特許第6242561号(P6242561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242561
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】顔料
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/06 20060101AFI20171127BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20171127BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20171127BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C09C3/06
   C09D7/12
   C09D11/00
   C09D201/00
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2010-242282(P2010-242282)
(22)【出願日】2010年10月28日
(65)【公開番号】特開2011-94140(P2011-94140A)
(43)【公開日】2011年5月12日
【審査請求日】2013年10月25日
【審判番号】不服2015-16776(P2015-16776/J1)
【審判請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】10 2009 051 171.7
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】サビーネ ショーン
【合議体】
【審判長】 冨士 良宏
【審判官】 國島 明弘
【審判官】 日比野 隆治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−319540(JP,A)
【文献】 特開2004−203051(JP,A)
【文献】 特開2001−214128(JP,A)
【文献】 特表2004−510675(JP,A)
【文献】 特開2006−313161(JP,A)
【文献】 特開平6−56543(JP,A)
【文献】 特開平2−225314(JP,A)
【文献】 特開2004−197099(JP,A)
【文献】 特開2001−49142(JP,A)
【文献】 特表2008−538795(JP,A)
【文献】 特表2007−518841(JP,A)
【文献】 特表2005−539131(JP,A)
【文献】 特表2002−524647(JP,A)
【文献】 特開2001−49142(JP,A)
【文献】 特開平11−236315(JP,A)
【文献】 特開平8−109341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C1/00−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状粒子に基づく顔料であって、
・前記球状粒子が0.1〜100μmの粒径を有する球状シリカ−アルミナセラミック球であり、
・ZrO、ZnO、Al、TiO、Fe、Fe、FeOOHから成る群から選択され、表面上に不規則に分布している凝集体、もしくは表面上に不規則に分布しているBaSOの凝集体またはこれらの混合物で表面(第1層)が被覆されていることを特徴とする顔料。
【請求項2】
・金属酸化物もしくは金属酸化物混合物、レーキ、またはベルリンブルーを含むさらなる層(第2層)で被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
前記球状粒子が0.3〜50μmの粒径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料。
【請求項4】
前記球状粒子が0.5〜15μmの粒径を有することを特徴とする、請求項3に記載の顔料。
【請求項5】
前記球状粒子が、前記第1層上、または、前記第2層が存在している場合は前記第2層上に、SiOを含む外層(上面層)を更に有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項6】
前記第1層が、0.01〜2μmの平均層厚を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項7】
前記最外層(上面層)が、0.01〜1μmの平均厚を有することを特徴とする、請求項5または6に記載の顔料。
【請求項8】
前記顔料中のレーキの重量比率が、0.1〜30重量%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項9】
前記球状粒子(ベース基材)が、表面に以下の被覆:
球状ベース基材+TiO
球状ベース基材+TiO+SiO
球状ベース基材+TiO/Fe
球状ベース基材+TiO/Fe+SiO
球状ベース基材+Fe+SiO
球状ベース基材+FeO(OH)+SiO
球状ベース基材+Fe+SiO
球状ベース基材+TiFe+SiO
球状ベース基材+TiO+Fe+SiO
球状ベース基材+TiO+Fe+SiO
球状ベース基材+TiO+Fe[Fe(CN)
球状ベース基材+TiO+Fe[Fe(CN)+SiO
球状ベース基材+TiO+カーマインレーキ
球状ベース基材+TiO+カーマインレーキ+SiO
を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項10】
10〜200の吸油値(DIN ISO 787/5−1980(E)に従って測定される)を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項11】
1〜200m/gのBET表面積(DIN 9277:2003−05に従って測定される)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項12】
光、温度、および天候安定性を高めるため、前記第1層上に、または、前記第2層が存在しており前記外層(上面層)が存在していない場合は前記第2層上に、または、前記外層(上面層)が存在している場合は前記外層(上面層)上に、外側保護層をさらに有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の顔料。
【請求項13】
前記球状粒子を、酸または塩基の存在下で、凝集体または層を形成する原材料の溶液を、均一に同時もしくは非同時に添加することにより、水性懸濁液中に層材料を沈殿させることによって凝集体または層材料で被覆し、濾過し、洗浄し、乾燥し、ふるいにかけることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の顔料の調製方法。
