特許第6241656号(P6241656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241656
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20171127BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20171127BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20171127BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   B01D63/02
   B01D63/00 510
   A61B1/12
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-512906(P2013-512906)
(86)(22)【出願日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2013054317
(87)【国際公開番号】WO2013129227
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-44394(P2012-44394)
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】谷崎 美江
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 博行
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−055039(JP,A)
【文献】 国際公開第02/036248(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/007151(WO,A1)
【文献】 特開2011−072900(JP,A)
【文献】 特開2003−126846(JP,A)
【文献】 特開平11−253936(JP,A)
【文献】 特開昭62−244409(JP,A)
【文献】 特開2009−226326(JP,A)
【文献】 特開2009−118916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00 − 71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に入水部及び出水部が配されたハウジングケースと、このハウジングケース内に備えられた膜モジュールとを有する濾過装置であって、
前記ハウジングケース内部には、前記入水部から流入した原水を前記ハウジングケースの他端側に流すための第1の流路と、
前記第1の流路を通って前記ハウジングケースの他端側に流された原水を、前記膜モジュールを通過させて前記出水部まで流すための第2の流路と、
前記第2の流路の前記膜モジュールより上流側に配置されたスペーサと、
前記ハウジングケースの他端側を閉鎖する底蓋と、を備え、
前記底蓋は、内側面から前記ハウジングケース内の前記第2の流路に向かって延びる複数の支持壁を有し、各支持壁は前記底蓋の外周部から中心方向に放射状に延び且つ前記底蓋の中心部分では互いに離間して空間を形成するように配置され、
前記スペーサは、前記ハウジングケースの他端に向けて開口したスペーサ入水口と、前記ハウジングケースの一端に向けて開口したスペーサ出水口とを有する筒状形状を有し、前記支持壁上に前記スペーサ入水口と前記支持壁の間の空間とが連通するように配置されている、
ことを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記第1の流路は、前記膜モジュールと前記ハウジングケースの内壁との間に設けられている、
請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記膜モジュールは、U字状に折り曲げられた複数本の中空糸膜で構成され、前記複数の中空糸膜の各両端が円筒状または円錐台形状の封止部で固定されている中空糸膜体と、
膜モジュール入水口及び膜モジュール出水口を有する中空のホルダ部と、を備え、
前記中空糸膜体は、封止部が前記膜モジュール出水口に面するように前記ホルダ内に固定されており、
前記ホルダ部の膜モジュール入水口側流入側端部の直径が、前記中空糸膜体の封止部の出水口側底面の直径の直径よりも長い、
請求項1または2に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記複数本の中空糸膜は、親水性中空糸膜と疎水性中空糸膜とを含む、
請求項3に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記ハウジングケースは、前記入水部及び前記出水部を外部装置の配管と接続するときに、カプラー方式で前記外部装置に接続できるようになっている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記ハウジングケースの底面に形成された水抜き機構を備える、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置用の濾過装置に関し、特に、内視鏡などの医療器具の洗浄装置に用いられる濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば水道管から供給された原水を濾過する浄水器として特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の浄水器は、筒状の浄水器カートリッジの一端側からカートリッジに入水した原水を浄水器カートリッジの内壁に沿って他端方向に流し、浄水器カートリッジの他端側径方向中央に配置された活性炭を通過させ、次いで、活性炭よりも浄水器カートリッジの一端側にある中空糸膜を通過させて浄水として外部に供給するように構成されている。
