(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記触媒の触媒活性材料が、水素による還元の前に、SnOとして計算して0.4〜4.0質量%の範囲内でスズの酸素含有化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記触媒の触媒活性材料が、水素による還元の前に、SnOとして計算して0.6〜3.0質量%の範囲内でスズの酸素含有化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記触媒の触媒活性材料が、水素による還元の前に、CoOとして計算して10〜30質量%の範囲内でコバルトの酸素含有化合物を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
前記触媒の触媒活性材料が、ケイ素の酸素含有化合物及び/又はジルコニウムの酸素含有化合物及び/又はチタンの酸素含有化合物を含有しないことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
前記式IIIの第1級アミンを、使用されたDEOAを基準として0.5〜15倍のモル量で使用することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
前記式IIIの第1級アミンを、使用されたDEOAを基準として5〜15倍のモル量で使用することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
アミノジグリコール(ADG)を、使用されたDEOAを基準として0.2〜2倍のモル量で使用することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は式I
【化1】
[式中、R
1は、C
1〜C
5−アルキル又は2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルを表す]のモノ−N−アルキル−ピペラジンの製造方法において、式II
【化2】
のジエタノールアミン(DEOA)を、式H
2N−R
1(III)の第1級アミンと、水素及び担持された金属含有触媒の存在下で反応させることによる、モノ−N−アルキル−ピペラジンの製造方法に関する。
【0002】
この方法生成物は、特に燃料添加剤(US 3,275,554 A; DE 21 25 039 A及びDE 36 11 230 A)、界面活性剤、医薬及び農薬の製造の際の中間生成物、エポキシ樹脂用の硬化剤、ポリウレタン用の触媒、第4級アンモニウム化合物、可塑剤、腐食防止剤、合成樹脂、イオン交換体、繊維助剤、着色剤、加硫促進剤及び/又は乳化剤の製造のための中間生成物として使用される。
【0003】
WO 03/051508 A1 (Huntsman Petrochemical Corp.)は、特別なCu/Ni/Zr/Sn含有の触媒(他の実施態様の場合にはZrの代わりにCrを含む(第4頁、10〜16行))の使用下で、アルコールをアミノ化する方法に関している。このWO出願に記載された触媒は、酸化アルミニウムを含まず、かつコバルトも含まない。
【0004】
WO 2008/006750 A1 (BASF AG)は、特定の、Pb、Bi、Sn、Sb及び/又はInがドープされた二酸化ジルコニウム、銅、ニッケル及びコバルト含有の触媒及び第1級又は第2級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンを水素及びアンモニア、第1級又は第2級アミンと反応させることによるアミンの製造方法におけるその使用に関する。酸化アルミニウム担体は教示されていない。
【0005】
WO 2009/080507 A1 (BASF SE)は、特定の、Sn及びCOがドープされた二酸化ジルコニウム、銅及びニッケル含有の触媒及び第1級又は第2級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンを水素及びアンモニア、第1級又は第2級アミンと反応させることによるアミンの製造方法におけるその使用に関する。酸化アルミニウム担体は教示されていない。
【0006】
WO 2009/080506 A1 (BASF SE)は、特定の、Pb、Bi、Sn、Mo、Sb及び/又はPがドープされた二酸化ジルコニウム、ニッケル及び鉄含有の触媒及び第1級又は第2級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンを水素及びアンモニア、第1級又は第2級アミンと反応させることによるアミンの製造方法におけるその使用を記載している。酸化アルミニウム担体は教示されていない。好ましくは、この触媒はCuを含有せずかつCoを含有しない。
【0007】
