(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。説明において同一または類似の構成、機能を有する要素には同一の符号を付与し、重複説明を省略する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1に、第1の実施の形態に係るセンサ回路の回路部を示す。
第1の実施の形態のセンサ回路は、オフセット成分V
prを含む入力信号(V
s+V
pr)を入力し、入力信号からオフセット成分V
pr以外の信号成分V
sに応じた積分値を得るセンサ回路であって、同図の回路部は、入力信号から所定の基準電圧V
bを減算した信号を第1の時間だけ積分した積分値と、基準電圧V
bから所定のオフセット制御電圧V
ofscを減算した信号を第2の時間だけ積分した積分値の合計を信号成分V
sに応じた積分値として得るためのものである。
図1では省略するが、センサ回路は、入力信号にオフセット成分V
prのみが含まれる場合の合計の積分値がゼロになるようにオフセット制御電圧V
ofscを調整する制御部を備える。
【0018】
第1の時間、第2の時間は、それぞれ、後述の積算回数k1と単位時間Δtの積、積算回数k2と単位時間Δの積である。
【0019】
センサ回路の回路部は、トランスデューサからの入力信号の入力の許可と基準電圧V
bの入力を切替えるスイッチSW1と、抵抗R
intgおよび容量C
intgとともに積分器を構成するオペアンプOp1と、積分器の積分動作の開始・停止を行うスイッチSW2と、積分器の容量C
intgに蓄積されている電荷をゼロにリセットするスイッチSW3と、オフセット設定値と変更信号に基づいてオフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、基準電圧V
bの抵抗R
intgへの入力とオフセット制御電圧V
ofscの抵抗R
intgへの入力を切替えるスイッチSW4とを含む。
【0020】
具体的には、センサ回路の回路部は、オペアンプOp1と、オペアンプOp1の負入力(−)と出力間に接続された容量C
intgと、オペアンプOp1の負入力に一方端を接続された抵抗R
intgと、オフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、オペアンプOp1の正入力(+)に接続された端子a1、入力信号(V
s+V
pr)が入力される回路節点に接続された端子b1、基準電圧V
bが印加される回路節点に接続された端子c1を含むスイッチSW1と、オペアンプOp1の正入力と抵抗R
intgの他方端間に接続されたスイッチSW2と、容量C
intgに並列に接続されたスイッチSW3と、基準電圧V
bが印加される回路節点に接続された端子b4、抵抗R
intgの他方端に接続された端子a4、オフセット制御電圧V
ofscが出力される回路節点に接続された端子c4を含むスイッチSW4とを含む。
【0021】
入力信号は、本来検出すべき信号成分V
sと除去すべきオフセット成分V
prの和である。
リセット信号は、スイッチSW3に入力され、信号INTGは、スイッチSW2に入力される。信号INTGは、積分区間を定めるものである。
【0022】
信号OFSCは、スイッチSW1、SW4に入力される。信号OFSCが高電位であるとき、スイッチSW1の端子a1と端子b1が接続され、スイッチSW4の端子a4と端子b4が接続される。信号OFSCが低電位であるとき、スイッチSW1の端子a1と端子c1が接続され、スイッチSW4の端子a4と端子c4が接続される。
【0023】
信号INTGが高電位になると、スイッチSW2はオフになり積分動作を行い、信号INTGが低電位になると、スイッチSW2はオンとなり積分動作を停止し、スイッチSW2がオンになる直前までの積分値を出力する。
【0024】
リセット信号が高電位であるとき、スイッチSW3はオンになり、リセット信号が低電位であるとき、スイッチSW3はオフになる。
【0025】
オフセット生成部1は、N
d=2
n階調のDAコンバータで構成され、オフセット設定値m
dはnビットのデータである。オフセット生成部1は、変更信号が低電位であるときは、オフセット設定値m
dに対応した電位のオフセット制御電圧V
ofscを出力し、変更信号が高電位であるときは、オフセット設定値にプラス1されたm
d+1に対応したオフセット制御電圧V
ofscを出力する。
【0026】
図2は、センサ回路の回路部、制御部、トランスデューサとの接続を示す図である。
センサ回路の回路部は、
図1に示す通りであり、センサ回路の制御部は、オペアンプOp1の出力電圧をデジタル化するアナログデジタル変換部2(ADC2)と、ADC2の出力に基づいて、スイッチSW1〜スイッチSW4およびオフセット生成部1を制御するコントローラ3を備える。コントローラ3は、オフセット生成部1にオフセット設定値m
