(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明第1実施形態のテープ貼着装置の斜視図が示されている。
図2は第1実施形態のテープ貼着装置の各ユニットの配置を示す図である。
【0015】
本実施形態のテープ貼着装置2は、装置手前側にエレベーター方式で上下動可能なカセット載置台4が配設されている。カセット載置台4上には
図3に示すウエーハユニット17が複数枚収容されたカセット6が載置される。
【0016】
ウエーハユニット17は、外周部が環状フレームFに貼着された粘着テープTの表面に被加工物が貼着された被加工物ユニットであり、被加工物として半導体ウエーハ(以下、単にウエーハと略称することがある)の裏面が粘着テープに貼着されて構成されている。ウエーハ11はその表面に格子状に形成された複数の分割予定ライン13によって区画された各領域にLSI等のデバイス15を有している。
【0017】
本実施形態がテープ拡張装置であり、粘着テープTを拡張してウエーハ11を個々のチップに分割する装置であるため、特に図示しないが、カセット6中に収容されるウエーハユニット17のウエーハ11には分割予定ライン13に沿って分割起点となる改質層、レーザー加工溝、又は切削溝等が形成されている。
【0018】
カセット載置台4上に載置されたカセット6からプッシュプル搬送装置8により引き出されたウエーハユニット17は、断面L形状の一対のセンタリングバー10上に載置される。そして、センタリングバー10が互いに近付く方向に移動することにより、ウエーハユニット17のX軸方向のセンタリングが達成される。
【0019】
センタリングが実施されたウエーハユニット17は、旋回式の搬送ユニット12で吸着されて仮置きエリア14に配設された一対のセンタリングバー16上に載置され、センタリングバー16が互いに近付く方向に移動することにより、再びセンタリングが達成される。
【0020】
仮置きエリア14でセンタリングされたウエーハユニット17は、プッシュプル搬送装置18で
図4に示すカバー20aで覆われたエキスパンドユニット(テープ拡張手段)20に押し込まれ、フレーム載置プレート34上に載置される。
【0021】
32はフレーム押さえプレートであり、フレーム押さえプレート32とフレーム載置プレート34とでウエーハユニット17の環状フレームFを固定する固定手段を構成する。フレーム押さえプレート32は固定的に配設されており、フレーム載置プレート34は複数のエアシリンダ38により上下動可能に配設されている。
【0022】
フレーム載置プレート34の開口部に対応して円筒状突き上げ部材40が配設されている。円筒状突き上げ部材44は、複数のエアシリンダを有する昇降機構42により昇降される。
【0023】
エキスパンドユニット20により粘着テープTがエキスパンドされてウエーハ11が個々のデバイスチップ15に分割されたウエーハユニット17は、プッシュプル搬送装置18によりエキスパンドユニット20から引き出されて一対のセンタリングバー16上に載置され、センタリングバー16によりX軸方向のセンタリングが実施される。
【0024】
センタリングされたウエーハユニット17は旋回式の搬送ユニット12で吸着されてヒートシュリンクユニット22に搬送される。ヒートシュリンクユニット22は、水平に配設されたフレーム載置プレート46と、エアシリンダ50によりY軸方向に移動されるフレーム押さえプレート48と、円筒状の突き上げ部材54と、負圧吸着式の吸着テーブル56とを備えている。
【0025】
フレーム載置プレート46は、エアシリンダ52により上下方向に移動される。円筒状突き上げ部材54は、複数のエアシリンダを備えた昇降機構58により昇降される。吸着テーブル56は、昇降機構58に配設されている突き上げ部材54を昇降させるエアシリンダとは別の複数のエアシリンダにより上下方向に移動される。24は加熱手段としてのヒーターであり、上下方向に移動可能に配設されている。
【0026】
ヒートシュリンクユニット22により弛んだ粘着テープTが加熱されて弛みが除去されたウエーハユニット17は、旋回式の搬送ユニット12により吸着されてスピン洗浄ユニット26のスピンナーテーブル28上に載置される。
【0027】
スピン洗浄ユニット26は、
図6に示すように、円筒状の洗浄液受け容器68と、洗浄液受け容器68内に収容された上面に吸引保持部28aを有するスピンナーテーブル28を備えている。
【0028】
スピンナーテーブル28は、複数のエアシリンダにより上下動可能に配設されており、モーター74により回転される。スピン洗浄ユニット26は、回動可能に配設された純水等の洗浄水を供給する洗浄水供給ノズル70と、同じく回動可能に配設されたエアを供給するエア供給ノズル72とを有している。
【0029】
スピン洗浄ユニット26で洗浄されたウエーハユニット17は、旋回式の搬送ユニット12で吸着されて一対のセンタリングバー10上に載置され、センタリングされた後プッシュプル搬送装置8によりカバー30aで覆われた洗浄ユニット(洗浄手段)30に押し込まれる。
