(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周囲の温度が所定の第1温度を超えている場合に前記第1温度と前記周囲の温度との温度差及び前記周囲の温度が当該第1温度を超えている時間の積である第1累積温度に基づいて色が変化する第1示温塗料が塗布された部分を含む画像を取得する取得部と、
前記第1示温塗料の色と前記第1累積温度との対応関係を示す第1データを格納する記憶部と、
前記画像に含まれる前記第1示温塗料の色と、前記第1データとに基づいて、前記第1示温塗料の色に対応する前記第1累積温度を算出する演算部とを備え、
前記第1示温塗料は、測定対象物に直接的又は間接的に塗布されている、
温度管理装置。
前記取得部は、前記周囲の温度が前記第1温度よりも高い第2温度を超えている場合に前記第2温度と前記周囲の温度との温度差及び前記周囲の温度が前記第2温度を超えている時間の積である第2累積温度に基づいて色が変化する第2示温塗料が塗布された部分をさらに含む前記画像を取得し、
前記記憶部は、前記第2示温塗料の色と前記第2累積温度との対応関係を示す第2データを格納し、
前記演算部は、前記画像に含まれる前記第2示温塗料の色と、前記第2データとに基づいて、前記第2示温塗料の色に対応する前記第2累積温度を算出し、
前記第2示温塗料は、前記第1示温塗料とともに、前記測定対象物に直接的又は間接的に塗布されている、
請求項1に記載の温度管理装置。
周囲の温度が所定の第1温度を超えている場合に前記第1温度と前記周囲の温度との温度差及び前記周囲の温度が当該第1温度を超えている時間の積である第1累積温度に基づいて色が変化する第1示温塗料が塗布された部分を含む画像を取得し、
前記画像に含まれる前記第1示温塗料の色と、前記第1示温塗料の色と前記第1累積温度との対応関係を示す第1データとに基づいて、前記第1示温塗料の色に対応する前記第1累積温度を算出することを実行する温度管理方法であって、
前記第1示温塗料は、測定対象物に直接的又は間接的に塗布されている、
温度管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0013】
(構成例)
図1は、本実施形態の温度管理システムの構成例を示す図である。
図1の温度管理システム10は、情報処理装置100、カメラ200、温度管理対象の物品300を含む。情報処理装置100は、演算部110、記憶部120、通信部130を含む。温度管理対象の物品300の表面または物品300の包装(包装フィルム、包装紙等)、梱包袋、梱包箱に直接的に、これらに添付されるカード、シール等により間接的に、表面に示温塗料が塗布されている。以後、これら包装等を、単に包装ともいう。情報処理装置100は、温度管理装置の一例である。物品300は、測定対象物の一例である。情報処理装置100は、ネットワーク等を介して、サーバ等の他の情報処理装置に接続されてもよい。
【0014】
ここで使用する示温塗料は、所定の基準温度と当該塗料の温度(当該塗料の周囲の温度)との温度差(ΔT)と、ΔTが正である時間との積に応じて、色が変化する塗料である。ここでは、当該積を累積温度という。示温塗料として使用する物質により、基準温度や累積温度に対する色などを制御することができる。示温塗料は、例えば、累積温度に応じて白色から青色に一方向に変化する。示温塗料の色の変化はこれに限定されるものではない。所定の累積温度まで、示温塗料の色と累積温度とは、1対1に対応する。示温塗料は、所定の基準温度以上の温度から所定の基準温度未満の温度になっても、その色を維持する。示温塗料は、所定の条件のもと、色がリセットされてもよい。また、示温塗料として、所定の基準温度と当該塗料の温度との温度差(ΔT)と、ΔTが負である時間との積に応じて、色が変化する塗料が使用されてもよい。
【0015】
食品等の物品には、所定の温度範囲で輸送されることが求められるものがある。しかし、一般に、食品等の物品は、所定の温度範囲を一時的に逸脱しても品質劣化はほとんど起こらない。食品等の物品の品質劣化は、所定の温度範囲を逸脱した温度差と逸脱した時間とに基づく累積温度に依存すると考えられる。
【0016】
情報処理装置100の演算部110は、カメラ200等から示温塗料を撮影した画像を取得する。演算部110は、取得した画像に含まれる示温塗料の色に基づいて、累積温度
を算出する。演算部110は、示温塗料の色と累積温度との対応関係を示すデータを記憶部120から取得する。
【0017】
