特許第6241837号(P6241837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241837
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】発熱体及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20171127BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20171127BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20171127BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20171127BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H05B3/20 347
   C03C27/12 M
   H05B3/20 355B
   H05B3/84
   B32B7/02 104
   B60S1/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-526842(P2016-526842)
(86)(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公表番号】特表2017-505505(P2017-505505A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】KR2014011464
(87)【国際公開番号】WO2015080482
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年5月10日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0147153
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジェヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、サラ
(72)【発明者】
【氏名】リー、セウン ヘオン
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02665337(EP,A2)
【文献】 特表2013−516043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
B32B 7/02
B60S 1/02
C03C 27/12
H05B 3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着フィルムの少なくとも一面に線高が10μm以下の導電性発熱パターンを形成するステップであり、該ステップは、金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップ;前記金属めっきパターンが前記接着フィルムに接するように、前記金属めっきパターンが備えられた金属層を接着フィルムとラミネーションするステップ;及び前記金属層を前記金属めっきパターンから除去するステップを含む、導電性発熱パターンを形成するステップと、
前記接着フィルムの前記導電性発熱パターンが形成された面の反対面に第2保護フィルムを接着するステップと、
を含む発熱体の製造方法。
【請求項2】
前記接着フィルムの前記導電性発熱パターンが形成された面に第1保護フィルムを接着するステップをさらに含む、請求項1に記載の発熱体の製造方法。
【請求項3】
接着フィルムの少なくとも一面に線高が10μm以下の導電性発熱パターンを形成するステップであり、該ステップは、金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップ;前記金属めっきパターンが前記接着フィルムに接するように、前記金属めっきパターンが備えられた金属層を接着フィルムとラミネーションするステップ;及び前記金属層を前記金属めっきパターンから除去するステップを含む、導電性発熱パターンを形成するステップと、
前記接着フィルムの前記導電性発熱パターンが形成された面の反対面に第2透明基板をラミネーションするステップと、
を含む発熱体の製造方法。
【請求項4】
前記接着フィルムの前記導電性発熱パターンが形成された面に第1透明基板をラミネーションするステップをさらに含む、請求項3に記載の発熱体の製造方法。
【請求項5】
前記金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップは、金属層上に厚さが10μm以下の金属めっき層を形成するステップ;及び前記金属めっき層をパターニングして金属めっきパターンを形成するステップを含むものである請求項1から4のいずれか一項に記載の発熱体の製造方法。
【請求項6】
前記金属めっき層をパターニングして金属めっきパターンを形成するステップは、前記金属めっき層上にエッチング保護層パターンを形成した後、エッチング保護層パターンによって覆われていない金属めっき層を除去することで行われるものである請求項に記載の発熱体の製造方法。
【請求項7】
前記金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップは、金属層上に絶縁パターンを形成するステップ;及び前記金属層の絶縁パターンによって覆われていない表面上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップを含み、前記接着フィルムとのラミネーションの前に、または前記金属層を前記金属めっきパターンから除去した後で前記絶縁パターンを除去するものである請求項1から4のいずれか一項に記載の発熱体の製造方法。
