特許第6241574号(P6241574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6241574-透明樹脂組成物、及び熱線遮蔽フィルム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241574
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】透明樹脂組成物、及び熱線遮蔽フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/12 20060101AFI20171127BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20171127BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C08L101/12
   C08K3/22
   C08J5/18
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-519138(P2017-519138)
(86)(22)【出願日】2016年5月10日
(86)【国際出願番号】JP2016063921
(87)【国際公開番号】WO2016185951
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-100460(P2015-100460)
(32)【優先日】2015年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】菊田 良
(72)【発明者】
【氏名】前田 佳祐
【審査官】 海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−163525(JP,A)
【文献】 特開2003−215328(JP,A)
【文献】 特開平04−275377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂形成成分及び無機粒子を含有する透明樹脂組成物であって、
前記無機粒子が、酸化インジウムスズ(ITO)を含んでなり(ただし、SbフリーFドープ酸化スズ、6ホウ化物、又はレニウムを含むものを除く)、
前記無機粒子が、Lab色空間における、L値が30以上かつ50以下であり、かつb値が−18以上かつ−10以下である色を有し、
前記透明樹脂組成物の揮発成分を除去し、測定長を1μmとした場合の可視光透過率が80%以上であり、1,450nm〜1,750nmの波長の光透過率が10%以下であることを特徴とする透明樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機粒子の比表面積が、20m/g以上50m/g以下である請求項1に記載の透明樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機粒子の分散粒子径のメディアン値d50が、200nm以下である請求項1から2のいずれかに記載の透明樹脂組成物。
【請求項4】
前記無機粒子の含有量が、前記透明樹脂組成物における不揮発成分量の5体積%以上40体積%以下である請求項1から3のいずれかに記載の透明樹脂組成物。
【請求項5】
透明樹脂形成成分及び無機粒子を含有する熱線遮蔽フィルムであって、
前記無機粒子が、酸化インジウムスズ(ITO)を含んでなり(ただし、SbフリーFドープ酸化スズ、6ホウ化物、又はレニウムを含むものを除く)、
前記無機粒子が、Lab色空間における、L値が30以上かつ50以下であり、かつb値が−18以上かつ−10以下である色を有し、
可視光透過率が70%以上であり、1,450nm〜1,750nmの波長の光透過率が10%以下であり、かつヘイズ値が5%以下であることを特徴とする熱線遮蔽フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明樹脂組成物、及び熱線遮蔽フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や住宅などに使用されている窓ガラスは、太陽などから発せられる可視光も赤外光も透過させるため、前記自動車内や前記住宅室内の室温が上昇し、室内温度を調節するエネルギーを多く使う必要があった。そのため、可視光は通すが、赤外光は遮蔽する熱線遮蔽フィルムを前記窓ガラスに貼り付けて、室内の温度上昇を防ぐことが行われている。
前記熱線遮蔽フィルムに用いられる熱線遮蔽性材料としては、熱線を反射・吸収する酸化スズ、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(酸化インジウムスズ、ITO)等の金属酸化物粒子、あるいは熱線を遮蔽するフタロシアニン化合物等の有機化合物を、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明樹脂中に分散させた熱線遮蔽性コーティング組成物が用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
前記熱線遮蔽性コーティング組成物は、メタクリロイル基又はアクリロイル基を反応性官能基として有する架橋性化合物と、酸化アンチモンスズ(ATO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化バナジウム等の金属酸化物粒子や金属複合酸化物粒子と、重合開始剤及び分散剤とを混合してコーティング組成物としているので、このコーティング組成物を硬化させた場合、架橋性化合物と、金属酸化物粒子や金属複合酸化物粒子の表面との重合反応性に乏しく、したがって、得られたコーティング材の熱線遮蔽性、透明性及び耐摩耗性が低下し、特にフロントガラスや窓ガラスの表面に熱線遮蔽性を付与する場合に、透明性及び耐摩耗性が十分に得られないという問題点があった。
また、光に照射された際に、皮膚がジリジリと焼けるように感じる生理的な不快感(以下「ジリジリ感」と称することがある)は、波長1,500nm〜2,100nmの赤外線による影響が大きいが(例えば、非特許文献1)、太陽光(日射光)は、この波長域の内でも、波長1,450nm〜1,750nmに一定の強度を有している。したがって、特に波長1,450nm〜1,750nmの赤外線を遮蔽することにより、ジリジリ感を抑えることができることから、この波長域における熱線遮蔽性をもった樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007―84605号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】砂原一夫ら、「機能性ガラスにおける断熱・遮熱」、Journal of the Society of Inorganic Materials,Japan 14,403−409(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い可視光透過率を担保しつつ、特に1,450nm〜1,750nmの波長の光を効果的に遮蔽できる、より高い熱線遮蔽効果をもった透明樹脂組成物、及び熱線遮蔽フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 透明樹脂形成成分及び無機粒子を含有する透明樹脂組成物であって、前記無機粒子が、酸化インジウムスズ(ITO)を含んでなり、前記無機粒子が、Lab色空間における、L値が30以上かつ55以下であり、かつb値が−18以上かつ−10以下である色を有する透明樹脂組成物である。
