特許第6243927号(P6243927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243927
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20171127BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   G01B21/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-556495(P2015-556495)
(86)(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公表番号】特表2016-513276(P2016-513276A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2014052355
(87)【国際公開番号】WO2014122223
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】61/762,654
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】コックス,ヘンリカス ヘルマン マリエ
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/081215(WO,A1)
【文献】 特開2009−253287(JP,A)
【文献】 特開2012−138621(JP,A)
【文献】 特開2006−191084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1稼働領域におけるオブジェクトの位置を決定する第1位置測定構成及び第2稼働領域における前記オブジェクトの位置を決定する第2位置測定構成を備える位置測定システムと、
前記オブジェクトの位置を制御する制御ユニットであって、前記制御ユニットは前記第1稼働領域における前記オブジェクトの位置を制御する第1コントローラ及び前記第2稼働領域における前記オブジェクトの位置を制御する第2コントローラを備え、前記第1及び第2コントローラは前記オブジェクトの位置を表す入力信号をそれぞれ第1及び第2制御信号に変換する、制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、前記第1及び第2稼働領域の重なり合う領域における前記オブジェクトの前記位置を制御する組み合わせられた制御信号を決定し、前記組み合わせられた制御信号は、前記第1及び第2制御信号に対して連続加重関数を適用することにより取得される、
位置制御システム。
【請求項2】
前記加重関数は、前記オブジェクトの前記位置又は前記オブジェクトのセットポイントの関数である、請求項1に記載の位置制御システム。
【請求項3】
前記第1コントローラは、前記第1位置測定構成の位置信号を含む入力信号に基づき前記第1制御信号を決定する、請求項1に記載の位置制御システム。
【請求項4】
前記入力信号は、前記第1位置測定構成の位置信号を含む第1入力信号及び前記第2位置測定構成の位置信号を含む第2位置信号に対して前記連続加重関数を適用することにより取得される、請求項1又は2に記載の位置制御システム。
【請求項5】
前記位置測定システムは、2Dエンコーダターゲットと、前記2Dエンコーダターゲットと協働する複数のエンコーダヘッドと、を含むエンコーダベースの位置測定システムを備え、
前記入力信号は、前記複数のエンコーダヘッドの受信した位置信号に基づく、請求項1〜4のいずれか一項に記載の位置制御システム。
【請求項6】
前記第1コントローラは、前記第1稼働領域における前記オブジェクトの位置を制御し、前記第2コントローラは、前記第1及び第2稼働領域の両方における前記オブジェクトの位置を制御する、請求項に記載の位置制御システム。
【請求項7】
前記複数のエンコーダヘッドは、前記第1稼働領域において前記2Dエンコーダターゲットと協働する4つのエンコーダヘッドと、前記第2稼働領域において前記2Dエンコーダターゲットと協働する4つのエンコーダヘッドの3つのエンコーダヘッドのサブセットと、を備える、請求項5又は6に記載の位置制御システム。
【請求項8】
前記入力信号は、前記第1位置測定構成から取得した前記オブジェクトの位置を表す第1位置信号を含む第1入力信号及び前記第2位置測定構成から取得した前記オブジェクトの位置を表す第2位置信号を含む第2入力信号を含み、前記第1及び第2入力信号は前記第1及び第2コントローラのそれぞれに提供される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の位置制御システム。
【請求項9】
前記入力信号は、前記第1位置測定構成から取得した前記オブジェクトの位置を表す第1位置信号を含む第1入力信号及び前記第1信号と前記第2位置測定構成から取得した前記オブジェクトの位置を表す第2位置信号に前記連続加重関数を適用することにより取得した加重位置信号を含む第2入力信号を含む入力信号であって、前記第1及び第2入力信号はそれぞれ前記第1及び第2コントローラに提供される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の位置制御システム。
【請求項10】
放射ビームを調節する照明システムと、
パターニングデバイスを支持するサポートであって、前記パターニングデバイスはパターン形成された放射ビームを形成するために前記放射ビームの断面にパターンを付与することができる、サポートと、
基板を保持する基板テーブルと、
前記基板のターゲット部分上に前記パターン形成された放射ビームを投影する投影システムと、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の位置制御システムと、を備え、
前記オブジェクトは、前記サポート又は前記基板テーブルを備える、
リソグラフィ装置。
【請求項11】
放射ビームを調節する照明システムと、
パターニングデバイスを支持するサポートであって、前記パターニングデバイスはパターン形成された放射ビームを形成するために前記放射ビームの断面にパターンを付与することができる、サポートと、
基板を保持する基板テーブルと、
前記基盤のターゲット部位上に前記パターン形成された放射ビームを投影する投影システムと、
前記基板テーブルの位置を制御する位置制御システムであって、前記位置制御システムは、
第1稼働領域において前記基板テーブルの位置を決定する第1位置測定構成及び第2稼働領域において前記基板テーブルの位置を決定する第2位置測定構成を備える位置測定システムと、
前記基盤テーブルの位置を制御する制御ユニットであって、前記制御ユニットは前記第1稼働領域における前記オブジェクトの位置を制御する第1コントローラ及び前記第2稼働領域における前記オブジェクトの位置を制御する第2コントローラを備え、前記第1及び第2コントローラは前記基盤テーブルの位置を表す入力信号をそれぞれ第1及び第2制御信号に変換する、制御ユニットと、を備える位置制御システムと、を備え、
前記制御ユニットは、前記第1及び第2稼働領域の重なり合う領域における前記オブジェクトの前記位値を制御する組み合わせられた制御信号を決定し、前記組み合わせられた制御信号は前記第1及び前記第2制御信号に連続加重関数を適用することにより取得される、