【請求項8】
前記ラミネーションの前に前記接着フィルム上に、または金属めっき層または金属めっきパターン上にプライマー層または粘着層を形成するステップをさらに含む請求項または請求項に記載の発熱体の製造方法。
【請求項9】
前記ラミネーションは、[前記接着フィルムのガラス転移温度(Tg)−10℃]以上の加熱ロールを通過させるラミネーション工程で行われるものである請求項または請求項に記載の発熱体の製造方法。
【請求項10】
前記導電性発熱パターンの両端にバスバー(bus bar)を形成するステップ;及び前記バスバーと連結された電源部を形成するステップをさらに含む 請求項に記載の発熱体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年11月29日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0147153号の出願日の利益を主張し、その内容はいずれも本細書に含まれる。
【0002】
本明細書には、発熱体及びこれの製造方法が記載される。
【背景技術】
【0003】
自動車の外部温度と内部温度の間に差がある場合には、自動車ガラスに湿気または霜が発生する。これを解決するために発熱ガラスが使用されることができる。発熱ガラスは、ガラス表面に熱線シートを貼り付けるか、ガラス表面に直接熱線を形成し、熱線の両端子に電気を印加して熱線から熱を発生させ、これによりガラス表面の温度を上げる概念を用いる。
【0004】
特に、自動車のフロントガラスに光学的性能に優れながら発熱機能を付与するために採用している方法は、大きく二つがある。
【0005】
第一の方法は、透明導電性薄膜をガラス全面に形成することである。透明導電性薄膜を形成する方法としては、ITOのような透明導電性酸化膜を用いるか金属層を薄く形成した後、金属層の上下に透明絶縁膜を用いて透明性を高める方法がある。この方法を用いれば、光学的に優れた導電性膜を形成することができるという長所があるが、相対的に高い抵抗値によって低電圧で適切な発熱量を実現できないという短所がある。
【0006】
第二の方法は、金属パターンまたはワイヤ(wire)を用いるが、金属パターンまたはワイヤのない領域を極大化して透過度を高める方法を用いることができる。この方法を用いた代表的な製品は、自動車フロントガラスの接合に使用されるPVBフィルムにタングステン線を挿入する方式で作製する発熱ガラスである。この方法の場合、使用されるタングステン線の直径は18μm以上で低電圧で十分な発熱量を確保できる水準の導電性を実現することができるが、相対的に太いタングステン線のため視野的にタングステン線がよく目に付くという短所がある。これを克服するために、PETフィルムの上にプリント工程を通じて金属パターンを形成するか、PETフィルムの上に金属層を貼り付けた後、フォトリソグラフィ工程を通じて金属パターンを形成することができる。上記金属パターンが形成されたPETフィルムをPVBフィルム二枚の間に挿入した後、ガラス接合工程を経て発熱機能付き発熱製品を作製することができる。しかしながら、PETフィルムを二枚のPVBフィルムの間に挿入することにより、PETフィルムとPVBフィルムの間の屈折率差によって自動車ガラスを通じて見える物の歪みを起こし得るという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書には、発熱体及びこれの製造方法が記載される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、接着フィルム;及び上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターンを含む発熱体を提供する。
【0009】
本発明のまた一つの実施態様は、接着フィルム;上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターン;及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面の反対面のうち少なくとも一面に備えられた保護フィルムを含む発熱体を提供する。
【0010】
本発明のまた一つの実施態様は、接着フィルム;上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターン;上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面に備えられた第1透明基板;及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面の反対面に備えられた第2透明基板を含む発熱体を提供する。
【0011】
上記発熱体は、上記接着フィルムの導電性発熱パターンが備えられた面に備えられた追加の接着フィルムをさらに含むことができる。
【0012】
上記発熱体は、上記導電性発熱パターンの両端に備えられたバスバー(bus bar)をさらに含むことができる。また、上記発熱体は、上記バスバーと連結された電源部をさらに含むことができる。
【0013】
本発明のまた一つの実施態様は、接着フィルムの少なくとも一面に線高が10μm以下の導電性発熱パターンを形成するステップを含む発熱体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明のまた一つの実施態様は、接着フィルムの少なくとも一面に厚さが10μm以下の金属フィルムを熱貼合するステップ;及び上記金属フィルムをパターニングして導電性発熱パターンを形成するステップを含む発熱体の製造方法を提供する。
【0015】