dと変更信号を与え、スイッチSW1、SW4に信号OFSCを与え、スイッチSW2に信号INTGを与え、スイッチSW3にリセット信号を与える。
【0027】
トランスデューサは、例えば、電源電圧VDDとグラウンド間に抵抗R
sensorと抵抗Rの直列回路を接続したものであり、抵抗R
sensorと抵抗Rの接続点が端子b1に接続される。抵抗R
sensorの抵抗値は、センス対象の状態により変化し、これにより、信号成分V
sが変化する。よって、オフセット成分V
prを除いた信号成分V
s自体を測定できれば、センス対象の状態を検出できる。
【0028】
本実施の形態では、入力信号に信号成分V
sが含まれておらず、すなわち、入力信号にはオフセット成分V
prのみが含まれていると分かっているとき、コントローラ3は、後述する
図3の動作を行いつつ、オペアンプOp1の出力電圧をデジタル化したデータ(ADC2の出力)がゼロになるようにオフセット設定値を調整する。場合によっては、
図3の動作が複数回行われる。
【0029】
一方、入力信号に信号成分V
sとオフセット成分V
prが含まれていると分かっているとき、コントローラ3は、ADC2の出力がゼロとなったときのオフセット設定値を維持しつつ、後述する
図3の動作を行う。
【0030】
図3は、第1の実施の形態に係るセンサ回路の波形図である。
信号INTGと信号OFSCがともに高電位である場合、入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差が積分される。積分器の積分動作により容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数1】
【0031】
信号INTGが高電位で信号OFSCが低電位である場合、基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差が積分される。この積分動作により容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数2】
【0032】
変更信号が低電位でオフセット設定値がm
dであり、オフセット生成部1のDAコンバータの基準電圧をV
ddとすると、オフセット制御電圧V
ofsc=V
dd・m
d/N
dとなるため、式(2)は以下の式となる。
【数3】
【0033】
コントローラ3は、高電位であったリセット信号を低電位としてスイッチSW3をオフさせるとともに(
図3(a))、低電位であった信号INTGを高電位としてスイッチSW2をオフさせ、積分動作を開始する(
図3(c))。
【0034】
積算1回の動作において単位時間Δtの区間では、入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差を積分し、次の単位時間Δtの区間では、基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差を積分する。
【0035】
本実施の形態のセンサ回路では、変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返した後、変更信号を高電位にしてk2回積算を繰り返す(
図3(d))。
【0036】
変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返した時の容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数4】
【0037】
次に変更信号を高電位にするとオフセット制御電圧V
ofscはV
dd・(m
d+1)/N
dとなるためk2回の積算で容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数5】
【0038】
コントローラ3は、積算が完了したら、信号INTGを低電位にし、これにより、積算した電圧(オペアンプOp1の出力電圧)を容量C
intgに保持する。
【0039】
オペアンプOp1の出力電圧は、図示しない端末制御・通信部などでデジタル化され、データが生成される。データには、オフセット成分V
prが含まれないので、すなわち、信号成分V
sを正しく検出できたことになる。
【0040】
コントローラ3は、データが生成されたら、リセット信号を再び高電位にして容量C
intgに保持している電圧をゼロに初期化する。
【0041】
式(4)と式(5)からk1+k2=Np回積算繰り返した後で保持した時に容量C
intgに生じる電圧の合計は以下の式で表される。
【数6】
【0042】
この時のオペアンプOp1の出力電圧V
outは、
OFSC信号が低電位でオペアンプOp1の正入力(+)に基準電圧V
bが入力され、スイッチSW2もオンになっていることから、以下の式で表される。
