特許第6241836号(P6241836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241836
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】金属ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/24 20060101AFI20171127BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20171127BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20171127BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20171127BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B22F9/24 Z
   B22F1/02 A
   B82Y40/00
   B82Y30/00
   B22F1/00 M
   B22F1/00 K
【請求項の数】25
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-518262(P2016-518262)
(86)(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公表番号】特表2016-527388(P2016-527388A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】KR2014004935
(87)【国際公開番号】WO2014196786
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2015年12月11日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0065441
(32)【優先日】2013年6月7日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、クワンユン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ギョ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ホーン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジュン エオン
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−045582(JP,A)
【文献】 特開2006−278312(JP,A)
【文献】 特開2009−057311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00〜9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、および
前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップを含み、
前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と逆の電荷を有し、
前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と同じ電荷を有し、
前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下であり、
前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤のモル濃度の0.01倍以上1倍以下である、金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオン、および前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが前記金属ナノ粒子のシェル部を形成する、請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子の内部に中空コアが形成される、請求項1または2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記第1界面活性剤が形成する空間領域の表面領域に前記金属ナノ粒子のシェル部が形成され、前記第2界面活性剤が形成する空間領域と対応するように前記金属ナノ粒子の空洞が形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記第2界面活性剤の濃度、チェーン長さ、外側端部の大きさ、または電荷の種類を調節して、前記シェル部の1または2以上の領域に空洞(cavity)を形成する、請求項2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記第2界面活性剤のチェーン長さを調節することは、前記第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるように調節することである、請求項5に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記第2界面活性剤のチェーン長さは前記第1界面活性剤のチェーン長さの0.5倍以上2倍以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤のうちいずれか1つはアニオン性界面活性剤であり、残りの1つはカチオン性界面活性剤である、請求項1から7のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記第1界面活性剤のチェーンの炭素数は15個以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤であり、対イオンとしてNH、K、NaまたはLiを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記第1界面活性剤はカチオン性界面活性剤であり、対イオンとしてI、BrまたはClを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記還元剤と共に非イオン性界面活性剤をさらに添加するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属塩および第2金属塩は、各々独立して、
周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されたものを含む塩である、請求項1から12のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
前記第1金属塩および第2金属塩は、各々独立して、
金属の硝酸化物(Nitrate)、ハロゲン化物(Halide)、水酸化物(Hydroxide)または硫酸化物(Sulfate)である、請求項1から13のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項15】
前記溶液を形成するステップは安定化剤をさらに添加するステップを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項16】
前記溶媒は水を含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項17】
前記製造方法は常温で行われる、請求項1から16のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項18】
前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は5:1〜10:1である、請求項1から17のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項19】
前記金属ナノ粒子の粒径は1nm以上30nm以下である、請求項1から18のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項20】
前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは、各々独立して、
白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)、および銅(Cu)からなる群から選択された金属のイオンである、請求項1から19のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項21】
前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは互いに異なり、前記第1金属イオンまたは前記第2金属イオンはニッケルイオンである、請求項1から20のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項22】
前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは互いに異なり、前記第1金属イオンまたは前記第2金属イオンは白金イオンである、請求項1から21のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項23】
前記第1金属イオンはニッケルイオンであり、前記第2金属イオンは白金イオンである、請求項1から22のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項24】
前記シェル部は、前記第1金属イオンを含む第1シェル、および前記第2金属イオンを含む第2シェルを含む、請求項2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項25】