記憶部120は、情報処理装置100で使用されるデータ、テーブル、プログラム等を格納する。記憶部120は、示温塗料の色と累積温度との対応関係を示すデータ(例えば、対応テーブル、関係式など)を格納する。記憶部120は、カメラ200から受信した画像を格納する。各画像には、画像の撮影時刻、画像を識別する識別情報、示温塗料が塗布された対象を識別する情報等が対応付けられていてもよい。記憶部120は、演算部110で算出された累積温度の情報を格納する。示温塗料の色と累積温度との対応関係は、あらかじめ測定されている。
【0018】
図2は、示温塗料の色と累積温度の対応関係の例1を示す図である。
図2のグラフは、横軸が示温塗料の色の変化を表し、縦軸が累積温度を示す。示温塗料の色が白から青に変化するのにつれて、累積温度が徐々に上昇していることがわかる。即ち、示温塗料の周辺の累積温度が徐々に上昇するにつれて、示温塗料が徐々に白から青に変化する。また、示温塗料の色が青に変化した後は、累積温度が上昇しても示温塗料の色は変化しない。
図2の例では、示温塗料の色が青である場合には、累積温度がX以上であることが分かる。累積温度がX以下である場合、示温塗料の色に対して累積温度が一意に決まる。即ち、累積温度は、示温塗料の色の関数である。
【0019】
図3は、示温塗料の色と累積温度の対応関係の例2を示す図である。
図3のグラフは、横軸が示温塗料の色の変化を表し、縦軸が累積温度を示す。示温塗料の色が白から青に変化するのにつれて、累積温度が急激に上昇していることがわかる。即ち、示温塗料の周辺の累積温度が上昇する際に、最初のうちは、白に近い色であるが、累積温度が高くなるにつれて、示温塗料が急激に白から青に変化する。また、示温塗料の色が青に変化した後は、累積温度が上昇しても示温塗料の色は変化しない。
図3の例では、示温塗料の色が青である場合には、累積温度がY以上であることが分かる。累積温度がY以下である場合、示温塗料の色に対して累積温度が一意に決まる。即ち、累積温度は、示温塗料の色の関数である。示温塗料は、累積温度の計測開始時に、累積温度が0である場合に対応する色を示しているとする。
【0020】
図4は、累積温度の例を示す図である。
図4のグラフは、示温塗料の周囲の温度の時間変化の例を表す。
図4の横軸は時間で、縦軸は温度である。基準温度は、示温塗料の基準温度である。当該示温塗料は、周囲の温度が基準温度以上である場合に、色が変化する。示温塗料の色は、基準温度と周囲の温度との温度差(ΔT)と、基準温度以上である時間との積である累積温度に基づいて変化する。
図4のように、累積温度は、基準温度以上の領域で、かつ、温度変化の曲線と基準温度の直線とで囲まれる領域の面積である。
【0021】
通信部130は、ネットワークを介して、他の装置等と、データ、信号の送受信(通信)を行う。また、通信部130は、カメラ200と接続され、カメラ200に対して撮影の指示を送信し、カメラ200で撮影された画像をカメラ200から受信する。通信部130は、演算部110で算出された累積温度を他の装置等に向けて送信する。通信部130は、取得部の一例である。
【0022】
通信部130は、サーバ(図示なし)とネットワークを介して接続し、カメラ200で撮像した画像をこのサーバに送信して、サーバが保存するようにしてもよい。また、サーバ内で、この画像と物品300の産地や収穫などの情報とを関連付けて保存してもよい。
【0023】
出力部140は、算出された累積温度等を、情報処理装置100の利用者等に向けて表示するディスプレイを含む。
【0024】
図9は、出力部の出力例を示す図である。
図9の出力例の左側上段には、顧客情報、管理番号、配送車情報、出発日時、到着予定日時、設定条件範囲内の状態で物品300が輸送されていたかに基づく受取できるか否かの情報(GO/NO GOのサイン)などが表示されている。受け取れない物品300があれば、その物品番号を表示するようにしてもよい。
【0025】
図9の出力例の左側下段には、計測日時とその時における物品300が保管されている輸送トラック等の輸送手段内の温度が表示されている。計測日時は、計測開始日時から計測終了日時までの一定の間隔としてある。
【0026】
図9の出力例の右側上段には、物品300が輸送手段に搬入された場所、輸送手段から搬出される場所と、その間のルートを地図で表示されている。異常が発生したときに、トラック等の輸送手段が何処を走行していたか、距離計やGPS受信器で走行場所を特定することもできる。
【0027】
図9の出力例の右側中段には、日時と温度の関係をグラフにしたものが表示されている。