本発明のまた一つの実施態様は、金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップ;及び上記金属めっきパターンが上記接着フィルムに接するように、上記金属めっきパターンが備えられた金属層を接着フィルムとラミネーションするステップ;及び上記金属層を上記金属めっきパターンから除去するステップを含む発熱体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載の実施態様によれば、透明基板がなくても接着フィルム上に導電性発熱パターンを形成することができる。このように、接着フィルム上に導電性発熱パターンを直接形成することで、2つの透明基板の間に、接着フィルム以外に他のフィルムをさらに使用しなくて済むため、フィルム同士の屈折率差による視野の歪みを防止することができる。また、1枚の接着フィルムのみを使用する場合には、発熱体の製造工程が簡単であり、製造コストも安く、厚さも薄く構成できるという長所がある。一方、本明細書の一部の実施態様に係る発熱体は、接着フィルムの導電性発熱パターンが備えられた面に備えられた追加の接着フィルムをさらに含むことができ、この場合、屈折率差による視野の歪み現象及び接合工程での気泡除去の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に記載の一実施態様に係る発熱体における積層構造を例示するものである。
図2】本明細書に記載の他の実施態様に係る発熱体における積層構造を例示するものである。
図3】本明細書に記載のまた一つの実施態様に係る発熱体における積層構造を例示するものである。
図4】本明細書に記載のまた一つの実施態様に係る発熱体における積層構造を例示するものである。
図5】本明細書に記載の一実施態様に係る発熱体の製造工程を例示するものである。
図6】本明細書に記載の他の実施態様に係る発熱体の製造工程を例示するものである。
図7】本明細書に記載のまた一つの実施態様に係る発熱体の製造工程を例示するものである。
図8】実施例1で製造した発熱体の導電性発熱パターン形態の写真を示すものである。
図9】実施例2で製造した発熱体の導電性発熱パターン形態の写真を示すものである。
図10】実施例3で製造した発熱体の導電性発熱パターン形態の写真を示すものである。
図11】実施例4で製造した発熱体の導電性発熱パターン形態の写真を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で、本発明についてより詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施態様に係る発熱体は、接着フィルム;及び上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターンを含む。
【0020】
本明細書において、上記導電性発熱パターンの線高とは、上記接着フィルムに接する面から、これに対向する面までの距離を意味する。
【0021】
図1は、上記発熱体の積層構造を例示するものである。従来は透明基板上に導電性発熱パターンを形成する方法が用いられたが、本発明によれば、透明基板がなくても接着フィルムに直接導電性発熱パターンを形成することができる。
【0022】
本発明の一実施態様に係る発熱体は、接着フィルムの少なくとも一面に厚さ10μm以下の金属フィルムを形成した後、エッチング工程のような方法を用いた上記金属フィルムをパターニングすることで形成されることができる。上記金属フィルムの形成は、金属層上に厚さ10μm以下の金属めっき層を形成した後、これを接着フィルムに転写する方式を通じて行われることができる。または、本発明の一実施態様に係る発熱体は、金属層上に厚さ10μm以下の金属めっきパターンを形成した後、上記金属めっきパターンを接着フィルムに転写する方式を通じて形成されることができる。
【0023】
上記接着フィルムは、熱接合工程で使用される工程温度以上で接着性を有するものを意味する。例えば、上記接着フィルムは、当技術分野で発熱体を作製するために使用される熱接合工程で透明基板と接着性を示すことができるものを意味する。熱接合工程の圧力、温度及び時間は、接着フィルムの種類によって異なるが、例えば熱接合工程は、130〜150℃の範囲から選択された温度で行われることができ、必要によって圧力が加えられてもよい。上記接着フィルムの材料としては、PVB(polyvinylbutyral)、EVA(ethylene vinyl acetate)、PU(polyurethane)、PO(Polyolefin)などが使用されることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0024】
上記接着フィルムは、熱接合工程で使用される工程温度以上で接着性を有するため、その後の透明基板との接合時に追加の接着フィルムが必要でない。このように高温で接着性を有する接着フィルムは、フィルム材料のガラス転移温度(Tg)が低くて、フィルムが所望しない形態に変形または損傷することがある。本発明においては、後述するめっき法を用いて低温で導電性発熱パターンを形成することができるので、熱接合工程で接着性を有する接着フィルムを含む発熱体を提供することができる。
【0025】
本発明の一実施態様では、めっき法によって厚さ10μm以下の金属めっき層または金属めっきパターンを金属層上に形成することで、フリースタンディング金属フィルムを形成し、これを接着フィルムに転写する方法によって発熱体を製造することができる。本明細書において、フリースタンディング金属フィルムとは、接着フィルムと別に形成されている金属フィルムを意味するものであって、その形態は導電性発熱パターンに対応するパターンが形成される前または後であってもよい。上記フリースタンディング金属フィルムがパターンが形成された後を意味する場合、導電性発熱パターンと同じ意味で使用されることもできる。上記接着フィルムへの転写は、接着フィルムとフリースタンディング金属フィルムとを加熱ロールを通過させるラミネーション工程を通じて行われることができる。上記加熱ロールに使用される温度は、[接着フィルムのガラス転移温度−10℃]以上、必要な場合[透明基板との接合工程で使用する温度]以下から選択されることができる。上記[透明基板との接合工程で使用する温度]は、例えば130〜150℃の範囲から選択される温度であってもよい。このとき、必要によってロールの間に一定の圧力が加えられてもよい。
