(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図1(a)は断面図、
図1(b)は中継基板のみを例示する平面図である。
図1を参照するに、半導体装置1は、支持体10と、接着層15と、半導体チップ20と、接着層25と、中継基板30と、接着層35と、半導体チップ40と、ボンディングワイヤ51〜53とを有する。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、半導体チップ40側を上側又は一方の側、支持体10側を下側又は他方の側とする。又、各部位の半導体チップ40側の面を上面又は一方の面、支持体10側の面を下面又は他方の面とする。但し、半導体装置1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を支持体10の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を支持体10の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
支持体10は、基体11と、基体11の一方の面に形成された配線12とを有する。基体11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板を用いることができる。基体11として、例えば、ポリイミド樹脂を用いたフレキシブル基板や銅(Cu)等からなるリードフレーム等を用いてもよい。又、基体11は、ビルドアップ基板等の多層配線基板であってもよい。基体11の厚さは、例えば、0.4〜2mm程度とすることができる。
【0015】
配線12の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線12の厚さは、例えば、10〜50μm程度とすることができる。なお、配線12は、ボンディング用パッドやチップ実装用パッド等を含むものである。配線12において、ボンディングワイヤ51、52、及び53が接続される各ボンディング用パッドは互いに絶縁されており、ボンディングワイヤ51、52、及び53を介して対象部位に異なる電圧(接地電位や電源電位、各種信号を含む)を印加可能である。基体11の一方の面に、配線12を選択的に露出する開口部を備えたソルダーレジスト層を設けてもよい。
【0016】
半導体チップ20は、支持体10上にフェイスアップ状態で積層されている。より詳しくは、半導体チップ20は、配線12のチップ実装用パッド上に接着層15を介して接着されている。半導体チップ20は、半導体集積回路が形成された半導体基板21と、半導体基板21の一方の面に形成されたパッド22とを有する。半導体基板21としては、例えば、シリコン基板等を用いることができる。なお、半導体チップ20は、本発明に係る第1半導体チップの代表的な一例である。
【0017】
パッド22の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。パッド22の厚さは、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。パッド22は、ボンディングワイヤ51を介して、配線12のボンディング用パッドに接続されている。ボンディングワイヤ51は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線である。
【0018】
接着層15は、例えば、エポキシ系の接着剤を硬化させたものである。接着層15は導電性であっても非導電性であってもよいが、半導体チップ20の裏面(非回路形成面)に配線12を介して所定の電圧(接地電位や電源電位)を印加する必要がある場合には、導電性であることを要する。
【0019】
中継基板30は、半導体チップ20上に積層されている。より詳しくは、中継基板30は、半導体チップ20の回路形成面上に接着層25を介して接着されている。中継基板30は、基体31と、基体31の一方の面に形成された導電部32と、導電部32と電気的に接続された突起電極33とを備えている。基体31としては、例えば、シリコン基板等を用いることができる。基体31として、樹脂基板やガラス基板等を用いてもよい。基体31の厚さは、例えば、100〜500μm程度とすることができる。なお、基体31の厚さが100μm未満になると、ボンディングワイヤ52を打つことが困難となる。
【0020】
導電部32は、基体31の一方の面に積層された金属膜(導体層)である。金属膜の材料としては、例えば、金(Au)やアルミニウム(Al)等を用いることができる。導電部32の厚さは、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。導電部32は、基体31の一方の面の全面に形成してもよいし、突起電極33とボンディングワイヤ52とが電気的に接続されるように基体31の一方の面に選択的に形成(パターニング)してもよい。導電部32は、導電部32の外縁部にボンディングされたボンディングワイヤ52を介して、配線12のボンディング用パッドに接続されている。ボンディングワイヤ52は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線である。