WO 2009/080508 A1 (BASF SE)は、特定の、Pb、Bi、Sn及び/又はSbがドープされた、二酸化ジルコニウム、銅、ニッケル、コバルト及び鉄含有の触媒及び第1級又は第2級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンを水素及びアンモニア、第1級又は第2級アミンと反応させることによるアミンの製造方法におけるその使用を教示している。酸化アルミニウム担体は教示されていない。
【0008】
WO 2011/067199 A1 (BASF SE)は、特定の、酸化アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト及びスズ含有の触媒及び第1級又は第2級アルコール、アルデヒド及び/又はケトンからのアミンの製造方法におけるその使用に関する。DEOA及びモノメチルアミンからN−メチル−ピペラジンの製造は、第25頁、20〜21行に一般的に述べられている。
【0009】
WO 2011/157710 A1 (BASF SE)は、1,4−アミノブタノール、1,5−アミノペンタノール、アミノジグリコール(ADG)もしくはアミノエチル−エタノールアミンの群からのアミノアルコールを、メタノールと、高めた温度で、銅含有の不均一系触媒の存在で液相中で反応させる、特定の環状の第3級メチルアミンの製造を記載している。
【0010】
WO 2012/049101 A1 (BASF SE)は、1,4−アミノブタノール、1,5−アミノペンタノール、アミノジグリコール(ADG)もしくはアミノエチル−エタノールアミンの群からのアミノアルコールを、特定の第1級又は第2級アルコールと、高めた温度で、銅含有の不均一系触媒の存在で液相中で反応させることによる、特定の環状の第3級アミンの製造方法に関している。
【0011】
CN 102 101 847 A (Zhangjiagang Tianyou New Material Techn. Co., Ltd.)は、アミノジグリコール(ADG)から中間生成物としてのN−メチル−ピペラジンを経由したN−メチル−N−(2−クロロエチル)−ピペラジンのための二段階の合成を記載している。
【0012】
CN 102 304 101 A (Shaoxing Xingxin Chem. Co., Ltd.)は、N−ヒドロキシエチル−1,2−エタンジアミンを第1級C
1-7−アルコールと金属触媒の存在で反応させることによるピペラジン及びN−アルキルピペラジンの同時製造に関している。
【0013】
EP 446 783 A2 (BASF AG)は、特に、相応するN,N−ジ−(2−ヒドロキシアルキル)−N−アリール−アミンのアミノ化によるN−アリール置換されたピペラジンの製造に関する。
【0014】
EP 235 651 A1 (BASF AG)は、DEOA及びメチルアミンから金属含有の担持触媒、特にCu含有の触媒の存在でのN−メチル−ピペラジンの製造方法を教示している。
【0015】
本発明の基礎となる課題は、式Iのモノ−N−アルキル−ピペラジンの今までの製造方法の経済性を改善し、かつ先行技術の1つ又はそれ以上の欠点を除去することである。工業的に簡単に製造でき、かつこの方法を高い転化率、高い収率、空時収率(STY)、選択率で、同時に触媒成形体の高い機械的安定性及び低い「暴走の危険性」で実施できる条件が見出された。
【0016】
[空時収率は、「生成物量/(触媒体積・時間)」(kg/(l
Kat.・h)及び/又は「生成物量/(反応器容量・時間)」(kg/(l
反応器・h)で表される]。
【0017】
従って、式I
【化3】
[式中、R
1は、C
1〜C
5−アルキル又は2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルを表す]のモノ−N−アルキル−ピペラジンを、水素及び担持された金属含有触媒の存在下で、式II
【化4】
のジエタノールアミン(DEOA)の式H
2N−R
1(III)の第1級アミンとの反応により製造する方法において、前記触媒の触媒活性材料が、水素による還元の前に、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物を含有し、かつ0.2〜5.0質量%の範囲内でスズの酸素含有化合物(SnOとして計算)を含有し、かつ前記反応を95〜145barの範囲内の絶対圧で液相中で実施することを特徴とする方法が見出された。
【0018】
R
1は、2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル又はC
1-5−アルキル、好ましくはC
1-3−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、特に好ましくはメチル、エチル及び2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルである。