【0026】
フリースタンディングフィルム(freestanding film)形態の金属フィルムは、主に圧延法またはめっき法を使用して作製されることができる。ところで、圧延法では10μm以下の厚さで均一な薄膜を形成しにくいため、導電性発熱パターンの形成時に圧延法によって製造された金属フィルムを用いる場合、線高が10μm以下のパターンを得ることができない。しかしながら、本発明においては、後述するめっき法によるフリースタンディング金属フィルムを用いることで、線高が10μm以下の導電性発熱パターンを形成することができる。
【0027】
接着フィルム上にフリースタンディングフィルム形態の金属フィルムを融着する方式ではない、接着フィルム上に直接金属薄膜を形成する方式を用いる場合、接着フィルムと透明基板との間の接合工程で使用される温度を超過する温度に晒されると、均一な金属薄膜を接着フィルム上に形成することが難しい。例えば、真空蒸着工程を使用して厚さ300nm以上の薄膜を形成する場合、接着フィルムに熱的ストレスを与え、このとき、温度が瞬間的に接着フィルムのガラス転移温度以上に上がると、接着フィルムの変形が生じる。特に、フィルムロール工程の途中で接着フィルムの変形が生じると、上記接着フィルム上に均一な金属薄膜が形成されることが困難である。
【0028】
しかしながら、本発明においては、上述したように、めっき法によって厚さ10μm以下の金属めっき層または金属めっきパターンを金属層上に形成することで、フリースタンディング金属フィルムを形成し、これを接着フィルムに転写する方法を用いることで、接着フィルムの変形を防止しながら均一な厚さの導電性発熱パターンを形成することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、上記接着フィルムの厚さは、190〜2,000μmである。上記接着フィルムの厚さが190μm以上の場合、導電性発熱パターンを安定して支持すると共に、その後の透明基板との接着力を十分発生させることができる。上記接着フィルムの厚さを2,000μm以下にする場合にも、上記のように支持性及び接着性を十分発生させることができるため、不要な厚さ増加を防止することができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、上記接着フィルムのガラス転移温度(Tg)は、55〜90℃である。上記接着フィルムがこのように低いガラス転移温度(Tg)を有する場合にも、後述する方法によって接合工程上で接着性の損傷なしに、またはフィルムの意図しない変形または損傷なしに導電性発熱パターンを形成することができる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、上記接着フィルムとフリースタンディング金属フィルムとを[接着フィルムのガラス転移温度−10℃]以上、必要によって[透明基板との接合工程で使用する温度]以下で加熱ロールを通過させるラミネーションをしたとき、接着フィルムと金属フィルムとの接着力は250gf/inch(1 gf/inch=3.86×10−3N/cm)以上の値を有することが好適である。上記接着力は、Texture analyzer装備(MHK社)を用いて300mm/minの条件で90゜の剥離力を測定した値を取ることができる。上記の接着力が250gf/inch未満の値を有する場合、金属フィルムをパターニングする工程で剥離が発生し得る。上記工程によって接着力が250gf/inch未満の値を有する場合、フリースタンディング金属フィルムまたは接着フィルム上に接着改善層を形成するかプラズマ処理を通じて接着力を改善することができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、上記接着フィルムとフリースタンディング金属フィルムとを[接着フィルムのガラス転移温度−10℃]以上、必要によって[透明基板との接合工程で使用する温度]以下で加熱ロールを通過させるラミネーションしたとき、上記接着フィルムと上記フリースタンディング金属フィルムとの接する面積は、上記接着フィルムと上記金属フィルムとを[接着フィルムのガラス転移温度−10℃]未満でラミネーションしたときに比べて増加する。これは接着フィルム/金属フィルムの複合フィルムの製造の際、[接着フィルムのガラス転移温度−10℃]以上、必要によって[透明基板との接合工程温度]以下、例えば150℃以下の加熱ロールを通過させるラミネーションすることで、上記接着フィルムの表面中に上記フリースタンディング金属フィルムと接する部分が溶けるためであり(melting)、これによって上記導電性発熱パターンと接着フィルムとの接着面積が増加されることができ、これにより接着力が増加することができる。よって、本発明の一例による発熱体では、上記接着フィルムと上記導電性発熱パターンとの接する面積が、上記接着フィルムと上記導電性発熱パターンとを[接着フィルムのガラス転移温度−10℃]未満でラミネーションしたときに比べて増加することができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンの線高は10μm以下である。導電性発熱パターンの厚さが10μmを超過する場合、金属パターンの側面による光の反射によって金属の認知性が高くなる短所がある。