【0021】
ボンディングワイヤ52は、導電部32の外縁部から略水平方向に伸び、その後支持体10の方向に湾曲している。これにより、ボンディングワイヤ52と半導体チップ40の裏面とが接触するおそれを低減できるため、半導体チップ40の平面形状を中継基板30の平面形状よりも大きくすることが可能となる。但し、半導体チップ40の平面形状を中継基板30の平面形状よりも小さくしてもよい。なお、ボンディングワイヤ52を
図1の形状にする方法については後述する。
【0022】
突起電極33は、導電部32の一方の面に半導体チップ40側に突起するように形成されている。突起電極33の個数(最低1個でよい)や配置は任意としてよいが、
図1(b)のように導電部32の一方の面の四隅に配置すると好適である。突起電極33としては、例えば、金バンプやはんだバンプ、銅ポスト等を用いることができる。突起電極33の高さは、例えば、20〜70μm程度とすることができる。又、突起電極33の形状は任意としてよいが、
図1(a)のように、突起電極33として径が太い部分と径が細い部分とを有するバンプを用いると好適である。
【0023】
なお、突起電極33を導電部32の一方の面の四隅に配することにより、以下の効果を奏する。すなわち、
図2に示すように、中継基板30が実装時に傾いてしまった場合に、突起電極33のつぶれ具合により中継基板30の傾きを吸収できると共に、つぶれた突起電極33が半導体チップ40を平行に保つ支えとなり得る。つまり、突起電極33は、半導体チップ40へ電圧印加する機能を有すると共に、半導体チップ40の平行を保つ機能を有し、ボンディングワイヤ53のワイヤボンディング性の向上や全体の高さの均一化にも寄与できる。
【0024】
より詳しく説明すると、突起電極33として径が太い部分と径が細い部分とを有するバンプを用いることにより、中継基板30が半導体チップ20への実装時に傾いた場合に、中継基板30の傾きを吸収できる。すなわち、中継基板30上に半導体チップ40を接続する際に、中継基板30と半導体チップ40との距離が近い部分では、突起電極33の径が細い部分が潰れて距離を短くすることができる。
【0025】
又、突起電極33の径が太い部分は変形し難いため、径が太い部分の高さ以上には潰れ難く、ワイヤボンディング接続に必要な高さを確保できる。一方、中継基板30と半導体チップ40との距離が遠い部分では、突起電極33の径が細い部分を残したまま半導体チップ40と接続することになる。よって、中継基板30が実装時に傾いた場合でも、半導体チップ20と半導体チップ40との平行を保ったまま信頼性高く接続できる。
【0026】
接着層25は、例えば、エポキシ系の接着剤を硬化させたものである。接着層25は、半導体基板21と導電部32とが基体31を介して導通することを避けるため、非導電性の接着層とされている。
【0027】
半導体チップ40は、中継基板30上に接着層35を介してフェイスアップ状態で接着されている。半導体チップ40は、半導体集積回路が形成された半導体基板41と、半導体基板41の一方の面に形成されたパッド42とを有する。半導体基板41としては、例えば、シリコン基板等を用いることができる。なお、半導体チップ40は、本発明に係る第2半導体チップの代表的な一例である。
【0028】
パッド42の材料としては、例えば、金(Au)等を用いることができる。パッド42の厚さは、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。パッド42は、ボンディングワイヤ53を介して、配線12のボンディング用パッドに接続されている。ボンディングワイヤ53は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線である。
【0029】
突起電極33は接着層35を貫通しており、突起電極33の上端面が半導体チップ40の裏面(非回路形成面)と接して両者は電気的に接続されている。つまり、半導体チップ40の裏面には、ボンディングワイヤ52、導電部32、及び突起電極33を介して、支持体10の配線12から所定の電圧(接地電位や電源電位)を印加可能である。半導体チップ40の裏面を所定の電位に固定することにより、半導体チップ40の電気的特性を向上できる。なお、裏面を所定の電位に固定する対象となる半導体チップは、所謂アナログチップ(主としてアナログ回路を形成したチップ)である。
【0030】
接着層35は、例えば、エポキシ系の接着剤を硬化させたものである。接着層35は非導電性の接着層である。接着層35として導電性の接着層を用いても電気的な動作に支障はないが、導電性の接着剤は非導電性の接着剤よりも密着力が低いため、本実施の形態では、接着層35を非導電性の接着剤を硬化させた非導電性の接着層としている。なお、接着層35は、本発明に係る非導電性接着層の代表的な一例である。
