【文献】
田代隆義ほか,周波数および時刻同期機能を実現した10G-EPONシステムの試作評価,信学技報CS2011-82,社団法人電子情報通信学会,2012年 1月,第7−12頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光スプリッタを介してPONシステムの加入者側装置と接続されるとともに上位装置と接続されて、これら加入者側装置と上位装置との間でやり取りするフレームを相互に転送処理するとともに、当該加入者側装置との間で時刻同期を行う局側装置であって、
前記加入者側装置と前記上位装置との間でやり取りするフレームを相互に転送処理するとともに、これら当該加入者側装置と当該局側装置との間の往復の信号伝搬時間を取得し、当該加入者側装置との時刻同期を行うための時刻同期フレームを当該加入者側装置へ送信する局側PON処理部と、
当該局側装置における同期用ローカルタイムを計時するとともに、前記加入者側装置との時刻同期に用いるマスタ同期時刻を計時し、これら同期用ローカルタイムおよびマスタ同期時刻を同一タイミングで取得して補助情報として出力する局側時刻同期部と、
前記加入者側装置との間で時刻同期を行う際、前記局側PON処理部から前記信号伝搬時間を取得するとともに、前記局側時刻同期部から前記補助情報を取得し、これら信号伝搬時間および補助情報から、時刻補正の基準となる時刻を示すタイムスタンプと、当該タイムスタンプが示す時点で当該加入者側装置がとるべきスレーブ同期時刻とからなる局側同期時刻補正情報を生成し、当該局側同期時刻補正情報を含む時刻同期フレームを前記局側PON処理部へ出力する局側プロセッサ部とを備え、
前記局側PON処理部は、
入力されたクロック信号に基づき通信用ローカルタイムを計時する第1のローカルタイマ部と、
前記通信用ローカルタイムをタイムスタンプとして付与したMPCP(Multi Point Control Protocol)フレームを生成して前記加入者側装置に送信し、当該加入者側装置から受信したMPCPフレームに付与されているタイムスタンプに基づいて前記信号伝搬時間を計測するMPCP制御部とを備え、
前記局側時刻同期部は、
前記第1のローカルタイマ部と同期動作することにより前記同期用ローカルタイムを計時する第2のローカルタイマ部と、
前記加入者側装置との時刻同期に用いる前記マスタ同期時刻を計時するマスタクロック部と、
前記第2のローカルタイマ部で計時している前記同期用ローカルタイムと前記マスタクロック部で計時している前記マスタ同期時刻とを同一タイミングで取得し、これら同期用ローカルタイムおよびマスタ同期時刻からなる前記補助情報を出力する補助情報取得部と
を備える
ことを特徴とする局側装置。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)で利用されるPONシステムの1つとして、光スプリッタを介して接続されたOLT(局側装置)とONU(加入者側装置)との間で送受信するフレームとしてイーサネットフレームを用いるEPON(Ethernet Passive Optical Network:イーサネットおよびEthernetは登録商標)システムがある。
この、EPONについてはIEEE802.3で規定されており、EPONシステムで用いられるOLTとONUとの間の時刻同期方式についてはIEEE802.1AS(非特許文献1)において規定されている。
【0003】
PONシステムでは、OLTに対して複数のONUが接続されるP2PM接続形態であるため、各ONUからOLTへ送信される上りフレームが光スプリッタで衝突しないよう、OLTの衝突回避制御(動的帯域割当/DBA:Dynamic Bandwidth Allocation)により、各ONUに対して例えばナノ秒オーダーで送信許可時間帯を時分割で割り当てている。したがって、OLTとONUとの間で精度よく時刻同期しておく必要がある。すなわち、OLTとONUとの間で時刻同期を行う目的は、ONU内のスレーブクロック部(図示せず)で計時する同期時刻を、OLTのマスタクロック部が示す同期時刻に合わせる(誤差を最小化する)ことにある。
【0004】
EPONシステムで用いられる時刻同期方式は、OLTをクロックマスタとしONUをクロックスレーブとする時刻同期方式である。この時刻同期の方式では、まず、クロックマスタの局側装置からクロックスレーブの各加入者装置へ、TIMESYNCメッセージの時刻同期フレーム(イーサネットフレーム)を送信する。このTIMESYNCメッセージには、ローカルタイマのタイムスタンプXと、ONUのローカルタイマが当該XからONU内部遅延由来のONU側補正値onuLatencyFacrorを差し引いた値に一致するときの、スレーブクロックがとるべき値ToD
x,iが記されている。
【0005】
次に、ONUは、受信した時刻同期フレームのTIMESYNCメッセージに記されたXとToD