前記金属ナノ粒子は、球形状またはボウル状粒子を1以上含む形状である、請求項1から24のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は2013年6月7日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0065441号の出願日の利益を主張し、その内容の全て本明細書に含まれる。
本明細書は金属ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子はナノスケールの粒子大きさを有する粒子であり、電子遷移に必要なエネルギーが物質の大きさに応じて変化する量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)および広い比表面積によってバルク状態の物質とは全く異なる光学的、電気的、磁気的特性を示す。よって、このような性質のため、触媒分野、電気・磁気分野、光学分野、医学分野などにおける利用可能性に関する大いなる関心が集中してきた。ナノ粒子はバルクと分子の中間体と言え、2つの方向における接近方法、すなわち、「Top−down」接近方法と「Bottom−up」接近方法の側面でナノ粒子の合成が可能である。
【0003】
金属ナノ粒子の合成方法には、溶液上で還元剤により金属イオンを還元させる方法、ガンマ線を用いた方法、電気化学的方法などがあるが、従来の方法は、均一な大きさと形状を有するナノ粒子の合成が困難であるか、有機溶媒を用いることによって環境汚染、高費用(high cost)などが問題になるなど、色々な理由で高品質のナノ粒子の経済的な大量生産が困難であった。
【0004】
一方、従来には金属ナノ粒子を製造するためにAg、Cu、Co、Niなどの還元電位が低い粒子を合成した後、これらより還元電位が高い金属、例えばPt、PdまたはAuと電位差置換方法によりAg、Cu、Co、Niなどの粒子表面を置換し、表面置換後、酸処理によって内部に残っているAg、Cu、Co、Niなどを溶かし出すことによって金属ナノ粒子を製造した。この場合、酸で後処理をしなければならないという工程上の問題があり、電位差置換法は自然的な反応であるため、調節できる因子が少ないので均一な粒子を製造し難い。よって、より容易で均一な金属ナノ粒子を製造できる方法が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書が解決しようとする課題は、上述した問題点を解決するために、環境汚染がなく、安価で容易に大量生産が可能な金属ナノ粒子の製造方法を提供することにある。
また、本明細書が解決しようとする課題は、比表面積が広くて活性が向上した金属ナノ粒子の製造方法を提供することにある。
【0006】
本明細書が解決しようとする課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は下記の記載によって当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実現例は、溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、および前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップを含む金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
本明細書の一実現例は、前記製造方法によって製造された金属ナノ粒子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書の金属ナノ粒子の製造方法は、数ナノメートルで均一な大きさの金属ナノ粒子の大量生産が可能であり、費用の節減効果があり、製造工程で環境汚染がないという長所がある。さらに、本明細書の金属ナノ粒子の製造方法によれば、比表面積が広くて活性が向上した金属ナノ粒子を製造することができる。
【0009】
また、本明細書の製造方法によって製造された金属ナノ粒子は、シェルの内部表面積にまで接触面積を活用することができるため、触媒に含ませる場合に触媒効率が増加するという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書の一実現例によるミセルの一例を示すものである。
図2】本明細書の一実現例によるミセルの一例を示すものである。
図3】本明細書の一実現例によるミセルの一例を示すものである。
図4】本明細書の一実現例によるミセルの一例を示すものである。
図5】本明細書の一実現例によるミセルの一例を示すものである。
図6】本明細書の一実現例による、ミセルに金属ナノ粒子のシェル部を形成する金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンが位置した一例を示すものである。
図7】本明細書の一実現例による、ミセルに金属ナノ粒子のシェル部を形成する金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンが位置した一例を示すものである。
図8】実施例1により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図9】実施例2により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図10】実施例3により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図11】実施例4により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図12】実施例5により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図13】実施例6により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図14】実施例7により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図15】実施例7により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図16】実施例8により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図17】実施例9により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図18】実施例10により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図19】実施例11により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図20】実施例11により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図21】実施例12により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
図22】実施例12により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。しかし、本出願は、以下にて開示される実施形態に限定されず、互いに異なる様々な形態で実現され、本実施形態は、単に本出願の開示が完全になるようにし、本出願が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本出願は、請求項の範疇によって定義されるのみである。図面に示された構成要素の大きさおよび相対的な大きさは説明の明瞭性のために誇張されることがある。
【0012】
本明細書において、他の定義がなければ、本明細書において用いられる全ての用語(技術および科学的な用語を含む)は、本明細書が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって共通に理解できる意味として用いられる。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されないものである。
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書の一実現例は、溶媒、前記溶媒中で第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンを提供する第1金属塩、前記溶媒中で第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンを提供する第2金属塩、前記溶媒中でミセルを形成する第1界面活性剤、および前記第1界面活性剤と共に前記溶媒中でミセルを形成する第2界面活性剤を含む溶液を形成するステップ、および前記溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップを含む金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、前記金属ナノ粒子の内部に中空コアが形成されるものであってもよい。
【0014】
本明細書において、前記中空とは金属ナノ粒子のコア部分が空いていることを意味する。また、前記中空は中空コアと同一な意味として用いられることができる。前記中空はホロー(hollow)、穴、ボイド(void)などの用語を含むことができる。
【0015】
本明細書の一実現例によれば、前記中空は内部物質が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上存在しない空間を含むことができる。または、内部の50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上が空いている空間を含むこともできる。または、内部の孔隙率が50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上の空間を含むことができる。
