特許第6243054号(P6243054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243054有機半導体組成物、及び、有機半導体素子
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  • 特許6243054-有機半導体組成物、及び、有機半導体素子 図000050
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243054
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】有機半導体組成物、及び、有機半導体素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/30 20060101AFI20171127BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20171127BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20171127BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H01L29/28 220A
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250H
   H01L29/28 310J
   H01L29/78 618B
【請求項の数】12
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2016-551667(P2016-551667)
(86)(22)【出願日】2015年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2015074801
(87)【国際公開番号】WO2016052056
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-198914(P2014-198914)
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滋野井 悠太
(72)【発明者】
【氏名】益居 健介
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/123214(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/123215(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/061465(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/034392(WO,A1)
【文献】 特表2013−533606(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/136436(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/05
H01L 51/30
H01L 51/40
H01L 21/336
H01L 27/28
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合多環芳香族基を有し、前記縮合多環芳香族基中の環数が4以上であり、前記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1つの原子を含み、前記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択された少なくとも1つの構造を有する有機半導体と、
有機溶媒Aと、
有機溶媒Bと、
−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を有する界面活性剤と、を含み、
有機溶媒AのSP値をSP(A)、有機溶媒BのSP値をSP(B)とした場合、SP(B)−SP(A)≧2MPa1/2を満たすことを特徴とする
有機半導体組成物。
ただし、R及びRはそれぞれ独立に、エーテル結合を含まない、一価の炭化水素基を表す。
【請求項2】
前記R及びRの少なくとも1つが、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数2〜18のアルキル基、又は、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数2〜18のアルケニル基である、請求項1に記載の有機半導体組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤の含有量が、前記有機半導体の含有量100質量部に対し、0.1〜10質量部である、請求項1又は2に記載の有機半導体組成物。
【請求項4】
前記有機溶媒Aの含有量が、前記有機溶媒Bの含有量100体積%に対し、20〜100体積%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒Aの沸点bp(A)と前記有機溶媒Bの沸点bp(B)とが、bp(A)<bp(B)を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【請求項6】
前記有機半導体が、式1〜式16のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
式1中、A1a及びA1bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが下記式Wで表される基である。
−L−R (W)
式W中、Lは下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基又は2以上の下記式L−1〜L−25のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表し、Rはアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、トリアルキルシリル基を表す。
【化5】
式L−1〜式L−25中、*はRとの結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式2中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i、O原子又はS原子を表し、A2aはCR2g又はN原子を表し、A2bはCR2h又はN原子を表し、R2iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R2a〜R2hのうち少なくとも1つが前記式Wで表される基である。
式3中、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3gを表し、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表す。R3a〜R3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R3a〜R3hのうち少なくとも1つが前記式Wで表される基である。
式4中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表し、R4a〜R4j、R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は前記式Wで表される基を表し、かつ、R4a〜R4j、R4k及びR4mのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が前記式Wで表される基である場合はR4e及びR4fが表す前記式WにおいてLは前記式L−2又は式L−3で表される二価の連結基である。
式5中、X5a及びX5bはそれぞれ独立に、NR5i、O原子又はS原子を表し、A5aはCR5g又はN原子を表し、A5bはCR5h又はN原子を表し、R5iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R5a〜R5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R5a〜R5hのうち少なくとも1つが前記式Wで表される基である。
式6中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R6a〜R6fのうち少なくとも1つが前記式Wで表される基である。
式7中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7iを表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが前記式Wで表される基である。
式8中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが前記式Wで表される基である。
式9中、X9a及びX9bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は前記式Wで表される基を表し、R9a、R9b、R9e及びR9fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
式10中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは前記式Wで表される置換基を表し、X10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR10iを表し、R10iはそれぞれ独立に、水素原子又は前記式Wで表される基を表す。
式11中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基である。
式12中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基である。
式13中、X13a及びX13bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR13nを表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基である。
式14中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基である。
式15中、X15a〜X15dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基である。
式16中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表し、R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは前記式Wで表される基である。
【請求項7】
前記有機溶媒Aが、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、プロピルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【請求項8】
前記有機溶媒Aが、cis−デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒Bが、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン、フルオロナフタレン、ジフルオロナフタレン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、tert−ブチルアニソール、又は、2−メトキシナフタレンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【請求項10】
前記有機溶媒Bが、1,2−ジクロロベンゼン、1−フルオロナフタレン、又は、アニソールである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機半導体組成物より形成された有機半導体を有する有機半導体素子。
【請求項12】
有機薄膜トランジスタである、請求項11に記載の有機半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体組成物、及び、有機半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量化、低コスト化、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(Radio Frequency Identifier、RFタグ)等に、有機半導体膜(有機半導体層)を有する有機トランジスタが利用されている。
有機半導体組成物としては、例えば、特許文献1に記載された組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−514726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性に優れる有機半導体組成物、並びに、上記有機半導体組成物より形成した有機半導体を有する有機半導体素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>又は<11>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<10>及び<12>とともに以下に記載する。
<1>縮合多環芳香族基を有し、上記縮合多環芳香族基中の環数が4以上であり、上記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1つの原子を含み、上記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択された少なくとも1つの構造を有する有機半導体と、有機溶媒Aと、有機溶媒Bと、−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を有する界面活性剤と、を含み、有機溶媒AのSP値をSP(A)、有機溶媒BのSP値をSP(B)とした場合、SP(B)−SP(A)≧2MPa1/2を満たすことを特徴とする有機半導体組成物、
ただし、R及びRはそれぞれ独立に、エーテル結合を含まない、一価の炭化水素基を表す。
<2>上記R及びRの少なくとも1つが、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数2〜18のアルキル基、又は、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数2〜18のアルケニル基である、<1>に記載の有機半導体組成物、
<3>上記界面活性剤の含有量が、上記有機半導体の含有量100質量部に対し、0.1〜10質量部である、<1>又は<2>に記載の有機半導体組成物、
<4>上記有機溶媒Aの含有量が、上記有機溶媒Bの含有量100体積%に対し、20〜100体積%である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
<5>上記有機溶媒Aの沸点bp(A)と上記有機溶媒Bの沸点bp(B)とが、bp(A)<bp(B)を満たす、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
<6>上記有機半導体が、式1〜式16のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】
【化4】
【0010】
式1中、A1a及びA1bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが下記式Wで表される基である。
−L−R (W)
式W中、Lは下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基又は2以上の下記式L−1〜L−25のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表し、Rはアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、トリアルキルシリル基を表す。
【0011】
【化5】
【0012】
