(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[エッチング装置の全体構成]
まず、本発明の一実施形態に係るエッチング装置の全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態に係るエッチング装置の全体構成の一例を示した図である。
【0012】
本実施形態に係るエッチング装置は、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置として構成されており、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなる略円筒状のチャンバ10を有している。チャンバ10は接地されている。チャンバ10の底部には、セラミックス等からなる絶縁板12を介して円柱状のサセプタ支持台14が配置され、このサセプタ支持台14の上に例えばアルミニウムからなるサセプタ16が設けられている。サセプタ16は下部電極を構成し、その上に基板の一例である半導体ウェハW(以下、「ウェハW」という。)が載置される。
【0013】
サセプタ16の上面には、ウェハWを静電力で吸着保持する静電チャック18が設けられている。この静電チャック18は、導電膜からなる電極20を一対の絶縁層または絶縁シートで挟んだ構造を有するものであり、電極20には直流電源22が接続されている。直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力によりウェハWが静電チャック18に吸着保持される。静電チャック18の周囲でサセプタ16の上面には、エッチングの均一性を向上させるためのフォーカスリング24が配置されている。
【0014】
サセプタ支持台14の内部には、例えば円周上に冷媒室28が設けられている。この冷媒室には、外部に設けられた図示しないチラーユニットより配管を介して所定温度の冷媒、例えば冷却水が循環供給され、冷媒の温度によってサセプタ上のウェハWの処理温度を制御することができる。さらに、図示しない伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスがガス供給ライン32を介して静電チャック18の上面とウェハWの裏面との間に供給される。
【0015】
下部電極であるサセプタ16の上方には、サセプタ16と対向するように平行に上部電極34が設けられている。そして、上部電極34および下部電極(サセプタ16)間の空間がプラズマ生成空間となる。上部電極34は、下部電極(サセプタ16)上のウェハWと対向してプラズマ生成空間と接する面、つまり対向面を形成する。
【0016】
上部電極34は、絶縁性遮蔽部材42を介して、チャンバ10の上部に支持されている。上部電極34は、電極板36と電極板36を着脱自在に支持する電極支持体38とから形成されている。電極板36は、サセプタ16との対向面を構成し、かつ多数のガス孔37を有する。電極板36は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体または半導体で形成されることが好ましい。電極支持体38は、導電性材料、例えば表面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなり、水冷構造を有する。電極支持体38の内部には、ガス拡散室40が設けられ、このガス拡散室40からはガス孔37に連通する多数のガス通流孔41が下方に延びている。
【0017】
電極支持体38にはガス拡散室40へ処理ガスを導くガス導入口62が形成されており、このガス導入口62にはガス供給管64が接続され、ガス供給管64には処理ガス供給源66が接続されている。処理ガス供給源66から出力されたエッチングガスは、ガス供給管64からガス拡散室40に至り、ガス通流孔41およびガス孔37を介してシャワー状にプラズマ生成空間に導入される。すなわち、上部電極34は処理ガスを供給するためのシャワーヘッドとして機能する。
【0018】
下部電極であるサセプタ16には、第1の高周波電源89から整合器87を介して第1の高周波(RF)電力が印加される。また、サセプタ16には、第2の高周波電源90から整合器88を介して第2の高周波電力が印加される。さらに、上部電極34には、第3の高周波電源224から整合器225を介して第3の高周波電力が印加される。なお、本実施形態のエッチング装置は、プラズマ形成用の高周波電力を出力する高周波電源が第3の高周波電源であることが好ましく、イオン引き込み用の高周波電力を出力する高周波電源が第1の高周波電源および第2の高周波電源であることが好ましい。
【0019】
可変直流電源50は、上記整合器225を介して上部電極34に接続されており、オン・オフスイッチ52により給電のオン・オフが可能となっている。可変直流電源50の極性および電流・電圧ならびにオン・オフスイッチ52のオン・オフはコントローラ51により制御されるようになっている。
【0020】
チャンバ10の底部には、排気管を介して排気装置84が接続されている。排気装置84は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ10内を所望の真空度まで減圧可能となっている。また、チャンバ10の側壁にはウェハWの搬入出口85が設けられており、この搬入出口85はゲートバルブ86により開閉可能となっている。
【0021】