【請求項14】
乾燥後でふるいにかける前に、か焼することを特徴とする、請求項13項に記載の調製方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の顔料の、塗料、被覆剤、印刷用インク、機密印刷用インク、プラスチック類、セラミック材料、ガラス類における使用、化粧用配合物における使用、トレーサーとしての使用、フィラーとしての使用、ならびに顔料調製物および乾燥調製物を調製するための使用。
【請求項16】
化粧用配合物、塗料、工業用被覆剤、粉末被覆剤、プラスチック類またはセラミックにおける請求項1〜12のいずれか1項に記載の顔料の使用。
【請求項17】
前記化粧用配合物は、マニキュア、口紅、コンパクトパウダー、ジェル、ローション、石鹸または練り歯磨きである、請求項16の使用。
【請求項18】
パーソナルケア用途における請求項1〜12のいずれか1項に記載の顔料の使用。
【請求項19】
前記パーソナルケア用途は、ボディローション、エマルジョン、石鹸またはシャンプーである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の顔料を含む配合物。
【請求項21】
請求項20に記載の化粧用配合物。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の顔料に加えて、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化剤、制汗剤、消泡剤、抗ふけ活性化合物、帯電防止剤、結合剤、生物学的添加剤、漂白剤、キレート剤、防臭剤、皮膚軟化剤、乳化剤、エマルジョン安定化剤、染料、湿潤剤、フィルム形成剤、フィラー、芳香剤、フレーバー、虫忌避剤、防腐剤、防錆剤、化粧用油、溶剤、酸化剤、植物性成分、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、噴霧ガス、乳白剤、UVフィルターおよびUV吸収剤、変性剤、粘度調整剤、香料ならびにビタミンから成る群から選択される少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする、請求項20または21に記載の配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、100μmより小さい直径を有し、ZrO、ZnO、Al、TiO、Fe、FeOOHおよびBaSOから成る群から選択される凝集体、またはこれらの混合物で表面(第1層)を被覆された球状粒子に基づく無機顔料、ならびに塗料、被覆剤、印刷用インク、機密印刷用インク、プラスチック類、セラミック材料、ガラス類におけるその使用、トレーサーとしてのその使用、および特に化粧用配合物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料という用語は、塗布媒体に不溶性の着色剤に適用される。有機顔料の典型例は、フタロシアニン、ジケトピロロピロール、アゾ顔料およびキナクリドンである。言及され得る無機顔料は、種々の種類の酸化鉄またはウルトラマリンである。顔料は、一般的に、塗布媒体に可溶性の染料と比較して、より高い化学的および光化学的安定性によって区別される。
【0003】
フィラーは顔料の特殊な形状とみなすことができる。フィラーにおいて、重視されるのは「着色」機能ではない。それよりも、機械的安定性、耐摩耗性、天候安定性の増加、または製造コストなどの因子が、工業用フィラーの使用にとって重要である。
【0004】
フィラーは、化粧用配合物にも広く使用される。例えば、パウダーは、最終的な組成に基づいて50%までのフィラーを含み得る。口紅においては、一般的な値は10〜15%のフィラーであり、エマルジョンにおいては2〜6%のフィラーである。化粧用フィラーは、幅広い種類の機能を備える。ファンデーションでは、化粧用フィラーは、いわゆるつや消し効果(マット効果)により皮膚上の望ましくない脂っぽいつやを防ぎ、一方パウダーでは、例えば、流動性挙動または皮膚塗布特性を向上させるのに役立つ。脱臭製品では、いくつかのフィラーによる高い液体吸収能力が利用される。
【0005】
顔料が添加される系で使用される前に、化粧品中のフィラーまたは顔料は、容易な分散および再現性のある着色を可能にする形状に変えなければならない。顔料のこの前処理、例えば、最終製品の品質に重大な影響を及ぼすすりつぶしは、時間がかかり、費用がかかる。さらなる欠点は、顔料の色は、濡れると変化することである。化粧用配合物にとって、顔料は、伝統的なフィラーが少ししか示さない優れた皮膚感触をさらに備えなければならない。
【0006】
球状粒子、特にSiO球に基づくフィラーは、一方でヒトの皮膚に自然な外観を与え、他方でしわを見えにくくすることができるので、化粧品にますます使用されている。
【0007】
着色層で被覆された無機球状フィラーは、例えば、公開された明細書であるJP62−288662、JP11−139926、JP11−335240およびDE19929109から既知である。
【0008】
WO00/15720は、高い光拡散を示す球状SiO粒子に基づく顔料混合物を開示しており、そこではSiO球の一部はTiO/SiOで被覆されており、残りはTiOおよびFeで被覆されている。
【0009】
WO99/66883は、最終SiO層を有する、酸化チタン、酸化鉄または酸化亜鉛などの金属酸化物で被覆されたSiO球を記載している。このようにして被覆されたSiO球は、干渉顔料との混合物として化粧用配合物に使用される。
【0010】
従来技術から既知のSiO球に基づくフィラーは、比較的優れた皮膚感触を示すが、過度に高い散乱能力を備えるという欠点を有する。この理由は、球状フィラーの金属酸化物層の構造にある。従来技術の機能性顔料は、一般的に、均一な配列で担体球の表面を被覆する非常に小さい粒子、すなわち0.5〜100nmの粒径を有する粒子から成る。光は層表面で反射され、光沢をもたらす。しかし、同時に、強い散乱中心として作用する個々の粒子が層上に配列するので、かなりの量の散乱が起こる。これら2つの矛盾した効果(光沢および散乱)の結果として、顔料は皮膚に白く不自然な外観をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえ、本発明の目的は、優れた皮膚感触に加えて、同時に化粧用配合物中での優れた分散性、化学的および光化学的安定性、ならびに純粋な色を備える機能性顔料を提供することである。さらに、顔料は、純粋なパウダーとして、またクリーム、エマルジョン、ファンデーションなどによって皮膚に塗布される場合に、皮膚上で柔らかく、一様で自然な外観を示さなければならない。顔料が、特に、硬さのわずかな増加を伴う液体およびペースト状調製物をもたらすことがさらに望まれている。これは調製物の塗布挙動を著しく向上させる。粘度は、特定の用途にとって望ましい方法で、顔料によって最適化されるべきである。顔料のわずかなチキソトロピー機能は、皮膚上の化粧用調製物の分布を著しく容易にする。したがって、高粘度のクリーム、すなわち固体ファンデーションであって、それにもかかわらずでも皮膚上での非常に優れた広がり性、および/または容器から取り出す際の非常に優れた取り出し挙動を有するものを調製することが可能である。
