特許第6243755号(P6243755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243755スピーカ配置提示装置、スピーカ配置提示方法、スピーカ配置提示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243755
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】スピーカ配置提示装置、スピーカ配置提示方法、スピーカ配置提示プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   H04S7/00 380
   H04S7/00 400
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-40664(P2014-40664)
(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2015-167274(P2015-167274A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2017年1月30日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 郁子
(72)【発明者】
【氏名】大出 訓史
【審査官】 菊池 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−123262(JP,A)
【文献】 特開2013−048310(JP,A)
【文献】 特開2006−033077(JP,A)
【文献】 特開2008−078938(JP,A)
【文献】 特開2009−042374(JP,A)
【文献】 特開2002−366162(JP,A)
【文献】 特開2007−068000(JP,A)
【文献】 特開2006−005701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0281409(US,A1)
【文献】 特開2001−016700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 1/00− 7/00
H04R 5/00− 5/04
G10K 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカ配置、聴取位置、聴取環境、及び所望の音響品質を記憶する記憶部と、
少なくとも前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が、前記音響品質に適合するか判定する制御部と、
前記音響品質に適合するスピーカ配置を提示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記音響印象量が前記音響品質に適合しない場合、前記聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が前記音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行う、スピーカ配置提示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記音響印象量として、前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく第1の音響印象量と、前記聴取環境に基づく第2の音響印象量とを算出する、請求項1に記載のスピーカ配置提示装置。
【請求項3】
前記制御部は、隣り合うスピーカの見込み角の最大値を下げるように前記スピーカの再配置を行う、請求項1又は2に記載のスピーカ配置提示装置。
【請求項4】
前記制御部は、スピーカの左右非対称性を解消するように前記スピーカの再配置を行う、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスピーカ配置提示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記聴取位置の側方にスピーカが配置されるように前記スピーカの再配置を行う、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスピーカ配置提示装置。
【請求項6】
スピーカ配置、聴取位置、聴取環境、及び所望の音響品質を記憶し、前記音響品質に適合するスピーカ配置を提示するスピーカ配置提示装置によるスピーカ配置提示方法であって、前記スピーカ配置提示装置による処理手順が、
少なくとも前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が、前記音響品質に適合するか判定するステップと、
前記音響印象量が前記音響品質に適合しない場合、前記聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が前記音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行うステップと、を含むことを特徴とするスピーカ配置提示方法。