【0019】
第1級アミンIIIは、相応して特に好ましくは、モノメチルアミン、モノエチルアミン又は1−アミノ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エタン(アミノジグリコール、ADG)である。
【0020】
本発明による方法により、好ましくは、式I
【化5】
[式中、R
1=メチル、エチル又は2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルを表す]のアミンが製造可能である。
【0021】
特に、水素による還元の前の触媒活性材料が、
Al
2O
3として計算して、アルミニウムの酸素含有化合物を15〜80質量%の範囲内で、
CuOとして計算して、銅の酸素含有化合物を1〜20質量%の範囲内で、
NiOとして計算して、ニッケルの酸素含有化合物を5〜35質量%の範囲内で、
CoOとして計算して、コバルトの酸素含有化合物を5〜35質量%の範囲内で、及び
SnOとして計算して、スズの酸素含有化合物を0.2〜5.0質量%の範囲内で含有する触媒が、上述のアミノ化方法において使用される。
【0022】
この方法は、連続的又は不連続的に実施することができる。連続的な運転法が好ましい。
【0023】
循環ガス運転法の場合に、出発物質(DEOA、第1級アミンIII)は循環ガス流中に蒸発させ、ガス状で反応器に供給される。
【0024】
この出発物質(DEOA、第1級アミンIII)は、水溶液としても蒸発させることができ、循環ガス流と一緒に触媒床に供給することができる。
【0025】
好ましい反応器は管型反応器である。循環ガス流を用いる適切な反応器の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrieal Chemistry, 第5版, B4巻, 199〜238頁の「Fixed-Bed Reactor」に記載されている。
【0026】
これとは別に、この反応は好ましくは管束型反応器又は単一流路プラント(Monostranganlage)中で行われる。
【0027】
単一流路プラントの場合には、反応が行われる反応器は、直列接続された複数(例えば2つ又は3つ)の個々の管型反応器からなることができる。場合により、ここでは、好ましくは供給材料(DEOA及び/又は第1級アミンIII及び/又はH
2)及び/又は循環ガス及び/又は後方に設置された反応器からの反応器搬出物の中間供給が可能である。
【0028】
循環ガス量は、好ましくは40〜1500m
3(常圧で)/[m
3触媒(床体積)・h]の範囲内、特に100〜1000m
3(常圧で)/[m
3触媒(床体積)・h]の範囲内である(常圧=1bar(絶対圧))。
【0029】
この循環ガスは、好ましくは少なくとも10、特に50〜100、さらに特に80〜100体積%の水素(H
2)を含有する。
【0030】
本発明による方法の場合に、触媒は、好ましくは、この触媒が固体として使用される場合に、触媒活性材料及び場合による成形助剤(例えば黒鉛又はステアリン酸)だけからなる、つまり他の触媒活性の随伴物質を含まない触媒の形で使用される。
この関連で、酸化物系の担持材料の酸化アルミニウム(Al
2O
3)は、触媒活性材料に属すると見なされる。
【0031】
この触媒は、粉末に粉砕された触媒活性材料を反応容器中へ導入するか、又は触媒活性材料を粉砕後に、成形助剤と混合し、成形し、触媒成形体、例えばタブレット、球、リング、押出物(例えばストランド)として熱処理した後に反応器内に配置するようにして使用される。
【0032】
この触媒の成分の濃度の記載(質量%)は、それぞれ、他に記載がない限り、触媒を最終的に熱処理した後でかつ水素で還元する前の仕上がった触媒の触媒活性材料に関する。
【0033】
触媒を最終的に熱処理した後でかつ水素で還元する前の触媒の触媒活性材料は、触媒活性成分及び上述の触媒担持材料の質量の合計として定義され、これは主に次の成分を含有する:
酸化アルミニウム(Al
2O
3)、銅、ニッケル及びコバルトの酸素含有化合物、及びスズの酸素含有化合物。
【0034】
触媒活性材料の上記の成分の合計は、通常では70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%、特に>95質量%、さらに特に>98質量%、殊に>99質量%、例えば特に好ましくは100質量%である。
【0035】
本発明による及び本発明の方法で使用される触媒の触媒活性材料は、更に、周期表のIA〜VIA族及びIB〜VIIB族及びVIII族の群から選択される1つ又はそれ以上の元素(酸化状態0)又は無機又は有機化合物を有することができる。
【0036】