【数7】
【0043】
出力電圧V
outは、基準電圧V
bを中心として積分値となる容量C
intgに生じる電圧が出力される。
【0044】
N
d=2
n階調のDAコンバータのみでオフセット除去の成分を生成した場合ではV
dd/N
dの分解能のオフセット除去の成分の電圧しか生成できない。これに対し、センサ回路ではV
dd/(N
d・N
p)の分解能のオフセット除去の成分が生成できる。したがって、全積算回数を増やすことにより、オフセット生成部1のDAコンバータの階調を上げて回路を複雑化することなく、オフセット除去の成分を高精度化することができる。すなわち、本実施の形態では、オフセット除去を高精度化するときに回路が複雑化されないセンサ回路を提供できる。
【0045】
(変形例)
図4は、第1の実施の形態の変形例に係るセンサ回路の回路部を示す。
回路部は、入力信号から第1の電位に設定されたオフセット制御電圧V
ofscを減算した信号を第1の時間tk1だけ積分した積分値と、入力信号から第2の電位に設定されたオフセット制御電圧V
ofscを減算した信号を第2の時間tk2だけ積分した積分値の合計を信号成分に応じた積分値として得るための回路部である。図示省略するが、センサ回路は、入力信号にオフセット成分のみが含まれる場合の合計の積分値がゼロになるように第1、第2の電位を調整する制御部を備える。制御部は、すなわち、上述のADC2とコントローラ3を備える。
【0046】
なお、制御部(コントローラ3)は、合計の積分値をゼロにするのに、第1の電位(時間tk1の区間の電位)、第2の電位(時間tk2の区間の電位)、第1の時間tk1から第2の時間tk2に切り替わるタイミングの1つ以上を調整してもよい。
【0047】
図1のセンサ回路では離散的に信号の積分とオフセットの除去を行ったが、
図4の回路部を用いて、連続的に信号の積分とオフセットの除去を行う。
図4は、
図1とは異なり、スイッチSW1は、オペアンプOp1の正入力と入力信号が入力される回路節点間と間に接続される。
【0048】
すなわち、回路部は、オペアンプOp1と、オペアンプOp1の負入力と出力間に接続された容量C
intgと、オペアンプOp1の負入力に一方端を接続された抵抗R
intgと、オフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、オペアンプOp1の正入力と電圧信号である入力信号が入力される回路節点間に接続されたスイッチSW1と、オペアンプOp1の正入力と抵抗R
intgの他方端間に接続されたスイッチSW2と、容量C
intgに並列に接続されたスイッチSW3と、基準電圧V
bが印加される回路節点に接続された端子b4、抵抗R
intgの他方端に接続された端子a4、オフセット制御電圧V
ofscが出力される回路節点に接続された端子c4を含むスイッチSW4とを含む。
【0049】
図1とは異なり、信号OFSCが高電位であるとき、スイッチSW1はオンとなり、低電位であるとき、オフとなる。その他は、
図1と同じである。
【0050】
図5は、第1の実施の形態の変形例に係るセンサ回路の波形図である。
信号OFSCと信号INTGがともに高電位である場合、入力信号(V
s+V
pr)とオフセット制御電圧V
ofscの差が積分される。積分器の積分動作により容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数8】
【0051】
コントローラ3は、高電位であったリセット信号を低電位としてスイッチSW3をオフさせるとともに(
図5(a))、低電位であった信号INTGを高電位としてスイッチSW2をオフさせ、積分動作を開始する(
図5(c))。
【0052】
本変形例のセンサ回路では、変更信号を低電位にしてtk1の時間積分した後、変更信号を高電位にしてtk2の時間積分を行う(
図5(d))。
【0053】
図1の場合と同様に、変更信号が低電位の時には、オフセット制御電圧V
ofscはV
dd・m
d/N
dであるため、容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数9】
【0054】
変更信号が低電位の状態でtk1の時間の期間に容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数10】
【0055】
変更信号が高電位の状態がtk2の時間続いたとき、オフセット制御電圧V
ofscはV
dd・(m
d+1)/N
dとなるため、この期間に容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数11】
【0056】
コントローラ3は、積算が完了したら、信号INTGと信号OFSCを低電位にし、これにより、積算した電圧(オペアンプOp1の出力電圧)を容量C
intgに保持する。