x,iの組からなる局側同期時刻補正情報と、ONUのローカルタイマが示すローカルタイムとに基づいて、ONUのスレーブクロックを補正する。
OLTが、基準となる時刻を示すタイムスタンプXにおいてONUのスレーブクロックがとるべき同期時刻ToD
x,iは、次の式(1)で生成される。
【数1】
【0006】
式(1)において、ToD
x,oは、OLTのローカルタイマがタイムスタンプXにOLT内部遅延由来のOLT側補正値oltLatencyFacrorを加えた値に一致する時点におけるマスタクロックの値、すなわち同期時刻を示している。また、信号伝搬時間RTT(Round Trip Time)は、OLTとONUとの間の往復の信号伝搬時間であり、OLTとONUとの間の制御フレームであるMPCP(Multi Point Control Protocol)フレームとOLTおよびONUの各ローカルタイマを用いて、ONU別に測定される。また、Nup,Ndownはそれぞれ上り/下り伝送における光の有効屈折率、rateRatioはマスタクロックに対するローカルタイマの単位時間比である。
【0007】
なお、ONUは、必ずしもONUのローカルタイムが、タイムスタンプXからONU側補正値を差し引いた値に一致する時点まで待ってから、スレーブクロックをToD
x,iに補正する必要はなく、補正時点のONUのローカルタイムと局側同期時刻補正情報とに基づいて、補正の際にスレーブクロックにセットすべき値を、計算から取得することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるOLT(局側装置)10について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかるOLT(局側装置)の構成を示すブロック図である。
【0020】
このOLT10は、PONシステム(光伝送システム)で局側装置として用いられる光通信処理装置であり、光スプリッタを介して接続された複数のONU(加入者側装置)との間でイーサネットフレームを送受信する機能と、これらONUに対して時刻同期フレームを送信することにより、これらONUとの間で時刻同期を行う機能とを有している。
【0021】
このOLT10には、主な機能部として、局側PON処理部11、局側時刻同期部12、および局側プロセッサ部13が設けられている。
【0022】
局側PON処理部11は、上位装置側から受信した下りフレームをONU側(光スプリッタ側)へ転送する機能と、ONU側から受信した上りフレームを上位装置側へ転送する機能と、当該OTL10宛ての終端フレームを受信して局側プロセッサ部13へ出力する機能と、局側プロセッサ部13で生成された、時刻同期フレームなどの生成フレームをONU側や上位装置側へ送信する機能と、OLTとONUとの間の往復の信号伝搬時間RTT(Round Trip Time)を計測する機能とを有している。
【0023】
局側時刻同期部12は、OLT10で生成したクロック信号や初期化信号に基づき、同期用ローカルタイムxとマスタ同期時刻ToD
x,oとを計時する機能と、局側プロセッサ部13からの同期時刻取得指示に応じて、これら同期用ローカルタイムxおよびマスタ同期時刻ToD
x,oを同時に取得し補助情報(x,ToD
x,o)として出力する機能とを有している。
【0024】
局側プロセッサ部13は、ONU内の同期時刻を補正する際、局側PON処理部11から取得した信号伝搬時間RTTと、局側時刻同期部12から取得した補助情報(x,ToD
x,o)とに基づいて、基準となる時刻を示すタイムスタンプXと、このタイムスタンプXにおいてONUのスレーブクロックがとるべきスレーブ同期時刻ToD
x,iとからなる局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を生成する機能と、この局側同期時刻補正情報を含む時刻同期フレームを生成して局側PON処理部11へ出力する機能とを有している。
【0025】
[局側PON処理部]
次に、
図2を参照して、本実施の形態にかかるOLT10の局側PON処理部11について詳細に説明する。
図2は、局側PON処理部の構成例である。
局側PON処理部11には、主な回路部として、主信号処理部11A、第1のローカルタイマ部11B、およびMPCP制御部11Cが設けられている。
【0026】
主信号処理部11Aは、SNI(Server-Network Interface)インタフェースに合わせた形式の光信号で、上位装置側から送信された下りフレームを受信する機能と、受信した光信号をMPCP(Multi Point Control Protocol)フレーム挿入などの処理を行いやすい形式の下り電気信号に変換する機能を有している。SNIインタフェースとは、上位装置側から送信された下りフレームの受信や、上位装置側に向けた上りフレームの送信を行うためのインタフェースである。
