【実施例】
【0040】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0041】
実施例に使用した原料粉は、表1に示す通りである。この原料について、IGZOをメタル比でIn:Ga:Zn=2:2:1(モル比で、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:1)又はIn:Ga:Zn=1:1:1(モル比で、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:2)となるよう原料を調合し、これらの原料組合せと製造条件(微粉砕、仮焼温度、焼結温度)を変えて、ターゲットを作製し、各種の試験を行った。これらの詳細を、表2の実施例1〜実施例7に示す。
なお、上記モル配合比(1:1:1)は、IGZOターゲットの代表的なものである。本発明の目的とするターゲットのノジュール発生を防止するためには、IGZOの配合比は特に問題とはならないが、実施例1〜実施例6については、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:1となるよう原料を調合して実施した。
【0042】
下記に示す実施例及び比較例において、各種の分析測定や評価が必要となるが、その条件・装置名等を以下に示す。
(粒径の測定)
粒径の測定は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、Microtrac MT3000)を用いて行った。
(塩素濃度の測定)
塩素濃度の測定は、塩素・硫黄分析装置(株式会社三菱アナリティック製、TOX-2100H)を用いて行った。
(密度の測定)
密度の測定は純水を溶媒として用いたアルキメデス法にて測定を行った。相対密度の算出に用いた理論密度は、JCPDSカードで報告されている密度を引用した(In:Ga:Zn=2:2:1についてはIn
2Ga
2ZnO
7(カード番号:381097)、In:Ga:Zn=1:1:1についてはInGaZnO
4(カード番号:381104)である)。
(バルク抵抗値の測定)
バルク抵抗値の測定は、抵抗率測定器(エヌピイエス株式会社製、Σ−5+)を用いて、四探針法で行った。
(比表面積の測定)
比表面積(BET)の測定は、自動表面積計ベータソープ(日機装株式会社製、MODEL-4200)で行なった。
【0043】
(スパッタリング条件)
作製したターゲットの試験片については、表3に示すスパッタリング条件でスパッタリングし、ノジュールの発生を目視観察した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
(実施例1)
本実施例1では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(1)粒径5.6μm、比表面積9.1m
2/g、塩素濃度18ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合した(仮焼せず)。粉砕前の比表面積(BET)は6.0m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は17.8m
2/gであった。この差は、10.8m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。この結果、造粒粉の塩素濃度は14ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0048】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、実施例1では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.20g/cm
3、相対密度は95.5%(本実施例1の組成の真密度は6.495g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は3.0mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例1のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0049】
(実施例2)
本実施例2では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(1)粒径5.6μm、比表面積9.1m
2/g、塩素濃度18ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合し、950°Cで仮焼した。粉砕前の比表面積(BET)は2.6m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は17.0m
2/gであった。この差は、14.4m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は13ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0050】
焼結は1300°Cで実施した。以上の結果、実施例2では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.46g/cm
3、相対密度は99.5%(本実施例2の組成の真密度は6.495g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は5.2mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例2のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0051】
(実施例3)
本実施例3では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(1)粒径5.6μm、比表面積9.1m
2/g、塩素濃度18ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合し、950°Cで仮焼した。粉砕前の比表面積(BET)は2.6m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は17.0m
2/gであった。この差は、14.4m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。この結果、造粒粉の塩素濃度は11ppmとなった。
ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0052】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、実施例3では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.22g/cm
3、相対密度は95.8%(本実施例3の組成の真密度は6.495g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は2.2mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例3のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0053】
(実施例4)
本実施例4では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(2)粒径4.6μm、比表面積11.9m
2/g、塩素濃度12ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合し、950°Cで仮焼した。粉砕前の比表面積(BET)は3.1m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は14.7m
2/gであった。この差は、11.6m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は<10ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0054】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、実施例4では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.26g/cm
3、相対密度は96.4%(本実施例4の組成の真密度は6.495g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は6.0mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例4のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0055】
(実施例5)
本実施例5では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径0.7μm、比表面積13.7m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(2)粒径4.6μm、比表面積11.9m
2/g、塩素濃度12ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合した(仮焼せず)。粉砕前の比表面積(BET)は13.8m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は22.1m
2/gであった。この差は、8.3m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は<10ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0056】
焼結は1400°Cで実施した。以上の結果、実施例5では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.48g/cm
3、相対密度は99.8%(本実施例5の組成の真密度は6.495g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は4.0mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例5のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0057】
(実施例6)
本実施例6では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径0.7μm、比表面積13.7m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(2)粒径4.6μm、比表面積11.9m
2/g、塩素濃度12ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合した(仮焼せず)。粉砕前の比表面積(BET)は13.8m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は22.1m