【0057】
本変形例では、入力信号に信号成分V
sが含まれておらず、すなわち、入力信号にはオフセット成分V
prのみが含まれていると分かっているとき、コントローラ3は、ADC2の出力がゼロになるようにオフセット設定値を調整する。場合によっては、
図5の動作が複数回行われる。
【0058】
一方、入力信号に信号成分V
sとオフセット成分V
prが含まれていると分かっているとき、コントローラ3は、ADC2の出力がゼロとなったときのオフセット設定値を維持しつつ、
図5の動作を行う。
【0059】
オペアンプOp1の出力電圧V
outは、図示しない端末制御・通信部などでデジタル化され、データが生成される。データには、オフセット成分V
prが含まれないので、すなわち、信号成分V
sを正しく検出できたことになる。
【0060】
コントローラ3は、データが生成されたら、リセット信号と信号OFSCを再び高電位にして容量C
intgに保持している電圧をゼロに初期化する。
【0061】
式(10)と式(11)からtk1+tk2=totの期間の積分により容量C
intgに生じる電圧の合計は以下の式で表される。
【数12】
【0062】
この時のオペアンプOp1の出力電圧V
outは、OFSC信号が低電位でスイッチSW2もオンになり、オペアンプOp1の正入力(+)に基準電圧V
bが入力されることから、以下の式で表される。
【数13】
【0063】
出力電圧V
outは、基準電圧V
bを中心として積分値となる容量C
intgに生じる電圧が出力される。
【0064】
N
d=2
n階調のDAコンバータのみでオフセット除去の成分を生成した場合ではV
dd/N
dの分解能のオフセット除去の成分の電圧しか生成できない。これに対し、センサ回路では、時間の分解能をδ
tとすると(V
dd/N
d)(δ
t/tot)のオフセット除去の成分の電圧が生成できる。したがって、積算時間であるtotを増やす、または時間の分解能δ
tを微細にすることにより、オフセット生成部1のDAコンバータの階調を上げて回路を複雑化することなく、オフセット除去の成分を高精度化することができる。すなわち、本変形例では、オフセット除去を高精度化するときに回路が複雑化されないセンサ回路を提供できる。
【0065】
図6は、第1の実施の形態に係るセンサ回路に高感度化のためにプリアンプとチョッピングする回路を付加した場合の回路部を示す。チョッピングを行うためにスイッチSWC、プリアンプ4をセンサ回路に付加した。
【0066】
図7は、第1の実施の形態に係るセンサ回路に高感度化のためにプリアンプとチョッピングする回路を付加した場合の波形図である。
【0067】
コントローラ3は、高電位であったリセット信号を低電位としてスイッチSW3をオフさせるとともに(
図7(a))、低電位であった信号INTGが高電位としてスイッチSW2をオフさせ、積分動作を開始する(
図7(c))。
【0068】
積算1回の動作において単位時間Δtの区間では、入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差を積分し、次の単位時間Δtの区間では、基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差を積分する。
【0069】
チョッピングを行うため、
図7(b)のようにチョッピング信号が高電位の時のみ入力信号がプリアンプ出力に現れる。チョッピングのタイミングはOFSC信号と同じである。
【0070】
変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返し、変更信号を高電位にして積算をk2回繰り返すことにより、式(6)で表される積分値が得られる。したがって、この場合でもオフセット除去を高精度化するときに回路が複雑化されないセンサ回路を提供できる。
【0071】
図8は、第1の実施の形態に係るセンサ回路に高感度化のためにプリアンプとチョッピングする回路とハイパスフィルタを付加した場合の回路部を示す。チョッピングを行うためにスイッチSWC、プリアンプ4、ハイパスフィルタを構成する抵抗R
hpfと容量C
hpfをセンサ回路に付加した。
【0072】
図9は、第1の実施の形態に係るセンサ回路に高感度化のためにプリアンプとチョッピングする回路とハイパスフィルタを付加した場合の波形図である。
【0073】
コントローラ3は、高電位であったリセット信号を低電位としてスイッチSW3をオフさせ(
図9(a))、積分動作を開始する(
図9(c))。
【0074】
積算1回の動作において単位時間Δtの区間では、入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差を積分し、次の単位時間Δtの区間では、基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差を積分する。