本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンの線高は0.3〜10μmの範囲内である。本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンの線高は、0.5〜5μmの範囲内である。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンは金属から形成される。線高が10μm以下の導電性発熱パターンは、上述したようにめっき法によって形成した金属フィルムを熱貼合によって接着フィルム上に転写し、上記金属フィルムをパターニングすることで形成されるか、金属層上に金属めっきパターンを形成した後、これを接着フィルムに転写する方法で形成されることができる。仮に導電性発熱パターンの形成時に真空蒸着法のように高温工程が伴われる方法を用いる場合、蒸着過程で発生する熱によってフィルムの意図しない変形または損傷が発生するおそれがある。フィルムに意図しない変形または損傷が発生する場合、ロール工程で製造するのに限界がある。
【0035】
上記の通り、導電性発熱パターンをめっき法によって形成する場合、バインダー樹脂を含むペーストを用いた印刷法によって導電性発熱パターンを形成することに比べて、金属自体の比抵抗レベルの導電率を実現することができる。例えば、金属ペーストを用いる場合、使用する金属の比抵抗に対し3〜10倍の比抵抗を有するようになるが、めっき法を用いると、使用する金属に対し比抵抗の増加を2倍以内に制御することができる。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンは、めっき法によって形成したフリースタンディング金属フィルムから形成されることによって、金属めっき時に使用した触媒を含むことができる。使用できる触媒は、ニッケル、クロム、パラジウムまたはプラチナを含む触媒があるが、これにのみ限定されるものではない。
【0037】
上記導電性発熱パターンは、上記接着フィルムにシード層(seed layer)を形成した後、めっき工程を通じて形成する場合、均一な金属フィルム層を得ることができないため、導電性発熱パターンの厚さ均一性を考慮すると、上述したようにめっき法によるフリースタンディング金属フィルムを製造した後、これを熱貼合法によって接着フィルムに転写する方法を用いることが好ましい。
【0038】
めっき法によって製造したフリースタンディング金属フィルムを用いる方法を詳しく説明すれば、下記の通りである。
【0039】
一例によれば、本発明に係る発熱体は、接着フィルムの少なくとも一面に厚さが10μm以下の金属フィルムを熱貼合するステップ;及び上記金属フィルムをパターニングして導電性発熱パターンを形成するステップを含む方法によって製造されることができる。
【0040】
上記接着フィルムの少なくとも一面に厚さが10μm以下の金属フィルムを熱貼合するステップは、金属層上に金属めっき層を形成するステップ;上記金属めっき層が上記接着フィルムに接するように、上記金属めっき層が備えられた金属層を上記接着フィルムとラミネーションするステップ;及び上記金属層を金属めっき層から除去するステップを含むことができる。上記金属層は、金属めっき層を形成するための支持層として用いられる。
【0041】
上記金属フィルムをパターニングするステップは、上記金属フィルム上にエッチング保護層パターンを形成した後、エッチング保護層パターンによって覆われていない金属フィルムを除去することで、線高10μm以下の導電性発熱パターンを形成することができる。
【0042】
上記支持層として用いる金属層は、上記金属めっき層の支持層として用いられることができれば、その材料または厚さに限定されない。例えば、上記金属層は、上記金属めっき層の材料と同じものを用いることができる。
【0043】
上記エッチング保護層パターンは、フォトリソグラフィ法によって選択的露光及び現像によって形成することもでき、印刷法によって直接パターンを形成することもできる。印刷法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷などが用いられることができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0044】
上記エッチング保護層は、金属パターンの形成後、ストリッピング工程を通じて除去されてもよく、除去せずに残っていてもよい。
【0045】
一例による発熱体の製造方法を、図5に例示する。図5によれば、PVBフィルムのような接着フィルム上に、銅フィルムのような金属フィルムを熱貼合し、上記金属フィルム上にプリント工程またはリソグラフィ工程によってエッチング保護層パターンを形成し、上記金属フィルムをエッチングした後、上記エッチング保護層パターンを除去する。次に、両面に第1透明基板と第2透明基板をラミネーションする。必要によって、透明基板の代わりに保護フィルムが貼り付けられてもよい。図5には示されていないが、上記金属フィルムの熱貼合される面の反対面には、支持層として金属層が備えられることができ、上記金属層は透明基板のラミネーションの前に除去されることができる。
【0046】
また一つの例によれば、本発明に係る発熱体は、金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップ;及び上記金属めっきパターンが上記接着フィルムに接するように、上記金属めっきパターンが備えられた金属層を接着フィルムとラミネーションするステップ;及び上記金属層を上記金属めっきパターンから除去するステップを含む方法によって製造されることができる。ここで、金属層は、上述した例示で記述した内容が適用されることができる。
【0047】
