特許第6243877号(P6243877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243877電子パッケージ、及び、電子パッケージを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243877
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電子パッケージ、及び、電子パッケージを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20171127BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20171127BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20171127BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B65D85/38 J
   H01L21/50 C
   H05K13/04 B
   H05K3/34 507C
   B65D85/38 P
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-159594(P2015-159594)
(22)【出願日】2015年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-69085(P2016-69085A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年8月13日
(31)【優先権主張番号】14/496,560
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カルハデ、オムカー
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ、ニチン
(72)【発明者】
【氏名】ララヴィカー、ナチケト
【審査官】 田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−277683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0074014(US,A1)
【文献】 特開2010−212655(JP,A)
【文献】 特開平11−227871(JP,A)
【文献】 特開2013−163524(JP,A)
【文献】 特開平8−83819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/38
H01L 21/50
H05K 3/34
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コンポーネントと、
前面及び裏面を含み、前記電子コンポーネントが前記前面に搭載され、複数の導体が前記裏面に搭載され、前記電子コンポーネントとの間における熱膨張係数の差に起因して常温において歪んだ基板と、
前記基板の前記裏面上にある前記複数の導体間に配置される粘着物であって、前記複数の導体と直接は接触しない粘着物と、
輸送のために、前記基板の前記裏面上にある前記複数の導体間に配置される前記粘着物に取り外し可能に取り付けられる粘着フィルムと
を備え、
前記粘着フィルムは、前記粘着物と直接接触し、前記基板に応じて歪むことができ、かつ、前記粘着物から除去可能である、電子パッケージ。
【請求項2】
前記電子コンポーネントはダイである、請求項1に記載の電子パッケージ。
【請求項3】
前記基板の前記裏面上にある前記複数の導体間に配置される前記粘着物は複数のパッドの形である、請求項1または2に記載の電子パッケージ。
【請求項4】
前記複数のパッドは、前記基板の各コーナー及び中心に配置される、請求項3に記載の電子パッケージ。
【請求項5】
輸送媒体を更に備え、
前記粘着フィルムは前記輸送媒体に固定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子パッケージ。
【請求項6】
前記粘着フィルムは、前記輸送媒体に固定される粘着物を有する複数の部分を含む、請求項5に記載の電子パッケージ。
【請求項7】
前記輸送媒体はリールである、請求項5または6に記載の電子パッケージ。
【請求項8】
前記輸送媒体はトレイである、請求項5または6に記載の電子パッケージ。
【請求項9】
前記基板の前記裏面上の前記粘着物は、前記電子パッケージが他の電子デバイスに固定された場合に存在し得る所望の間隙と同様の厚みを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子パッケージ。
【請求項10】