リソグラフィ装置。
【請求項12】
前記第1位置測定構成は、エンコーダベースの位置測定構成を備え、前記第2位置測定構成は、干渉計ベースの位置測定構成を備える、請求項11に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記位置測定システムは、前記基盤テーブルに設けられた2Dエンコーダターゲットと、前記2Dエンコーダターゲットと協働するための前記装置の実質的に静止したフレームに設けられる複数のエンコーダヘッドと、を含むエンコーダベースの位置測定システムを備え、前記入力信号は前記複数のエンコーダヘッドの受信した位置信号に基づく、請求項11に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
パターン形成された放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法であって、
前記基盤の位置決めは請求項10〜13のいずれか一項に記載のリソグラフィ装置を使用して実施される、デバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[001] 本出願は、2013年2月8日に出願されその全体が参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第61/762,654号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[002] 本発明は、位置制御システム、リソグラフィ装置、及びデバイス製造方法に関する。
【0003】
[003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、又は1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、及び放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行又は逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。製造された集積回路が確実に適切な稼働を行うようにするには、基板のターゲット部位上へのパターンの正確な転写(特に集積回路の下層におけるパターンの位置に対して)が必要とされる。さらには、スループット(すなわち、単位時間ごとにおける処理された基板の数)に対する高い性能も等しく望ましい。このため、これらの要求を満たすため、パターニングデバイス(又は装置の投影システム)に対する基板の位置決めのために高性能の位置制御システムが必要とされる。典型的には、エンコーダベースの位置測定システム又は干渉計ベースの位置測定システムあるいはそれらの組み合わせが適用される。さらには、基板はリソグラフィ装置を通じて様々な処理を経ることから、基板が設けられる基板テーブルによって覆われた稼働領域の全体は、基板の露光中に使用される稼働領域と比べて比較的大きい。制約(特に、製造上の制約又はコストの制約)により、全体的な稼働領域にわたって異なる位置測定システム又は同様の位置測定システムの異なる構成が適用される。そのような異なる位置測定システム又は位置測定システムの異なる構成への対処のために、位置制御システムの位置コントローラの帯域幅に悪影響が出る可能性があり、それによりコントローラの性能に悪影響が出る可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[004] 特に、基板の露光プロセス中覆われている稼働領域において、性能の向上を可能にする位置制御システムを設けることが望ましい。そのため、本発明の一実施形態において以下の位置制御システムが設けられている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[005] 第1稼働領域におけるオブジェクトの位置を決定するように配置された第1位置測定構成及び第2稼働領域におけるオブジェクトの位置を決定するための第2位置測定構成を備える位置測定システムと、
【0006】
[006] オブジェクトの位置を制御するための制御ユニットであって、制御ユニットは第1及び第2コントローラを備え、コントローラはオブジェクトの位置を表す入力信号をそれぞれ第1及び第2制御信号に変換するように配置される制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、第1及び第2稼働領域の重なり合う領域におけるオブジェクトの位置を制御するための組み合わせられた制御信号を決定するように配置され、それにより組み合わせられた制御信号は、第1及び第2制御信号に対して連続加重関数を適用することにより取得される、位置制御システム。
【0007】
[007] 本発明の別の実施形態では、以下のリソグラフィ装置が設けられている。
【0008】
[008] 放射ビームを調節するように構成された照明システムと、
【0009】
[009] パターニングデバイスを支持するように構築されたサポートであって、パターニングデバイスはパターン形成された放射ビームを形成するために放射ビームの断面にパターンを付与することができる、サポートと、
【0010】
[0010] 基板を保持するように構築された基板テーブルと、
【0011】
[0011] 基板のターゲット部分にパターン形成された放射ビームを投影するように構成された投影システムと、位置制御システムと、を備え、位置制御システムは、
【0012】
[0012] 第1稼働領域においてオブジェクトの位置を決定するように配置された第1位置測定構成及び第2稼働領域においてオブジェクトの位置を決定する第2位置測定構成を備える位置測定システムと、
【0013】
[0013] オブジェクトの位置を制御するための制御ユニットであって、制御ユニットは第1及び第2コントローラを備え、コントローラはオブジェクトの位置を表す入力信号をそれぞれ第1及び第2制御信号に変換するように配置される制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、第1及び第2稼働領域の重なり合う領域におけるオブジェクトの位置を制御するための組み合わせられた制御信号を決定するように配置され、それにより組み合わせられた制御信号は、第1及び第2制御信号に対して連続加重関数を適用することにより取得される、位置制御システム。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
図1】[0015] 本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
図2】[0016] 本発明の一実施形態により位置制御システムにおいて適用可能な制御方式を概略的に示す。
図3a】[0017] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な位置測定システムを概略的に示す。
図3b】[0017] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な位置測定システムを概略的に示す。
