(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2半導体チップの側面は、前記第1半導体チップの側面と前記第1アンダーフィル樹脂の台座部の側面との間の領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
前記第1半導体チップの上に前記第2半導体チップをフリップチップ接続する工程において、前記第2半導体チップの側面は、前記第1半導体チップの側面と前記第1アンダーフィル樹脂の台座部の側面との間の領域に配置されることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。
【0015】
予備的事項に係る半導体装置の製造方法では、
図1(a)に示すように、まず、上面に接続パッドPを備えた配線基板100を用意する。
【0016】
次いで、
図1(b)に示すように、配線基板100の上に先封止用の未硬化の封止樹脂材200aを形成する。さらに、
図2に示すように、第1半導体チップ300を用意する。
【0017】
第1半導体チップ300は素子形成面側にバンプ電極320を備え、背面側に接続電極340を備えている。半導体チップ300のバンプ電極320と接続電極340とは、不図示の貫通電極を介して接続されている。
【0018】
そして、
図2に
図3(a)を加えて参照すると、第1半導体チップ300のバンプ電極320を封止樹脂材200aに押し込み、配線基板100の接続パッドPに圧接させる。
【0019】
さらに、加熱処理することにより、第1半導体チップ300のバンプ電極320の先端のはんだ(不図示)をリフローさせて、第1半導体チップ300のバンプ電極320を配線基板100の接続パッドPにフリップチップ接続する。
【0020】
これにより、第1半導体チップ300と配線基板100との間に封止樹脂材200aから形成されるアンダーフィル樹脂200が充填される。アンダーフィル樹脂200は、第1半導体チップ300の側面を被覆して形成される。
【0021】
さらに、
図3(b)に示すように、第1半導体チップ300の上に封止樹脂材220aを形成する。続いて、
図4に示すように、素子形成面側にバンプ電極420を備えた第2半導体チップ400を用意する。第2半導体チップ400の面積は、第1半導体チップ300の面積よりも一回り大きく設定されている。
【0022】
そして、
図4に
図5を加えて参照すると、第2半導体チップ400のバンプ電極420を封止樹脂材220aに押し込み、第1半導体チップ300の接続電極340に圧接させる。
【0023】
さらに、加熱処理することにより、第2半導体チップ400のバンプ電極420の先端のはんだ(不図示)をリフローさせて、第2半導体チップ400のバンプ電極420を第1半導体チップ300の接続電極340にフリップチップ接続する。
【0024】
これにより、第2半導体チップ400と第1半導体チップ300との間、及び第2半導体チップ400と配線基板100との間に、封止樹脂材220aから形成されるアンダーフィル樹脂220が充填される。
【0025】
このとき、
図5に示すように、第2半導体チップ400の面積は第1半導体チップ300の面積よりも大きく設定されている。このため、第1半導体チップ300上の封止樹脂材220aは第2半導体チップ400の側面まで流動できずに、第2半導体チップ400の下面に留まった状態となる。
【0026】
従って、第2半導体チップ400の側面の全体が大気に露出した状態となる。また、第2半導体チップ400の素子形成面の外周部も露出した状態となる。このため、
図5の構造の半導体装置では、第2半導体チップ400の素子形成領域の側面から内部に水分が侵入し、特性劣化及び故障などを引き起こしやすくなり、信頼性を確保できなくなる。
【0027】
以下に説明する実施形態の半導体装置では、上側の第2半導体チップの面積が下側の第1半導体チップの面積よりも大きい場合であっても、第2半導体チップの側面をアンダーフィル樹脂で確実に被覆して信頼性を確保することができる。
【0028】
(実施形態)
図6〜
図18は実施形態の半導体装置の製造方法を示す図、
図19及び
図20は実施形態の半導体装置を示す図である。以下、半導体装置の製造方法を説明しながら、半導体装置の構造について説明する。
【0029】
実施形態の