<2> 前記無機粒子の比表面積が、20m/g〜50m/gである前記<1>に記載の透明樹脂組成物である。
<3> 前記無機粒子の分散粒子径のメディアン値d50が200nm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の透明樹脂組成物である。
<4> 前記無機粒子の含有量が、前記透明樹脂組成物における不揮発成分量の5体積%以上40体積%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の透明樹脂組成物である。
<5> 揮発成分を除去し、測定長を1μmとした場合の可視光透過率が80%以上であり、1,450nm〜1,750nmの波長の光透過率が30%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の透明樹脂組成物である。
<6> 可視光透過率が70%以上であり、1,450nm〜1,750nmの波長の光透過率が30%以下であり、かつヘイズ値が5%以下であることを特徴とする熱線遮蔽フィルムである。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の透明樹脂組成物で形成された前記<6>に記載の熱線遮蔽フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高い可視光透過率を担保しつつ、特に1,450nm〜1,750nmの波長の光を効果的に遮蔽できる、より高い熱線遮蔽効果をもった透明樹脂組成物、及び熱線遮蔽フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1、3、及び比較例1の250nm〜2,500nmの光透過率の測定結果、並びに地上における太陽光(日射光)の強度分布を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(透明樹脂組成物)
本発明の透明樹脂組成物は、透明樹脂形成成分及び無機粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0011】
<無機粒子>
前記無機粒子は、Lab色空間におけるL値及びb値が特定の数値範囲の色を有する粒子である。
【0012】
前記Lab色空間とは、色の表示方法の一つで、国際照明委員会(CIE)が1976年に策定したもので、色感覚を起こす原因になる色光の刺激量を物理的に測定し、明度(L値)、マゼンタと緑の度合(a値)、黄色と青の度合い(b値)で表示するものである。前記L値が0であれば黒を、100であれば白を表し、前記a値が負の値であれば緑寄りの色を、正の値であればマゼンタ寄りの色を表し、前記b値が負の値であれば青寄りの色を、正の値であれば黄色寄りの色を表す。
前記無機粒子の前記L値としては、30以上55以下であり、32以上50以下が好ましく、35以上45以下がより好ましい。前記無機粒子の前記b値としては、−18以上−10以下であり、−17以上−11以下が好ましく、−16以上−11以下がより好ましい。前記無機粒子の前記a値としては、−7.1以上−4.6以下が好ましく、−7.0以上−4.9以下がより好ましい。
前記Lab色空間の測定方法は、日本工業規格JIS Z 8781−4:2013に規定されており、当該測定方法に準拠した測定装置である分光色彩計、例えば、コニカミノルタ株式会社製SE2000や日本電色工業株式会社製SD7000等を用いて測定することができる。
【0013】
前記無機粒子としては、前記色を有するとともに、酸化インジウムスズ(ITO)を含む。すなわち、前記無機粒子は、酸化インジウムスズ(ITO)からなる粒子、又は酸化インジウムスズ(ITO)と他の成分(例えば、酸化アンチモンスズ(ATO)、セシウム含有酸化タングステン、アルミニウム含有酸化亜鉛、ガリウム含有酸化亜鉛、ニオブ含有酸化チタンなど)とを含む粒子である。なお、前記無機粒子における酸化インジウムスズ(ITO)の含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましい。
前記無機粒子としては、導電性を有することが好ましく、自由電子密度が1020/cm以上1022/cm以下の導電性粒子がより好ましい。
【0014】
前記無機粒子の色は、前記無機粒子を還元性雰囲気下で焼成することで変化でき、還元焼成条件を適宜選択することで調節することができる。前記還元焼成条件としては、例えば、焼成温度、焼成時間、還元性ガスの種類及び量(濃度)などを挙げることができる。前記還元性ガスとしては、例えば、水素、一酸化炭素などが挙げられる。
【0015】
前記無機粒子の平均一次粒子径としては、3nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上75nm以下がより好ましく、7nm以上40nm以下が更に好ましい。
前記無機粒子の平均一次粒子径が3nm以上100nm以下であれば、透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムにおける無機粒子の分散粒子径のメディアン値d50を200nm以下とすることができ、該透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムにおける透明性並びに該熱線遮蔽フィルムにおける耐摩耗性を向上できる。
前記平均一次粒子径とは、個々の前記無機粒子そのものの粒子径の平均値である。
前記平均一次粒子径の測定方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて、前記無機粒子それぞれの粒子径を測定し、前記粒子径の平均値を算出する方法が挙げられる。測定する前記無機粒子の個数は、100個以上が好ましく、500個以上がより好ましい。
【0016】
前記無機粒子の比表面積としては、20m/g以上50m/g以下が好ましく、20m/g以上45m/g以下がより好ましい。前記無機粒子の比表面積が20m/g以上50m/g以下であれば、前記無機粒子の平均一次粒子径を前記範囲に収めることができる。
前記比表面積は、BET法を用いて測定することができ、前記BET法の測定装置としては、例えば、日本ベル株式会社製 BELSORP−miniIIや株式会社島津製作所製 アサップ2020等を用いることができる。
【0017】