【0031】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
図3及び
図4は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。まず、
図3に示す工程では中継基板30を作製する。具体的には、
図3(a)に示すように、最終的に個片化されて基体31となるシリコンウェハ310を準備する。但し、シリコンウェハに代えて、樹脂基板やガラス基板等を準備してもよい。シリコンウェハ310は薄型化されてなく、その厚さは、例えば600〜800μm程度とすることができる。なお、Cはシリコンウェハ310等を切断する位置(以降、切断位置Cとする)を示している。シリコンウェハ310は、切断位置Cにより、
図1(b)に示すような中継基板30となる矩形状の複数の領域に区分されている。
【0032】
次に、シリコンウェハ310の一方の面に、最終的に個片化されて導電部32となる金属膜320をスパッタ法等により形成する。金属膜320の材料としては、例えば、金(Au)やアルミニウム(Al)等を用いることができる。金属膜320の厚さは、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。金属膜320は、シリコンウェハ310の一方の面の全面に形成してもよいし、後工程で突起電極33とボンディングワイヤ52とが電気的に接続されるようにシリコンウェハ310の一方の面に選択的に形成(パターニング)してもよい。
【0033】
次に、
図3(b)に示すように、バックサイドグラインダ等を用いて、シリコンウェハ310を他方の面側から研削して薄型化する。薄型化後のシリコンウェハ310の厚さは、例えば、100〜500μm程度とすることができる。
【0034】
次に、
図3(c)に示すように、例えば、金属膜320の一方の面の切断位置Cにより区分された各領域の四隅に、突起電極33を形成する。突起電極33としては、例えば、金バンプやはんだバンプ、銅ポスト等を用いることができるが、突起電極33として金バンプを用いる場合には、ワイヤボンダを使用して金属膜320の一方の面に形成できる。なお、突起電極33は後述の
図4(c)に示す工程で押圧されるため、この時点では最終的な高さ(
図4(c)に示す工程後の高さ)よりも高く形成しておくことが好ましい。
【0035】
次に、
図3(d)に示すように、突起電極33及び金属膜320が形成されたシリコンウェハ310を、例えば、ダイシング等により切断位置Cで切断して個片化する。これにより、シリコンウェハ310及び金属膜320から基体31及び導電部32が形成され、複数の中継基板30が完成する。
【0036】
次に、
図4(a)に示す工程では、基体11及び配線12を有する支持体10を準備する。基体11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板を用いることができる。基体11として、例えば、ポリイミド樹脂を用いたフレキシブル基板や銅(Cu)等からなるリードフレーム等を用いてもよい。又、基体11は、ビルドアップ基板等の多層配線基板であってもよい。基体11の厚さは、例えば、0.4〜2mm程度とすることができる。
【0037】
次に、支持体10の配線12のチップ実装用パッド上に、接着層15を介して、半導体基板21及びパッド22を有する半導体チップ20をフェイスアップ状態で積層する。接着層15は、例えば、エポキシ系の接着剤を硬化させたものである。接着層15は導電性であっても非導電性であってもよいが、半導体チップ20の裏面(非回路形成面)に配線12を介して所定の電圧(接地電位や電源電位)を印加する必要がある場合には、導電性であることを要する。
【0038】
次に、例えば、ワイヤボンダを用いて、半導体チップ20のパッド22と配線12のボンディング用パッドとをボンディングワイヤ51を介して接続する。ボンディングワイヤ51としては、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線を用いることができる。
【0039】
次に、
図4(b)に示す工程では、
図3に示す工程で作製した中継基板30を、半導体チップ20の回路形成面上に接着層25を介して接着する。接着層25は、例えば、エポキシ系の接着剤を硬化させたものである。接着層25は、半導体基板21と導電部32とが基体31を介して導通することを避けるため、非導電性の接着層とされている。
【0040】
次に、例えば、ワイヤボンダを用いて、導電部32と配線12のボンディング用パッドとをボンディングワイヤ52を介して接続する。ボンディングワイヤ52としては、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線を用いることができる。
【0041】