図3c】[0017] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な位置測定システムを概略的に示す。
図3d】[0017] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な位置測定システムを概略的に示す。
図3e】[0017] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な位置測定システムを概略的に示す。
図4a】[0018] 異なる位置測定構成が考慮された場合に観測される開ループ周波数特性間の差を概略的に示す。
図4b】[0018] 異なる位置測定構成が考慮された場合に観測される開ループ周波数特性間の差を概略的に示す。
図5】[0019] 本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
図6a】[0020] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な別の位置測定システムを概略的に示す。
図6b】[0020] 本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて適用可能な別の位置測定システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0021] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば紫外線又はその他の適切な放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)IL、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1位置決めデバイスPMに連結されているパターニングデバイスサポート又はサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを備える。このリソグラフィ装置は、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板サポート」をも備える。このリソグラフィ装置は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSをも備える。
【0016】
[0022] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、かつ/又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0017】
[0023] サポート構造は、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」又は「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0018】
[0024] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0019】
[0025] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0020】
[0026] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用又は真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、及び静電型光学系、又はそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0021】
[0027] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述の型のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、又は反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0022】
[0028] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル又は「基板サポート」(及び/又は2つ以上のマスクテーブルあるいは「マスクサポート」)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル又はサポートは並行して使うことができ、又は予備工程を1つ以上のテーブル又はサポート上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブル又はサポートを露光用に使うこともできる。
【0023】
[0029] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用され得る。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0024】
[0030] 図1aを参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SO及びイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0025】
[0031] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性及び強度分布をもたせることができる。
【0026】
[0032] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決めデバイスPM及び別の位置センサ(図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後又はスキャン中に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。
【0027】
[0033] 本発明の一実施形態によると、パターニングデバイス(MA)及び/又は基板Wの位置は、位置制御システムを使用して制御され、そのような位置制御システムは上述の位置センサ及び例えば、上述の第1又は第2位置決めデバイスなどの位置決めデバイスを制御するための制御信号を生成するための制御ユニットCOなどの位置測定システムを備える。本発明の一実地形態によると、位置制御システムに適用された位置測定システムは、第1稼働領域においてパターニングデバイスMA又は基板Wを支持しているオブジェクトテーブルなどのオブジェクトの位置を決定するように配置された第1位置測定構成及び、第2稼働領域におけるオブジェクトの位置を決定するための第2位置測定構成を備える。本発明の一実施形態によると、第1及び第2位置測定構成は、異なるタイプの位置センサ(例えば、干渉計ベースのシステム及びエンコーダベースのシステムの組み合わせ)を使用、又は同じタイプの位置センサの異なる構成を含むことができる。後者の例としては、基板ステージの位置は、例えば、ターゲット(例えば、一つ以上の1D又は2D格子)及びターゲットと協働するための複数のエンコーダヘッド又はセンサを含むエンコーダベースの位置測定システムを使用して決定することができる。そのような配置では、第1位置測定構成は、例えば(複数のエンコーダヘッドのうちの)エンコーダヘッドの第1セットを含むことができる一方で、第2位置測定構成は異なるエンコーダヘッドの第2セットを含むことができる。