前記無機粒子の分散粒子径のメディアン値d50としては、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。前記無機粒子の分散粒子径のメディアン値d50が200nm以下であれば、前記透明樹脂組成物における可視光の散乱を抑制し、可視光透過性に優れた透明樹脂組成物を得ることができる。
さらに、この分散粒子径のメディアン値d50を200nm以下とすることにより、前記透明樹脂組成物を硬化してなる熱線遮蔽フィルムにおける前記無機粒子の平均分散粒子径を500nm以下、好ましくは200nm以下とすることができる。これにより、前記熱線遮蔽フィルムのヘイズ値を5%以下とすることができる。また、過大な凝集粒子に起因するフィルムの強度低下も防ぐことができ、よって耐摩耗性に優れた熱線遮蔽フィルムを得ることができる。
前記分散粒子径のメディアン値d50は、動的光散乱法やレーザ回折・散乱法により,分散体中の分散粒子の粒度分布として測定できる。特にnmサイズの粒子を測定対象とする場合には、動的光散乱法を用いることが好ましい。分散粒子径の積算%値であるメディアン値d50は、得られた粒度分布から計算できる。前記動的光散乱法を用いた粒度分布測定装置としては、例えば、株式会社堀場製作所社製 nano Partica SZ−100や日機装株式会社製 Microtrac 9340−UPA等を用いることができる。
【0018】
前記無機粒子の含有量は、前記透明樹脂組成物から溶媒等の揮発成分を除去した成分(以下、「透明樹脂組成物中の不揮発成分」と称する場合がある。)の量に対して5体積%以上40体積%以下が好ましく、10体積%以上30体積%以下がより好ましい。
前記無機粒子の含有量が5体積%以上40体積%以下の範囲であると、前記透明樹脂組成物を硬化してなる熱線遮蔽フィルムにおいて、可視光の良好な透過性と、1,450nm〜1,750nmの波長光の高い遮蔽性を有し、かつ十分な強度を有する熱線遮蔽フィルムを得ることができる。
【0019】
−無機粒子の表面修飾−
前記無機粒子の表面は、後述する透明樹脂及び透明樹脂形成成分との親和性や結合性を向上させる点から、表面修飾剤で修飾することが好ましい。
前記表面修飾剤としては、アルコキシシラン化合物、シロキサン化合物及び界面活性剤の群から選択された1種または2種以上が好適に用いられる。これらの表面修飾剤のうち特に好ましいのは、アルコキシシラン化合物としてはシランカップリング剤、シロキサン化合物としては変性シリコーン、界面活性剤としては陰イオン系界面活性剤あるいは非イオン系界面活性剤である。これらの表面修飾剤は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
また、前記表面修飾剤は、透明樹脂との親和性や結合性をより高めるために、透明樹脂形成成分との反応性を有する官能基を有することが好ましい。前記官能基としては、透明樹脂形成成分がアクリル系樹脂の場合には、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基などの他、不飽和結合を有するビニル基やスチリル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。透明樹脂がシリコーン系樹脂形成成分の場合には、不飽和結合基であるアルケニル基(ビニル基)やアルキニル基(エチニル基)、ハイドロジェン基(Si−H基)などが挙げられる。透明樹脂がエポキシ系樹脂形成成分の場合には、エポキシ基(グリシジル基)、ヒドロキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエチルジエトキシシラン、p−スチリルエチルジメトキシシラン、p−スチリルエチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、アリルエチルジメトキシシラン、アリルエチルジエトキシシラン、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、p−スチリルジエチルメトキシシラン、p−スチリルジエチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、アリルジエチルメトキシシラン、アリルジエチルエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
前記変性シリコーンとしては、メトキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メタクリレート変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンなどが挙げられる。
【0023】
前記陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系などが挙げられる。
前記非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
前記シランカップリング剤、前記変性シリコーン、前記陰イオン系界面活性剤、及び前記非イオン系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、相互に悪影響を及ぼさない範囲であれば2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記表面修飾剤の修飾量は、前記透明樹脂組成物が後述する可視光領域の平均光透過率を満たし、かつ前記透明樹脂組成物を硬化させてなる膜が実用上の強度を満たしていれば特に制限はなく、適宜選択することができる。
ここで、前記表面修飾剤が樹脂形成成分との反応性を有する官能基を有する場合には、前記表面修飾剤の修飾量は、無機粒子の全質量に対して、0.2質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
また、前記表面修飾剤中に樹脂形成成分との反応性を有する官能基を有さない場合には、前記表面修飾剤の修飾量は、無機粒子の全質量に対して、1質量%以上15質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましく、3質量%以上7質量%以下が更に好ましい。
【0025】
<透明樹脂形成成分>
前記透明樹脂形成成分は、後述の熱線遮蔽フィルムにおいてマトリックス材となる透明樹脂を形成するための成分であって、透明樹脂を形成するためのモノマーやオリゴマーが含まれ、流動性を有する未硬化物である。
前記透明樹脂とは、JIS K7361−1:1997に準拠した測定法により測定した、可視光領域全体の平均光透過率が60%以上の樹脂のことを言う。可視光領域全体の平均光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
前記透明樹脂としては、前記光透過率を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化型樹脂、又は紫外線硬化型樹脂を用いることができる。前記透明樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記透明樹脂は、光透過率が可視光全域において60%以上である無色透明の状態が好ましいが、目的に応じて、可視光領域の平均光透過率は60%以上であるが、可視光領域中で特定の波長領域だけ吸収をもたない有色透明の状態でもよい。
