ゲート電極3及びゲート線が形成されたPENフィルム2上にゲート絶縁膜4を反転オフセット印刷法により形成する。このようにゲート絶縁膜4を反転オフセット印刷法により形成することにより、ゲート絶縁膜4の層厚を均一にすることができ、PENフィルム2及びゲート電極3等の表面の液体に対する特性に影響を受けずにゲート絶縁膜4を形成することができる。
【0064】
続いて、
図2Dに示すように、ゲート絶縁膜4上に、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及び不図示のソース線を、反転オフセット印刷法により形成する。このようにソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を反転オフセット印刷法により形成することによって、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を高い精度で微細化することができ、またソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を位置精度高く形成することができる。
【0065】
続いて、
図2Eに示すように、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線が形成されたゲート絶縁膜4上に、バンク層7を、撥液性を有するバンク層形成用インクを用いて反転オフセット印刷法により形成する。このようにバンク層7を反転オフセット印刷法により形成することによって、均一な膜厚のバンク層形成用パターニング膜を形成することができ、半導体用開口部7aの深さを十分に確保することができる。また、半導体用開口部7a及び貫通孔7bを正確な位置に配置することができる。また、ゲート絶縁膜4、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aの表面の液体に対する特性に影響を受けずにバンク層7を形成することができるため、フォトリソグラフィー工程で形成する場合と比較して、狙った高さのバンク層7を確実に形成することができる。
【0066】
続いて、
図3Aに示すように、バンク層7の半導体用開口部7aに露出されたソース電極5のベース金属層5aの一部領域、ドレイン電極6のベース金属層6aの一部領域に対して、めっき処理を施すことによりめっき層5b及びめっき層6bを形成する。さらに、形成されためっき層5b及びめっき層6bの表面に自己組織単分子膜を形成する。これらの工程によって、ソース電極5及びドレイン電極6が形成される。このように、めっき層5b、めっき層6b及び自己組織単分子膜を形成することによって、ソース電極5及びドレイン電極6と半導体層8とのマッチングを向上させることができる。
【0067】
続いて、
図3Bに示すように、半導体用開口部7aに半導体層8を形成する。ここでは、撥液性を有するバンク層7に形成された半導体用開口部7aに対してインクジェット法によって有機半導体材料を含むインクを吐出し、その後インクを乾燥させることにより半導体層8を形成する。このように撥液性を有するバンク層7の半導体用開口部7aに対してインクジェット法によりインクを吐出することによって、有機半導体を含むインクを確実に半導体用開口部7aに配置することができる。
【0068】
続いて、
図3Cに示すように、半導体層8を覆うと共にフッ素系樹脂を有する保護膜9を、スクリーン印刷法によって形成する。このように、半導体層8を覆う保護膜9をフッ素系樹脂により形成することによって、半導体形成以降の半導体層へのプロセスダメージを防止するとともに半導体層8への水等の侵入を抑え、半導体層8を長寿命化することができる。
【0069】
続いて、
図3Dに示すように、保護膜9及びバンク層7の上に、反転オフセット印刷法により、中間層10を形成する。この中間層10は、貫通孔10aが形成されたパターン膜を保護膜9が覆われるようにバンク層7に積層させ、その後パターン膜を乾燥させることによって形成される。また、保護膜9及びバンク層7の表面の液体に対する特性に影響を受けずに均一な膜厚を有する中間層10を形成することができる。また、極めて高い印刷位置精度で印刷することができることから、貫通孔10aを正確な位置に配置して、コンタクトホール11を確実に形成することができる。
【0070】
続いて、グラビアオフセット印刷法によって画素電極12を一部がコンタクトホール11に充填されるように形成する。これによって、ドレイン電極6と導通された画素電極12が形成される。そして、最後にガラス基板GからPENフィルム2を剥離させることによって、駆動回路基板1が完成する。