【0030】
洗浄ユニット30は、ウエーハユニット17を載置する例えばガラス等から形成された載置プレート76と、載置プレート76上に載置されたウエーハユニット17に対して紫外線を照射する複数の低圧水源ランプ78を備えている。
【0031】
次に、
図8を参照して、エキスパンドユニット(テープ拡張手段)20によるウエーハ11の分割工程について説明する。仮置きエリア14においてセンタリングバー16によりセンタリングされたウエーハユニット17は、プッシュプル搬送装置18でエキスパンドユニット20に押し込まれ、
図8(A)に示すように、フレーム載置プレート34上に載置される。
【0032】
次いで、エアシリンダ38を作動してフレーム載置プレート34を上昇し、
図8(B)に示すように、ウエーハユニット17の環状フレームFをフレーム載置プレート34とフレーム押さえプレート32とで挟持して固定する。
【0033】
次いで、エアシリンダ44を作動して円筒状突き上げ部材34を上方に移動して、
図8(C)に示すように、円筒状突き上げ部材34で粘着テープTを突き上げ、粘着テープTを半径方向に拡張(エキスパンド)する。
【0034】
粘着テープTが半径方向に拡張されるため、粘着テープTに貼着されたウエーハ11に半径方向に外力が作用して、ウエーハ11は分割予定ライン13に沿って形成された改質層等の分割起点から破断され、個々のデバイスチップ15に分割される。
【0035】
ウエーハ11をデバイスチップ15に分割後、
図8(D)に示すように、円筒状突き上げ部材40を下降すると、粘着テープTの突き上げられた部分、即ち環状フレームFの内周とウエーハ11の外周との間の粘着テープTに弛みが生じる。
【0036】
本実施形態のテープ貼着装置2では、粘着テープTの弛みをヒートシュリンクユニット22で加熱して除去する。エキスパンドユニット20でウエーハ11が個々のデバイスチップ15に分割されたウエーハユニット17は、プッシュプル搬送装置18で仮置きエリア14まで引き出され、センタリングバー16上に載置されてセンタリングバー16によりX軸方向のセンタリングが実施される。
【0037】
次いで、ウエーハユニット17は旋回式の搬送ユニット12で吸着されて、ウエーハユニット17の環状フレームFがヒートシュリンクユニット22のフレーム載置プレート46上に載置される。
【0038】
次に、
図9及び
図10を参照して、ヒートシュリンクユニット22での粘着テープTの弛み部分の除去について説明する。まず、エアシリンダ50を作動してフレーム押さえプレート48をフレーム載置プレート46上まで移動する。
【0039】
次いで、エアシリンダ52を作動してフレーム載置プレート46を上昇して、
図9(A)に示すように、フレーム載置プレート46とフレーム押さえプレート48とでウエーハユニット17の環状フレームFを挟持して固定する。
【0040】
次いで、昇降機構58内に配設されたエアシリンダ60,62を同時に作動して、
図9(B)に示すように、円筒状突き上げ部材54と吸着テーブル56と同時に突き上げる。これにより、粘着テープTの弛み部分が突き上げられ、粘着テープTは半径方向に再度拡張され、隣接するデバイスチップ15の間の間隔は広がる。
【0041】
この状態で、吸着テーブル56を吸引部64に連通すると、ウエーハ11は粘着テープTを介して吸着テーブル56に吸引されて、ウエーハ11はデバイスチップ間の間隔が広げられたまま吸着テーブル56に吸引保持される。
【0042】
この状態で、
図9(C)に示すように、エアシリンダ60を作動して円筒状突き上げ部材54を下降させると、環状フレームFの内周とウエーハ11の外周との間に弛み部分が再度形成される。
【0043】
この状態で、
図10(A)に示すように、ヒーター24を下降して、ヒーター24で粘着テープTの弛み部分を加熱する。加熱された粘着テープTの弛み部分は、
図10(B)に示すように、弛みが取れて収縮する。
【0044】
粘着テープTの弛み領域の加熱は、拡張された粘着テープTを吸着テーブル56で吸引した状態で実施される。従って、ウエーハ11は隣接するデバイスチップ15の間の間隔が十分確保されたまま保持される。
【0045】
ヒートシュリンクユニット22で粘着テープTの弛みを除去してから、旋回式の搬送ユニット12でウエーハユニット17を吸着してスピン洗浄ユニット26のスピンナーテーブル28まで搬送し、
図11に示すように、スピンナーテーブル28で粘着テーブルTを介してウエーハ11を吸引保持する。
【0046】
次いで、洗浄水供給ノズル70を回動してウエーハ11の真上に位置付け、洗浄水供給ノズル70から洗浄水を供給しながらモーター74によりスピンナーテーブル28を矢印R1方向に回転してウエーハ11をスピン洗浄する。
【0047】
スピン洗浄終了後、洗浄水供給ノズル70をウエーハ11上から待避した位置まで戻し、エア供給ノズル72を回動してスピンナーテーブル28に保持されたウエーハ11の真上に位置付ける。エア供給ノズル72からエアを噴射しながらスピンナーテーブル28を回転して、ウエーハ11をスピン乾燥する。
