【実施例】
【0067】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
ルテニウム錯体の合成は、シュレンクテクニックまたはグローブボックスを用いてすべての操作をアルゴン雰囲気下で行い、遷移金属化合物の調製に用いた溶媒は、全て公知の方法で脱酸素、脱水を行った後に用いた。
アルケンのヒドロシリル化反応、水素化反応、およびアミドの還元反応および溶媒精製は、全て不活性ガス雰囲気下で行い、各種反応に用いた溶媒等は、全て予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。
1H,
13C,
29Si−NMRの測定は日本電子(株)製JNM−ECA600,JNM−LA400を、IR測定は日本分光(株)製FT/IR−550を、元素分析はPerkin Elmer製2400II/CHNを、X線結晶構造解析は(株)リガク製VariMax、MoKα線0.71069オングストロームを用いてそれぞれ行った。
なお、以下に示す化学構造式においては慣用的な表現法に従って水素原子を省略している。また、Meはメチル基を表す。
【0068】
(1)ルテニウム錯体の合成
[実施例1]ルテニウム錯体Aの合成
【化15】
【0069】
アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η
4−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ビス(η
3−2−メチルアリル)錯体(200mg,0.63mmol)、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(243mg,1.26mmol)、およびt−ブチルイソシアニド(104mg,1.26mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水処理したヘキサン(30mL)を加え、55℃で18時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をヘキサン(40mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の褐色不溶物を取り除いた。その後、ヘキサン溶液を減圧乾燥し、ヘキサメチルジシロキサン(10mL)で洗浄後、残った白色粉末をヘキサン10mLに溶解させ、−35℃で再結晶して上記式で代表的に表されるルテニウム錯体A(49mg/0.08mmol/12%)を得た。得られたルテニウム錯体Aの構造を
図1に、
1H−NMRの測定結果を
図2にそれぞれ示す。
【0070】
1H NMR(C
6D
6,600MHz)δ=−7.64(br s,2H,Si−H),0.59(s,18H,CMe
3),0.94(s,24H,SiMe
2),7.33−7.38(m,4H,C
6H
4),7.81−7.86(m,4H,C
6H
4).
13Si NMR(C
6D
6,119MHz)δ=27.2.
IR(KBr pellet):ν=1930(ν
Si-H),2116(ν
Ru-CN)cm
-1
Anal. Calcd. for C
30H
52N
2RuSi
4:C,55.08;H,8.01;N,4.28 Found:C,55.21;H,7.89;N,4.01
【0071】
[実施例2]ルテニウム錯体Bの合成
【化16】
【0072】
アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η
4−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ビス(η
3−2−メチルアリル)錯体(200mg,0.63mmol)、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(243mg,1.26mmol)、および1−イソシアノアダマンタン(203mg,1.26mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水処理したヘキサン(30mL)を加え、55℃で18時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をヘキサン(40mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の褐色不溶物を取り除いた。その後、ヘキサン溶液を減圧乾燥し、ヘキサメチルジシロキサン(10mL)で洗浄後、残った白色粉末をヘキサン10mLに溶解させ、−35℃で再結晶して上記式で代表的に表されるルテニウム錯体B(51mg/0.06mmol/10%)を得た。得られたルテニウム錯体Bの構造を
図3に、
1H−NMRの測定結果を
図4にそれぞれ示す。
【0073】
1H NMR(C
6D
6,600MHz)δ=−7.62(br s,2H,Si−H),0.93−1.09(m,12H,CH
2),1.04(s,24H,SiMe
2),1.38−1.44(br s,18H,CH
2 and CH of adamantyl)7.34−7.41(m,4H,C
6H
4),7.87−7.92(m,4H,C
6H
4).
13Si NMR(C
6D
6,119MHz)δ=21.1.