前記複数の導体は複数の半田バンプである、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子パッケージ。
【請求項11】
前記複数の半田バンプは平らにされ、平らにされた前記複数の半田バンプの厚みが前記基板の前記裏面上にある前記粘着物の厚みに近似する、請求項10に記載の電子パッケージ。
【請求項12】
前記複数の導体は、前記基板の前記裏面と垂直な方向においていかなる回路とも電気的に接続されない、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子パッケージ。
【請求項13】
電子コンポーネントを高温状況で基板の前面に取り付ける段階と、
前記電子コンポーネント及び前記基板を冷却し、前記電子コンポーネントと前記基板との間における熱膨張係数の差に起因して前記基板を常温においてませる段階と、
前記基板の裏面上にある複数の導体間において、粘着物を前記基板の前記裏面に取り付ける段階であって、前記複数の導体と直接は接触しない、粘着物を取り付ける段階と、
輸送前に、粘着フィルムが前記粘着物と直接接触し、かつ前記粘着物から除去可能となるように、前記基板の前記裏面上にある前記粘着物を使用して前記基板を前記粘着フィルムに取り外し可能に取り付け、電子パッケージを形成する段階と
を含み、
前記粘着フィルムは前記基板に応じて歪むことができる、方法。
【請求項14】
電子コンポーネントを高温状況で基板の前面に取り付ける段階は、電子コンポーネントをおよそ150℃から260℃の間の温度で基板の前面に取り付ける段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電子コンポーネント及び前記基板を冷却する段階は、前記電子コンポーネント及び前記基板を常温まで冷却する段階を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板の前記裏面上にある前記粘着物を使用して前記基板を粘着フィルムに取り付け、電子パッケージを形成する段階は、前記基板の前記裏面を前記粘着物に押し付ける段階を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粘着フィルムを輸送媒体に取り付ける段階を更に含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記粘着フィルムを前記輸送媒体から取り除く段階と、
前記粘着フィルムを前記基板から取り除く段階と、
前記基板を電子デバイスに取り付けて電子アセンブリを形成する段階と
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板を電子デバイスに取り付ける段階は、前記基板をマザーボードに取り付けて電子アセンブリを形成する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基板をマザーボードに取り付けて電子アセンブリを形成する段階は、前記粘着物と前記マザーボードとの間に力を加え、前記基板を前記マザーボードに付着させる段階を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の導体は複数の半田ボールであり、
前記電子アセンブリの温度を上昇させ、前記複数の半田ボールをリフローする段階を更に含み、
前記粘着物は、半田ボールリフロー中に、前記基板と前記マザーボードとの間において所望の間隙を維持する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記粘着物が、半田ボールリフロー中に、前記基板と前記マザーボードとの間において前記所望の間隙を維持することを可能にすべく、温度を上昇させる前に前記複数の半田ボールを平らにする段階を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基板が前記粘着フィルムに取り付けられる間に、前記複数の導体は、前記基板の前記裏面と垂直な方向においていかなる回路とも電気的に接続されない、請求項13から22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される複数の実施形態は、概して電子パッケージに関する。より具体的には、簡便に配送される電子パッケージ、及び、電子パッケージを輸送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル製品(例えば携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ等)は一般的に、(他の物理的及び電気的パラメータの中でも)チップ及びパッケージの領域及び高さに対してしばしば厳しい制限があるので、利用可能な空間が非常に限定される。従って、基板上の電子コンポーネント(例えばダイ)を小型化することは極めて重要である。