【請求項7】
スピーカ配置、聴取位置、聴取環境、及び所望の音響品質を記憶し、前記音響品質に適合するスピーカ配置を提示するスピーカ配置提示装置に、
少なくとも前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が、前記音響品質に適合するか判定するステップと、
前記音響印象量が前記音響品質に適合しない場合、前記聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が前記音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行うステップと、を実行させるためのスピーカ配置提示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカ配置提示装置、方法及びプログラムに関し、特に、マルチチャンネル音響方式に対応したスピーカ配置提示装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2チャンネルのステレオフォニック(Stereophonic;Stereo)よりもチャンネル数が多いマルチチャンネル(Multichannel)音響方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。このマルチチャンネル音響方式には、例えば、5.1チャンネル、7.1チャンネル、9.2チャンネル、22.2チャンネル等様々な方式がある。マルチチャンネル音響方式は通常、リファレンスとなるスピーカ配置や、スピーカ配置位置の許容範囲が国際規格などで規定されていることが多い。さらに、制作時と同じ再生環境を構築して聴取することが望ましい。また、マルチチャンネル音響方式は基本的に左右対称のチャンネル配置であり、聴取位置はスピーカ配置の中心に置くことが理想的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−334176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、家庭での再生や種々のリスニングルームでマルチチャンネル音響を再生しようとする場合、必ずしも規定通り又は制作環境と同様にスピーカを配置することはできず、スピーカ配置に対する制約が生じる。この傾向は、チャンネル数が増加するに従って顕著になると考えられる。規定されたスピーカ配置を実現できない場合、聴取者は置かれた環境下でスピーカを設置することになるが、可能な限り制作時の音響印象を保持したスピーカ配置を行うことが重要である。また、仮にスピーカ配置を規定通りに配置できても、聴取環境の制約条件によって聴取位置をスピーカ配置の中心に置けない場合が想定される。
【0005】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、規定されたスピーカ配置ができない場合及びスピーカ配置の中心を聴取位置にできない場合でも、制作環境に近い状況で音響聴取可能なスピーカ配置を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、本発明に係るスピーカ配置提示装置は、スピーカ配置、聴取位置、聴取環境、及び所望の音響品質を記憶する記憶部と、少なくとも前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が、前記音響品質に適合するか判定する制御部と、前記音響品質に適合するスピーカ配置を提示する表示部と、を備え、前記制御部は、前記音響印象量が前記音響品質に適合しない場合、前記聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が前記音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行うことを特徴とする。
【0007】
また、前記制御部は、前記音響印象量として、前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく第1の音響印象量と、前記聴取環境に基づく第2の音響印象量とを算出する、ことが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、隣り合うスピーカの見込み角の最大値を下げるように前記スピーカの再配置を行う、ことが好ましい。
【0009】
また、前記制御部は、スピーカの左右非対称性を解消するように前記スピーカの再配置を行う、ことが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記聴取位置の側方にスピーカが配置されるように前記スピーカの再配置を行う、ことが好ましい。
【0011】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0012】