このような元素又はその化合物の例は次のものである:
遷移金属、例えばMn若しくはMnO
2、W若しくは酸化タングステン、Ta若しくは酸化タンタル、Nb若しくは酸化ニオブ若しくはシュウ酸ニオブ、V若しくは酸化バナジウム若しくはピロリン酸バナジル;ランタニド、例えばCe若しくはCeO
2又はPr若しくはPr
2O
3;アルカリ土類金属酸化物、例えばSrO;アルカリ金属炭酸塩、例えばMgCO
3、CaCO
3及びBaCO
3;酸化ホウ素(B
2O
3)。
【0037】
好ましくは、本発明による触媒及び本発明の方法で使用される触媒の触媒活性材料は、レニウム、ルテニウム、鉄及び/又は亜鉛を、それぞれ金属(酸化状態=0)の形でも、イオン(酸化状態≠0)の形、特に酸化された形でも含有しない。
【0038】
好ましくは、本発明による触媒及び本発明の方法で使用される触媒の触媒活性材料は、銀及び/又はモリブデンを、それぞれ金属(酸化状態=0)の形でも、イオン(酸化状態≠0)の形でも含有しない。
【0039】
特に好ましい実施態様の場合に、本発明による触媒及び本発明の方法で使用される触媒の触媒活性材料は、他の触媒活性成分を、単体(酸化状態=0)の形でも、イオン(酸化状態≠0)の形でも含有しない。
特に好ましい実施態様の場合に、触媒活性材料は、他の金属又は金属化合物でドープされていない。
しかしながら、好ましくは、Cu、Co、Ni、Snの金属採取に起因する通常の随伴−微量元素は除く。
【0040】
好ましくは、触媒の触媒活性は、ケイ素、ジルコニウム、チタン及び/又はクロムの酸素含有化合物を含有しない。
【0041】
触媒の触媒活性材料は、この触媒を水素により還元する前に、SnOとして計算して、スズの酸素含有化合物を0.2〜5.0質量%の範囲内、特に0.4〜4.0質量%の範囲内、更に特に0.6〜3.0質量%の範囲内、更に特に好ましくは0.7〜2.5質量%の範囲内で含有する。
【0042】
触媒の触媒活性材料は、この触媒を水素により還元する前に、CoOとして計算して、コバルトの酸素含有化合物を、好ましくは5.0〜35質量%の範囲内、特に10〜30質量%の範囲内、更に特に12〜28質量%の範囲内、更に特に15〜25質量%の範囲内で含有する。
【0043】
触媒の触媒活性材料は、この触媒を水素により還元する前に、更に好ましくは、Al
2O
3として計算して、アルミニウムの酸素含有化合物を15〜80質量%、特に30〜70質量%、さらに特に35〜65質量%の範囲内で含有し、
CuOとして計算して、銅の酸素含有化合物を1〜20質量%、特に2〜18質量%、更に5〜15質量%の範囲内で含有し、かつ
NiOとして計算して、ニッケルの酸素含有化合物を5〜35質量%、特に10〜30質量%、更に特に12〜28質量%、更に特に15〜25質量%の範囲内で含有する。
【0044】
ニッケル対銅のモル比の値は、好ましくは1より大、特に好ましくは1.2より大、さらに特に好ましくは1.8〜8.5の範囲内にある。
【0045】
本発明による触媒及び本発明による方法で使用される触媒のBET表面積(ISO9277:1995)は、好ましくは、30〜250m
2/gの範囲内、特に90〜200m
2/gの範囲内、さらに特に130〜190m
2/gの範囲内である(それぞれ水素で還元する前)。この範囲は、特に触媒製造の際の400〜600℃、特に420〜550℃(下記参照)の範囲内の焼成温度により達成される。
【0046】
本発明の方法で使用される触媒を製造するために、多様な方法が可能である。この触媒は、例えば、上記成分の水酸化物、炭酸塩、酸化物及び/又は他の塩の粉末混合物を水で解膠し、引き続き押出成形しかつこうして得られた材料をテンパリング(熱処理)することにより得られる。
【0047】
好ましくは本発明による触媒の製造のために沈降法が使用される。よって、この触媒は、例えば、ニッケル成分、コバルト成分、銅成分及びSn成分を、これらの元素を含む水性の塩溶液から、塩基を用いて、難溶性の酸素含有のアルミニウム化合物の懸濁物の存在で共沈させ、引き続き、得られた沈殿物を洗浄、乾燥及び焼成ることにより得ることができる。難溶性の酸素含有のアルミニウム化合物として、例えば酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、リン酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムが使用できる。難溶性アルミニウム化合物の懸濁物は、これらの化合物の微細粒の粉末を水中で強力に撹拌しながら懸濁させることにより製造することができる。好ましくは、この懸濁物は、難溶性アルミニウム化合物をアルミニウム塩水溶液から塩基を用いて沈殿させることにより得られる。
【0048】