【0003】
しかしながら、小型化された電子コンポーネントに対する当該ニーズを受け入れるべく電子コンポーネント/パッケージを比較的薄く製造する場合、そのようなコンポーネントを製造することに関連付けられる問題が存在し得る。一例として、薄型のコンポーネント/パッケージは、歴史的に、半導体産業への大きな試みであった。
【0004】
幾つかの電子コンポーネント/パッケージは、高い熱膨張係数(CTE)を有する基板に取り付けられる、比較的低いCTEを有するシリコンダイを含む。それ故、ダイは、コンポーネント/パッケージの製造中に温度が変化して歪曲する基板に取り付けられるので、製造上の問題がしばしば生じる。ダイと基板との間におけるCTEの差によって、コンポーネント/パッケージにおける設計特性と材料特性とのバランスを取って(1)常温および(2)バンプ融解温度で平坦なパッケージを得ることが極めて困難になり得る。
【0005】
ダイと基板との間におけるCTEの差によって引き起こされる製造上の問題を処理する1つのアプローチは、コンポーネント/パッケージに型材を含ませて剛性を提供することである。コンポーネント/パッケージに型材を添加することによって、幾つかの不利益を受ける。第1に、添加される型はしばしば、コンポーネント/パッケージ内のストレスを増大させる結果をもたらす非線形材料特性を有し得る。第2に、添加される型は通常、コンポーネント/パッケージの全体寸法(特にコンポーネント/パッケージのZ方向高さ)を増大させる。最後に、高性能のコンポーネント/パッケージは通常、型の一部を取り除いて型からコンポーネント/パッケージの一部を露出させることを必要とする。型の一部を取り除くことによって、反り低減に対する型の有効性が低減し得る。
【0006】
ダイと基板との間におけるCTEの差によって引き起こされる製造上の問題を処理する他のアプローチは、金属、又は、スティフナのような何らかの他の材料を使用することである。コンポーネント/パッケージにスティフナを添加することによって、幾つかの不利益を受ける。第1に、添加されるスティフナは、コンポーネント/パッケージの全体寸法(特にコンポーネント/パッケージのZ方向高さ)を増大させ得る。加えて、コンポーネント/パッケージにスティフナを添加することによってまた、コンポーネント/パッケージ上でのスティフナとシリコンとの間における粘着物材料に起因し、コンポーネント/パッケージの熱分散が制限され得る。
【0007】
ダイと基板との間におけるCTEの差によって引き起こされる製造上の問題を処理する更に他のアプローチは、より厚いコア基板を備えるコンポーネント/パッケージを設計することである。しかしながら、より厚いコア基板を備えるコンポーネント/パッケージを製造することによって、本質的に不必要にも、コンポーネント/パッケージの全体的なZ方向高さがより厚いコア基板で増大されることになる。
【0008】
ダイと基板との間におけるCTEの差によって引き起こされる製造上の問題を処理する更に他のアプローチは、より薄いダイを備えるコンポーネント/パッケージを設計することである。しかしながら、より薄いダイ構造によってコンポーネント/パッケージに反りの低減が提供されたとしても、より薄いダイ構造はしばしば、ダイの中でかなり粗悪なトランジスタ性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】高温での例示的な電子コンポーネントを図示している。
図2】常温での図1の例示的な電子コンポーネントを図示している。
図3】粘着テープに搭載されて電子パッケージを形成する、図2の例示的な電子コンポーネントを図示している。
図4】輸送媒体に搭載される、図3の例示的な電子パッケージを図示している。
図5】輸送媒体として使用され得る例示的なリールの一部を図示している。
図6】輸送媒体として使用され得る例示的なトレイの一部を図示している。
図7】輸送媒体から取り除かれ、マザーボードに搭載されて電子アセンブリを形成する、図4の例示的な電子パッケージを図示している。
図8】電子パッケージを輸送する方法を示すフロー図である。
図9】本明細書で説明される複数の電子パッケージを含む電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明及び図面は、当業者がそれらを実施することができるように、具体的な実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構造的変更、論理的変更、電気的変更、プロセス的変更、及び、他の変更を組み込んでもよい。幾つかの実施形態の一部及び特徴は、他の実施形態の一部及び特徴に含まれてもよく、又は、それらと置き換えられてもよい。特許請求の範囲に記載された複数の実施形態は、その特許請求の範囲の利用可能な等価物を全て包含する。
【0011】