例えば、上記金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップは、金属層上に厚さが10μm以下の金属めっき層を形成するステップ;及び上記金属めっき層をパターニングして金属めっきパターンを形成するステップを含むことができる。上記金属めっき層をパターニングして金属めっきパターンを形成するステップは、上記金属めっき層上にエッチング保護層パターンを形成した後、エッチング保護層パターンによって覆われていない金属めっき層を除去することで行われることができる。ここで、エッチング保護層は、上述した例示で記述した内容が適用されることができる。上記エッチング保護層パターンによって覆われていない金属めっき層を除去する際は、エッチング速度またはエッチング時間などの条件を調節して、金属層上の金属めっき層が除去されるようにすることができる。
【0048】
一例による発熱体の製造方法を図6に例示する。図6によれば、金属層上に金属めっき層を形成し、金属めっき層上にエッチング保護層パターンを形成した後、エッチング保護層パターンによって覆われていない金属めっき層を除去して金属めっきパターンを形成する。次に、金属層上に形成された金属めっきパターンを接着フィルムに熱貼合した後、金属層を除去し、両面に第1透明基板と第2透明基板をラミネーションする。必要によって、透明基板の代わりに保護フィルムが貼り付けられてもよい。
【0049】
他の例として、上記金属層上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップは、金属層上に絶縁パターンを形成するステップ;及び上記金属層の絶縁パターンによって覆われていない表面上に厚さが10μm以下の金属めっきパターンを形成するステップを含むことができる。このとき、上記接着フィルムとのラミネーションの前に、または上記金属層を上記金属めっきパターンから除去した後で、上記絶縁パターンが除去されることができる。
【0050】
上記絶縁パターンは、金属めっきパターンを形成するためのものであって、本発明の目的に反しない限り、当技術分野で知られている材料の中から選択された材料を用いることができる。
【0051】
一例による発熱体の製造方法を図7に例示する。図7によれば、金属層上に絶縁パターンを形成し、上記金属層上の絶縁パターンが備えられていない面上に金属めっきパターンを形成した後、絶縁パターンを除去して接着フィルムを熱貼合する。次に、金属層を除去し、両面に第1透明基板と第2透明基板をラミネーションする。必要によって、透明基板の代わりに保護フィルムが貼り付けられてもよい。
【0052】
上記発熱体の製造方法は、導電性発熱パターンの両端にバスバー(bus bar)を形成するステップ;及び上記バスバーと連結された電源部を形成するステップをさらに含むことができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンの線高のばらつきは、20%以内、好ましくは10%以内である。
【0054】
必要によって、上記金属めっき層または金属めっきパターンを接着フィルムにラミネーションする前に、上記金属めっき層または金属めっきパターン上に、または上記接着フィルム上にプライマー層または粘着層を形成することができる。このプライマー層または粘着層によって接着フィルムとの接着性が改善することができる。プライマー層の厚さは薄いほど好ましく、例えば10μm以内、好ましくは1μm以内である。プライマー層の材料としては、シリコーン系またはウレタンアクリレートなどのアクリレート系の物質を使用することができる。
【0055】
必要によって、接着性改善のために金属めっき層または金属めっきパターンのような金属フィルムまたは接着フィルム上にプラズマ処理を施すこともできる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンと上記接着フィルムとの界面にはプライマー層または粘着層が備えられることができる。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、上記導電性発熱パターンは、熱導電性材料からなることができる。例えば、上記導電性発熱パターンは、金属線からなることができる。具体的に、上記発熱パターンは、熱伝導率に優れた金属を含むことが好ましい。上記発熱パターン材料の比抵抗値は、1μΩcm以上200μΩcm以下であることがよい。発熱パターン材料の具体的な例として、銅、銀(silver)、アルミニウム等が使用されることができる。上記導電性発熱パターンの材料として、安価で導電率に優れた銅が最も好ましい。
【0058】
上記発熱パターンは、直線、曲線、ジグザグまたはこれらの組合せからなる金属線のパターンを含むことができる。上記発熱パターンは、規則的なパターン、不規則的なパターンまたはこれらの組合わせを含むことができる。
【0059】
上記発熱パターンの全体開口率が90%以上であることが好ましい。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、上記発熱パターンの線幅が、40μm以下、具体的に0.1μm〜40μm以下である。上記発熱パターンの線間間隔は50μm〜30mmである。
【0061】
