特許第6242921号(P6242921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242921
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電極スラリーのインペラミキサー
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20171127BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20171127BHJP
【FI】
   H01M4/04 Z
   H01M4/04 A
   !H01M4/139
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-562947(P2015-562947)
(86)(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公表番号】特表2016-516269(P2016-516269A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】KR2014007636
(87)【国際公開番号】WO2015030406
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0103628
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョクス
(72)【発明者】
【氏名】ク デグン
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジュンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒャンモク
(72)【発明者】
【氏名】アン チャンボム
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−093140(JP,A)
【文献】 米国特許第03024010(US,A)
【文献】 国際公開第2008/090427(WO,A1)
【文献】 特開2011−083672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
B01F 1/00−5/26、7/00−7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極スラリーの原材料が充填される容器と;
互いに異なる形状に多層形成されて前記容器の内部に回転可能に備えられ、前記電極スラリーの原材料を混合させるインペラと;
前記容器の底部に備えられ、上方に形成された結合軸を介して前記インペラと連結され、前記インペラを回転させる駆動部と;を含み、
前記インペラは、第1インペラ、第2インペラ及び第3インペラを含み;かつ、
前記第1インペラは前記容器の底面に隣接して備えられ、前記第2インペラは前記第1インペラから上方に所定の距離離隔された位置に備えられ、前記第3インペラは前記第2インペラから上方に所定の距離離隔された位置に備えられ、
前記第1インペラは、ディスクの外周面に所定の角度の間隔でバー(bar)が形成され、前記電極スラリーの原材料を下方から上方に移動させることができ、
前記第1インペラは、前記第2インペラより水平方向に長く形成され、前記第2インペラは、前記第3インペラより水平方向に長く形成され、
前記第3インペラは、ディスクの外周面に所定の角度の間隔でバー(bar)が形成され、前記バーの終端が斜め上方に突出形成され、前記電極スラリーの原材料を下方に移動させることが出来、
前記第2インペラには、ディスクの上部面と下部面に突出部が、前記第1インペラと第3インペラとの間に位置する形で形成され、前記第1インペラによって上部に移動される電極スラリーの原材料と、第3インペラによって下部に移動される電極スラリーの原材料とを混合させることが出来る
ことを特徴とする、電極スラリーのインペラミキサー。
【請求項2】
前記電極スラリーの原材料は、電極活物質、導電材及びバインダーが溶媒に混合されていることを特徴とする請求項1に記載の電極スラリーのインペラミキサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極スラリーのインペラミキサーに関し、特に、電極スラリーの原材料を効率的に分散させ、均一な混合がなされ得るようにするための電極スラリーのインペラミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ミキサーは、容器に投入した内容物を分散、撹拌または混合する器具であって、食品、薬品、電子材料などの多様な内容物をモーターに装着された装置を介して均一に混合することができるので、家庭用及び工業用として広く用いられている。
【0003】
このようなミキサーは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するモーターと、変換された機械エネルギーによって回転運動をするインペラからなり、インペラには内容物と接触するブレードが形成されており、回転運動の速度調節によって液体、スラリー、固体などのような内容物を混合することができる。
【0004】
しかし、従来のインペラミキサーは、図1に示されているとおり、高速で回転するインペラ10が1〜2個であり、容器に比べてインペラの大きさが小さいため原材料の分散効率が低下する問題点があり、さらに原材料を一括して投入する場合、分散が難しく段階別に分割して投入するしかないので、これにより多くの時間が費やされる問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題点を解消するための電極スラリーのインペラミキサーに関し、特に、電極スラリーの原材料を効率的に分散させ、均一な混合がなされ得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような本発明は、電極スラリーの原材料が充填される容器と;互いに異なる形状に多層形成されて前記容器の内部に回転可能に備えられ、前記電極スラリーの原材料を混合させるインペラと;前記容器の底部に備えられ、上方に形成された結合軸を介して前記インペラと連結され、前記インペラを回転させる駆動部と;を含むことにより達成される。
【0007】
前記インペラは、第1インペラ、第2インペラ及び第3インペラを含み;かつ、前記第1インペラは前記容器の底面に隣接して備えられ、前記第2インペラは前記第1インペラから上方に所定の距離離隔された位置に備えられ、前記第3インペラは前記第2インペラから上方に所定の距離離隔された位置に備えられるようにすることが好ましい。
【0008】
前記第1インペラは、ディスクの外周面に所定の角度の間隔でバー(bar)が形成され、前記電極スラリーの原材料を下方から上方に移動させるようにすることが好ましい。
【0009】
前記第2インペラは、ディスクの上部面と下部面に突出部が形成され、前記電極スラリーの原材料を混合させるようにすることが好ましい。
【0010】
前記第3インペラは、ディスクの外周面に所定の角度の間隔でバー(bar)が形成され、前記バーの終端が斜め上方に突出形成され、前記電極スラリーの原材料を下方に移動させるようにすることが好ましい。
【0011】
前記第1インペラは、前記第2インペラより水平方向に長く形成され、前記第2インペラは、前記第3インペラより水平方向に長く形成されるようにすることが好ましい。
【0012】
前記電極スラリーの原材料は、電極活物質、導電材及びバインダーが溶媒に混合されるようにすることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、電極スラリーのインペラミキサーによって製造された電極スラリーが塗布されることを特徴とする二次電池用電極が提供されるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明は、高速で回転する多層のインペラによって電極スラリーの原材料を短時間に効率的に分散させるとともに均一な混合がなされ得るようにし、作業の効率性の向上に効果のある発明である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のインペラミキサーを示す断面図である。