本願で使用される「水平」のような向きを表す用語は、ウェハまたは基板の向きに関わらず、ウェハまたは基板の慣習的な平面または表面に平行な平面に関して定義される。「鉛直」という用語は、上記で定義した「水平」に直交する方向を意味する。「〜上」、(「側壁」におけるような)「〜側」、「〜より高い」、「〜より低い」、「〜の上方」、及び、「〜の下方」等の前置詞は、ウェハまたは基板の向きに関わらず、ウェハまたは基板の上面における慣習的な平面または表面に関して定義される。
【0012】
本明細書で説明される例示的な電子パッケージの幾つかは、比較的薄い電子パッケージの柔軟性を利用して、比較的薄い電子パッケージを含む電子アセンブリを製造することに関連付けられる製造上の問題を低減する。本明細書で説明される例示的な電子パッケージは、平坦にされる代わりに、歪んだ状態で、他の場所に配送される。当該電子パッケージはストレスがかからない(歪んだ)状態で配送されるので、当該電子パッケージを含む電子アセンブリへの後続の製造用に当該電子パッケージを他の場所に配送する間、比較的ストレスフリーである。加えて、当該電子パッケージは、当該電子パッケージを含む電子アセンブリの製造者によって利用される製造プロセスに対する微小な変更も無いように配送され得る。
【0013】
図1は、高温での例示的な電子デバイス10を図示している一方で、図2は、常温での図1の例示的な電子デバイス10を図示している。図2に示されるように、電子デバイス10は、常温で歪んだ状態にある。
【0014】
図3は、粘着フィルム11に搭載されて電子パッケージ1を形成する、図2の例示的な電子デバイス10を図示している。電子デバイス10は、前面14および裏面15を有する基板13に搭載される電子コンポーネント12を含む。電子コンポーネント12は、基板13の前面14に搭載され、複数の導体16は、基板13の裏面15に搭載される。基板13は、電子コンポーネント12と基板13との間における熱膨張係数の差に起因して歪んでいる。
【0015】
粘着物17は、基板13の裏面15上の複数の導体16間に配置される。粘着フィルム11は、基板13の裏面15上の複数の導体16間に配置された粘着物17に取り付けられる。
【0016】
基板13の裏面15上にある複数の導体16間に配置される粘着物17は、複数のパッドの形であってもよい。一例として、複数のパッドは、基板13の各コーナー及び中心に配置されてもよい。粘着物17に対して様々な他の形が想定されることに留意すべきである。基板13の裏面15上における幾つかの小さい領域は、複数の導体16又は複数の他のコンポーネントが無い状態で残され、複数のパッド用の余地を作ってもよい。
【0017】
図4に示されるように、電子パッケージ1は更に輸送媒体30を含んでもよく、粘着フィルム11は輸送媒体30に固定される。輸送媒体30、および/または、粘着フィルム11は、電子パッケージ1が輸送媒体30に粘着するように、電子パッケージ1をピックして、力と共に輸送媒体30上に載置することを可能にする粘着物(例えば複数の粘着テープ片)を含んでもよい。使用される粘着物のタイプに応じて、輸送媒体30を粘着フィルム11に固定すべく熱硬化および/またはUV硬化が必要とされてもよい。
【0018】
輸送媒体30および粘着フィルム11は、輸送中に電子パッケージ1を保護してもよい。電子パッケージ1は、輸送媒体30に取り付けられる場合に平坦であってもよく、又は、歪んでいてもよいことに留意すべきである。電子パッケージ1の平坦度または歪曲度は、部分的に、(1)粘着フィルム11の厚み及び材料、(2)基板13の厚み及び材料、および/または、(3)常温での電子アセンブリ10における歪曲度に依存するだろう。
【0019】
図5は、輸送媒体30として使用され得る、例示的なテープ及びリール31の一部を図示している。図6は、輸送媒体30として使用され得る、例示的なトレイ32の一部を図示している。複数の他のタイプの電子輸送媒体が想定されることに留意すべきである。
【0020】
電子パッケージ1の幾つかの例示的形態において、基板13の裏面15上にある粘着物17は、電子パッケージ1が他の電子デバイス(例えば図7における電子アセンブリ40を参照)に固定される場合に存在し得る所望の間隙と同様の厚みを有してもよい。一例として、基板13の裏面15上にある複数の導体16は、電子パッケージ1が他の電子デバイスに固定される場合に存在し得る所望の間隙と同様の厚みを有する複数の半田バンプであってもよい。複数の半田バンプは平らにされ、平らにされた複数の半田バンプの厚みが基板13の裏面15上にある粘着物17の所望の厚みに近似してもよいことに留意すべきである。
【0021】