本発明のまた一つの実施態様によれば、上述した実施態様に係る発熱体の上記接着フィルムの導電性発熱パターンが備えられた面に備えられた追加の接着フィルムをさらに含む発熱体を提供する。図2に、第1接着フィルム;上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターン;及び上記第1接着フィルムの導電性発熱パターンが備えられた面に備えられた第2接着フィルムを含む発熱体が示されている。従来はPETフィルムのようなプラスチックフィルム上に導電性発熱パターンを形成し、これを透明ガラスのような基板に貼り付けるために両面に接着フィルムを貼り付けた。しかしながら、上記本発明の実施態様によれば、プラスチックフィルムがなくても接着フィルムに直接導電性発熱パターンを使用することで、PETフィルムのようなプラスチックフィルムを使用する必要がなく、これによって接着フィルムとプラスチックフィルムの間の屈折率差による視野の歪み現象を防止することができる。また、発熱体の両側に保護フィルムまたは透明基板を接合する場合に、発熱体の表面にエンボス領域のように非平坦な領域が一切存在しなければ、接合工程で気泡の除去に困難性があり得る。しかしながら、上記のように第1接着フィルムと第2接着フィルムとを含む構造の発熱体を使用する場合、上記のように気泡の除去が難しい問題点を緩和させることができる。上記追加の接着フィルムとしては、本明細書に記載の接着フィルムに関する説明が適用されることができる。また、2つの接着フィルムは互いに同種または異種の材料からなることができる。また、2つの接着フィルムの厚さは互いに同一であってもよく、必要によって異なっていてもよい。
【0062】
本発明のまた一つの実施態様によれば、接着フィルム;上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターン;上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面の反対面のうち少なくとも一面に備えられた保護フィルムを含む発熱体を提供する。図3に、2枚の保護フィルムを含む発熱体の積層構造を例示する。
【0063】
上述したように、本発明においては、基板なしに接着フィルムに直接導電性発熱パターンを製造することができるため、工程上、必要によって、または最終用途への適用状態によって、透明基板を貼り付けず、後で除去される保護フィルムを貼り付けた状態で構成することができる。保護フィルムの種類は、当技術分野に知られているものを使用することができる。
【0064】
本発明のまた一つの実施態様によれば、接着フィルム;上記接着フィルムの少なくとも一面に備えられ、線高が10μm以下の導電性発熱パターン;上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面に備えられた第1透明基板;及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが備えられた面の反対面に備えられた第2透明基板を含む発熱体を提供する。図4に、2枚の透明基板を含む発熱体の積層構造を例示する。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、上記第1透明基板は上記導電性発熱パターンに接し、上記第2透明基板は上記接着フィルムに接する。
【0066】
上記第1及び第2透明基板は、可視光線透過率が50%以上、好ましくは75%以上であることが好ましい。具体的に、上記透明基板としては、ガラスを使用することもでき、プラスチック基板またはプラスチックフィルムを使用することができる。
【0067】
上記プラスチック基板またはフィルムとしては、当技術分野に知られている材料を使用することができ、例えばPET(Polyethylene terephthalate)、PVB(polyvinylbutyral)、PEN(polyethylene naphthalate)、PES(polyethersulfon)、PC(polycarbonate)、アセチルセルロイドのような可視光透過率80%以上のフィルムが好ましい。上記プラスチックフィルムの厚さは、12.5μm〜500μmであることが好ましく、30μm〜250μmであることが好ましい。
【0068】
上記透明基板は、用途によって曲面をなす形態であってもよい。
【0069】
本発明のまた一つの実施態様によれば、上記導電性発熱パターンに電気を印加するための1対の対向するバスバーをさらに含む。
【0070】
本発明のまた一つの実施態様によれば、上記バスバーを隠蔽するためにブラックパターンが備えられることができる。例えば、上記ブラックパターンは、コバルト酸化物を含有したペーストを用いてプリントすることができる。このとき、プリント方式は、スクリーンプリントが好適であり、厚さは10μm〜100μmに設定することができる。 上記発熱パターンとバスバーは、それぞれブラックパターンの形成の前か後で形成することもできる。
【0071】
本発明のまた一つの実施態様によれば、上記発熱体は、自動車用ガラスである。
【0072】
本発明のまた一つの実施態様によれば、上記発熱体は、自動車フロントガラス用である。
【0073】
本発明に係る発熱体は、発熱のために電源に連結されることができ、このとき、発熱量はm当たり100〜1000W、好ましくは200〜700Wであることが好ましい。本発明に係る発熱体は、低電圧、例えば30V以下、好ましくは20V以下でも発熱性能に優れるので、自動車などでも有用に使用されることができる。上記発熱体における抵抗は、2Ω/sq以下、好ましくは1Ω/sq以下、好ましくは0.5Ω/sq以下である。このとき得た抵抗値は、面抵抗と同じ意味を有する。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、上記発熱体の製造方法は、上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが形成された面に第1保護フィルムを接着するステップ、及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが形成された面の反対面に第2保護フィルムを接着するステップをさらに含むことができる。上記第1保護フィルムと第2保護フィルムの接着は、同時にまたは順次になされることができる。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、上記発熱体の製造方法は、上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが形成された面に第1透明基板をラミネーションするステップ、及び上記接着フィルムの上記導電性発熱パターンが形成された面の反対面に第2透明基板をラミネーションするステップをさらに含むことができる。上記第1透明基板のラミネーションステップと上記第2透明基板のラミネーションステップは、同時にまたは順次になされることができる。