【0028】
[0034] 一般的には、基板テーブル又はサポート構造などのオブジェクトテーブル(例えば、マスクテーブル)は、リソグラフィ装置内において比較的広い稼働領域にわたり移動をする必要があることに留意されたい。製造上の制約(例えば、エンコーダベースの測定システムのターゲット格子の利用可能なサイズに関する制限)又は費用上の制限のため、稼働領域全体を覆うためには異なる領域においては異なる測定構成を使用することが望ましい。
【0029】
[0035] 単なる例として、異なる領域とは、例えば、基板が露光される第1領域、基板の高さマップが生成される第2領域、及び第2領域から第1領域に基板が移動する際に覆われる搬送領域を含み得る。そのような配置においては、位置測定システムは例えば、第1領域にある場合においては基板の位置を測定するためにエンコーダベースの位置測定システム(第1位置測定構成として)を含むことができ、搬送領域にある場合においては基板の位置を測定するために干渉計ベースの位置測定システムを含むことができる点に留意されたい。代替的には、搬送領域においては、例えばターゲットとしてより低い解像度の格子を有するエンコーダベースの測定システムもまた第2位置測定構成として適用可能であることに留意されたい。
【0030】
[0036] このような異なる位置測定構成が適用された場合には、第1位置測定構成を使用しての稼働から第2位置測定構成を使用しての稼働へ移行する際には注意が必要である。
【0031】
[0037] 米国特許出願公開第2009/027907号では、第1エンコーダヘッドを使用しての稼働から第2エンコーダヘッドを使用しての稼働への移行の間、ステージ又はオブジェクトテーブルの位置を制御するために使用されるコントローラに対する入力信号を生成するためにエンコーダヘッド又はセンサから取得した位置信号に加重関数が適用することが提案される。
【0032】
[0038] しかしながら、本発明の一実施形態によると、オブジェクトの位置を決定するために異なる構成を有する位置測定システムが使用された場合においては、重要な性能の向上が、オブジェクトの位置を制御するように制御ユニットCO(図1を参照)に複数のコントローラが適用された際に実現可能であると認識されている。このことは以下のように理解される。オブジェクト、特に露光シークエンス中のリソグラフィ装置における基板の位置を正確に制御するためには、比較的高い帯域幅を有するコントローラが適用されることが望ましい。本発明においては、「コントローラ」という用語は、オブジェクトの位置を表す入力信号又はオブジェクトの位置誤差を制御信号に変換するコンポーネントを表すために使用されるのであって、制御信号は、オブジェクトが望ましい軌道を可能な限り正確に辿るように、例えば、オブジェクトを移動させるよう配置されたアクチュエータ又はモータを制御するために使用可能である。この点で、高い帯域幅を有するコントローラは位置誤差、すなわち所望の位置と実際の位置との間の違いに対して比較的速い反応を可能とすることから、比較的高い帯域幅を有するコントローラは、この目的の達成に役立つということが言える。
【0033】
[0039] しかしながら、オブジェクトの位置を制御するためのコントローラであって、オブジェクトの位置が特定の位置測定システムを用いて又は特定の位置測定構成を用いて測定されるコントローラを設計する場合には、コントローラが稼働領域内で確実に安定を保つことができるように注意を払うべきである。特に、実行可能な帯域幅は位置測定システムによって、あるいはより具体的には特定の位置測定構成によって観察されたオブジェクトの開ループ機械的性質に依存するものである。この点で、異なる位置測定構成が適用される場合においては、異なる構成によって観察されたように開ループ機械的挙動(又は開ループ周波数特性)において重要なバリエーションが観察可能であることが観察された。一例(以下に詳細に説明される)として、使用される位置測定構成によっては、開ループ周波数特性において特定の変形又は固有周波数又は固有モードは、視認可能又は視認不可であり得る。このように、所与の開ループ周波数特性に対するコントローラを設計する場合には、そのようなコントローラは最適な帯域幅を有するように開ループ周波数特性に対応するべきである。稼働領域において、異なる開ループ周波数特性を有する構成である異なる位置測定構成が使用される場合においては、あらゆる異なる位置測定構成との組み合わせで十分な安定余裕を有して稼働するように設計された一つのコントローラの設計は、特定の位置測定構成との組み合わせのみで使用するように対応するコントローラと比較して、比較的性能の悪いコントローラをもたらす。
【0034】
[0040] つまりは、上記例を参照するに、リソグラフィ装置の露光領域における稼働用にコントローラが最適化され、それによってエンコーダベースの位置測定システムの位置信号を含む入力信号を受信する場合には、コントローラは、異なる測定構成を使用して観察された開ループ周波数特性における大きな違いが原因となって、別の位置測定構成が使用されている搬送領域におけるオブジェクトの位置の制御には適さない(すなわち、安定が不十分)可能性がある。そのため、そのような一つのコントローラが両方の位置測定構成(露光領域及び搬送領域の両方にある)との組み合わせにおいて安定である必要がある場合には、コントローラは一つの位置測定構成との組み合わせにおいてのみ安定である必要がある最適化されたコントローラと比較して比較的低い帯域幅を有し得る。
【0035】
[0041] 比較的低い帯域幅を有するコントローラの使用が必要となることを回避するために、本発明の一実施形態の制御ユニットは異なる稼働領域においていくつかのコントローラの使用を提供し、それにより(特定の位置測定構成が使用される)一つの稼働領域から(別の位置測定構成が使用される)別の稼働領域への搬送中に円滑な移行が提供される。特には、本発明の一実施形態による位置制御システム又はリソグラフィ装置において使用される制御ユニットは、少なくとも第1及び第2コントローラを備え、コントローラはオブジェクトの位置を表す入力信号をそれぞれ第1及び第2制御信号に変換するように配置され、制御ユニットは(位置測定システムの第1位置測定構成が使用される)第1稼働領域及び(位置測定システムの第2位置測定構成が使用される)第2稼働領域の重なり合う領域におけるオブジェクトの位置を制御するための組み合わせられた制御信号を決定するように配置され、従って組み合せられた制御信号は、第1及び第2制御信号に連続加重関数を適用することによって取得される。こうすることにより、第1稼働領域における使用に最適化されている可能性のある第1コントローラを使用した稼働から、第1及び第2稼働領域の両方における稼働に適しているより頑強で包括的なコントローラである第2コントローラを使用した稼働への円滑な移行が実現される。この場合、「包括的」とはコントローラが第1及び第2稼働領域の両方において稼働するよう設計されていることを示すように使用される。そのようなコントローラは一般的には、異なる稼働領域において異なる安定性要件を満たす必要性があるため、より頑強である。
【0036】