図7は、輸送媒体30から取り除かれ、マザーボード39に搭載されて電子アセンブリ40を形成する、図4の例示的な電子パッケージ1を図示している。一例として、粘着フィルム11は、電子パッケージ1から取り除かれて粘着物17を露出させてもよい。電子パッケージ1はそれから、ピックアップされてマザーボード39に半田実装されてもよい。幾つかの例示的形態において、電子パッケージ1は、機械的な力でマザーボード39に押圧されて、マザーボード39に平らに粘着してもよい。
【0022】
粘着物17は、半田リフロー中に電子パッケージ1を平らに維持する、高温かつ高粘性の粘着物であってもよい。粘着物17は、複数の導体16内で望ましくないブリッジング/開口が1つも生じない最適水準に半田の接合高さを固定するのに役立ってもよい。
【0023】
電子デバイス10の幾つかの例示的形態において、電子コンポーネント12はダイであってもよい。複数の他のタイプの電子コンポーネントが想定されることに留意すべきである。
【0024】
複数の例として、複数の電子コンポーネントは、複数の機能デバイスを含んでもよい。複数の機能デバイスの複数の例は、CMOS、バイポーラ、バイポーラCMOS、アナログ/ミックスドシグナル、RF、パワー半導体DRAM、SRAM、又は、NVMメモリ技術による複数の電子回路素子、複数のトランジスタ、複数のダイオードを含むが、これらに限定されない。
【0025】
加えて、複数の電子コンポーネントは複数の受動素子を含んでもよい。例示的な任意の複数の受動素子は、FEOL又はBEOL処理中に、複数のレジスタ、複数のキャパシタ(MOSキャップ、MIMキャップ、インターメタルキャップ)、及び、複数のインダクタ(コイル)を含むが、これらに限定されない。
【0026】
電子パッケージ1は個片化された形で示されている一方で、本明細書で説明される複数の方法および複数の電子パッケージ1は、電子パッケージ1の製造に役立つ、ウェハ形状、列形状または任意の他の形状であってもよいことに留意すべきである。複数の方法および複数の電子パッケージ1によって採用される形は、部分的に、製造コストにも、電子パッケージ1の所望の全体的機能性にも依存するだろう。
【0027】
電子パッケージ1の幾つかの例示的形態において、基板13はシリコン基板であってもよい。基板13用の複数の他の例示的な材料は、ガラス、シリコンオンインシュレータ、炭化ケイ素(SiC)、ガリウムヒ素、有機基質、及び、積層プラスチック等を含むが、これらに限定されない。
【0028】
図8は、方法800を示すフロー図である。方法800は、電子コンポーネント12を高温状況で基板13の前面13に取り付ける段階810(図1を参照)と、電子コンポーネント12および基板13を冷却し、電子コンポーネント12と基板13との間における熱膨張係数の差に起因して基板13を歪曲させる段階820(図2を参照)とを含む。
【0029】
方法800は更に、基板13の裏面15上にある複数の導体16間において、粘着物17を基板13の裏面15に取り付ける段階830と、基板13の裏面15上にある粘着物17を使用して基板13を粘着フィルム11に取り付け、電子パッケージ1を形成する段階840とを含む(図3を参照)。
【0030】
方法800の幾つかの形態において、電子コンポーネント12を高温状況で基板13の前面14に取り付ける段階810は、電子コンポーネント12をおよそ150℃から260℃の間の温度で基板13の前面14に取り付ける段階を含んでもよい。電子コンポーネント12を基板13の前面14に取り付けるのに適切な温度は、部分的に、電子コンポーネント12を基板13に取り付けるべく使用される方法および材料に依存するだろうことに留意すべきである。
【0031】
方法800の幾つかの形態において、電子コンポーネント12および基板13を冷却する段階820は、電子コンポーネント12および基板13を常温まで冷却する段階を含んでもよい。電子コンポーネント12および基板13が冷却される温度は、部分的に、電子コンポーネント12および基板13を形成する複数の材料のタイプにも、電子コンポーネント12を基板13に固定するのに使用される任意の物質にも依存するだろう。
【0032】
方法800の幾つかの形態において、基板13の裏面15上にある粘着物17を使用して基板13を粘着フィルム11に取り付け、電子パッケージ1を形成する段階840は、基板13の裏面15を粘着フィルム11に押し付ける段階を含んでもよい。基板13を粘着フィルム11に取り付けるのに加えられる力の量は、部分的に、粘着物17および粘着フィルム11を形成する複数の材料のタイプに依存するだろう。
【0033】
粘着物17用の1つの例示的な材料は、260℃まで耐え得る耐高温性の両面粘着テープ(例えばKapton KPPTDE-1/8両面粘着テープ)、又は、数時間は200℃まで耐え得る3M55256汎用両面テープであってもよい。粘着フィルム11で使用されるいずれの粘着物も、同様の(又は異なる)複数の材料から形成され得ることに留意すべきである。
【0034】