例えば、上述した諸課題を解決すべく、本発明に係るスピーカ配置提示方法は、スピーカ配置、聴取位置、聴取環境、及び所望の音響品質を記憶し、前記音響品質に適合するスピーカ配置を提示するスピーカ配置提示装置によるスピーカ配置提示方法であって、前記スピーカ配置提示装置による処理手順が、少なくとも前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が、前記音響品質に適合するか判定するステップと、前記音響印象量が前記音響品質に適合しない場合、前記聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が前記音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した諸課題を解決すべく、本発明に係るスピーカ配置提示プログラムは、スピーカ配置、聴取位置、聴取環境、及び所望の音響品質を記憶し、前記音響品質に適合するスピーカ配置を提示するスピーカ配置提示装置に、少なくとも前記スピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が、前記音響品質に適合するか判定するステップと、前記音響印象量が前記音響品質に適合しない場合、前記聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び前記聴取位置に基づく音響印象量が前記音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行うステップと、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、規定されたスピーカ配置ができない場合及びスピーカ配置の中心を聴取位置にできない場合でも、制作環境に近い状況で音響聴取可能なスピーカ配置を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るスピーカ配置提示装置の構成を示す図である。
図2】スピーカ配置提示装置の処理を示すフローチャートである。
図3】初期条件(テキストデータ)の一例を示す図である。
図4】初期条件(図面データ)の一例を示す図である。
図5】音響印象量算出に係る聴取位置とスピーカ配置との関係を示す図である。
図6】スピーカ配置提示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るスピーカ配置提示装置の構成を示す図である。スピーカ配置提示装置1は、音響印象量算出部11、スピーカ配置評価部12、スピーカ再配置部13、及びスピーカ配置提示部14を含む制御部10と、初期条件記憶部21、及び要求音響心理量データベース22を含む記憶部20とを備え、表示部30及び操作部40と接続されている。
【0018】
制御部10の各処理部11〜14は好適なプロセッサにより構成され、各処理部11〜14を共通のプロセッサで実装したり、個別のプロセッサとして実装したりすることができる。記憶部20は好適な記憶装置であって、スピーカ配置提示装置1に内蔵されるものだけではなく、通信インタフェースを介した外部記憶装置を用いてもよい。表示部30は液晶ディスプレイ等の好適なディスプレイであって、後述の通り、所望の音響品質に適合するスピーカ配置を提示する。操作部40は、タッチパネル型リモコン等の好適な操作インタフェースであって、ユーザからスピーカ配置に関する初期条件の入力を受け付ける。
【0019】
以下、フローチャートに沿ってスピーカ配置提示装置1の各機能部の説明を行う。図2は、スピーカ配置提示装置1の処理を示すフローチャートである。スピーカ配置提示装置1は、操作部40によりユーザから初期条件の入力を受け、入力された初期条件を初期条件記憶部21に記憶する(ステップS101)。初期条件とは、対象となるスピーカの構成(個別スピーカの数、配置)、聴取環境(部屋の大きさ、形状、用途、内装、家具/什器の配置など)、ユーザの聴取位置、所望の音響品質(要求音響心理量:超高音質、高品質、中品質などのユーザが希望する再生品質)などである。図3は、テキストデータとして入力される初期条件の一例を示す図である。図3では、ユーザは、スピーカ構成として「スピーカ数:10」、聴取環境として「大きさ:8畳、用途:居間、内装:フローリング、形状:直方体」、所望の音響品質として「要求音響心理量:高音質」という値を入力している。図4は、図面データとして入力される初期条件の一例を示す図である。図4(a)は聴取環境の平面図であり、Item1(例えばテレビボード)及びItem2(例えば箪笥)の2つの家具が配置された8畳の室内に、ユーザの聴取位置P及び10個の個別スピーカSP1〜10の配置が図示されている。図4(b)は、図4(a)を右方向から見た断面図であり、聴取位置P及び個別スピーカSP1〜10の高さ方向の配置が図示されている。図3及び図4に示す画面情報は、表示部30に表示され、ユーザは表示部30の画面を確認しながら操作部40により初期条件を入力することができる。なお、表示部30が液晶ディスプレイ、操作部40がタッチパネルである場合、直感的操作のため、操作部40は表示部30の前面に重畳して配置されることが好ましい。