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、前記第1界面活性剤によって形成されたミセルの内部領域が中空で形成されることを含むことができる。
【0016】
本明細書の一実現例による金属ナノ粒子の製造方法は還元電位差を利用しないため、シェルを形成する第1金属イオンと第2金属イオン間の還元電位を考慮しないという長所がある。本明細書の前記製造方法は金属イオン間の電荷(charge)を利用するため、従来の還元電位差を利用した金属ナノ粒子の製造方法に比べて単純である。よって、本明細書の前記金属ナノ粒子の製造方法は大量生産が容易であり、安価で金属ナノ粒子を製造することができる。さらに、還元電位差を利用しないため、従来の金属ナノ粒子の製造方法に比べて用いる金属塩の制約が減って様々な金属塩を使用できるという長所がある。
【0017】
本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、第1および第2界面活性剤が溶液上でミセル(micelle)を形成するステップを含むことができる。
【0018】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、前記第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオン、および前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。
【0019】
本明細書の一実現例によれば、前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と逆の電荷を有し、前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンは前記第1界面活性剤の外側端部の電荷と同じ電荷を有することができる。
【0020】
したがって、溶液でミセルを形成する前記第1界面活性剤の外側端部に前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンが位置して前記ミセルの外面を囲む形態となることができる。さらに、前記第2金属イオンまたは前記第2金属イオンを含む原子団イオンが、前記第1金属イオンまたは前記第1金属イオンを含む原子団イオンの外面を囲む形態となることができる。前記第1金属塩および前記第2金属塩は還元剤によって各々第1金属および第2金属を含むシェル部を形成することができる。
【0021】
本明細書において、前記界面活性剤の外側端部はミセルを形成する前記第1または第2界面活性剤のミセル外側部を意味することができる。本明細書の前記界面活性剤の外側端部は界面活性剤の頭部を意味することができる。また、本明細書の前記外側端部は前記界面活性剤の電荷を決定することができる。
【0022】
また、本明細書の界面活性剤は外側端部の種類に応じてイオン性または非イオン性に分類され、前記イオン性は陽性、陰性、両性イオン性(zwitterionic)または両性(amphoteric)であってもよい。前記両性イオン性界面活性剤は陽性および陰性の電荷をいずれも含有する。本明細書の界面活性剤の陽性および陰性の電荷がpHに依存的であれば、両性界面活性剤であってもよく、これは一定pHの範囲で両性イオン性であってもよい。具体的には、本明細書でのアニオン性界面活性剤は界面活性剤の外側端部が陰電荷を帯びることを意味し、カチオン性界面活性剤は界面活性剤の外側端部が陽電荷を帯びることを意味することができる。
【0023】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造される金属ナノ粒子は、前記シェル部の1または2以上の領域に空洞(cavity)が形成されることができる。
【0024】
本明細書の前記空洞(cavity)は、前記金属ナノ粒子の外側表面の一領域から連続する空いた空間を意味することができる。本明細書の前記空洞は、前記シェル部の外側表面の一領域から1つのトンネルの形態で形成されることができる。前記トンネル形態は一直線であってもよく、曲線または直線の連続した形態であってもよく、曲線と直線が混合された連続した形態であってもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が中空を含む場合、前記空洞は前記シェル部の外面から中空に達する空いた空間であってもよい。
【0025】
また、本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が中空を含まない場合、前記空洞は、前記シェル部の外面から前記金属ナノ粒子の内部または外部領域にまで連続する任意の空いた空間であってもよい。具体的には、前記金属ナノ粒子が中空を含まない場合、前記空洞は前記シェル部の一領域から前記金属ナノ粒子の内部の一領域に達する空いた空間であってもよく、前記シェル部の一領域からシェル部の他の一領域に達する空いた空間であってもよい。
【0026】
なお、本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が1以上のボウル状粒子を含む場合、前記空洞はシェル部を形成しない空いた空間を意味することもできる。
【0027】
本明細書の前記空洞は、前記金属ナノ粒子の内部表面積を活用できるようにする役割をすることができる。具体的に、前記空洞は、前記金属ナノ粒子が触媒などの用途として用いられる場合、反応物質と接する表面積を増加させる役割をすることができる。よって、前記空洞は前記金属ナノ粒子の高い活性を示すようにする役割をすることができる。
【0028】
本明細書の一実現例によれば、前記シェル部は金属を含む前記ナノ粒子の領域を意味することができる。具体的には、前記シェル部は前記中空および前記空洞を除いた前記金属粒子の領域を意味することができる。
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造される金属ナノ粒子は球形状のナノ粒子であってもよい。
【0029】
本明細書における前記球形状は完全な球状のみを意味するものではなく、大まかな球形状のものを含むことができる。例えば、前記中空金属ナノ粒子は球形状の外表面が平坦でなくてもよく、1つの中空金属ナノ粒子において曲率半径が一定でなくてもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造される金属ナノ粒子は内部中空および1または2以上の空洞を含む金属ナノ粒子であってもよい。
【0030】
また、本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造される金属ナノ粒子は内部中空がなく、1または2以上の空洞を含む金属ナノ粒子であってもよい。
【0031】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造された前記金属ナノ粒子は、ボウル状粒子、または2以上のボウル状粒子が一部接している形態であってもよい。
【0032】
本明細書の前記ボウル状粒子または2以上のボウル状粒子が一部接している形態の金属ナノ粒子は、前記空洞の大きさが前記全体シェル部の30%以上を占めるものを意味することができる。
【0033】
また、前記2以上のボウル状粒子が一部接している形態の金属ナノ粒子は、前記空洞が連続して形成され、前記金属ナノ粒子の一部が割れた形態であるものを意味することができる。
なお、前記ボウル状粒子は、前記空洞が連続して形成され、ナノ粒子表面の30%以上がシェル部を形成しないものを意味することができる。
【0034】
本明細書における前記ボウル状は、断面上で曲線の領域を少なくとも1つ含むものを意味することができる。または、前記ボウル状は、断面上に曲線の領域と直線の領域が混合しているものを意味することができる。または、前記ボウル状は半球状であってもよく、前記半球状は必ずしも球の中心を通り過ぎるように分けた形態である必要はなく、球の一領域が除去された形態であってもよい。さらに、前記球は完全な球状のみを意味するものではなく、大まかな球形状のものを含むことができる。例えば、球の外表面が平坦でなくてもよく、球の曲率半径が一定でなくてもよい。または、本明細書の前記ボウル状粒子は、中空ナノ粒子の全体シェル部の30%以上80%以下の領域が連続して形成されないものを意味することができる。
【0035】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、前記第2界面活性剤の濃度、チェーン長さ、外側端部の大きさ、または電荷種類を調節して、前記シェル部の1または2以上の領域に空洞(cavity)を形成することができる。
【0036】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤は溶液でミセルを形成して前記金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンがシェル部を形成するようにする役割をし、前記第2界面活性剤は前記金属ナノ粒子の空洞を形成するようにする役割をすることができる。
【0037】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、前記第1界面活性剤が形成するミセル領域に前記金属ナノ粒子のシェル部が形成され、前記第2界面活性剤が形成するミセル領域に前記金属ナノ粒子の空洞が形成されることを含むことができる。
【0038】
本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第1および第2界面活性剤の濃度を異なるようにして前記空洞の大きさまたは個数を調節するステップを含むことができる。具体的には、本明細書の一実現例によれば、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤のモル濃度の0.01〜1倍であってもよい。具体的には、前記第2界面活性剤のモル濃度は前記第1界面活性剤のモル濃度の1/30〜1倍であってもよい。
【0039】