方法800は更に、粘着フィルム11を輸送媒体30に取り付ける段階850を含んでもよい(図4を参照)。複数の例として、粘着フィルム11は、リール31(図5を参照)またはトレイ32(図6を参照)に取り付けられてもよい。
【0035】
方法800は更に、輸送媒体30から粘着フィルム11を取り除く段階860と、基板13から粘着フィルム11を取り除く段階870とを含んでもよい。方法800は更に、基板13を電子デバイス(例えば図7におけるマザーボード39を参照)に取り付けて電子アセンブリ40を形成する段階880を含んでもよい。
【0036】
方法800の幾つかの形態において、基板13を電子デバイス39に取り付けて電子アセンブリ40を形成する段階880は、粘着物17と電子デバイス39との間に力を加えて基板13を電子デバイスに付着させる段階を含む。基板13を電子デバイス39に取り付けるのに加えられる力の量は、部分的に、粘着物17および電子デバイスを形成する複数の材料のタイプに依存するだろう。
【0037】
方法800の幾つかの形態において、複数の導体16は複数の半田ボールであり、方法800が更に電子アセンブリ40の温度を上昇させて複数の半田ボール16をリフローする段階890を含んでもよい。粘着物17は、半田ボール16リフロー中に基板13と電子デバイスとの間における所望の間隙を維持してもよい。
【0038】
方法800は更に、粘着物17が、半田ボール16リフロー中に、基板13と電子デバイスとの間において所望の間隙を維持することを可能にすべく、温度を上昇させる前に複数の半田バンプ16を平らにする段階895を含んでもよい。複数の半田バンプ16は、平らにされた複数の半田バンプ16の厚みが基板13の裏面15上にある粘着物17の所望の厚みに近似するように平らにされてもよいことに留意すべきである。
【0039】
図9は、本明細書で説明される少なくとも1つの電子アセンブリ40、電子パッケージ1、および/または、方法800を組み入れている電子機器900のブロック図である。電子機器900は、本明細書で説明される複数の電子アセンブリ40、複数の電子パッケージ1、および/または、複数の方法800の複数の形態が使用され得る電子機器の単なる一例である。電子機器900の複数の例は、複数のパーソナルコンピュータ、複数のタブレットコンピュータ、複数の携帯電話、複数のゲーム機、複数のMP3または他のデジタル音楽プレーヤー等を含むが、これらに限定されない。この例において、電子機器900は、電子機器900の様々なコンポーネントを連結するシステムバス902を含む、データ処理システムを備える。システムバス902は、電子機器900の様々なコンポーネント間に複数の通信リンクを提供する。システムバス902は、単一バスとして、複数のバスの組み合わせとして、又は、任意の他の適切な態様で、実装されてもよい。
【0040】
本明細書で説明される電子アセンブリ910は、システムバス902に連結されてもよい。電子アセンブリ910は、任意の回路、又は、複数の回路の組み合わせを含んでもよい。一実施形態において、電子アセンブリ910は、任意のタイプであり得るプロセッサ912を含む。本明細書で使用するように、「プロセッサ」は、これらに限定されないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マルチコアプロセッサ、又は、任意の他のタイプのプロセッサ若しくは処理回路などの、任意のタイプの計算回路を意味する。
【0041】
電子アセンブリ910に含まれ得る複数の他のタイプの回路は、例えば、複数の携帯電話、複数のタブレットコンピュータ、複数のラップトップコンピュータ、複数の送受信兼用無線機、及び、同様の複数の電子システムなどの複数の無線デバイスにおいて使用するための、(通信回路914のような)1または複数の回路のようなカスタム回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等である。ICは、任意の他のタイプの機能を実行できる。
【0042】
電子機器900はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)形式のメインメモリ922のような、特定用途に適した1または複数のメモリ要素、1または複数のハードドライブ924、および/または、複数のコンパクトディスク(CD)、複数のフラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)等のリムーバブルメディア926を処理する1または複数のドライブを順に含み得る外部メモリ920を含んでもよい。
【0043】
電子機器900はまた、ディスプレイデバイス916、1または複数のスピーカ918、及び、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識デバイス、又は、システムユーザが電子機器900へと情報を入力して情報を受信することを可能にする任意の他のデバイスを含み得る、キーボード並びに/若しくはコントローラ930を含んでもよい。