IR(KBr pellet):ν=1928(ν
Si-H),2118(ν
Ru-CN)cm
-1
Anal. Calcd. for C
42H
64N
2RuSi
4:C,62.25;H,7.96;N,3.46 Found:C,62.53;H,8.24;N,3.22
【0074】
[実施例3]ルテニウム錯体Cの合成
【化17】
【0075】
アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η
4−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ビス(η
3−2−メチルアリル)錯体(200mg,0.63mmol)、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(243mg,1.26mmol)、および2,4,6−トリメチルフェニルイソシアニド(183mg,1.26mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水処理したヘキサン(30mL)を加え、55℃で18時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をトルエン(40mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の褐色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液を減圧乾燥し、ヘキサン(10mL)で洗浄後、残った白色粉末をトルエン5mLに溶解させ、−35℃で再結晶して上記式で代表的に表されるルテニウム錯体C(74mg/0.09mmol/10%)を得た。得られたルテニウム錯体Cの
1H−NMRの測定結果を
図5に示す。
【0076】
1H NMR(C
6D
6,600MHz)δ=−7.05(br s,2H,Si−H),1.02(s,24H,SiMe
2),1.75(s,6H,para−Me of C
6H
2Me
3),1.76(s,12H,ortho−Me of C
6H
2Me
3),6.20(s,4H,C
6H2Me
3),7.36−7.39(m,4H,C
6H
4),7.81−7.85(m,4H,C
6H
4).
IR(KBr pellet):ν=1917(ν
Si-H),2082(ν
Ru-CN)cm
-1
Anal. Calcd. for C
40H
56N
2RuSi
4:C,61.73;H,7.25;N,3.60 Found:C,61.86;H,7.02;N,3.82
【0077】
[実施例4]ルテニウム錯体Dの合成
【化18】
【0078】
アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η
4−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ビス(η
3−2−メチルアリル)錯体(200mg,0.63mmol)、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(243mg,1.26mmol)、および2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニド(236mg,1.26mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水処理したヘキサン(30mL)を加え、55℃で18時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をテトラヒドロフラン(40mL、以下、THF)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の褐色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液を減圧乾燥し、ヘキサン(10mL)で洗浄後、残った白色粉末をTHF5mLに溶解させ、−35℃で再結晶して上記式で代表的に表されるルテニウム錯体D(60mg/0.07mmol/11%)を得た。得られたルテニウム錯体Dの
1H−NMRの測定結果を
図6に示す。
【0079】
1H NMR(C
6D
6,600MHz)δ=−7.09(br s,2H,Si−H),0.78(d,J
H-H=6.9Hz,24H,CH
Me2),0.99(s,24H,SiMe
2),2.92(sept,J
H-H=6.9Hz,4H,C
HMe
2),6.70(d,J
H-H=6.9Hz,4H,meta−C
6H
3),6.82(t,J
H-H=6.9Hz,2H,para−C
6H
3),7.32−7.36(m,4H,C
6H
4),7.78−7.83(m,4H,C
6H
4).
IR(KBr pellet):ν=1928(ν
Si-H),2081(ν
Ru-CN)cm
-1
Anal. Calcd. for C
46H
68N
2RuSi
4:C,64.06;H,7.95;N,3.25Found:C,63.87;H,8.34;N,3.62
【0080】
[実施例5]ルテニウム錯体Eの合成
【化19】
【0081】
アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η
4−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ビス(η
3−2−メチルアリル)錯体(200mg,0.63mmol)、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(243mg,1.26mmol)、およびトリメチロールプロパンホスファイト(204mg,1.26mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水処理したヘキサン(30mL)を加え、55℃で18時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をトルエン(40mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の褐色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液を減圧乾燥し、ヘキサン(10mL)で洗浄後、残った白色粉末をトルエン10mLに溶解させ、−35℃で再結晶して上記式で代表的に表されるルテニウム錯体E(61mg/0.08mmol/12%)を得た。得られたルテニウム錯体Eの構造を
図7に、
1H−NMRの測定結果を
図8にそれぞれ示す。
【0082】
1H NMR(C
6D
6,600MHz)δ=−8.52(t,J
H-P=12.6Hz,2H,Si−H),−0.16(t,J
H-H=6.9Hz,6H,CH
2C
H3),0.06(q,J
H-H=6.9Hz,4H,C
H2CH
3),1.13(s,24H,SiMe
2),3.03(s,12H,OCH
2),7.28−7.34(m,4H,C
6H
4),7.81−7.86(m,4H,C
6H
4).