【0003】
一方、特許文献2には医療用具の洗浄消毒装置が記載されており、例えば、この様な洗浄消毒装置の洗浄液を循環して用いる場合などにも濾過装置は用いられる(特に、[0025]、図3を参照)。この様な医療用途等の洗浄液用の濾過装置には、塩素を取り除く必要がないため活性炭等を設ける必要はないが、短期間で大量の水を処理することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−226326号公報
【特許文献2】特開2009−118916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、活性炭等を必要とせず、且つ高い水処理能力が必要とされている内視鏡などの医療器具の洗浄装置に用いられる濾過装置として、単に特許文献1に記載されたような浄水器から浄化材を取り除いたものを使用すると、浄化材を取り除いたことによって一定時間あたりの水の処理量は増加するが、濾過装置内部の中空糸フィルタの長寿命化を図ることができないという問題があった。即ち特許文献1に記載されたようなキッチン用の浄水器では、想定されている水の処理量が比較的少ないため、仮に浄化材を取り除いて水処理能力を向上させたとしても、消耗品である中空糸フィルタの寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、浄化材を必要とせず、且つ高い水処理能力が必要とされている浄水装置において、高い水処理能力を発揮しながら、中空糸フィルタの長寿命化を図ることができる濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、一端側に入水部及び出水部が配されたハウジングケースと、このハウジングケース内に備えられた膜モジュールとを有する濾過装置であって、ハウジングケース内部には、入水部から流入した原水をハウジングケースの他端側に流すための第1の流路と、この第1の流路を通ってハウジングケースの他端側に流された原水を、膜モジュールを通過させて出水部まで流すための第2の流路とが設けられており、第2の流路上には、膜モジュールよりも上流側に、スペーサが配されている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、第2の流路上における膜モジュールよりも上流側にスペーサを配置し、膜モジュールの上流側に空間を形成することによって、確実に膜モジュールの上流側から原水を入水させることができる。これにより、膜モジュールをムラなく一様に使用することができ、膜モジュールの長寿命化を図ることができる。また、活性炭等の浄化材を介さずに、原水を流すようにすることで、膜の上流側に浄化材がある場合と比較して圧力損失を減らすことができる。また、第2の流路上における膜モジュールよりも上流側にスペーサを配置してここに空間を形成することによって、この空間内に膜モジュールから離脱した濁質を溜めることができる。これにより、膜モジュールから離脱した濁質が行き場を無くして再度膜モジュールによって捕捉されるのを防止することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、第1の流路は、膜モジュールとハウジングケースの内壁との間に設けられている。
【0010】
このように膜モジュールとハウジングケースの内壁との間に第1の流路を形成することによって、入水部から流入した水を、膜モジュールにおけるハウジングケースの他端側から膜モジュール内に流入させることができる。これにより、膜モジュールの側部から膜モジュール内に水が流入するのを防止することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、スペーサは、ハウジングケースの底面に向けて開口したスペーサ入水口と、ハウジングケースの一端側に向けて開口したスペーサ出水口とを有する筒状体で構成されている。
【0012】
このように構成された本発明によれば、第2流路を通って膜モジュールにおけるハウジングケースの底面側に流れた水をスペーサによって整流することができるので、原水を膜モジュールの端面から一様に入水させることができる。これにより、より均一に膜モジュールを使用することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、膜モジュールは、U字状に折り曲げられた複数本の中空糸膜で構成され、複数の中空糸膜の各両端が円筒状または円錐台形状の封止部で固定されている中空糸膜体と、膜モジュール入水口、及び膜モジュール出水口を有する、中空のホルダ部とを備え、中空糸膜体は、封止部が膜モジュール出水口に面するようにホルダ内に固定されており、ホルダ部の膜モジュール入水口側流入側端部の直径が、中空糸膜体の封止部の出水口側底面の直径の直径よりも長い。