【0027】
さらに、主信号処理部11Aは、OLT10とONUとの間の通信制御を行うためのフレームであるMPCPフレームをMPCP制御部11Cから入力し、第1のローカルタイマ部11Bから入力したOLT10の通信用ローカルタイムを当該MPCPフレームの送信タイムスタンプとして付与した後、下り電気信号に挿入する機能と、局側プロセッサ部13から時刻同期フレームなどの生成フレームを入力して当該下り電気信号に挿入する機能と、これら下り電気信号をPONインタフェースに合わせた形式の光信号に変換し、下りフレームとしてONU側へ送信する機能を有している。PONインタフェースとは、ONU側に向けた下りフレームの送信や、ONU側から送信された上りフレームの受信を行うためのインタフェースである。
【0028】
また、主信号処理部11Aは、PONインタフェースに合わせた形式の光信号で、ONUから送信された上りフレームを受信する機能と、受信した光信号をMPCPフレーム抽出などの処理を行いやすい形式の上り電気信号に変換する機能と、上り電気信号からMPCPフレームを抽出する機能と、第1のローカルタイマ部11Bから入力したOLT10の通信用ローカルタイムを受信ローカルタイムとして当該MPCPフレームに付与した後にMPCP制御部11Cに出力する機能と、局側プロセッサ部13で終端する終端フレームを上り電気信号から抽出して局側プロセッサ部13に出力する機能と、MPCPフレームや終端フレームを抽出した後の上り電気信号をSNIインタフェースに合わせた形式の光信号の形式に変換し、上りフレームとして上位装置側へ送信する機能とを有している。
【0029】
第1のローカルタイマ部11Bは、外部から供給されるクロックに基づいて、OLT10の通信用ローカルタイムを計時し、この通信用ローカルタイムを主信号処理部11Aへ出力する機能と、外部から入力される初期化信号に基づいて、当該通信用ローカルタイムを所定の初期値にセットする機能とを有している。
【0030】
MPCP制御部11Cは、ONU宛てのMPCPフレームを生成し主信号処理部11Aへ出力する機能を有している。MPCPフレームは、ONUが上りフレームを送信するタイミングや期間をONUに通知するなどの役割を有するとともに、主信号処理部11Aで付与されたタイムスタンプによりONUにローカルタイムを通知する役割を有する。
【0031】
また、MPCP制御部11Cは、ONUが送信したMPCPフレームを、主信号処理部11Aで付与された受信ローカルタイムとともに入力し、当該MPCPフレームに当該ONUが付与した送信タイムスタンプと当該受信ローカルタイムとの差により信号伝搬時間RTTを算出する機能を有している。信号伝搬時間RTT(Round Trip Time)は、OLTとONUとの間の往復の信号伝搬時間である。このRTTを考慮して、ONUが光信号を送信するタイミング(ONUが送信するときのONUのローカルタイム)を計算することにより、各ONUからの光信号が時間的に重なってOLTに到着すること、すなわち
上りフレームの衝突を防止できる。
【0032】
[局側時刻同期部]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかるOLT10の局側時刻同期部12について詳細に説明する。
図3は、第1の実施の形態にかかる局側時刻同期部の構成例である。
局側時刻同期部12には、主な回路部として、第2のローカルタイマ部12A、マスタクロック部12B、および補助情報取得部12Cが設けられている。
【0033】
第2のローカルタイマ部12Aは、外部から供給されるクロック信号に基づいて、OLT10の同期用ローカルタイムを計時し、当該ローカルタイムを主信号処理部11Aへ出力する機能と、外部から入力される初期化信号に基づいて、当該ローカルタイムを所定の初期値にセットする機能とを有している。
これにより、局側PON処理部11の第1のローカルタイマ部11Bと同期して動作しており、本実施の形態では、第1のローカルタイマ部11Bと第2のローカルタイマ部12Aは、同一時点に同一値のローカルタイムを示すものとする。
【0034】
なお、本実施の形態は、このような同一値のローカルタイムを示す動作に限定されるものではなく、各時点での第1のローカルタイマ部11Bが示す通信用ローカルタイムと第2のローカルタイマ部12Aが示す同期用ローカルタイムとの値の差が固定値となる動作であってもよい。これは、第2のローカルタイマ部12Aの同期用ローカルタイムに対して上記固定値分を補正することで第1のローカルタイマ部11Bの通信用ローカルタイムを計算できるからである。
【0035】