図9の横軸は時間で、縦軸は温度である。ここで使用する温度は、輸送トラック等の輸送手段内に設置される温度計が示す温度である。グラフ内に、異常が発生した物品300を表示して、異常が発生した日時に物品番号、異常を示す記号などを表示するようにしてもよい。
【0028】
図9の出力例の右側下段には、出発時における物品300や物品300の包装に塗布した示温塗料の色と、到着時における物品300や物品300の包装に塗布した示温塗料の色を、測定する個数分をカード形式で表示している。カード形式の外枠に、所定の温度状態で配送されて品質上の問題がなく受け取れるものを緑色、逆に品質上の問題があるものは赤色などと、示温塗料の色と異なる色で表示してもよい。
【0029】
また、出力部140は、ディスプレイに代わって、あるいはディスプレイと共に温度管理状態を報告書の形式を印刷するプリンタを備えていてもよい。
【0030】
情報処理装置100における動作は、ネットワーク等を介して情報処理装置100に接続されるサーバ等の他の情報処理装置によって行われてもよい。
【0031】
カメラ200は、温度管理対象の物品300に対応付けられて塗布された示温塗料を、撮影する。カメラ200は、例えば、所定時間毎に、示温塗料を撮影する。また、カメラ200は、情報処理装置100からの指示に基づいて、示温塗料を撮影してもよい。カメラ200は、撮影した画像を、情報処理装置100に送信する。
【0032】
物品300は、例えば、温度管理が求められる食品、材料、精密機器、動植物等である。物品300は、これらに限定されるものではない。上記のように、物品300、または、物品300の包装等の表面に、示温塗料が塗布されている。また、物品300または物品300の包装等に示温塗料が塗布されたカードやシール等が添付されていてもよい。示温塗料は、外部から視認できる位置に存在する。示温塗料の周辺には、物品300や示温塗料を識別する識別情報が記載されていてもよい。温度管理対象の物品300には、包装等に塗布された示温塗料が対応付けられている。
【0033】
情報処理装置100は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、携帯電話、タ
ブレット型端末、カーナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ワークステーション(WS、Work Station)のような専用または汎用のコンピュータ、ある
いは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。
【0034】
図5は、コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図5に示すコンピュータは、一般的なコンピュータの構成を有している。情報処理装置100は、
図5に示すようなコンピュータ90によって実現される。
図5のコンピュータ90は、プロセッサ91、メモリ92、記憶部93、入力部94、出力部95、通信制御部96を有する。メモリ92はプロセッサ91と直接接続し、メモリ92以外は互いにバスによって接続される。記憶部93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。コンピュータのハードウェア構成は、
図5に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0035】
コンピュータ90は、プロセッサ91が記録媒体に記憶されたプログラムおよび各種データや各種テーブルをメモリ92の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0036】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。
【0037】
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ92は、主記憶装置とも呼ばれる。
【0038】
記憶部93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク
ドライブ(HDD、Hard Disk Drive)である。また、記憶部93は、リムーバブルメデ
ィア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部93は、二次記憶装置とも呼ばれる。
【0039】