かかる構成のエッチング装置の各構成部は、制御部100により制御される。制御部100は、CPU101(Central Processing Unit),ROM102(Read Only Memory)、RAM103(Random Access Memory)等を有する。CPU101は、ROM102等の記憶領域に格納された各種レシピに従ってエッチング処理を実行する。レシピには、プロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、処理室内温度(上部電極温度、処理室の側壁温度、ESC温度など)、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種プロセスガス流量、伝熱ガス流量などが記載されている。
【0022】
なお、制御部100の機能は、ソフトウエアを用いて動作することにより実現されてもよく、ハードウエアを用いて動作することにより実現されてもよい。
【0023】
以上、本実施形態に係るエッチング装置の全体構成の一例について説明した。かかる構成のエッチング装置においてエッチング処理を行う際には、まず、ゲートバルブ86を開状態とし、搬入出口85を介してエッチング対象であるウェハWをチャンバ10内に搬入し、サセプタ16上に載置する。直流電源22から直流電圧を静電チャック18の電極20に印加して、ウェハWをサセプタ16に静電吸着する。
【0024】
そして、エッチングのための処理ガスは、処理ガス供給源66から所定の流量でガス拡散室40へ供給され、ガス通流孔41およびガス孔37を介してチャンバ10内へ供給される。また、チャンバ10内は、排気装置84により排気され、チャンバ10内の圧力を例えば0.1〜150Paの範囲内の設定値に制御される。
【0025】
このようにチャンバ10内にエッチングガスを導入した状態で、プラズマ生成用の高周波電力を所定のパワーで上部電極34に印加するとともに、イオン引き込み用の高周波を所定のパワーで下部電極であるサセプタ16に印加する。これにより、エッチングガスからプラズマが生成され、プラズマによりウェハWにエッチング処理が施される。
【0026】
[エッチング方法]
次に、本実施形態に係るエッチング方法について説明する。なお、本実施形態にかかるエッチング方法を用いてエッチングされるエッチング対象膜の一例を
図2(a)に示す。
【0027】
(エッチング対象膜)
エッチング対象膜は、ウェハW上に、窒化チタン(TiN)膜110、酸化シリコン膜112、ポリシリコン膜114、有機膜116、反射防止膜(Si−ARC)118の順に形成されている。反射防止膜118上には、パターン化されたマスクPRが形成されている。
【0028】
窒化チタン膜110は、例えばTiNターゲットを使用したスパッタリングによりウェハW上に堆積される。酸化シリコン膜112は、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を原料としたプラズマCVDにより窒化チタン膜110上に堆積される。ポリシリコン膜114は、プラズマCVDにより酸化シリコン膜112上に形成される。有機膜116は有機材料を主成分とするスピン−オン材料によりポリシリコン膜114上に形成される。
【0029】
有機膜116の上面には、反射防止膜118とフォトレジスト膜(不図示)とが順次形成され、フォトレジスト膜がフォトリソグラフィ技術によりパターン化されることにより、マスクPRが得られる。マスクPRは、一の方向に延びるライン状のパターンを有してもよいし、円状のパターンを有してもよい。
【0030】
なお、本実施形態に係るエッチング方法によりエッチングされる対象膜は、上記に示した積層膜に限られず、シリコン含有膜であればよい。シリコン含有膜の一例としては、酸化珪素、窒化珪素、ポリシリコン、金属珪化物及び単結晶シリコン等がある。また、ウェハW上には、金属導電性膜、絶縁膜、反射防止膜、拡散膜等の他の材料膜が含まれてもよい。
【0031】
(エッチング方法)
本実施形態に係るエッチング方法では、
図3のフローチャートに示されるように、エッチングを行う前にマスクPRのトリートメントが行われる。つまり、臭化水素ガス(HBr)、ヘリウムガス(He)、酸素ガス(O
2)、二酸化炭素ガス(CO
2)がチャンバ内に供給される。そして、高周波電力により生成されたプラズマによって、所定時間(例えば、5秒、7秒、10秒など)マスクPRがトリートメントされる(ステップS10)。これにより、マスクPRをトリミングするとともにレジスト現像による残渣を除去する。これによれば、マスクPRのトリートメントにより、マスクPRのテーパ形状を垂直形状に整形することができる。これにより、次のエッチングにおいてCDシュリンク値の縦横比の制御性を高めることができる。
【0032】
なお、臭化水素ガス(HBr)、ヘリウムガス(He)、酸素ガス(O
2)、二酸化炭素ガス(CO
2)の混合ガスは、トリートメントガスの一例である。トリートメントガスは、二酸化炭素ガス(CO
2)を含まなくてもよい。また、トリートメントガスには不活性ガスが含まれる必要があるが、ヘリウムガス(He)でなくても、アルゴンガス(Ar)等でもよい。つまり、トリートメントガスは、ハロゲン含有ガスと水素ガスと不活性ガスと酸素ガスとを含むガスであればよい。
【0033】
図2(a)に示されるように、パターン化されたマスクPRに上記のマスクトリートメントを施した後、
図2(b)〜
図2(d)に示されるエッチングが行われる。次に、