【0020】
音響印象量算出部11は、初期条件に基づき音響印象量を算出する(ステップS102)。ここで、音響印象量とは、音響品質を表わす値であり、特に、音響印象量算出部11は、音響印象のうち空間的印象の1つである包み込まれ感を算出する。音響印象量は、(本装置とは別に検討された)初期条件の組合せによる主観評価実験または知覚実験の結果から導出される音響印象評価関数より算出することができる。本実施形態において、音響印象量算出部11は、音響印象量である包み込まれ感として、スピーカ配置及び聴取位置に基づく第1の音響印象量と、聴取環境に基づく第2の音響印象量とを算出する。
【0021】
(第1の音響印象量)
第1の音響印象量は、スピーカ配置及び聴取位置に基づく音響印象量である。ユーザの聴取位置が変化すると、スピーカとの位置関係も併せて変化する。包み込まれ感に影響を与える要因として、聴取位置からみた隣り合うスピーカの間隔(方位角の大きさ)、両耳方向のスピーカ(側方スピーカ)の有無、音圧バランスの左右非対称性がある。このため、音響印象量算出部11は、式(1)に基づき第1の音響印象量を算出する。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、図5に示す通り、式(1)のr及びθは理想聴取位置に対する聴取位置Pの相対位置を示すものである。理想聴取位置とは、例えばマルチチャンネル音響方式で規定された聴取位置で有り、スピーカ配置の中心となる位置である。なお、理想聴取位置は例えば図4の初期条件入力時にユーザが指定しても良いし、個別スピーカSP1〜10の配置から音響印象量算出部11が自動的に算出しても良い。同様に、理想聴取位置に対する聴取位置Pの相対位置(r、θ)は、初期条件に基づき音響印象量算出部11が自動的に算出できるものである。左右非対称性を表わす係数ωは、例えば、スピーカ配置が左右対称の場合を基準値(例えば1)とし、左右非対称性が増加するにつれ当該基準値を増加させるように設定することができる。側方スピーカの有無を表わす係数kは、聴取位置の側方(聴取者の両耳)付近にスピーカがある場合に値を大きく、側方付近にスピーカがない場合には値が小さくなるように設定することができる。
【0024】
(第2の音響印象量)
第2の音響印象量は、聴取環境に基づく音響印象量である。聴取環境の特徴(部屋の大きさ、形状、用途、内装、家具/什器の配置など)により、包み込まれ感に影響を与える室の残響時間、方向別残響量は変化する。このため、音響印象量算出部11は、式(2)に基づき第2の音響印象量を算出する。
【0025】
【数2】
RT(t):残響時間
EN(p):方向別残響量
【0026】
ここで、残響時間及び方向別残響量の計算には公知技術を用いるものとし、本稿での詳述は行わない。一般に、残響時間が長いほど包み込まれ感は向上し、また、特定方向の反射音成分(残響エネルギー)が大きいほど包み込まれ感が向上するものである。なお、残響時間及び方向別残響エネルギーの計算に必要となる部屋の用途、内装、家具什器の種類などに基づく反射率等のデータについては、記憶部20に記憶されているものとする。
【0027】
音響印象量算出部11は、式(3)のとおり、第1の音響印象量及び第2の音響印象量の積算を音響印象量としてスピーカ配置評価部12に出力する。なお、音響印象量算出部11は、第1の音響印象量又は第2の音響印象量のいずれか一方を音響印象量としてスピーカ配置評価部12に出力しても良い。
【0028】
【数3】
【0029】
スピーカ配置評価部12は、音響印象量算出部11が算出した音響印象量と、初期条件であるユーザの要求音響心理量(音響品質)とを比較し、音響印象量が要求音響心理量に適合するか判定する(ステップS103)。要求音響心理量データベース22は、要求音響心理量である超高音質、高品質、中品質などといった分類に対応する閾値を記憶している。スピーカ配置評価部12は、ユーザが希望する要求音響心理量に対応する閾値を要求音響心理量データベース22から取得し、取得した閾値と音響印象量算出部11が算出した音響印象量との比較を行うことにより、適合判定を行うことができる。なお、要求音響心理量である超高音質、高品質、中品質などといった分類に対応する閾値は当業者が適宜設定できるものであり、例えば主観評価実験または知覚実験などから取得した値を用いることができる。
【0030】
スピーカ配置評価部12が音響印象量は要求音響心理量に適合しないと判定した場合(ステップS103のNo)、スピーカ再配置部13は、初期条件である聴取環境を制約条件として、スピーカ(個別スピーカ)を再配置する(ステップS104)。スピーカ再配置部13がスピーカを再配置すると、処理はステップS102に戻る。スピーカ再配置部13は、再配置後のスピーカ配置及び聴取位置に基づく音響印象量が要求音響心理量に適合するまでスピーカの再配置を行う。ここで、スピーカ再配置部13は、スピーカ配置が影響する第1の音響印象量を改善するようにスピーカ再配置を行うことができる。例えば、スピーカ再配置部13は、式(1)において見込み角が最大となる個別スピーカを再配置対象とし、最大値の見込み角を下げるようにスピーカ再配置を行うことができる。また、スピーカ再配置部13は、式(1)において左右非対称性係数を改善するため、スピーカの左右非対称性を解消するようにスピーカ再配置を行うことができる。また、スピーカ再配置部13は、式(1)において側方スピーカ有無を示す係数を改善するため、聴取位置の側方にスピーカが配置されるようにスピーカ再配置を行うことができる。