好ましくは、本発明による触媒は、全てのこれらの成分の共沈(複合沈殿)によって製造される。このため、好ましくは、触媒成分を含む塩水溶液に、加熱しかつ撹拌しながら、水性の塩基、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又は水酸化カリウムを、沈殿が完全になるまで添加する。アルカリ金属不含の塩基、例えばアンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、ウロトロピン、尿素などで作業することもできる。使用される塩の種類は、一般に重要ではない:この手法の場合に特に塩の水溶性が重要であるので、この比較的高く濃縮された塩溶液の製造のために必要なその良好な水溶性が基準である。もちろん個々の成分の塩の選択の際に、不所望な沈殿を引き起こさないか又は錯生成により沈殿が困難になるか又は抑制されることにより障害を引き起こさないアニオンとの塩だけが選択されることは自明であると見なされる。
【0049】
この沈殿反応の際に得られた沈殿物は、一般に化学的に不均等であり、かつ特に、使用された金属の酸化物、酸化物水和物、水酸化物、炭酸塩及び不溶性及び塩基性の塩の混合物からなる。沈殿物がエージングされている場合、つまり沈殿物が沈殿後に数時間、場合により加熱又は空気の導通下で放置する場合が、沈殿物の濾過適性のために好ましいことが判明する。
【0050】
この沈殿法により得られた沈殿物は、通常のように本発明による触媒に更に加工される。まず、この沈殿物を洗浄する。洗浄工程の期間に関して及び洗浄水の温度及び量に関して、沈殿剤として場合により使用される(鉱物)塩基によって供給されたアルカリ金属の含有率が影響を及ぼすことがある。一般に、洗浄時間の延長又は洗浄水の温度の上昇により、アルカリ金属の含有率は低減される。この洗浄後に、この沈殿物は一般に80〜200℃、好ましくは100〜150℃で乾燥させ、その後で焼成される。この焼成は、一般に300〜800℃、好ましくは400〜600℃、特に420〜550℃の間の温度で実施される。
【0051】
本発明による触媒は、例えば粉末又は成形体、例えばストランド、タブレット、球又はリングの形で存在する酸化アルミニウム(Al
2O
3)の含浸によっても製造できる。
【0052】
酸化アルミニウムは、例えば、無定形、ガンマ型、シータ型及び/又はデルタ型、水酸化酸化アルミニウム(ベーマイト)として、好ましくは無定形の形で使用される。
【0053】
成形体の製造は通常の方法によって行うことができる。
【0054】
含浸も、同様に、通常の方法、例えばA. B. Stiles著, Catalyst Manufacture - Laboratory and Commercial Preparations, Marcel Dekker, New York (1983)に記載されたような通常の方法により、それぞれ相応する金属塩溶液を1又はそれ以上の含浸段階で塗布することにより行い、その際、金属塩として、例えば相応する硝酸塩、酢酸塩又は塩化物が使用される。この材料は、含浸に引き続き乾燥させ、場合により焼成される。
【0055】
この含浸は、いわゆる「incipient wetness」法により行うことができ、その際、酸化アルミニウムがその吸水能力に応じて含浸溶液で最大に飽和するまで湿潤される。しかしながら、この含浸は上澄み溶液中で行うこともできる。
【0056】
多段階の含浸法の場合には、個々の含浸工程の間に乾燥させ及び場合により焼成することが合目的である。多段階の含浸は、好ましくは、特に、酸化アルミニウムに比較的大きな金属量を適用すべき場合に利用することができる。
【0057】
酸化アルミニウム上に金属成分を適用するために、含浸を、全ての金属塩を用いて同時に行うか又は個々の金属塩の任意の順序で連続して行うことができる。
【0058】
引き続き、この含浸により製造された触媒を乾燥させ、好ましくは、例えば既に上述の焼成温度範囲で焼成する。
【0059】
この焼成の後に、触媒を粉砕により特定の粒度に調節するか又は触媒をその粉砕後に成形助剤、例えば黒鉛又はステアリン酸と混合し、圧縮により成形品、例えばタブレットにプレス成形し、熱処理することにより合目的に調製される。この熱処理温度は、この場合、好ましくは焼成の場合の温度と同じである。
【0060】
このように製造された触媒は、触媒活性金属を、その酸素含有化合物の混合物の形で、つまり特に酸化物として及び混合酸化物として含有する。
【0061】
例えば上述のように製造された触媒は、それ自体貯蔵され及び場合により取り扱われる。これを触媒として使用する前に、通常では予備還元される。しかしながら、触媒を予備還元せずに使用することもでき、この場合、水素化するアミノ化の条件下で反応器中に存在する水素によって還元される。
【0062】