【0012】
これらの製品特性に加えて、本発明のさらなる目的は、顔料の単純な工業的調製である。
【0013】
さらなる目的は、例えば、顔料の隠蔽力および着色強度などの一定の特性の調節を、調製工程中に単純な方法でモニターすることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚いたことに、ZrO、ZnO、Al、TiO、Fe、Fe、FeOOHおよびBaSOから成る群から選択される凝集体、またはこれらの混合物で表面(第1層)を被覆された、0.1〜100μmの直径を有する球状粒子に基づく顔料は、従来技術のフィラー/顔料よりも、より優れた隠蔽力の調節および皮膚の著しくより自然な外観を可能にし、さらにより優れた皮膚感触を備えることが分かった。さらに、本発明による顔料は、きめに所望の影響を示す、すなわち、塗布特性に不利に影響することなく、エマルジョンの粘度およびファンデーションの固さをわずかに増加させる。
【0015】
それゆえ、本発明は、0.1〜100μmの粒径を有する球状粒子に基づき、ZrO、ZnO、Al、TiO、Fe、Fe、FeOOHおよびBaSOから成る群から選択される凝集体、またはこれらの混合物で表面を被覆され、任意に金属酸化物もしくは金属酸化物混合物、レーキまたはベルリンブルーを含むさらなる層(第2層)で被覆されているという事実によって区別される顔料に関する。
【0016】
既知の顔料と比較すると、本発明による球状顔料は、
− 皮膚のより自然な外観
− より容易な分散性
− 向上した加工性
− 広い範囲内で調節することができる隠蔽力
− 向上した皮膚感触
− 化粧用調製物の向上したきめ
− 化粧用配合物の向上した塗布挙動
− より強い白さ
− より高い色純度
を示す。
【0017】
本発明はさらに、本発明による球状顔料の、塗料、被覆剤、好ましくは工業用被覆剤、印刷用インク、機密印刷用インク、プラスチック類、セラミック材料、ガラス類における使用、トレーサーとしての使用、フィラーとしての使用、および特に化粧用配合物における使用に関する。本発明による顔料はさらに、顔料調製物の調製、および例えば顆粒、チップ、ペレット、ソーセージ、ブリケットなどの乾燥調製物の調製にも適している。乾燥調製物は、特に、印刷用インクおよび化粧品において使用される。
【0018】
適当なベース基材は、例えば、特にSunjin Chemical、Omega Materials、3M、Dow CorningまたはEvonikから市販されているような球状粒子である。好ましい球状粒子は、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルカリ金属アルミニウム、ケイ酸アルカリ土類金属アルミニウム、およびこれらの組み合わせ、二酸化ケイ素、ガラス球、中空ガラス球、ナイロン、ポリアクリレート、ならびに酸化アルミニウムから成る群から選択される。
【0019】
特に好ましい球状基材は、例えば、Ceramic MicrospheresおよびCosmetic Microspheres、またはZeeospheresという商品名で3Mより販売されているケイ酸マグネシウムおよびケイ酸アルカリ金属アルミニウムである。
【0020】
使用され得る基材は、異なる基材の混合物でもある。2つ以下の異なる基材を使用するのが好ましい。特に好ましい基材混合物は、
− ケイ酸アルカリ金属アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム
− ケイ酸アルカリ金属アルミニウムおよび二酸化ケイ素
− ケイ酸アルカリ金属アルミニウムおよびケイ酸アルカリ土類金属アルミニウム
である。
【0021】
本発明による顔料の微小球状ベース基材は、0.1〜100μm、好ましくは0.3〜50μm、特に0.5〜15μmの粒径を有する。
【0022】
顔料の微小球状ベース粒子は、好ましくは、特にZrO、ZnO、Al、TiO、Fe、Fe、FeOOHまたはこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの金属酸化物を含む凝集体で表面(第1層)を被覆されている。凝集体はさらに、BaSO、またはBaSOと1つもしくは複数の前記金属酸化物との混合物から成っていてもよい。
【0023】
ベース粒子は、好ましくは、TiOを含む凝集体の被覆を有する。ここでのTiOは、ルチルまたはアナターゼ種、好ましくはアナターゼ形態であり得る。
【0024】
本特許出願中の被覆(単数または複数)は、金属酸化物および/またはBaSOによるベース粒子の部分的または完全な被覆を意味するものとし、ここで、金属酸化物(1つまたは複数)またはBaSOの両者は凝集体の形状をしている。
【0025】
本出願中の凝集体は、球状ベース粒子の表面に不規則に分布した酸化物またはBaSO粒子を意味するものとする。凝集体の形成は、光散乱中心の数を減らすので、被覆の散乱能力は、凝集していない個々の粒子による被覆の場合よりも、被覆度が増加してもあまり増加しない。凝集体を与える多数の酸化物粒子の部分的垂直配列はまた、被覆の不規則な層の厚さおよび亀裂が生じた表面という結果をもたらす。それゆえ、媒体との相互作用がより強力で、被覆された球状粒子間でネットワークを形成することができ、粘度の所望の増加およびファンデーションの固さの向上をもたらし、同時に塗布挙動を向上させる。
【0026】
球状粒子を含む第1層の平均層厚は、好ましくは0.01〜2μm、特に0.02〜1μm、特に大変好ましくは0.05〜0.8μmである。
【0027】
凝集体は表面上に非常に不規則に分布しているので、凝集体の平均層厚、すなわち基材表面上の層材料の均一かつコンパクトな(凝集していない)分布を仮定した層厚が本出願で示される。
【0028】
分散性、化学的および光化学的安定性、ならびに皮膚感触を向上させるため、SiOを含む上面層(最終層)を塗布することがしばしば適切である。SiO層は一般的に、0.01〜1μm、特に0.02〜0.7μm、そして特に大変好ましくは0.05〜0.5μmの平均層厚を有する。