本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップにおいて、前記第1界面活性剤と前記第2界面活性剤は前記濃度比に応じてミセルを形成することができる。前記第1および第2界面活性剤のモル濃度比を調節して前記金属ナノ粒子の空洞の大きさまたは空洞の個数を調節することができる。さらに、前記空洞が連続して形成されるようにしてボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子を製造することもできる。
【0040】
また、本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤の外側端部の大きさを調節して前記空洞の大きさを調節するステップを含むことができる。
【0041】
なお、本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるように調節して前記第2界面活性剤領域に空洞を形成するステップを含むことができる。
【0042】
本明細書の一実現例によれば、前記第2界面活性剤のチェーン長さは、前記第1界面活性剤のチェーン長さの0.5〜2倍であってもよい。具体的には、前記チェーン長さは炭素の個数によって決定されることができる。
【0043】
本明細書の一実現例によれば、前記第2界面活性剤のチェーン長さを第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるようにすることによって、前記第2界面活性剤の外側端部に結合される金属塩が前記金属ナノ粒子のシェル部を形成しないようにすることができる。
【0044】
また、本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、前記第2界面活性剤の電荷を前記第1界面活性剤の電荷と互いに異なるように調節して空洞を形成するステップを含むことができる。
【0045】
本明細書の一実現例によれば、溶媒中でミセルを形成する前記第1および第2界面活性剤の外側端部に前記第1および第2界面活性剤と逆の電荷の第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオンが位置することができる。また、前記第1金属イオンの外面には、前記第1金属イオンの電荷と逆の前記第2金属イオンが位置することができる。
【0046】
図6および図7は、本明細書の一実現例による、ミセルを形成した第1界面活性剤の外側端部に金属イオンおよび金属イオンを含む原子団イオンが位置した一例を示すものである。
【0047】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤の外側端部に形成された前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができ、前記第2界面活性剤の外側端部に位置する第1金属イオンおよび前記第2金属イオンは前記シェルを形成することができず空洞を形成することができる。
【0048】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がアニオン性界面活性剤である場合、前記溶液を形成するステップで前記第1界面活性剤はミセルを形成し、前記ミセルは第1金属イオンまたは第1金属イオンを含む原子団イオンのカチオンで囲まれることができる。さらに、アニオンの第2金属イオンを含む原子団イオンが前記カチオンを囲むことができる。さらに、還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップにおいて、前記ミセルを囲んだカチオンが第1シェルを形成し、前記カチオンを囲むアニオンが第2シェルを形成することができる。
【0049】
また、本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がカチオン性界面活性剤である場合、前記溶液を形成するステップで前記第1界面活性剤はミセルを形成し、前記ミセルは第1金属イオンを含む原子団イオンのアニオンで囲まれることができる。さらに、カチオンの第2金属イオンまたは第2金属イオンを含む原子団イオンが前記アニオンを囲むことができる。さらに、還元剤を添加して金属ナノ粒子を形成するステップにおいて、前記ミセルを囲んだアニオンが第1シェルを形成し、前記アニオンを囲むカチオンが第2シェルを形成することができる。
【0050】
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセルを形成する第1および第2界面活性剤領域を中空に形成するステップを含むことができる。
【0051】
また、本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記ミセルを形成する第1および第2界面活性剤領域を金属で充填するステップを含むことができる。具体的には、前記第2界面活性剤のチェーン長さがミセルを形成する第1界面活性剤の長さより長いか短い場合に、前記第1金属塩および第2金属塩がミセルの内部に充填されることができる。
【0052】
本明細書の一実現例によれば、前記第1および第2界面活性剤の内部が金属で充填される場合、中空なしで空洞を1または2以上含む金属ナノ粒子を製造することができる。
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤はいずれもカチオン性界面活性剤であってもよい。
または、本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤はいずれもアニオン性界面活性剤であってもよい。
【0053】
本明細書の一実現例によれば、前記第1および第2界面活性剤が同じ電荷を有する場合、第2界面活性剤のチェーン長さを前記第1界面活性剤のチェーン長さと互いに異なるようにしてミセルを形成することができる。これは図1に一例を示した。
【0054】
具体的には、第2界面活性剤のチェーン長さの差によって、第2界面活性剤の外側端部に位置する第1および第2金属イオンは前記第1界面活性剤の外側端部に位置する第1および第2金属イオンと隣接しなくなってシェル部を形成しなくなる。
図1は、本明細書の一実現例による、第1界面活性剤と第2界面活性剤が同じ電荷を有する場合の一例を示すものである。
【0055】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤および前記第2界面活性剤のうちいずれか1つはアニオン性界面活性剤であり、残りの1つはカチオン性界面活性剤であってもよい。すなわち、本明細書の一実現例は、前記第1および第2界面活性剤は互いに異なる電荷を有してもよい。
【0056】
本明細書の一実現例によれば、前記第1および第2界面活性剤が互いに異なる電荷を有する場合、チェーン長さを互いに異なるようにして前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。この場合、空洞が形成される原理は前述した第1および第2界面活性剤が同じ電荷を有する場合と同様である。
【0057】
本明細書の一実現例によれば、前記第1および第2界面活性剤が互いに異なる電荷を有する場合、前記第1および第2界面活性剤のチェーン長さが同一であっても前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。この場合、ミセルの前記第2界面活性剤の外側端部と隣接する前記第1界面活性剤の外側端部は互いに電荷をやり取りして中性をなし、金属イオンが位置しなくなる。よって、金属イオンが位置しない部分はシェル部を形成せず、前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。
図4は、本明細書の一実現例による、互いに異なる電荷を帯びる第1および第2界面活性剤がミセルを形成したものの一例を示すものである。
【0058】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であり、前記第2界面活性剤は非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0059】
本明細書の一実現例によれば、前記第2界面活性剤が非イオン性界面活性剤である場合、第2界面活性剤の外側端部には金属イオンが位置しないので前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。よって、前記第2界面活性剤が非イオン性である場合、チェーン長さが第1界面活性剤と同一または異なる場合にも前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。
図2は、本明細書の一実現例による、第2界面活性剤が非イオン性界面活性剤である場合の一例を示すものである。
【0060】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤はアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であり、前記第2界面活性剤は両性イオン性界面活性剤であってもよい。
【0061】
本明細書の一実現例によれば、前記第2界面活性剤が両性イオン性界面活性剤である場合、第2界面活性剤の外側端部には金属イオンが位置しないので前記金属ナノ粒子の空洞を形成できるようになる。よって、前記第2界面活性剤が両性イオン性である場合、チェーン長さが第1界面活性剤と同一または異なる場合にも前記金属ナノ粒子の空洞を形成することができる。
図3は、本明細書の一実現例による、第2界面活性剤が両性イオン性界面活性剤である場合の一例を示すものである。
【0062】