【0014】
このように構成された本発明によれば、中空糸膜体の流入側端部の直径を、中空糸膜体の流出側端部の直径よりも長くすることができるので、流出側端部において、中空糸膜体を構成する複数本の中空糸膜同士の間に隙間を形成することができる。これにより、流入側端部において中空糸膜の密度を粗にすることができ、中空糸膜の目詰まりを抑制することができる。さらに、流入側端部の中空糸膜の密度を粗にすることによって、中空糸膜で捕捉された濁質が中空糸膜から脱落しやすくなる。また、複数本の中空糸膜を用いることで、得られる濾過面積を大きくすることができ、濾過量を高めることができ、且つ濾過時の線速度を低下させることができるので、濾過寿命を延ばすことができる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、複数本の中空糸膜は、親水性中空糸膜と疎水性中空糸膜とを含む。
【0016】
このように構成された本発明によれば、親水性中空糸膜と疎水性中空糸膜とを混ぜることによって、原水が膜モジュールを通過しているときに良好に空気を抜くことができる。空気溜りが無くなる事で中空糸全体を使って濾過することができ、膜モジュールの長寿命化を図ることができる。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、ハウジングケースは、入水部及び出水部を外部装置の配管と接続するときに、カプラー方式で外部装置に接続できるようになっている。
【0018】
このように構成された本発明によれば、ハウジングケースをカプラー方式で外部装置と接続できるようになっているので、ハウジングケースを外部装置から容易に取り外すことができる。これにより、膜モジュールの交換作業を容易にすることができる。
【0019】
また、本発明において、好ましくは、ハウジングケースの底面に形成された水抜き機構を備える。
【0020】
このように構成された本発明によれば、膜モジュールを交換するときに容易にハウジングケースから水を抜くことができる。さらに、ハウジングケースの底面に水抜き機構を設けることによって、ハウジングケースから水抜きを行うときに、ハウジングケース内に溜まった濁質を、水抜きと同時に除去することができる。
【0021】
さらに、ハウジングケースの底面に水抜き機構を設けることによって、ハウジングケースから水抜きを行うときに、ハウジングケース内に空間に溜まった濁質も、水抜きと同時に除去することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、浄化材を必要とせず、且つ高い水処理能力が必要とされている浄水装置において、高い水処理能力を発揮しながら、中空糸膜の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態による濾過装置を備える内視鏡洗浄装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態による濾過装置を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態によるハウジングケースの底蓋を示す上面図である。
図4図3のIV-IV断面における断面図である。
図5】本発明の実施形態による濾過装置のスペーサの断面斜視図である。
図6】本発明の実施形態による濾過装置を示す断面図であり、濾過装置内での原水の流れを説明するためのものである。
図7】比較例による、スペーサのない濾過装置の断面図であり、濾過装置内での原水の流れを説明するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による濾過装置について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態による濾過装置を備える内視鏡洗浄装置の構成を示すブロック図である。内視鏡洗浄装置1は、外部の一般水栓から原水を濾過して内視鏡を洗浄するようになっており、原水を濾過するための濾過装置3と、濾過装置3で濾過された濾過水を貯留するためのタンク5と、タンク5に貯留された濾過水を用いて使用済みの内視鏡を洗浄するための洗浄部7とを備える。そして洗浄部7で使用された水は、所定の排水機構を介して外部に排出されるようになっている。
【0026】
図2は、濾過装置を示す断面図である。図2に示すように濾過装置3は、所定の長さを有するケース9、ケース9の一端側に取り付けられたヘッダ11、及びケース9の他端側に取り付けられた底蓋13を有するハウジングケース15と、このハウジングケース15内に配置された膜モジュール17と、この膜モジュール17とハウジングケース15の底蓋13との間に配置されたスペーサ19とを備える。ハウジングケース15のケース9は、略円筒形状を有し、一方の開口端にヘッダ11が気密的に取り付けられ、他方の開口端に底蓋13が気密的に且つ着脱自在に取り付けられている。ヘッダ11は、原水をハウジングケース15内に流入させるための入水部21と、濾過した水をハウジングケース15外に供給するための出水部23とを備える。これら入水部21及び出水部23は、内視鏡洗浄装置1側の所定の接続部(図示せず)にカプラー方式で接続できるようになっている。
【0027】