【0029】
この最終SiO層は、凝集体で被覆された球状粒子を薄い層で覆う。それにより、分散性が向上し、本発明による顔料と塗布媒体との化学的および光化学的相互作用が防がれる。
【0030】
球状ベース粒子は、好ましくは1つまたは2つの層で被覆される。例えばTiOなどの無色の第1層による球状ベース粒子の被覆、またはTiO/Feの混合物による、および場合によりSiOの上面層によるマストーン(実体色:mass tone)の定着が特に好ましい。
【0031】
金属酸化物、好ましくはFeもしくはFe、レーキまたはベルリンブルーを含む第2被覆を第1被覆に任意で塗布することもできる。第2被覆は、2つ、3つ、またはそれ以上の金属酸化物から成る金属酸化物混合物であってもよい。この金属酸化物混合物は、2つの金属酸化物、特にTiOおよびFeから成るのが好ましい。
【0032】
レーキは、無機の支持マトリクスに結合している有機着色剤である。支持マトリクスとして適当なのは、特に、例えばAlおよびSiOなどのネットワーク形成無機酸化物である。言及され得る有機着色剤は、レーキに変換され得る全ての着色化合物、特に、カーマインレッド(CAS番号1390−65−4)、アルラレッド(CAS番号25956−17−6)、タートラジン(CAS番号1934−21−0)、ブリリアントブルーFCF(CAS番号3844−45−9)、エリスロシン(CAS番号16423−68−0)およびフロキシンB(CAS番号18472−87−2)のアルカリおよびアルカリ土類金属塩である。このリストは、少数の考えられるレーキを表すに過ぎず、限定的であると理解すべきではない。
【0033】
ベルリンブルーは、実験式Fe[Fe(CN)を有する、ヘキサシアノ鉄(II)酸アニオンの鉄(III)塩である。これは、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムと鉄(III)塩、またはヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムと鉄(II)塩の溶液を弱酸性溶液中で混ぜ合わせることによって容易に調製することができる。
【0034】
金属酸化物、レーキまたはベルリンブルーを含む第2層の平均層厚は、10〜500nm、好ましくは10〜200nm、そして特に好ましくは10〜100nmである。顔料中のレーキの重量比率は全体として、製品の所望の着色強度、およびそれぞれのレーキの着色効果に依存する。それは、0.1〜30%、好ましくは0.2〜25%、そして特に好ましくは0.5〜20%である。
【0035】
本発明による特に好ましい顔料は、表面に以下の被覆を有する:
球状ベース基材+TiO
球状ベース基材+TiO+SiO
球状ベース基材+TiO/Fe
球状ベース基材+TiO/Fe+SiO
球状ベース基材+Fe+SiO
球状ベース基材+FeO(OH)+SiO
球状ベース基材+Fe+SiO
球状ベース基材+TiFe+SiO
球状ベース基材+TiO+Fe+SiO
球状ベース基材+TiO+Fe+SiO
球状ベース基材+TiO+Fe[Fe(CN)
球状ベース基材+TiO+Fe[Fe(CN)+SiO
球状ベース基材+TiO+カーマインレーキ
球状ベース基材+TiO+カーマインレーキ+SiO
【0036】
ケイ酸AlまたはMg球に基づき、金属酸化物、好ましくはTiOまたはFeの被覆、および任意でSiOを含む上面層(最終層)を有する顔料が特に好ましい。
【0037】
本発明による顔料の場合の最終SiO層は、色、色の純度および色の強度における顔料の光学的特性、ならびに例えば、分散性、皮膚感触と化学的および光学的安定性などの塗布特性を向上させることができる。
【0038】
本発明による球状顔料は、一般的に、10〜200、特に20〜200、特に大変好ましくは50〜150の吸油値を有する。本特許出願の吸油値は、DIN ISO 787/5−1980(E)に従って測定される。
【0039】
窒素吸収によって測定される、本発明による顔料のBET表面積は、一般的に、1〜200m/g、好ましくは2〜150m/g、特に3〜100m/gである。本特許出願のBET表面積は、DIN ISO 9277:2003−05に従って測定される。
【0040】
本発明による顔料は、皮膚上へのより容易な塗布およびより均一な分布を達成し、皮膚感触を向上させることにより、特に化粧品のきめを向上させる。顔料は、鉱物基礎の上に形づくられており、主として無機成分を含むので、皮膚によって非常によく耐えられる。
【0041】
球状粒子の調製は既知である。したがって、例えば、ケイ酸MgまたはAl球は、一般的に、細かく分割したケイ酸塩原材料および/またはその酸化物出発化合物をガス流中で加熱することによって溶融され、球状形態をとる。融点を下げることによって溶融をより容易にするため、一般的に、細かく分割したアルカリおよび/またはアルカリ土類金属化合物が反応混合物に添加される。
【0042】
球状ベース粒子の被覆は、ワンポットプロセスで行うことができる。本発明による顔料は、種々の方法で比較的単純に調製することができる。球状粒子は、ウェット化学被覆により、またはCVDもしくはPVDプロセスにより、1つまたは複数の被覆で被覆することができる。
【0043】
球状ベース粒子の被覆は、好ましくは、金属酸化物または金属水酸化物の塩溶液からの加水分解による金属酸化物または金属水酸化物の堆積によるウェット化学法で行うことができる。凝集体の形成は、沈殿条件の適当な選択により引き起こされ得る。これらは特に、塩溶液の反応温度、pH、攪拌速度および量り入れ速度(metering rate)である。TiOの沈殿は、一般的に、1.0〜3.0のpH範囲で行われる。凝集体を形成する傾向は、pH1.0〜pH3.0で増加する。しかしながら、過度に高いpHを選択すると、いわゆる2次的沈殿が生じ得ることがあり、すなわち、TiO粒子がベース粒子と一緒に沈殿し、層を形成しない。前記ベース粒子に関して、顔料の分野の当業者によって容易に決定され得る異なる沈殿条件は、一般的に、異なる表面挙動により選択されるべきである。
【0044】
本発明は、本発明による顔料の調製方法にも関し、この方法において、球状粒子は、酸または塩基の存在下で、凝集体または層を形成する原材料の溶液を実質的に均一に、同時もしくは非同時に添加することにより、水性懸濁液中に層材料を沈殿させることによって凝集体で被覆され、濾過され、洗浄され、乾燥され、任意でか焼され、ふるいにかけられる。
【0045】