式L−1〜式L−25中、*はRとの結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式2中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i、O原子又はS原子を表し、A2aはCR2g又はN原子を表し、A2bはCR2h又はN原子を表し、R2iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R2a〜R2hのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式3中、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3gを表し、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表す。R3a〜R3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R3a〜R3hのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式4中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表し、R4a〜R4j、R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式Wで表される基を表し、かつ、R4a〜R4j、R4k及びR4mのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が上記式Wで表される基である場合はR4e及びR4fが表す上記式WにおいてLは上記式L−2又は式L−3で表される二価の連結基である。
【0013】
式5中、X5a及びX5bはそれぞれ独立に、NR5i、O原子又はS原子を表し、A5aはCR5g又はN原子を表し、A5bはCR5h又はN原子を表し、R5iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R5a〜R5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R5a〜R5hのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式6中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R6a〜R6fのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式7中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7iを表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式8中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
【0014】
式9中、X9a及びX9bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式Wで表される基を表し、R9a、R9b、R9e及びR9fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
式10中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは上記式Wで表される置換基を表し、X10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR10iを表し、R10iはそれぞれ独立に、水素原子又は上記式Wで表される基を表す。
式11中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式12中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
【0015】
式13中、X13a及びX13bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR13nを表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式14中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式15中、X15a〜X15dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式16中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表し、R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
【0016】
<7>上記有機溶媒Aが、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、プロピルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼンである、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
<8>上記有機溶媒Aが、cis−デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼンである、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
<9>上記有機溶媒Bが、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン、フルオロナフタレン、ジフルオロナフタレン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、tert−ブチルアニソール、又は、2−メトキシナフタレンである、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
<10>上記有機溶媒Bが、1,2−ジクロロベンゼン、1−フルオロナフタレン、又は、アニソールである、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物、
<11><1>〜<10>のいずれか1つに記載の有機半導体組成物より形成された有機半導体を有する有機半導体素子、
<12>有機薄膜トランジスタである、<11>に記載の有機半導体素子。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性に優れる有機半導体組成物、並びに、上記有機半導体組成物より形成した有機半導体を有する有機半導体素子を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の有機半導体素子の一態様の断面模式図である。
図2】本発明の有機半導体素子の別の一態様の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものとともに置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本発明において、「移動度」との記載は、キャリア移動度を意味し、電子移動度及びホール移動度のいずれか、又は、双方を意味する。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の2以上の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0020】
(有機半導体組成物)
本発明の有機半導体組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、縮合多環芳香族基を有し、上記縮合多環芳香族基中の環数が4以上であり、上記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1つの原子を含み、上記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択された少なくとも1つの構造を有する有機半導体と、有機溶媒Aと、有機溶媒Bと、−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を有する界面活性剤と、を含み、有機溶媒AのSP値をSP(A)、有機溶媒BのSP値をSP(B)とした場合、SP(B)−SP(A)≧2MPa1/2を満たすことを特徴とする。
ただし、R及びRはそれぞれ独立に、エーテル結合を含まない、一価の炭化水素基を表す。
【0021】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記有機半導体と、特定2種の有機溶媒と、上記界面活性剤とを含有することにより、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性に優れることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
詳細な効果の発現機構については不明であるが、上記特定2種の有機溶媒と上記界面活性剤とが、上記有機半導体の膜や層を形成する際に、何らか協奏的に作用して移動度及び経時安定性に優れた有機半導体が得られるものと推定される。
以下に、本発明の有機半導体組成物の各成分について、詳細に説明する。
【0022】
<有機溶媒A及び有機溶媒B>
本発明の有機半導体組成物は、有機溶媒A及び有機溶媒Bを含み、有機溶媒AのSP値をSP(A)、有機溶媒BのSP値をSP(B)とした場合、SP(B)−SP(A)≧2MPa1/2を満たす。なお、本発明において、SP値の単位“MPa1/2”とは、“(MPa)1/2”と同義である。
有機溶媒AのSP値よりも有機溶媒BのSP値のほうが大きく、有機溶媒A及び有機溶媒BのSP値の差(SP(B)−SP(A)、ΔSP)は、2以上であり、2.0〜5.0MPa1/2であることが好ましく、2.0〜4.0MPa1/2であることがより好ましく、2.5〜3.5MPa1/2であることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる有機半導体の移動度により優れる。
SP値の算出方法は、以下の通りである。
ハンセン溶解度パラメーター:A User’s Handbook, Second Edition, C. M. Hansen (2007), Taylor and Francis Group, LLC(HSPiPマニュアル)で解説された式によるハンセン溶解度パラメーターであり、「実践ハンセン溶解度パラメーターHSPiP第3版」(ソフトウエアーバージョン4.0.05)を用いて、下記式にてSP値(単位:MPa1/2)を算出した値を用いる。
(SP値)2=(δH2+(δH2+(δH2
:分散寄与
:極性寄与
:水素結合寄与
【0023】
有機溶媒Aとしては、炭化水素系溶媒が好ましく、芳香族炭化水素系溶媒がより好ましい。
有機溶媒Aとして、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼン(n−ペンチルベンゼン)が好ましく挙げられ、デカン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼンがより好ましく挙げられ、cis−デカリン、テトラリン、又は、アミルベンゼンが更に好ましく挙げられ、アミルベンゼンが特に好ましく挙げられる。
上記有機溶媒のうち、例えば、cis−デカリンは、SP値:16.8MPa1/2、沸点:196℃であり、テトラリンは、SP値:18.9MPa1/2、沸点:208℃であり、アミルベンゼンは、SP値:17.5MPa1/2、沸点:205℃である。なお、本発明において、沸点は、特に断りのない限り、1気圧における標準沸点である。
【0024】
有機溶媒AのSP値としては、12〜25MPa1/2であることが好ましく、15〜20MPa1/2であることがより好ましく、16〜19MPa1/2であることが更に好ましい。
また、有機溶媒の沸点としては、150℃〜250℃であることが好ましく、180℃230℃であることがより好ましく、195℃〜215℃であることが更に好ましい。
【0025】
有機溶媒Bとしては、ハロゲン化炭化水素系溶媒、又は、エーテル系溶媒であることが好ましく、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、又は、芳香族エーテル系溶媒であることがより好ましく、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒であることが更に好ましく、フッ素化芳香族炭化水素溶媒であることが特に好ましい。
有機溶媒Bとして、具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン、フルオロナフタレン、ジフルオロナフタレン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、tert−ブチルアニソール、又は、2−メトキシナフタレンが好ましく挙げられ、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、フルオロナフタレン、ジフルオロナフタレン、アニソール、又は、2−メトキシナフタレンがより好ましく挙げられ、1,2−ジクロロベンゼン、1−フルオロナフタレン、又は、アニソールが更に好ましく挙げられ、1−フルオロナフタレンが特に好ましく挙げられる。
上記有機溶媒のうち、例えば、1,2−ジクロロベンゼンは、SP値:20.5MPa1/2、沸点:181℃であり、1−フルオロナフタレンは、SP値:20.3MPa1/2、沸点:215℃であり、アニソールは、SP値:19.6MPa1/2、沸点:154℃である。
【0026】
有機溶媒BのSP値としては、14〜27MPa1/2であることが好ましく、17〜22MPa1/2であることがより好ましく、18〜21MPa1/2であることが更に好ましい。
また、有機溶媒の沸点としては、150℃〜250℃であることが好ましく、180℃〜240℃であることがより好ましく、200℃〜230℃であることが更に好ましい。
【0027】
有機溶媒Aの沸点bp(A)と有機溶媒Bの沸点bp(B)とは、bp(A)<bp(B)を満たすことが好ましい。上記範囲であると、得られる有機半導体の移動度により優れる。
本発明の有機半導体組成物における有機溶媒Aの含有量は、有機溶媒Bの含有量100体積%に対し、20〜100体積%であることが好ましく、40〜80体積%であることがより好ましい。上記範囲であると、得られる有機半導体の移動度により優れる。
【0028】
本発明の有機半導体組成物における有機溶媒A及び有機溶媒Bの総含有量としては、有機半導体組成物の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90〜99.9質量%であることが更に好ましく、95〜99.9質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の有機半導体組成物は、有機溶媒A及び有機溶媒B以外の有機溶媒を含有していてもよいが、本発明の有機半導体組成物において、全有機溶媒に占める有機溶媒A及び有機溶媒Bの割合は、90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましく、100質量%、すなわち、本発明の有機半導体組成物は、有機溶媒として、有機溶媒A及び有機溶媒Bのみを含むことが特に好ましい。
【0029】
本発明の有機半導体組成物の粘度は、特に制限されないが、塗布性がより優れる点で、3〜100mPa・sが好ましく、5〜50mPa・sがより好ましく、9〜40mPa・sが更に好ましい。なお、本発明における粘度は、25℃での粘度である。
粘度の測定方法としては、JIS Z8803に準拠した測定方法であることが好ましい。
【0030】
<界面活性剤>
本発明の有機半導体組成物は、−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を有する界面活性剤(以下、「特定界面活性剤」ともいう。)を含む。
ただし、R及びRはそれぞれ独立に、エーテル結合を含まない、一価の炭化水素基を表す。
上記一価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が好ましく挙げられ、フッ素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基がより好ましく挙げられる。これら置換基は、上記置換基に更に結合してもよい。
上記一価の炭化水素基の炭素数は、1〜32であることが好ましく、1〜24であることがより好ましく、1〜18であることが更に好ましい。
上記一価の炭化水素基としては、アルキル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アリール基が好ましく挙げられる。