図2(b)〜
図2(d)に示されるエッチングについて、
図3に戻り説明する。
【0034】
第1のエッチングガスを供給し、反射防止膜118をエッチングする(ステップS12)。この
図2(b)に示した反射防止膜118をエッチングする工程を第1のエッチングという。
【0035】
次に、第2のエッチングガスを供給し、有機膜116をエッチングする(ステップS14)。この
図2(c)に示した有機膜116をエッチングする工程を第2のエッチングという。
【0036】
次に、第3のエッチングガスを供給し、ポリシリコン膜114の一部をエッチングする(ステップS16)。この
図2(d)に示したポリシリコン膜114の一部をエッチングする工程を第3のエッチングという。
【0037】
次に、残ったポリシリコン膜114をエッチングした後(ステップS18)、アッシングを実行し(ステップS20)、本処理を終了する。ステップS18のエッチング工程をコアエッチングという。
【0038】
上記第1〜第3のエッチングにおいては、エッチング中にCDをシュリンクさせることで、微細加工を容易にする。ここで、CDのシュリンクレシオは、CD値の縦および横のシュリンクレシオが1対1に制御されることが好ましい。本実施形態にかかるエッチング方法では、エッチング前にマスクのトリートメントが行われ、これにより、マスク形状が調整される。このように、エッチング前にマスク形状を調整するマスクトリートメントを行うことで、エッチング中のCDのシュリンクレシオの改善が容易になる。
【0039】
[エッチング結果]
(フルエッチング結果1:トリートメント時間5秒)
以下では、本実施形態に係るエッチング方法を実行した結果得られるCDのシュリンクレシオ等について、
図4〜
図6を参照しながら説明する。
図4〜
図6は、第1のエッチングからアッシングまでのエッチング後(第1のエッチングからアッシングまでのエッチング工程を、以下、「フルエッチング」ともいう。)のCDの状態を上から示した図とCDに関するシュリンクレシオ等の数値を示す。
【0040】
<プロセス条件>
ここで、プロセス条件を以下に示す。
(マスクトリートメント)
高周波(HF) 500W
高周波(LF) 75W
ガス HBr/He/O
2/CO
2=40〜70/140〜220/10〜30/20〜50sccm
実行時間 5秒
(第1のエッチング)
高周波(HF) 500W
高周波(LF) 100W
ガス CF
4/CH
4=160〜240/5〜20sccm
実行時間 45秒
(第2のエッチング)
高周波(HF) 200W
高周波(LF) 100W
ガス HBr/He/O
2/CO
2=20〜40/160〜240/30〜50/60〜100sccm
実行時間 1分3秒
(第3のエッチング)
高周波(HF) 650W
高周波(LF) 100W
ガス CF
4=160〜240sccm
実行時間 23秒
(第4のエッチング(コアエッチング))
高周波(HF) 300W
高周波(LF) 90W
ガス HBr/He/O
2=400〜600/350〜530/1〜10sccm
実行時間 60秒
(アッシング工程1)
高周波(HF) 600W
高周波(LF) 0W
ガス CF
4/H
2=80〜120/160〜240sccm
実行時間 60秒
(アッシング工程2)
高周波(HF) 600W
高周波(LF) 50W
ガス O
2=280〜420sccm
実行時間 60秒
以上のプロセス条件で5秒間のマスクトリートメント後、フルエッチングが行われた結果、
図4に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは14.3nm、楕円のホールパターンのCDバイアスは長径側(図の楕円の長い径側)が17.4nm、短径側(図の楕円の短い径側)が14.0nmであった。ここで、CDバイアスは、エッチング前のCDの初期値とエッチング後のCD値との差分である。また、CD値は、マスクの高さ方向の中央のライン幅(ラインCDの場合)、長径及び短径(ホールCDの場合)を測定している。ホールCD(短径)の状態を示した図は、ホールCD(長径)の状態を示した図を90度回転させた図である。
【0041】
この結果、
図4に示されるように、CDバイアス(Max−Min)は、3.4nmとなった。CDバイアス(Max−Min)は、CDバイアスの最大値と最小値との差分であり、ホールCDだけでなく、ラインCDのCDバイアスも含めた結果を示す。ここでは、ホールCDの長径のCDバイアスからホールCDの短径のCDバイアスを減算した結果が、CDバイアス(Max−Min)の値として示されている。
【0042】
CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.22、ホールCDの短径の場合が0.98であった。1.22は、ホールCDの長径の最大値と最小値との差分であり、0.98は、ホールCDの短径の最大値と最小値との差分である。
【0043】
以上の結果を考察する。CDのシュリンクレシオは、1に極力近い値であることが好ましい。また、CDバイアス(Max−Min)は、極力小さい値であることが好ましい。これによれば、エッチング処理(CDのシュリンク処理を含む)の前にマスク形状を調整するマスクトリートメントを5秒間行うことで、CDのシュリンクレシオがホールCDの長径及び短径において1に近くなり、CDのシュリンクレシオを改善できることがわかる。
【0044】
(フルエッチング結果2:トリートメント時間7秒)