また、本実施の形態では、第1のローカルタイマ部11Bと第2のローカルタイマ部12Aに対して、同一初期化信号に基づく同一値への初期化によって、初期化状態の時刻が一致する。さらに、同一クロック源からのクロック信号供給により同一周期で時間を計時するため、上記初期化後については、第1のローカルタイマ部11Bと第2のローカルタイマ部12Aとは常時に同一時刻を示すことが保障される。
【0036】
マスタクロック部12Bは、OLT10とONUとが時刻同期を行うために参照されるOLT10内のマスタ同期時刻を計時する機能を有している。OLT10とONUとの間で時刻同期を行う目的は、ONU内のスレーブクロック部(図示せず)で計時するスレーブ同期時刻を、OLT10のマスタクロック部12Bが示すマスタ同期時刻に合わせる(誤差を最小化する)ことにある。
【0037】
補助情報取得部12Cは、第2のローカルタイマ部12Aから同期用ローカルタイムxを取得するとともに、この同期用ローカルタイムxの取得タイミングに合わせて、マスタクロック部12Bからマスタ同期時刻ToD
x,oを取得し、補助情報(x,ToD
x,o)として保持する機能を有している。
本実施の形態では、局側プロセッサ部13からの時刻同期取得指示に応じて、第2のローカルタイマ部12Aからの同期用ローカルタイムxの取得とマスタクロック部12Bからのマスタ同期時刻ToD
x,oの取得を同時に行ない、これら取得した値を補助情報(x,ToD
x,o)として保持する。
【0038】
この際、補助情報取得部12Cに、第2のローカルタイマ部12Aから同期用ローカルタイムxを取得する回路と、マスタクロック部12Bからマスタ同期時刻ToD
x,oを取得する回路とを設け、局側プロセッサ部13からの時刻同期取得指示に応じた取得タイミング信号を、これら両回路に遅延差が生じることなく分配すればよい。これにより、これら両回路が同時に動作して同期用ローカルタイムxおよびマスタ同期時刻ToD
x,oが同一タイミングで取得できる。
【0039】
また、第2のローカルタイマ部12Aで同期用ローカルタイムxを計時するカウンタと、マスタクロック部12Bでマスタ同期時刻ToD
x,oを計時するカウンタとを、同一クロック信号に同期して動作させるとともに、当該クロック信号を上記取得タイミング信号に同期するクロック信号とすることで、異なるクロック信号への付け替えが不要となる。これにより、クロック信号の付け替えのための回路を省くことができるとともに、当該付け替えにより発生する取得時間差を抑止できる。
【0040】
なお、本実施の形態は、このような同期用ローカルタイムとマスタ同期時刻を同時に取得する動作に限定されるものではなく、第2のローカルタイマ部12Aからの同期用ローカルタイムの取得と、マスタクロック部12Bからのマスタ同期時刻の取得の時間差が固定値となる動作であってもよい。これは、第2のローカルタイマ部12Aから取得した同期用ローカルタイムに対して上記固定値分を補正することで、マスタ同期時刻の取得時点における同期用ローカルタイムを計算できるからである。
【0041】
補助情報取得部12Cにおいて、第2のローカルタイマ部12Aとマスタクロック部12Bという2種類の時刻を必要とする理由を以下に記す。EPONではOLTのローカルクロックが変更されないことが前提となって、MPCP制御(RTTの計測など)の手順が決められている。この前提に反する事象が生じる(ローカルクロックが大きく変化する)と、RTT値が大きく変化したと判断される、あるいは、OLTが期待するタイミングでONUが上りを送信せずOLTが受信できない、などの問題が発生し、ONUとのリンクが切れる。
【0042】
これに対して、時刻同期のためのマスタクロックは、通常、より上位のマスタクロックに同期するスレーブクロックでもあり、この上位のマスタクロックとの時刻同期によって補正が行われる、つまり、時刻が大きく変化する可能性がある。したがって、ローカルクロックに求められる条件とマスタクロックに求められる条件が異なるため、これらが同一周波数で動作していたとしても、1つに集約することはできない。
【0043】
なお、ローカルクロックの周波数は62.5MHzで固定であるが、IEEE1588−2008の時刻同期用のマスタクロックの周波数には規定がなく、求められる精度により決まる。ただし、タイムスタンプの単位は1nsであるため、マスタクロックの周期は1nsの整数倍であると、マスタクロックの読取り値からタイムスタンプ値への変換が容易になる。特に、上記周期が1nsの2の整数乗倍であると、2進数表記されたマスタクロックの読み取り値に対してシフト演算でタイムスタンプ値を得ることができるため(整数倍の乗算が不要であるため)、マスタクロックの読取り値からタイムスタンプ値への変換が容易となる。
【0044】
また、ローカルクロックの精度上限は16ns(62.5MHzの1周期)であり、上記精度よりも高いマスタクロックの精度は不要なので(スレーブクロックの精度はローカルクロックの精度上限を超えないので)、マスタクロックの周波数をローカルクロックの周波数62.5MHzに合わせることが、精度とタイムスタンプ値への変換容易性の観点から望ましい。