予備還元のために、まずこの触媒を好ましくは150〜200℃で、例えば12〜20時間にわたって窒素−水素雰囲気に曝し、引き続き更に約24時間まで好ましくは200〜400℃で水素雰囲気中で処理する。この予備還元の際に、触媒中に存在する酸素含有金属化合物の一部は対応する金属に還元されるため、これらの金属は多様な種類の酸素化合物と一緒に触媒の活性形で存在する。
【0063】
本発明による方法は、好ましくは連続的に実施され、その際、触媒は、好ましくは固定床として反応器中に配置されている。この場合、上からも下からもこの触媒床に流通させることができる。
【0064】
第1級アミンIIIは、好ましくは、使用されたDEOAを基準としてそれぞれ、0.5〜20倍のモル量で、特に5〜15倍のモル量で、さらに特に6〜13倍のモル量で、殊に7〜10倍のモル量で、例えば8〜10倍のモル量で使用される。
特に好ましくは、第1級アミンIIIとしてアミノジグリコール(ADG)の場合に、この第1級アミンは、使用されたDEOAを基準としてそれぞれ、0.5〜2倍、特に0.6〜1.2倍のモル量で使用される。
【0065】
この第1級アミンIIIは、水溶液として、特に30〜95質量%の水溶液として、例えば65〜90質量%の水溶液として使用することができる。モノメチルアミン及びモノエチルアミンは、好ましくは他の溶剤なしでも(圧縮ガス、特95〜100質量%の純度で)使用される。
【0066】
この出発材料のDEOAは、好ましくは水溶液として、特に75〜95質量%の水溶液として、例えば80〜85質量%の水溶液として使用される。
【0067】
好ましくは、5〜800標準立方メートル/(立方メートル 触媒・h)、特に20〜300標準立方メートル/(m
3 触媒・h)の廃ガス量が排出される。[標準立方メートル=標準条件(20℃、1bar(絶対圧))に換算された体積]。
触媒体積の記載は、常に床体積に関する。
【0068】
出発材料のDEOAの第1級アルコール基のアミノ化は、液相中で実施される。液相中での固定床法が好ましい。
【0069】
液相中での連続的固定床法の場合に、特に触媒性能に好ましく作用する次の方法の実施態様が特に好ましい。出発材料(DEOA、第1級アミンIII)を水素と一緒にまず80〜160℃、好ましくは100〜140℃、特に好ましくは110〜130℃の範囲内の温度で触媒を通過させ、その後で、例えば1〜240分後、好ましくは5〜120分後、特に好ましくは10〜90分後、更に特に好ましくは20〜60分後に、この温度を180〜220℃、特に180〜215℃、好ましくは185〜210℃、殊に190〜200℃に高める。従って、つまり低温での始動のための手順が前もって行われる。この始動手順から生じる反応生成物は廃棄されるか又はこの反応に返送することができる。
【0070】
液相中での作業の際に、この出発材料(DEOA、第1級アミンIII)は、好ましくは同時に、液相の形で9.5〜14.5MPa(95〜145bar)、好ましくは10.0〜14.0MPa、更に好ましくは10.5〜13.5MPa、更に好ましくは11.0〜13.0MPa、特に好ましくは11.5〜12.5MPaの圧力で、一般に180〜220℃、特に180〜215℃、好ましくは185〜210℃、特に190〜200℃の温度で、水素と一緒に、通常では好ましくは外部加熱された固定床反応器中の存在する触媒を通過させる。この場合、流下運転法でも液相運転法(Sumpffahrweise)でも可能である。触媒空間速度は、触媒1リットル(床体積)及び1時間当たり、一般に0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.7、特に好ましくは0.4〜0.6、更に好ましくは0.4〜0.5kg DEOAの範囲内にある(DEOAは100%として計算)。場合により、出発材料を適切な溶剤、例えば水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン又はエチレングリコールジメチルエーテルで希釈を行うことができる。これらの反応体を反応容器に供給する前に既に加熱し、好ましくは反応温度に加熱することが合目的である。
【0071】
この反応は、好ましくは40〜1500標準リットル 水素/(l
Kat.・h)の範囲内の触媒空間速度で、特に100〜1000標準リットル 水素/(l
Kat.・h)の範囲内の触媒空間速度で実施される。
[標準リットル=Nl=標準条件(20℃、1bar(絶対圧))に換算された体積]。
【0072】
記載の温度での第1級アミンIII、DEOA及び形成された反応生成物並びに場合により一緒に使用された溶剤の分圧の合計から生じる反応容器中の圧力は、合目的に水素の圧入により所望の反応圧力に高められる。
【0073】
液相中で連続的に運転する場合に、過剰の第1級アミンIIIは、水素と一緒に循環させることができる。
【0074】