【0026】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本願発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、分散剤、重合開始剤、帯電防止剤、屈折率調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、カップリング剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、重合開始剤などが挙げられる。
【0027】
−溶媒−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明樹脂形成成分の溶解性の点から、有機溶媒が好ましい。前記有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アミド系溶媒、エーテルエステル系溶媒などが挙げられる。これら有機溶媒の中から、前記透明樹脂形成成分が良好に溶解するものを選択することが好ましい。前記有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
−分散剤−
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸エステル系、カルボン酸系、ポリカルボン酸系等のアニオン型界面活性剤、アミン類等のカチオン型界面活性剤、高級脂肪酸ポリエチレングリコールエステル系等のノニオン型界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アマイドエステル結合を有する高分子系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記アミン類としては、例えば、アミン、アミド、アミン系分散剤、アミン系界面活性剤、アミド型モノマー、アミン系溶媒、アミド系溶媒などが挙げられる。
アミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミンのいずれを用いてもよく、これらを混合して用いてもよいが、三級アミンを用いることが好ましい。
前記アミド型モノマーとしては、例えば、アクリルアミド型モノマーやメタクリルアミド型モノマーが好適に用いられる。このようなアミド型モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドなどが挙げられる。
【0030】
−重合開始剤−
前記重合開始剤は、前記樹脂形成成分として用いるモノマー及びオリゴマーの種類に応じて、適宜選択することができる。光硬化性の樹脂形成成分を用いる場合には、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤の種類や量は、使用する光硬化性の樹脂形成成分に応じて適宜選択される。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ジケトン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、チオキサントン系、キノン系、ベンジルジメチルケタール系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、フェニルフォスフィンオキサイド系などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
−増粘剤−
前記増粘剤としては、例えば、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルブミン、デンプン等の天然の水溶性高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボマー(カルボキシビニルポリマー)、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機鉱物などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
−透明樹脂組成物の粘度−
前記透明樹脂組成物の粘度としては、基材に塗布してフィルムを形成する点から、25℃で0.2mPa・s以上500mPa・s以下が好ましく、0.5mPa・s以上200mPa・s以下がより好ましい。
前記透明樹脂組成物の粘度が0.2mPa・s以上であれば、フィルムの平均厚みの制御が容易であり、前記透明樹脂組成物の粘度が500mPa・s以下であれば、前記透明樹脂組成物の取扱いが容易である。
前記透明樹脂組成物の粘度は、前記増粘剤又は前記溶媒を添加することにより調整することが好ましい。また、前記透明樹脂形成成分を部分的に重合させる、溶媒を除去することにより粘度を高めることもできる。
前記粘度は、前記透明樹脂組成物の粘度に合わせた測定装置を適宜選択することにより測定することができ、例えば、東機産業株式会社製 E形粘度計等を用いることができる。
【0033】
−透明樹脂組成物の光透過率−
前記透明樹脂組成物の光透過率としては、前記透明樹脂組成物中に含まれる溶媒等の揮発成分を除去したもの、即ち前記透明樹脂組成物中の不揮発成分の平均厚みを特定の値とすることで測定することができる。
前記揮発成分が除去された状態とは、前記透明樹脂組成物を基板に配し、乾燥させる間の重量変化を測定し、重量変化がなくなった状態を指す。
前記透明樹脂組成物中の不揮発成分の可視光領域の平均光透過率(可視光透過率、VLT)としては、前記透明樹脂組成物中の不揮発成分の平均厚みを1.0μmとしたとき、80%以上が好ましく、83%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。
前記透明樹脂組成物中の不揮発成分の可視光領域の平均光透過率(可視光透過率、VLT)が80%以上であれば、前記透明樹脂組成物を用いて形成した熱線遮蔽フィルムを自動車のフロントガラス、及び建築物の窓ガラスなどの表面に配した場合に、前記フロントガラス及び前記窓ガラスなどの可視光透過率の低下を防げ、透明性を十分に確保することができる。
【0034】
前記透明樹脂組成物中の不揮発成分の1,450nm〜1,750nmの光の透過率としては、前記透明樹脂組成物の平均厚みを1.0μmとしたとき、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、5%以下がより更に好ましい。
ここで、1,450nm〜1,750nmの光の透過率が30%以下であるとは、1,450nm〜1,750nmの波長帯域においては、各波長に対する光の透過率が30%以下であることを意味する。本実施形態の透明樹脂組成物は、1,450nm〜1,750nmの波長帯域においては、1,450nmにおける光の透過率が最大値となるため、1,450nmにおける光の透過率が30%以下であればよい。
