(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241617
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】コバルト粉の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/26 20060101AFI20171127BHJP
C22B 23/06 20060101ALI20171127BHJP
C22B 5/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
B22F9/26 C
C22B23/06
C22B5/00
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-263601(P2014-263601)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-108646(P2016-108646A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2016年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-245295(P2014-245295)
(32)【優先日】2014年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】平郡 伸一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 佳智
(72)【発明者】
【氏名】高石 和幸
(72)【発明者】
【氏名】大原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山隈 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】池田 修
(72)【発明者】
【氏名】工藤 陽平
(72)【発明者】
【氏名】土居 安夫
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭32−009051(JP,B1)
【文献】
特開2014−098186(JP,A)
【文献】
特表平08−503999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00−9/30
C22B 23/00−23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液に、前記溶液に不溶な直径0.1〜3mmの球状もしくは楕円形等の角が無い形状で、表面のカスを取り除いた不溶性固体を加えて、混合スラリーを形成する混合工程と、
前記混合スラリーを反応槽内に装入した後、前記混合スラリー内に水素ガスを吹き込んで、前記混合スラリーに含まれるコバルト錯イオンを還元して、前記不溶性固体表面にコバルト析出物を形成する還元・析出工程と、
前記不溶性固体表面のコバルト析出物を、前記不溶性固体表面から分離してコバルト粉を形成する分離工程を、
順に経てコバルト粉を作製することを特徴とするコバルト粉の製造方法。
【請求項2】
前記硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中の硫酸アンモニウム濃度が、10〜500g/Lの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のコバルト粉の製造方法。
【請求項3】
前記硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中のコバルト濃度が、50g/L以上、100g/L以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコバルト粉の製造方法。
【請求項4】
前記還元工程における水素ガスを吹き込む際の混合スラリーの温度が、150〜200℃であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコバルト粉の製造方法。
【請求項5】
前記還元工程における水素ガスを吹き込む際の反応槽内気相部の圧力が、1.0〜4.0MPaの範囲であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコバルト粉の製造方法。
【請求項6】
前記不溶性固体が、コバルト、アルミナ、ジルコニア、鉄、シリカの中から選択される1種もしくは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコバルト粉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液から、種結晶として利用できる微小コバルト粉末を製造する方法に関するもので、特に湿式コバルト製錬プロセスから発生する工程内の中間生成溶液の処理に適用できる。
【背景技術】
【0002】
微小なコバルト粉を製造する方法として、溶融させたコバルトをガスまたは水中に分散させ微細粉を得るアトマイズ法や、特許文献1に示されるような、コバルトを揮発させ、気相中で還元することでコバルト粉を得るCVD法などの乾式法が知られている。
【0003】
また、湿式プロセスによりコバルト粉を製造する方法としては、特許文献2に示されるような、還元剤を用いて生成する方法や、特許文献3に示されるような、高温で還元雰囲気中にコバルト溶液を噴霧することにより、熱分解反応によりコバルト粉を得る噴霧熱分解法などがある。
しかし、これらの方法は高価な試薬類や多量のエネルギーを必要とするため、経済的とは言えない。
【0004】
一方、非特許文献1に示されるような、硫酸コバルトアンミン錯体溶液に水素ガスを供給して錯体溶液中のコバルトイオンを還元してコバルト粉を得る方法は、工業的に安価であり有用である。けれども、この方法においては得られるコバルト粉粒子は粗大化しやすく、種結晶に使えるような微細な粉末を製造することは困難であった。
【0005】
特に、水溶液中から粒子を発生させ成長させようとする場合、種結晶と呼ばれる微細な結晶を少量共存させ、そこに還元剤を供給し、種結晶を成長させて所定の粒径の粉末を得る方法が用いられる。この方法で用いる種結晶は、製品を粉砕するなどして得ることが多いが、手間も要し、また収率が減少するのでコスト増加につながる。また、粉砕によって必ずしも最適な粒径や性状の種結晶が得られるとは限らず、安定して種結晶を得る方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−505695号公報
【特許文献2】特開2010−242143号公報