[0042] 本発明の一実施形態によると、第1コントローラを使用した稼働から第2コントローラを使用した稼働への移行(あるいはその逆)は、第1及び第2稼働領域の重なり合う領域において生じることに留意されたい。この点で特筆すべきことは、そのような重なり合う領域が存在せず、すなわちゼロである場合には、コントローラ間のハードスイッチングが必要であることである。発明者らは、そのような即時的なハードスイッチングは大きな位置誤差をもたらすことを指摘している。リソグラフィ装置において適用する場合には、そのような位置誤差は露光シークエンスの開始前までに解決されないことから、露光性能を低下させる。
【0037】
[0043] 複数のコントローラの使用及び言及された異なるコントローラ間の移行の結果、第1稼働領域における使用に最適化され得る(そのため、第2稼働領域においては安定している必要はない)第1コントローラは、第1及び第2領域の両方において安定である必要性のある第2コントローラよりも高い帯域幅を有することができる。
【0038】
[0044] 通常、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWT又は「基板サポート」の移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、又は固定されてもよい。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1及びM2と、基板アライメントマークP1及びP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0039】
[0045] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0040】
[0046] 1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」及び基板テーブルWT又は「基板サポート」を基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWT又は「基板サポート」は、X及び/又はY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0041】
[0047] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」及び基板テーブルWT又は「基板サポート」を同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」に対する基板テーブルWT又は「基板サポート」の速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン稼働の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0042】
[0048] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT又は「マスクサポート」を基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWT又は「基板サポート」を動かす、又はスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWT又は「基板サポート」の移動後ごとに、又はスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この稼働モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0043】
[0049] 上述の使用モードの組合せ及び/又はバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0044】
[0050] 図2では、本発明の一実施形態による位置制御システムの制御方式が概略的に示されている。制御方式では、Pは制御されている処理、例えばリソグラフィ装置におけるオブジェクトテーブルの位置を表している。信号100は、制御される処理のセットポイント、例えばオブジェクトテーブルの望ましい位置又は軌跡を表している。
【0045】
[0051] 実際の状態、例えばオブジェクトテーブルの位置を表しているフィードバック信号110はフィードバックされ、セットポイント100と比較される。セットポイント100及び実際の値110との間の差は入力信号105として第1C1及び第2C2コントローラに提供される。次に、コントローラの出力信号、すなわち第1CS1及び第2CS2出力信号は加重され(加重関数αとして表される)プロセスPのために組み合わせられた制御信号CCSを形成するために組み合わせられる。本発明の一実施形態によると、加重関数αは連続関数であり、そのため第1コントローラC1及び第2コントローラC2を使用した稼働間の円滑な移行を可能とする。
【0046】
[0052] 本発明の一実施形態によると、第1コントローラC1を使用してオブジェクトの位置を制御すること(図2に示されるプロセスPによって表される)からコントローラC2を使用して位置を制御すること(あるいはその逆)への移行は、オブジェクトの二つの稼働領域の重なり合う領域において実施され、従って2つの稼働領域において異なる位置測定構成が適用されるあるいは適用可能である。異なる位置測定構成及び稼働領域に関するさらなる詳細は以下に記載される。そのため、フィードバック信号110は、本発明の一実施形態による位置制御システムにおいて、オブジェクトの位置を表す位置信号を有する。前述のとおり、移行が生じる重なり合う領域では異なる位置測定構成が利用可能である。そのため、フィードバック信号はいずれかの位置測定構成又はそれらの組み合わせからの位置測定信号を有し得る。一実施形態では、コントローラC1及びC2の両方が同じ位置測定信号を使用する必要性はない点に留意されたい。オブジェクトの二つの稼働領域の重なり合う領域において、組み合わせられた制御信号CCSは、コントローラC1及びC2のそれぞれの出力信号CS1及びCS2の加重組み合わせとして生成される。本発明の一実施形態によると、加重された組み合わせられた制御信号CCSは処理P、例えばオブジェクトテーブルなどのオブジェクトの位置決めを制御するために使用される。そのため、組み合わせられた制御信号は以下のように表すことができる。
【数1】

αは、適用された加重関数である。一般的には、αは0から1の値の間で連続的に変動し得る。一実施形態では、加重関数αはオブジェクトの位置の関数として決定される。そのような実施形態では、加重関数αの実際の(すなわち、所与の位置の)値は、オブジェクトの位置を表す位置信号を含むフィードバック信号110から決定され得る。代替的には、セットポイント100はαの実際の値を決定するための入力として使用され得る。そのため、一実施形態では、加重係数αは、加重信号120に基づき、加重信号120はオブジェクトの実際の位置を表し得るか(そのため、フィードバック信号110から導き出される)あるいは、例えばセットポイント100によって表されるオブジェクトの所望の位置を表し得る。
