【実施例】
【0043】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0044】
<試験例1>
砂糖16質量部、脱脂粉乳8質量部、植物油脂7.5質量部、香料0.2質量部をアイスクリーム原料の基本配合とし、これに下記表1〜3に示すようにヨウ素価20以下のプロピレングリコール脂肪酸エステル(PGMS、PGMP、PGMB)又はヨウ素価20を超えるプロピレングリコール脂肪酸エステル(PGMO)、及び不溶性多糖類を含有する素材を添加した。このアイスクリーム原料を加熱溶解し、ホモゲナイザーにて均質化し、殺菌してフリージングを行った。更に、フリーザーから−5℃・OR(オーバーラン)=100で吐出し、モナカ皮2枚で挟んだ。
【0045】
得られたモナカアイスについて、成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0046】
成型性の評価は、表4に示すように、アイスクリームをモナカ皮2枚に挟んだ場合に、挟んだモナカ皮からクリームがはみ出した個数を計測して行った。
【0047】
吸湿耐性の評価は、表5に示すように、モナカアイス製造時から−18℃で14日間保存した場合において、モナカ皮の水分値上昇幅を計測して行った。
【0048】
総合評価は、専門のパネラー8名により行われ、「◎」が7名以上のことを、「○」が5名以上のことを、「△」が3名以上のことを、「×」が2名未満ことを、それぞれ表した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
その結果、表1〜3に示されるように、ヨウ素価20以下のプロピレングリコール脂肪酸エステル(PGMS、PGMP、PGMB)と不溶性多糖類を含有する素材とを含む実施例1〜12では、成型性と吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価であった。
【0055】
一方、不溶性多糖類を含有する素材を含むがプロピレングリコール脂肪酸エステルを含まない比較例1では、成型性に優れるが、吸湿耐性は十分でなく、総合評価では良い評価を得られなかった。また、ヨウ素価20を超えるプロピレングリコール脂肪酸エステル(PGMO)と不溶性多糖類を含有する素材を含む比較例2〜5では、成型性に優れるが、吸湿耐性が十分でなく、総合評価でも良い評価を得られなかった。
【0056】
<試験例2>
下記表6に示すようにPGMSとセルロースとを添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0057】
【表6】
【0058】
その結果、表6に示されるように、PGMSとセルロースとを含む実施例13では、成型性と吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価であった。
【0059】
一方、PGMSを含みセルロースを含まない比較例6では、成型性が劣るため、吸湿耐性が十分に良い評価でなく、総合評価でも良い評価を得られなかった。
【0060】
<試験例3>
下記表7に示すようにPGMSとセルロース、更に飽和モノグリセリン脂肪酸エステル、又は不飽和モノグリセリン脂肪酸エステルを添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0061】
【表7】
【0062】
その結果、表7に示されるように、飽和モノグリセリン脂肪酸エステル、又は不飽和モノグリセリン脂肪酸エステルをいずれも含まない実施例14では、成型性と吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価であった。
【0063】
一方、飽和モノグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は不飽和モノグリセリン脂肪酸エステルのいずれかを含む実施例15〜19では、成型性は十分に良いものではなく、また総合評価でも十分に良い評価ではないが、吸湿耐性に優れていた。
【0064】
<試験例4>
下記表8に示すように増粘安定剤(ローカストビーンガム、グアーガム)を添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0065】
【表8】
【0066】
その結果、表8に示されるように、実施例20,21では、成型性と吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価であった。実施例20,21はいずれも成型性が○であるが、実施例20は、挟んだモナカ皮からクリームがはみ出した個数が3個であった一方、実施例21は2個であったことから、増粘安定剤を含む実施例21は、含まない実施例22に比べて、成型性に優れていた。
【0067】
<試験例5>
下記表9,10に示すように、各種増粘安定剤を1種類以上添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。また、風味・食感の評価も行った。
【0068】
風味・食感の評価は、専門のパネラー8名により行われ、「5」がなめらかな舌触りで口どけもよく、非常においしいことを、「4」がややなめらかな舌触りで口どけもあり、おいしいことを、「3」が口どけもあり、ややおいしいことを、「2」がもったりした舌触りで口どけもやや悪く、あまりおいしくないことを、「1」が非常に持ったりした舌触りで口どけも悪く、おいしくないことを、それぞれ表した。
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】
その結果、表9,10に示されるように、増粘安定剤としてローカストビーンガムを1種含む実施例22、及びタマリンドシードガムを1種含む実施例24では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は5であり、総合評価も良い評価であった。また、増粘安定剤としてグアーガムを1種含む実施例23では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4であり、総合評価も良い評価であった。一方、増粘安定剤としてゼラチンを1種含む実施例26、及びペクチンを1種含む実施例27では、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4であったが、成型性は十分に良いものではなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。また、増粘安定剤としてカラギナンを1種含む実施例25、キサンタンガムを1種含む実施例28、及び加工デンプンを1種含む実施例29では、吸湿耐性に優れ、風味・食感は3であったが、成型性は十分に良いものではなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。
【0072】
増粘安定剤を2種含む実施例30〜34では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4又は5であり、総合評価も良い評価であった。