【0048】
ウエーハ11のスピン乾燥終了後、ウエーハユニット17を旋回式の搬送ユニット12で吸着してセンタリングバー10上に載置し、センタリングバー10でX軸方向のセンタリングを実施する。次いで、プッシュプル搬送装置8でウエーハユニット17を洗浄ユニット(洗浄手段)30まで押し込み、載置プレート76上に載置する。
【0049】
ウエーハユニット17を載置プレート76上に載置してから、
図12に示すように、複数の低圧水銀ランプ78を点灯して、ウエーハ11の表面に紫外線を照射する。低圧水銀ランプ78が照射する紫外線は、波長184.9nmと波長253.7nmに2つのピークを有している。
【0050】
低圧水銀ランプ78から紫外線を照射すると、大気中の酸素は波長184.9nmの紫外線を吸収してオゾンを生成する。生成されたオゾンは、さらに波長253.7nmの紫外線を吸収して酸素と活性酸素を発生する。
【0051】
非常に不安定な活性酸素はウエーハ11の実装面(表面)上のテープ屑等の有機化合物と結びついて、これをH
2O,CO
2,NO
x等の気体に酸化して分解する。従って、ウエーハ11の実装面上の有機物が効果的に除去される。
【0052】
図13を参照すると、洗浄ユニット(洗浄手段)の他の実施形態が示されている。本実施形態では載置プレート76をガラス等の透明部材で構成し、ウエーハ11の上方に複数の低圧水銀ランプ78を配置するとともに、粘着テープTの下方に複数の紫外線ランプ80を配置する。紫外線ランプ80は波長350nm付近の紫外線を発生する。
【0053】
本実施形態では、低圧水銀ランプ78で
図12を参照して説明した上述した実施形態と同様にウエーハ11の表面の洗浄を実施する。粘着テープTを紫外線硬化型粘着テープから構成し、粘着テープTの下方に配置した紫外線ランプ80は、紫外線硬化型粘着テープTに紫外線を照射して粘着テープの粘着力を低下させる。
【0054】
図12及び
図13で説明した紫外線を照射する低圧水銀ランプ78に替えて、洗浄ユニット30にプラズマ照射器を配設するようにしてもよい。プラズマ生成用ガスとしては、アルゴン(Ar)と水素ガス(H
2)の混合気体を用いるのが好ましい。
【0055】
プラズマ照射器によりウエーハ11の表面にプラズマを照射すると、ウエーハ11の表面が親水化処理されるとともに、ウエーハ11の表面に付着していた有機物も除去できる。
【0056】
図14を参照すると、本発明第2実施形態のテープ拡張装置2Aの斜視図が示されている。本実施形態では、スピン洗浄ユニット26の上方、即ち一対のセンタリングバー10の上方にプラズマ照射ユニット82が配設されている。本実施形態の他の構成部分は、
図1に示した第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、
図15に示すように、プッシュプル搬送装置8でスピン洗浄後のウエーハユニット17をカセット6内に押し込むときに、プラズマ照射ユニット82からウエーハ11の表面にプラズマ83を照射する。
【0058】
プラズマ照射ユニット82では、プラズマ生成用ガスとしてアルゴン(Ar)と水素ガス(H
2)の混合気体を用いるのが好ましい。プラズマ生成用ガスにヘリウム(He)を含有させるようにしても良い。
【0059】
プラズマ照射ユニット82からウエーハ11上にプラズマ83を照射すると、ウエーハ11の表面の撥水性を緩和して親水化できるとともに、ウエーハ11上の有機物も除去することができる。
【0060】
図16を参照すると、本発明第3実施形態のテープ拡張装置2Bの各ユニットの配置図が示されている。本実施形態では、洗浄ユニット(洗浄手段)84をスピン洗浄ユニット26に隣接して、UV照射器30Aとは別に設けるようにしている。
【0061】
このような構成では、スピン洗浄ユニット26でウエーハ11のスピン洗浄を実施した後、洗浄ユニット84で紫外線照射又はプラズマ照射によるウエーハ11の洗浄を実施することができる。
【0062】
図17を参照すると、テープ拡張装置の更に他の実施形態が示されている。本実施形態では、洗浄ユニット(洗浄手段)86をスピン洗浄ユニット26の上方に配置している。スピン洗浄ユニット26でウエーハ11のスピン洗浄及びスピン乾燥が終了してから、洗浄ユニット86によりウエーハ11の表面に紫外線照射又はプラズマ照射を実施して、ウエーハ11の表面に付着した有機物を除去する。
【0063】
上述した各実施形態では、スピン洗浄した後に紫外線洗浄又はプラズマ洗浄しているが、スピン洗浄前に紫外線洗浄又はプラズマ洗浄を実施するようにしても良い。
【0064】
上述した実施形態では、テープ拡張装置2,2A,2Bで拡張する被加工物として半導体ウエーハ11を採用した例について説明したが、被加工物は半導体ウエーハ等のウエーハに限定されるものではなく、テープ拡張装置でDAFを分割する場合にも、本実施形態のテープ拡張装置2,2A,2Bは同様に適用することができる。