【0045】
また、ローカルクロックを表現するカウンタのビット数は32(カウンタの上限値は2^32−1)に規定されているが、マスタクロックについては、タイムスタンプ(48ビットの秒数と32ビットのns単位で表現した1秒未満の時間の組)に変換できればよく、カウンタのビット数としては規定がない。そこで、周波数が62.5MHzのマスタクロックを28ビットのカウンタで表現し、さらに、このカウンタの上限を(0x3B9ACA0−1)とすることで、当該カウンタ値に対する簡単な演算処理(シフト演算)によってタイムスタンプ値(1秒未満の時間)を得ることができる。
【0046】
[局側プロセッサ部]
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかるOLT10の局側時刻同期部12について詳細に説明する。
局側プロセッサ部13は、局側同期時刻補正情報を生成する際、局側PON処理部11のMPCP制御部11CがMPCPフレームを用いて計測したONUとOLTとの間の信号伝搬時間RTTを局側PON処理部11から取得する機能と、局側時刻同期部12の補助情報取得部12Cに対して補助情報を取得する指示を与え、補助情報取得部12Cが取得し保持する補助情報(x,ToD
x,o)を取得する機能と、取得したRTTと補助情報とから局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を生成する機能と、当該局側同期時刻補正情報を含む時刻同期フレームを生成し、局側PON処理部11の主信号処理部11Aに時刻同期フレームを出力する機能とを有している。
【0047】
より具体的には、局側プロセッサ部13は、局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を生成する機能として、局側時刻同期部12から取得した補助情報(x,ToD
x,o)に含まれる同期用ローカルタイムxを、当該OLT10の内部遅延由来の補正値oltLatencyFacrorで補正することにより、時刻補正の基準となる時刻を示すタイムスタンプXを計算する機能と、局側PON処理部11から取得したRTTと局側時刻同期部12から取得した補助情報(x,ToD
x,o)に含まれるマスタ同期時刻ToD
x,oとから、当該タイムスタンプXが示す時点で当該ONUがとるべきスレーブ同期時刻ToD
x,iを計算する機能とを有している。
【0048】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図4を参照して、本実施の形態にかかるOLT10の動作について説明する。
図4は、OLTの時刻同期処理を示すフローチャートである。
OLT10は、周期的あるいは外部からの指示に応じて、
図4の時刻同期処理を実行する。なお、時刻同期処理の開始以前において、局側PON処理部11でONUとの間のRTTを間欠的に計測しているものとする。
【0049】
まず、局側プロセッサ部13は、局側PON処理部11のMPCP制御部11Cから、MPCPフレームにより計測されたONUとの間のRTTを取得し(ステップ100)、局側時刻同期部12に対して補助情報取得指示を出力する(ステップ101)。
【0050】
局側時刻同期部12の補助情報取得部12Cは、局側プロセッサ部13からの補正情報取得指示に応じて、第2のローカルタイマ部12Aから出力されている同期用ローカルタイムxと、マスタクロック部12Bから出力されているマスタ同期時刻ToD
x,oとを、同一タイミングで取得し(ステップ102)、これら同期用ローカルタイムxおよびマスタ同期時刻ToD
x,oを補助情報(x,ToD
x,o)として保持し、局側プロセッサ部13へ出力する(ステップ103)。
【0051】
局側プロセッサ部13は、補助情報取得部12Cから出力された補助情報(x,ToD
x,o)を受け取り、この補助情報(x,ToD
x,o)と、MPCP制御部11Cから取得したRTTとに基づいて、時刻補正の基準となる時刻を示すタイムスタンプXと、当該タイムスタンプXが示す時点でONUのスレーブクロックがとるべきスレーブ同期時刻ToD
x,iとからなる局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を生成する(ステップ104)。
ここで、ONUが同期時刻を補正するための局側同期時刻補正情報、すなわちタイムスタンプXとスレーブ同期時刻ToD
x,iとは、次の式(2)で計算される。
【数2】
【0052】
