【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、特許請求項1に記載の位置決め装置により、さらにこの位置決め装置を用いて基板を並進的に移動させるおよび/または配向させる、特許請求項10に記載の方法により、ならびに、特許請求項14に記載のコンピュータプログラム製品により達成される。ここで、本発明の有利な構成は、それぞれ、従属特許請求項の対象である。
【0015】
この観点で設けられた位置決め装置は、基板を並進的に移動させるおよび/または配向させるために設けられていて、それに応じて形成されている。この位置決め装置は、このために、移動面(x、y)で伸張する基部を有する。この基部は、この際に、互いに対して平行に配向され、縦方向に伸張し、かつ第1の変位方向を予設定する支持部レールを有する。この位置決め装置には、さらに、担体も属し、この担体は、駆動可能な磁気支持部を用いて、非接触で第1の変位方向に沿って変位可能に、基部にとりわけその支持部レールに沿って変位可能に支持されている。この担体は、磁気支持部を用いて、基部の少なくとも3つの支持部レールに支えられている。
【0016】
換言すれば、この担体は、少なくとも3箇所で基部に支えられている、または、基部に支持されている。この際、基部の少なくとも3つの支持部レールが、第1の変位方向(x)に対して垂直である方向(y)で互いに対して距離をとって配置されている。第1の変位方向(x)とは、この場合、基部の、とりわけ互いに対して平行に配向された支持部レールの縦方向により予設定され、この縦方向と一致する。
【0017】
支持部レールにより予設定される第1の変位方向に対して垂直な方向で3箇所で、担体を基部に支持することにより、本来担体の基部に対する支持を過剰に決定(UEberbestimmung)している。従来の支持部、例えば、ころ軸受または滑り軸受を使用する場合には、この種の過剰な決定をすると、担体が基部に対して相対的に移動する際に、場合によっては、担体を基部に対して傾斜させてしまう。駆動可能な、したがって調整可能な磁気支持部を採用することにより、この種の過剰な決定を問題なく実現することができる。
【0018】
第1の変位方向に対して垂直に少なくとも3つの支持部レールを設けることにより、担体がいわば自立的に構成されている支点間の距離を、明らかにより短くすることができる。基部を少なくとも3つの支持部レールを用いて複数個所で支えることにより、したがって幾何学的な変形、例えば担体のたわみに効果的に対抗することができる。ここで、支持部レールが第1の変位方向に対して垂直な方向で、互いに対してほぼ等距離で配置されていて、外側にある支持部レールが、担体の対向する端部部分を支え、したがって、間にある支持部レールが、担体の間のまたは中央の部分を支える場合、とりわけ有利であることが明らかである。
【0019】
さらに、少なくとも3つの、さらにはそれ以上の支持部レールにより、基部の共振挙動が改良されうる。上下で例えば互いに硬く連結可能でもある複数の支持部レールの使用により、固有の剛性、ひいてはこれらの共振挙動が改良されうるので有利である。
【0020】
本発明のさらなる構成によれば、担体は、少なくとも3つの支持部部分も有し、これらの支持部部分は、縦方向に伸張し、基部の支持部レールに沿って互いに対して平行に配向されていて、これらの支持部部分には、少なくともそれぞれ1つの磁気支持部が配置されている。この少なくとも1つの磁気支持部を用いることにより、各支持部レールは、そのZ位置に関して、すなわち、移動面(x、y)に垂直の方向でないし第1の変位方向(x)に対して垂直方向で様々に位置付けられ、その結果、担体は、磁気支持部を適切に駆動することにより、絶対的にまたは支持部レールに対して相対的に、好ましくは特に高い精度でかつ非常に精確に、水平方向に、すなわち移動面に対して、または、移動面に対して平行に、配向されることができる。
【0021】
さらなる構成によれば、担体の支持部部分には、変位方向で互いに対して距離をとった磁気支持部がそれぞれ少なくとも2つ以上配置されている。これらの磁気支持部も、担体の支持部部分でとりわけ等距離にあることができ、したがって変位方向(x)で等距離で配置されていることができる。少なくとも3つの支持部部分のそれぞれに、変位方向で互いに対して距離をとった磁気支持部が複数個設けられている場合、全体として見ると、担体面に渡って、磁気支持部の二次元のアレイが生じる。