【0075】
チョッピングを行い、ハイパスフィルタを通しているため、
図9(b)のようにパルス状の信号がプリアンプ出力に現れる。この場合では信号INTGをチョッピング信号と同期させ、信号INTGの高電位の期間(積分区間)を2Δtとする。さらにΔtの期間で入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差を積分し、次のΔtの期間で基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差を積分する。チョッピングのタイミングは信号INTGと同じである。
【0076】
変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返し、変更信号を高電位にして積算をk2回繰り返すことにより、式(6)で表される積分値が得られる。したがって、この場合でもオフセット除去を高精度化するときに回路が複雑化されないセンサ回路を提供できる。
【0077】
[第2の実施の形態]
図10は、第2の実施の形態に係るセンサ回路の回路部を示す。
回路部は、入力信号から所定の基準電圧V
bを減算した信号を第1の時間だけ積分した積分値と、基準電圧から所定のオフセット制御電圧V
ofscを減算した信号を第2の時間だけ積分した積分値の合計を信号成分に応じた積分値として得るための回路部である。図示省略するが、センサ回路は、入力信号にオフセット成分のみが含まれる場合の合計の積分値がゼロになるようにオフセット制御電圧V
ofscの電位を調整する制御部を備える。制御部は、すなわち、上述のADC2とコントローラ3を備える。
【0078】
第1の時間、第2の時間は、それぞれ、後述の積算回数k1と単位時間Δtの積、積算回数k2と単位時間Δtの積である。
【0079】
センサ回路は、トランスデューサから出力された電気信号の入力を許可するスイッチSW1と、抵抗R
intgおよび容量C
intgとともに積分器を構成するオペアンプOp1と、スイッチSW1がオフのとき、オペアンプOp1の正入力を基準電圧と同じ電位にし、スイッチSW1がオンのとき、オペアンプOp1の正入力をスイッチSW1の入力と同じ電位にする抵抗Rfと、積分器の積分動作の開始・停止を行うスイッチSW2と、積分器の容量C
intgに蓄積されている電荷をゼロにリセットするスイッチSW3と、オフセット設定値と変更信号に基づいてオフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、
基準電圧V
bの抵抗R
intgへの入力とオフセット制御電圧V
ofscの抵抗R
intgへの入力を切替えるスイッチSW4とを含む。
【0080】
具体的には、オペアンプOp1と、オペアンプOp1の負入力に一方の電極を接続された容量C
intgと、オペアンプOp1の負入力に一方端を接続された抵抗R
intgと、オフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、オペアンプOp1の正入力と電圧信号である入力信号(V
s+V
pr)が入力される回路節点間に接続されたスイッチSW1と、容量C
intgの他方の電極とオペアンプOp1の出力間に接続されたスイッチSW2と、容量C
intgに並列に接続されたスイッチSW3と、基準電圧V
bが印加される回路節点に接続された端子b4、抵抗R
intgの他方端に接続された端子a4、オフセット制御電圧V
ofscが出力される回路節点に接続された端子c4を含むスイッチSW4と、基準電圧V
bが印加される回路節点とオペアンプOp1の正入力に接続された抵抗R
fと、容量C
intgの他方の電極に正入力が接続され、負入力が出力に接続されたオペアンプOp2とを含む。
【0081】
第2の実施の形態に係るセンサ回路の動作は、信号OFSCが高電位の時、スイッチSW1がオンとなり、低電位の時、オフとなること、及び信号INTGが高電位になるとスイッチSW2がオンになり積分動作を行い、
INTGが低電位になるとスイッチSW2がオフとなること以外は、
図3に示す動作(
図1、
図2のセンサ回路の動作)と同じである。
【0082】
信号INTGと信号OFSCがともに高電位である場合、スイッチSW1がオンとなり、入力信号(V
s+V
pr)がオペアンプOp1の正入力(+)に入力され、また基準電圧V
bがオペアンプOp1の負入力(−)に入力されるため、入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差が積分される。
【0083】
信号INTGが高電位で信号OFSCが低電位である場合、スイッチSW1がオフとなり、基準電圧V
bがオペアンプOp1の正入力(+)に入力され、またオフセット制御電圧V