触媒が固定床として配置されている場合、この反応の選択率にとって、反応器中で触媒成形体を不活性な充填物と混合する、いわば触媒成形体を「希釈する」ことが好ましいことがある。このような触媒調製物中でのこの充填物の割合は、20〜80、特に30〜60、殊に40〜50体積部であることができる。
【0075】
反応の過程で生じる反応水(それぞれ反応されたアルコール基1モル当たりの1モル)は、一般に反応の度合い、反応速度、選択率及び触媒耐用時間に有害に作用せず、従って合目的に反応生成物の後処理の際に初めて、例えば蒸留により反応生成物から除去される。
【0076】
反応搬出物を合目的に放圧した後に、この反応搬出物から過剰の水素及び場合により存在する過剰のアミノ化剤を除去し、得られた反応生成物を、例えば分別精留により精製する。適切な後処理法は、例えばEP 1 312 600 A及びEP 1 312 599 A(両方ともBASF AG)に記載されている。過剰の第1級アミン及び水素は、好ましくは再び反応区域に返送される。同じことが、場合により完全には反応していないDEOAにも当てはまる。
【0077】
この反応の生成物の後処理は、好ましくは次のように行われる:
この反応の反応生成物から、蒸留により
(i) まず、場合により未反応の第1級アミンIII(R
1は好ましくはC
1〜C
5−アルキル)を塔頂から分離し、
(ii) 水を塔頂から分離し、
(iii) 場合により存在する、方法生成物Iよりも低い沸点を有する副生成物(低沸点物)を塔頂から分離し、
(iv) 方法生成物のモノ−N−アルキル−ピペラジンIを塔頂から分離し、その際、場合により存在する、方法生成物Iよりも高い沸点を有する副生成物(高沸点物)及び場合により存在する未反応のDEOA(II)は塔底に残留する。
【0078】
本発明による方法の反応の場合に、副生成物として式IV
【化6】
のアルキルアミノエチルエタノールアミンが生じる。
【化7】
【0079】
従って、特に、蒸留により
(v) 工程ivの塔底から、場合により存在する未反応のDEOA(II)及び/又は場合により存在する、式IVの副生成物としてのアルキルアミノエチルエタノールアミンを塔頂から分離し、反応に返送する。
【0080】
工程iで分離された、90〜99.9質量%、特に95〜99.9質量%の純度の第1級アミンIIIを、好ましくは反応に返送し、この場合、更に好ましくは、分離されたアミンIIIの一部、特に分離されたアミンの1〜30質量%、さらに特に分離されたアミンIIIの5〜25質量%を搬出する。
【0081】
アミノジグリコール(ADG)(つまりR
1=2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル)のDEOAとの反応の生成物の後処理は、好ましくは次のように行われる:
この反応の反応生成物から、蒸留により
(i) まず、水を塔頂から分離し、
(ii) 場合により未反応のADGを塔頂から分離し、
(iii) 場合により存在する、方法生成物Iよりも低い沸点を有する副生成物(低沸点物)を塔頂から分離し、
(iv) 方法生成物のモノ−N−アルキル−ピペラジンIを塔頂から分離し、その際、場合により存在する、方法生成物Iよりも高い沸点を有する副生成物(高沸点物)及び場合により存在する未反応のDEOA(II)は塔底に残留する。
【0082】
特に、蒸留により
(v) 工程ivの塔底から、場合により存在する未反応のDEOA(II)及び/又は場合により存在する、式IVの副生成物としてのアルキルアミノエチルエタノールアミンを塔頂から分離し、反応に返送する。
【0083】
工程ii中で分離された、90〜99.9質量%、特に95〜99.9質量%の純度のADGを、好ましくは反応に返送し、この場合、更に好ましくは、分離されたADGの一部、特に分離されたADGの1〜30質量%、さらに特に分離されたADGの5〜25質量%を搬出する。
【0084】
全ての圧力の記載は、絶対圧に関する。
全てのppmの記載は、質量に関する。
【0085】
実施例
1. 触媒A[=WO 2011/067199 A (BASF SE)の実施例4]の製造
Ni3.9質量%、Co3.9質量%、Cu1.9質量%、Al
2O
3 5.5質量%及びSn0.5質量%を含有する硝酸ニッケル、硝酸コバルト、硝酸銅、硝酸アルミニウム、及び塩化スズ(II)の水溶液を、同時に撹拌容器中で、一定の流れで、20質量%の炭酸ナトリウム水溶液で、65〜70℃の温度で、ガラス電極を用いて測定して5.7のpH値が維持されるように沈殿させた。沈殿の後に1時間空気を吹き入れ、その後に、この溶液のpHを、炭酸ナトリウム溶液で7.4の値に調節した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケークを、濾液の導電性が約20mSになるまで完全脱塩水で洗浄した。その後に、この濾過ケークを乾燥庫中で150℃の温度で乾燥させた。こうして得られた水酸化物炭酸塩混合物を、500℃の温度で4時間焼成した。この触媒材料を、引き続き黒鉛3質量%と混合し、3×3mmのタブレットに成形した。こうして得られたタブレットを、280〜300℃の温度で少なくとも12時間水素中で還元した。還元した触媒のパッシベーションは、室温で希釈空気(最大5体積%のO