式(2)において、oltLatencyFacrorはOLT内部遅延由来の補正値である。タイムスタンプXとして、同期用ローカルタイムxからこのoltLatencyFacrorが減算されて補正された値が用いられる。また、Nup,Ndownはそれぞれ上り/下り伝送における光の有効屈折率、rateRatioはマスタクロックに対する局側ローカルタイマの単位時間比であり、マスタクロックの刻みが1ns、局側ローカルタイマの刻みが16nsの場合は、rateRatio=16となる。これらパラメータは固定値であるため、それぞれの条件に応じた値を予め設定しておけばよい
【0053】
この際、局側同期時刻補正情報の計算に用いられる補助情報の同期用ローカルタイムxおよび同期時刻ToD
x,oは同じタイミングに取得したものであることから、両者の取得タイミングの時間差に起因する補助情報に関する時間精度の劣化を回避でき、局側同期時刻補正情報の誤差を抑制することができる。
【0054】
このようにして、局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を生成した後、局側プロセッサ部13は、この局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を含む時刻同期フレームを生成し(ステップ105)、局側PON処理部11へ出力する。
これに応じて、局側PON処理部11は、時刻同期フレームを下り電気信号に挿入し、下りフレームとしてONUへ送信する(ステップ106)。
【0055】
これにより、時刻同期フレームがONUで受信され、ONUのローカルタイムが時刻同期フレームに含まれる局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)により補正され、ONU側のスレーブクロックがOLT10側のマスタクロックと同期することになる。
【0056】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、局側時刻同期部12が、それぞれ計時している同期用ローカルタイムxおよびマスタ同期時刻ToD
x,oを同一タイミングで取得して補助情報(x,ToD
x,o)とし、局側プロセッサ部13が、局側PON処理部11から信号伝搬時間RTTを取得するとともに、局側時刻同期部12から補助情報(x,ToD
x,o)を取得し、これら信号伝搬時間RTTおよび補助情報(x,ToD
x,o)から、時刻補正の基準となる時刻を示すタイムスタンプXと、当該タイムスタンプXが示す時点で当該加入者側装置がとるべきスレーブ同期時刻ToD
x,iとからなる局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を生成し、当該局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)を含む時刻同期フレームを局側PON処理部11へ出力するようにしたものである。
【0057】
これにより、局側同期時刻補正情報(X,ToD
x,i)の計算に用いられる補助情報(x,ToD
x,o)の同期用ローカルタイムxおよび同期時刻ToD
x,oは同じタイミングに取得したものであることから、両者の取得タイミングの予測不可能な時間差に起因した、補助情報に関する時間精度の劣化を回避できる。したがって、局側同期時刻補正情報の誤差を抑制することができ、高い精度で時刻同期を行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態において、局側PON処理部11がRTT計測などOLT−ONU間の上り信号のタイミングを制御するために用いる本来のローカルタイマである第1のローカルタイマ部11Bとは別に、局側時刻同期部12に同期補助情報を取得するための第2のローカルタイマ部12Aを設けて第1のローカルタイマ部11Bと同期動作させるようにしてもよい。
これにより、OLT10において、一般的な局側PON処理部11の回路構成を変更せずに、ローカルタイムを取得できる局側時刻同期部12の回路構成を付加することができる。したがって、時刻同期用の回路を内蔵しない一般的な局側PON処理部の回路を用いて高精度な時刻同期を実現とすることが可能となる。
【0059】
また、一般的なOLTにおいて、ローカルクロックは、通常、局側PON処理部内にあり、局側PON処理部は、ローカルクロックの読み取りタイミングを局側PON処理部外から入力するインタフェースを持たない。
これに対して本実施の形態では、
図2に示したように、ローカルクロックを初期化するタイミングを局側PON処理部11外から入力するためのインタフェースとして初期化信号の入力端子を設け、1つの初期化信号を複数の局側PON処理部11に分配し、各局側PON処理部11を一斉に初期化することで、時刻合わせを行うようにしてもよい。
【0060】
ローカルタイムの時刻合わせを行う理由は、局側PON処理部11の故障に際してプロテクション(ONUが接続する局側PON処理部の変更)を行うとき、ローカルクロック値が変動してONUとのリンクが切断されることを避けるためである。