【0022】
磁気支持部、ないし磁気支持部アレイを適切に駆動することにより、担体は基部に対して正確に水平方向に、または、絶対的に水平方向に配向されることができ、したがって、基部の支持部レールに沿って担体を動かすことができる。
【0023】
基部に対して相対的に担体を移動させるために、概して非接触の駆動部が設けられていて、例えば、磁気駆動部を担体に設け、これが、支持部レールにほぼ平行に伸張する固定された磁石帯と協働しうる。
【0024】
さらなる構成によれば、基部と担体との間の距離を、移動面(x,y)に対して垂直であるZ方向で少なくとも局所的に変更するために、磁気支持部は、別々にかつ互いに依存することなく形成されているおよび/またはこれに応じて駆動されうる。磁気支持部に対して相応の目標値を別々に独立的にかけることにより、例えば、支持部部分の一端に配置されている磁気支持部において、該当する支持部部分の対向する端部よりも、より大きいまたはより小さい距離を基部に対して設定して、担体を基部に対して配向させることができる。
【0025】
担体が、変位方向(x)でも、これに対して垂直方向である方向(y)でも、とりわけ移動面(x、y)の全体に渡って、駆動可能または制御可能な複数の磁気支持部を用いて、基部に支持されていることにより、担体を、局所的にすなわち個々の磁気支持部の領域中で可変的に持ち上げ、または、降下させることができ、すなわちZ方向に変位させることができる。この観点では場合によっては生じうる担体および/または基部の幾何学的な起伏を、磁気支持部の適応制御により、効果的に補償し、相殺することができる。
【0026】
このようにして、移動面中の、与えられた精度要件を満足しない担体またはその支持部レールの平面性を、個々の磁気支持部を目標を定めて駆動ないし適応駆動することにより、相殺することがとりわけ可能になる。このようにして、基部が比較的許容誤差を含みかつ不精確な構成であるにもかかわらず、絶対的な座標系に関して予設定された許容誤差限界内で、基部に対して相対的に担体を配向させる、ないし、これに応じて基部に対して相対的に担体を並進的に移動させるまたは変位させることができる。
【0027】
したがって、担体面に渡って分布して設けられた個々の磁気支持部の適応駆動または制御により、基部と、これに設けられている支持部レールとについての幾何学的な許容誤差限界を、有利に下げることができる。このようにして、基部および/または担体の製造および組み立てコストも、重量も低減させることができる。
【0028】
さらなる構成によれば、位置決め装置はさらに計測装置を有し、これが変位方向(x)に沿って担体のZ位置を測定するために形成されている。好ましくは非接触で形成されている計測装置を用いて、場合によっては生じうる基部および担体の要求された目標値からの高さの偏向を測定することができる。担体が、例えば要求された幾何学的な許容誤差のうちの1つに合わない、したがって許容誤差限界を上回る表面輪郭を有する場合、計測装置を用いて、変位方向に沿った、ないし担体の各変位位置についてのこの種の偏向を導出することができ、したがって、これを、考慮されるべき各磁気支持部を駆動するないし磁気をかけるために使用しうる。
【0029】
概してさらに、位置決め装置は、計測装置を用いて導出された担体のZ位置に応じて、磁気支持部を駆動するように形成された制御部を有する。この場合、一方では、位置決め装置の運転開始時に、ある種の較正が行われうる。担体が、基部に対して再現可能に変位可能であるという点を前提とすると、基部ないしその支持部レールの、第1の変位方向に沿った高さの延び、ないし高さの輪郭を一度決定し、その導出されたデータを記憶部中に記憶する場合に十分でありえる。
【0030】
このようにして、基部における担体の第1の変位方向での考えられうる各位置について、各磁気支持部についてまたは少なくともいくつかの磁気支持部について、オフセット信号またはこれに相当する較正値を、較正の経過中に導出することができ、これが、位置決め装置の作動時に、担体位置に関する駆動のため、および磁気支持部の高さ補正のために使用可能である。
【0031】