また、特定界面活性剤中のR及びRの少なくとも1つは、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数2〜18のアルキル基、又は、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数2〜18のアルケニル基であることが好ましい。上記アルキル基及びアルケニル基は、置換基として、フッ素原子及び/又はアリール基を有していてもよい。また、R及びRの少なくとも1つは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数2〜18のアルキル基、又は、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜18のアラルキル基であることがより好ましい。
上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
【0031】
特定界面活性剤は、−O−SiR−で表される構成繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン化合物であることが好ましく、−O−SiR−で表される構成繰り返し単位を有する直鎖状ポリオルガノシロキサン化合物であることがより好ましい。また、各構成繰り返し単位におけるR及びRの少なくとも1つは、メチル基であることが好ましい。
また、特定界面活性剤としては、下記式Sで表される化合物であることが好ましい。
【0032】
【化6】
【0033】
式S中、Rはそれぞれ独立に、エーテル結合を含まない、一価の炭化水素基を表し、s1及びs2はそれぞれ独立に、任意の整数を表す。
また、式Sにおける−O−Si(CH−で表される構成繰り返し単位、及び、−O−Si(CH)(R)−で表される構成繰り返し単位はそれぞれ、上記の順だけでなく、任意の順で結合してシリコーン鎖を形成することができ、上記2種の構成繰り返し単位が、ランダムに結合していても、ブロックを形成して結合していてもよい。
としては、炭素数2〜32のアルキル基、又は、炭素数7〜32のアラルキル基であることが好ましく、炭素数8〜18の直鎖アルキル基、又は、炭素数7〜18のアラルキル基であることがより好ましく、炭素数12〜18の直鎖アルキル基、又は、−CH−CH(CH)−Cであることが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
【0034】
特定界面活性剤は、重量平均分子量(Mw)が1,000以上の高分子界面活性剤であることが好ましく、重量平均分子量が1,000〜500,000の高分子界面活性剤であることがより好ましく、重量平均分子量が1,0000〜100,000の高分子界面活性剤であることが更に好ましい。
特定界面活性剤としては、市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製KF−410、KF−412、KF−96、BYK(株)製BYK−320、BYK−323、東レ・ダウコーニング(株)製DOW CORNING 56等が挙げられる。
【0035】
特定界面活性剤は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の有機半導体組成物における特定界面活性剤の含有量は、有機半導体の含有量100質量部に対し、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であること更に好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
また、本発明の有機半導体組成物における特定界面活性剤の含有量は、有機半導体組成物の全質量に対し、0.0001〜2質量%であることが好ましく、0.0005〜1質量%であることがより好ましく、0.001〜0.1質量%であることが更に好ましい。
【0036】
<有機半導体>
本発明の有機半導体組成物は、縮合多環芳香族基を有し、上記縮合多環芳香族基中の環数が4以上であり、上記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1つの原子を含み、上記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択される少なくともいずれか1つの構造を含む有機半導体(以下、「特定有機半導体」ともいう。)を含有する。
ただし、特定有機半導体における縮合多環芳香族基中の部分構造には、アントラセン環は含まれない。上記部分構造にアントラセン環を含んだ場合、理由は不明であるが、得られる有機半導体膜の移動度及び経時安定性がともに劣化する。
なお、縮合多環芳香族基とは、芳香族環が複数縮合して得られる基である。
芳香族環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)及び芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、イミダゾール環)が挙げられる。
【0037】
特定有機半導体中には、縮合多環芳香族基(縮合多環芳香族構造)が含まれるが、この基が主成分として含まれることが好ましい。ここで主成分とは、縮合多環芳香族基の分子量の含有量が、特定有機半導体の全分子量に対して、30%以上であることを意図し、40%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、溶解性の点から、80%以下であることが好ましい。
縮合多環芳香族基は、複数の環が縮合して形成される環構造であり、芳香族性を示す。
特定有機半導体における縮合多環芳香族基中の環数は4以上であり、有機半導体としての移動度の観点から、4〜9が好ましく、4〜7がより好ましく、5又は6が更に好ましい。
また、上記縮合多環芳香族基中、少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含み、有機半導体としての移動度の観点から、2〜6つの環が上記原子を含むことが好ましく、2〜4つの環が上記原子を含むことがより好ましい。
また、有機半導体としての移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中に少なくとも2つの複素環が含まれ、上記複素環中にそれぞれ1個のヘテロ原子を有することが好ましい。ヘテロ原子の種類は特に制限されず、O原子(酸素原子)、S原子(硫黄原子)、N原子(窒素原子)、Se原子(セレン原子)などが挙げられる。
特定有機半導体における縮合多環芳香族基中には、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択された少なくともいずれか1つの構造が含まれる。なお、上記部分構造としては、アントラセン環は含まれない。
また、特定有機半導体は、有機半導体としての移動度の観点から、チオフェン環構造及び/又はセレノフェン環構造を少なくとも有することが好ましく、チオフェン環構造を少なくとも有することがより好ましく、特定有機半導体が有する複素環構造が全てチオフェン環構造であることが更に好ましい。
【0038】
上記縮合多環芳香族基としては、有機半導体としての移動度の観点から、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択されたいずれか少なくとも1つの構造を含み、2つ以上のチオフェン環を含み、環数が4つ以上の縮合多環芳香族基が好ましい。中でも、部分構造として、ベンゼン環を含み、2つ以上のチオフェン環とを含み、環数が4つ以上の縮合多環芳香族基がより好ましい。
また、上記縮合多環芳香族基としては、有機半導体としての移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中のチオフェン環の数は、3つ以上が好ましく、3〜5つがより好ましく、3〜4つが更に好ましく、3つが特に好ましい。
また、有機半導体としての移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中の環数は、4〜6つが好ましく、5〜6つがより好ましく、5つが更に好ましい。上記縮合多環芳香族基としては、2つのベンゼン環と、3つのチオフェン環とを含み、かつ、環数が5つである縮合多環芳香族基であることが特に好ましい。
【0039】
更に、縮合多環芳香族基としては、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含む環(複素環。好ましくは、チオフェン環)と、ベンゼン環とが交互に縮合(縮環)した基(縮合してなる基)が好ましく挙げられる。
【0040】
特定有機半導体としては、有機半導体としての移動度の観点から、式1〜式16のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、式1〜式16のいずれかで表される1種以上の化合物であることがより好ましい。
本発明の組成物中には、1種のみの特定有機半導体が含まれていても、2種以上の特定有機半導体が含まれていてもよい。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
式1中、A1a及びA1bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが下記式Wで表される基である。
−L−R (W)
式W中、Lは下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基又は2以上の下記式L−1〜L−25のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表し、Rはアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、トリアルキルシリル基を表す。
【0046】
【化11】
【0047】
式L−1〜式L−25中、*はRとの結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、式L−20及び式L−24におけるRは水素原子又は置換基を表し、式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式2中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i、O原子又はS原子を表し、A2aはCR2g又はN原子を表し、A2bはCR2h又はN原子を表し、R2iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R2a〜R2hのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式3中、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3gを表し、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表す。R3a〜R3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R3a〜R3hのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式4中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表し、R4a〜R4j、R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式Wで表される基を表し、かつ、R4a〜R4j、R4k及びR4mのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が上記式Wで表される基である場合はR4e及びR4fが表す上記式WにおいてLは上記式L−2又は式L−3で表される二価の連結基である。
【0048】
式5中、X5a及びX5bはそれぞれ独立に、NR5i、O原子又はS原子を表し、A5aはCR5g又はN原子を表し、A5bはCR5h又はN原子を表し、R5iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R5a〜R5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R5a〜R5hのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式6中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R6a〜R6fのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式7中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7iを表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
式8中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが上記式Wで表される基である。
【0049】
式9中、X9a及びX9bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式Wで表される基を表し、R9a、R9b、R9e及びR9fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
式10中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは上記式Wで表される置換基を表し、X10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR10iを表し、R10iはそれぞれ独立に、水素原子又は上記式Wで表される基を表す。
式11中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式12中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
【0050】
式13中、X13a及びX13bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR13nを表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式14中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式15中、X15a〜X15dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
式16中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表し、R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは上記式Wで表される基である。
【0051】
−式1で表される化合物−
【0052】
【化12】
【0053】
式1において、A1a及びA1bはそれぞれ独立に、S原子(硫黄原子)、O原子(酸素原子)又はSe原子(セレン原子)を表す。A1a及びA1bはS原子又はO原子が好ましい。また、A1a及びA1bは互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。
式1において、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが後述する式Wで表される基である。
【0054】
式1で表される化合物は、後述する式Wで表される基以外のその他の置換基を有していてもよい。
式1のR1a〜R1fがとり得る置換基の種類は特に制限されないが、以下に説明する置換基Xが挙げられる。置換基Xとしては、後述する式Wで表される基、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基が挙げられる。なお、本明細書の式1〜式16においては、「置換基」としては、上記置換基Xが好ましく挙げられる。
これらの中でも、後述する式Wで表される基以外の基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換又は無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のメチルチオ基、フェニル基がより好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換又は無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のメチルチオ基が特に好ましい。
【0055】
式1で表される化合物中において、R1a〜R1fのうち、式Wで表される基以外のその他の置換基の個数は0〜4であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、これら置換基は、更に上記置換基Xを有していてもよい。
中でも、R1c〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基であることが好ましい。