ofscがオペアンプOp1の負入力(−)に入力されるため、基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差が積分される。
【0084】
第2の実施の形態に係るセンサ回路においても、信号OFSCにより、積算1回の動作において単位時間Δtの区間では、入力信号(V
s+V
pr)と基準電圧V
bの差を積分し、次の単位時間Δtの区間では、基準電圧V
bとオフセット制御電圧V
ofscの差を積分することが可能である。
【0085】
したがって、変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返した後、変更信号を高電位にしてk2回積算を繰り返すことにより、式(7)で表される出力が得られる。
【0086】
したがって、全積算回数を増やすことにより、オフセット生成部1のDAコンバータの階調を上げて回路を複雑化することなく、オフセット除去の成分を高精度化することができる。
【0087】
図11は、高感度化のためにプリアンプとチョッピングする回路とハイパスフィルタを付加した場合のセンサ回路を示す。チョッピングを行うためにスイッチSWC、プリアンプ4、ハイパスフィルタを構成する容量C
hpfをセンサ回路に付加した。
【0088】
このセンサ回路では、スイッチSW1がオンの時に容量C
hpfと抵抗R
fとでハイパスフィルタを形成する。動作は
図8の場合と同じなので説明を省略する。
【0089】
[第3の実施の形態]
図12は、第3の実施の形態に係るセンサ回路の回路部を示す。
このセンサ回路では、電圧信号の入力信号でなく、電流信号の入力信号(I
s+I
pr)が入力される。I
sは信号成分、I
prはオフセット成分である。
【0090】
入力信号が電圧信号から電流信号に変わっても、センサ回路は、オフセット成分を含む入力信号を入力し、入力信号からオフセット成分以外の信号成分に応じた積分値を得るセンサ回路であることには変わりない。
【0091】
同図の回路部は、入力信号から、具体的には、入力信号(電流)に応じた電圧(入力信号)を第1の時間だけ積分した積分値と、基準電圧V
bから所定のオフセット制御電圧V
ofscを減算した信号を第2の時間だけ積分した積分値の合計を信号成分に応じた積分値として得るためのものである。よって、入力が電圧か電流かの違いはあるが、機能としては、第1の実施の形態の回路部と同様である。
【0092】
図示省略するが、センサ回路は、入力信号にオフセット成分のみが含まれる場合の合計の積分値がゼロになるようにオフセット制御電圧V
ofscの電位を調整する制御部、すなわち、上述のADC2とコントローラ3を備える。
【0093】
センサ回路は、トランスデューサから出力された電気信号の入力の許可と基準信号の入力を切替えるスイッチSW1と、トランスデューサから出力された電気信号が入力されるときはチャージ・センシティブ・アンプとして動作し、基準電圧V
bが入力されるときは抵抗R
intgおよび容量C
intgとともに積分器を構成するオペアンプOp1と、チャージ・センシティブ・アンプと積分器の積分動作の開始・停止を行うスイッチSW2と、容量C
intgに蓄積されている電荷をゼロにリセットするスイッチSW3と、オフセット設定値と変更信号に基づいてオフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、基準電圧V
bのオペアンプOp1の正入力(+)への入力とオフセット制御電圧V
ofscのオペアンプOp1の正入力(+)の入力を切替えるスイッチSW4とを含む。
【0094】
具体的には、回路部は、オペアンプOp1と、オペアンプOp1の負入力に一方の電極を接続された容量C
intgと、基準電圧V
bが印加される回路節点に一方端を接続された抵抗R
intgと、オフセット制御電圧V
ofscを出力するオフセット生成部1と、オペアンプOp1の負入力に接続された端子a1、電流信号である入力信号(I
s+I
pr)が入力される回路節点に接続された端子b1、抵抗R
intgの他方端に接続された端子c1を含むスイッチSW1と、容量C
intgの他方の電極とオペアンプOp1の出力間に接続されたスイッチSW2と、容量C
intgに並列に接続されたスイッチSW3と、基準電圧V
bが印加される回路節点に接続された端子b4、オペアンプOp1の正入力に接続された端子a4、オフセット制御電圧V
ofscが出力される回路節点に接続された端子c4を含むスイッチSW4と、容量C
intgの他方の電極に正入力が接続され、負入力が出力に接続されたオペアンプOp2とを含む。
【0095】
入力信号は、本来検出すべき信号成分I
sと除去すべきオフセット成分I
prの和である。
リセット信号は、スイッチSW3に入力され、信号INTGは、スイッチSW2に入力される。
【0096】