記憶部93は、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶部93に格納される情報は、メモリ92に格納されてもよい。また、メモリ92に格納される情報は、記憶部93に格納されてもよい。
【0040】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部96を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他のコンピュータ、外部記憶装置等が含まれる。
【0041】
入力部94は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部94は、カメラのような映像や画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。
【0042】
出力部95は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)パ
ネル、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)等の表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部95は、スピーカのような音声の出力装置を含むことができる。
【0043】
通信制御部96は、他の装置と接続し、コンピュータ90と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部96は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、無線通信のための無線通信回路、有線通信のための通信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネットワークに接続される。
【0044】
情報処理装置100を実現するコンピュータは、プロセッサが補助記憶装置に記憶されているプログラムを主記憶装置にロードして実行することによって、各機能部としての機能を実現する。一方、情報処理装置100の記憶部は、主記憶装置または補助記憶装置の記憶領域に設けられる。
【0045】
(動作例)
図6は、本実施形態における温度管理システムの動作フローの例を示す図である。温度管理システム10の情報処理装置100には、カメラ200が、通信可能に、接続されている。また、カメラ200の前には、示温塗料が塗布された梱包箱等に入れられた物品300が存在する。カメラ200は、当該示温塗料を撮影できるようにされている。また、カメラ200とともに、所定の照明が使用されてもよい。所定の照明を使用することにより、周囲の明るさ、色温度等に依存せず、示温塗料の色の撮影を安定的に行うことができる。
【0046】
S101では、情報処理装置100の演算部110は、通信部130を介して、カメラ200に、示温塗料の塗布部分を含む物品300を撮影することを指示する。カメラ200は、情報処理装置100からの指示に基づいて、示温塗料の塗布部分を含む物品300を撮影する。カメラ200は、撮影した画像を、情報処理装置100に送信する。情報処理装置100の演算部110は、通信部130を介して、カメラ200で撮影された画像を受信する。演算部110は、受信した画像を記憶部120に格納する。記憶部120に記憶する画像には、撮影日時等が対応付けられていてもよい。情報処理装置100は、カメラ200によってあらかじめ撮影された画像を、取得してもよい。情報処理装置100が取得する画像は、複数の物品300に対応する示温塗料の複数の塗布部分を撮影した複数の画像であってもよい。
【0047】
S102では、演算部110は、カメラ200で撮影された画像から、示温塗料の塗布部分を抽出し、当該塗布部分の色が所定の色に一致している否かを判定する。演算部110は、撮影された画像において、例えば、示温塗料を示す識別情報等に基づいて、示温塗料の塗布部分を抽出する。示温塗料の周囲には、あらかじめ設定された示温塗料を識別する図形、記号、文字列の情報等が描画されるようにしてもよい。演算部110は、示温塗料の位置を認識し、示温塗料の塗布部分を抽出する。また、カメラ200での撮影の際に、あらかじめ、画像における示温塗料の塗布部分の領域を決定しておき、演算部110は、当該領域を示温塗料の塗布部分として、抽出してもよい。
【0048】