球状粒子上の金属酸化物層は、好ましくはウェット化学法によって塗布され、ここでは一般に、真珠光沢のある顔料の調製用に開発されたウェット化学被覆法が使用され得る。この種の方法は、例えば、US3087828、US3087829、US3553001、DE1467468、DE1959988、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE2522572、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354、DE3151355、DE3211602、DE3235017、DE19618568、EP0659843、または当業者にとって既知のさらなる特許文書および他の刊行物に記載されている。
【0046】
ウェット化学被覆の場合、球状粒子を水に懸濁し、1つまたは複数の加水分解性金属塩を、金属酸化物または金属酸化物を、水和物が凝集体として球上に直接沈殿されるように選択された、加水分解に適したpHで添加する。pHは通常、塩基または酸を同時に計量しながら添加することによって一定に保たれる。顔料を引き続き、分離し、洗浄し、好ましくは50〜350℃、特に80〜150℃で乾燥し、任意でか焼するが、か焼温度は各々の場合に存在する被覆剤に関して最適化され得る。一般に、か焼温度は250℃と1100℃との間、好ましくは350℃と900℃との間である。所望ならば、顔料を、個々の被覆剤の塗布後に分離し、洗浄し、任意でか焼し、次いでさらなる層の沈殿のために再懸濁することができる。
【0047】
さらに、被覆は、流動層式反応装置中で気相被覆によって行うこともでき、ここでは、例えば、真珠光沢のある顔料の調製用にEP0045851およびEP0106235で提案されている方法を対応して用いることができる。着色層がFeまたは他の還元された酸化物型を含む場合、還元段階、例えば、還元雰囲気中でのか焼が、最終工程段階として必要となり得る。
【0048】
最終SiO層の塗布に関しては、好ましくはDE19618569に記載されている方法が使用される。SiO層の製造に関しては、好ましくはナトリウムまたはカリウムの水ガラス溶液が使用される。
【0049】
硫酸バリウムの沈殿の場合、バリウム塩、例えば塩化バリウム、および硫酸塩、例えば硫酸ナトリウムの溶液が同時に量り入れられる。両方法において、溶液中に酸化物または硫酸塩の核が形成され、凝集体として球状粒子の表面に沈殿する。
【0050】
所望の量の層材料が沈殿したら、反応を中断し、後処理に適したpH、例えばpH5に調整する。
【0051】
後処理のため、被覆された球状粒子を濾過し、水で洗浄し、好ましくは50〜350℃の温度で1〜20時間乾燥し、任意で350〜1100℃の温度で0.1〜2時間か焼する。最後に、顔料をふるいにかける。
【0052】
本発明による顔料の色相および隠蔽力は、被覆材料の選択、およびそこから結果として生じる被覆率または層厚によって幅広い範囲内で変え得る。一定の色相のための良い調整は、量の純粋な選択を越えて、視覚的または測定技術の制御の下で所望の色に近づくことにより達成し得る。
【0053】
レーキでの被覆の場合、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、またはこれら2つの混合物のマトリクスが、一般的に最初に塗布される。これは、例えば、DE2429762およびEP1595921に記載されている方法により、ケイ酸塩またはアルミン酸塩溶液を加水分解することによって行われる。第2段階では、例えば、EP1595921に記載されているように、溶解した形態のレーキの有機成分が、例えばカルシウム、アルミニウムまたはバリウム等の適当なカチオンの存在下でマトリクス上に吸収される。
【0054】
ベルリンブルーの場合、酸化剤の存在下で、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム溶液および硫酸鉄(II)溶液を水性顔料懸濁液に添加する。鉄(III)溶液、例えば、塩化鉄(III)を使用する場合、酸化剤の添加は不必要である。ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの代替物として、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを使用することも可能であるが、この場合、鉄(II)化合物、例えば、硫酸鉄(II)溶液が添加されなければならない。ベルリンブルー沈殿を行うための対応する方法は、例えば、DE2313332、EP1595921、EP1254928およびEP0659843に記載されている。
【0055】
光、水および天候安定性を高めるために、用途領域に応じて、完成顔料または完成フィラーを後被覆または後処理に供することがしばしば推奨される。適当な後被覆または後処理方法は、例えば、ドイツ特許第2215191号、DE−A3151354、DE−A3235017またはDE−A3334598に記載されている方法である。この最終SiO層への後被覆は、化学的および光化学的安定性をさらに増加させる、または吸収顔料の取り扱い、特に種々の媒体への取り込みをより容易にする。濡れ性、分散性および/または塗布媒体との適合性を向上させるために、AlもしくはZrOまたはこれらの混合物を含む機能性被覆剤が顔料表面に形成され得る。さらに、例えば、EP0090259、EP0634459、WO99/57204、WO96/32446、WO99/57204、US5759255、US5571851、WO01/92425またはJ.J.Ponjee、Philips Technical Review、44巻、3号、81ff.およびP.H.Harding J.C.Berg、J.Adhesion Sci.Technol.11巻4号、471〜493ページに記載されているシランによる有機性の後被覆が可能である。
【0056】
本発明による顔料は、好ましくは塗料、被覆剤および印刷用インクの領域の多数の表色系に適合する。多数の結合剤、特に、例えばBASF、Marabu、Proll、Sericol、Hartmann、Gebr.Schmidt、Sicpa、Aarberg、Siegberg、GSB−Wahl、Follmann、RucoまたはCoates Screen INKS GmbHによって販売されている水溶性の製品が、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷またはオフセットオーバープリントワニス用の印刷用インクの調製に適している。印刷用インクは、水系または溶剤系であり得る。さらに、顔料は、紙およびプラスチック類のレーザーマーキング、ならびに農業分野における適用、例えば温室用シート、および例えば、防水シートの着色にも適している。
【0057】