次に、フルエッチング結果1と同じプロセス条件でトリートメント時間を5秒から7秒間に変更してマスクトリートメントした後、フルエッチングを実行した結果2について、
図5を参照しながら説明する。
【0045】
図5に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは10.4nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が9.4nm、CDバイアス(短径)が11.3nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、1.9nmとなった。
【0046】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が0.90、ホールCDの短径の場合が1.08であった。これによれば、フルエッチング処理(CDのシュリンク処理を含む)の前にマスク形状を調整するマスクトリートメントを7秒間行うことで、CDのシュリンクレシオがホールCDの長径及び短径において1に近くなり、CDのシュリンクレシオを改善できることがわかる。また、結果2から、マスクトリートメント時間を5秒→7秒にしたことで、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオに逆転が生じたことがわかる。また、CDバイアス(Max−Min)についても、マスクトリートメント時間を5秒→7秒にしたことで、より小さい値になりバラツキが少なく制御性が高まったことがわかる。
【0047】
(フルエッチング結果3:トリートメント時間10秒)
次に、フルエッチング結果1と同じプロセス条件でトリートメント時間を7秒から10秒間に変更してマスクトリートメントした後、フルエッチングを実行した結果3について、
図6を参照しながら説明する。
【0048】
図6に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは7.3nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が5.7nm、CDバイアス(短径)が8.6nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、2.9nmとなった。
【0049】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が0.79、ホールCDの短径の場合が1.18であった。結果3から、マスクトリートメント時間を7秒→10秒にしたことで、CDのシュリンクレシオがホールCDの長径及び短径においてCDのシュリンクレシオが悪化したことがわかる。
【0050】
以上から、CDのシュリンクレシオを改善するためには、マスクトリートメント時間を適切に制御することが重要であることがわかる。
図7には、マスクトリートメント時間に対するCDバイアスが、ラインCD,ホールCD(長径),ホールCD(短径)についてそれぞれ図示されている。
図7(a)は、フルエッチング(第1〜第3のエッチング)後のCDバイアスの値を示す。これによれば、マスクトリートメント時間に依存して、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオに逆転が生じるポイントがあることがわかる。つまり、マスクトリートメント時間に依存して、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオとの相対的な制御を行うことができることがわかる。
【0051】
(第1のエッチング結果1:トリートメント時間5秒)
次に、フルエッチング結果1にて示したプロセス条件と同じマスクトリートメント及び第1のエッチングのプロセス条件下で5秒間のマスクトリートメントを実行した後、第1のエッチングを実行した結果1について、
図8を参照しながら説明する。
【0052】
図8に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは29.2nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が30.8nm、CDバイアス(短径)が27.0nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、3.8nmとなった。
【0053】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.05、ホールCDの短径の場合が0.92であった。これによれば、第1のエッチング処理(CDのシュリンク処理を含む)の前にマスク形状を調整するマスクトリートメントを5秒間行うことで、CDのシュリンクレシオがホールCDの長径及び短径において1に近くなり、第1のエッチング処理後のマスクトリートメントによるCDのシュリンクレシオに既に改善効果が見られた。
【0054】
(第1のエッチング結果2:トリートメント時間7秒)
次に、フルエッチング結果1(第1のエッチング結果1)と同じプロセス条件でトリートメント時間を5秒から7秒に変更してマスクトリートメントを実行した後、第1のエッチングを実行した結果2について、
図9を参照しながら説明する。
【0055】