【0071】
上述のような駆動回路基板1の製造方法によれば、フォトリソグラフィー工程を用いることなく、かつ、フォトリソグラフィー工程と同程度にバンク層7及び中間層10等の精度を高い水準に維持することができる。したがって、優れた電気特性及び信頼性を有する駆動回路基板1を短時間かつ廉価に提供することができ、産業の活性化を図ることが可能となる。
【0072】
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態においては、本発明をトップゲートボトムコンタクト型の有機TFT構造を有する駆動回路基板1Aの製造方法に適用した例について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0073】
図4は、駆動回路基板1Aの一部を模式的に示す断面図であり、複数備えられるTFT構造のうちの1つのTFT構造を示す図である。この図に示すように、駆動回路基板1Aでは、PENフィルム2上にソース電極5、ドレイン電極6及び不図示のソース線が形成されている。また、これらのソース電極5、ドレイン電極6及びソース線が形成されたPENフィルム2上にバンク層7が形成されている。さらに、中間層10の表面(
図4の上部の面)に対してゲート電極3及び不図示のゲート線が形成されている。さらに、ゲート電極3が形成された中間層10の表面上にさらに第2中間層13が形成され、第2中間層13上に画素電極12が形成されている。
【0074】
次に、このように構成された駆動回路基板1Aの製造方法の一例について、
図5A〜5D及び
図6A〜6Dを参照して説明する。
【0075】
まず、
図5Aに示すように、PENフィルム2をガラス基板Gの表面に対して貼付する。続いて、
図5Bに示すように、PENフィルム2上に、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及び不図示のソース線を、反転オフセット印刷法により形成する。このようにソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を反転オフセット印刷法により形成することによって、ソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を高い精度で微細化することができ、またソース電極5のベース金属層5a、ドレイン電極6のベース金属層6a及びソース線を位置精度高く形成することができる。
【0076】
続いて、
図5Cに示すように、ソース電極5、ドレイン電極6及びソース線が形成されたPENフィルム2上に、撥液性を有するバンク層形成用インクを用いて反転オフセット印刷法によってバンク層7を形成する。このようにバンク層7を反転オフセット印刷法により形成することによって、PENフィルム2、ソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aの表面の液体に対する特性に影響を受けずにバンク層7を形成することができる。
【0077】
続いて、
図5Dに示すように、バンク層7の半導体用開口部7aに露出されたソース電極5のベース金属層5aの一部領域、ドレイン電極6のベース金属層6aの一部領域に対して、めっき処理を施すことによりめっき層5b及びめっき層6bを形成する。さらに、形成されためっき層5b及びめっき層6bの表面に自己組織単分子膜を形成する。続いて、
図6Aに示すように半導体用開口部7aに半導体層8を形成し、
図6Bに示すように保護膜9を形成し、
図6Cに示すように保護膜9及びバンク層7の上に反転オフセット印刷法により中間層10を形成する。
【0078】
続いて、
図6Dに示すように、中間層10上にゲート電極3及び不図示のゲート線を形成し、さらに中間層10の貫通孔10aに連通される貫通孔13aを有する第2中間層13を反転オフセット印刷法により形成する。このように、第2中間層13が反転オフセット印刷法により形成されるため、中間層10、ゲート電極3及びゲート線の表面特性に影響されることなく第2中間層13を正確な位置に形成することができる。また、極めて高い印刷位置精度で印刷することができることから貫通孔13aを正確な位置に配置して、コンタクトホール11を確実に形成することができる。
【0079】
続いて、グラビアオフセット印刷法によって画素電極12を形成する。そして、最後にガラス基板GからPENフィルム2を剥離させることによって、駆動回路基板1Aが完成する。
