特許第6243569号(P6243569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6243569
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ループアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20171127BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H01Q7/00
   H01Q19/02
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-120196(P2017-120196)
(22)【出願日】2017年6月20日
【審査請求日】2017年6月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 愛一郎
(72)【発明者】
【氏名】小舘 淳一
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−174327(JP,A)
【文献】 特開2004−282403(JP,A)
【文献】 特開2014−117150(JP,A)
【文献】 特表2013−534074(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/037777(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号源または受信回路に接続される開ループであるメインループと、
前記メインループと同じ形状を有する閉ループである増幅用ループと、
前記メインループに接続された第1容量と、
前記増幅用ループに接続された第2容量と、を備え、
前記メインループと前記増幅用ループは自己インダクタンスが等しく、前記第1容量と前記第2容量の少なくともいずれかは固定容量であって、
前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値は、前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値と前記増幅用ループに流れる電流の大きさとの関係を示した図において、前記電流の大きさを最大化するときの前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値で示される最適点を通り、前記電流の大きさが等しい点を結んだ等高線の尾根に沿った最善曲線又は最善直線に基づいて決定されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項2】
前記第1容量は固定容量であって、
前記最善曲線は、次式
【数11】
(ただし、C1は前記第1容量の値、C2は前記第2容量の値、Lは前記メインループと前記増幅用ループの自己インダクタンス、ωは前記メインループに印加する信号の角周波数、R1はメインループの抵抗である)
で表されることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
【請求項3】
前記第2容量は固定容量であって、
前記最善曲線は、次式
【数12】
(ただし、C1は前記第1容量の値、C2は前記第2容量の値、Lは前記メインループと前記増幅用ループの自己インダクタンス、ωは前記メインループに印加する信号の角周波数、R2はメインループの抵抗である)
で表されることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
【請求項4】
前記第2容量は固定容量であって、
前記最善直線は、前記最適点を通り、傾きが−1の直線であることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
【請求項5】
固定容量でない前記第1容量又は第2容量は可変容量であって、当該可変容量の容量値は、前記固定容量の容量値と前記最善曲線又は前記最善直線によって求められる値に調整されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のループアンテナ。
【請求項6】
前記第1容量と前記第2容量はいずれも固定容量であって、
前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値は、前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値と前記増幅用ループに流れる電流の大きさとの関係を示した図において、前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値で示される点から前記最善曲線又は前記最善直線への距離が最短となる組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
【請求項7】
信号源または受信回路に接続される開ループであるメインループと、
前記メインループと同じ形状を有する閉ループである増幅用ループと、
前記メインループに接続された第1容量と、
前記増幅用ループに接続された第2容量と、を備え、
前記メインループと前記増幅用ループは自己インダクタンスが等しく、前記第1容量と前記第2容量の少なくともいずれかは固定容量であって、