2/gであった。この差は、8.3m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は<10ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0058】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、実施例6では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.44g/cm
3、相対密度は99.2%(本実施例6の組成の真密度は6.495g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は2.6mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例6のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0059】
(実施例7)
本実施例7では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(3)粒径4.2μm、比表面積9.3m
2/g、塩素濃度<10ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=1:1:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合した(仮焼せず)。粉砕前の比表面積(BET)は1.7m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は11.5m
2/gであった。この差は、9.8m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は<10ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0060】
焼結は1490°Cで実施した。以上の結果、実施例7では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.34g/cm
3、相対密度は99.4%(本実施例7の組成の真密度は6.379g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は18.0mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例6のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0061】
(実施例8)
本実施例8では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(3)粒径4.2μm、比表面積9.3m
2/g、塩素濃度<10ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=1:1:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合した(仮焼せず)。粉砕前の比表面積(BET)は1.7m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は11.5m
2/gであった。この差は、9.8m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表2に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は<10ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0062】
焼結は1490°Cで実施した。以上の結果、実施例8では、焼結体の塩素濃度は、検出限界以下、すなわち10ppm未満であった。密度は6.27g/cm
3、相対密度は98.3%(本実施例8の組成の真密度は6.379g/cm
3)と高密度であり、バルク抵抗値は24.0mΩ・cmで、DCスパッタリングが十分可能である低バルク抵抗値を有していた。また、実施例6のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は認められなかった。
DCスパッタリングを上記条件で行った結果、パーティクルの発生やノジュール数は減少し、スパッタリング中の異常放電が殆ど認められなかった。
【0063】
(比較例1)
比較例1では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(4)粒径3.0μm、比表面積9.4m
2/g、塩素濃度156ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合した(仮焼せず)。粉砕前の比表面積(BET)は2.6m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は17.0m
2/gであった。この差は、14.4m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表4に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は40ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0064】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、比較例1では、焼結体の塩素濃度は、28ppmとなり、本願発明の条件を満たしていなかった。密度は5.72g/cm
3、相対密度は88.1%(本比較例1の組成の真密度は6.495g/cm
3)と低密度であり、バルク抵抗値は測定しなかった。DCスパッタリングが不能であった。また、比較例1のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は多数認められた。
DCスパッタリングに替え、スパッタリング効率が悪い高周波(RF)スパッタリングを行った結果、パーティクルの発生やノジュール数が多量に発生し、スパッタリング中の異常放電が見られた。以上の結果を、表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
(比較例2)
比較例2では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(4)粒径3.0μm、比表面積9.4m
2/g、塩素濃度156ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合し、これを950°Cで仮焼した。粉砕前の比表面積(BET)は3.3m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は10.2m
2/gであった。この差は、6.9m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表4に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は38ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0067】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、比較例2では、焼結体の塩素濃度は、26ppmとなり、本願発明の条件を満たしていなかった。密度は5.63g/cm
3、相対密度は86.7%(本比較例2の組成の真密度は6.495g/cm
3)と低密度であり、バルク抵抗値は測定しなかった。DCスパッタリングが不能であった。また、比較例2のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は多数認められた。
DCスパッタリングに替え、スパッタリング効率が悪い高周波(RF)スパッタリングを行った結果、パーティクルの発生やノジュール数が多量に発生し、スパッタリング中の異常放電が見られた。以上の結果を、表4に示す。
【0068】
(比較例3)
比較例3では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(4)粒径3.2μm、比表面積9.6m
2/g、塩素濃度300ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=2:2:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合し、これを950°Cで仮焼した。粉砕前の比表面積(BET)は3.2m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は11.4m
2/gであった。この差は、8.2m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を表4に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は55ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0069】
焼結は1450°Cで実施した。以上の結果、比較例3では、焼結体の塩素濃度は、35ppmとなり、本願発明の条件を満たしていなかった。密度は5.63g/cm
3、相対密度は85.0%(本比較例3の組成の真密度は6.495g/cm
3)と低密度であり、バルク抵抗値は測定しなかった。DCスパッタリングが不能であった。また、比較例3のIGZO焼結体ターゲットの膨れや割れの発生は多数認められた。
DCスパッタリングに替え、スパッタリング効率が悪い高周波(RF)スパッタリングを行った結果、パーティクルの発生やノジュール数が多量に発生し、スパッタリング中の異常放電が見られた。以上の結果を、表4に示す。
【0070】
(比較例4)
比較例4では、In
2O
3原料として、上記(1)粒径10.7μm、比表面積4.4m
2/g、塩素濃度<10ppmのIn
2O
3粉末を用い、Ga
2O
3原料として、上記(5)粒径3.2μm、比表面積9.6m
2/g、塩素濃度300ppmのGa
2O
3粉末を用い、ZnO原料として、上記(1)粒径1.1μm、比表面積3.8m
2/g、塩素濃度<10ppmのZnO粉末を用いた。これらの粉末を、メタル比で、In:Ga:Zn=1:1:1となるよう原料を調合した。
次に、これらの粉末を混合し、これを1050°Cで仮焼した。粉砕前の比表面積(BET)は1.7m
2/gであった。また、粉砕後の比表面積(BET)は8.3m
2/gであった。この差は、6.6m
2/gであった。その他、粉末の混合、粉砕、仮焼、焼結、ターゲット製造条件の詳細を、表4に示す。
この結果、造粒粉の塩素濃度は62ppmとなった。ここでは、条件の主なものを記載する。また、各種の測定や評価は、上記段落[0025],[0028],[0042]に記載する方法により実施した。
【0071】
焼結は1490°Cで実施した。以上の結果、比較例5では、焼結体の塩素濃度は、38ppmとなり、本願発明の条件を満たしていなかった。
密度は5.80g/cm
3、相対密度は90.9%(本比較例4の組成の真密度は6.379g/cm
3)と密度は高いが、バルク抵抗値は58mΩ・cmであり、DCスパッタリングを行うのが難しかった。また、比較例4のIGZO焼結体ターゲットでは、膨れや割れの発生が多数認められた。
強引にDCスパッタリングを行った結果、パーティクルの発生やノジュール数が多量に発生し、スパッタリング中の異常放電が見られた。以上の結果を、表4に示す。