2含有率を有するN
2中の空気)中で実施した。こうして得られた触媒は、次の表1中に記載のような組成を有していた。
【表1】
【0086】
2. 連続的に運転される管型反応器中でのDEOAとモノメチルアミン(MMA)との反応
中央に温度センサが設けられた、内径14mmで全容積1000mlの加熱された管型反応器の下部に、層の形でガラス球(250ml)を充填し、その上に触媒Aを500ml、引き続き残りの部分に再びガラス球を充填した。反応の前に、触媒を、最大280℃の温度で、水素(25Nl/h)(Nl=標準リットル=標準条件(20℃、1bar(絶対圧)に換算した体積)で常圧で24時間活性化させた。この反応器に、下から上に向かってDEOA(85%水性)300g/h、第1級アミン600g/h及び水素200Nl/hを供給した。この反応器を、約185〜200℃の温度で、80〜200barの全体の圧力に保持した。この反応温度は、>90%のDEOA転化率が達成されるように選択した。この反応器から搬出される混合物を冷却し、常圧に放圧した。異なる時点で試料を反応混合物から採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。このために、30mの長さのGCカラム「RTX 5-Amine」を、70℃/5分、5℃/分の速度で280℃に加熱、280℃/10分の温度プログラムで、使用した。
【0087】
200barで、水素400Nl/(l・h)で、MMA:DEOAのモル比の値(MV)10で、DEOA空間速度0.5kg/(l・h)(100%で計算、85%の溶液として)で、25分間に195℃の温度を達成した後に暴走反応を観察した:温度が自発的に253℃に、かつ圧力は268barに高まった。この条件下で分解が行われ、圧力上昇を引き起こすガス(例えばメタン)が生じた。この条件は、安全工学的に持続できない。例えば約120barの低減された圧力での他の試験では、このような暴走反応は観察されなかった。
【0088】
80barで、水素400Nl/(l・h)で、MMA:DEOAのモル比の値(MV)10で、DEOA空間速度0.5kg/(l・h)(100%で計算、85%の溶液として)で、195℃の温度でかつ80barの圧力で選択率の低下(N−メチル−PIPに関して)が観察された。
【0089】
80〜120barでの試験の結果は、次の表2から推知できる。この表の下部は、GC分析による反応搬出物の組成を示す。
【表2】
【0090】
3. バッチ式反応器中でのDEOAのアミノジグリコール(ADG、1−アミノ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エタン)との反応
全容量300mlの、撹拌機及び温度センサを備えたバッチ式反応器に、7.5gの活性化された触媒を充填した。さらに、触媒を、最大200℃の温度で、水素(25Nl/h)[Nl=標準リットル=標準条件(20℃、1bar(絶対圧))に換算した体積]で常圧で24時間活性化させた。DEOA及びADGの出発材料混合物を装入し、反応器を180℃に加熱した。この全体の反応混合物に、次いで水素200barを吹き込んだ。異なる時点で試料を反応混合物から採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。このために、30mの長さのGCカラム「RTX 5-Amine」を、70℃/5分、5℃/分の速度で280℃に加熱、280℃/10分の温度プログラムで、使用した。
【0091】
この試験の結果は、次の表3に記載されている。
【表3】
【0092】
4. 後処理
この後処理は、好ましくは次の5つの工程により行うことができる(ここではDEOAとモノメチルアミン又はモノエチルアミンとの反応の例に関する):
1) 未反応の第1級アミン(モノメチルアミン又はモノエチルアミン)の分離及び反応器中への返送
場合により、モノメチルアミン又はモノエチルアミンの一部を塔頂から搬出
2) 水の分離
3) 低沸点の副成分の分離
4) 塔頂を介したN−アルキルピペラジンの精製蒸留、この場合、高沸点の副成分を塔底から分離、
5) 場合により、高沸点の副成分、特にジエタノールアミン、N−(N′−メチル−2−アミノエチル)−エタノールアミン、N−メチル−N−(2−アミノエチル)−エタノールアミン(又はN−(N′−エチル−2−アミノエチル)−エタノールアミン、N−エチル−N−(2−アミノエチル)−エタノールアミン)の一部を反応に返送。