信号OFSCは、スイッチSW1、SW4に入力される。信号OFSCが高電位であるとき、スイッチSW1の端子a1と端子b1が接続され、スイッチSW4の端子a4と端子b4が接続される。信号OFSCが低電位であるとき、スイッチSW1の端子a1と端子c1が接続され、スイッチSW4の端子a4と端子c4が接続される。
【0097】
信号INTGが高電位になると、スイッチSW2はオンになり積分動作を行い、信号INTGが低電位になると、スイッチSW2はオフとなり積分動作を停止し、スイッチSW2がオンになる直前までの積分値を出力する。
【0098】
本実施の形態では、入力信号に信号成分I
sが含まれておらず、すなわち、入力信号にはオフセット成分I
prのみが含まれていると分かっているとき、コントローラ3は、後述する
図13の動作を行いつつ、ADC2の出力がゼロになるようにオフセット設定値を調整する。場合によっては、
図13の動作が複数回行われる。
【0099】
一方、入力信号に信号成分I
sとオフセット成分I
prが含まれていると分かっているとき、コントローラ3は、ADC2の出力がゼロとなったときのオフセット設定値を維持しつつ、後述する
図13の動作を行う。
【0100】
図13は、第3の実施の形態に係るセンサ回路の波形図である。
信号INTGと信号OFSCがともに高電位である場合、入力信号(I
s+I
pr)を積分する。積分器の積分動作により容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数14】
【0101】
信号INTGが高電位で信号OFSCが低電位である場合、オフセット制御電圧V
ofscと基準電圧V
bの差が積分される。この積分動作により容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数15】
【0102】
変更信号が低電位でオフセット設定値がm
dであり、オフセット生成部1のDAコンバータの基準電圧をV
ddとすると、オフセット制御電圧V
ofscはV
dd・m
d/N
dとなるため式(15)は以下の式となる。
【数16】
【0103】
コントローラ3は、高電位であったリセット信号を低電位としてスイッチSW3をオフさせるとともに(
図13(a))、低電位であった信号INTGを高電位としてスイッチSW2をオフさせ、積分動作を開始する(
図13(c))。
【0104】
積算1回の動作において単位時間Δtの区間では、入力信号(I
s+I
pr)を積分し、次の単位時間Δtの区間では、オフセット制御電圧V
ofscと基準電圧V
bの差を積分する。
【0105】
本実施の形態のセンサ回路では、変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返した後、変更信号を高電位にしてk2回積算を繰り返す(
図13(d))。
【0106】
変更信号を低電位にして積算をk1回繰り返した時の容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数17】
【0107】
次に変更信号を高電位にするとオフセット制御電圧V
ofscはV
dd・(m
d+1)/N
dとなるためk2回の積算で容量C
intgに生じる電圧は以下の式で表される。
【数18】
【0108】
コントローラ3は、積算が完了したら、信号INTGを低電位にし、これにより、積算した電圧(オペアンプOp2の出力電圧)を容量C
intgに保持する。
【0109】
このオペアンプOp2の出力電圧V
outは、図示しない端末制御・通信部などでデジタル化され、データが生成される。データには、オフセット成分I
prが含まれないので、すなわち、信号成分I
sを正しく検出できたことになる。
【0110】
コントローラ3は、データが生成されたら、リセット信号を再び高電位にして容量C
intgに保持している電圧をゼロに初期化する。
【0111】
式(17)と式(18)からk1+k2=Np回積算繰り返した後で保持した時に容量C
intgに生じる電圧の合計は以下の式で表される。
【数19】
【0112】
この時のオペアンプOp2の出力電圧V
outは、OFSC信号が低電位でオペアンプOp1の正入力(+)に基準電圧V
bが入力され、スイッチSW2もオンになっていることから、以下の式で表される。
【数20】
【0113】
出力電圧V
outは、基準電圧V
bを中心として積分値となる容量C
intgに生じる電圧が出力される。
【0114】
第3の実施の形態では、V
dd/(N
d・N
p)の分解能のオフセット除去の成分の電圧が生成できる。したがって、全積算回数を増やすことにより、オフセット生成部1のDAコンバータの階調を上げて回路を複雑化することなく、オフセット除去の成分を高精度化することができる。すなわち、本実施の形態では、オフセット除去を高精度化するときに回路が複雑化されないセンサ回路を提供できる。