前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値は、前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値と前記増幅用ループに流れる電流の大きさとの関係を示した図において、前記電流の大きさを最大化するときの前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値で示される最適点を通り、前記電流の大きさが等しい点を結んだ等高線の尾根に沿った最善曲線上又は最善直線上の値であることを特徴とするループアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界を用いた無線システムのエリア拡大に寄与できるループアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、NFC(Near Field Communication)等の無線通信技術を用いた認証システムにおいて、認証エリアを意図的に限定してユーザの意思や行動に連動したサービスが行われている(特許文献1〜3)。磁界を用いて認証エリアを形成する場合には、ループアンテナ(コイル)が用いられ、アンテナに電流を通じることによりアンテナ面上に球状の磁界分布を形成する。磁界の距離減衰特性は、電波に比べて急峻であり、無線エリアの境界を明確に区別できるという利点がある。
【0003】
無線エリアを拡大するという観点においては、磁界の急峻な距離減衰特性は欠点でもある。磁界を利用した無線システムにおいて無線エリアを拡大する場合、アンテナに大きな電流を与える必要があり、消費電力が非常に大きくなる。
【0004】
このような課題を解決する手段として、磁界共鳴効果を利用することで消費電流を増やさずに磁界を増幅する手法が提案されている(特許文献4,5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5684695号公報
【特許文献2】特許第5914368号公報
【特許文献3】特許第5813672号公報
【特許文献4】特許第6077036号公報
【特許文献5】特許第6077148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
共鳴を利用して磁界を増幅するには、強く結合した2つのループアンテナにそれぞれ取り付けられたコンデンサの容量を適切な値に設定する必要がある。コンデンサの容量を最適値に設定するには可変コンデンサが便利である。実用面を考慮した場合には、信頼性と低コスト化が求められるため、固定コンデンサの利用が求められる。
【0007】
しかしながら、固定コンデンサでは容量を最適値に設定することは困難である。そのため、コンデンサの容量が最適値と完全に一致せずとも比較的大きな磁界を得る方法が求められていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、アンテナに付随したコンデンサの容量値が最適値に完全に一致せずとも比較的大きな磁界を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るループアンテナは、信号源または受信回路に接続される開ループであるメインループと、前記メインループと同じ形状を有する閉ループである増幅用ループと、前記メインループに接続された第1容量と、前記増幅用ループに接続された第2容量と、を備え、前記メインループと前記増幅用ループは自己インダクタンスが等しく、前記第1容量と前記第2容量の少なくともいずれかは固定容量であって、前記第1容量と前記第2容量は、前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値と前記増幅用ループに流れる電流の大きさとの関係を示した図において、前記電流の大きさを最大化するときの前記第1容量の容量値と前記第2容量の容量値で示される最適点を通り、前記電流の大きさが等しい点を結んだ等高線の尾根に沿った最善曲線又は最善直線に基づいて決定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アンテナに付随したコンデンサの容量値が最適値に完全に一致せずとも比較的大きな磁界を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態におけるループアンテナの構成を示す図である。
図2図2は、図1のループアンテナの等価回路を示す図である。
図3図3は、メインループと増幅用ループに接続した容量の容量値と増幅用ループに流れる電流との関係を示す図である。
図4図4は、メインループに固定容量を接続したときの増幅用ループの容量の最善の容量値を示す曲線を示す図である。
図5図5は、増幅用ループに固定容量を接続したときのメインループの容量の最善の容量値を示す曲線を示す図である。
図6図6は、図5の曲線を近似した直線を示す図である。
図7図7は、本実施の形態における別のループアンテナの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態におけるループアンテナの構成を示す図である。
【0014】
図1に示すループアンテナは、共鳴型のループアンテナであり、メインループ1と増幅用ループ2を備える。
【0015】
メインループ1は、磁性体又は絶縁体で形成された棒状のロッド3に巻かれたコイルである。メインループ1の巻き数は1以上であり、図1の例では巻き数は5である。メインループ1には、抵抗R1と容量C1が直列に接続されている。メインループ1は、信号源5又は受信回路(図示せず)を接続するための端子T,Tを有する開ループである。
【0016】
増幅用ループ2は、メインループ1から離れた位置でロッド3に巻かれたコイルである。増幅用ループ2の巻き数は1以上であり、図1の例では巻き数は5である。増幅用ループ2には、抵抗R2と容量C2が直列に接続されている。増幅用ループ2は、端子を備えない閉ループである。
【0017】