本発明は、特に高い色純度および並外れた高隠蔽力の顔料の調製を可能にする。それゆえ、種々の塗布媒体、例えばマニキュア、口紅、コンパクトパウダー、ジェル、ローション、石鹸、練り歯磨きなどの化粧用配合物、塗料、工業用被覆剤および粉末被覆剤、ならびにプラスチック類およびセラミックにおいて、本発明による顔料により特に有効な効果が達成され得る。
【0058】
優れた皮膚感触および非常に優れた皮膚粘着性のために、本発明による顔料は、装飾用化粧品におけるフィラーとして特に適しているが、例えば、ボディローション、エマルジョン、石鹸、シャンプーなどのパーソナルケア用途にも適している。
【0059】
本発明による顔料は、高い比表面積を有する。その結果として、本発明による顔料は、液体吸収性の特性が望まれる化粧品、例えば、消臭剤およびつや消しクリームなどにおける使用に特に適している。
【0060】
本発明による顔料がまた、例えば、
− 例えば鉄フレークまたはアルミニウムフレークに基づく金属効果顔料、
− 金属酸化物で被覆された、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、ガラスフレーク、Alフレーク、FeフレークまたはSiOフレークに基づく真珠光沢顔料、
− 金属酸化物で被覆された、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、ガラスフレーク、Alフレーク、FeフレークまたはSiOフレークに基づく干渉顔料、
− ゴニオクロマチック顔料(goniochromatic pigment)、
− 金属酸化物で被覆された、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、ガラスフレーク、Alフレーク、FeフレークまたはSiOフレークに基づく多層顔料(好ましくは2、3、4、5、または7層を含む)、
− 有機染料、
− 有機顔料、
− 例えば、透明および不透明の白色、有色、ならびに黒色顔料などの無機顔料、
− フレーク状酸化鉄、
− ホログラフィック顔料、
− LCPs(液晶ポリマー)、
− カーボンブラック、
との混合物として、種々の用途に有利に使用され得ることは言うまでもない。
【0061】
本発明による顔料は、市販の顔料および/またはさらに市販のフィラーと任意の比率で混合され得る。
【0062】
言及され得る市販のフィラーには、例えば、天然および合成の雲母、ナイロン粉末、純粋なまたは充填剤入りのメラミン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウムの酸化物または水酸化物、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、窒化ホウ素、ならびにこれらの物質の物理的または化学的組み合わせがある。フィラーの粒子形状については、制限はない。粒子形状は、要求に応じて、例えば、フレーク形状、球状または針状とすることができる。
【0063】
本発明による顔料は、当然、配合物中で任意の種類の化粧用原材料および補助剤と結合させることもできる。これらには、特に、油、脂肪、ワックス、フィルム形成剤、防腐剤、ならびに例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化ケイ素、ケイ酸Ca、ゼラチン、高分子量炭水化物などの増粘剤およびレオロジー添加剤(rheological additives)、および/または表面活性補助剤などの一般的に塗布特性を決定する補助剤が含まれる。
【0064】
本発明による顔料を含む配合物は、親油性、親水性、または疎水性の型に属することができる。分離した水相および非水相を備える不均一性配合物の場合、本発明による顔料は、各々の場合で、2つの相の1つの相にのみ、あるいは両相にわたって分配されて存在してよい。
【0065】
配合物のpH値は、1と14との間、好ましくは2と11との間、そして特に好ましくは5と8との間であることができる。
【0066】
配合物中の本発明による顔料の濃度に制限はない。濃度は、用途に応じて、0.001%(洗い流す製品、例えば、シャワージェル)と60%との間であることができる。さらに、本発明による顔料は、化粧用活性化合物と結合させてもよい。適当な活性化合物は、例えば虫忌避剤、UV A/BC保護フィルター(例えば、OMC、B3、MBC)、抗老化活性化合物、ビタミンおよびその誘導体(例えば、ビタミンA、C、Eなど)、セルフタンニング剤(self−tannning agent)(例えば、特に、DHA、エリトルロース)、ならびに、例えばビサボロール、LPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、ビオフラボノイドおよびこれらの誘導体などのさらなる化粧用活性化合物である。
【0067】
同様に、本発明は配合物、特に、本発明による顔料に加えて、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化剤、制汗剤、消泡剤、抗ふけ活性化合物、帯電防止剤、結合剤、生物学的添加剤、漂白剤、キレート剤、防臭剤、皮膚軟化剤、乳化剤、エマルジョン安定化剤、染料、湿潤剤、フィルム形成剤、フィラー、芳香剤、フレーバー、虫忌避剤、防腐剤、防錆剤、化粧用油、溶剤、酸化剤、植物性成分、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、噴霧ガス、乳白剤、UVフィルターおよびUV吸収剤、変性剤、粘度調整剤、香料ならびにビタミンから成る群から選択される少なくとも1つの成分を含む化粧用配合物に関する。
【0068】
本発明は、本発明による顔料の、塗料、被覆剤、印刷用インク、機密印刷用インク、プラスチック類、セラミック材料、ガラス類における使用、トレーサーとしての使用、化粧用配合物における使用、ならびに顔料調製物および乾燥調製物を調製するための使用にも関する。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明することを目的とするが、本発明を限定しない。
【0070】
<実施例1>
二酸化チタンおよび二酸化ケイ素で被覆されたセラミック微小球
球状シリカ−アルミナセラミック球(Zeeospheres W−210、1〜12μm、製造者3M)250gを、脱イオン水1.8lに懸濁し、激しく攪拌しながら75℃に加熱する。395gの量のTiCl溶液(30%)をpH2.2で3.3ml/分の速度でこの混合液中へ量り入れ、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを一定に保つ。次いで、水酸化ナトリウム溶液(32%)を用いてpHを8.0に調整し、ナトリウム水ガラス溶液(13%のSiO、Merck KGaA)383gをこのpHで1.7ml/分の速度で量り入れる。pHを塩酸(18%)によって一定に保つ。