【0044】
本明細書で開示される方法及び複数の装置をより良く示すべく、複数の実施形態の非限定的な列挙を以下に提供する。
【0045】
例1は、電子パッケージを含む。電子パッケージは、電子コンポーネントと、前面及び裏面を含む基板とを含む。電子コンポーネントは基板の前面に搭載され、複数の導体が基板の裏面に搭載される。基板は、電子コンポーネントと基板との間の熱膨張係数差に起因して歪んでいる。基板の裏面上の複数の導体間に粘着物が配置され、基板の裏面上の複数の導体間に配置された粘着物に粘着フィルムが取り付けられる。
【0046】
例2は、例1の電子パッケージを含み、電子コンポーネントはダイである。
【0047】
例3は例1から2のいずれか一つの電子パッケージを含み、基板の裏面上にある複数の導体間に配置される粘着物は複数のパッドの形である。
【0048】
例4は例1から3のいずれか一つの電子パッケージを含み、複数のパッドは、基板の各コーナー及び中心に配置される。
【0049】
例5は例1から4のいずれか一つの電子パッケージを含み、輸送媒体を更に備え、粘着フィルムは輸送媒体に固定される。
【0050】
例6は例1から5のいずれか一つの電子パッケージを含み、粘着フィルムは、輸送媒体に固定される粘着物を有する複数の部分を含む。
【0051】
例7は例1から6のいずれか一つの電子パッケージを含み、輸送媒体はリールである。
【0052】
例8は例1から7のいずれか一つの電子パッケージを含み、輸送媒体はトレイである。
【0053】
例9は例1から8のいずれか一つの電子パッケージを含み、基板の裏面上の粘着物は、電子パッケージが他の電子デバイスに固定された場合に存在し得る所望の間隙と同様の厚みを有する。
【0054】
例10は例1から9のいずれか一つの電子パッケージを含み、複数の導体は複数の半田バンプである。
【0055】
例11は例1から10のいずれか一つの電子パッケージを含み、複数の半田バンプは平らにされ、平らにされた複数の半田バンプの厚みが基板の裏面上にある粘着物の厚みに近似する。
【0056】
例12は電子アセンブリを含む。電子アセンブリは、電子コンポーネントと、前面及び裏面を含む基板とを含む。電子コンポーネントは基板の前面に搭載され、複数の導体が基板の裏面に搭載される。基板の裏面上の複数の導体間に粘着物が配置される。電子デバイスは、複数の導体に取り付けられ、粘着物は、基板の裏面上の複数の導体間に配置される。
【0057】
例13は、例12の電子アセンブリを含み、複数の導体は複数の半田バンプである。
【0058】
例14は例12から13のいずれか一つの電子アセンブリを含み、複数の半田バンプは平らにされ、平らにされた複数の半田バンプの厚みが基板の裏面上にある粘着物の厚みに近似する。
【0059】
例15は例12から14のいずれか一つの電子アセンブリを含み、電子デバイスはマザーボードである。
【0060】
例16は、電子コンポーネントを高温状況で基板の前面に取り付ける段階と、電子コンポーネント及び基板を冷却し、電子コンポーネントと基板との間における熱膨張係数の差に起因して基板を歪曲させる段階と、基板の裏面上にある複数の導体間において、粘着物を基板の裏面に取り付ける段階と、基板の裏面上にある粘着物を使用して基板を粘着フィルムに取り付け、電子パッケージを形成する段階とを含む方法。
【0061】
例17は例16の方法を含み、電子コンポーネントを高温状況で基板の前面に取り付ける段階は、電子コンポーネントをおよそ150℃から260℃の間の温度で基板の前面に取り付ける段階を含む。
【0062】
例18は例16から17のいずれか一つの方法を含み、電子コンポーネント及び基板を冷却する段階は、電子コンポーネント及び基板を常温まで冷却する段階を含む。
【0063】
例19は例16から18の方法を含み、基板の裏面上にある粘着物を使用して基板を粘着フィルムに取り付け、電子パッケージを形成する段階は、基板の裏面を粘着物に押し付ける段階を含む。
【0064】
例20は例16から19のいずれか一つの方法を含み、粘着フィルムを輸送媒体に取り付ける段階を更に含む。
【0065】
例21は例16から20の方法を含み、粘着フィルムを輸送媒体から取り除く段階と、粘着フィルムを基板から取り除く段階と、基板を電子デバイスに取り付けて電子アセンブリを形成する段階とを更に含む。
【0066】
例22は例16から21のいずれか一つの方法を含み、基板を電子デバイスに取り付ける段階は、基板をマザーボードに取り付けて電子アセンブリを形成する段階を含む。
【0067】
例23は例16から22の方法を含み、基板をマザーボードに取り付けて電子アセンブリを形成する段階は、粘着物とマザーボードとの間に力を加え、基板をマザーボードに付着させる段階を含む。
【0068】