半導体装置の製造方法では、まず、
図6に示すような配線基板5を用意する。配線基板5は、厚み方向の中央部にコア基板10を備えている。コア基板10はガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料から形成される。
【0030】
コア基板10の両面側に銅又は銅合金からなる第1配線層20がそれぞれ形成されている。コア基板10には厚み方向に貫通するスルーホールTHが形成されている。スルーホールTHの内壁にはスルーホールめっき層21が形成されており、スルーホールTHの残りの孔には樹脂体Rが充填されている。あるいは、コア基板10のスルーホールTHの全体に貫通電極が充填された構造を採用してもよい。
【0031】
コア基板10の両面側の第1配線層20はスルーホールめっき層21を介して相互接続されている。コア基板10の両面側には、第1配線層20の接続部上にビアホールVHが配置された層間絶縁層12がそれぞれ形成されている。層間絶縁層12は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂から形成される。
【0032】
また、両面側の層間絶縁層12の上には、ビアホールVHを介して第1配線層20に接続される第2配線層22がそれぞれ形成されている。第2配線層22は銅又は銅合金から形成される。
【0033】
さらに、両面側の層間絶縁層12の上には、第2配線層22の接続部上に開口部14aが配置されたソルダレジスト層14がそれぞれ形成されている。ソルダレジスト層14は、ポリイミド樹脂又はアクリル樹脂などの絶縁性樹脂から形成される。
【0034】
そして、コア基板10の上面側の第2配線層22の接続部に、ニッケル/金めっき層、又ははんだ層などの接続電極CEが形成されている。
【0035】
そして、配線基板5に対して、温度:125℃程度で加熱処理することにより、水分を飛ばして乾燥させる。さらに、アルゴンプラズマで配線基板5の上面を処理することにより、濡れ性を向上させる。これにより、先封止用の封止樹脂材を形成するための前処理が完了する。
【0036】
次いで、
図7に示すように、配線基板5の上に先封止用の第1封止樹脂材30aを形成する。第1封止樹脂材30aの好適な一例としては、最低溶融粘度が300Pa・sのエポキシ系樹脂、又は最低溶融粘度が20Pa・s〜90Pa・sのアクリル系樹脂が使用される。
【0037】
配線基板5には複数のチップ搭載領域が画定されており、
図7では1つのチップ搭載領域が示されている。配線基板5の上に第1封止樹脂材30aを形成する具体例としては、まず、
図8(a)に示すように、配線基板5の各チップ搭載領域の上に開口部24aが設けられたマスキングテープ24を貼付する。
【0038】
図8(b)の平面図に示すように、マスキングテープ24の開口部24aは、四角形の各辺の中央が外側に延びた八角形の形状で形成される。
【0039】
次いで、
図8(c)に示すように、マスキングテープ24が貼付された配線基板5の上に未硬化の樹脂シート30xを押圧して貼り付ける。さらに、
図8(d)に示すように、マスキングテープ24を配線基板5から引き剥がす。
【0040】
これにより、マスキングテープ24の上に配置された部分の樹脂シート30xがマスキングテープ24と同時に除去される。その結果、マスキングテープ24の複数の開口部24aに配置された部分の樹脂シート30xが第1封止樹脂材30aとして配線基板5の上に残される。
【0041】
このようにして、配線基板5の複数のチップ搭載領域に樹脂シート30xがそれぞれ分離されて配置され、第1封止樹脂材30aが島状に並んで形成される。第1封止樹脂材30aは、マスキングテープ24の開口部24aの形状に対応して八角形の形状で形成される。第1封止樹脂材30aを八角形の形状で形成する理由は、後述する第2封止樹脂材の変形に対応させるためである。
【0042】
なお、樹脂シート30xを貼付する代わりに、ディスペンサなどによって液状樹脂を配線基板5の複数のチップ搭載領域に塗布してもよい。液状樹脂を使用する場合は、マスキングテープ24を必ずしも貼付する必要はない。
【0043】
続いて、
図9に示すように、第1半導体チップ6を用意する。第1半導体チップ6は、例えば、シリコン基板を使用するCPUチップである。
【0044】