【特許文献3】特許4286220号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“The Manufacture and properties of Metal powder produced by the gaseous reduction of aqueous solutions”, Powder metallurgy, No.1/2(1958), pp40−52.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況の中で、本発明は、硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液からコバルト粉の製造に適切な種結晶となる微小なコバルト粉を製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明の第1の発明は、硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液に、この溶液に不溶な
直径0.1〜3mmの球状もしくは楕円形等の角が無い形状で、表面のカスを取り除いた不溶性固体を加えて、混合スラリーを形成する混合工程と、混合スラリーを反応槽内に装入した後、その混合スラリー内に水素ガスを吹き込んで、混合スラリーに含まれるコバルト錯イオンを還元して、含まれる不溶性固体表面にコバルト析出物を形成する還元・析出工程と、その不溶性固体表面のコバルト析出物を、不溶性固体表面から分離してコバルト粉を形成する分離工程を順に経てコバルト粉を作製することを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
【0010】
本発明の第2の発明は、第1の発明における硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中の硫酸アンモニウム濃度が、10〜500g/Lの範囲であることを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
【0011】
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中のコバルト濃度が、50g/L以上、100g/L以下であることを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
【0012】
本発明の第4の発明は、第1〜第3の発明の還元工程における水素ガスを吹き込む際の混合スラリーの温度が、150〜200℃であることを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
【0013】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の還元工程における水素ガスを吹き込む際の反応槽内気相部の圧力が、1.0〜4.0MPaの範囲であることを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
【0014】
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明における不溶性固体が、コバルト、アルミナ、ジルコニア、鉄、シリカの中から選択される1種もしくは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、硫酸コバルトアンミン錯体溶液から、水素ガスを用いて、より経済的で効率よくコバルト粉の製造に使用する種結晶に最適な微小なコバルト粉を製造する方法の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るコバルト粉の製造方法の製造フロー図である。
【
図2】実施例1で生成したコバルト粉の外観を示すSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は硫酸コバルトアンミン錯体溶液に、この溶液に不溶な不溶性固体、若しくは、その不溶性固体と分散剤を加えて形成した混合スラリーのスラリー内に、水素ガスを吹き込むことによりコバルト粉を製造することを特徴とするコバルト粉の製造方法である。
以下、本発明のコバルト粉の製造方法を、
図1に示す製造フロー図を参照して説明する。
【0018】
[硫酸コバルトアンミン錯体溶液]
本発明に用いる硫酸コバルトアンミン錯体溶液は、特に限定はされないが、コバルトおよびコバルト混合硫化物、粗硫酸コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルト粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのコバルト含有物を、硫酸あるいはアンモニアにより溶解して得られるコバルト浸出液(コバルトを含む溶液)を、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより溶液中の不純物元素を除去して得られる溶液に、アンモニアを添加し、硫酸コバルトアンミン錯体溶液としたもの等が適し、コバルトはコバルト錯イオンの形で含まれている。
【0019】
なお、本発明においては、硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中のコバルト濃度を50g/L以上、100g/L以下、好ましくは50g/L以上、80g/L以下の範囲とする。
このコバルト濃度の範囲限定は、アンモニアを添加する前の硫酸コバルトを含有する溶液には多くの場合、微量のカルシウムも含まれるが、カルシウムはコバルトと同じ挙動を取るので、コバルト濃度が100g/Lを超えて存在する溶液では、カルシウムが石膏として析出する懸念があるためである。
【0020】
また、この硫酸コバルトを含有する溶液は、アンモニアの添加によって希釈され、さらに、後述するように還元工程で発生した濾液を繰り返すことなどで希釈されるため、50g/L未満の濃度では希薄過ぎて、処理する設備の規模が増大するなどの生産効率の低下が発生する。このため、50g/L以上の濃度であることが好ましい。
【0021】
[混合工程]
<不溶性固体の添加>
この工程では、上記の硫酸コバルトアンミン錯体溶液に、その錯体溶液に不溶であり、析出の母体となる不溶性固体を添加する。
ここで添加する不溶性固体は、硫酸コバルトアンミン錯体溶液、硫酸アンモニウム水溶液或いはアルカリ溶液に対して不溶、若しくは溶解度が小さいものであれば、特に限定はされず、例えば、コバルト粉、鉄粉、アルミナ粉、ジルコニア粉、シリカ粉などを用いることができる。
【0022】
さらに、溶液中の硫酸アンモニウム濃度は、10〜500g/Lの範囲とすることが好ましい。500g/L以上では溶解度を超えてしまい結晶が析出する。また、反応により硫酸アンモニウムが新たに生成するため、10g/L未満を達成するのは困難である。
なお、不溶性固体の添加に際しては、その添加前に硫酸コバルトアンミン錯体溶液に分散剤を添加し、その後に不溶性固体の添加を行っても良く、使用する分散剤はカルボン酸を有するものであれば特に限定されないが、工業的に安価に入手できるものとしてポリアクリル酸が好適である。
【0023】
本発明では、従来一般に使われてきた種結晶を用いて粉末を析出させ、種結晶ごと製品とする方法でなく、不溶性固体表面への必要な析出(コバルトの析出)が終わった後に、不溶性固体と析出、成長した粉末(コバルトの析出物)とを切り離して、その粉末部分のみを製品とするもので、本発明のこのような方法によれば、種結晶自身がもつ不純物としての性質による製品への影響が回避できる。
【0024】