本明細書の前記アニオン性界面活性剤は、アンモニウムラウリルスルフェート、ナトリウム1−ヘプタンスルホネート、ナトリウムヘキサンスルホネート、ナトリウムドデシルスルフェート、トリエタノールアンモニウムドデシルベンゼンスルフェート、カリウムラウレート、トリエタノールアミンステアレート、リチウムドデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート、アルキルポリオキシエチレンスルフェート、アルギン酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびその塩、グリセリルエステル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、胆汁酸およびその塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ステアリン酸およびその塩、カルシウムステアレート、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホサクシネート、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、リン脂質およびカルシウムカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0063】
本明細書の前記カチオン性界面活性剤は、4級(quaternary)アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、カチオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、(C12−C15)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、(C12−C15)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、四級化(quaternized)ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、MIRAPOL(ポリクオタニウム−2)、Alkaquat(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、Rhodiaによって製造)、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、カチオン性グアーガム、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミンおよびポロキサミンからなる群から選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0064】
本明細書の前記非イオン性界面活性剤は、SPAN 60、ポリオキシエチレン脂肪(fatty)アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、トリエタノールアミンステアレート、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、およびポリビニルピロリドンからなる群から選択されたものであってもよい。
【0065】
本明細書の前記両性イオン性界面活性剤は、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、ベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドプロピルベタイン、ココアンホカルボキシグリシネート、サルコシネートアミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、両性イミダゾリン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−コールアミド−1−プロピルジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、ドデシルホスフォコリンおよびスルホ−ベタインからなる群から選択されたものであってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
図5は、本明細書の一実現例による、第2界面活性剤がミセルの2以上の区域に位置する場合の様々な例を示すものである。
【0066】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下であってもよい。具体的には、前記第1界面活性剤の濃度は溶媒に対する臨界ミセル濃度の2倍であってもよい。
【0067】
本明細書において、前記臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、CMC)は、界面活性剤が溶液中で分子またはイオンの集団(ミセル)を形成する濃度の下限を意味する。
【0068】
界面活性剤の最も重要な特性は、界面活性剤が界面、例えば、空気−液体界面、空気−固体界面および液体−固体界面上で吸着する傾向を有することである。界面活性剤が凝集した形態で存在しないという意味で遊離(free)している場合、それらはモノマーまたはユニマー(unimer)と呼ばれ、ユニマー濃度を増加させれば、それらは凝集して小さい凝集体の実体(entity)、すなわち、ミセル(micelle)を形成する。このような濃度を臨界ミセル濃度(Critical Micell Concentration)とすることができる。
【0069】
前記第1界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の1倍未満であれば、第1金属塩に吸着される第1界面活性剤の濃度が相対的に少なくなる。それにより、形成されるコア粒子の量も全体的に少なくなる。一方、第1界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の5倍を超過すれば、第1界面活性剤の濃度が相対的に多くなって、中空コアを形成する金属ナノ粒子と中空コアを形成しない金属粒子が混ざって凝集しうる。よって、前記第1界面活性剤の濃度が溶媒に対する臨界ミセル濃度の1倍以上5倍以下である場合に、前記金属ナノ粒子の形成が円滑になされる。
【0070】
本明細書の一実現例によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤および/またはミセルを囲む第1および第2金属塩を調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。
【0071】
本明細書の一実現例によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤のチェーン長さによって金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、第1界面活性剤のチェーン長さが短ければ、ミセルの大きさが小さくなり、それによって金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0072】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤のチェーンの炭素数は15個以下であってもよい。具体的には、前記チェーンの炭素数は8個以上15個以下であってもよい。または、前記チェーンの炭素数は10個以上12個以下であってもよい。
【0073】
本明細書の一実現例によれば、ミセルを形成する第1界面活性剤の対イオン(counter ion)の種類を調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。具体的には、第1界面活性剤の対イオンの大きさが大きいほど、第1界面活性剤の外側端部の頭部との結合力が弱くなってミセルの大きさが大きくなり、それによって前記金属ナノ粒子の大きさが大きくなる。
【0074】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がアニオン性界面活性剤である場合、前記第1界面活性剤は対イオン(counter ion)としてNH、K、NaまたはLiを含むものであってもよい。
【0075】
具体的には、前記第1界面活性剤の対イオンがNHである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがKである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがNaである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがLiである場合の順に金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0076】
本明細書の一実現例によれば、前記第1界面活性剤がカチオン性界面活性剤である場合、前記第1界面活性剤は対イオンとしてI、BrまたはClを含むものであってもよい。
【0077】
具体的には、前記第1界面活性剤の対イオンがIである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがBrである場合、前記第1界面活性剤の対イオンがClである場合の順に金属ナノ粒子の大きさが小さくなる。
【0078】
本明細書の一実現例によれば、ミセルを形成する前記第1界面活性剤の外側端部の頭部の大きさを調節して前記金属ナノ粒子の大きさを調節することができる。さらに、ミセルの外面に形成された第1界面活性剤の頭部の大きさを大きくする場合、第1界面活性剤の頭部間の反発力が大きくなって、ミセルが大きくなり、それによって前記金属ナノ粒子の大きさが大きくなる。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の大きさは前記で記述された要素が複合的に作用して決定されることができる。
【0079】
本明細書の一実現例によれば、前記金属塩は溶液上でイオン化して金属イオンを提供できるものであれば特に限定されない。前記金属塩は、溶液状態でイオン化して金属イオンを含むカチオンまたは金属イオンを含む原子団イオンのアニオンを提供することができる。前記第1金属塩と前記第2金属塩は互いに異なってもよい。具体的には、前記第1金属塩は金属イオンを含むカチオンを提供し、前記第2金属塩は金属イオンを含む原子団イオンのアニオンを提供することができる。具体的には、前記第1金属塩はNi2+のカチオンを提供することができ、前記第2金属塩はPtCl2−のアニオンを提供することができる。