なお、ボンディングワイヤ52は、導電部32の外縁部から略水平方向に伸び、その後支持体10の方向に湾曲している。これにより、ボンディングワイヤ52と半導体チップ40の裏面とが接触するおそれを低減できるため、半導体チップ40の平面形状を中継基板30の平面形状よりも大きくすることが可能となる。ボンディングワイヤ52を
図4(b)の形状にするには、配線12側からワイヤボンディングを行えばよい。
【0042】
すなわち、ボンディングワイヤの先端部に形成されたボンディングボールを配線12の上面に接触させ、キャピラリにより所定の荷重をかけながら超音波を印加する。これにより、配線12の上面にボンディングワイヤ52の一端が形成される。次に、導電部32の上面と略同一高さとなるまでキャピラリを上昇させ、キャピラリを導電部32の外縁部近傍に水平移動させる。そして、導電部32の外縁部にボンディングワイヤ52の他端となる部分を接合し、不要部を切断する。なお、このような方法をリバースボンディングと称する場合がある。半導体チップ40の平面形状が中継基板30の平面形状よりも小さい場合には、リバースボンディングを行わなくてもよい。
【0043】
次に、中継基板30上に、突起電極33を覆うように、硬化すると接着層35となるエポキシ系の熱硬化性接着剤等を塗布する。なお、この工程では、接着剤は未硬化である。
【0044】
次に、
図4(c)に示す工程では中継基板30上に、例えば、エポキシ系の熱硬化性接着剤等を介して、半導体基板41及びパッド42を有する半導体チップ40をフェイスアップ状態で積層する。そして、エポキシ系の熱硬化性接着剤等を加熱しながら、半導体チップ40を中継基板30側に押圧し、エポキシ系の熱硬化性接着剤等を硬化させて接着層35を形成する。半導体チップ40を中継基板30側に押圧することにより突起電極33の先端部がつぶれ、突起電極33の上端面が半導体チップ40の裏面(非回路形成面)と接して両者は電気的に接続される。
【0045】
なお、接着層35は非導電性の接着層である。接着層35として導電性の接着層を用いても電気的な動作に支障はないが、導電性の接着剤は非導電性の接着剤よりも密着力が低いため、本実施の形態では、接着層35を非導電性の接着剤を硬化させた非導電性の接着層としている。
【0046】
図4(c)に示す工程の後、例えば、ワイヤボンダを用いて、半導体チップ40のパッド42と配線12のボンディング用パッドとをボンディングワイヤ53を介して接続することにより、半導体装置1(
図1参照)が完成する。ボンディングワイヤ53としては、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線を用いることができる。
【0047】
このように、第1の実施の形態に係る半導体装置1では、接着層35として、導電性の接着剤を用いることなく非導電性の接着剤を用いることが可能となるため、電気的な損失を低減できると共に、接着する対象物に対して十分な密着力を確保できる。
【0048】
すなわち、第1の実施の形態に係る半導体装置1では、半導体チップ40の裏面への電圧の印加に導電部32に接続された突起電極33を用いている。そのため、従来の半導体装置のように電気伝導率の低い導電性の接着層を用いる必要がなく、効果的に半導体チップ40の裏面へ電圧を印加可能となり、電気的な損失を低減できる。
【0049】
又、第1の実施の形態に係る半導体装置1において、導電部32を基体31の面全体に形成した場合には、ワイヤボンディング接続の際、導電部32の任意の位置にボンディングワイヤを打つことが可能となり、ワイヤボンディング接続の自由度を向上できる。なお、従来の半導体装置では、予め所定位置に形成したパッド上にしかボンディングワイヤを打つことができない。
【0050】
又、突起電極33として径が太い部分と径が細い部分とを有するバンプを用いることにより、中継基板30が半導体チップ20への実装時に傾いた場合に、中継基板30の傾きを吸収できる。すなわち、中継基板30上に半導体チップ40を接続する際に、中継基板30と半導体チップ40との距離が近い部分では、突起電極33の径が細い部分が潰れて距離を短くすることができる。又、突起電極33の径が太い部分は変形し難いため、径が太い部分の高さ以上には潰れ難く、ワイヤボンディング接続に必要な高さを確保できる。一方、中継基板30と半導体チップ40との距離が遠い部分では、突起電極33の径が細い部分を残したまま半導体チップ40と接続することになる。よって、中継基板30が実装時に傾いた場合でも、半導体チップ20と半導体チップ40との平行を保ったまま信頼性高く接続できる。
【0051】
又、従来の半導体装置では、接着層を介して半導体チップの裏面に所定の電圧を印加していたため、高価な導電性の接着層を用いることが必須要件であった。これに対して、本実施の形態では、半導体チップ40の裏面が突起電極33の上端面と接しており、突起電極33を介して半導体チップ40の裏面に所定の電圧を印加可能であるため、接着層35を導電性とする必要はない。その結果、接着層35として、高価な導電性の接着剤を用いることなく安価な非導電性の接着剤を用いることが可能となり、半導体装置1の低コスト化に寄与できる。