【0076】
上記導電性発熱パターンが備えられた接着フィルムと上記第1透明基板及び上記第2透明基板をラミネーションする過程は、例えば下記のように行われることができる。
【0077】
上記導電性発熱パターンが形成された接着フィルムを2枚の透明基板の間に挿入し、これを真空袋に入れて減圧して温度を上げるか、加熱ロールを用いて温度を上げて、空気を除去することで1次接合をする。このとき、圧力、温度及び時間は、接着フィルムの種類によって異なるが、通常300〜700トール(1トール=133.3Pa)の圧力で、常温から100℃まで温度を漸進的に上げることができる。このとき、時間は通常1時間以内にすることが好ましい。1次接合を終えた予備接合された積層体は、オートクレーブで圧力をかけながら温度を上げるオートクレービング過程によって2次接合過程を経る。2次接合は、接着フィルムの種類によって異なるが、140bar(1bar=100000Pa)以上の圧力と130〜150℃程度の温度で1時間から3時間、好ましくは約2時間行った後、徐冷することが好ましい。
【0078】
また一つの具体的な実施態様においては、上述した2段階の接合過程とは違って、真空ラミネーター装備を用いて1段階で接合する方法を用いることができる。80〜150℃まで段階的に温度を上げて徐冷しながら、100℃までは減圧(〜5mbar)し、その後には加圧(〜1000mbar)して接合することができる。
【0079】
以下で、具体的な実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。
【0080】
実施例1
厚さ18μmの銅フィルム上に厚さ2μmの銅めっき層が形成されたフィルムを使用して、銅めっき層をPVBフィルムに突き合わせ、PVBのガラス転移温度(Tg)80℃付近である70〜150℃でラミネーションした。次に、厚さ18μmの銅フィルムを除去した後、反転オフセット印刷工程を用いて銅膜上にノボラック樹脂を主成分とするエッチング保護層パターンを形成した。60〜70℃で5分間追加乾燥した後、エッチング工程を通じて露出した部分の銅をエッチングしてPVBフィルム上に銅パターンを形成した。このとき、銅パターンの線幅は1〜10μmであったが、実験条件及び使用した印刷版によって銅線幅は変更されることができる。製造された発熱体の銅パターンを図8に示す。このような実施例を通じて、線高10μm以下の金属パターンを導電性発熱パターンとして含む発熱体を製造できることを確認することができた。
【0081】
実施例2
厚さ18μmの銅箔上に厚さ2μmの銅めっき層が形成されたフィルムを用いて、2μmの銅めっき層にノボラック樹脂を主成分とするエッチング保護層パターンを形成した。140℃で5分間乾燥した後、銅エッチング速度が2.5〜4mm/minであるエッチング工程を用いて、30〜48秒間エッチングして、厚さ2μmの銅めっき層中のエッチング保護層で覆われていない部分をエッチングし、続いて有機アミン系剥離液で残留エッチング保護層を除去して線高2μmの銅パターンを形成した。その後、ガラスの上にPVBフィルムを積層し、上記銅パターンをPVBフィルムに突き合せた後、120℃でラミネーションした。次に、厚さ18μmの銅箔を除去してPVBフィルム上に線高2μmの銅パターンを形成し、これを図9に示す。このとき、銅パターンの線幅とピッチは、それぞれ33.5μm及び200μmであり、面抵抗は、約0.17Ω/sqであった。
【0082】
実施例3
PVBの上にアクリル系粘着層をコーティングし、エッチング保護層パターンを形成後、乾燥条件が60〜70℃で5分ではない115℃で3分であることを除くと、実施例1と同一の方法で発熱体を製造した後、ガラスとラミネーションした。このとき、銅パターンの線幅は、1〜10μmであったが、実験条件及び使用した印刷版によって銅線幅は変更されることができる。製造された発熱体の銅パターンを、図10に示す。このような実施例を通じて、線高10μm以下の金属パターンを導電性発熱パターンとして含む発熱体を製造できることを確認することができた。
【0083】
実施例4
厚さ18μmの銅箔上に厚さ2μmの銅めっき層が形成されたフィルムを用いて、銅めっき層をEVAフィルムに突き合わせ、90℃でラミネーションした。次に、厚さ18μmの銅フィルムを除去した後、反転オフセット印刷工程を用いて銅膜上にノボラック樹脂を主成分とするエッチング保護層パターンを形成した。60〜70℃で5分間追加乾燥した後、エッチング工程を通じて露出した部分の銅をエッチングし、剥離液でエッチング保護層を除去してEVAフィルム上に銅パターンを形成した。その後、ガラスとラミネーションして発熱体を製造した。このとき、銅パターンの線幅は1〜10μmであったが、実験条件及び使用した印刷版によって銅線幅は変更されることができる。製造された発熱体の銅パターンと光特性を、図11に示す。このような実施例を通じて、線高10μm以下の金属パターンを導電性発熱パターンとして含む発熱体を製造できることを確認することができた。
【0084】
実施例4によって製造された透明発熱体を、金属パターンのないリファレンスと比べた物性を、下記表1に示す。
【0085】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11