【0080】
第3実施形態
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態においては、本発明をボトムゲートトップコンタクト型の有機TFT構造を有する駆動回路基板1Bの製造方法に適用した例について説明する。なお、本実施形態の説明においても、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0081】
図7は、駆動回路基板1Bの一部を模式的に示す断面図であり、複数備えられるTFT構造のうちの1つのTFT構造を示す図である。この図に示すように、駆動回路基板1Bでは、ゲート絶縁膜4上にソース電極5及びドレイン電極6が設けられておらず、バンク層7上にソース電極5、ドレイン電極6及び不図示のソース線が形成されている。また、駆動回路基板1Bにおいては、ソース電極5及びドレイン電極6が、めっき層5b及びめっき層6bを有していない。つまり、駆動回路基板1Bでは、ソース電極5及びドレイン電極6は、上記第1実施形態におけるベース金属層5a及びベース金属層6aのみによって形成されている。
【0082】
さらに、駆動回路基板1Bにおいて、バンク層7は、貫通孔7bを有していない。つまり、駆動回路基板1Bでは、コンタクトホール11が中間層10の貫通孔10aのみによって構成されている。また、駆動回路基板1Bにおいては、ゲート絶縁膜4上にソース電極5及びドレイン電極6が形成されていないため半導体用開口部7aの底部に金属層が露出されていない。このため、本実施形態においては、中間層10の貫通孔10aのみが本実施形態の開口部に相当する。さらに、駆動回路基板1Bにおいては、ソース電極5、ドレイン電極6及び不図示のソース線が形成されたバンク層7上に中間層10が形成されている。
【0083】
次に、このように構成された駆動回路基板1Bの製造方法の一例について、
図8A〜8D及び
図9A〜9Dを参照して説明する。
【0084】
まず、
図8Aに示すように、PENフィルム2をガラス基板Gの表面に対して貼付する。続いて、
図8Bに示すように、ゲート電極3及び不図示のゲート線を上述した反転オフセット印刷法により、PENフィルム2上に形成する。続いて、
図8Cに示すように、ゲート電極3及びゲート線が形成されたPENフィルム2上にゲート絶縁膜4を反転オフセット印刷法により形成する。
【0085】
続いて、
図8Dに示すように、ゲート絶縁膜4上に、バンク層7を、撥液性を有するバンク層形成用インクを用いて反転オフセット印刷法により形成する。このようにバンク層7を反転オフセット印刷法により形成することによって、均一な膜厚のバンク層形成用パターニング膜を形成することができ、半導体用開口部7aの深さを十分に確保することができる。また、半導体用開口部7a及び貫通孔7bを正確な位置に配置することができる。
【0086】
続いて、
図9Aに示すように、半導体用開口部7aにインクジェット法により半導体層8を形成する。続いて、
図9Bに示すように、バンク層7上に一部が半導体層8に掛かるように、ソース電極5及びドレイン電極6を形成する。ここでは、ソース電極5及びドレイン電極6を、上記第1実施形態におけるソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aと同様に、反転オフセット印刷法により形成する。このように、ソース電極5及びドレイン電極6を反転オフセット印刷法により形成することによって、ソース電極5及びドレイン電極6を高い精度で微細化することができ、またソース電極5及びドレイン電極6を位置精度高く形成することができる。なお、ソース電極5及びドレイン電極6に合わせてソース線も同時に反転オフセット印刷法によって、一括形成される。
【0087】
続いて、
図9Cに示すように、保護膜9を形成する。さらに、
図9Dに示すように、ソース電極5、ドレイン電極6及び保護膜9が形成されたバンク層7上に中間層10を形成する。中間層10は、反転オフセット印刷法によって形成する。このように中間層10を反転オフセット印刷法によって形成することによって、保護膜9上に均一な膜厚を有する中間層10を形成することができる。また、保護膜9、バンク層7、ソース電極5及びドレイン電極6の表面の液体に対する特性に影響を受けずに中間層10を形成することができ、フォトリソグラフィー工程で中間層10を形成する場合と比較して、均一な膜厚を有する中間層10を確実に形成することができる。また、極めて高い印刷位置精度で印刷することができることから貫通孔10aを正確な位置に配置して、コンタクトホール11を確実に形成することができる。