【0071】
後処理のために、顔料を濾過し、脱イオン水15lで洗浄し、110℃で16時間乾燥して、32μmのメッシュ幅を有するふるいでふるいにかける。
【0072】
化粧用配合物、例えばコンパクトパウダー、口紅、ならびに純白色のエマルジョンおよびクリーム用のフィラーとして極めて適した、非常に柔らかな皮膚感触を有する純白色粉末が得られる。
【0073】
<実施例2>
二酸化チタンおよび二酸化ケイ素で被覆されたケイ酸マグネシウム球
球状ケイ酸マグネシウム(Cosmetic Microspheres CM−111、1〜12μm、製造者3M)250gを、脱イオン水1.8lに懸濁し、激しく攪拌しながら75℃に加熱する。395gの量のTiCl溶液(30%)をpH2.2で3.3ml/分の速度でこの混合液中へ量り入れ、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを一定に保つ。次いで、水酸化ナトリウム溶液(32%)を用いてpHを8.0に調整し、ナトリウム水ガラス溶液(13%のSiO、Merck KGaA)383gをこのpHで1.7ml/分の速度で量り入れる。pHを塩酸(18%)によって一定に保つ。
【0074】
後処理のために、顔料を濾過し、脱イオン水15lで洗浄し、110℃で16時間乾燥して、32μmのメッシュ幅を有するふるいでふるいにかける。
【0075】
化粧用配合物、例えばコンパクトパウダーおよび口紅用のフィラーとして極めて適した、柔らかな皮膚感触を有する白色粉末が得られる。
【0076】
<実施例3>
硫酸バリウムおよび二酸化ケイ素で被覆されたケイ酸マグネシウム球
球状ケイ酸マグネシウム(Cosmetic Microspheres CM−111、1〜12μm、製造者3M)200gを、脱イオン水1.8lに懸濁し、激しく攪拌しながら75℃に加熱する。BaCl×2HO20.9gをこの混合液に添加し、次いでこれをさらに15分間攪拌する。引き続いて、硫酸ナトリウム溶液(w(NaSO)=10%)250gを約80分にわたって量り入れる。次いで、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを8.0に調整し、ナトリウム水ガラス溶液(SiO約27重量%、Merck KGaA)118mlの脱イオン水159ml中溶液をこのpHで1.7ml/分の速度で添加する。pHを塩酸(18%)によって一定に保つ。
【0077】
後処理のために、顔料を濾過し、脱イオン水15lで洗浄し、110℃で16時間乾燥して、32μmのメッシュ幅を有するふるいでふるいにかける。
【0078】
化粧用配合物、例えばコンパクトパウダーおよび口紅用のフィラーとして極めて適した、優れた皮膚感触を有する白色粉末が得られる。
【0079】
<実施例4>
硫酸バリウムおよび二酸化ケイ素で被覆されたセラミック微小球
微小球(Zeeospheres W−210、1〜12μm、製造者3M)200gを、脱イオン水1.8lに懸濁し、激しく攪拌しながら75℃に加熱する。BaCl×2HO10.5gをこの混合液に添加し、次いでこれをさらに15分間攪拌する。引き続いて、硫酸ナトリウム溶液(w(NaSO)=10%)125gを約40分にわたって量り入れる。次いで、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを8.0に調整し、ナトリウム水ガラス溶液(SiO約27重量%、Merck KGaA)118mlの脱イオン水159ml中溶液をこのpHで1.7ml/分の速度で添加する。pHを塩酸(18%)によって一定に保つ。
【0080】
後処理のために、顔料を濾過し、脱イオン水15lで洗浄し、110℃で16時間乾燥して、32μmのメッシュ幅を有するふるいでふるいにかける。
【0081】
化粧用配合物、例えばコンパクトパウダー、口紅、ならびに純白色のエマルジョンおよびクリーム用のフィラーとして極めて適した、非常に柔らかな皮膚感触を有する純白色粉末が得られる。
【0082】
<実施例5>
二酸化チタンおよびカーマインレーキおよび二酸化ケイ素で被覆された微小球
球状シリカ−アルミナセラミック球(Zeeospheres W−210、1〜12μm、製造者3M)250gを、脱イオン水1.8lに懸濁し、激しく攪拌しながら75℃に加熱する。395gの量のTiCl溶液(30%)をpH2.2で3.3ml/分の速度でこの混合液中へ量り入れ、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを一定に保つ。
【0083】
15分の後攪拌(post−stirring)時間の後、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを7.5に調整し、ナトリウム水ガラス溶液(5%のSiO)100gを3.3ml/分の速度で量り入れる。塩酸(10%のHCl)によってpHを一定に保ち、添加が完了したら、混合液をさらに60分間攪拌する。引き続いて、塩酸(10%のHCl)によってpHを5.4に下げる。カーマイン4.0gの水酸化ナトリウム溶液(1.1%のNaOH)350ml中溶液、ならびにCaCl×2HO14.12gおよびAlCl×6HO3.53gの脱イオン水350ml中溶液を、各々の場合についてこのpHで、5.5ml/分の量り入れ速度で同時に量り入れる。この添加の間、塩酸(10%のHCl)によってpHを5.4の一定に保つ。次いで、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを8.0に調整し、ナトリウム水ガラス溶液(13%のSiO、Merck KGaA)383gをこのpHで1.7ml/分の速度で量り入れる。pHを塩酸(18%)によって一定に保つ。
【0084】
後処理のために、顔料を濾過し、脱イオン水15lで洗浄し、110℃で16時間乾燥して、32μmのメッシュ幅を有するふるいでふるいにかける。
【0085】
化粧用配合物、例えばコンパクトパウダー、口紅、ならびにエマルジョンおよびクリーム用のフィラーとして極めて適した、非常に柔らかな皮膚感触を有するカーマインレッド粉末が得られる。
【0086】
<実施例6>
二酸化チタンおよびベルリンブルーで被覆された微小球