【0052】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態とは異なる中継基板を用いる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0053】
図5は、第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置を例示する断面図である。
図5を参照するに、第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置1Aは、中継基板30が中継基板30Aに置換された点が第1の実施の形態に係る半導体装置1(
図1参照)と相違する。
【0054】
中継基板30Aは、半導体チップ20の回路形成面上に接着層25を介して接着されている。中継基板30Aは、金属板31Aと、金属板31Aと電気的に接続された突起電極33とを備えている。金属板31Aとしては、例えば、アルミ板や銅板等を用いることができる。金属板31Aの厚さは、例えば、100〜500μm程度とすることができる。金属板31Aの表面にめっき処理等を施しても構わない。なお、金属板31Aは、本発明に係る導電部の代表的な一例である。
【0055】
中継基板は、半導体チップ40の裏面に印加する電圧を中継する機能を実現できればよい。そのため、中継基板30(
図1参照)のように絶縁体や半導体である基体31上に導電部32を形成して導電部32に突起電極33を設ける構成でもよいし、中継基板30Aのように金属板31A(導電部)に直接突起電極33を設ける構成でもよい。この場合も、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0056】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、半導体チップ40の裏面に印加するのと同一の電圧を半導体チップ20の裏面にも印加する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0057】
図6は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図6を参照するに、第2の実施の形態に係る半導体装置1Bは、半導体チップ20が支持体10上にフリップチップ実装された点が第1の実施の形態に係る半導体装置1(
図1参照)と相違する。又、半導体装置1Bは、接着層25及び中継基板30が接着層25B及び中継基板30Bに置換された点が第1の実施の形態に係る半導体装置1(
図1参照)と相違する。
【0058】
半導体チップ20は、支持体10上にフェイスダウン状態で積層されており、半導体チップ20のパッド22は、配線12のチップ実装用パッドとバンプ60を介して電気的に接続されている。バンプ60としては、例えば、はんだバンプ等を用いることができる。半導体チップ20と支持体10の互いに対向する面の間には、バンプ60を被覆するアンダーフィル樹脂70が充填されている。
【0059】
中継基板30Bは、基体31と、導電部32と、突起電極33と、基体31の他方の面に形成された導電部32Bと、導電部32Bと電気的に接続された突起電極33Bと、貫通電極34とを有する。導電部32と導電部32Bとは、貫通電極34を介して電気的に接続されている。その結果、突起電極33と突起電極33Bとは電気的に接続されている。導電部32B及び突起電極33Bの材料や形状等は、例えば、導電部32及び突起電極33と同様とすることができる。貫通電極34の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0060】
中継基板30Bは、導電部32B及び突起電極33Bを半導体チップ20の裏面側に向けて、接着層25Bを介して、半導体チップ20上に積層されている。接着層25Bは、例えば、エポキシ系の接着剤を硬化させたものである。接着層25Bは非導電性の接着層である。接着層25Bとして導電性の接着層を用いても電気的な動作に支障はないが、導電性の接着剤は非導電性の接着剤よりも密着力が低いため、本実施の形態では、接着層25Bを非導電性の接着剤を硬化させた非導電性の接着層としている。なお、接着層25Bは、本発明に係る第2非導電性接着層の代表的な一例である。
【0061】
突起電極33Bは接着層25Bを貫通しており、突起電極33Bの下端面が半導体チップ20の裏面(非回路形成面)と接して両者は電気的に接続されている。つまり、半導体チップ20の裏面には、ボンディングワイヤ52、導電部32、貫通電極34、導電部32B、及び突起電極33Bを介して、支持体10の配線12から所定の電圧を印加可能である。すなわち、半導体チップ40の裏面に印加するのと同一の電圧を半導体チップ20の裏面にも印加できる。なお、突起電極33Bは、本発明に係る第2突起電極の代表的な一例である。