【0056】
次に、式Wで表される基について説明する。
−L−R (W)
式W中、Lは下記式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基、又は、二以上の下記式L−1〜L−25のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表す。
【0057】
【化13】
【0058】
式L−1〜式L−25中、*はRとの結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表す。より具体的には、例えば、式1で表される化合物においては、波線部分は式1で表される骨格を形成する環と結合する。なお、後述するように、式Wが他の化合物に含まれる場合、波線部分は各化合物の骨格を形成する環と結合する。
なお、Lが式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表す場合、一方の連結基の*が、他方の連結基の波線部分と結合する。
式L−13〜式L−24におけるR’の結合位置及びRとの結合位置*は、芳香環又は複素芳香環上の任意の位置をとることができる。
式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。式L−20及び式L−24におけるRは水素原子又は置換基を表す。式L−25におけるRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式L−1及び式L−2中のR’はそれぞれLに隣接するRと結合して縮合環を形成してもよい。
【0059】
これらの中でも、式L−17〜式L−21、式L−23及び式L−24のいずれかで表される二価の連結基は、下記式L−17A〜式L−21A、式L−23A及び式L−24Aで表される二価の連結基であることがより好ましい。
【0060】
【化14】
【0061】
ここで、置換又は無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、式Wにおける−R単独と解釈することもでき、式Wにおける−L−Rと解釈することもできる。
本発明では、主鎖が炭素数N個の置換又は無置換のアルキル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で式Wにおける−L−Rと解釈することとし、具体的には「式WにおけるLに相当する式L−1で表される基1個」と「式WにおけるRに相当する主鎖が炭素数N−1個の置換又は無置換のアルキル基」とが結合した置換基として解釈する。例えば、炭素数8のアルキル基であるn−オクチル基が置換基の末端に存在する場合、2個のR’が水素原子である式L−1で表される基1個と、炭素数7のn−ヘプチル基とが結合した置換基として解釈する。
一方、本発明では、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で、式WにおけるR単独と解釈する。例えば、−(OCHCH)−(OCHCH)−(OCHCH)−OCH基が置換基の末端に存在する場合、オキシエチレン単位の繰り返し数vが3のオリゴオキシエチレン基単独の置換基として解釈する。
【0062】
が式L−1〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基が結合した連結基を形成する場合、式L−1〜式L−25のいずれかで表される2価の連結基の結合数は、2〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
【0063】
式L−1、式L−2、式L−6及び式L−13〜式L−24中の置換基R’としては、上記の式1のR1a〜R1fがとり得る置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも、式L−6中の置換基R’はアルキル基であることが好ましく、式L−6中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基の炭素数は1〜9であることが好ましく、4〜9であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、5〜9であることが更に好ましい。式L−6中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基は直鎖アルキル基であることが、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式L−20及び式L−24中のRは水素原子又は置換基を表し、Rとしては、上記の式1のR1a〜R1fがとり得る置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも、Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
式L−25中のRsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、アルキル基であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキル基としては、特に制限はないが、Rsiがとり得るアルキル基の好ましい範囲は、Rがトリアルキルシリル基である場合にトリアルキルシリル基がとり得るアルキル基の好ましい範囲と同様である。Rsiがとり得るアルケニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルケニル基が好ましく、分枝アルケニル基であることがより好ましく、アルケニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルキニル基が好ましく、分枝アルキニル基であることがより好ましく、アルキニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。
【0064】
は、式L−1〜式L−5、式L−13、式L−17及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基、又は、式L−1〜式L−5、式L−13、式L−17及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基が2以上結合した二価の連結基であることが好ましく、式L−1、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基、又は、式L−1、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基が2以上結合した二価の連結基であることがより好ましく、式L−1、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれかで表される二価の連結基、又は、式L−3、式L−13及び式L−18のいずれか1つで表される二価の連結基と式L−1で表される二価の連結基とを結合した二価の連結基であることが特に好ましい。
式L−3、式L−13及び式L−18のいずれか1つで表される二価の連結基と式L−1で表される二価の連結基が結合した二価の連結基は、式L−1で表される二価の連結基がR側に結合することが好ましい。
また、Lは、化学的安定性、キャリア輸送性の観点から式L−1で表される二価の連結基を含む二価の連結基であることが特に好ましく、式L−1で表される二価の連結基であることがより特に好ましく、Lが式L−1で表される二価の連結基であり、Rが置換又は無置換のアルキル基であることが最も好ましい。
【0065】
式Wにおいて、Rは置換又は無置換のアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、置換若しくは無置換のトリアルキルシリル基を表す。
式Wにおいて、Rに隣接するLが式L−1で表される二価の連結基である場合は、Rは置換又は無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数が2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基であることが好ましく、置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
式Wにおいて、Rに隣接するLが式L−2及び式L−4〜式L−25のいずれかで表される二価の連結基である場合は、Rは置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
式Wにおいて、Rに隣接するLが式L−3で表される二価の連結基である場合は、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のトリアルキルシリル基であることが好ましい。
【0066】
が置換又は無置換のアルキル基の場合、炭素数は4〜17であることが好ましく、6〜14であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、6〜12であることが更に好ましい。Rが上記の範囲の長鎖アルキル基であること、特に長鎖の直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
がアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
これらの中でも、式WにおけるRとLの組み合わせとしては、式1中、Lが式L−1で表される二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖の炭素数7〜17のアルキル基であるか、あるいは、Lが式L−3、式L−13及び式L−18のいずれか1つで表される二価の連結基と式L−1で表される二価の連結基が結合した二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖のアルキル基であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。
が式L−1で表される二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖の炭素数7〜17のアルキル基である場合、Rが直鎖の炭素数7〜14のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点からより好ましく、直鎖の炭素数7〜12のアルキル基であることが特に好ましい。
が式L−3、式L−13及び式L−18のいずれか1つで表される二価の連結基と式L−1で表される二価の連結基が結合した二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖のアルキル基である場合、Rが直鎖の炭素数4〜17のアルキル基であることがより好ましく、直鎖の炭素数6〜14のアルキル基であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、直鎖の炭素数6〜12のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点から特に好ましい。
一方、有機溶媒への溶解度を高める観点からは、Rが分枝アルキル基であることが好ましい。
が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子などを挙げることができ、フッ素原子が好ましい。なお、Rがフッ素原子を有するアルキル基である場合はアルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されてパーフルオロアルキル基を形成してもよい。ただし、Rは無置換のアルキル基であることが好ましい。
【0067】
がオキシエチレン基の繰り返し数が2以上のオリゴオキシエチレン基の場合、Rが表す「オリゴオキシエチレン基」とは本明細書中、−(OCHCH−OYで表される基のことをいう(オキシエチレン単位の繰り返し数vは2以上の整数を表し、末端のYは、水素原子又は置換基を表す。)。なお、オリゴオキシエチレン基の末端のYが水素原子である場合はヒドロキシ基となる。オキシエチレン単位の繰り返し数vは、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
オリゴオキシエチレン基の末端のヒドロキシ基は封止されていること、すなわちYが置換基を表すことが好ましい。この場合、ヒドロキシ基は、炭素数が1〜3のアルキル基で封止されること、すなわち、Yが炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、Yがメチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0068】
が、シロキサン基、又は、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基の場合、シロキサン単位の繰り返し数は2〜4であることが好ましく、2〜3であることが更に好ましい。また、ケイ素原子(Si原子)には、水素原子やアルキル基が結合することが好ましい。ケイ素原子にアルキル基が結合する場合、アルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、例えば、メチル基やエチル基が結合することが好ましい。ケイ素原子には、同一のアルキル基が結合してもよく、異なるアルキル基又は水素原子が結合してもよい。また、オリゴシロキサン基を構成するシロキサン単位はすべて同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一であることが好ましい。
【0069】
に隣接するLが式L−3で表される二価の連結基である場合、Rが置換又は無置換のトリアルキルシリル基であることも好ましい。Rが置換又は無置換のトリアルキルシリル基である場合はその中でも、シリル基の置換基としては、置換又は無置換のアルキル基であれば特に制限はないが、分枝アルキル基であることがより好ましい。ケイ素原子に結合するアルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、例えば、メチル基やエチル基やイソプロピル基が結合することが好ましい。ケイ素原子には、同一のアルキル基が結合してもよく、異なるアルキル基が結合してもよい。Rがアルキル基上に更に置換基を有するトリアルキルシリル基である場合の置換基としては、特に制限はない。
【0070】
式Wにおいて、L及びRに含まれる炭素数の合計は5〜18であることが好ましい。L及びRに含まれる炭素数の合計が上記範囲の下限値以上であると、キャリア移動度が高くなり、駆動電圧を低くなる。L及びRに含まれる炭素数の合計が上記範囲の上限値以下であると、有機溶媒に対する溶解性が高くなる。
及びRに含まれる炭素数の合計は、5〜14であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜12であることが更に好ましく、8〜12であることが特に好ましい。
【0071】
式1で表される化合物中において、R1a〜R1fのうち、式Wで表される基の個数は1〜4個であることが好ましく、1〜2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
【0072】
本発明では、式1において、R1a及びR1bのうち少なくとも1つが式Wで表される基であることが好ましい。式1における置換位置として、これらの位置が好ましいのは、化合物の化学的安定性に優れ、最高被占軌道(HOMO)準位、分子の膜中でのパッキングの観点からも好適であるためであると考えられる。特に、式1において、R1a及びR1bの2箇所を置換基とすることにより、高いキャリア濃度を得ることができる。
また、式1において、R1c〜R1fがそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基であることが好ましい。
【0073】
−式2で表される化合物−
【0074】
【化15】
【0075】
式2中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i(>N−R2i)、O原子又はS原子を表す。X2a及びX2bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X2a及びX2bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。
2a及びX2bは、同じ連結基であることが好ましい。X2a及びX2bはいずれもS原子であることがより好ましい。
2iは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
2iがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
【0076】
式2中、A2aは、CR2g又はN原子を表し、A2bは、CR2h又はN原子を表し、R2g及びR2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。A2aがCR2gであるか、A2bがCR2hであることが好ましく、A2aがCR2gであり、かつA2bがCR2hであることがより好ましい。A2a及びA2bは、同じであっても互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
式2において、R2eとR2gとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式2において、R2fとR2hとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
【0077】
式2中、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも1つは式Wで表される置換基を表す。
2a〜R2hがそれぞれ独立に、とり得る置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される置換基の定義は、上述の通りである。
2a〜R2hがそれぞれ独立に、とり得る置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、式Wで表される置換基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、式Wで表される基がより好ましく、後述の連結基鎖長が3.7Å以下の基及び式Wで表される基が特に好ましく、式Wで表される基がより特に好ましい。
【0078】
式2で表される化合物中、R2a〜R2hのうち、式Wで表される基は1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
2a〜R2hのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はないが、R2e又はR2fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
【0079】
2a〜R2hのうち、式Wで表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
【0080】
2a〜R2hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å(0.37nm)以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。
ここで、連結基鎖長とはC(炭素原子)−R結合におけるC原子から置換基Rの末端までの長さのことを指す。構造最適化計算は、密度汎関数法(Gaussian03(米ガウシアン社)/基底関数:6−31G、交換相関汎関数:B3LYP/LANL2DZ)を用いて行うことができる。なお、代表的な置換基の分子長としては、プロピル基は4.6Å、ピロール基は4.6Å、プロピニル基は4.5Å、プロペニル基は4.6Å、エトキシ基は4.5Å、メチルチオ基は3.7Å、エテニル基は3.4Å、エチル基は3.5Å、エチニル基は3.6Å、メトキシ基は3.3Å、メチル基は2.1Å、水素原子は1.0Åである。
【0081】
2a〜R2hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましい。
2a〜R2hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
2a〜R2hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
2a〜R2hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
2a〜R2hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
【0082】
−式3で表される化合物−
【0083】
【化16】
【0084】
式3において、R3a〜R3f並びに後述するR3g及びR3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R3a〜R3hのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表す。
3a〜R3hで表される置換基としては、上記置換基Xが挙げられる。式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
3a〜R3fがそれぞれ独立にとり得る置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は、式Wで表される置換基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式Wで表される基がより好ましい。
【0085】
式3において、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3g(>N−R3g)を表し、R3gは水素原子又は置換基を表す。Xは、S原子、O原子が好ましい。式3において、X3a及びX3bは、同じであることが好ましい。
3gは、水素原子、アルキル基、又は、アリール基であることが好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基であることが特に好ましい。R3gが上記の範囲の長鎖アルキル基であること、特に長鎖の直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
3gがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
【0086】
式3において、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表し、CR3hを表すことが好ましい。式3において、A3a及びA3bは、同じであっても互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
3hは連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
3hは、水素原子、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、水素原子、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
【0087】
−式4で表される化合物−
【0088】
【化17】
【0089】
式4中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表す。
4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが好ましく、X4a及びX4bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点からより好ましい。X4a及びX4bは、同じ連結基であることが好ましい。X4a及びX4bはいずれもS原子であることが特に好ましい。
【0090】
式(4)中、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す。4p及び4qがそれぞれ独立に、0又は1であることが移動度と溶解性を両立する観点から好ましく、4p=4q=0又は4p=4q=1であることがより好ましい。
【0091】
式4中、R4a〜R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、式Wで表される基を表し、かつ、R4a〜R4k及びR4mのうち少なくとも一つは式Wで表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が式Wで表される基である場合は、R4eとR4fとが表す式Wにおいて、Lは上記式L−2又は式L−3で表される二価の連結基である。なお、式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
【0092】
4e及びR4fのうち少なくとも一方が式Wで表される基である場合は、すなわちR4e及びR4fのうちいずれか一方でも水素原子でもなくハロゲン原子でもない場合に相当する。
4e及びR4fのうち少なくとも一方が式Wで表される基である場合、R4e及びR4fが表す式Wにおいて、Lは上記式L−3で表される二価の連結基であることが好ましい。
4e及びR4fのうち少なくとも一方が式Wで表される基である場合、R4e及びR4fは、いずれも式Wで表される基であることが好ましい。
なお、R4e及びR4fがともに水素原子又はハロゲン原子の場合、R4a〜R4d、R4g〜R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式Wで表される基であり、かつ、R4a〜R4d、R4g〜R4k及びR4mのうち少なくとも1つ以上は式Wで表される基となる。
【0093】
式4中、R4a〜R4k及びR4mが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましく、フッ素原子であることが特に好ましい。
【0094】
式4で表される化合物中、R4a〜R4k及びR4mのうち、ハロゲン原子は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
【0095】
式4で表される化合物中、R4a〜R4k及びR4mのうち、式Wで表される基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
4a〜R4k及びR4mのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はない。その中でも、本発明では、式4中、R4a、R4d〜R4g、R4j、R4k及びR4mがそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子であり、R4b、R4c、R4h及びR4iがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式Wで表される基であり、かつ、R4b、R4c、R4h及びR4iのうち少なくとも1つは式Wで表される基であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
本発明では、R4a、R4c〜R4h及びR4jがそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、R4b及びR4iがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式Wで表される基であり、かつ、少なくとも1つは式Wで表される基であることがより好ましい。
本発明では、R4b及びR4iがともに式Wで表される基であり、かつR4c及びR4hがともに水素原子又はハロゲン原子であるか、R4c及びR4hがともに式Wで表される基であり、かつR4b及びR4iがともに水素原子又はハロゲン原子であることが更に好ましい。
本発明では、R4b及びR4iがともに式Wで表される基であり、かつR4c及びR4hがともに水素原子又はハロゲン原子であるか、R4c及びR4hがともに式Wで表される基であり、かつR4b及びR4iがともに水素原子又はハロゲン原子であることが特に好ましい。
式4において、2以上のR4a〜R4k及びR4mは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
【0096】
−式5で表される化合物−
【0097】
【化18】
【0098】
式5中、X5a及びX5bはそれぞれ独立に、NR5i、O原子又はS原子を表す。X5a及びX5bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X5a及びX5bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X5a及びX5bは、同じ連結基であることが好ましい。X5a及びX5bはいずれもS原子であることがより好ましい。
5iは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
5iがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
【0099】
式5中、A5aはCR5g又はN原子を表し、A5bはCR5h又はN原子を表し、R5g及びR5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。A5aがCR5gであるか、A5bがCR5hであることが好ましく、A5aがCR5gかつA5bがCR5hであることがより好ましい。A5a及びA5bは、同じであっても互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0100】
式5において、R5eとR5gとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式5において、R5eとR5iとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式5において、R5fとR5hとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式5において、R5fとR5iとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
【0101】
式5中、R5a〜R5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R5a〜R5hのうち少なくとも1つが式Wで表される基である。
なお、R5a〜R5hで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
【0102】
式5で表される化合物中、R5a〜R5hのうち、式Wで表される基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
5a〜R5hのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はないが、R5e又はR5fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
5a〜R5hのうち、式Wで表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
【0103】
5a〜R5hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
5a〜R5hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
5a〜R5hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
5a〜R5hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
5a〜R5hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
5a〜R5hが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
【0104】
−式6で表される化合物−
【0105】
【化19】
【0106】
式6中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
6a〜X6dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X6a〜X6dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X6a〜X6dは、同じ連結基であることが好ましい。X6a〜X6dはいずれもS原子であることがより好ましい。
6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
6gがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
【0107】
式6中、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも1つは式Wで表される基を表す。
なお、R6a〜R6fで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