【0080】
本明細書の一実現例によれば、前記第1金属塩および第2金属塩は溶液上でイオン化して金属イオンまたは金属イオンを含む原子団イオンを提供できるものであれば特に限定されない。
【0081】
本明細書の一実現例によれば、前記第1金属塩および第2金属塩は、各々独立して、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されたものの塩であってもよい。
【0082】
具体的には、前記第1金属塩および前記第2金属塩は互いに異なり、各々独立して、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、Cr(クロム)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択された金属の塩であってもよい。
【0083】
より具体的には、本明細書の一実現例によれば、前記第1金属塩はルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択された金属の塩であってもよく、さらに具体的にはニッケル(Ni)の塩であってもよい。
【0084】
より具体的には、本明細書の一実現例によれば、前記第2金属塩は、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択された金属の塩であってもよい。より具体的には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)および金(Au)からなる金属の塩であってもよく、さらに具体的には白金(Pt)の塩であってもよい。
【0085】
本明細書の一実現例によれば、前記第1金属塩および第2金属塩は、各々独立して、金属の硝酸化物(Nitrate)、塩化物(Chloride)、臭化物(Bomide)、ヨウ化物(Iodide)のようなハロゲン化物(Halide)、水酸化物(Hydroxide)または硫酸化物(Sulfate)であってもよい。但し、これらに限定されるものではない。
【0086】
本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップでの前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は1:5〜10:1であってもよい。具体的には、前記第1金属塩と前記第2金属塩のモル比は2:1〜5:1であってもよい。
【0087】
前記第1金属塩のモル数が前記第2金属塩のモル数より少なければ、第1金属イオンが中空を含む第1シェルを形成し難い。また、第1金属塩のモル数が第2金属塩のモル数より10倍を超過すれば、第2金属イオンが第1シェルを囲む第2シェルを形成し難い。よって、前記範囲内で第1および第2金属イオンが円滑に前記金属ナノ粒子のシェル部を形成することができる。
本明細書の一実現例によれば、前記シェル部は、前記第1金属イオンを含む第1シェル、および前記第2金属イオンを含む第2シェルを含むことができる。
【0088】
本明細書の一実現例によれば、前記シェル部の第1金属と第2金属の原子百分率比は1:5〜10:1であってもよい。前記原子百分率比は、前記シェル部が第1シェルおよび第2シェルで形成される場合、第1シェルの第1金属と第2シェルの第2金属の原子百分率比であってもよい。または、前記原子百分率比は、前記シェル部が第1金属および第2金属を含む1つのシェルで形成される場合、第1金属と第2金属の原子百分率比であってもよい。
【0089】
本明細書の一実現例によれば、前記シェル部が第1金属および第2金属を含む1つのシェルで形成される場合、第1金属と第2金属が均一にまたは不均一に混合していてもよい。
本明細書の前記シェル部は、前記金属ナノ粒子が中空を含む場合、中空を除き、前記金属ナノ粒子を形成する領域を意味することができる。
または、前記シェル部は、前記金属ナノ粒子が中空を含まない場合、前記金属ナノ粒子を形成する領域を意味することができる。
または、前記シェル部は、前記金属ナノ粒子がボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子である場合、前記金属ナノ粒子を形成する領域を意味することができる。
【0090】
本明細書の一実現例によれば、前記シェル部は第1金属および第2金属がグラデーションした状態で存在してもよく、シェル部のコアと隣接する部分には第1金属が50体積%以上、または70体積%以上で存在してもよく、シェル部においてナノ粒子の外部と接する表面部分には第2金属が50体積%以上、または70体積%以上で存在してもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは、安定化剤をさらに添加するステップをさらに含むことができる。
【0091】
安定化剤としては、例えば、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウムおよびクエン酸三ナトリウムからなる群から選択された1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子を形成するステップは、前記還元剤と共に非イオン性界面活性剤をさらに添加することを含むことができる。
【0092】
前記非イオン性界面活性剤はシェルの表面に吸着され、溶液内で形成された金属ナノ粒子が均一に分散できるようにする役割をする。よって、金属粒子が固まったり凝集して沈殿することを防止し、金属ナノ粒子が均一な大きさに形成されるようにする。前記非イオン性界面活性剤の具体的な例示は前述した非イオン性界面活性剤の例示と同様である。
【0093】
本明細書の一実現例によれば、前記溶媒は水を含む溶媒であってもよい。具体的には、本明細書の一実現例によれば、前記溶媒は第1金属塩および第2金属塩を溶解させるものであり、水または水と炭素数1〜6のアルコールの混合物であってもよく、より具体的には水であってもよい。本明細書による前記製造方法は、溶媒として有機溶媒を用いないため、製造工程中で有機溶媒を処理する後処理工程が必要でなく、よって、費用の節減効果および環境汚染の防止効果がある。
【0094】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は常温で行われることができる。具体的には、4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には12℃以上28℃以下で行うことができる。
【0095】
本明細書の一実現例において、前記溶液を形成するステップは常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には12℃以上28℃以下で行うことができる。溶媒として有機溶媒を用いれば、100℃を超過する高温で製造しなければならないという問題がある。本出願は常温で製造することができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用の節減効果が大きい。
【0096】
本明細書の一実現例によれば、前記溶液を形成するステップは5分〜120分間、より具体的には10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間行うことができる。
【0097】
本明細書の一実現例によれば、前記溶液に還元剤および/または非イオン性界面活性剤を添加する空洞を含む金属ナノ粒子を形成するステップも常温、具体的には4℃以上35℃以下の範囲の温度、より具体的には12℃以上28℃以下で行うことができる。本明細書の前記製造方法は常温で製造することができるため、製造方法が単純で工程上の利点があり、費用の節減効果が大きい。
【0098】
前記空洞を含む金属ナノ粒子を形成するステップは、溶液と還元剤および/または非イオン性界面活性剤を一定時間反応させて、具体的には5分〜120分間、より具体的に10分〜90分間、さらに具体的には20分〜60分間反応させて行うことができる。
本明細書の一実現例によれば、前記還元剤の標準還元電位は−0.23V以下であってもよい。
【0099】
前記還元剤は、標準還元電位が−0.23V以下、具体的には−4V以上−0.23V以下の強い還元剤であり、且つ、溶解された金属イオンを還元させて金属粒子として析出できる還元力を有するものであれば特に限定されない。具体的には、前記還元剤はNaBH、NHNH、LiAlHおよびLiBEtHからなる群から選択された少なくともいずれか1つであってもよい。
【0100】
弱い還元剤を用いる場合、反応速度が遅く、溶液の後続的な加熱が必要であるなど、連続工程化し難いので大量生産に問題があり、特に、弱い還元剤の一種であるエチレングリコールを用いる場合、高い粘度による流れ速度の低下により連続工程での生産性が低いという問題点がある。よって、本明細書の前記還元剤を用いる場合には前記問題点を克服することができる。
【0101】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、空洞を含む金属ナノ粒子を形成するステップ後に中空内部の界面活性剤を除去するステップをさらに含むことができる。除去方法は特に制限されず、例えば、水で洗浄する方法を用いることができる。前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤であってもよい。
【0102】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、前記金属ナノ粒子を形成するステップ後、または中空内部の界面活性剤を除去するステップ後に前記金属ナノ粒子に酸を加えてカチオン性金属を除去するステップをさらに含むことができる。このステップで金属ナノ粒子に酸を加えれば、3dバンド(band)金属が溶出される。前記カチオン性金属は、具体的にはルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、Cr(クロム)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されたものであってもよい。