前記透明樹脂組成物中の不揮発成分の1,450nm〜1,750nmの光の透過率が30%以下であると、前記透明樹脂組成物を用いて形成した熱線遮蔽フィルムを自動車のフロントガラス、及び建築物の窓ガラスなどの表面に配した場合に、遮蔽係数等の定量的指標の数値以上にジリジリ感のような体感を感じることがなくなる。
前記光透過率の測定は、例えば、可視光及び波長2,500nmまでの赤外光に対して実質的に透明な基板上に、前記透明樹脂組成物を、揮発成分を除去した後の平均厚みが1μmになるように塗布した後、50℃〜100℃で1分間〜10分間程度熱処理して、溶媒等の揮発成分を除去した前記透明樹脂組成物で行うことができる。測定は、基板のみの試料を比較対象として、前記測定試料を、日本工業規格JIS S3107:1998に準拠した測定法により、分光光度計(例えば、株式会社日立製作所製 U−4100や、株式会社島津製作所製 UV−3600など)を用いて行うことができる。
【0035】
前記透明樹脂組成物は、前記透明樹脂形成成分と、前記無機粒子乃至前記表面修飾された無機粒子と、必要に応じて前記分散剤、前記重合開始剤、前記溶媒等を、混合装置により機械的に混合する方法により得ることができる。
前記混合装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどが挙げられる。
【0036】
(熱線遮蔽フィルム)
本発明の熱線遮蔽フィルムは、可視光透過率が70%以上であり、1,450nm〜1,750nmの波長の光透過率が30%以下であり、かつヘイズ値が5%以下である。前記熱線遮蔽フィルムは、前記透明樹脂組成物から好適に形成される。
前記熱線遮蔽フィルムの形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記透明樹脂組成物からフィルムを形成してなる形態、基材上に前記透明樹脂組成物を積層させてなる形態などが挙げられる。
【0037】
本発明の第一の形態に係る熱線遮蔽フィルムは、前記透明樹脂組成物を硬化させた透明樹脂複合体からなる。
前記フィルムの平均厚みとしては、用途に応じて適宜調整されるが、0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下がより好ましい。
【0038】
本発明の第二の形態に係る熱線遮蔽フィルムは、前記透明樹脂組成物を硬化させた透明樹脂複合体及び基材からなる。前記透明樹脂複合体の平均厚みとしては、用途に応じて適宜調整されるが、0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下がより好ましい。前記熱線遮蔽フィルムは、前記前記透明樹脂組成物を基材上に配する工程と、前記基材上に配した前記透明樹脂組成物を硬化させる工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程から製造される。
前記透明樹脂組成物を配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコータ法、スクリーン印刷法、キスコータ法等、通常のウェットコート法などが挙げられる。
【0039】
前記透明樹脂組成物を硬化させる方法としては、前記透明樹脂組成物に含まれる前記透明樹脂形成成分の種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記透明樹脂形成成分が熱硬化型樹脂である場合、この樹脂形成成分が硬化するのに十分な温度及び時間にて加熱することにより硬化させることができる。また、前記透明樹脂形成成分が光硬化型樹脂である場合、この樹脂形成成分が硬化するのに十分なエネルギーを有する光を所定時間照射することにより硬化させることができる。
なお、前記透明樹脂組成物が溶媒等の揮発成分を含む場合には、透明樹脂組成物を硬化させる前に、該揮発成分を除去しておくことが好ましい。揮発成分の除去方法としては、適宜選択できるが、大気中ないしは減圧化での熱処理が好ましく、その条件は50℃〜150℃で1分間〜10分間程度が好ましい。
【0040】
前記光硬化型樹脂を硬化させる光としては、フィルムが硬化すれば、特に限定されないが、例えば、紫外線、遠赤外線、近紫外線、赤外線、X線、γ線、電子線、プロトン線、中性子線等のエネルギー線が挙げられる。前記エネルギー線の中でも、硬化速度が速く、装置の入手及び取り扱いが容易である点から、紫外線が好ましい。
【0041】
前記紫外線を照射する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、200nm〜500nmの波長帯域の紫外線を発生する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、100mJ/cm〜3,000mJ/cmのエネルギーにて、紫外線を照射する方法などが挙げられる。
【0042】
前記熱線遮蔽フィルムでは、前記透明樹脂組成物に含まれる前記無機粒子が表面修飾され、前記透明樹脂及び前記透明樹脂形成成分との親和性や結合性が向上しているため、前記熱線遮蔽フィルム中に無機粒子が均一に分散保持され易く、よって、前記熱線遮蔽フィルム内のすべての箇所での特性が均一となる。したがって、この前記熱線遮蔽フィルムの面内における屈折率がほぼ均一となり、前記熱線遮蔽フィルムの色ムラの発生が抑制される。また、前記無機粒子と前記透明樹脂との親和性や結合性が向上しているから、前記透明樹脂と前記無機粒子の界面における剥離等が発生せず、よって強度や耐摩耗性の高い熱線遮蔽フィルムが得られる。
【0043】
前記基材としては、可視光線を透過する樹脂であればよく、例えば、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE) 、ポリ塩化三フッ化エチレン(PCTFE)などが挙げられる。これらの中でも、透明性、安定性、コスト等の点から、ポリエステルフィルムが好ましく、前記ポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがより好ましい。
【0044】
前記基材の形態としては、シート状であってもよく、可撓性を有するフィルム状であってもよいが、フィルム状であることが好ましい。
前記基材の平均厚みとしては、その材料や、形成される熱線遮蔽フィルムの用途等に応じて適宜選択できるが、例えば、25μm以上200μm以下が好ましい。
【0045】
前記熱線遮蔽フィルムは、基材上に、前記透明樹脂組成物を、公知の塗工法、例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコータ法、スクリーン印刷法、キスコータ法等、通常のウェットコート法を用いて塗工し、加熱又は紫外線等の光を照射することにより硬化させることで得られる。
【0046】