13Si NMR(C
6D
6,119MHz)δ=27.7
【0083】
[実施例6]ルテニウム錯体Fの合成
【化20】
【0084】
アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η
4−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ビス(η
3−2−メチルアリル)錯体(200mg,0.63mmol)、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(243mg,1.26mmol)、および4,4’−ジt−ブチル−2,2’―ビピリジン(169mg,0.63mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水処理したヘキサン(30mL)を加え、55℃で18時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をトルエン(50mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の褐色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液を減圧乾燥し、ヘキサン(10mL)で洗浄後、残った赤色粉末をトルエン30mLに溶解させ、−35℃で再結晶して上記式で代表的に表されるルテニウム錯体F(67mg/0.09mmol/14%)を得た。得られたルテニウム錯体Fの構造を
図9に、
1H−NMRの測定結果を
図10にそれぞれ示す。
【0085】
1H NMR(C
6D
6,600MHz)δ=−11.2(t,J
H-Si=12.4Hz,2H,Si−H),−0.07−1.05(br s,24H,SiMe
2),0.87(s,18H,C(CH
3)
3),6.45(d,J
H-H=6.9Hz,2H,C
5H
3N),7.21−7.27(m,4H,C
6H
4),7.58−7.70(br s,4H,C
6H
4),8.00(s,2H,C
5H
3N),8.53(d,J
H-H=6.9Hz,2H,C
5H
3N).
13Si NMR(C
6D
6,119MHz)δ=13.2.
IR(KBr pellet):ν=2028(ν
Si-H)cm
-1
Anal. Calcd. for C
38H
58N
2RuSi
4:C,60.35;H,7.73;N,3.70 Found:C,60.03;H,7.56;N,3.46
【0086】
(2)ルテニウム錯体を用いたスチレンの1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンによるヒドロシリル化
【化21】
【0087】
[実施例7]ルテニウム錯体Aを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体A(6.5mg,0.01mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg.1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー1として表1に示す。
【0088】
1,1,1,3,3−pentamethyl−3−(2−phenylethyl)−disiloxane(上記化合物(I))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=−0.03(s,6H,Si(C
H3)
2),−0.02(s,9H,Si(C
H3)
3),0.775−0.81(m,2H,SiC
H2),2.52−2.57(m,2H,C
H2C
6H
5),7.09−7.13(m,2H,C
6H
5),7.17−7.22(m,3H,C
6H
5).
1,1,1,3,3−pentamethyl−3−[(1E)−2−phenylethenyl]−disiloxane(上記化合物(II))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.11(s,6H,Si(CH
3)
2),0.22(s,9H,Si(CH
3)
3),6.42(d,J
H-H=19.3Hz,1H,−CH=CH−),6.93(d,J
H-H=19.3Hz,1H,−CH=CH−),7.24−7.29(m,1H,C
6H
5),7.31−7.39(m,2H,C
6H
5),7.43−7.47(m,2H,C
6H
5).
Ethylbenzene(上記化合物(III))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=1.26(t,2H,J
H-H=7.7Hz,CH
3),2.67(q,2H,J
H-H=7.7Hz,CH
2),7.16−7.24(m,3H,C
6H
5),7.27−7.33(m,2H,C
6H
5).