図2】本発明の電極スラリーのインペラミキサーを示す断面図である。
図3】本発明の電極スラリーのインペラミキサーにおいて第1インペラを示す図である。
図4】本発明の電極スラリーのインペラミキサーにおいて第2インペラを示す図である。
図5】本発明の電極スラリーのインペラミキサーにおいて第3インペラを示す図である。
図6】本発明の電極スラリーのインペラミキサーにおいてインペラによって移動する電極スラリーの原材料を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0017】
本発明の電極スラリーのインペラミキサーは、図2から図6に示されているように、電極スラリーの原材料が充填される容器100と、多層形成されて容器100の内部に回転可能に備えられるインペラ110と、容器100の底部に備えられてインペラ110を回転させる駆動部120とを含む。
【0018】
図2に示されているように、容器100は内部に空間が形成され、電極スラリーの原材料が充填され得るようにする。
【0019】
容器100は円筒形状であり、インペラ110の回転時にインペラ110と容器100の内壁との間のクリアランス(clearance)が一定に形成され得るようにすることが好ましい。
【0020】
インペラは、容器100の内部に回転可能に備えられ、電極スラリーの原材料を分散及び混合させることができるようにする。
【0021】
このとき、インペラ110は、互いに異なる形状の第1インペラ111と、第2インペラ112と、第3インペラ113とからなり、それぞれのインペラ111、112、113が垂直方向に多層形成される。
【0022】
第1インペラ111は容器100の底面に隣接するように備えられ、第2インペラ112は第1インペラ111から上方に所定の距離離隔された位置に備えられ、第3インペラ113は第2インペラ112から上方に所定の距離離隔された位置に備えられるようにすることが好ましい。
【0023】
図2及び図3に示されているように、第1インペラ111はディスク111D形状を有しており、かつ、ディスク111Dの外周面に所定の角度の間隔でバー(bar)が形成され、図3及び図6に示されているように、インペラ110の回転時に電極スラリーの原材料が容器100の内壁に沿って上方に移動することになる。
【0024】
このとき、第1インペラ111に形成されたバーは、120度の間隔で合計3個が形成されるようにすることが好ましい。
【0025】
図2及び図5に示されているように、第3インペラ113はディスク113D形状を有しており、かつ、ディスク113Dの外周面に所定の角度の間隔でバー(bar)が形成され、バーの終端が斜め上方に突出形成され、図5及び図6に示されているように、第3インペラ113の終端傾斜により、インペラ110の回転時に第1インペラ111によって上部に移動された電極スラリーの原材料を下方に移動させる。
【0026】
このとき、第3インペラ130に形成されたバーは、90度の間隔で合計4個が形成されるようにすることが好ましい。
【0027】
図2及び図4に示されているように、第2インペラ112はディスク112D形状を有しており、かつ、ディスク112Dの上部面と下部面に突出部(図6を参照)112Pが形成されて第1インペラ111と第3インペラ113との間に位置し、図4及び図6に示されているように、第1インペラ111によって上部に移動される電極スラリーの原材料と、第3インペラ113によって下部に移動される電極スラリーの原材料とを混合させることができるようにする。
【0028】
このとき、第1インペラ111は第2インペラ112より水平方向に長く形成されるようにし、第2インペラは第3インペラ113より水平方向に長く形成されるようにし、容器100の底部に充填された電極スラリーの原材料を上部に移動させることを可能にする。
【0029】
一方、第1インペラ111と、第2インペラ112と、第3インペラ113とは、前述したところのように、ディスク形状でなることを基本とするが、電極スラリーの原材料によって異なる形状のインペラが適用されてもよい。
【0030】
駆動部120はインペラ110を回転させる構成で、容器100の底部に備えられてインペラ110の高速回転を可能にし、駆動部120の上方には結合軸121が形成されるようにする。
【0031】
このとき、駆動部120の結合軸121は、容器100の底部を貫通してインペラ110と連結され、駆動部120の作動を介してインペラ110を回転させることを可能にする。
【0032】
このように、本発明は、駆動部120を介して多層形成されたインペラ110を回転させ、第1インペラ111と、第2インペラ112と、第3インペラ113とからなるインペラ110の回転を介し、容器100の内部に充填された電極スラリーの原材料を上方または下方に移動させて効率的な分散が行われるようにし、これにより均一な混合がなされ得るようにする。
【0033】
一方、電極スラリーの原材料は、電極活物質、導電材及びバインダーが溶媒に混合されているものが適用されるようにすることが好ましい。
【0034】
ここで、電極活物質は正極活物質と負極活物質に分類され、但し、正極活物質は、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や、1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+yMn2-yO4(ここで、yは0〜0.33である)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiFe3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-yMyO2(ここで、M = Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、y = 0.01〜0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-yMyO2(ここで、M = Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、y =0.01〜0.1である)または Li2Mn3MO8(ここで、M = Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などを挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe'yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me':Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などを用いることができる。
【0035】
さらに、導電材は、通常正極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1から30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファネースブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられ得る。
【0036】
さらに、バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合とに一助する成分であって、通常正極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1から30重量%で添加される。このようなバインダーの例には、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体を挙げることができる。
【0037】
一方、本発明は、前述したところのように、電極スラリーのインペラミキサーを用いて製造された電極スラリーが電極に塗布され、二次電池用電極を提供することができるようにすることが好ましい。
【0038】
以上のように、本発明はたとえ限定された実施形態と図によって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって、本発明の技術思想と下記に記載される特許請求の範囲内で多様な修正及び変形が可能であるのは勿論である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6