一実施形態では、セットポイント100から(入力信号105を得るために)減算され得るフィードバック信号110は、プロセスPの第1位置測定構成から取得されるオブジェクトの位置を表す第1位置信号及び第2位置測定構成から取得されるオブジェクトの位置を表す第2位置信号を有し得、従って第1及び第2位置信号は、セットポイント100からの減算の後で各第1及び第2コントローラに各第1及び第2入力信号として提供され得る。そのため、そのような実施形態では、各コントローラには特定の位置測定構成から取得した自身の入力信号が提供される。
【0047】
[0053] 代替としては、一つ以上のコントローラには、第1位置測定構成から取得した第1位置信号に加重することによって取得した加重入力信号及び第2位置測定構成から取得した第2位置信号が提供され得る。一例としては、例えばコントローラC2のようなより頑強なコントローラに加重入力信号が提供可能であり、そのためそのような配置では、入力信号はプロセスPの第1位置測定構成から取得したオブジェクトの位置を表す第1入力信号ならびに第1位置信号及び第2位置測定構成から取得したオブジェクトの位置を表す第2位置信号に連続加重関数αを適用することにより取得した加重位置信号を含む第2入力信号を含み、第1及び第2入力信号はそれぞれ第1(C1)及び第2(C2)コントローラに提供される。
【0048】
[0054] 本発明の一実施形態では、第1コントローラを使用してオブジェクトの位置を制御することから第2コントローラを使用してオブジェクトの位置を制御することへの移行は、特定の稼働領域に適用するためのより性能のよいコントローラを可能にするためになされる。本発明の一実施形態において提示されるような移行を使用すれば、第1稼働領域外では第2のより頑強なコントローラが位置制御を引き継ぐことができることから、例えば第1稼働領域で所望される高性能コントローラは、第2稼働領域において安定である必要はない。そのような頑強なコントローラは第1稼働領域、第2稼働領域及び重なり合う領域に対して安定である。発明者らが考案したように、コントローラの設計において利用可能な選択肢は、コントローラが適用される必要性がある稼働領域全体において満たされる必要性のある安定性に関する条件によって制限され得ることに留意されたい。安定条件は、制御されるシステム又はプロセスの開ループ周波数特性に依存して実質上変動し得ること及び位置制御システムの場合においてはそのような開ループ周波数特性は利用可能な位置測定システムに依存することが発明者らによって指摘されている。そのため、比較的大きな稼働領域を覆うために、異なる位置測定システム又は構成の使用が必要とされる場合には、異なる安定条件又は要件を満たすことが必要となる。これらすべての条件が単一のコントローラによって満たされなければいけないのであれば、そのようなコントローラは、単一の位置測定構成が使用可能な稼働領域の一部においてのみ安定である必要性のあるコントローラと比較して、例えば帯域幅に関しては性能が低減され得る。例えばリソグラフィ装置の露光領域などの対象となる特定の稼働領域において専用のコントローラ、例えばより広い帯域幅を有するコントローラが適用可能である場合には重要な性能向上が実現され得る。
【0049】
[0055] 次の図では、上述の記載がエンコーダベースの位置測定システムのために示されており、そのためオブジェクトの位置に依存して異なる位置測定構成が利用可能である。
【0050】
[0056] 図3aでは、リソグラフィ装置において露光シークエンス中に基板が設けられたオブジェクトテーブルの位置決めのために使用可能な2Dエンコーダ格子300の平面図が概略的に示される。図示されるように、各クォッドラントでは、格子は4つの個別の格子から成り(例えば、右上のクォッドラントにおいては格子301、302、303及び304)、各格子には例えば、エンコーダヘッドから生じる測定ビームのターゲットとして使用可能な2Dパターンが設けられ得る。ターゲット格子をそのような分離した形状で設ける理由として製造上の制限があげられることに留意されたい。そのため、一つの格子のサイズよりも大きな領域を覆うためには、複数の格子が互いに隣り合わせで配置され得る。示される配置では、投影ビームが基板に向かって通過することを可能にするために格子アセンブリの中心部分は開放されたままであることに留意されたい。
【0051】
[0057] 図3bでは、エンコーダセンサ(エンコーダヘッド又はエンコーダとも称される)が搭載されたオブジェクトテーブルの概略平面図が示されている。示された配置において、オブジェクトテーブルは4つのメインエンコーダ(311、312、313、314)及び4つの補助エンコーダ(321、322、323、324)を備えている。
【0052】
[0058] 図3cでは、図3aの格子配置が図3bのオブジェクトテーブルとともに示されている。
【0053】
[0059] 示されるように、オブジェクトテーブルが格子に対する中心位置あるいは中心領域にある場合には、4つのメインエンコーダのセットは、例えば図2aにおいて示されるようなフィードバック信号110などのコントローラに対するフィードバック信号として使用され得る位置信号を提供するために使用されることができる。一例として、4つのメインエンコーダのそれぞれは例えばメインエンコーダが稼働可能な際に6DOF(自由度)におけるオブジェクトテーブルの位置を決定するために十分な情報を提供するように2D位置信号(例えばX,Z又はY,Z位置信号)を提供するように構成され得る。所与の配置に関して、6DOFにおけるオブジェクトテーブルの位置を決定するために3つのメインエンコーダ又は3つの補助エンコーダのいずれかから信号を回収することが妥当である可能性があり得ることに留意されたい。
【0054】
[0060] 異なる格子セグメントと格子がない中心部分との間の空隙のために、オブジェクトテーブルが中心部分又は中心領域から離される場合には、4つのメインエンコーダの全てがエンコーダ格子に面し得ることはない。
【0055】
[0061] 一例として、図3dに示される位置では、一つのメインエンコーダは格子に面しており他のメインエンコーダは格子間の空隙に面しているか、又は格子がない中心部分に面している。
【0056】
[0062] 所与の位置に関して、3つの補助エンコーダのセットは格子に面しており、そのためオブジェクトテーブルの6DOFでの位置を決定するために必要な位置信号を提供し得る点について留意されたい。そのため、補助エンコーダの使用により、当業者は4つのメインエンコーダのすべてが稼働していない(すなわち、すべてが位置信号を提供するために格子に面してはいない)場合には、3つのメインエンコーダあるいは4つ又は3つの補助エンコーダのいずれかである別のエンコーダセットが位置信号を提供するために利用可能であり、それにより6DOFでのオブジェクトテーブルの位置の決定が可能となることを確実にすることができる。格子のレイアウト(図3a参照)及びオブジェクトテーブル上のエンコーダのレイアウト(図3b参照)により、当業者は格子と協働するために特定のエンコーダのセットが利用可能な境界又は領域を立案することができる。
【0057】
[0063] 図3eでは、これらの境界/領域は図3aの格子レイアウト上に投影され(点線で)概略的に示される。
【0058】
[0064] 各領域では、少なくとも3つのエンコーダのセット、すなわち3つの補助エンコーダ又は3つのメインエンコーダのセットのいずれかが利用可能である。中心の実質的に円形の領域390では、4つのメインエンコーダが利用可能である。