較正に代えてまたはこれに追加して、計測装置が担体のZ位置を位置決め装置の作動中にも監視することも当然考えられる。担体が、許容誤差のサイズ外の、目標値からは反れたZ位置を採ることが望ましい場合には、この計測装置を用いて、これに応じた目標値の偏向を定量的にまたは定性的に検出することができ、これを、制御部に供給し、かつ基部と担体との間の距離の局所的な制御により、少なくとも1つまたは複数の磁気支持部を用いて、要求された許容誤差サイズを適応的に守るために使用可能である。
【0032】
さらなる構成によれば、基部の支持部レールは、担体の側で、それぞれ断面がL字型である輪郭付き部分を有し、少なくとも3つの支持部レールのこれらのL字型の輪郭付き部分は互いに平行に配向されている。概してこのL字型でY方向に伸張する輪郭付き部分は、支持部レールの、担体側の上方端部で伸張する。このフランジ状またはL字型で支持部レールから突出している輪郭付き部分は、とりわけ、担体においてとりわけ担体の支持部部分において配置されている磁気支持部と協働し、これにより担体が予設定された間隙サイズ内で基部に対して浮遊するように、かつ、基部に沿って変位可能であるように形成されている。
【0033】
さらなる構成によれば、担体の支持部部分も、断面がL字型であるように形成されている。とりわけこの担体の支持部部分は、下方向に、基部の側で突出し、その結果、この支持部分は支持部レールのL字型で突出している輪郭付き部分をこれに対応するように取り囲む。担体の支持部部分に配置されている磁気支持部は、とりわけ、支持部レールの側方に突出するL字型の輪郭付き部分の下向きの、すなわち底面に向かって配向された側と協働する。
【0034】
担体の少なくとも3つの支持部部分と、基部の支持部レールとが、対応して互いにL字型で配向されかつ配置されていることにより、担体の基部への特に単純な組み立ておよび解体が行われうる。組み立てられた状態では、支持部部分のY方向で伸張するアームと、支持部レールとが、Z方向で重なる。
【0035】
L字型のアームの方向へ担体を変位させることにより、Z方向から見ると、このアームの係合をほぼ解除し、その結果、担体を基部に対して比較的小さい側方方向で変位させて、担体を基部から機械的に係合解除し、これにしたがって、担体を上方向へ持ち上げることができる。
【0036】
位置決め装置の通常の使用時に、担体と基部とが自然に係合解除してしまうことを回避するために、例えば、担体には、取り外し可能または構成可能な固定部材が設けられていることができ、これが、少なくとも1つの支持部レールのL字型のアームとは逆側の外側で入り込み、したがって、支持部レールの配向のための担体と基部との相対移動を防ぐ。保守または組み立て目的のために、この種の固定部材は相応に構成され、または解体されうる。
【0037】
さらなる構成によれば、担体自体が、担体レールを少なくとも2つ有し、これらの担体レールは、互いに対して平行に配向され、縦方向に伸張し、かつ、第2の変位方向(y)を予設定する。これらの担体レールには、さらに、台が、さらなる駆動可能な磁気支持部を用いて、第2の変位方向(y)に沿って変位可能に非接触で支持されている。担体と、この担体に対して変位可能である台との間は、担体と基部との間で設けられている支持部に匹敵する支持部が、相応に実装されていることができる。
【0038】
少なくとも3つの担体レールを設けることは、台のサイズを鑑みると、必ずしも必要ではないが、しかし、担体と基部との支持に関連して上に説明したと同様に実装することができる。台が担体自体に第2の変位方向に沿って変位可能に支持されていることにより、この台は、担体に対する適切な変位によっても、基部に対する担体の相応の変位によっても、移動面(x、y)中でそれぞれの位置を採ることができる。
【0039】
台には、さらに、回転盤を設けることができ、その結果、回転盤に保持された基板は、移動面の任意の点に走行するのみならず、移動面中で任意に配向され、ないし回転されることもできる。
【0040】
さらなる態様によれば、本発明は、さらに、上述の位置決め装置を用いて、基板を並進的に移動させるおよび/または配向させる方法に関する。第1の方法工程では、位置決め装置の基部により予設定された移動面に対する、担体のZ位置を、担体の第1の変位方向に沿って導出する。この場合、とりわけ変位方向(x)での担体の各位置について、具体的なZ位置を導出することができる。
【0041】