第1半導体チップ6では、シリコンからなるチップ基板40にその厚み方向に貫通するスルーホールTHが形成されている。また、スルーホールTHの内面及びチップ基板40の上面及び下面に絶縁層41が形成されている。
【0045】
絶縁層41としては、シリコン酸化層(SiO
2層)、シリコン窒化層(SiN層)及びポリイミド層などから選択される。そして、スルーホールTH内に銅又は銅合金からなる貫通電極42が充填されている。
【0046】
貫通電極42の上端にはニッケル/金めっき層、又ははんだ層などの接続電極CExが形成されている。
【0047】
また、チップ基板40の下面には貫通電極42の下端に接続される配線層44が形成されている。配線層44は、アルミニウム又は銅、あるいは、それらの合金から形成される。さらに、チップ基板40の下面に配線層44の接続部上に開口部45aが設けられたパッシベーション膜45が形成されている。
【0048】
パッシベーション膜45は、シリコン酸化層、シリコン窒化層、又はポリイミド樹脂などから形成される。
【0049】
配線層44の接続部には柱状電極PEが立設しており、柱状電極PEの先端に丸まったバンプ状のはんだ層46が形成されている。柱状電極PEは、例えば、銅又は銅合金からなる。また、第1半導体チップ6の柱状電極PEの配列ピッチは、例えば80μm〜100μmである。
【0050】
このようにして、第1半導体チップ6の下面側の柱状電極PEが配線層44、貫通電極42を介して上面側の接続電極CExに電気的に接続されて、上下面側が導通可能な構造となっている。
【0051】
第1半導体チップ6の下面側が素子形成面となっており、素子形成面には、不図示のトランジスタ、キャパシタ及び抵抗などの各種の素子が形成されており、それらが多層配線に接続されて電子回路が作り込まれている。
【0052】
そして、第1半導体チップ6内の電子回路が配線層44を介して柱状電極PEに接続されている。
【0053】
前述した
図7の第1封止樹脂材30aの面積は、第1半導体チップ6の面積より大きく設定されている。例えば、第1封止樹脂材30aの面積は9mm×9mm程度であり、第1半導体チップ6の面積は6mm×6mm程度である。
【0054】
次いで、
図10に示すように、
図7の第1封止樹脂材30aが形成された配線基板5をボンディングステージ(不図示)の上に配置し、配線基板5を100℃程度に加熱して第1封止樹脂材30aを軟化させた状態とする。
【0055】
そして、前述した
図9の第1半導体チップ6の背面をボンディングツール16に吸着固定させる。ボンディングツール16の面積は、第1半導体チップ6の面積より大きく設定されており、配線基板5上の第1封止樹脂材30aの面積とほぼ同一である。このため、ボンディングツール16の周縁部16aが第1半導体チップ6の側面から外側にはみ出して露出した状態となる。
【0056】
続いて、ボンディングツール16に吸着固定した第1半導体チップ6の柱状電極PEを配線基板5上の第1封止樹脂材30aに押し込む。これにより、
図11に示すように、第1半導体チップ6の柱状電極PEをはんだ層46を介して配線基板5の接続電極CEに圧接させてフリップチップ実装する。
【0057】
続いて、リフロー加熱することにより、はんだ層46を溶融させて第1半導体チップ6の柱状電極PEを配線基板5の接続電極CEにはんだ層46によって接合する。
【0058】
さらに、第1封止樹脂材30aがエポキシ樹脂からなる場合は、温度:180℃、処理時間:1時間の条件で加熱処理して第1封止樹脂材30aを硬化させる。これにより、第1半導体チップ6と配線基板5との間に第1アンダーフィル樹脂30が充填される。
【0059】
このとき、第1半導体チップ6の外側に配置された第1封止樹脂材30aがボンディングツール16の周縁部16aによって押圧されて成型される。その後に、ボンディングツール16を第1半導体チップ6から取り外す。
【0060】
これにより、
図12に示すように、第1半導体チップ6を取り囲む周囲の領域に、第1半導体チップ6と配線基板5との間の第1アンダーフィル樹脂30が延在して形成された環状の台座部31が形成される。そして、第1アンダーフィル樹脂30の台座部31の上面は第1半導体チップ6の上面と同一面となる。
【0061】
このようにして、第1アンダーフィル樹脂30のフィレット部分に多くの樹脂が配置されるようにし、フィレット部分を成型することにより、第1半導体チップ6の周囲に第1アンダーフィル樹脂30の台座部31を配置する。