【0073】
増粘安定剤を3種含む実施例35,36,38〜40では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4又は5であり、総合評価も良い評価であった。一方、同じく増粘安定剤を3種含む実施例37では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は3であるが、総合評価では十分に良い評価を得られなかった。
【0074】
増粘安定剤を5種含む実施例41では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4であり、総合評価も良い評価であった。
【0075】
<試験例6>
下記表11に示す量でPGMSを添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0076】
【表11】
【0077】
その結果、表11に示されるように、PGMSを0.2,0.3,0.4,0.5質量部含む実施例44〜47では、成型性、吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価であった。一方、PGMSを0.05,0.10質量部含む実施例42,43では、成型性に優れるが、吸湿耐性は十分に良いものではなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。また、PGMSを0.60質量部含む実施例48では、吸湿耐性に優れるが、成型性は十分に良いものではなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。
【0078】
<試験例7>
下記表12に示す量でセルロースを添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0079】
【表12】
【0080】
その結果、表12に示されるように、セルロースを0.10,0.35,0.60,0.85,1.00質量部含む実施例50〜54では、成型性、吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価が得られた。一方、セルロースを0.05,1.10質量部含む実施例49,55では、吸湿耐性に優れるが、成型性は十分に良いものでなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。
【0081】
<試験例8>
下記表13に示す量で増粘安定剤を添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。また、試験例5と同様にして風味・食感の評価も行った。
【0082】
保形性の評価は、冷凍庫に3日間保管したモナカアイスのモナカ皮を剥ぎ、常温にてアイスクリーム部分50gをメッシュ(目開き0.5mm)に乗せ、20分後のアイスクリームの形態と、メッシュスルー(通過)の質量により評価した。アイスクリームがメッシュに乗せた当初の形を維持し、メッシュスルーが3g以内であった場合を「○」、アイスクリームがメッシュに乗せた当初の形から変形するが、メッシュスルーが8g以内であった場合を「△」、アイスクリームがメッシュに乗せた当初の形から変形し、メッシュスルーが8g超えた場合を「×」とした。
【0083】
【表13】
【0084】
その結果、表13に示されるように、増粘安定剤を合計で0.05質量部含む実施例57では、保形性は十分に良いものではないが、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4であり、総合評価でも良い評価が得られた。増粘安定剤を合計で0.15,0.25質量部含む実施例58,59では、成型性、吸湿耐性、保形性に優れ、風味・食感は5であり、総合評価でも特に良い評価を得られた。増粘安定剤を合計で0.35質量部含む実施例60では、成型性、吸湿耐性、保形性に優れ、風味・食感は4であり、総合評価でも良い評価を得られた。増粘安定剤を合計で0.50質量部含む実施例61では、成型性、吸湿耐性、保形性に優れ、風味・食感は3であり、総合評価でも良い評価を得られた。一方、増粘安定剤を合計で0.03質量部含む実施例56では、吸湿耐性に優れ、風味・食感は4であったが、成型性、保形性は十分に良いものでなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。増粘安定剤を合計で0.55質量部含む実施例62では、吸湿耐性、保形性に優れ、風味・食感は3であるが、成型性は十分に良いものでなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。
【0085】
<試験例9>
下記表14に示す量で各種乳化剤を添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性、試験例8と同様にして保形性の程度を評価し、総合評価を行った。また、試験例5と同様にして風味・食感の評価も行った。
【0086】
【表14】
【0087】
その結果、表14に示されるように、乳化剤としてソルビタン脂肪酸エステル含む実施例64では、吸湿耐性、保形性に優れるが、特に成型性に優れ、風味・食感は5であり、総合評価でも特に良い評価が得られた。PGMS以外の乳化剤を含まない実施例63では、成型性、吸湿耐性、保形性に優れ、風味・食感は5であり、総合評価でも良い評価を得られた。乳化剤として、それぞれショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンエステル含む実施例65,66では、成型性、吸湿耐性、保形性に優れ、風味・食感は4であり、総合評価でも良い評価を得られた。一方、乳化剤として、それぞれポリソルベート、レシチンを含む実施例67,68では、成型性、吸湿耐性に優れ、風味・食感はそれぞれ4、3であるが、保形性は十分に良いものでなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。
【0088】
<試験例10>
下記表15に示す量で各HLB値のソルビタン脂肪酸エステルを添加したモナカアイスを作製し、試験例1と同様にして成型性、吸湿耐性の程度を評価し、総合評価を行った。
【0089】
【表15】
【0090】
その結果、表15に示されるように、ソルビタン脂肪酸エステルを含まない実施例69では、成型性は十分に良いものではないが、吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価を得られた。HLB=1,5.5のソルビタン脂肪酸エステル含む実施例70,73では、成型性、吸湿耐性に優れ、総合評価でも良い評価を得られた。HLB=2.5,4.5のソルビタン脂肪酸エステル含む実施例71,72では、吸湿耐性に優れるが、成型性に特に優れ、総合評価でも特に良い評価を得られた。一方、HLB=7,8のソルビタン脂肪酸エステル含む実施例74,75では、吸湿耐性に優れるが、成型性は十分に良いものではなく、総合評価でも十分に良い評価を得られなかった。