本実施の形態では、ローカルクロックとマスタクロックを同時に取得することができるよう、局側PON処理部11外(補助情報取得部12C)に、マスタクロックおよび局側PON処理部11内の第1のローカルタイマ部11Bと同一周波数で動作する第2のローカルタイマ部12Aを設け、局側PON処理部11内の第1のローカルタイマ部11Bと時刻合わせを行うために、上記の複数の局側PON処理部11の時刻合わせのために用意されていた初期化信号を使用すればよい。
【0061】
また、RTTや補助情報の誤差は、時刻同期の精度に影響するため、本実施の形態において、局側PON処理部11と局側時刻同期部12を専用の信号処理回路で構成することにより、誤差を抑制するようにしてもよい。
一方、局側プロセッサ部13における局側同期時刻補正情報を計算する処理については、計算に要する時間が時刻同期の精度に与える影響は小さい。RTTや補助情報の値は、時間経過による値の変動が小さいためである。このため、時刻同期の精度を保つために、計算を専用回路によって高速化することにより一定時間で完了する必要はない。
【0062】
したがって、局側プロセッサ部13における、計算や計算結果をONUに通知するための時刻同期フレームの生成を、専用回路ではなく、プロセッサを用いたソフトウェア処理によって行うことが可能である。これにより、複雑な乗算・除算を伴う計算や複雑な形式のフレームの生成に、回路規模が問題となる専用回路ではなく、時刻同期以外の処理にも利用できる汎用的なプロセッサを利用できるため、回路規模の増大を抑制することが可能となる。
【0063】
[第2の実施の形態]
次に、
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるOLT(局側装置)10について説明する。
図5は、第2の実施の形態にかかるOLT(局側装置)の構成を示すブロック図である。
【0064】
OLTは、K個の局側PON処理部[k](k=1…Kの整数)11、局側時刻同期部12、局側プロセッサ部13からなる。
図1との違いは、局側PON処理部11を複数備える点と、局側プロセッサ部13と各局側PON処理部[k]11を接続するプロセッサバスを介して、局側プロセッサ部13が各局側PON処理部[k]11との間で、時刻同期フレームを含む局側プロセッサで生成した生成フレームや終端フレームの受け渡しや各ONU−OLT間のRTTの取得を行う点と、ローカルタイマを初期化するために局側時刻同期部12と局側PON処理部11に共通の信号を分配するのではなく、局側時刻同期部12から各局側PON処理部[k]11に初期化信号[k]を出力する点である。
【0065】
各局側PON処理部[k]11は、第1の実施の形態の構成と同じであり、主信号処理部11A、第1のローカルタイマ部11B、およびMPCP制御部11Cが設けられている。
【0066】
図6は、第2の実施の形態にかかる局側時刻同期部の構成例である。局側時刻同期部12には、主な回路部として、前述した第2のローカルタイマ部12A、マスタクロック部12B、補助情報取得部12Cに加えて、ローカルタイマ初期化部12Dが設けられている。
【0067】
第2のローカルタイマ部12Aは、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bと同一クロック源からのクロック信号により同一周期で同期用ローカルタイムを計時する機能を有している。
【0068】
マスタクロック部12Bは、第1の実施の形態の局側時刻同期部12内のマスタクロック部12Bと同じであり、OLT10とONUが時刻同期を行うために参照されるOLT内のマスタ同期時刻を計時する機能を有している。OLT10とONUとの間で時刻同期を行う目的は、ONU内のスレーブクロック部(図示せず)で計時するスレーブ同期時刻を、OLT10のマスタクロック部12Bが示すマスタ同期時刻に合わせる(誤差を最小化する)ことにある。
【0069】
補助情報取得部12Cは、第2のローカルタイマ部12Aから同期用ローカルタイムxを取得するとともに、この同期用ローカルタイムxの取得タイミングに合わせて、マスタクロック部12Bからマスタ同期時刻ToD
x,oを取得し、補助情報(x,ToD
x,o)として保持する機能を有している。
本実施の形態では、局側プロセッサ部13からの時刻同期取得指示に応じて、第2のローカルタイマ部12Aからの同期用ローカルタイムxの取得とマスタクロック部12Bからのマスタ同期時刻ToD
x,oの取得を同時に行ない、これら取得した値を補助情報(x,ToD
x,o)として保持する。
【0070】
なお、本実施の形態は、このような同期用ローカルタイムとマスタ同期時刻を同時に取得する動作に限定されるものではなく、第2のローカルタイマ部12Aからの同期用ローカルタイムの取得と、マスタクロック部12Bからのマスタ同期時刻の取得の時間差が固定値となる動作であってもよい。これは、第2のローカルタイマ部12Aから取得した同期用ローカルタイムに対して上記固定値分を補正することで、マスタ同期時刻の取得時点における同期用ローカルタイムを計算できるからである。