【0088】
続いて、グラビアオフセット印刷法によって画素電極12を一部がコンタクトホール11に充填されるように形成する。これによって、ドレイン電極6と導通された画素電極12が形成される。そして、最後にガラス基板GからPENフィルム2を剥離させることによって、駆動回路基板1Bが完成する。
【0089】
第4実施形態
以下、本発明の第4実施形態について説明する。本第4実施形態においては、本発明をトップゲートトップコンタクト型の有機TFT構造を有する駆動回路基板1Cの製造方法に適用した例について説明する。なお、本実施形態の説明においても、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0090】
図10は、駆動回路基板1Cの一部を模式的に示す断面図であり、複数備えられるTFT構造のうちの1つのTFT構造を示す図である。この図に示すように、駆動回路基板1Cは、上記第3実施形態の駆動回路基板1Bにおけるゲート絶縁膜4を削除し、さらに、ゲート電極3が形成された中間層10の表面上にさらに第2中間層13が形成され、第2中間層13上に画素電極12が形成されている。
【0091】
次に、このように構成された駆動回路基板1Cの製造方法の一例について、
図11A〜11C及び
図12A〜Dを参照して説明する。
【0092】
まず、
図11Aに示すように、PENフィルム2をガラス基板Gの表面に対して貼付する。続いて、
図11Bに示すように、PENフィルム2上にバンク層7を、撥液性を有するバンク層形成用インクを用いて反転オフセット印刷法によって形成する。このようにバンク層7を反転オフセット印刷法により形成することによって、均一な膜厚のバンク層形成用パターニング膜を形成することができ、半導体用開口部7aの深さを十分に確保することができる。また、半導体用開口部7aを正確な位置に配置することができる。
【0093】
続いて、
図11Cに示すように、半導体用開口部7aにインクジェット法により半導体層8を形成する。続いて、
図12Aに示すように、バンク層7上に一部が半導体層8に掛かるように、ソース電極5及びドレイン電極6を形成する。ここでは、ソース電極5及びドレイン電極6を、上記第1実施形態におけるソース電極5のベース金属層5a及びドレイン電極6のベース金属層6aと同様に、反転オフセット印刷法により形成する。このように、ソース電極5及びドレイン電極6を反転オフセット印刷法により形成することによって、ソース電極5及びドレイン電極6を高い精度で微細化することができ、またソース電極5及びドレイン電極6を位置精度高く形成することができる。なお、ソース電極5及びドレイン電極6に合わせてソース線も同時に反転オフセット印刷法によって、一括形成される。
【0094】
続いて、
図12Bに示すように、保護膜9を形成する。さらに、
図12Cに示すように、ソース電極5、ドレイン電極6及び保護膜9が形成されたバンク層7上に中間層10を形成する。中間層10は、反転オフセット印刷法によって形成する。このように中間層10を反転オフセット印刷法によって形成することによって、保護膜9上の中間層10の層厚を十分に確保することができ、半導体層8に水等が侵入することを確実に防止することができる。また、保護膜9、バンク層7、ソース電極5及びドレイン電極6の表面の液体に対する特性に影響を受けずに中間層10を形成することができ、フォトリソグラフィー工程で中間層10を形成する場合と比較して、均一な膜厚を有する中間層10を確実に形成することができる。また、極めて高い印刷位置精度で印刷することができることから貫通孔10aを正確な位置に配置して、コンタクトホール11を確実に形成することができる。
【0095】
続いて、
図12Dに示すように、中間層10上にゲート電極3及び不図示のゲート線を形成し、さらに中間層10の貫通孔10aに連通される貫通孔13aを有する第2中間層13を反転オフセット印刷法により形成する。このように、第2中間層13が反転オフセット印刷法により形成されるため、中間層10、ゲート電極3及びゲート線の表面特性に影響されることなく第2中間層13を正確な位置に形成することができる。均一な膜厚を有する第2中間層13を確実に形成することができる。また、極めて高い印刷位置精度で印刷することができることから貫通孔13aを正確な位置に配置して、コンタクトホール11を確実に形成することができる。
【0096】
続いて、グラビアオフセット印刷法によって画素電極12を形成する。そして、最後にガラス基板GからPENフィルム2を剥離させることによって、駆動回路基板1Cが完成する。