【0062】
台座部31を含む第1アンダーフィル樹脂30の面積は、12mm×12mm程度である。
【0063】
次いで、
図13に示すように、
図12の構造体の第1半導体チップ6の上に第2封止樹脂材32aを形成する。第2封止樹脂材32aは、前述した第1封止樹脂材30aの形成方法と同様な方法で形成される。
【0064】
第2封止樹脂材32aの好適な一例としては、最低溶融粘度が10Pa・s〜90Pa・s、好適には30Pa・s〜50Pa・sのエポキシ系樹脂、又は最低溶融粘度が20Pa・s〜90Pa・sのアクリル系樹脂が使用される。
【0065】
このように、第2封止樹脂32aとしては、最低溶融粘度の数値が二桁のものが好ましく、エポキシ系樹脂を使用する場合は、前述した第1封止樹脂材30aよりも最低溶融粘度が低い樹脂材が使用される。
【0066】
第2封止樹脂材32aとして溶融粘度の低い樹脂を使用する理由は、以下の通りである。後述するように第2半導体チップの狭ピッチの柱状電極を低い荷重で第2封止樹脂32aに押し込んでフリップチップ接続する際に、接続部分への樹脂やフィラーの噛み込みの発生を防止するためである。
【0067】
次いで、
図14に示すように、第1半導体チップ6の上に積層される第2半導体チップ7を用意する。第2半導体チップ7は、例えば、シリコン基板を使用するメモリチップである。第2半導体チップ7の面積は第1半導体チップ6の面積より大きく設定されている。前述した
図13の第2封止樹脂材32aの面積は、第2半導体チップ7の面積に対応するように設定される。
【0068】
また、第2半導体チップ7の面積は台座部31を含む第1アンダーフィル樹脂30の面積よりも小さく設定されている。
【0069】
第2半導体チップ7では、シリコンからなるチップ基板50の下面側の素子形成面に接続パッドPが形成されている。第2半導体チップ7は、第1半導体チップ6と同様に素子形成面に電子回路が作り込まれており、接続パッドPが電子回路に接続されている。
【0070】
また、素子形成面側に最外層として、接続パッドPの上に開口部52aが配置されたパッシベーション膜52が形成されている。パッシベーション膜52は、シリコン酸化層、シリコン窒化層、又はポリイミド樹脂などから形成される。
【0071】
さらに、接続パッドPにはパッシベーション膜52から外側に立設する柱状電極PExが接続されており、柱状電極PExの先端にはんだ層54が形成されている。柱状電極PExは、例えば、銅又は銅合金から形成される。
【0072】
第2半導体チップ7の柱状電極PExの配列ピッチは例えば40μm程度であり、第1半導体チップ6の柱状電極PEよりも狭ピッチ化されている。
【0073】
そして、
図15に示すように、
図14の第2半導体チップ7の背面をボンディングツール16に吸着固定させる。続いて、ボンディングツール16に吸着固定した第2半導体チップ7の柱状電極PExを第1半導体チップ6上の第2封止樹脂材32aに押し込む。
【0074】
これにより、
図16に示すように、第2半導体チップ7の柱状電極PExをはんだ層54を介して第1半導体チップ6の接続電極CExに圧接させてフリップチップ実装する。
【0075】
続いて、リフロー加熱することにより、はんだ層54を溶融させて第2半導体チップ7の柱状電極PExを第1半導体チップ6の接続電極CExにはんだ層54によって接合する。
【0076】
その後に、第2封止樹脂材32aがエポキシ樹脂からなる場合は、温度:165℃、処理時間:2時間の条件で加熱処理して,第2封止樹脂材32aを硬化させる。これにより、第2半導体チップ7と、第1半導体チップ6及び第1アンダーフィル樹脂30との間に第2アンダーフィル樹脂32が充填される。
【0077】
このとき、第2半導体チップ7を第2封止樹脂材32aに押し込む際に、第2封止樹脂材32aは第1アンダーフィル樹脂30の台座部31の上に流動しながら第2半導体チップ7の側面を被覆する。
【0078】
これにより、第2半導体チップ7の面積が第1半導体チップ6の面積よりも大きい場合であっても、第2半導体チップ7の側面を第2アンダーフィル樹脂32で確実に封止することができる。
【0079】