【0071】
ローカルタイマ初期化部12Dは、第2のローカルタイマ部12Aの同期用ローカルタイムに基づいて、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bを同時に初期化するためのローカルタイマ初期化信号を生成する機能を有している。
このローカルタイマ初期化信号に基づいて、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bが初期化されることにより、各第1のローカルタイマ部11Bと第2のローカルタイマ部12Aとが同期動作する。
【0072】
本実施の形態では、ローカルタイマ初期化部12Dが出力したローカルタイマ初期化信号に基づいて各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bを初期化するまでの遅延Td、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bの初期値T0に対して、ローカルタイマ初期化部12Dは、第2のローカルタイマ部12Aの同期用ローカルタイムの値がT0−Tdに一致した時点で、ローカルタイマ初期化信号を出力する。
【0073】
また、第2のローカルタイマ部12Dは、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bと同一クロック源からのクロック供給により同一周期で時間を計時する。これにより、ローカルタイマ初期化部12Dが出力したローカルタイマ初期化信号に基づいて初期化された局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bと、第2のローカルタイマ部12Aは常時に同一時刻を示すことが保障される。
【0074】
なお、外部からの設定により、初期化対象となる第1のローカルタイマ部11Bを有する局側PON処理部[k]11を選択可能としてもよい。OLT10に、局側PON処理部[k]11(k=1…K’,K’<K)が実装され稼働している状態で、局側PON処理部[k]11(k=K’+1…K”,K’<K”<K)を追加実装したときに、稼働中の局側PON処理部[k]11(k=1…K’,K’<K)に対しては初期化を行わず、追加された局側PON処理部[k]11(k=K’+1…K”,K’<K”<K)のみを初期化対象とする設定が可能となる。これにより、稼働中の局側PON処理部11に対して不用意な初期化を避けることができる。
【0075】
局側プロセッサ部13は、ONUが同期時刻を補正するための局側同期時刻補正情報を生成し、局側同期時刻補正情報を含む時刻同期フレームを生成する。第1の実施の形態の局側プロセッサ部13と同様に、本実施の形態では、各局側PON処理部[k]11からRTTを取得し、各局側PON処理部[k]11に接続するONUに対して時刻同期フレームを出力する点、すなわち、局側PON処理部11が1個ではなく複数個となっている点が異なる。なお、OLTの時刻同期処理について、第1の実施の形態にかかる
図4と同様である。
【0076】
[第2の実施の形態の効果]
このように本実施の形態によれば、局側時刻同期部12のローカルタイマ初期化部12Dが、第2のローカルタイマ部12Aの同期用ローカルタイムに基づいて、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bを同時に初期化するためのローカルタイマ初期化信号を生成するようにしたものである。
【0077】
これにより、各局側PON処理部[k]11の第1のローカルタイマ部11Bは、局側時刻同期部12が出力するローカルタイマ初期化信号に基づいて初期化されることになるため、同一時に同一時刻を示すとともに、出力する通信用ローカルタイムの値は局側時刻同期部12内の第2のローカルタイマ部12Aが示す値と同期する。
【0078】
したがって、第1の実施の形態で挙げた効果に加えて、以下の効果が期待できる。
すなわち、各局側PON処理部[k]11に1個ずつ局側時刻同期部12を設ける必要がなく、1個の局側時刻同期部12が取得した補助情報と、各局側PON処理部[k]11が取得した当該局側PON処理部[k]11に接続されるONUとの間のRTTに基づいて、ONU宛ての時刻同期フレームを生成することができる。このため、OLT10に局側PON処理部[k]11が複数個ある場合でも、局側時刻同期部12の個数を大幅に低減でき、OLT10全体の回路規模を削減することが可能となる。
【0079】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。