【0089】
[実施例8]ルテニウム錯体Bを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体B(2.4mg,0.003mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg.1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー2として表1に示す。
【0090】
[実施例9]ルテニウム錯体Cを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(2.3mg,0.003mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg.1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー3として表1に示す。
【0091】
[実施例10]ルテニウム錯体Dを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体D(0.9mg,0.001mmol)を加えた。ここにスチレン(1040mg,10mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(1630mg,11mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(1080mg,10mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー4として表1に示す。
【0092】
[実施例11]ルテニウム錯体Fを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体F(2.3mg,0.003mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg.1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー5として表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
(3)ルテニウム錯体を用いたスチレンのジメチルフェニルシランによるヒドロシリル化
【化22】
【0095】
[実施例12]ルテニウム錯体Aを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体A(3.2mg,0.005mmol)を加えた。ここにスチレン(1040mg,10mmol)を加え、さらにジメチルフェニルシラン(1500mg,11mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(1080mg,10mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー1として表2に示す。
【0096】
[dimethyl(2−phenylethyl)silyl]−benzene(上記化合物(I))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.19(s,6H,Si(C
H3)
2),0.98−1.07(m,2H,SiCH
2),2.49−2.59(m,2H,C
H2C
6H
5),7.02−7.11(m,3H,C
6H
5),7.12−7.16(m,2H,C
6H
5),7.24−7.31(m,3H,C
6H
5),7.39−7.47(m,2H,C
6H
5).
[dimethyl[(1E)−2−phenylethenyl]silyl]−benzene(上記化合物(II))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.17(s,6H,Si(C
H3)
2),6.49(d,J
H-H=19.3Hz,1H,SiC
H=CH−),7.01−7.09(m,3H,C
6H
5),7.12−7.15(m,3H,C
6H
5 and SiCH=C
H−),7.25−7.32(m,3H,C
6H
5),7.37−7.46(m,2H,C
6H
5).
【0097】
[実施例13]ルテニウム錯体Cを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(3.9mg,0.005mmol)を加えた。ここにスチレン(1040mg,10mmol)を加え、さらにジメチルフェニルシラン(1500mg,11mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(1080mg,10mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー2として表2に示す。
【0098】
[実施例14]ルテニウム錯体Dを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体D(0.9mg,0.001mmol)を加えた。ここにスチレン(1040mg,10mmol)を加え、さらにジメチルフェニルシラン(1500mg,11mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(1080mg,10mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー3として表2に示す。
【0099】
[実施例15]ルテニウム錯体Eを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体E(8.1mg,0.01mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらにジメチルフェニルシラン(150mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー4として表2に示す。
【表2】
【0100】
(4)ルテニウム錯体を用いた1−オクテンの1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンによるヒドロシリル化反応
【化23】
【0101】
[実施例16]1−オクテンの1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンによるヒドロシリル化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体A(2.0mg,0.003mmol)を加えた。ここに1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を80℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー1として表3に示す。
【0102】
[実施例17]ルテニウム錯体Bを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体B(2.4mg,0.003mmol)を加えた。ここに1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー2として表3に示す。
【0103】
[実施例18]ルテニウム錯体Cを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(2.3mg,0.003mmol)を加えた。ここに1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー3として表3に示す。
【0104】
[実施例19]ルテニウム錯体Dを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体D(4.3mg,0.005mmol)を加えた。ここに1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を80℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー4として表3に示す。
【0105】
1,1,1,3,3−pentamethyl−3−octyl−disiloxane(上記化合物(I))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.03(s,6H,Si(C
H3)
2),0.06(s,9H,Si(C
H3)
3),0.45−0.55(m,2H,SiC
H2),0.88(t,J
HH=7.2Hz,3H,CH
2C
H3),1.20−1.34(m,12H,(C
H2)
6).
1,1,1,3,3−pentamethyl−3−(1E)−1−octen−1−yl−disiloxane(上記化合物(II))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.09(s,9H,Si(C
H3)
3),0.12(s,6H,Si(C
H3)
2),0.90(t,3H,J
HH=7.6Hz),1.30−1.41(m,8H,C
H2),2.11(q,2H,J
HH=7.6Hz,C
H2−CH=CH),5.6(d,1H,J
HH=18.2Hz,Si−C
H=CH),6.11(dt,1H,J
HH=18.2Hz,Si−CH=C
H)
1,1,1,3,3−pentamethyl−(2E)−2−octen−1−yl−disiloxane(上記化合物(III))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.08(s,9H,Si(C
H3)
3),0.14(s,6H,Si(C
H3)
2),0.88(t,3H,J
HH=7.6Hz),1.28−1.42(m,8H,CH
2),2.12(q,2H,J
HH=7.6Hz,C
H2−CH=CH),5.15−5.46(m,2H,Si−CH
2−C
H=CH).