膜モジュール17は、ハウジングケース15内に配置されており、ヘッダ11の入水部21から流入した原水を濾過するようになっている。この膜モジュール17は、U字型に折り曲げられた複数の中空糸膜により形成された中空糸膜体25と、この中空糸膜体25を保持するためのホルダ部27とを備えている。膜モジュール27のホルダ部27の上部は、中空糸膜体25によって濾過された水をヘッダ11の出水部23に向けて流すための出水管29に接合されている。そしてこの出水管29は、ヘッダ11に対して着脱できるように形成されている。
【0028】
膜モジュール17のホルダ部27は、全体として略円筒形状を有しており、出水管29に連結された膜モジュール出水口17aと、スペーサ19に連結された膜モジュール入水口17bとを備えている。このホルダ部27は、水が膜モジュール17を通過するときの流路を規定しており、濾過すべき原水を膜モジュール入水口17bから受け入れ、濾過した濾過水を膜モジュール出水口17aから出水するように構成されている。そして、膜モジュール出水口17aの半径は、膜モジュール入水口17bの半径よりも短くなっている。
【0029】
また、膜モジュール17とハウジングケース15の内壁との間には隙間が形成されており、この隙間が、ヘッダの入水部に流入した原水を、膜モジュール17よりもハウジングケース15の他端側に流すための第1の流路31を形成している。また、第1の流路31よりも下流側には、第1の流路31を流れてきた原水を、膜モジュール17を通過させて出水部23まで流すための第2の流路33が形成されている。
【0030】
中空糸膜体25は複数の中空糸膜から構成されている。中空糸膜体25の流出側端部は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とする封止剤(接着剤)が構成する封止部25bを用いてホルダ部27に接着固定されている。このとき、中空糸膜の末端は通過した水が出水できるよう開口されている。図2では、中空糸膜体25は、このようなホルダ部27内に、ホルダ部27と一体に保持されており、円錐台形状の封止部25bの形状に合わせて、ホルダ部27も出水管29側に向けて先細りする形状を有している。なお、封止部25bの形状は略円柱状であってもよく、ホルダ部も当該形状に合わせて円柱であってもよい。このような中空糸膜体25は、U字状に折り曲げた複数本の中空糸膜を単に束ねた膜束の先端を封止剤で固定した後、先端部が開口するよう端面を切断することでえられることもできる。また、また、U字状折り曲げた帯状に編まれた中空糸膜を巻き取って柱状体を形成し、柱状体の一方の端部を糸で拘束された状態にし、他方の端部を自由にした状態にすることでも形成できる。いずれの場合も、各中空糸膜は、ポッティング部が一部切断除去されているので、末端が浄水供給口13に向かって開口している。そして、封止部25bの出水側の直径は、ホルダ部の流入側端部25aの直径は、流出側端部25bの直径よりも長くなっている。
【0031】
中空糸膜体25を構成する親水性素材としては、セルロース系、ポリビニルアルコール系、などがあり、疎水性素材としては、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテン等)、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、フッ素樹脂系(ポリテトラフロオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、ポリカーボネート系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系などの各種材料からなるものを使用することができる。さらに、疎水性素材(例えば、ポリオレフィン系)の中空糸膜の素材表面をポリビニルアルコールなどで表面親水化処理した膜も親水性素材として使用できる。また、中空糸膜体25を構成するときに、2種類以上の中空糸膜を混在させてもよく、さらに親水性素材からなる膜と疎水性素材からなる膜とを混在させることが好ましい。これにより、膜モジュール内の空気速やかに抜くことができる。
【0032】
図3は、ハウジングケースの底蓋を示す上面図であり、図4は、図3のIV-IV断面における断面図である。図3及び図4に示すように、ハウジングケース15の底蓋13は、椀形の形状を有しており、その内側には、4枚の支持壁35が形成されている。この底蓋13は、ケース9に対して着脱可能に構成されている。底蓋13に形成された各支持壁35は、底蓋13の底面から略垂直に立設されており、互いに90度の間隔をもって底面の中心近傍から放射状に延びている。そして支持壁35の間には、原水が流れる空間が形成されている。また、各支持壁35は、底面の中心部において連結されておらず、各支持壁35の底面中央側にある端部の間には、空間が形成されている。この空間は、ハウジングケース15と膜モジュール17との間に形成された第1の流路31と連通しており、第1の流路31を流れてきた原水が空間内に流れ込むようになっている。また、各支持壁35の上部には、スペーサ19を保持するための保持爪37が形成されている。この保持爪37は、支持壁35の中央において上方に突出した形状を有する。さらに、底蓋13の中央、即ち底面の最下部には、水抜き用の孔39が形成されている。水抜き用の孔39は、通常、キャップ41によって封止されているが、このキャップ41を下方に移動させることによって底蓋13の外部と連通するようになっている。
【0033】