これらの中でも、R6a〜R6fがそれぞれ独立にとり得る置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、又は、アルキルチオ基、式Wで表される基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式Wで表される基がより好ましく、後述の連結基鎖長が3.7Å以下の基、又は、式Wで表される基が更に好ましく、式Wで表される基が特に好ましい。
【0108】
式6で表される化合物中、R6a〜R6fのうち、式Wで表される基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
6a〜R6fのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はないが、R6c〜R6fであることが好ましく、R6e又はR6fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点からより好ましい。
【0109】
6a〜R6fのうち、式Wで表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
6a〜R6fが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
6a〜R6fが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
6a〜R6fが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
6a〜R6fが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
6a〜R6fが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
6a〜R6fが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
【0110】
−式7で表される化合物−
【0111】
【化20】
【0112】
式7中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7i(>N−R7i)を表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表す。X7a〜X7dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X7a〜X7dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X7a〜X7dは、同じ連結基であることが好ましい。X7a〜X7dはいずれもS原子であることがより好ましい。
【0113】
式7中、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが式Wで表される基である。
なお、R7a〜R7iで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R7iは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数5〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜10のアルキル基であることが特に好ましい。
7iがアルキル基を表す場合、直鎖のアルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖のアルキル基であることが、HOMO軌道の重なりの観点から好ましい。
【0114】
式7で表される化合物中、R7a〜R7iのうち、式Wで表される置換基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
7a〜R7iのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はないが、R7d又はR7hであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R7d及びR7hがより好ましい。
式7のR7a〜R7iのうち、式Wで表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
7a〜R7iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
7a〜R7iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
7a〜R7iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
7a〜R7iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
7a〜R7iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
7a〜R7iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式Wで表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
【0115】
−式8で表される化合物−
【0116】
【化21】
【0117】
式8中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表す。X8a〜X8dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X8a〜X8dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X8a〜X8dは、同じ連結基であることが好ましい。X8a〜X8dはいずれもS原子であることがより好ましい。
【0118】
式8中、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが式Wで表される基である。
なお、R8a〜R8iで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R8iは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数5〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜10のアルキル基であることが特に好ましい。
8iがアルキル基を表す場合、直鎖のアルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖のアルキル基であることが、HOMO軌道の重なりの観点から好ましい。
【0119】
式8で表される化合物中、R8a〜R8iのうち、式Wで表される置換基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
8a〜R8iのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はないが、R8c又はR8gであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R8c及びR8gがより好ましい。
また、式8のR8a〜R8iのうち、式Wで表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
【0120】
8a〜R8iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
8a〜R8iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
8a〜R8iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
8a〜R8iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
8a〜R8iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
8a〜R8iが式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式Wで表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
【0121】
−式9で表される化合物−
【0122】
【化22】
【0123】
式9中、X9a及びX9bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表す。中でも、S原子が好ましい。
9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式Wで表される置換基を表す。式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
9a、R9b、R9e及びR9fは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、R9a、R9b、R9e及びR9fで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。
なお、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式Wで表される基(ただし、Lは式L−3、式L−5、式L−7〜式L−9、式L−12〜式L−24のいずれかで表される基である。)を表すことが好ましい。中でも、R9c、R9d及びR9g〜R9jは、水素原子がより好ましい。
なお、Lとしては、式L−3、式L−5、式L−13、式L−17及び式L−18のいずれかで表される基であることが好ましい。
9a〜R9iのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表すことが好ましい。
【0124】
式9で表される化合物中、R9a〜R9iのうち、式Wで表される置換基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
9a〜R9iのうち、式Wで表される基の位置に特に制限はないが、R9b又はR9fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R9b及びR9fがより好ましい。
また、式9のR9a〜R9iのうち、式Wで表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
【0125】
−式10で表される化合物−
【0126】
【化23】
【0127】
式10中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは式Wで表される基を表す。なお、R10a〜R10hで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式Wで表される置換基の定義は、上述の通りである。
中でも、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましい。
式10のR10a〜R10hは、R10b及びR10fのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基であることがより好ましく、R10b及びR10fのいずれもが、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基であることが更に好ましく、置換若しくは無置換のフェニルチオ基又は下記群Aから選ばれるヘテロアリールチオ基であることが特に好ましく、置換若しくは無置換のフェニルチオ基又は下記式A−17、式A−18、式A−20で表されるヘテロアリールチオ基であることが最も好ましい。
【0128】
アリールチオ基としては、炭素数6〜20のアリール基に硫黄原子が連結した基が好ましく、ナフチルチオ基又はフェニルチオ基がより好ましく、フェニルチオ基が特に好ましい。
ヘテロアリールチオ基としては、3〜10員環のヘテロアリール基に硫黄原子が連結した基が好ましく、5又は6員環のヘテロアリール基に硫黄原子が連結した基がより好ましく、下記群Aが特に好ましい。
【0129】
【化24】
【0130】
群A中、R”及びR”はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
群A中、R’はそれぞれ独立に、水素原子又は式Wで表される基を表すことが好ましい。
群A中、R”は、置換基を表すことが好ましく、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基、アルキル基で置換されたアリール基、又は、アルキル基で置換されたヘテロアリール基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基、又は、炭素数1〜4のアルキル基で置換された5員のヘテロアリール基が特に好ましい。
【0131】
アルキルオキシカルボニル基としては、炭素数1〜20のアルキル基にカルボニル基が連結した基が好ましい。アルキル基の炭素数は、2〜15がより好ましく、5〜10が特に好ましい。
【0132】
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数6〜20のアリール基にカルボニル基が連結した基が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜15がより好ましく、8〜12が特に好ましい。
【0133】
アルキルアミノ基としては、炭素数1〜20のアルキル基にアミノ基が連結した基が好ましい。アルキル基の炭素数は、2〜15がより好ましく、5〜10が特に好ましい。
10a〜R10hのうち、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基以外の置換基(以下、他の置換基ともいう。)は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
【0134】
10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR(>N−R)を表す。X10a及びX10bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X10a及びX10bは、同じ連結基であることが好ましい。X10a及びX10bは、いずれもS原子であることがより好ましい。
はそれぞれ独立に、水素原子又は式Wで表される基を表す。式Wで表される基の定義は上述の通りである。
【0135】
−式11で表される化合物−
【0136】
【化25】
【0137】
式11中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される置換基の定義は、上述の通りである。
【0138】
式11中、X11a及びX11bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X11a及びX11bは、同じ連結基であることが好ましい。X11a及びX11bはいずれもS原子であることがより好ましい。
式11のR11a〜R11k及びR11mは、R11c及びR11iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R11c及びR11iのいずれもが、置換若しくは無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
【0139】
−式12で表される化合物−
【0140】
【化26】
【0141】
式12中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは式Wで表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される置換基の定義は、上述の通りである。
【0142】
式12中、X12a及びX12bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X12a及びX12bは、同じ連結基であることが好ましい。X12a及びX12bはいずれもS原子であることがより好ましい。
式12のR12a〜R12k及びR12mは、R12c及びR12iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R12c及びR12iのいずれもが、置換又は無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
【0143】
−式13で表される化合物−
【0144】
【化27】
【0145】