【0062】
本実施の形態では、半導体チップ40の裏面が突起電極33の上端面と接しており、突起電極33を介して半導体チップ40の裏面に所定の電圧を印加可能である。又、半導体チップ20の裏面が突起電極33Bの下端面と接しており、突起電極33Bを介して半導体チップ20の裏面に所定の電圧を印加可能である。そのため、接着層35及び25Bを導電性とする必要はない。
【0063】
このように、本実施の形態では、接着層35及び25Bとして、導電性の接着剤を用いることなく非導電性の接着剤を用いることが可能となるため、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0064】
なお、導電部32、貫通電極34、及び導電部32Bに代えて1枚の金属板を用い、金属板の上面に突起電極33を設け、金属板の下面に突起電極33Bを設けてもよい。
【0065】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、半導体チップ40の裏面に印加するのと異なる電圧を半導体チップ20の裏面に印加する例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0066】
図7は、第3の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図7を参照するに、第3の実施の形態に係る半導体装置1Cは、中継基板30A及び30Cの2つの中継基板を用いる点が第2の実施の形態に係る半導体装置1B(
図6参照)と相違する。
【0067】
中継基板30Cは、半導体チップ20と中継基板30Aとの間に配置され、接着層25Bを介して半導体チップ20上に積層されている。中継基板30Cは、金属板31Cと、金属板31Cと電気的に接続された突起電極33Cとを備えている。金属板31Cと突起電極33Cの材料や形状等は、例えば、金属板31Aと突起電極33と同様とすることができる。つまり、中継基板30Cとして、中継基板30Aと同様のものを用いてもよい。なお、中継基板30Cは、本発明に係る第2中継基板の代表的な一例である。又、金属板31Cは本発明に係る第2導電部の、突起電極33Cは本発明に係る第2突起電極の代表的な一例である。
【0068】
中継基板30Cは、突起電極33Cを半導体チップ20の裏面側に向けて、接着層25Bを介して、半導体チップ20上に積層されている。中継基板30Aは、突起電極33を半導体チップ40の裏面側に向けて、接着層45を介して、中継基板30C上に積層されている。金属板31Cの接着層45側の面は、ボンディングワイヤ54を介して、配線12のボンディング用パッドに接続されている。ボンディングワイヤ54は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等からなる金属線である。
【0069】
半導体チップ40の裏面と半導体チップ20の裏面に異なる電圧を印加するためには、突起電極33と突起電極33Cとが導通しないようにする必要がある。つまり、金属板31Aと金属板31Cとを絶縁する必要がある。そのため、接着層45としては、非導電性の接着剤を硬化させた非導電性の接着層を用いている。
【0070】
半導体チップ40の裏面は、中継基板30Aの突起電極33の上端面と接しており、両者は導通している。つまり、半導体チップ40の裏面には、ボンディングワイヤ52、金属板31A、及び突起電極33を介して、支持体10の配線12から所定の電圧を印加可能である。又、半導体チップ20の裏面は、中継基板30Cの突起電極33Cの下端面と接しており、両者は導通している。つまり、半導体チップ20の裏面には、ボンディングワイヤ54、金属板31C、及び突起電極33Cを介して、支持体10の配線12から所定の電圧を印加可能である。
【0071】
ボンディングワイヤ52及び54が接続される各ボンディング用パッドは互いに絶縁されており、ボンディングワイヤ52及び54を介して対象部位に異なる電圧(接地電位や電源電位)を印加可能である。すなわち、半導体チップ40の裏面に印加するのと異なる電圧を半導体チップ20の裏面に印加できる。
【0072】
本実施の形態では、半導体チップ40の裏面が突起電極33の上端面と接しており、突起電極33を介して半導体チップ40の裏面に所定の電圧を印加可能である。又、半導体チップ20の裏面が突起電極33Cの下端面と接しており、突起電極33Cを介して半導体チップ20の裏面に所定の電圧を印加可能である。そのため、第2の実施の形態と同様に、接着層35及び25Bを導電性とする必要はない。
【0073】
このように、本実施の形態では、接着層35及び25Bとして、導電性の接着剤を用いることなく非導電性の接着剤を用いることが可能となるため、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0074】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。