前記熱線遮蔽フィルムは、視認性を保つために、可視光透過率は70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。前記可視光透過率は、前記熱線遮蔽フィルムを、日本工業規格JIS S3107:1998に準拠した測定法により、分光光度計(例えば、株式会社日立製作所製 U−4100、株式会社島津製作所製 UV−3600など)を用いて測定し、得ることができる。
また、透明性を損なわないために、ヘイズ(Hz)値としては、5.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましい。
前記ヘイズ値とは、全光線透過光に対する拡散透過光の割合(%)のことであり、日本工業規格JIS K 7136に準拠した測定法により、ヘイズメーター、例えば、日本電色工業株式会社製 NDH−2000や、株式会社村上色彩技術研究所製 HM−150等を用いて測定し、得ることができる。
【0047】
前記熱線遮蔽フィルムは、赤外光遮蔽性、特に遮蔽係数等の定量的指標の数値以上に体感するジリジリ感を抑制するために、波長1,450nm〜1,750nmの光の透過率が30%以下であり、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましい。前記波長1,450nm〜1,750nmの光の透過率は、前記可視光透過率の測定と同様、日本工業規格JIS S3107:1998に準拠した測定法により測定することができる。
【0048】
前記ヘイズ(Hz)値を5%以下とするためには、前記熱線遮蔽フィルムに含まれる前記無機粒子の平均分散粒子径が500nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。
特に無機粒子の平均二次粒子径が100nm以下であれば、前記無機粒子による可視光の散乱がほとんど抑制され、高い透明性を実現し易くなる。なお、平均分散粒子径の下限値は特に規定されるものではないが、平均分散粒子径が1nm未満の粒子を得ることは実質的に難しいため、通常は1nmが下限値となる。
【0049】
本発明の熱線遮蔽フィルムにより、高い可視光透過率を担保しつつ、より高い熱線遮蔽効果をもった透明樹脂組成物、及び熱線遮蔽フィルムを提供することができる。
したがって、本発明の熱線遮蔽フィルムを自動車のフロントガラスや建築物の窓ガラスの表面等に適用すれば、透明性及び耐摩耗性に優れ、かつ十分な熱線遮蔽性が得られる。
なお、本実施形態において、耐摩耗性の高い熱線遮蔽フィルムとは、日本工業規格JIS K 5600−5−9「テーバー摩耗試験」に準じて、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数50回の条件下にてテーバー摩耗試験を行った場合に、テーバー試験前のヘイズ値とテーバー試験後のヘイズ値との差分(ΔHz)が10.0%以下であることを意味する。ΔHzは5.0%以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
<無機粒子の作製及び評価>
無機粒子としては、酸化インジウムスズ(ITO)粒子(DOWAハイテック株式会社製F−ITO)を使用した。
前記ITO粒子をガラス管に入れ、300℃、窒素と水素の混合比97:3(体積比)のガス流通下で、5時間還元焼成を行い、色を調整した。前記還元焼成後のITO粒子の評価を以下のようにして行った。評価結果を下記及び表1に記載した。
【0052】
−色の測定−
得られた前記還元焼成後のITO粒子の色を、コニカミノルタ株式会社製分光色彩計 SE2000を使用し、日本工業規格JIS Z 8781−4:2013に準拠した測定方法により測定した。前記測定の結果、Lab色空間における、L値は42.3、b値は−16.8であった。
【0053】
−比表面積の測定−
得られた前記還元焼成後のITO粒子の比表面積を、日本ベル株式会社製 BELSORP−miniIIを使用し、BET法により測定した。前記測定の結果、比表面積は26.4m/gであった。
【0054】
<無機粒子分散液の製造>
前記還元焼成後のITO粒子50質量部に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる表面修飾剤(KBM−5103;信越化学工業株式会社製)7.5質量部、アルキルジメチルアミン0.75質量部、及び溶媒(分散媒)としてメチルイソブチルケトン(MIBK)41.75質量部を加え、直径0.1mmのガラスビーズを用いて、回転数2,500rpmで4時間ビーズミル処理をした後、ガラスビーズを分離し、実施例1の無機粒子分散液を作製した。
【0055】
<透明樹脂組成物の作製及び評価>
前記無機粒子分散液52.6質量部に、アクリル系樹脂形成成分として、多官能アクリレート樹脂形成成分(NKハード T−102;新中村化学工業株式会社製)20.1質量部、光重合開始剤(IRGACURE907;BASF社製)0.64質量部、溶媒としてトルエン11質量部及びMIBK15.66質量部を加え、十分に撹拌し、実施例1の透明樹脂組成物を得た。なお、前記ITO粒子の含有量は、透明樹脂組成物における不揮発性分量の17.3体積%であった。
実施例1の透明樹脂組成物の評価を以下のようにして行った。評価結果を下記及び表1に記載した。
【0056】
−分散粒子径の測定−
得られた実施例1の透明樹脂組成物における無機粒子の粒度分布を、日機装株式会社製 Microtrac 9340−UPAを使用し、動的光散乱法を用いて測定した。得られた粒度分布値から、分散粒子径のメディアン値d50を算出した結果、16.9nmであった。
【0057】
−光透過率の測定−
得られた実施例1の透明樹脂組成物における光透過率を、日本工業規格JIS S3107:1998に準じた測定法により測定した。
測定試料は、平均厚み3mmのガラス板に、揮発成分除去後の透明樹脂組成物の平均厚みが1.0μmとなるようにバーコーターにより塗布し、80℃にて3分間加熱して揮発成分を除去したものを使用した。前記測定試料における、透明樹脂組成物及びガラス板を透過する波長450nm〜2,500nmの光の透過率を、株式会社日立製作所製 U−4100分光光度計を使用して測定した。測定結果から算出した可視光透過率(VLT)は85.5%、波長1,450nmの光の透過率は1.5%であった。また、波長1,450nm〜1,750nmの波長帯域において、各波長に対する光の透過率は1.5%以下であった。
【0058】
−ヘイズ値の測定−
実施例1の透明樹脂組成物のヘイズ値(Hz)を、日本電色工業株式会社製ヘイズメーター TC−1800MK/IIを使用し、日本工業規格JIS K 7136に準拠した測定法により測定した。測定の結果、ヘイズ値は0.4%であった。
【0059】
<熱線遮蔽フィルムの作製及び評価>
実施例1の透明樹脂組成物を、基材となるPETフィルム(T4300;東洋紡株式会社製)に、硬化後の透明樹脂複合体の平均厚みが1.0μmとなるようにバーコーターにより塗布し、80℃にて1分間加熱して揮発成分を除去させた。前記加熱処理後、高圧水銀灯(120W/cm)を用いて紫外線を300mJ/cmのエネルギーとなるように露光し、PET基材上に透明樹脂複合体が形成された実施例1の熱線遮蔽フィルムを得た。