【0103】
本明細書の一実現例によれば、前記酸は特に限定されず、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸および臭化水素酸からなる群から選択されたものを用いることができる。
【0104】
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子が形成された後、溶液に含まれた金属ナノ粒子を析出するために、金属ナノ粒子を含む溶液を遠心分離することができる。遠心分離後、分離された金属ナノ粒子のみを回収することができる。必要に応じて、金属ナノ粒子の焼成工程をさらに行うことができる。
【0105】
本明細書の一実現例によれば、数ナノサイズで均一な大きさを有する金属ナノ粒子を製造することができる。従来の方法では数ナノサイズの金属ナノ粒子の製造が困難であっただけでなく、均一な大きさに製造することはより困難であった。
【0106】
本明細書の一実施形態において、前記金属ナノ粒子の平均粒径は30nm以下であってもよく、より具体的には20nm以下であってもよく、または12nm以下、または10nm以下であってもよい。または、前記金属ナノ粒子の平均粒径は6nm以下であってもよい。前記金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上であってもよい。金属ナノ粒子の粒径が30nm以下である場合に、ナノ粒子を色々な分野で利用できる長所が大きい。また、金属ナノ粒子の粒径が20nm以下である場合により好ましい。なお、金属ナノ粒子の粒径が10nm以下、または6nm以下である場合に、粒子の表面積がより広くなるため、色々な分野で利用できる応用可能性がより大きくなるという長所がある。例えば、前記粒径範囲で形成された金属ナノ粒子が触媒として用いられれば、その効率が顕著に上昇する。
【0107】
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の平均粒径はグラフィックソフトウェア(MAC−View)を用いて200個以上の中空金属ナノ粒子に対して測定し、得られた統計分布を通じて平均粒径を測定した値を意味する。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上30nm以下であってもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上20nm以下であってもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上12nm以下であってもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上10nm以下であってもよい。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上6nm以下であってもよい。
本明細書の一実施形態において、前記金属ナノ粒子におけるシェル部の厚さは0nm超過5nm以下、より具体的には0nm超過3nm以下であってもよい。
【0108】
例えば、前記金属ナノ粒子が中空を含む場合、平均粒径は30nm以下であり、シェル部の厚さは0nm超過5nm以下であってもよく、より具体的には、前記金属ナノ粒子の平均粒径は20nm以下または10nm以下であり、シェル部の厚さは0nm超過3nm以下であってもよい。本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子の中空の粒径は1nm以上10nm以下、具体的には1nm以上4nm以下であってもよい。また、各々のシェルの厚さは0.25nm以上5nm以下、具体的には0.25nm以上3nm以下であってもよい。前記シェル部は第1金属および第2金属が混合して形成されたシェルであってもよく、各々第1金属および第2金属の混合比率が異なるように別途に形成された第1シェルおよび第2シェルを含む複数のシェルであってもよい。または、第1金属のみを含む第1シェルおよび第2金属のみを含む第2シェルを含む複数のシェルであってもよい。
【0109】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造された金属ナノ粒子が中空を含む場合、中空の体積は前記金属ナノ粒子の全体体積の50体積%以上、具体的には70体積%以上、より具体的には80体積%以上であってもよい。
本明細書の一実現例は、前記製造方法によって製造された金属ナノ粒子を提供する。
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子は球形状、またはボウル状粒子を1以上含む形状であってもよい。
【0110】
本明細書の一実現例によれば、前記金属ナノ粒子は、中空コア(core)部、第1金属および第2金属を含むシェル(shell)部、および前記シェル部の1または2以上の領域にシェル部の外面から前記中空コアに達する空洞(cavity)を含む中空金属ナノ粒子であってもよい。具体的には、前記中空金属ナノ粒子は空洞を1つ含むことができる。
【0111】
また、本明細書の一実現例によれば、第1金属および第2金属を含み、外側表面から連続する1つ以上の空洞(cavity)を含む金属ナノ粒子であってもよい。具体的には、前記空洞は前記金属ナノ粒子を貫通することができる。または、前記空洞は、前記金属ナノ粒子の外側表面から前記金属ナノ粒子の内部の一領域にまで連続してもよい。
なお、本明細書の一実現例によれば、第1金属および第2金属を含むボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子であってもよい。
【0112】
本明細書の前記製造方法によって製造された前記金属ナノ粒子は、一般的にナノ粒子が用いられる分野で従来のナノ粒子の代わりに用いられることができる。本明細書の前記金属ナノ粒子は、従来のナノ粒子に比べて、大きさが非常に小さく、比表面積がより広いため、従来のナノ粒子に比べて優れた活性を示すことができる。具体的には、本明細書の前記金属ナノ粒子は触媒、ドラッグ・デリバリー(drug delivery)、ガスセンサなどの様々な分野に用いられることができる。前記金属ナノ粒子は、触媒として化粧品、殺虫剤、動物栄養剤または食品補充剤において活性物質製剤として用いられることもでき、電子製品、光学用品または重合体において顔料として用いられることもできる。
【実施例】
【0113】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本明細書による実施例は色々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0114】
本明細書の図面中、TEMイメージはTEMの暗視野(dark field)および/または明視野(bright field)を示す。暗視野(dark field)TEMイメージの場合、TEMの電子束が金属ナノ粒子に接する時に質量の大きいシェル部において多く回折をして明るいイメージを示す。また、ナノ粒子の中空がある領域はTEMの電子束が回折を少なくするので若干暗いイメージを示す。なお、シェル部の空洞がある領域はTEMの電子束がそのまま透過して黒いイメージとして表れる。
[実施例1]空洞を含む中空金属ナノ粒子の製造
【0115】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてN−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(N−dodecyl−N,N−dimethyl−3−ammonio−1−propane sulfonate:DDAPS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、DDAPSはALSの1/30モルであった。
【0116】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0117】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例1により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図8に示す。
[実施例2]空洞を含む中空金属ナノ粒子の製造
【0118】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてナトリウム1−ヘプタンスルホネート(sodium 1−heptanesulfonate:SHS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、SHSはALSの1/30モルであった。
【0119】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0120】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例2により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図9に示す。
[実施例3]空洞を含む中空金属ナノ粒子の製造
【0121】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてナトリウムヘキサンスルホネート(sodium hexanesulfonate)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、ナトリウムヘキサンスルホネートはALSの1/30モルであった。
【0122】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0123】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例3により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図10に示す。