球状シリカ−アルミナセラミック球(Zeeospheres W−210、1〜12μm、製造者3M)250gを、脱イオン水1.8lに懸濁し、激しく攪拌しながら75℃に加熱する。395gの量のTiCl溶液(30%)をpH2.2で3.3ml/分の速度でこの混合液中へ量り入れ、水酸化ナトリウム溶液(32%)によってpHを一定に保つ。15分の後攪拌時間の後、水酸化ナトリウム溶液によってpHを7.0に調整する。FeSO×7HO2.6g、硫酸(約97%)0.06gおよび脱イオン水65gから成る溶液を、このpHで約45分にわたって量り入れる。この添加の間、水酸化アンモニウム溶液(10%)によってpHを一定に保つ。引き続いて、K[Fe(CN)]×3HO3.64gの脱イオン水195g中溶液を、約70分にわたって量り入れ、この混合液をさらに30分間攪拌する。反応の間ずっと、空気(4〜6l/h)を懸濁液中に送り込む。反応溶液の添加が完了したら、混合液をさらに30分間攪拌する。
【0087】
顔料を吸引漏斗による吸引で濾過し、脱イオン水30lで洗浄し、100℃で12時間乾燥して、ふるいにかける(メッシュ幅100μm)。
【0088】
化粧用配合物、例えばコンパクトパウダー、口紅、ならびにエマルジョンおよびクリーム用の有色フィラーとして極めて適した、非常に柔らかな皮膚感触を有する青色粉末が得られる。
【0089】
使用例
<実施例A1>
アイシャドージェル
【0090】
【表1】
【0091】
調製
アロエベラ粉末をA相の水に溶解し、次いでCarbopolを除く全ての顔料および残りの成分を添加し、分散する。粘度を下げるために数滴のクエン酸を用いて酸性化し、次いで攪拌しながらCarbopolを散布して入れる。完全に溶解したら、前もって溶解させたB相中でゆっくり攪拌し(ホモジナイズしない)、引き続いて、C相を添加する。必要ならば、クエン酸溶液を用いてpHを7.0〜7.5の間に調整する。
【0092】
アロエベラを含む水系アイシャドージェル配合物が得られる(速乾性であり、指を使用しての塗布が容易である)。
【0093】
供給元
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Noveon
(3)Terry Laboratoires,Inc.
(4)BASF AG
(5)ISP Global Technologies
(6)Guardian
【0094】
<実施例A2>
クリーム状アイシャドー
【0095】
【表2】
【0096】
調製
攪拌しながら、全てが融解するまでB相を約80℃に加熱し、65℃に冷却する。次いで、攪拌しながらA相の成分を添加し、65℃で組成物を供給容器に注ぐ。室温まで冷却させる。
【0097】
供給元
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Croda GmbH
(3)Sasol Germany GmbH
(4)ISP Global Technologies
【0098】
<実施例A3>
フェースパウダー
【0099】
【表3】
【0100】
調製
A相の成分をミキサー(例えば、MoulinexのLa Moulinette)へ添加し、2×10秒混合する。混合物をビーカーの中へ移し、B相を添加し、スパチュラを用いて予め攪拌する。再び、A相およびB相の混合物をミキサーへ添加し、3×10秒処理して、均一相を得る。
【0101】
36mmの直径を有する粉末トレーへのプレス圧力は、約25バールである。
【0102】
供給元
(1)Les Colorants Wackherr
(2)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(3)Fragrance Resources
(4)Cognis GmbH
【0103】
<実施例A4>
つや消しファンデーション
【0104】
【表4】
【0105】
調製
KeltrolをA相の水にゆっくり添加し、分散する。攪拌しながらA相の残りの成分を散布して入れる。B相の成分をA相に添加し、Ultra−Turrax T25(赤−青設定、13500〜20500rpm)を用いて3分間ホモジナイズし、凝集体を調べる。A/B相およびC相を別々に75℃に加熱する。攪拌しながらC相をA/B相に添加し、Ultra−Turrax T25(黄−緑設定、8000〜9500rpm)を用いて2分間ホモジナイズする。55℃と60℃との間でD相を添加し、40℃でE相を添加し、さらに攪拌しながら室温まで冷却して、30%クエン酸を用いてpHを7.0に調整する。次いで、適当な容器の中へ移す。全ての皮膚のタイプに適した、明るい、わずかに不透明なファンデーションが得られる。アボガド油、酢酸ビタミンEおよび細胞を保護するRonaCare(登録商標)エクトインがスキンケア作用を支える。
【0106】
供給元
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)C.P.Kelco
(3)BASF AG
(4)Kronos International Inc.
(5)Les Colorants Wackherr
(6)Sasol Germany GmbH
(7)Cognis GmbH
(8)Seppic
(9)Gustav Heess GmbH
(10)Symrise
(11)Elementis Specialities
(12)Clariant GmbH
【0107】
<実施例A5>
ボディローション
【0108】
【表5】
【0109】
調製
攪拌しながら、アロエベラおよびRonaCare(登録商標)アラントインをA相の水に予め溶解し、次いでA相の他の成分を添加し、60℃に加熱する。ホホバ油、Oxynex K液体、Cosmacol EMI、Eutanol GおよびTegosoft TNを攪拌した容器の中へ導入し、次いでディスパーサーディスク(約700rpm、20分)を用いてcarbopolを均一に取り込む。次いで、B相の残りの成分を添加し、全てを攪拌して均一な混合物を得て、空気の過剰な取り込みを防ぐために、B相のちょうど終わりでProtelan AGL95/Cを添加する。ディスパーサーディスクを用いて、60℃でA相をB相(RT)中でゆっくり乳化する。C相およびD相を添加し、次いでUltra−Turrax T50、速度4を用いて、4分間ホモジナイズする。室温に冷却する。
pH(23℃)=5.5〜6.0
粘度:Brookfield DVII+Helipath、スピンドルC、5rpm、24℃=11200mPas
【0110】
供給元
(1)Terry Laboratoires
(2)Alfa Aesar GmbH&Co.KG
(3)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(4)Zschimmer&Schwarz GmbH&Co.
(5)Nordmann,Rassmann GmbH&Co.
(6)Cognis GmbH
(7)Gustav Heess GmbH
(8)Evonik Goldschmidt GmbH
(9)Noveon
(10)Clariant GmbH
(11)BASF AG
(12)Parfex
(13)ISP Global Technologies