演算部110は、抽出した塗布部分の色を検出する。演算部110は、塗布部分の色が均一でない場合、塗布部分の色の平均値を、塗布部分の色とする。また、演算部110は、塗布部分の色が均一でない場合、塗布部分において、最も広い領域を占める色を、塗布部分の色として検出してもよい。また、演算部110は、塗布部分の色が均一でない場合、塗布部分の中央部分の色を、塗布部分の色として検出してもよい。演算部110は、検出した塗布部分の色を、記憶部120に格納する。なお、塗布部分の色は、平均値以外にも中央値や最頻値であってもよい。演算部110は、検出した塗布部分の色から、対応関係を示すデータに含まれる示温塗料の色と一致しているか否かを判断する。両者の色が一致していない場合(S102;NO)、S101に戻って再度画像を取得する。両者の色が一致している場合(S102;YES)、処理がS103に進む。
【0049】
S103では、演算部110は、検出した塗布部分の色から、累積温度を算出する。演算部110は、記憶部120に格納される示温塗料の色と累積温度との対応関係を示すデータから、塗布部分の色に対応する累積温度を算出する。演算部110は、算出した累積温度を、記憶部120に格納する。
【0050】
S104では、演算部110は、算出された累積温度等を、出力部140に表示させる。出力部140は、情報処理装置100の利用者等に向けて、算出された累積温度等をディスプレイ等に表示する。物品300の温度管理を行う情報処理装置100等の利用者は、物品300の累積温度を確認することができる。利用者は、累積温度を確認することで、例えば、物品300の品質を保証したり、物品300の廃棄の判断を行ったりすることができる。また、演算部110は、算出された累積温度を、通信部130を介して、サーバ等の他の情報処理装置に送信してもよい。
【0051】
また、演算部110は、
図8に示した管理指標テーブルT100に基づいて、物品300が品質を保証できる状態であったか否かを利用者に代わって判断することもできる。管理指標テーブルT100は、物品300の物品名と物品300の累積温度閾値が記載されている。物品300の測定した累積温度が累積温度閾値を超えたとき、演算部110は物品300の品質を保証することができないと判断する。利用者は、この結果から品質を保証することができない物品300を受け取らない、とすることができる。
【0052】
示温塗料は、累積温度の計測開始時に、累積温度0の色を示しているとする。また、累積温度の計測開始時と計測終了時に示温塗料の色を撮影し、計測終了時の色に対応する累積温度と計測開始時の色に対応する累積温度との差から、計測開始時と計測終了時との間の期間における累積温度が算出されてもよい。
【0053】
(変形例)
上記の例では、1種類の示温塗料が用いられたが、2種類以上の示温塗料が用いられてもよい。ここでは、基準温度の異なる2種類の示温塗料を使用する例について説明する。この場合における温度管理システム10の動作は、上記の例との共通点と相違点とを有する。ここでは、主に、相違部分について説明する。
【0054】
物品300(または物品300の包装等)には、第1温度を基準温度とする第1示温塗料と、第1温度より高い第2温度を基準とする第2示温塗料とが、塗布されるとする。S101において、カメラ200は、第1示温塗料の塗布部分と第2示温塗料の塗布部分とが含まれるように物品300を撮影する。S102では、演算部110は、第1示温塗料の塗布部分の色と第2示温塗料の塗布部分の色とを、撮影された画像から抽出する。S103では、演算部110は、第1示温塗料の色に基づいて、第1示温塗料の累積温度と、第2示温塗料の色に基づいて、第2示温塗料の累積温度とを算出する。S104では、演算部110は、各累積温度を出力する。
【0055】
例えば、第1示温塗料だけでは、物品300が第1温度以上に達したか否かを認識することはできても、第2温度以上に達したか否かを認識することは難しい。しかし、第2示温塗料を併用することで、第2温度以上に達したか否かを認識することができるようになる。第1示温塗料による累積温度と、第2示温塗料による累積温度を用いることで、物品300の周囲の温度の履歴を、例えば設定温度に対する上下の温度変動を管理する等、より詳細に認識することができる。
【0056】
図7は、累積温度の例を示す図である。
図7のグラフは、示温塗料の周囲の温度の時間変化の例を表す。
図7の横軸は時間で、縦軸は温度である。第1温度は、第1示温塗料の基準温度である。第2温度は、第2示温塗料の基準温度である。
図7の温度の時間変化の