[実施例4]空洞を含む中空金属ナノ粒子の製造
【0124】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate:SDS)、第2界面活性剤としてN−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(N−dodecyl−N,N−dimethyl−3−ammonio−1−propane sulfonate:DDAPS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、DDAPSはSDSの1/30モルであった。
【0125】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0126】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例4により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図11に示す。
[実施例5]空洞を含む金属ナノ粒子の製造
【0127】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてSPAN 60、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、SPAN 60はALSの1/10モルであった。
【0128】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0129】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例5により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図12に示す。
[実施例6]空洞を含む金属ナノ粒子の製造
【0130】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてナトリウム1−ヘプタンスルホネート(sodium 1−heptanesulfonate:SHS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、SHSはSDSの1/5モルであった。
【0131】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0132】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例6により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図13に示す。
[実施例7]空洞を含む金属ナノ粒子の製造
【0133】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate:SDS)、第2界面活性剤としてN−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート(N−dodecyl−N,N−dimethyl−3−ammonio−1−propane sulfonate:DDAPS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、SDSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、DDAPSはSDSの1/10モルであった。
【0134】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0135】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例7により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図14および図15に示す。
[実施例8]ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造
【0136】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate:SDS)、第2界面活性剤としてSPAN 60、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、SDSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、SPAN 60はSDSの1/10モルであった。
【0137】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0138】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例8により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図16に示す。
[実施例9]ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造
【0139】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate:SDS)、第2界面活性剤としてSPAN 60、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、SDSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、SPAN 60はSDSの1/30モルであった。
【0140】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0141】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例9により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図17に示す。
[実施例10]ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造
【0142】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate:SDS)、第2界面活性剤としてトリエタノールアンモニウムドデシルベンゼンスルフェート(Trirthanol ammonium dodecyl benzene sulfate)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、SDSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、トリエタノールアンモニウムドデシルベンゼンスルフェートはSDSの1/30モルであった。
【0143】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0144】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例10により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図18に示す。
[実施例11]ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造
【0145】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてナトリウムヘキサンスルホネート(sodium hexanesulfonate)、第2界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSのモル濃度はナトリウムヘキサンスルホネートのモル濃度の2/3倍であった。
【0146】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0147】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例11により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図19および図20に示す。
[実施例12]ボウル状粒子を1以上含む金属ナノ粒子の製造
【0148】
第1金属塩としてNi(NO、第2金属塩としてKPtCl、第1界面活性剤としてアンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate:ALS)、第2界面活性剤としてナトリウムヘキサンスルホネート(sodium hexanesulfonate)、安定化剤としてクエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)を蒸留水に添加して溶液を形成し、30分間攪拌した。この時、KPtClとNi(NOのモル比は1:3であり、ALSは水に対する臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の2倍であり、ナトリウムヘキサンスルホネートのモル濃度はALSのモル濃度と1:1として同一であった。
【0149】
次に、還元剤としてNaBHおよび非イオン性界面活性剤としてポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone:PVP)を添加して30分間反応させた。
【0150】
その後、10,000rpmで10分間遠心分離をして、上層の上清を捨て、残った沈殿物を蒸留水に再分散した後、遠心分離過程を繰り返し行って、本願明細書の金属ナノ粒子を製造した。前記金属ナノ粒子の製造過程は14℃の雰囲気下で実施された。
前記実施例12により製造された金属ナノ粒子の電子透過顕微鏡(TEM)のイメージを図21および図22に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22