【0031】
スピーカ配置評価部12が音響印象量は要求音響心理量に適合すると判定した場合(ステップS103のYes)、スピーカ配置提示部14は、要求音響心理量に適合するスピーカ配置を表示部30に表示させる(ステップS105)。図6は、スピーカ配置提示の一例を示す図である。図6(a)は再配置を平面図で示すものであり、再配置前の個別スピーカの位置を点線で示すとともに、再配置後の個別スピーカSP1〜10の位置を実線にて示している。図6(b)は、図6(a)を右方向から見た断面図であり、再配置後の各個別スピーカSP1〜10の高さ方向の配置が図示されている。なお、図6(b)においては、簡略のため、再配置前の個別スピーカの図示を省略しているが、図6(a)と同様に例えば点線にて表示することができるものである。
【0032】
このように、本実施形態によれば、スピーカ配置提示装置1は、音響印象量が所望の音響品質に適合しない場合、聴取環境を制約条件とし、再配置後のスピーカ配置及び聴取位置に基づく音響印象量が音響品質に適合するまでスピーカの再配置を行う。これにより、規定されたスピーカ配置ができない場合及びスピーカ配置の中心を聴取位置にできない場合でも、制作環境に近い状況で音響聴取可能なスピーカ配置を提示することが可能となる。すなわち、スピーカ配置に対して制約がかかる場合においても、コンテンツの音響印象の劣化を防ぐことが可能となる。また、聴取環境による制約条件下で配置されたスピーカによる空間的印象を客観的に評価することにより、ユーザにとって最適なスピーカ配置を提示することが可能となる。
【0033】
また、スピーカ配置提示装置1は、音響印象量として、スピーカ配置及び聴取位置に基づく第1の音響印象量と、聴取環境に基づく第2の音響印象量とを算出することができる。これにより、事前に主観評価実験や音響知覚実験などによって得られたスピーカ配置、聴取位置、聴取環境との関係を関数化した算出式を用いることが可能となり、より環境に適合したスピーカ配置を提示することが可能となる。なお、音響印象量算出に関する関数は、様々な音響印象について個々の関数をもつと考えられるため、ある音響印象の主観評価値と初期条件との関係が解明されて新たな関数が考案された場合には、後から適宜関数を追加することも可能となる。
【0034】
また、スピーカ配置提示装置1は、隣り合うスピーカの見込み角の最大値を下げるように前記スピーカの再配置を行うことができる。これにより、音響印象量である包み込まれ感を改善するスピーカ配置を提示することが可能となる。
【0035】
また、スピーカ配置提示装置1は、スピーカの左右非対称性を解消するように前記スピーカの再配置を行うことができる。これにより、音響印象量である包み込まれ感を改善するスピーカ配置を提示することが可能となる。
【0036】
また、スピーカ配置提示装置1は、前記聴取位置の側方にスピーカが配置されるように前記スピーカの再配置を行うことができる。これにより、音響印象量である包み込まれ感を改善するスピーカ配置を提示することが可能となる。
【0037】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0038】
例えば、聴取位置と各スピーカとの相対距離は各々異なるため、音響印象量算出部11は、各個別スピーカの音圧レベル調整のための係数を用いて、音響印象量を算出することができる。各個別スピーカの音圧レベルを調整することにより所望の要求音響心理量に適合するスピーカ配置が得られた場合、スピーカ配置提示装置1は、表示部30にスピーカ配置に加え各個別スピーカの音圧レベルを表示させることが好ましい。
【0039】
また、スピーカ配置提示装置1は、音響印象量と要求音響心理量との適合判定の回数を規定し、一定回数判定を行っても適合するスピーカ配置が存在しない場合には、適合するスピーカ配置はないものとし、表示部30にその時点で最適の音響印象量となるスピーカ配置を提示させることができる。これにより、スピーカ配置に係る計算量を低減するとともに、制約条件の下で最適なスピーカ配置を提示することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 スピーカ配置提示装置
10 制御部
11 音響印象量算出部
12 スピーカ配置評価部
13 スピーカ再配置部
14 スピーカ配置提示部
20 記憶部
21 初期条件記憶部
22 要求音響心理量データベース
30 表示部
40 操作部
P 聴取位置
SP1〜10 個別スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6