実施例1の熱線遮蔽フィルムの評価を以下のようにして行った。評価結果を下記及び表1に記載した。
【0060】
−光透過率の測定−
実施例1の熱線遮蔽フィルムの光透過率を、日本工業規格JIS S3107:1998に準拠した測定法により測定した。
実施例1の熱線遮蔽フィルムを、実施例1の透明樹脂組成物の光透過率の測定に用いたものと同一種類の平均厚み3mmのガラス板に粘着シートを用いて貼り付け、前記熱線遮蔽フィルム及び前記ガラス板を透過する波長450nm〜2,500nmの光の透過率を、株式会社日立製作所製 U−4100分光光度計を用いて測定した。測定結果を図1に示した。前記測定結果から算出した可視光透過率(VLT)は85.7%、波長1,450nmの光の透過率は1.4%であった。また、波長1,450nm〜1,750nmの波長帯域において、各波長に対する光の透過率は1.4%以下であった。
【0061】
−ヘイズ値の測定−
実施例1の熱線遮蔽フィルムのヘイズ値(Hz)を、日本電色工業株式会社製ヘイズメーター TC−1800MK/IIを使用し、日本工業規格JIS K 7136に準拠した測定法により測定した。測定の結果、ヘイズ値は0.3%であった。
【0062】
−耐摩耗試験−
実施例1の熱線遮蔽フィルムについて、日本工業規格JIS K 5600−5−9「テーバー摩耗試験」に準じて、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転数50回の条件下にてテーバー摩耗試験を行った後、前記「ヘイズ値の測定」と同様にしてテーバー試験後のヘイズ値を測定した。テーバー試験前のヘイズ値とテーバー試験後のヘイズ値との差分(ΔHz)を算出し、この差分をもって耐摩耗性を評価した。結果を表1に記載した。ΔHzは3.1%であった。
なお、ΔHzが5%以下であれば、優れた耐摩耗性を有すると評価できる。
【0063】
(実施例2)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が42.6、かつb値が−15.3となるようにし、比表面積が21.2m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例2の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例2の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0064】
(実施例3)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が40.9、かつb値が−13.2となるようにし、比表面積が25.8m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例3の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例3の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1及び図1に記載した。
【0065】
(実施例4)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が41.5、かつb値が−12.0となるようにし、比表面積が42.5m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例4の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例4の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0066】
(実施例5)
<無機粒子分散液の製造>
無機粒子としては、実施例1の還元焼成したITO粒子を使用した。
前記還元焼成後のITO粒子50質量部に、環状リン酸エステルからなる表面修飾剤(アデカコールCS−141E;株式会社ADEKA製)2質量部、及び酸基を有するコポリマーからなる表面修飾剤(DISPERBYK−111;ビックケミージャパン株式会社製)0.67質量部を加え、直径0.1mmのガラスビーズを用いてビーズミル処理を行い、前記還元焼成後のITO粒子を表面修飾した。前記表面修飾後のITO粒子に、溶媒(分散媒)としてトルエン38.44質量部を加え、更にアルミニウムセカンダリーブチレートを主成分とする表面処理剤(ASBD;川研ファインケミカル株式会社製)6.04質量部、及びキレート剤としてアセト酢酸メチル2.85質量部を加え、直径0.1mmのガラスビーズを用いて、回転数2,500rpmで4時間ビーズミル処理をした後、ガラスビーズを分離し、実施例5の無機粒子分散液を作製した。
【0067】
<透明樹脂組成物の作製及び評価>
実施例5の無機粒子分散液53質量部に、アクリル系樹脂形成成分として、多官能アクリレート樹脂形成成分(NKハード T−102;新中村化学工業株式会社製)24.43質量部、光重合開始剤(IRGACURE907;BASF社製)1.07質量部、溶媒としてトルエン21.49質量部を加え、十分に撹拌して、実施例5の透明樹脂組成物を得た。実施例5の透明樹脂組成物の評価を実施例1と同様にして行った。なお、前記ITO粒子の含有量は、透明樹脂組成物における不揮発性分量の16.4体積%であった。評価結果を表1に記載した。
【0068】
<熱線遮蔽フィルムの作製及び評価>
実施例1の透明樹脂組成物の代わりに、実施例5の透明樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例5の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例5の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムと同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0069】
(実施例6)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が37.1、かつb値が−14.0となるようにし、比表面積が32.6m/gのITO粒子を用いた以外は、前記実施例1と同じように製造し、実施例6の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例6の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0070】
(実施例7)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が36.4、かつb値が−13.7となるようにし、比表面積が32.9m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例7の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例7の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0071】