図5は、スペーサの断面斜視図である。スペーサ19は、所定の長さを有する略円筒形状をなしており、完全に開放されたスペーサ流出口43と、中央にスペーサ流入口45が形成された底面47とを備えている。スペーサ流出口43は、膜モジュール17のホルダ部27の膜モジュール流入口17bと略同じ直径を有しており、スペーサ19とホルダ部27膜モジュール流入口17bと接合できるようになっている。また、スペーサ流入口45は、4枚の支持壁35の保持爪37が引っ掛かるような直径を有しており、スペーサ19を底蓋13上に載せたときに、底蓋13によってスペーサ19を保持するようになっている。そしてスペーサ19が支持壁35上に支持されている状態では、スペーサ19のスペーサ流入口45と、支持壁35の間の空間とが連通している。そしてスペーサ19は、スペーサ流入口45から入ってきた原水を内部で整流するようになっている。
【0034】
次に、本発明による濾過装置3を有する内視鏡洗浄装置1の作用について図6および図7を用いて説明する。なお、図6に示す濾過装置の断面図は、図2に示すものと同じである。
図6に示すように、一般水栓等の外部の水源から内視鏡洗浄装置1に原水が流入すると、原水は、濾過装置3に送られる。原水が濾過装置3に到達すると、ヘッダ11の入水部21からハウジングケース15内部に送られる。ハウジングケース15内に入った原水は、ハウジングケース15と膜モジュール17との間の第1の流路31を通ってヘッダ11から底蓋13の方向に向けて流れる(図6の矢印A参照)。そして矢印A方向に流れて膜モジュール17よりもハウジングケース15の他端側に到達した原水は、第1の流路31から第2の流路33に入り、スペーサ19とハウジングケース15との間を通過して、底蓋13とスペーサ19の間の空間に流れ込む。そして原水は、この空間から、第2の流路33上に配置されたスペーサ19のスペーサ流入口45を通ってスペーサ19内に流入する(図6の矢印B参照)。スペーサ19は、所定の軸方向長さを有しているので、スペーサ流入口45からスペーサ19内に流入した原水は、スペーサ19内でスペーサ19の軸方向に沿って整流される。そして原水は、スペーサ19のスペーサ流出口43から膜モジュール17に流入する。このとき原水はスペーサ19内で整流されているので、原水は、膜モジュール17の中空糸膜体25の入水側端部25aに均一に圧力を加えるように膜モジュール17内に流れ込む(図6の矢印C参照)。そして、中空糸膜体25の出水側端部25bから流出した濾過水は、膜モジュール17の流出管29からヘッダ11の出水部23を通じて、濾過装置3の下流側にあるタンク5内に流れ、タンク5内で貯留される。そして洗浄装置7の使用時には、タンク5に貯留された水が使用される。
【0035】
本発明の実施形態による濾過装置3に対する比較例として、図6に示した濾過装置からスペーサ19を取り除いた濾過装置を図7に示す。尚、説明の便宜上、図7の濾過装置には、図6と同様の参照符号を付してある。
図7に示すように、一般水栓等の外部の水源から矢印A方向に流れて膜モジュール17よりもハウジングケース15の他端側に到達した原水は、底蓋13での反射等により乱流化する(図7の矢印D2参照)。また原水が膜モジュール17に流入するとき、膜モジュール17の中空糸膜体25の入水側端部25aへの流入圧力が不均一であるので、入水側端部25aで渦を巻き乱流が発生する(図7の矢印D1参照)。
【0036】
このように、スペーサを設置しない従来の濾過装置では、底蓋13付近や中空糸膜体25の入水側端部25a付近で乱流化するため、大量の水を濾過するのには相当の時間を要する。
【0037】
以上のように本発明の実施形態にかかる濾過装置3によれば、ハウジングケース15と膜モジュール17との間の第1の流路31を通過した原水を、浄化材等を通さずに直接膜モジュール17に流入させることができるので、浄化材等を通すときの圧力損失を無くすことができる。これにより、大量の水を短時間で濾過することができる。また、原水が膜モジュール17に入る前に、スペーサ19内部を通過するようになっているので、原水の流れをスペーサ19の延伸方向、即ち膜モジュール17の延伸方向に整流することができる。これにより、原水を膜モジュール17内に一様に入水させることができ、中空糸膜体25を構成する中空糸膜を均一に使用することができる。
【0038】
また、膜モジュール17を使用していると中空糸膜体25に溜まった濁質が中空糸膜体25から離脱する場合があるが、本実施形態による濾過装置3によれば、中空糸膜体25から離脱した濁質をスペーサ19内の空間に溜めることができるので、濁質が再び膜モジュール17内に戻って膜モジュール17の濾過性能を低下させるのを防止することができる。
【0039】
さらにまた、ハウジングケース15の底蓋13の最下部に水抜き用の孔39を設けることによって、膜モジュール17を交換する前に、ハウジングケース15内に残留している水を抜くことができる。内視鏡洗浄装置のような特殊な装置で用いられる濾過装置3では、膜モジュール17を交換するときにハウジングケース15内の水を抜く必要があるが、このような水抜き用の孔39を設けることによって、膜モジュール17の交換を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 内視鏡洗浄装置
3 濾過装置
9 ケース
11 ヘッダ
13 底蓋
15 ハウジングケース
17 膜モジュール
19 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7