この不溶性固体の添加量は、特に限定されず、固体の種類に応じて、硫酸コバルトアンミン錯体溶液に添加した時に撹拌による混合が可能な量を選択する。
形状や大きさも特に限定はしないが、後述するように互いに衝突させたり、振動を与えたりして表面に析出したコバルト粉は分離することがあるので、衝撃や摩擦に耐える強度を有し、コバルト粉が効果的に分離できるように表面がなだらかな形状であるものが適している。
また、不溶性固体とコバルト粉との効果的な分離を考えると、実操業では例えば直径0.1〜3mm程度の球状もしくは楕円形等の角が無い形状であるものが使いやすい。
【0025】
なお、コバルト粉を析出させるのに先立ってあらかじめ衝突や衝撃を与えて、不溶性固体表面のカス等を取り除いてから本発明の不溶性固体として用いることが好ましい。
また、コバルト粉を分離した後の不溶性固体は、必要に応じて洗浄等の前処理を行った後で再び繰り返して使用することもできる。
【0026】
[還元・析出工程]
次に、この工程は前工程において不溶性固体を添加して形成したスラリーを、耐高圧高温容器の反応槽内に装入し、その反応槽内に貯留されたスラリー内に水素ガスを吹き込み、そのスラリー中のコバルト錯イオンを還元し、含まれる不溶性固体上にコバルトを析出させるものである。
このときの混合スラリーの温度、即ち反応温度は、150〜200℃の範囲が好ましい。150℃未満では還元効率が低下し、200℃以上にしても反応への影響はなく、むしろ熱エネルギー等のロスが増加するので適さない。
【0027】
さらに、反応時における反応槽内気相部(反応槽に溶液を貯留した後に残った反応槽内の空間部を指す)の圧力は、水素ガスの供給により1.0〜4.0MPaに維持することが好ましい。1.0MPa未満では反応効率が低下し、4.0MPaを超えても反応への影響はなく、水素ガスのロスが増加する。なお、水素ガスの混合スラリー内への吹き込みは、この反応槽内気相部に吹き込んでもスラリー中のコバルト錯イオンの還元は可能である。
【0028】
このような条件による還元・析出処理によって、不溶性固体上にコバルトの析出物が形成され、微細な粉状のコバルトの析出物として溶液に含まれるコバルトを抽出、回収できる。
【0029】
[分離工程]
この工程では、前工程で生成したコバルト析出物は不溶性固体上にくっついた状態であり、その状態では利用できないので、表面に形成されたコバルト析出物を不溶性固体と分離、コバルト粉として回収するものである。
【0030】
その具体的な分離方法として、例えば発熱で酸化しないように、不溶性固体ごと水中に入れ、回転して不溶性固体同士を衝突させて表面のコバルト粉を分離する方法、湿式篩上で回転させて、分離したコバルト粉を同時に篩い分ける方法、さらに、液中に超音波を加えて振動を与え、分離するなどの方法がある。目開きが不溶性固体の大きさより細かいものであれば用いることができる。
【0031】
以上のようにして製造したコバルト粉は、例えば積層セラミックコンデンサーの内部構成物質であるコバルトペースト用途として用いることができる他、回収したコバルト粉を種晶として上記水素還元を繰り返すことにより粒子を成長させ、高純度のコバルトメタルを製造することができる。
【0032】
以下に本発明を、実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0033】
[混合工程]
コバルト75g(硫酸コバルト溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤として40wt%ポリアクリル酸2.5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体として直径1mmのジルコニアボール190gを添加して混合スラリーを作製した。
【0034】
[還元・析出工程]
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、混合スラリー中に水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から120分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
【0035】
[分離工程]
冷却後、内筒缶内の混合スラリーを濾過して表面にコバルトの析出物を生成した不溶体固体を取り出し、次いで目開きが500μmの湿式篩に取り出した不溶性固体を入れ、振動を加えて母体の不溶性固体と析出したコバルト粉とを分離した。
回収したコバルト粉を観察したところ、
図2に示すように微細なコバルト粉が生成していることを確認した。また、コバルト粉の生成反応率は86%であった。
【0036】
(比較例1)
[混合工程]
コバルト75g(硫酸コバルト溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤に40wt%ポリアクリル酸5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体を添加せずに次の操作を行なった。
【0037】
[還元・析出工程]
作製した溶液をオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から60分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
【0038】
[分離工程]
冷却後、内筒缶内の溶液を濾過したが、コバルト粉は1gしか回収できず、内筒缶内の側壁や攪拌機に約15gの板状のコバルトのスケーリングが生成した。
【0039】
実施例1及び比較例1から明らかなように、不溶性固体を含む混合スラリーからは、微細なコバルト粉を効率良く生成可能であるが、不溶性固体が存在しない場合では、所望のコバルト粉を生成できなかった。
【0040】
(比較例2)
[混合工程]
コバルト110g(硫酸コバルト溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml、分散剤として40wt%ポリアクリル酸2.5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液を作製した。
この溶液に、析出母体となる不溶性固体として直径1mmのジルコニアボール190gを添加して混合スラリーを作製した。
【0041】
[還元・析出工程]
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、混合スラリー中に水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から120分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
【0042】
[分離工程]
冷却後、内筒缶内の混合スラリーを濾過して表面にコバルトの析出物を生成した不溶体固体を取り出し、次いで目開きが500μmの湿式篩に取り出した不溶性固体を入れ、振動を加えて母体の不溶性固体と析出したコバルト粉とを分離した。
【0043】
回収したコバルト粉を観察したところ、実施例1と同様な微細なコバルト粉が生成していることを確認した。しかし、石膏の生成も観察され、コバルト粉として製品に供することはできなかった。