式13中、X13a及びX13bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR13nを表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
【0146】
式13中、X13a及びX13bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X13a及びX13bは、同じ連結基であることが好ましい。X13a及びX13bはいずれもS原子であることがより好ましい。
式13のR13a〜R13k及びR13mは、R13c及びR13iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R13c及びR13iのいずれもが、置換若しくは無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
【0147】
−式14で表される化合物−
【0148】
【化28】
【0149】
式14中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R14a〜R14hの少なくとも1つが式Wで表される基であり、Rがアルキル基である場合には、Lは式L−2〜式L−25のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0150】
式14中、X14a〜X14cのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X14a〜X14cは、同じ連結基であることが好ましい。X14a〜X14cはいずれもS原子であることがより好ましい。
がアルキル基である場合のLとしては、式L−2〜式L−5、式L−13、式L−17、又は、式L−18のいずれかで表される基が好ましく、式L−3、式L−13、又は、式L−18のいずれかで表される基がより好ましい。
式14のR14a〜R14hは、R14b及びR14gのうち少なくとも1つが、式Wで表される基であることが好ましく、R14b及びR14gのいずれもが、式Wで表される基であることがより好ましい。
【0151】
−式15で表される化合物−
【0152】
【化29】
【0153】
式15中、X15a〜X15dはそれぞれ独立にS原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
【0154】
式15中、X15a〜X15dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X15a〜X15dは、同じ連結基であることが好ましい。X15a〜X15dはいずれもS原子であることがより好ましい。
式15のR15a〜R15fは、R15b及びR15eのうち少なくとも1つが、式Wで表される基であることが好ましく、R15b及びR15eのいずれもが、式Wで表される基であることがより好ましい。
【0155】
−式16で表される化合物−
【0156】
【化30】
【0157】
式16中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表す。R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは、式Wで表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式Wで表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R16c及びR16fは、水素原子、ハロゲン原子又は式Wで表される基(ただし、Lは、式L−3、式L−5、式L−7〜式L−9、式L−12〜式L−24のいずれかで表される基である。)であることが好ましい。R16a、R16b、R16d、R16e及びR16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表すことが好ましい。
なお、式16において、Lは、式L−3、式L−5、式L−7〜式L−9、式L−12〜式L−24のいずれかで表される基であり、R16c及びR16fが式Wで表される基の場合、式L−3、式L−5、式L−13、式L−17、式L−18のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0158】
式16中、X16a〜X16dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X16a〜X16dは、同じ連結基であることが好ましい。X16a〜X16dはいずれもS原子であることがより好ましい。
式16のR16a〜R16fは、R16a及びR16dのうち少なくとも1つが、式Wで表される基であることが好ましく、R16a及びR16dのいずれもが、式Wで表される基であることがより好ましい。
また、R16c及びR16fは、水素原子であることが好ましい。
【0159】
特定有機半導体は、上記縮合多環芳香族基における縮合多環芳香環上に、アルキル基を有することが好ましく、炭素数6〜20のアルキル基を有することがより好ましく、炭素数7〜14のアルキル基を有することが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
また、特定有機半導体は、上記縮合多環芳香族基における縮合多環芳香環上に、1つ以上のアルキル基を有することが好ましく、2〜4つのアルキル基を有することがより好ましく、2つのアルキル基を有することが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
【0160】
特定有機半導体の分子量は、特に制限されないが、分子量が3,000以下であることが好ましく、2,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることが更に好ましく、850以下であることが特に好ましい。分子量を上記上限値以下とすることにより、溶媒への溶解性を高めることができる。一方で、薄膜の膜質安定性の観点からは、分子量は300以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、400以上であることが更に好ましい。
【0161】
特定有機半導体の合成方法は、特に制限されず、公知の方法を参照して合成できる。上記式1〜式16で表される化合物の合成方法としては、例えば、Journal of American Chemical Society,116,925(1994)、Journal of Chemical Society,221(1951)、Org.Lett.,2001,3,3471、Macromolecules,2010,43,6264、Tetrahedron,2002,58,10197、特表2012−513459号公報、特開2011−46687号公報、Journal of Chemical Research.miniprint,3,601−635(1991)、Bull.Chem.Soc.Japan,64,3682−3686(1991)、Tetrahedron Letters,45,2801−2803(2004)、欧州特許公開第2251342号明細書、欧州特許公開第2301926号明細書、欧州特許公開第2301921号明細書、韓国特許公開第10−2012−0120886号公報、J.Org.Chem.,2011,696、Org.Lett.,2001,3,3471、Macromolecules,2010,43,6264、J.Org.Chem.,2013,78,7741、Chem.Eur.J.,2013,19,3721、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1987,60,4187、J.Am.Chem.Soc.,2011,133,5024、Chem.Eur.J.,2013,19,3721、Macromolecules,2010,43,6264−6267、J.Am.Chem.Soc.,2012,134,16548−16550などが挙げられる。
【0162】
なお、有機半導体における移動度の観点から、特定有機半導体は、式1〜式9、式14、及び、式15のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0163】
以下に特定有機半導体の好ましい具体例を示すが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0164】
【化31】
【0165】
【化32】
【0166】
【化33】
【0167】
【化34】
【0168】
【化35】
【0169】
【化36】
【0170】
【化37】
【0171】
【化38】
【0172】
【化39】
【0173】
【化40】
【0174】
本発明の有機半導体組成物における特定有機半導体の含有量は、特に制限はないが、有機半導体組成物の全質量に対し、0.005〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましい。
【0175】
<バインダーポリマー>
本発明の有機半導体組成物は、バインダーポリマーを更に含有することが好ましい。
また、後述する本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体層とバインダーポリマーを含む層を有する有機半導体素子であってもよい。
バインダーポリマーの種類は特に制限されず、公知のバインダーポリマーを用いることができる。
バインダーポリマーとしては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
中でも、バインダーポリマーとしては、ベンゼン環を有する高分子化合物(ベンゼン環基を有する単量体単位を有する高分子)が好ましい。ベンゼン環基を有する単量体単位の含有量は特に制限されないが、全単量体単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
上記バインダーポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4−ビニルフェニル)、ポリ(4−メチルスチレン)などが挙げられる。
【0176】
バインダーポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000〜200万が好ましく、3,000〜150万がより好ましく、10万〜100万が更に好ましい。
また、後述する溶媒を用いる場合、バインダーポリマーは、使用する溶媒への溶解度が、特定化合物よりも高いことが好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体の移動度及び熱安定性により優れる。
本発明の有機半導体組成物におけるバインダーポリマーの含有量は、特定有機半導体の含有量100質量部に対し、1〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましく、20〜120質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
【0177】
<その他の成分>
本発明の有機半導体組成物には、特定有機半導体、有機溶媒A、有機溶媒B、特定界面活性剤及びバインダーポリマー以外に他の成分が含まれていてもよい。
その他の成分としては、公知の添加剤等を用いることができる。
本発明の有機半導体組成物における特定有機半導体、有機溶媒A、有機溶媒B、特定界面活性剤及びバインダーポリマー以外の成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、膜形成性に優れ、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れる。
【0178】
本発明の有機半導体組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、有機溶媒A、有機溶媒B又は有機溶媒A及びBの混合溶媒中に所定量の特定有機半導体、特定界面活性剤、及び、必要に応じて、残りの有機溶媒を同時又は逐次に添加して、適宜撹拌処理を施すことにより、所望の組成物を得ることができる。
【0179】
(有機半導体膜及び有機半導体素子)
本発明の有機半導体膜は、本発明の有機半導体組成物より製造された有機半導体膜である。
本発明の有機半導体素子は、本発明の有機半導体組成物より形成された有機半導体を有する有機半導体素子である。
本発明の有機半導体組成物を用いて有機半導体膜や有機半導体素子を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、組成物を所定の基材上に付与して、必要に応じて乾燥処理を施して、有機半導体膜を製造する方法が挙げられる。
基材上に組成物を付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法などが挙げられ、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法が好ましい。
なお、フレキソ印刷法としては、フレキソ印刷版として感光性樹脂版を用いる態様が好適に挙げられる。態様によって、組成物を基板上に印刷して、パターンを容易に形成することができる。
中でも、本発明の有機半導体膜の製造方法、及び、本発明の有機半導体素子の製造方法は、本発明の有機半導体組成物を基板上に塗布する塗布工程、及び、塗布された組成物から有機溶媒A及び有機溶媒Bを除去する除去工程を含むことが好ましい。
【0180】
上記除去工程における乾燥処理は、必要に応じて実施される処理であり、使用される特定有機半導体及び有機溶媒の種類により適宜最適な条件が選択される。中でも、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性により優れ、また、生産性に優れる点で、加熱温度としては30℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、加熱時間としては10〜300分が好ましく、30〜180分がより好ましい。
【0181】
形成される有機半導体膜の膜厚は、特に制限されないが、得られる有機半導体の移動度及び経時安定性の観点から、10〜500nmが好ましく、30〜200nmがより好ましい。
【0182】
本発明の組成物より製造される有機半導体膜は、有機半導体素子に好適に使用することができ、有機トランジスタ(有機薄膜トランジスタ)に特に好適に使用することができる。
有機半導体素子としては、特に制限はないが、2〜5端子の有機半導体素子であることが好ましく、2又は3端子の有機半導体素子であることがより好ましい。
また、有機半導体素子としては、光電機能を用いない素子であることが好ましい。
2端子素子としては、整流用ダイオード、定電圧ダイオード、PINダイオード、ショットキーバリアダイオード、サージ保護用ダイオード、ダイアック、バリスタ、トンネルダイオード等が挙げられる。
3端子素子としては、バイポーラトランジスタ、ダーリントントランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、ユニジャンクショントランジスタ、静電誘導トランジスタ、ゲートターンサイリスタ、トライアック、静電誘導サイリスタ等が挙げられる。
これらの中でも、整流用ダイオード、及び、トランジスタ類が好ましく挙げられ、電界効果トランジスタがより好ましく挙げられる。
電界効果トランジスタとしては、有機薄膜トランジスタが好ましく挙げられる。
【0183】
本発明の有機薄膜トランジスタの一態様について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の有機半導体素子(有機薄膜トランジスタ(TFT))の一態様の断面模式図である。
図1において、有機薄膜トランジスタ100は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30のゲート電極20側とは反対側の表面に接するソース電極40及びドレイン電極42と、ソース電極40とドレイン電極42との間のゲート絶縁膜30の表面を覆う有機半導体膜50と、各部材を覆う封止層60とを備える。有機薄膜トランジスタ100は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
なお、図1においては、有機半導体膜50が、上述した組成物より形成される膜に該当する。
以下、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜及び封止層並びにそれぞれの形成方法について詳述する。
【0184】
<基板>
基板は、後述するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などを支持する役割を果たす。