2−octene(上記化合物(IV))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.90(t,J
HH=7.2Hz,3H,CH
3),1.11−1.51(m,4H,−(CH
2)
6−),1.54−1.62(m,5H,−(CH
2)
6− and C
H3−CH=CH),2.03(m,2H,−C
H2−CH=CH),5.19−5.66(m,2H,CH
3−C
H=CH),
n−octane(上記化合物(V))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.88(t,J
HH=7.2Hz,6H,CH
3),1.16−1.36(m,12H,−(CH
2)
6−).
1,1,1,3,3,5,5−heptamethyl−5−octyl−trisiloxane(上記化合物(VI))
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=−0.13(s,6H,−Si(C
H3)
2−),−0.13(s,6H,−Si(C
H3)
2−),0.01(s,6H,−Si(C
H3)
2−),0.31−0.38(m,2H,SiC
H2),0.79(t,J
HH=7.2Hz,3H,CH
2C
H3),1.12−1.24(m,12H,(C
H2)
6).
【0106】
[実施例20]ルテニウム錯体Eを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体E(24mg,0.03mmol)を加えた。ここに1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を80℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー5として表3に示す。
【0107】
[実施例21]ルテニウム錯体Fを用いたヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体F(2.3mg,0.003mmol)を加えた。ここに1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を25℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー6として表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
(5)ルテニウム錯体を用いた1−オクテンの水素化反応
【化24】
【0110】
[実施例22]ルテニウム錯体Aを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体A(3.3mg,0.005mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で3時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー1として表4に示す。
【0111】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.88(t,J
HH=7.2Hz,6H,CH
3),1.16−1.36(m,12H,−(CH
2)
6−).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=14.27,22.86,29.48,32.10.
【0112】
[実施例23]ルテニウム錯体Bを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体B(4.0mg,0.005mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で3時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー2として表4に示す。
【0113】
[実施例24]ルテニウム錯体Cを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(3.9mg,0.005mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で3時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー3として表4に示す。
【0114】
[実施例25]ルテニウム錯体Dを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体D(4.3mg,0.005mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー4として表4に示す。
【0115】
[実施例26]ルテニウム錯体Fを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体F(3.8mg,0.005mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で3時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー5として表4に示す。
【0116】
【表4】
【0117】
(6)ルテニウム錯体を用いたスチレンの水素化
【化25】
【0118】
[実施例27]ルテニウム錯体Aを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体A(0.65mg,0.001mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(104mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で18時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー1として表5に示す。
【0119】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=1.13(t,J
HH=7.2Hz,3H,CH
2C
H3),2.54(q,J
HH=7.2Hz,2H,C
H2CH
3),7.02−7.11(m,3H,C
6H
5),7.11−7.20(m,2H,C
6H
5).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)=15.6,28.8,125.6,127.8,128.3,144.3.