ように、示温塗料の周囲の温度が、第1温度の上下で変化し、第2温度には達しない場合、第1示温塗料の累積温度は、0より大きい値となるが、第2示温塗料の累積温度は、0となる。このとき、利用者は、示温塗料の周囲の温度が第1温度に達したものの、第2温度には達しなかったことを認識することができる。
【0057】
示温塗料の色が飽和する累積温度を超えると、当該累積温度以上の累積温度を認識することが難しい。また、飽和する累積温度が高い示温塗料を使用すると、累積温度が小さい場合に、累積温度の算出が難しくなることがある。飽和する累積温度が高い示温塗料では、累積温度の変化に対する色の変化が小さくなるからである。このとき、基準温度が同じで、色が飽和する累積温度が異なる2種類の示温塗料(色が飽和する累積温度がより小さい第1示温塗料と色が飽和する累積温度がより大きい第2示温塗料)が使用されてもよい。このとき、累積温度が小さい場合には、第1示温塗料の色により累積温度を算出し、第1示温塗料の色が飽和する累積温度を超える累積温度に対しては、第2示温塗料の色により累積温度を算出する。これにより、物品300の広範囲の累積温度をより正確に算出することができる。
【0058】
(実施形態の作用、効果)
温度管理システム10は、物品300や物品300の包装に塗布した示温塗料の色により、累積温度を算出する。累積温度は、基準温度と示温塗料の周囲の温度との温度差(周囲の温度が基準温度を超えている場合に限る)の情報と、基準温度を超えた時間の情報とを含む。温度管理システム10は、示温塗料を使用することで、温度ロガー等を使用する場合に比べ、物品300の温度管理を簡易に行うことができる。
【0059】
例えば、物品300の輸送開始時に、物品300の梱包箱に示温塗料を塗布しておく。情報処理装置100は、輸送完了時に撮影された物品300に対応する示温塗料の塗布部分を含む画像により、物品300の累積温度を算出する。利用者は、累積温度を使用することで、輸送中に基準温度を超えたのが長時間にわたっていたのか否か、温度が基準温度を大幅に超えていたのか否か等を認識することができる。食品等の物品300は、所定の基準温度を短時間超えていた場合でも、品質を維持できることがある。また、所定の基準温度を少しでも超えた事実が明確になるので、温度によって品質に影響が出てしまう食品等の物品300は、品質を維持できないことがある。このような場合に、温度管理システム10を使用して累積温度を算出することで、物品300の品質保証の可否を判断することができる。時間の情報が含まれた累積温度を用いることで、物品300の品質をより正確に判断することができる。これにより、物品300の不必要な廃棄を低減することができる。
【0060】
また、示温塗料が、基準温度と示温塗料の周囲の温度との温度差(周囲の温度が基準温度を下回っている場合に限る)と、基準温度を下回った時間との積である累積温度に基づいて、色が変化する場合も、同様である。この場合、物品300の周囲の温度が基準温度を下回ったときの基準温度との温度差と基準温度を下回った時間との積による累積温度が算出される。当該示温塗料も用いることで、利用者は、物品が所定の温度範囲に保たれていたか否かや温度範囲を逸脱した場合の累積温度を認識することができる。
【0061】
以上の実施形態等の構成は、可能な限り組み合わせて実施され得る。
【0062】
〈コンピュータ読み取り可能な記録媒体〉
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0063】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体内には、CPU、メモリ等のコンピュータを構成する要素を設け、そのCPUにプログラムを実行させてもよい。
【0064】
また、このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0065】
また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【解決手段】周囲の温度が所定の第1温度を超えている場合に前記第1温度と前記周囲の温度との温度差及び前記周囲の温度が当該第1温度を超えている時間の積である第1累積温度に基づいて色が変化する第1示温塗料が塗布された部分を含む画像を取得する取得部と、前記第1示温塗料の色と前記第1累積温度との対応関係を示す第1データを格納する記憶部120と、前記画像に含まれる前記第1示温塗料の色と、前記第1データとに基づいて、前記第1示温塗料の色に対応する前記第1累積温度を算出する演算部110とを備え、前記第1示温塗料は、測定対象物に直接的又は間接的に塗布されている、温度管理装置とする。