前述したように、第2半導体チップ7の柱状電極PExの配列ピッチは、第1半導体チップ6の柱状電極PEと比較してかなり狭く設定され、第1半導体チップ6との間隔も狭くなる。
【0080】
しかも、第2半導体チップ7をフリップチップ接続する際に、第1半導体チップ6へのダメージを低減させるため、第2半導体チップ7に印加する荷重を低くする必要がある。
【0081】
このため、第2封止樹脂材32aの溶融粘度が高い場合は、第1半導体チップ6の接続電極CExと第2半導体チップ7の柱状電極PExとの間に樹脂やフィラーの噛み込みが発生する懸念がある。
【0082】
そこで、本願発明者は、第2封止樹脂材32aとして、最低溶融粘度が100Pa・s以上(300Pa.s)のエポキシ樹脂材と、最低溶融粘度が100Pa・s未満(50Pa・s)のエポキシ樹脂材とを振り分けて実験を行った。そして、両者の樹脂材において、第1半導体チップ6の接続電極CExと第2半導体チップ7の柱状電極PExとの接合の様子をSEM(走査電子顕微鏡)にて観察した。
【0083】
その結果によれば、最低溶融粘度が100Pa・s以上(300Pa.s)の粘度が高いエポキシ樹脂材では、第2半導体チップ7の柱状電極PExの先端のはんだ層54と第1半導体チップ6の接続電極CExとの間に樹脂やフィラーが残る噛み込みが発生しており、電気接続の信頼性が得られないことが分かった。
【0084】
これに対して、最低溶融粘度が100Pa・s未満(50Pa・s)の粘度が低いエポキシ樹脂材では、第2半導体チップ7の柱状電極PExの先端のはんだ層54と第1半導体チップ6の接続電極CExとの間に樹脂は確認されず、良好な接合が得られることが確認された。
【0085】
このように、狭ピッチの柱状電極PExを備えた第2半導
体チップ7を先封止技術で第1半導体チップ6に低い荷重でフリップチップ接続する際には、溶融粘度の低い樹脂材を使用することが有効であることが確認された。
【0086】
また、第2半導体チップ7は比較的面積が大きいことから、平面視して四角状の第2封止樹脂材32aに第2半導体チップ7を押し込む際に、第2封止樹脂材32aの4つの角部よりも各辺の中央が外側に延びて、より顕著な八角状の形状になりやすい。
【0087】
このため、前述した
図8で説明したように、第1封止樹脂材30aは、第2封止樹脂材32aの変形に対応できるように、平面視して八角形の形状で形成される。
【0088】
これにより、第2アンダーフィル樹脂32が第1アンダーフィル樹脂30の側面に流れて形成されることが防止される。第1アンダーフィル樹脂30の側面に第2アンダーフィル樹脂32が流れて形成されると膜剥がれなどが発生して信頼性が低下するため、第1アンダーフィル樹脂30の側面に第2アンダーフィル樹脂32が流れ込まないようにする。
【0089】
その後に、
図17に示すように、第2半導体チップ7からボンディングツール16を取り外す。
【0090】
あるいは、
図18に示すように、前述したような先封止技術を使用しないで、第1半導体チップ6の接続電極CExに第2半導体チップ7の柱状電極PExをフリップチップ接続した後に、それらの隙間に第2アンダーフィル樹脂32を充填してもよい。
【0091】
この場合は、第1アンダーフィル樹脂30の台座部31の上にディスペンサ18から樹脂を塗布できるので、
図17と同様に第2半導体チップ7の側面を第2アンダーフィル樹脂32で確実に封止することができる。
【0092】
次いで、
図19に示すように、配線基板5及び第2半導体チップ7の上にモールド樹脂34を形成して、第1、第2アンダーフィル樹脂30、32の側面から第2半導体チップ7の上面までを樹脂封止する。
【0093】
なお、第1、第2アンダーフィル樹脂30、32によって第1、第2半導体チップ6,7が十分に保護される場合は、モールド樹脂34を省略してもよい。
【0094】
さらに、配線基板5の下面側の第2配線層22の接続部にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子Tを形成する。その後に、第1半導体チップ6及び第2半導体チップ7が積層された各チップ搭載領域が得られるように、配線基板5を切断する。
【0095】
以上により、実施形態の半導体装置1が製造される。
【0096】
図19に示すように、実施形態の半導体装置1では、前述した
図6の配線基板5の上面側の接続電極CEに前述した