【0120】
[実施例28]ルテニウム錯体Bを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体B(0.8mg,0.001mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(104mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で18時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー2として表5に示す。
【0121】
[実施例29]ルテニウム錯体Cを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(0.77mg,0.001mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(104mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー3として表5に示す。
【0122】
[実施例30]ルテニウム錯体Dを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体D(0.86mg,0.001mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(104mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で18時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー4として表5に示す。
【0123】
[実施例31]ルテニウム錯体Eを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体E(2.44mg,0.003mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(104mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で1.5時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー5として表5に示す。
【0124】
[実施例32]ルテニウム錯体Fを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体F(0.76mg,0.001mmol)を加え、THF(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(104mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー6として表5に示す。
【0125】
【表5】
【0126】
(7)ルテニウム錯体Cを用いたオレフィンの水素化
【化26】
【0127】
[実施例33]メチル−10−ウンデセノエートの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(3.9mg,0.005mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、メチル−10−ウンデセノエート(198mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で1.5時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー1として表6に示す。
【0128】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.88(t,3H,J
H-H=7.4Hz,−CH
3),1.17−1.35(m,14H,−CH
2−),1.53−1.67(m,2H,−CH
2−),2.30(t,2H,J
H-H=7.7Hz,−CH
2C(=O)−),3.66(s,3H,OMe).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=14.25,22.83,25.12,29.31,29.40,29.45,29.60,29.70,32.04,34.28,51.57,174.50.
【0129】
[実施例34]シクロヘキセンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(2.3mg,0.003mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、シクロヘキセン(82mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で4時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー2として表6に示す。
【0130】
1H NMR(400MHz,CDCl
3,)δ=1.43(s,12H,CH
2).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=27.0.
【0131】
[実施例35]エチル−2,3−ジメチルアクリレートの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(2.3mg,0.003mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、エチル−2,3−ジメチルアクリレート(128mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー3として表6に示す。
【0132】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.93−0.96(m,6H,Me),1.28(t,3H,OCH
2C
H3),2.00−2.04(m,1H,CHandCH
2C(=O)),4.19(q,2H,OC
H2CH
3).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=14.6,22.9,26.0,43.6,60.3,173.5.
【0133】
[実施例36]2,3−ジメチル−2−ブテンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(3.9mg,0.005mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、2,3−ジメチル−2−ブテン(84mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー4として表6に示す。
【0134】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.84(d,J
H-H=6.7Hz,12H,CH
3),1.40(septet,J
H-H=6.7Hz,12H,CH).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=19.4,33.7.
【0135】
[実施例37]トランス−スチルベンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(2.3mg,0.003mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、トランス−スチルベン(180mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で6時間撹拌した。内標としてアニソールを加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー5として表6に示す。
【0136】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=2.93(s,4H,CH
2),7.12−7.23(m,6H,C
6H
5),7.24−7.32(m,4H,C
6H
5).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=37.9,125.9,128.3,128.5,141.8.
【0137】
[実施例38]1−メチル−1−シクロヘキセンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(2.3mg,0.003mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−メチル−1−シクロヘキセン(96mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液を凍結脱気し、シュレンクチューブ内を水素雰囲気に置換した後、溶液を室温で3時間撹拌した。内標としてアニソールを加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー6として表6に示す。
【0138】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.86(d,J
HH=5.8Hz,3H,CH
3),1.04−1.28(m,4H,CH
2),1.28−1.39(m,1H,CH),1.54−1.72(m,6H,CH
2).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=22.9,26.3,26.4,32.7,35.4.
【0139】
[実施例39](±)−リモネンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(7.7mg,0.010mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、(±)−リモネン(136mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。内標としてアニソールを加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した(trans:cis=1:1)。これらの結果をエントリー7として表6に示す。
【0140】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.847(d,2H,J
HH=6.8Hz,CH(CH
3)
2 of trans−isomer),0.859(d,3H,J
HH=6.8Hz,CH
3 of trans−isomer),0.860(d,2H,J
HH=6.8Hz,CH(CH
3)
2 of cis−isomer),0.909(d,3H,J
HH=6.8Hz,CH
3 of cis−isomer),0.87−1.09(m,2H,CH and CH
2),1.18−1.58(m,6H,CH and CH
2),1.62−1.77(m,3H,CH
2).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=19.5,20.0,20.4,22.9,25.5,29.3,29.7,31.6,33.0,33.1,35.8,43.2,44.0.