【0059】
[0065] この中心領域は、基板の露光中にオブジェクトテーブルにより覆われた領域を含むという点で特に注目されることに留意されたい。
【0060】
[0066] 上述の記載から明らかであるように、そのため当業者は所与のエンコーダ及びターゲット構成に対して、オブジェクトテーブルの位置の決定のために異なるエンコーダ−格子組み合わせ、一般的には位置測定構成が、利用可能である異なる領域を特定することができる。
位置測定システム、すなわち上述のエンコーダ−格子構成によって、本発明は以下のように有益に適用可能である。
【0061】
[0067] 本発明の一実施形態は、第1コントローラを使用してオブジェクト(例えば、リソグラフィ装置において使用されるオブジェクトテーブル)の位置を制御することから第2コントローラを使用してオブジェクトの位置を制御することへの移行を可能にする。図3a〜3eで説明された配置を参照するに、本発明の一実施形態による位置制御システムはそのため4つのメインエンコーダを使用した位置測定から取得した位置フィードバックに基づいたオブジェクトテーブルの位置を制御するように構成された第1コントローラを備え得る。位置制御システムは、4つのメインエンコーダ又は3つのメインエンコーダあるいは3つ又は4つの補助エンコーダを使用した位置測定から取得した位置フィードバックに基づいたオブジェクトテーブルの位置を制御するように構成された第2コントローラをさらに備え得る。
【0062】
[0068] 以下の図では、正常、すなわち安定な稼働を確実にするためには、第2コントローラは、該コントローラに対して実現可能な帯域幅に影響し得る追加要件を満たす必要があることを示す。これは、第2コントローラは上述のような異なる位置測定構成に対して安定性を保つ必要性があることに起因する。
【0063】
[0069] これは、上述されたような異なる位置測定構成に対するオブジェクトテーブルの開ループ周波数特性を考慮することにより説明し得る。
【0064】
[0070] 図4aでは、4つのメインエンコーダ、3つのメインエンコーダ及び3つの補助エンコーダが利用可能な3つの異なる位置測定構成に関して、水平Y方向に対する開ループ周波数特性(周波数の関数としての大きさ及び位相)が概略的に示される。グラフの比較により、周波数特性が異なることが理解される。図4aに示される特性に関して、4つのメインエンコーダ及び3つのメインエンコーダに関するグラフが重なり合う点に留意されたい。示される構成に関して、4つ又は3つのメインエンコーダを有する位置測定構成は特定の周波数範囲、例えば2600Hz近くにおいて異なるゲイン及び/又は位相を有し得る。さらには、4000Hz範囲付近では異なる周波数成分が観察される。
【0065】
[0071] 図4bでは、図4aにおける構成と同じ構成、すなわち4つのメインエンコーダ、3つのメインエンコーダ及び3つの補助エンコーダが利用可能な位置測定構成に関して垂直Z方向に対する開ループ周波数特性が示される。
【0066】
[0072] 開ループ特性において観察されるように、3つのエンコーダのみが利用可能な構成においては、1100Hz範囲付近ではねじり変形モードが見られる。さらには、メインエンコーダが4つの構成をメインエンコーダが3つの構成と比較した場合には、3000Hz付近では異なる周波数成分が観察される。3つにエンコーダにのみ基づく位置フィードバック信号を受信するコントローラにおいて十分な安定余裕を確保するために第2コントローラの帯域幅は4つのメインエンコーダの位置フィードバック信号に基づいてのみ稼働する必要性のあるコントローラの利用可能帯域幅よりも小さく、これは、例えば、第2コントローラに適用する必要性が生じ得る所要の追加フィルタリングに基づく。
【0067】
[0073] 特定の位置測定システムに関して、発明者らは第2コントローラ、すなわちすべての位置測定構成と共に稼働するのに適しているコントローラは、メインエンコーダが4つの構成と共に稼働することにのみ適する必要性のある第1コントローラの帯域幅よりも、X、Y及びZ方向において20%小さい帯域幅を有する。
【0068】
[0074] そのような帯域幅の削減は、実現可能な位置正確度に重要な影響を及ぼす。理論的には、外乱によるサーボ誤差は低周波に対しては帯域幅の3乗に比例し、帯域幅付近の周波に対してサーボ誤差は帯域幅の2乗に比例する。
【0069】
[0075] リソグラフィ装置は、基板位置決め誤差の動的性能指数としては、移動平均(MA)及び移動標準偏差(MSD)を使用するよう適応されている。帯域幅の削減は特にMA指数に対して影響を及ぼすものであり、帯域幅における20%の削減は、MA指数(オーバーレイ又は焦点誤差に強く関連する)の約1.6の増加に繋がり得る。
【0070】
[0076] そのため、性能の重要なゲインは、第1コントローラが対象の領域、すなわち基板の露光中に覆われる領域に適用可能な場合に実現可能である。これを実現するために、図3eに示される実質的に円形の領域390は、処理される基板の半径よりも大きいあるいは同様の半径を有する。より望ましいのは、その領域は処理される基板の半径よりも少なくとも15mm大きい半径を有することである。
【0071】
[0077] 典型的な例としては、225mmの半径を有する基板が考えられる。そのような例では、位置測定システム、特に格子及びエンコーダレイアウトは、4つのメインエンコーダが利用可能な領域は、例えば240又は245mmの半径を有するように設計され得る。この半径外では、4つのメインエンコーダは利用ができなくなり、3つのメインエンコーダあるいは3つ又は4つの補助エンコーダのサブセットのみが利用可能となる。そのような構成を想定するに、半径R(225>R>240)を有する領域はそのため第2コントローラの制御下で稼働することから第1コントローラの制御下で稼働することへの移行を実現するために用いることができる。そのような状況は、例えば基板の端付近のターゲット部分(又はダイ)が露光される必要がある場合に起こり得る。そのような状況では、オブジェクトテーブルは、4つのメインエンコーダが利用可能な領域(例えば、半径R=250mmの領域)の外の位置から始まるターゲット部分の露光シークエンス(加速ステージ、露光実施中の等速ステージ及び減速ステージを含む露光シークエンス)を開始することができる。そのような稼働点では、第2のより頑強なコントローラが稼働可能となる。4つのメインエンコーダが利用可能となる位置に到達すると、第2コントローラの制御下で稼働することから第1コントローラの制御下で稼働することへの円滑な移行が起こる。そのような移行の間、第1及び第2コントローラの出力信号は連続加重関数を使用して組み合わせられる。一例として、加重関数は半径Rの関数として0から1の間で変動する線形又は多項式関数であってよい。一実施形態では、移行は基板の端に到達する前に完了される(すなわち、第1コントローラによる完全な制御に変わっている)。一例として、移行は半径R=240mmにおける位置及び半径R=230mmにおける位置の間で起こり得る。基板の端までの残りの距離により、コントローラの移行現象が収まることができる。その結果、オブジェクトが、基板の端が露光ビームの下にある位置、すなわちR=225にひとたび到達すると、オブジェクトは高帯域幅第1コントローラの正確な制御下にあることになる。