図9の第1半導体チップ6の柱状電極PEがはんだ層46を介してフリップチップ接続されている。
【0097】
第1半導体チップ6と配線基板5との間には第1アンダーフィル樹脂30が充填されている。第1アンダーフィル樹脂30は、第1半導体チップ6と配線基板5との間の領域から第1半導体チップ6の周囲の領域に延在する環状の台座部31を備えて形成されている。
【0098】
さらに、第1半導体チップ6の上面側の接続電極CExには、前述した
図14の第2半導体チップ7の柱状電極PExがはんだ層54を介してフリップチップ接続されている。また、第1半導体チップ6と第2半導体チップ7との間に第2アンダーフィル樹脂32が充填されている。
【0099】
第2アンダーフィル樹脂32は、第1半導体チップ6と第2半導体チップ7との間の領域から第1アンダーフィル樹脂30の台座部31の上に延在し、第2半導体チップ7の側面を封止している。
【0100】
第2半導体チップ7の下面側の素子形成領域の側面が少なくとも第2アンダーフィル樹脂32で封止されていればよく、第2半導体チップ7の背面側に近い側面は露出していてもよい。
【0101】
第2半導体チップ7の面積は第1半導体チップ6の面積よりも大きく設定されている。しかし、第1半導体チップ6の周囲に第1アンダーフィル樹脂30の台座部31が配置され、第2半導体チップ7の側面は、第1半導体チップ6の側面と第1アンダーフィル樹脂30の台座部31の側面との間の領域に配置されている。
【0102】
このため、台座部31上に配置された第2封止樹脂材32aから形成される第2アンダーフィル樹脂32によって第2半導体チップ7の側面を確実に封止することができる。
【0103】
あるいは、第1アンダーフィル樹脂30の台座部31をさらに外側に延ばし、第2封止樹脂材32aを厚くすることにより、第2半導体チップ7の側面の全体を第2アンダーフィル樹脂32で封止することも可能である。
【0104】
このように、本実施形態の半導体装置1は、第1半導体チップ6の周囲に第1アンダーフィル樹脂30の台座部31を配置している。このため、第1半導体チップ6の上にそれより面積が大きな第2半導体チップ7がフリップチップ接続されるとしても、第1アンダーフィル樹脂30の台座部31の上に第2アンダーフィル樹脂32を配置することができる。
【0105】
これにより、第1半導体チップ6の側面より外側に配置される第2半導体チップ7の側面を第2アンダーフィル樹脂32で封止することが可能になる。
【0106】
その結果、第2半導体チップ7の素子形成領域の側面を第2アンダーフィル樹脂32で確実に封止することができる。よって、第2半導体チップ7の電子回路への水分の侵入が阻止され、特性劣化及び故障などの不具合の発生が防止される。
【0107】
図20には、実施形態の変形例の半導体装置1aが示されている。
図20の変形例の半導体装置1aでは、前述した
図17の第2半導体チップ7の背面(上面)が露出するようにモールド樹脂34が第1、第2アンダーフィル樹脂30,32及び第2半導体チップ7の周囲に形成されている。
【0108】
さらに、第2半導体チップ7の上面及びモールド樹脂34の上面に接着層36を介して放熱部材60が接着されている。接着層36として、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれるような熱伝導性に優れた樹脂による接着剤が使用される。
【0109】
これにより、第2半導体チップ7の背面に放熱部材60が接続されて、放熱性に優れた半導体装置となる。放熱部材60としては、銅などからなるヒートスプレッダ、放熱フィンを備えたヒートシンク、又はヒートパイプなどを使用することができる。
【0110】
(その他の形態)
前述した実施形態では、配線基板5の上に第1半導体チップ6及び第2半導体チップ7を順にフリップチップ接続して積層している。この形態の他に、配線基板5の代わりに、半導体チップを採用し、3つの半導体チップを積層して同様な構成としてもよい。
【0111】
あるいは、第1半導体チップ6の代わりに、シリコンインターポーザなどの他の配線基板を採用し、配線基板の上に他の配線基板及び半導体チップを積層して同様な構成としてもよい。
【0112】
さらには、第1半導体チップ
6及び第2半導体チップ
7の代わりに、各種の配線基板を採用し、3つの配線基板を積層して同様な構成としてもよい。