基板の種類は特に制限されず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、セラミック基板などが挙げられる。中でも、各デバイスへの適用性及びコストの観点から、ガラス基板又はプラスチック基板であることが好ましい。
プラスチック基板の材料としては、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など)又は熱可塑性樹脂(例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォンなど)が挙げられる。
セラミック基板の材料としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイドなどが挙げられる。
ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダガラス、カリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミケイ酸ガラス、鉛ガラスなどが挙げられる。
【0185】
<ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極>
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の材料としては、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、タンタル、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO、SnO、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。中でも、金属であることが好ましく、銀又はアルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の厚みは特に制限されないが、20〜200nmであることが好ましい。
【0186】
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成する方法は特に制限されないが、例えば、基板上に、電極材料を真空蒸着又はスパッタする方法、電極形成用組成物を塗布又は印刷する方法などが挙げられる。また、電極をパターニングする場合、パターニングする方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;マスク蒸着法などが挙げられる。
【0187】
<ゲート絶縁膜>
ゲート絶縁膜の材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリベンゾキサゾール、ポリシルセスキオキサン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物;窒化珪素等の窒化物などが挙げられる。これらの材料のうち、有機半導体膜との相性から、ポリマーであることが好ましい。
ゲート絶縁膜の材料としてポリマーを用いる場合、架橋剤(例えば、メラミン)を併用するのが好ましい。架橋剤を併用することで、ポリマーが架橋されて、形成されるゲート絶縁膜の耐久性が向上する。
ゲート絶縁膜の膜厚は特に制限されないが、100〜1,000nmであることが好ましい。
【0188】
ゲート絶縁膜を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極が形成された基板上に、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法、ゲート絶縁膜材料を蒸着又はスパッタする方法などが挙げられる。ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法)を使用することができる。
ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
【0189】
<有機半導体膜>
本発明の有機半導体膜は、本発明の有機半導体組成物より形成された膜である。
有機半導体膜の形成方法は、特に制限されず、本発明の有機半導体組成物を、ソース電極、ドレイン電極、及び、ゲート絶縁膜上に付与して、必要に応じて乾燥処理を施すことにより、所望の有機半導体膜を形成することができる。
【0190】
<ポリマー層>
本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体を含む層と絶縁膜との間に上記ポリマー層を有することが好ましく、上記有機半導体とゲート絶縁膜との間に上記ポリマー層を有することがより好ましい。上記ポリマー層の膜厚は特に制限されないが、20〜500nmであることが好ましい。上記ポリマー層は、上記ポリマーを含む層であればよいが、上記ポリマーからなる層であることが好ましい。
【0191】
ポリマー層を形成する方法は特に制限されないが、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法、インクジェット法)を使用することができる。
ポリマー層形成用組成物を塗布してポリマー層を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
【0192】
<封止層>
本発明の有機半導体素子は、耐久性の観点から、最外層に封止層を備えるのが好ましい。封止層には公知の封止剤を用いることができる。
封止層の厚さは特に制限されないが、0.2〜10μmであることが好ましい。
【0193】
封止層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極とゲート絶縁膜とソース電極とドレイン電極と有機半導体膜とが形成された基板上に、封止層形成用組成物を塗布する方法などが挙げられる。封止層形成用組成物を塗布する方法の具体例は、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法と同じである。封止層形成用組成物を塗布して有機半導体膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
【0194】
また、図2は、本発明の有機半導体素子(有機薄膜トランジスタ)の別の一態様の断面模式図である。
図2において、有機薄膜トランジスタ200は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に配置された有機半導体膜50と、有機半導体膜50上に配置されたソース電極40及びドレイン電極42と、各部材を覆う封止層60を備える。ここで、ソース電極40及びドレイン電極42は、上述した本発明の組成物を用いて形成されたものである。有機薄膜トランジスタ200は、トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜及び封止層については、上述のとおりである。
【0195】
上記では図1及び図2において、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、及び、ボトムゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの態様について詳述したが、本発明の組成物はトップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、及び、トップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタにも適用できる。
なお、上述した有機薄膜トランジスタは、電子ペーパー、ディスプレイデバイスなどに好適に使用できる。
【実施例】
【0196】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。また、「wt%」は質量%を表す。
【0197】
(実施例1〜26、及び、比較例1〜6)
<有機半導体組成物の調製>
表1に記載の各成分の種類及び量に基づき、有機半導体と界面活性剤とを所定の混合溶媒に溶解させて、実施例1〜26、及び、比較例1〜6の有機半導体組成物をそれぞれ調製した。
【0198】
<TFT素子の形成>
以下の要領で、ボトムゲート−ボトムコンタクトTFT素子を形成した。
ガラス基板(イーグルXG:コーニング社製)上にゲート電極となるAlを蒸着した(厚み:80nm)。その上にゲート絶縁膜用組成物(ポリビニルフェノール/メラミン=1/1(w/w)のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液(溶液濃度:2質量%))をスピンコートし、150℃で60分間ベークを行い、ゲート絶縁膜を形成した。その上にAuをマスク蒸着し、チャネル長50μm、チャネル幅200μmのソース電極及びドレイン電極を形成した。その上に半導体組成物をインクジェット法又はフレキソ印刷法により塗布して、有機半導体層を形成し、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタ(有機薄膜トランジスタ)を得た。
【0199】
<有機半導体層:インクジェット法>
作製した有機半導体組成物を、上記ソースドレイン電極を形成した基板上に、インクジェット法によりコートした。インクジェット装置としては、DPP2831(富士フイルムグラフィックシステムズ(株)製)、10pLヘッドを用い、吐出周波数2Hz、ドット間ピッチ20μmでベタ膜を形成した。
【0200】
<有機半導体層:フレキソ印刷法>
作製した有機半導体溶液を、上記ソースドレイン電極を形成した基板上に、フレキソ印刷法によりコートした。印刷装置として、フレキソ適性試験機F1(アイジーティ・テスティングシステムズ(株)製)を用い、フレキソ樹脂版として、AFP DSH1.70%(旭化成(株)製)/ベタ画像を用いた。版と基板との間の圧は、60N、搬送速度0.4m/秒で印刷を行った後、そのまま、40℃下で2時間乾燥することで、有機半導体層を作製した。
【0201】
<移動度測定>
得られた有機薄膜トランジスタの各電極と、半導体パラメータ・アナライザ(4155C、Agilent Technologies社製)に接続されたマニュアルプローバの各端子とを接続して、電界効果トランジスタ(FET)の評価を行った。具体的には、ドレイン電流−ゲート電圧(Id−Vg)特性を測定することにより電界効果移動度(cm/V・sec)を算出した。移動度の値に応じて、A〜Eのランク付けを行った。
A:0.1cm/Vs以上
B:0.05cm/Vs以上、0.1cm/Vs未満
C:0.01cm/Vs以上、0.05cm/Vs未満
D:0.005cm/Vs以上、0.01cm/Vs未満
E:0.005cm/Vs未満
【0202】
<経時安定性>
移動度を測定した素子を1週間後に再び評価し、移動度の維持率に応じて、A〜Eのランク付けを行った。
A:維持率80%以上
B:維持率60%以上80%未満
C:維持率40%以上60%未満
D:維持率20%以上40%未満
E:維持率20%未満
【0203】
<SP値>
ハンセン溶解度パラメーター:A User’s Handbook, Second Edition, C. M. Hansen (2007), Taylor and Francis Group, LLC(HSPiPマニュアル)で解説された式によるハンセン溶解度パラメーターであり、「実践ハンセン溶解度パラメーターHSPiP第3版」(ソフトウエアーバージョン4.0.05)を用いて、下記式にてSP値(単位:MPa1/2)を算出した値を用いた。
(SP値)2=(δH2+(δH2+(δH2
:分散寄与
:極性寄与
:水素結合寄与
【0204】
【表1】
【0205】
表1及び下記表2におけるSP値、及び、ΔSPの単位は、MPa1/2である。
表1に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0206】
【表2】
【0207】
cis−デカリン(D0009、東京化成工業(株)製)
アミルベンゼン(A0449、東京化成工業(株)製)
テトラリン(T0107、東京化成工業(株)製)
アニソール(A0492、東京化成工業(株)製)
1−フルオロナフタレン(F0212、東京化成工業(株)製)
1,2−ジクロロベンゼン(D1116、東京化成工業(株)製)
【0208】
KF−410:R及びRの一部がメチルスチリル基(−CH−CH(CH)−C)である−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を含有する界面活性剤、信越化学工業(株)製
KF−412:R及びRの一部が長鎖アルキル基である−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を含有する界面活性剤、信越化学工業(株)製
KF−96−100cs:R及びRがメチル基である−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を含有する界面活性剤、信越化学工業(株)製、Mw=5,000〜6,000
KF−353:ポリエーテル変性界面活性剤、−O−SiR−で表される有機シロキサン部位を含有し、かつR又はRにエーテル結合を有する界面活性剤、信越化学工業(株)製
実施例で使用したOSC−1〜17は、上述したOSC−1〜17とそれぞれ同じ化合物である。
【0209】
【化41】
【0210】
上記有機半導体(OSC−1〜18)の合成方法又は製造元は、以下の通りである。
なお、OSC−1は、Journal of American Chemical Society, 116, 925(1994)、Journal of Chemical Society, 221(1951)などを参考にして合成した。
OSC−2は、公知文献(Org.Lett.,2001,3,3471、Macromolecules,2010,43,6264、Tetrahedron,2002,58,10197)を参考に合成した。
OSC−3は、特表2012−513459号公報、特開2011−46687号公報、Journal of Chemical Research.miniprint,3,601−635(1991)、Bull.Chem.Soc.Japan,64,3682−3686(1991)、Tetrahedron Letters,45,2801−2803(2004)などを参考にして合成した。
OSC−4は、欧州特許公開第2251342号明細書、欧州特許公開第2301926号明細書、欧州特許公開第2301921号明細書、韓国特許公開第10−2012−0120886号公報などを参考にして合成した。
OSC−5は、公知文献(J.Org.Chem.,2011,696、Org.Lett.,2001,3,3471、Macromolecules,2010,43,6264、J.Org.Chem.,2013,78,7741、Chem.Eur.J.,2013,19,3721)を参考にして合成した。
OSC−6は、公知文献(Bull.Chem.Soc.Japan,1987,60,4187、J.Am.Chem.Soc.,2011,133,5024、Chem.Eur.J.2013,19,3721)を参考にして合成した。
OSC−7及び8は、公知文献(Macromolecules,2010,43,6264−6267、J.Am.Chem.Soc.,2012,134,16548−16550)を参考にして合成した。
【0211】
OSC−9は、文献A(K.Muellen,Chem.Commun.,2008,1548−1550.)、文献B(K.Takimiya,Org.Lett.,2007,9,4499‐4502.)、文献C(Rao;Tilak,Journal of Scientific and Industrial Research,1958,vol.17 B,p.260−265.)、文献D(Ghaisas;Tilak,Journal of Scientific and Industrial Research,1955,vol.14 B,p.11.)を参考にして合成した。
OSC−10〜13は、公知文献(Journal of American Chemical Society, 129, 15732 (2007))を参考にして合成した。
OSC−14は、国際公開第2005/087780号に記載された方法に準じて合成を行った。
OSC−15は、特開2009−190999号公報に記載された方法に準じて合成を行った。
OSC−16は、特開2012−206953号公報に記載された方法に準じて合成を行った。
OSC−17としては、C8BTBT(シグマアルドリッチ社製)を用いた。
OSC−18としては、5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(シグマアルドリッチ社製)を用いた。
【符号の説明】
【0212】
10:基板、20:ゲート電極、30:ゲート絶縁膜、40:ソース電極、42:ドレイン電極、50:有機半導体膜、60:封止層、100、200:有機薄膜トランジスタ
図1
図2