(実施例8)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が43.1、かつb値が−12.3となるようにし、比表面積が41.2m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例8の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例8の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0072】
(実施例9)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が51.0、かつb値が−14.7となるようにし、比表面積が24.3m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例9の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例9の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0073】
(実施例10)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が49.3、かつb値が−16.0となるようにし、比表面積が24.3m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例10の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例10の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0074】
(実施例11)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が47.5、かつb値が−13.1となるようにし、比表面積が21.8m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例11の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例11の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0075】
(実施例12)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、色を、L値が42.6、かつb値が−10.0となるようにし、比表面積が24.7m/gのITO粒子を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、実施例12の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた実施例12の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0076】
(比較例1)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、L値が60.8、かつb値が−13.1の色を有するITO粒子(F−ITO;DOWAハイテック株式会社製)を還元焼成せずに用いた以外は、実施例1と同じように製造し、比較例1の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた比較例1の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1及び図1に記載した。
【0077】
(比較例2)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、L値が61.4、かつb値が−4.2の色を有するITO粒子(前記還元焼成を窒素ガスのみで行ったもの)を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、比較例2の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた比較例2の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0078】
(比較例3)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、L値が28.1、かつb値が−8.1の色を有するITO粒子(前記還元焼成の温度を高めることで、ITO粒子の還元状態を高くしたもの)を用いた以外は、実施例1と同じように製造し、比較例3の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた比較例3の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0079】
(比較例4)
実施例1の還元焼成したITO粒子の代わりに、比較例1と同一のITO粒子を用いた以外は、実施例5と同じように製造し、比較例4の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムを得た。得られた比較例4の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムについては、実施例1と同様の評価を行い、評価結果を表1に記載した。
【0080】
【表1】
【0081】
表1及び図1の結果より、L値が30〜55、かつb値が−18〜−10である色を有するITO粒子を使用した実施例1〜12の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムでは、可視光透過率が80%以上と高いにもかかわらず、1,450nm〜1,750nmの光透過率が30%以下であった。これらの結果から、L値が30〜55、かつb値が−18〜−10である色を有するITO粒子を使用した熱線遮蔽フィルムは、1,450nm〜1,750nmの光透過率が低く、高い熱線遮蔽性を有することを示した。
これに対して、L値及びb値の少なくとも一方が前記範囲から外れる色を有するITO粒子を使用した比較例1〜4の透明樹脂組成物及び熱線遮蔽フィルムでは、1,450nmの光透過率が40%以上と高い(比較例1、2及び4)、または可視光透過率が70%未満と低い(比較例3)ため、いずれも熱線遮蔽フィルムとしての使用には不適当であった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の透明樹脂組成物は、高い熱線遮蔽性、特に1,450nm〜1,750nmの波長領域の光に対して高い熱線遮蔽性を維持することができ、しかも高い可視光透過率及び高い耐摩耗性を維持することができるから、例えば、自動車のフロントガラスや建築物の窓ガラスにて熱線を反射・吸収するフィルムなどに好適である。
図1