【0097】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0098】
例えば、
図13に示すように、半導体層8としてp型半導体層を有するTFT構造20と、半導体層8としてn型半導体層を有するTFT構造21とが接続された相補型MOS構造を有する駆動回路基板1Dの製造方法に本発明を適用することもできる。このような駆動回路基板1Dでは、
図13に示すように、TFT構造20のソース電極5とTFT構造21のドレイン電極6が、バンク層7を貫通する接続層30によって接続されている。このような駆動回路基板1Dを製造する場合に、バンク層7を反転オフセット印刷法によって形成することによって、接続層30を形成するためのビアホールを正確に形成することができ、TFT構造20とTFT構造21とを確実に接続することができる。なお、
図13においては、TFT構造20及びTFT構造21がトップゲートトップコンタクト型であるが、これに限定されるものではない。また、同様に、同型の半導体層8同士が接続された電流駆動回路の製造方法に本発明を適用することも可能である。また、本変形例では、TFT構造20がp型半導体層を有しているため、TFT構造20で用いられるめっき層5b及びめっき層6bとして、上述したp型半導体層に適した材料を有するめっき層5b1及びめっき層6b1が形成されている。また、TFT構造21がn型半導体層を有しているため、TFT構造21で用いられるめっき層5b及びめっき層6bとして、上述したn型半導体層に適した材料を有するめっき層5b2及びめっき層6b2が形成されている。
【0099】
また、
図14に示すように、2つのTFT構造22とTFT構造23とが接続された電流駆動回路を有する駆動回路基板1Eの製造方法に本発明を適用することもできる。このような駆動回路基板1Eでは、
図14に示すように、TFT構造22のゲート電極3が、バンク層7に形成された貫通孔7cと中間層10に形成された貫通孔10bが連通してなるスルーホール11aを通じて、TFT構造23のドレイン電極6と接続されている。なお、
図14においては、TFT構造22とTFT構造23とが、トップゲートボトムコンタクト型であるが、これに限定されるものではない。
【0100】
また、
図15に示すように、半導体層8の下部に配置されるゲート電極3である下側ゲート電極3aと、半導体層8の上部に配置されるゲート電極3である上側ゲート電極3bとを有するTFT構造を有する駆動回路基板1Fの製造方法に本発明を適用することもできる。このような場合には、駆動回路基板1Fは、
図15に示すように、下側ゲート電極3aを覆うゲート絶縁膜と、上側ゲート電極3bを覆う第2中間層13との両方を備える構成となる。なお、下側ゲート電極3aと上側ゲート電極3bとは、電位を定めるために取り出し配線の部分で電気的に結合される。このような構成の駆動回路基板1Fは、いわゆるダブルゲート構造を有しており、電流値を多く確保することが可能となる。
【0101】
また、
図16に示すように、ゲート電極3、ソース電極5、ドレイン電極6、及びそれらに付随する配線(図示せず)がバンク層7Aまたは7Bに埋め込まれた構造を有する、電極埋め込み型(BGBC型)TFT構造を有する駆動回路基板1Gの製造方法に本発明を適用することもできる。
例えば、ガラス基板G上に反転オフセット印刷法、撥液性絶縁インクをUV硬化または熱硬化させる方法等で予め形成された撥液性のバンク層7Aの凹部に、スピンコート法、IJ法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法等により、導電インクを埋め込むことで、ゲート電極3が形成される。ソース電極5及びドレイン電極6も、ゲート絶縁膜4上に上記と同様に形成されたバンク層7Bの凹部に、導電インクを埋め込んで形成される。この場合、めっき層5b,6bは、各々、ベース金属層5a,6aの半導体用開口部7aに露出する上面部分に形成される。
【0102】
また、上記実施形態においては、画素電極12の形成時に、画素電極12の形成材料をコンタクトホール11に押し込むことによって画素電極12とドレイン電極6との導通を確保していた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、コンタクトホール11に導電性のビアポストを形成し、このビアポストによって画素電極12とドレイン電極6との導通を確保するようにしても良い。このような場合には、コンタクトホール11の形成位置に先にビアポストを形成し、このビアポストを囲うようにバンク層7や中間層10等を形成すれば良い。