例24は例16から23のいずれか一つの方法を含み、複数の導体は複数の半田ボールであり、電子アセンブリの温度を上昇させ、複数の半田ボールをリフローする段階を更に含み、粘着物は、半田ボールリフロー中に、基板とマザーボードとの間において所望の間隙を維持する。
【0069】
例25は例16から24の方法を含み、粘着物が、半田ボールリフロー中に、基板とマザーボードとの間において所望の間隙を維持することを可能にすべく、温度を上昇させる前に複数の半田ボールを平らにする段階を更に含む。
【0070】
この概要は、本主題の複数の非限定的な例を提供することを意図されている。排他的な説明、又は、余す所の無い説明を提供することを意図されていない。詳細な説明は、複数の方法についての更なる情報を提供すべく含まれている。
【0071】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面に対する複数の参照を含む。図面は、例示を目的として、本発明を実施可能な特定の複数の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書において、複数の「例」とも呼ばれる。そのような複数の例は、示され又は説明されるものに加えて、複数の要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、これら示され又は説明された複数の要素のみが提供される複数の例も想定している。更に、本発明者らは、本明細書で示され又は説明された、特定の例(若しくは、その1または複数の態様)に関して、又は、複数の他の例(若しくは、その1または複数の態様)のいずれかに関して、これら示され又は説明された複数の要素(若しくは、それらの1または複数の態様)の任意の組み合わせ又は置き換えを使用する複数の例も想定している。
【0072】
複数の特許文献に共通するように、本文書において、「1つ(a)」又は「1つ(an)」という用語は、任意の他の例とは関係なく、又は、「少なくとも1つ」若しくは「1または複数」の使用とは関係なく、1または複数を含むように使用される。本文書において、別段の示唆がない限り、「又は」という用語は、「A又はB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」及び「A及びB」を含むような非排他的な「又は」について言及すべく用いられる。本文書において、「含む(including)」及び「ここで(in which)」という用語は、それぞれ「備える(comprising)」及び「ここで(wherein)」という用語の平易な英語による等価物として使用される。また、以下の複数の請求項においては、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は制限のないものである。すなわち、ある請求項でそのような用語の後に列挙されているものの他に複数の要素を含むシステム、デバイス、物品、構成物、形成物またはプロセスもまた、その請求項の範囲内に含まれると見なされる。更に、以下の複数の請求項において、「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は、単に符号として使用されているのであって、それらの対象物に番号順の要件を課すことを意図されていない。
【0073】
上記の説明は、例示することを意図されているのであって、制限するものではない。例えば、上記で説明された複数の例(又は、それらの1または複数の態様)は、互いに組み合わされて使用されてもよい。複数の他の実施形態は、当業者などが上記の説明を検討することで使用され得る。
【0074】
要約は、技術的な開示の本質を読者が速やかに確認することを可能にさせる米国特許施行規則37 C.F.R. §1.72(b)に従って提供される。それは、複数の請求項の範囲又は意味を解釈又は限定すべく使用されるのではないという理解のもとで提出される。
【0075】
また、上記の詳細な説明において、様々な特徴は、本開示を簡素化すべく、共にグループ化されてもよい。これは、特許請求の範囲で記載されていない開示された特徴が、いずれの請求項においても不可欠であるということを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ないところにあってもよい。従って、以下の複数の請求項は、各請求項が別個の実施形態として独立し、本明細書によって詳細な説明の中に組み込まれている。そのような複数の実施形態は、様々な組み合わせ又は置き換えにおいて、互いに組み合わされ得ると想定される。本発明の範囲は、そのような複数の請求項が権利を与えられる複数の等価物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
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