【0141】
[実施例40]イソプロピリデンマロン酸ジエチルの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(7.7mg,0.010mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、イソプロピリデンマロン酸ジエチル(200mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、室温で9時間撹拌した。内標としてアニソールを加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー8として表6に示す。
【0142】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.99(d,J
HH=6.3Hz,3H,CH
3),1.26(t,J
HH=7.3Hz,3H,CH
3),2.38(doublet of septet,J
HH=6.3,8.7Hz,1H,CHMe
2),3.10(d,J
HH=8.7Hz,1H,Me
2CH−CH−),4.82(q,J
HH=7.3Hz,2H,CH
2).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=14.3,20.5,28.9,59.3,61.3,169.0.
【0143】
[実施例41]2,3−ジメチル−1H−インデンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(7.7mg,0.010mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、2,3−ジメチル−1H−インデン(144mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で6時間撹拌した。内標としてアニソールを加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー9として表6に示す。
【0144】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=0.94(d,3H,J=6.9Hz,CH
3CHCH
2),1.14(d,3H,J=7.2Hz,CH
3CH),2.49−2.61(m,2H),2.94(m,1H),3.17,(quintet,1H,J=6.9Hz,CH
3CH),7.06−7.24(m,4H,C
6H
4).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=14.5,15.0,37.8,39.2,42.6,123.5,124.3,126.0,126.1,142.8,149.0.
【0145】
[実施例42]酢酸シンナミルの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒としてルテニウム錯体C(7.7mg,0.010mmol)を加え、トルエン(2mL)に溶解させた。この溶液に、酢酸シンナミル(176mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。内標としてアニソールを加え、
1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、
1H,
13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー10として表6に示す。
【0146】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=1.96(m,2H,PhCH
2CH
2CH
2−),2.06(s,3H,Me),2.70(m,2H,2H,PhCH
2CH
2CH
2−),4.09(t,2H,J=6.8Hz,PhCH
2CH
2CH
2−),7.17−7.23(m,3H,Ph),7.27−7.32(m,2H,Ph).
13C NMR(100MHz,CDCl
3)δ=21.1,30.3,32.3,64.0,126.2,128.5,128.6,141.3,171.3.
【0147】
【表6】
【0148】
(8)ルテニウム錯体を用いたN,N−ジメチルホルムアミドの還元
【化27】
【0149】
[実施例43]ルテニウム錯体Cを用いた反応
NMRチューブを5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、触媒としてルテニウム錯体C(39mg,0.05mmol)を加え、重ベンゼン0.4mLをシリンジで加えた。その後、ジメチルフェニルシラン(600mg,4.4mmol)を加え、さらにN,N−ジメチルホルムアミド(73mg,1.0mmol、以下、DMF)を加えた後、減圧下でNMRチューブを焼き切り真空封管した。溶液を120℃で5時間撹拌した後、
1H−NMRスペクトルによりアミンの生成を確認した。これらの結果をエントリー1として表7に示す。
【0150】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ=2.12(s,9H,NMe
2).
【0151】
[実施例44]ルテニウム錯体Eを用いた反応
NMRチューブを5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、触媒としてルテニウム錯体E(4.1mg,0.005mmol)を加え、重ベンゼン0.4mLをシリンジで加えた。その後、ジメチルフェニルシラン(600mg,4.4mmol)を加え、さらにDMF(73mg,1.0mmol)を加えた後、減圧下でNMRチューブを焼き切り真空封管した。溶液を120℃で5時間撹拌した後、
1H−NMRスペクトルによりアミンの生成を確認した。これらの結果をエントリー2として表7に示す。
【0152】
[実施例45]ルテニウム錯体Fを用いた反応
NMRチューブを5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、触媒としてルテニウム錯体F(38mg,0.05mmol)を加え、重ベンゼン0.4mLをシリンジで加えた。その後、ジメチルフェニルシラン(600mg,4.4mmol)を加え、さらにDMF(73mg,1.0mmol)を加えた後、減圧下でNMRチューブを焼き切り真空封管した。溶液を120℃で5時間撹拌した後、
1H−NMRスペクトルによりアミンの生成を確認した。これらの結果をエントリー3として表7に示す。
【0153】
【表7】