【0103】
また、上記実施形態においては、TFT構造を有する駆動回路装置の製造方法に本発明を適用する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、下地金属層とこの上に形成される絶縁層とを有し、絶縁層に開口部が形成される電子デバイスの製造方法の全般に適用することができる。例えば、複数の素子がコンタクトホールやビアホールを通じて層間接続されるような電子デバイスの製造方法に本発明は適用することができる。
【実施例】
【0104】
実施例1
以下のように、本実施形態を適用し、
図4に示すトップゲートボトムコンタクト型のTFT構造を有する液晶パネル用の駆動回路基板を作製した。
【0105】
まず、ガラス基板上にタックフィルムで貼り付けた約10cm×10cmのPENフィルム上に約3×3インチにナノ銀インク(RAGT28:DIC(株)製)を用いてチャネル長5μm、チャネル幅約60μm、電極幅5μmで200ppiとなるようにソース電極及びドレイン電極のベース金属層と、ソース配線を、反転オフセット印刷法によって一括形成し、150℃で1時間焼成して導電パターンを形成した。
【0106】
次いで、撥液性を有する反転オフセット印刷用絶縁膜インキ(RGI38(撥液):DIC(株)製)を用い、ベース金属層の一部を露出する半導体用開口部(チャネル部)とドレイン電極上にスルーホールとなる貫通孔が形成されるようにバンク層を反転オフセット印刷法により形成し、高圧水銀ランプを用い1000mJ照射後130℃で1時間熱処理を行うことで撥液性のバンク層を形成した。バンク層の水接触角は約102°であり、n−ヘキサデカンの接触角は約60°であった。
【0107】
次いで、無電界めっき法により、半導体用開口部に露出した導電パターン上に金(Au)めっき層を形成した。次いで、めっき層の表面に4(トリフルオロメチル)ベンゼンチオールIPA2wt%溶液を用いスピンコート法により自己組織単分子膜を形成した。自己組織単分子膜の形成後におけるソース電極及びドレイン電極の表面の仕事関数は、5.8eVであった。
【0108】
次いで、半導体用開口部にp型低分子有機半導体(4G−100:DIC(株)製(イオン化ポテンシャル≒5.7eV))約1wt%でテトラリンに溶解させた半導体インキを用い、インクジェット法により、半導体層を形成した。次いで、半導体用開口部の半導体層を覆うようにスクリーン印刷法でフッソ系樹脂(AF1600、5%ガルデンHT230溶液)膜を形成し、150℃で20分乾燥することで保護膜を形成した。
【0109】
次いで、反転オフセット印刷用絶縁膜インキ(RGI38:DIC(株)製)を用い、反転オフセット印刷法により、先に形成したフッ素樹脂の保護層を覆いかつ先に形成したバンク層の貫通孔と連通する貫通孔を有するパターン膜を形成し、130℃で30分加熱して膜厚約300nmの絶縁性の中間層を形成した。さらに、反転オフセット印刷法により、ゲート電極及び線幅約5μmのゲート配線を形成し、130℃で1時間の焼成を行った。
【0110】
次いで、反転オフセット印刷用絶縁膜インク(RGI38)を用い、先に形成したバンク層の貫通孔及び中間層の貫通孔に連通する貫通孔を有する絶縁膜(第2中間層)を反転オフセット印刷法により形成し、130℃で40分間加熱し、第2中間層を形成した。次いで、グラビアオフセット印刷法(GOAGT93C:DIC(株)製)により、開口率約90%となるように、先に形成したビアホール内にインクを押し込みドレイン電極と導通した画素電極を形成した。なお、画素電極のドレイン電極への連結導電パターンは120°、20分の熱処理により必要となる導電性を担保した。
【0111】
このように形成したトップゲートボトムコンタクトのTFT構造を有する駆動回路基板にけるトランジスタ特性を評価したところ、飽和移動度約4.8cm
2/Vs、線形移動度4.2cm
2/Vsであり、サブスレッショルド領域でのスロープ特性(SS)が約0.3V/decであり、オン・オフ比が約10
8のトランジスタ特性を示した。
【0112】
実施例2
以下のように、本実施形態を適用し、
図4に示すトップゲートボトムコンタクト型のTFT構造を有する液晶パネル用の駆動回路基板を作製した。
【0113】