メインループ1と増幅用ループ2の幾何学的形状は同一であり、したがって、双方の自己インダクタンスLは等しい。また、メインループ1と増幅用ループ2は、ロッド3上の同じ位置に巻かれてもよい。
【0018】
信号源5からメインループ1に交流の電流I1が供給されると、メインループ1と増幅用ループ2の間の相互インダクタンスにより、増幅用ループ2に交流の電流I2が流れる。抵抗R2の抵抗値を抵抗R1の抵抗値より小さくすると、電流I2の大きさは電流I1の大きさより大きくなる。よって、ループアンテナにより発生する磁界のエリアを拡大できる。
【0019】
なお、図1は、メインループ1の端子T,Tに信号源5を接続し、ループアンテナを送信アンテナとして用いる構成を示しているが、信号源5の代わりに受信回路を端子T,Tに接続し、ループアンテナを受信アンテナとして用いてもよい。この場合、外部から受信する磁界により、増幅用ループ2に大きな電流I2が蓄積される。相互インダクタンスがあるために、メインループ1を流れる電流I1も、増幅用ループ2が存在しない場合に比べて大きくなる。よって、送信側からみた場合、磁界のエリアが拡大したことになる。
【0020】
次に、電流I2を最大化するための容量C1,C2の最適値について説明する。
【0021】
電流I2の大きさは、信号源5が発生する信号の周波数f、抵抗R1、抵抗R2、容量C1、容量C2、及びループ形状など複数の要素に依存する。そのため、抵抗R1、抵抗R2、容量C1、容量C2の各値を調整し、電流I2を最大化するのが好ましい。
【0022】
抵抗R2の値が抵抗R1の値より小さい場合、容量C1,C2の値を、次式(1),(2)で求められる最適値C1opt,C2optに設定すると電流I2を最大化できる。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
ただし、ωは信号源5が発生する信号の角周波数である。
【0026】
電流I2の大きさは、図1のループアンテナの等価回路を解析もしくはシミュレーションすることで容易に求めることができる。図2に、図1のループアンテナの等価回路を示す。
【0027】
図3に、図2の等価回路を解析して得られた容量C1,C2の値と電流I2の大きさとの関係を示す。図3は、信号源5から発生する信号の周波数fを10MHz、電圧Vinを1V、メインループ1と増幅用ループ2の自己インダクタンスLを1μH、抵抗R1を100Ω、抵抗R2を1Ωとして、等価回路を解析した結果を描画したものである。図3では、容量C1,C2の値をそれぞれ横軸と縦軸にとり、電流I2の大きさが等しい点を結んだ等高線(電流I2の等高線)で容量C1,C2の値と電流I2の大きさとの関係を示した。
【0028】
上記の条件を式(1),(2)に用いると、次式(3)に示す容量C1,C2の最適値C1opt,C2optを得られる。
【0029】
【数3】
【0030】
図3を見ると、容量C1,C2の値が式(3)を満たす時に、確かに電流I2が最大(50mA)になっていることがわかる。つまり、電流I2を最大化するためには、容量C1,C2の双方に可変容量を用い、微調整を行って容量C1,C2の容量値を式(3)の値に完全に一致させる必要がある。
【0031】
しかしながら、容量C1,C2の少なくともいずれかに固定容量を使用した場合、容量C1,C2を最適値C1opt,C2optに設定できないことがある。本実施形態では、容量C1,C2の少なくともいずれかに固定容量を使用した場合に電流I2を極大化できる最善の値を求め、最善の値に基づいて容量C1,C2の容量値を決定する。
【0032】
まず、容量C1を固定容量、容量C2を可変容量としたケースを考える。つまり、容量C1の値は微調整できないが、容量C2の値は微調整できる。
【0033】
図2の等価回路を解析することにより、電流I2を容量C1,C2の関数として表すことができる。そこで、次式(4)の方程式を考える。
【0034】
【数4】
【0035】
式(4)を具体的に計算し、容量C2について解くと次式(5)を得る。
【0036】
【数5】
【0037】
ただし、関数f(C;ω,L,R)を次式(6)と定義した。
【0038】
【数6】
【0039】
式(5)で表される曲線を最善C2曲線と呼ぶことにする。図4は、図3に示す等高線に最善C2曲線をプロットした図である。最善C2曲線は、容量値を調整できない容量C1の値に応じた、最善の容量C2の値を表している。つまり、容量C1が固定容量であって、容量C1の値を式(3)に示した最適値に調整できなくても、容量C2の値を式(5)によって求められる値に微調整することにより、電流I2の大きさを極大化できる。
【0040】
続いて、容量C1を可変容量、容量C2を固定容量としたケースを考える。つまり、前述のケースとは逆に、容量C1の値は微調整できるが、容量C2の値は微調整できない。
【0041】
本ケースでは、次式(7)の方程式を考える。
【0042】
【数7】
【0043】
式(7)を具体的に計算し、容量C1について解くと次式(8)を得る。
【0044】
【数8】
【0045】
関数f(C;ω,L,R)は式(6)に定義されている。
【0046】
式(8)で表される曲線を最善C1曲線と呼ぶことにする。図5は、図3に示す等高線に最善C1曲線をプロットした図である。最善C1曲線は、容量値を調整できない容量C2の値に応じた、最善の容量C1の値を表している。容量C2が固定容量であっても、容量C1の値を式(8)によって求められる値に微調整することにより、電流I2の大きさを極大化できる。
【0047】
図4,5を見ると、最善C2曲線及び最善C1曲線のいずれの曲線も、電流I2の大きさを最大化する容量C1,C2の最適点(C1opt,C2opt)を通り、電流I2の等高線の尾根に沿った曲線である。
【0048】