【0072】
[0078] 上述の位置制御システムは、上述のように基板ステージの位置を制御するためにリソグラフィ装置に適用され得る。
【0073】
[0079] 図5では、そのような配置が概略的に示される。図5では、本発明の一実施形態による位置制御システムの一実施形態が概略的に示され、位置制御システムは、位置制御システムの制御ユニット550に位置信号510を提供するための、エンコーダ(エンコーダヘッド又はセンサ)200.1、200.2と協働する複数のエンコーダ格子300を備える位置測定システムを備える。示される配置では、格子300は測定システムの共通フレーム120(フレームは、例えばZerodur又は任意の他のタイプの低熱膨張材料から作られる)に設けられ、共通フレーム120は例えば、投影システムPS(図1参照)も設けられるメトロロジフレームMGなどの基準フレームRFに設けられることができる。示される実施形態では、センサ200.1及び200.2は、例えばリニアモータ又はリニアアクチュエータを使用して投影システムPSに対してオブジェクトテーブル210を移動するための位置決めデバイス220に設けられる、例えば基板テーブルであってよいオブジェクトテーブル210に設けられる。
【0074】
[0080] 稼働中、センサは制御ユニット550に信号510を提供することができ、信号は例えば、格子300に対するセンサ200.1の位置を表している。一般的には、位置信号は水平方向(X−Y平面において)又は垂直方向(Z方向において)、あるいはその組み合わせにおける位置を表し得ることに留意されたい。一実施形態では、オブジェクトテーブル210には4つのエンコーダセンサが設けられており、各センサは処理ユニットに2次元位置信号を提供するように配置されている。本発明の一実施形態によると、制御ユニット550は上述の第1及び第2コントローラを備える。
【0075】
[0081] 本発明の一実施形態は、異なる位置測定構成にも適用され得る。第1の例として、エンコーダベースの測定システムの上面図を概略的に示す図6(a)を参照されたい。システムは、例えば図1のメトロロジフレームMFなどの基準フレーム(図示されず)に設けられることが可能な4つのセンサアレイ400.1、400.2、400.3及び400.4(それぞれが複数のセンサ405を備える)ならびに基板430を保持するように配置された基板テーブルに設けられた4つの格子410.1〜410.4を備える。そのため図5の配置と比べると、格子はオブジェクトテーブルに設けられる。示される配置において4つのセンサアレイを使用することにより、ステージは、格子(ステージに設けられたもの)を比較的小さく維持しながらセンサの制御下にある比較的大きい稼働領域を覆うことができる。アレイのセンサのいずれかが、いずれかの格子の上にあるときは、位置信号を取得することができ、上述の記載と同様の方法で使用され得る。上述のように、4つのエンコーダの各セットは、6DOFにおける基板テーブルの位置を決定することを可能にし得る。4つのセンサの特定の組み合わせを使用した測定から4つのセンサの別の組み合わせを使用した測定への移行が行われた場合には、異なるセンサセットは本発明の一実施形態に適用された異なる位置測定構成として考慮され得ることに留意されたい。上記のごとく、異なる位置測定構成は、構成の異なる機械的レイアウトにより異なる開ループ周波数特性を誘発し得る。そのため、特定の位置測定構成あるいは同様の周波数特性を有し得るいくつかの位置測定構成の組み合わせに対して専用のコントローラを設計することが有益である。
【0076】
[0082] 図6(b)では、基板テーブル420の両側上に2つの格子410.1及び410.2のみが適用され、格子との協働のために2つのセンサアレイ400.1及び400.2のみが適用される代替的配置が示される。そのような配置では、格子は例えば2次元格子であってよく、センサは例えば処理ユニットに3次元位置信号(x、y、z)を提供するように配置される。示される配置は、液浸型リソグラフィ装置における使用に特に適しており、従って液浸液が格子上を通過することなく、投影システムの下からの基板テーブルの移動を実施することができる。図では、460で示された領域は例えば、使用中液浸液で覆われた投影システム(図示されず)の下の領域を示し得る。示されるように、y方向への基板テーブルの移動は、液浸液が格子に触れることなくテーブル420が液浸液から離れることを可能にする。投影システムから離れる際において基板テーブル上に位置情報を維持するためには、追加又はより大きいセンサアレイが例えば、適用され得ることに留意されたい。追加センサアレイは例えば、基板テーブルがY軸正方向に動かされる際には異なるy位置に位置付けられることができる。また、格子と協働する各別個のセンサ組み合わせは位置測定システムの別個の位置測定構成であると考えられてよく、別個の構成に対して専用のコントローラが適用され得る。
【0077】
[0083] 第2の例としては、広範囲におよぶ比較的大きい格子又はセンサアレイを適用することに代えて、基板テーブル420又は210には、干渉計ベースの位置測定デバイスの干渉計ビームに対するターゲット表面として作用する反射面が提供され得る。
そのため、本発明の一実施形態によると、位置制御システムの位置測定システムは例えば上述のようなエンコーダベースの配置を有する第1位置測定構成及び干渉計ベースの配置を有する第2位置測定構成を有し得る。あり得る用途としては、エンコーダベースの構成は例えば専用コントローラを使用した正確な位置決めが適用される露光領域において適用可能である一方で、例えば基板が測定ステーションから露光ステーションへ移動される際に覆われる領域である搬送領域においては、干渉計ベースの構成が、両方の測定構成の位置フィードバック信号を処理するように適応されたより頑強なコントローラと組み合わされて使用される。
【0078】
[0084] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツール及びその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0079】
[0085] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0080】
[0086] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、又は126nmの波長、又はおよそこれらの値の波長を有する)、及び極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0081】
[0087] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組合せを指すことができる。
【0082】
[0088] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、又はこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク)の形態であってもよい。
【0083】
[0089] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図5
図6(a)】
図6(b)】