まず、ガラス基板上にタックフィルムで貼り付けた約6インチ×6インチのPENフィルム上の約3×3インチにナノ銀インク(RAGT28:DIC(株)製)を用いてチャネル長5μm、チャネル幅約60μm、電極幅5μmで200ppiとなるようにソース電極及びドレイン電極のベース金属層と、ソース配線を、反転オフセット印刷法によって一括形成し、150℃で1時間焼成して導電パターンを形成した。
【0114】
次いで、先に形成したドレイン電極のベース金属層上に、グラビアオフセット用銀インク(GOAGT93C:DIC(株)製)を用い、グラビアオフセット印刷により直径約40μm、高さ約3μmのビアポストを形成し、120℃約20分焼成することで所定の導電性を有する導電ビアポストを形成した。
【0115】
次いで、撥液性を有する反転オフセット印刷用絶縁膜インキ(RGI38(撥液):DIC(株)製)を用い、ベース金属層の一部を露出する半導体用開口部(チャネル部分)とドレイン電極上にスルーホールとなる貫通孔が形成されるようにバンク層を反転オフセット印刷法により形成し、高圧水銀ランプを用い1000mJ照射後130℃で1時間熱処理を行うことで撥液性のバンク層を形成した。このとき、バンク層の貫通孔に先に形成したビアポストが挿通され、ビアポストの先端が貫通孔から突き出るようにバンク層を形成した。バンク層の水接触角は約102°であり、n−ヘキサデカンの接触角は約60°であった。
【0116】
次いで、無電界めっき法により、半導体用開口部に露出した導電パターン上に金(Au)めっき層を形成した。次いで、めっき層の表面に4(トリフルオロメチル)ベンゼンチオールIPA2wt%溶液を用いスピンコート法により自己組織単分子膜を形成した。自己組織単分子膜の形成後におけるソース電極及びドレイン電極の表面の仕事関数は、5.8eVであった。
【0117】
次いで、半導体用開口部にp型低分子有機半導体(4G−100:DIC(株)製(イオン化ポテンシャル≒5.7eV))を約0.8wt%でパラキシレンに溶解させた半導体インキを用いスピンコート法により撥液バンク内に半導体インキをパターン形成させ100℃、5分の乾燥により、バンク内のSAM処理されたドレイン電極及びソース電極上及びチャネル部分に半導体層を形成した。このとき、半導体層は撥液性を有するバンク層の半導体用開口内にパターン化されおり、バンク層の撥液性を有する表面へ半導体層形成材料の残存は皆無であった。またバンク層から突き出たビアポスト先端部への半導体層形成材料の残存付着も認められなかった。
【0118】
次いで、半導体用開口部に形成された半導体層を覆うようにスクリーン印刷法でフッソ系樹脂(AF1600、5%ガルデンHT230溶液)膜を形成し、100℃で10分乾燥することで保護層を形成した。
【0119】
次いで、反転オフセット印刷用絶縁膜インキ(RGI38:DIC(株)製)を用い、反転オフセット印刷法により、先に形成したフッ素樹脂の保護層を覆いかつ先に形成したバンク層の貫通孔と連通する貫通孔を有するパターン膜を形成し、130℃で30分加熱して膜厚約300nmの絶縁性の中間層を形成した。このとき、パターン膜の貫通孔にビアポストが挿入されるようにパターン膜を配置し、中間層を形成した。さらに、反転オフセット印刷法により、先に形成したソース電極及びドレイン電極のチャネル部分に重なるゲート電極と線幅約5μmのゲート配線を同時に形成し、130℃で1時間の焼成を行った。
【0120】
次いで、反転オフセット印刷用絶縁膜インク(RGI38)を用い、先に形成したビアポスト電極を内包するバンク層の貫通孔及び中間層の貫通孔に連通する貫通孔を有する絶縁膜(第2中間層)を反転オフセット印刷法により形成し、130℃で40分間加熱し、第2中間層を形成した。次いで、グラビアオフセット印刷法(GOAGT93C:DIC(株)製)により、開口率約90%となるように、先に形成したビアホール内にインクを押し込みドレイン電極と導通した画素電極を形成した。なお、画素電極のドレイン電極への連結導電パターンは120°、20分の熱処理により必要となる導電性を担保した。
【0121】
このように形成したトップゲートボトムコンタクトのTFT構造を有する駆動回路基板にけるトランジスタ特性を評価したところ、飽和移動度約5.2cm
2/Vs、線形移動度5cm
2/Vsであり、サブスレッショルド領域でのスロープ特性(SS)が約0.3V/decであり、オン・オフ比が約10
8のトランジスタ特性を示した。
【0122】
比較例として、上記実施例の保護膜形成後に、スリットダイコータを用いて絶縁インキ(SPGIT03:DIC(株)製)を用いフッ素樹脂膜上に絶縁層の形成を試みたが、絶縁インキのハジキが大きく、絶縁膜の形成が困難であった。