図9に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは21.6nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が19.5nm、CDバイアス(短径)が21.2nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、2.1nmとなった。
【0056】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が0.90、ホールCDの短径の場合が0.98であった。これによれば、第1のエッチング処理(CDのシュリンク処理を含む)の前にマスク形状を調整するマスクトリートメントを7秒間行うことで、CDのシュリンクレシオがホールCDの長径及び短径において1に近くなり、第1のエッチング処理後のCDのシュリンクレシオにおいて既に改善効果が見られた。また、結果2から、マスクトリートメント時間を5秒→7秒にしたことで、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオに逆転が生じたことがわかる。
【0057】
(第1のエッチング結果3:トリートメント時間10秒)
次に、10秒間のマスクトリートメント後、以下のプロセス条件で第1のエッチングを実行した結果3について、
図10を参照しながら説明する。
【0058】
<プロセス条件>
プロセス条件を以下に示す。マスクトリートメントのプロセス条件は、実行時間が10秒であることを除きフルエッチング結果1(第1のエッチング結果1)に示したプロセス条件と同じであるため、ここでは省略する。
(第1のエッチング)
高周波(HF) 400W
高周波(LF) 100W
ガス CF
4/CH
4/O
2=120〜200/5〜20/1〜10sccm
実行時間 45秒
トリートメント時間を10秒に変更してマスクトリートメントを実行した後、上記プロセス条件下で第1のエッチングを実行した結果3について、
図10を参照しながら説明する。
【0059】
図10に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは13.6nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が9.8nm、CDバイアス(短径)が12.9nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、3.8nmとなった。
【0060】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が0.72、ホールCDの短径の場合が0.95であった。結果3から、マスクトリートメント時間を7秒→10秒に変更した場合、プロセス条件(RF、ガス種)を変えても、マスクトリートメント時間は7秒CDシュリンク値の結果と比べて劣る結果になった。
【0061】
以上の結果から、
図7(a)のフルエッチング(第1〜第3のエッチング)後のCDバイアスの値と同様に、
図7(b)の第1のエッチング後のCDバイアスの値には、マスクトリートメント時間に依存して、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオに逆転が生じるポイントがあることがわかる。つまり、第1のエッチング後においても、マスクトリートメント時間に依存して、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオとの相対的な制御を行う効果が得られていることがわかった。
【0062】
(マスクトリートメント結果1:トリートメント時間5秒)
次に、フルエッチング結果1で示したマスクトリートメントのプロセス条件と同じ条件で5秒間のマスクトリートメントを実行した結果1について、
図11を参照しながら説明する。
【0063】
図11に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは5.2nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が8.1nm、CDバイアス(短径)が6.9nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、2.9nmとなった。
【0064】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.56、ホールCDの短径の場合が1.32であった。
【0065】
(マスクトリートメント結果2:トリートメント時間7秒)
次に、フルエッチング結果1で示したマスクトリートメントのプロセス条件と同じ条件で7秒間のマスクトリートメントを実行した結果2について、
図12を参照しながら説明する。
【0066】
図12に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは4.0nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が4.1nm、CDバイアス(短径)が2.4nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、1.7nmとなった。
【0067】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.04、ホールCDの短径の場合が0.60であった。これによれば、マスクトリートメント時間を5秒→7秒にしたことで、長径のシュリンクレシオと短径のシュリンクレシオの値が小さくなったことがわかる。