また、図5を見ると、最善C1曲線は、最適点(C1opt,C2opt)を通り、傾き−1の直線で近似できることがわかる。このような直線は次式(9)で表される。
【0049】
【数9】
【0050】
式(9)で表される直線を最善C1直線と呼ぶことにする。図6は、図3に示す等高線に最善C1直線をプロットした図である。図6を見ると、最善C1直線は、図5に示した最善C1曲線をよく近似していることがわかる。したがって、最善C1曲線は、最善C1直線で代用できる。容量C2が固定容量であっても、容量C1の値を式(9)によって求められる値に微調整することにより、電流I2の大きさを極大化できる。最善C1直線を用いると、設定すべき容量C1の値を容易に求めることができる。最善C1直線は、容量C1の値を自動制御する場合に有用である。
【0051】
続いて、容量C1,C2のいずれも固定容量としたケースを考える。
【0052】
低コスト化を図る目的で、可変容量を一切利用しないことが考えられる。固定容量は、E3系列からE192系列まで、メーカ間で統一されたラインナップから選択可能である。しかしながら、離散的な値の固定容量から容量C1,C2を選択しなければならず、容量C1,C2の最適値に完全に一致する固定容量を選択することは不可能に近い。また、先に説明した最善曲線上又は最善直線上に容量C1,C2の値が位置するように、容量C1,C2に利用する固定容量を得ることも非常に難しい。
【0053】
そこで、本実施形態では、容量C1,C2の両方に固定容量を利用する場合、候補となる容量の組み合わせ(C10,C20)のうち、最善曲線又は最善直線からの距離d(C10,C20)が最短となる組み合わせを採用する。最善曲線及び最善直線を表す関数は、式(5),(6),(8),(9)で与えられているので、距離d(C10,C20)を求めることは可能である。特に、式(9)に示した最善C1直線との距離は、次式(10)で容易に求めることができる。
【0054】
【数10】
【0055】
次に、本実施の形態における別のループアンテナについて説明する。
【0056】
図7は、本実施の形態における別のループアンテナの構成を示す図である。
【0057】
図7に示すループアンテナは、共鳴型のループアンテナであり、メインループ1と増幅用ループ2を備える。
【0058】
図7に示すループアンテナは、図1に示すループアンテナとは、平面基板(図示せず)上にメインループ1と増幅用ループを形成した点で相違する。
【0059】
メインループ1は、絶縁体で形成された平面基板上に配置される。メインループ1には、抵抗R1と容量C1が直列に接続されている。メインループ1は、信号源5又は受信回路(図示せず)を接続するための端子T,Tを有する開ループである。
【0060】
増幅用ループ2は、同一平面基板上に、メインループ1に極めて近接して配置される。増幅用ループ2には、抵抗R2と容量C2が直列に接続されている。増幅用ループ2は、端子を備えない閉ループである。
【0061】
メインループ1と増幅用ループ2の幾何学的形状は同一であり、したがって、双方の自己インダクタンスLは等しい。
【0062】
信号源5からメインループ1に交流の電流I1が供給されると、メインループ1と増幅用ループ2の間の相互インダクタンスにより、増幅用ループ2に交流の電流I2が流れる。抵抗R2の抵抗値を抵抗R1の抵抗値より小さくすると、電流I2の大きさは電流I1の大きさより大きくなる。
【0063】
図7のループアンテナの容量C1,C2の少なくともいずれかに固定容量を用いた場合であっても、図1のループアンテナと同様に最善な容量値に設定することで、電流I2の大きさを極大化できる。
【0064】
なお、図7では、メインループ1の内側に増幅用ループ2を配置したが、メインループ1の外側に増幅用ループ2を配置してもよいし、平面基板を挟んだ両面にメインループ1と増幅用ループ2を配置してもよい。メインループ1と増幅用ループ2の巻き数を2以上としてもよい。巻き数を2以上とする場合、メインループ1と増幅用ループ2の巻き数を等しくする。
【0065】
図7のループアンテナにおいても、受信回路を端子T,Tに接続して受信アンテナとして用いてもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、メインループ1に接続された容量C1と増幅用ループ2に接続された容量C2の少なくともいずれかを最適値に設定できない場合であっても、容量C1,C2の値と電流I2の大きさとの関係を示す図において、容量C1,C2の最適点を通り、電流I2の大きさが等しい点を結んだ等高線の尾根に沿った最善C2曲線、最善C1曲線、又は最善C1直線に基づき、容量C1,C2を設定することにより、増幅用ループに流れる電流I2の電流値を十分に大きくできる。それゆえに、容量C1,C2の少なくともいずれかに安価な固定容量を用いても大きな磁界増幅効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1…メインループ
2…増幅用ループ
3…ロッド
5…信号源
【要約】
【課題】アンテナに付随したコンデンサの容量値が最適値に完全に一致せずとも比較的大きな磁界を得る。
【解決手段】メインループ1に接続された容量C1と増幅用ループ2に接続された容量C2の少なくともいずれかを最適値に設定できない場合であっても、容量C1,C2の値と電流I2の大きさとの関係を示す図において、容量C1,C2の最適点(C1opt,C2opt)を通り、電流I2の大きさが等しい点を結んだ等高線の尾根に沿った最善C2曲線、最善C1曲線、又は最善C1直線に基づき、容量C1,C2を設定することにより、増幅用ループに流れる電流I2の電流値を十分に大きくできる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7