導出されたこのZ位置は、この際、要求された目標値からの担体の位置の、幾何学的な偏向の尺度である。担体のZ位置を、第1の変位方向(x)に沿って、基部の支持部レールによって予設定された走行経路に渡って導出した後に、さらなる工程中で、すなわち、位置決め装置が運転開始する際に、担体を非接触で第1の変位方向に沿って変位可能に基部で支持する個々の磁気支持部を駆動する。
【0042】
磁気支持部は、この際、従前に導出された担体のZ位置に応じて駆動され、その結果、場合によっては生じうるZ方向での位置許容誤差が補償され、これにしたがって相殺されうる。このようにして、磁気支持部には、担体の各位置に応じて異なって磁気をかけることができ、具体的な変位位置(x)に応じて、較正された、ないし幾何学的な現状に合わせられたZ位置、および、これに伴ってこれに従う担体と基部との間の間隙距離を設定することができる。
【0043】
この方法のさらなる構成によれば、基部についておよび/または担体についても、Z方向での位置または伸張に関する予設定された目標幾何学値からの幾何学的な偏向または許容誤差は、計測装置と結合された制御部を用いて、該当する磁気支持部の適応駆動により補償される。この場合、基部の一般的に存在する構成部品の許容誤差のみならず、支持部の各位置と共に変わりうる負荷に応じた基部のたわみも、同様に補償し、かつ相殺することができる。
【0044】
磁気支持部の適応駆動は、いわば位置決め装置の作動時にオン・ザ・フライ(on−the−fly)で行うことができる。この場合、担体のZ位置は、例えば、上述の計測装置を用いて監視可能である。要求された許容誤差限界を上回る偏向時には、該当する磁気支持部をこれに応じて対抗するように駆動することができる。
【0045】
これに代わるまたはこれを補足する構成では、この場合、基部のZ方向での伸張に関する幾何学形状は、較正の過程で検出され、記憶されることも考えられる。この場合、基部の形状のみならず、基部に接する担体の各位置により生じる基部の形状変化を較正の経過時に検出し、これに応じて記憶することができる。担体が前に記憶したX位置を走行するとすぐに、該当する磁気支持部に、較正の経過中に検出されたオフセット信号または較正信号がかけられると、その結果、担体は、最終的にそのZ位置に関して予設定された許容誤差限界内に保持され、および変位されうる。
【0046】
さらなる構成によれば、担体のZ位置は、非接触で、担体の支持部レールにほぼ平行に配向された少なくとも1つのレーザ光線を用いて、および、担体に配置された検出器により導出される。極端な場合には、ここで、支持部レールが水平方向から反れて配向されていることも考えられる。支持部レールのこの種の幾何学的な偏向は、幾何学的な基準を形成するレーザ光線を用いて、磁気支持部を位置に依存して制御することによりほぼまたは完全に補償することができる。
【0047】
さらなる独立した態様によれば、最後に、上述の位置決め装置を駆動するためのコンピュータプログラム製品が設けられている。概して、制御部中に実装されていて、そのプログラム手段がこの制御部のプロセッサにより実行されるコンピュータプログラム製品は、位置決め装置の基部により予設定された移動面に対して垂直方向で、担体の少なくとも1つのZ位置を、担体の第1の変位方向に沿って導出するプログラム手段を有する。したがって、このプログラム手段は、計測装置により発生させられた信号を処理するために形成されている。
【0048】
さらに、このコンピュータプログラム製品は、担体を非接触で第1の変位方向に沿って変位可能に基部で支持する磁気支持部を駆動するプログラム手段を有する。このプログラム手段は、この場合、磁気支持部を導出された担体のZ位置に応じて、担体の各変位位置に対して駆動するために形成されていて、これにより、担体を、Z位置に関して必要な許容誤差の限界内で保持することができる。
【0049】
ここで、さらに、上述の方法およびコンピュータプログラム製品は、上述の位置決め装置を決まった通りに作動するために形成されている点に注意されたい。その限りにおいて、この位置決め装置に関連して説明された特徴および利点は、同様にこの方法およびこのコンピュータプログラム製品にも該当し、逆も該当する。
【0050】
本発明のさらなる目的、特徴および有利である態様を、図面を参照した実施形態に基づいて説明する。