【0068】
(マスクトリートメント結果3:トリートメント時間20秒)
次に、フルエッチング結果1で示したマスクトリートメントのプロセス条件と同じ条件で20秒間のマスクトリートメントを実行した結果、マスクパターンが消失した。よって、マスクトリートメントの実行時間は、20秒未満であることが好ましい。また、マスクトリートメントの実行時間は、5秒以上の場合、良好なマスクパターンは消失せず。良好なCDシュリンクの結果が得られた。よって、マスクトリートメントの実行時間は、5秒以上であることが好ましい。
【0069】
(第1のエッチング結果(ガス流量変更):トリートメント時間10秒)
次に、10秒間のマスクトリートメント後、以下のプロセス条件で第1のエッチングを実行した結果(ガス流量変更)について、
図13を参照しながら説明する。
図12に示した長径に対する短径のシュリンクレシオは、
図11に示した長径に対する短径のシュリンクレシオと比べて、シュリンクレシオの値が小さくなっている。よって、シュリンクレシオを1に近づけるために、次に示すプロセスでは、第1のエッチングのエッチングガスに含まれるメタンガス(CH
4)のガス流量を多くし、第1のエッチング中の堆積物の量を増やした。
【0070】
<プロセス条件>
プロセス条件を以下に示す。マスクトリートメントのプロセス条件は、実行時間が10秒であることを除きフルエッチング結果1に示したプロセス条件と同じであるため、ここでは省略する。
(第1のエッチング)
高周波(HF) 500W
高周波(LF) 100W
ガス CF
4/CH
4=160〜240/10〜20sccm
実行時間 45秒
この結果、
図13に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは15.6nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が16.0nm、CDバイアス(短径)が16.6nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、1.0nmとなった。
【0071】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.02、ホールCDの短径の場合が1.07であった。この結果から、マスクトリートメント時間を10秒にし、第1のエッチングのエッチングガスに含まれるCH
4ガスのガス流量を多くし、第1のエッチング中の堆積物の量を増やすと、CDシュリンク値の結果が1に近くなり良好な結果を示すことがわかった。
【0072】
なお、上記プロセス条件では、ガス種としてCF
4ガス及びCH
4ガスのみを記載したが、CF
4ガス及びCH
4ガスを含む混合ガスであればよい。
【0073】
(ステップバイステップチェック結果)
次に、マスクトリートメント→第1のエッチング→第2のエッチング→第3のエッチングの各プロセスをステップ毎に検証する。各ステップのプロセス条件は、フルエッチング結果1に示したとおりである。
【0074】
図14(a)には、CDシュリンクの累積値が示され、
図14(b)には、CDシュリンクの各ステップにおける値が示されている。この結果によれば、CDシュリンク値が多いステップは、第1のエッチングステップ及び第3のエッチングステップであった。また、シュリンクの方向は、第1のエッチングステップではプラス側、つまり、CD値が収縮する方向(シュリンク方向)であるのに対して、第3のエッチングステップではマイナス側、つまり、CD値が拡張する方向(調整方向)であることがわかる。
【0075】
図14(a)及び
図14(b)に示される数値は、ホールCDの長径のCDバイアス値と短径のCDバイアス値との差分を数値化したものである。これによれば、第1及び第3のエッチングステップでは、他のステップと比較して長径のCDバイアス値と短径のCDバイアス値との差分を示す数値が大きい。従って、長径
のCD値及び短径のCD
値のエッチング前とエッチング後の変動差が大きいステップは、第1及び第3のエッチングステップであることがわかる。その理由として考えられることとしては、第1のエッチングステップの場合、第1のエッチング時に供給されるCH
4ガスが第1のエッチング中の堆積物の量に関与し、
CD値のシュリンクレシオに多少なりとも影響を与えている可能性がある。
【0076】
また、第3のエッチングステップの場合、エッチング時にポリシリコン膜114に形成される凹部が、
CD値のシュリンクレシオを悪化させる方向に影響している可能性がある。
【0077】
更に、第3のエッチング後のコアエッチングステップでは、
CD値のシュリンクレシオ及び長径のCDバイアス値と短径のCDバイアス値との差分の変動値が、他のステップと全く逆の挙動を示している。よって、第3のエッチング後のコアエッチングステップも
CD値のシュリンクレシオの改善に利用できる可能性があることがわかった。
【0078】
(ガス種の変更)
次に、マスクトリートメントガスのガス種を変更した結果について、
図15〜
図17を参照しながら説明する。
【0079】
(マスクトリートメント:ガス種1)
図15では、以下のプロセス条件に示すトリートメントガスを使用してエッチングを行った。<プロセス条件>
高周波(HF) 300W
高周波(LF) 0W
ガス H
2/Ar=80〜120/640〜960sccm
実行時間 20秒
図15に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは6.0nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が10.4nm、CDバイアス(短径)が6.2nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、4.4nmとなった。
【0080】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.73、ホールCDの短径の場合が1.02であった。この結果から、マスクトリートメント時間を20秒にし、トリートメントガスに水素ガス(H
2)及びアルゴンガス(Ar)の混合ガスを使用しても、CDシュリンク値を良好に制御できることがわかる。
【0081】
(マスクトリートメント:ガス種2)
図16では、以下のプロセス条件に示すトリートメントガスを使用してエッチングを行った。
【0082】
<プロセス条件>
高周波(HF) 800W
高周波(LF) 100W
ガス H
2/N
2=160〜240/80〜120sccm
実行時間 5秒
図16に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは8.7nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が15.2nm、CDバイアス(短径)が8.0nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、7.2nmとなった。
【0083】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.75、ホールCDの短径の場合が0.92であった。この結果から、トリートメントガスに水素ガス(H
2)及び窒素ガス(N
2)の混合ガスを使用しても、CDシュリンク値を良好に制御できることがわかる。
【0084】
なお、水素ガス及びアルゴンガス、又は水素ガス及び窒素ガスに替えて、水素ガスとアルゴンガス、N
2以外の不活性ガスとからなるトリートメントガスを供給し、該トリートメントガスから生成されたプラズマによりマスクPRをトリートメントしてもよい。
【0085】
(マスクトリートメント:ガス種3)
図17では、以下のプロセス条件に示すトリートメントガスを使用してエッチングを行った。
【0086】
<プロセス条件>
高周波(HF) 500W
高周波(LF) 100W
ガス CF
4=100〜160sccm
実行時間 5秒
図17に示されるように、ラインパターンのCDバイアスは13.8nm、ホールパターンのCDバイアス(長径)が15.6nm、CDバイアス(短径)が12.5nmであった。CDバイアス(Max−Min)は、3.1nmとなった。
【0087】
また、CDのシュリンクレシオは、ホールCDの長径の場合が1.13、ホールCDの短径の場合が0.91であった。この結果から、トリートメントガスに四フッ化炭素ガス(CF
4)を使用しても、CDシュリンク値を良好に制御できることがわかる。
【0088】
なお、四フッ化炭素ガスに替えて、ジフルオロメタンガス(CH
2F
2)からなるトリートメントガスを供給し、該トリートメントガスから生成されたプラズマによりマスクPRをトリートメントしてもよい。
【0089】
以上に説明した一実施形態に係るエッチング方法によれば、エッチングのパターンのCDのシュリンクレシオを制御することができる。
【0090】
以上、エッチング方法を上記実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記実施形態及び変形例を矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0091】
例えば、上記実施形態のエッチング方法では、CDの縦対横のシュリンクレシオを1対1にするように制御したが、CDのシュリンクレシオの制御方法はこれに限らない。例えば、CDの縦のシュリンクレシオのみを制御してもよいし、CDの横のシュリンクレシオのみを制御してもよい。
【0092】
本発明に係るエッチング方法が実行される装置にてプラズマを発生させる手段としては、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)発生手段、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発生手段、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)発生手段、ラジアルラインスロットアンテナから生成したマイクロ波プラズマやSPA(Slot Plane Antenna)プラズマを含むマイクロ波励起表面波プラズマ発生手段、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)発生手段、上記発生手段を用いたリモートプラズマ発生手段等を用いることができる。
【0093】
本発明において処理を施される基板は、上記実施形態にて説明に使用した(半導体)ウェハに限られず、例えば、フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display)用の大型基板、EL素子又は太陽電池用の基板であってもよい。