(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被写体情報取得部は、前記撮像素子による撮像範囲を複数のブロックに分割して、前記ブロック毎に被写体距離を求め、前記各ブロックの被写体距離から前記主要被写体距離及び前記被写体距離差を求める請求項3に記載の撮影装置。
前記第2プログラム線図で前記第2露出量に対応するシャッタ速度は、前記第1プログラム線図の前記第1露出量に対応するシャッタ速度より速い請求項1〜4いずれか1項
に記載の撮影装置。
前記被写体情報取得部は、前記被写体情報として、前記被写体距離差に加えて、前記撮像信号に基づいて被写体の顔の有無を検出し、前記顔が検出された場合に前記顔の大きさを取得するものであり、
前記撮影露出決定部は、前記主要被写体距離が特定距離より小さく、且つ前記顔が検出され、前記顔の大きさが閾値以上であることを前記第1条件とする請求項2に記載の撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
図1に示すように、撮影装置10は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、撮影装置本体11と、撮影装置本体11に着脱可能に取り付けられる第1レンズ鏡筒12とを備える。第1レンズ鏡筒12は、アポダイゼーション(APD:Apodization)フィルタ26(
図2参照)を有するレンズ鏡筒である。
【0027】
撮影装置本体11には、操作部13が設けられている。操作部13には、電源ボタン13A、シャッタボタン13B、モード切替ダイヤル13C等が含まれている。電源ボタン13Aは、撮影装置10の電源をオン/オフする際に操作される。
【0028】
シャッタボタン13Bは、いわゆる「半押し」と「全押し」とを可能とする2段ストローク式のスイッチである。シャッタボタン13Bは、半押しされることによってS1オン信号を出力し、半押しから更に押し込む全押しが行われることによってS2オン信号を出力する。撮影装置10は、シャッタボタン13BからS1オン信号が出力されると自動焦点調節(AF:Auto Focus)制御や自動露出制御などの撮影準備処理を実行し、S2オン信号が出力されると撮影処理を実行する。
【0029】
モード切替ダイヤル13Cは、動作モードを切り替える。動作モードには、動画撮影モード、静止画撮影モード、及び再生モードがある。動画撮影モードでは、ライブビュー表示中にシャッタボタン13Bが全押しされることによって、動画撮影が行われる。静止画撮影モードでは、ライブビュー表示中にシャッタボタン13Bが全押しされることによって、静止画撮影が行われる。再生モードでは、メモリ46(
図2参照)に記憶された動画または静止画が表示部44(
図2参照)に再生表示される。ライブビュー表示では、画像を記録せずに、表示部44(
図2参照)にリアルタイムに画像表示が行われる。
【0030】
図2において、撮影装置本体11には、レンズ鏡筒取付部11Aが設けられている。レンズ鏡筒取付部11Aには、第1レンズ鏡筒12の基端部12Aが取り付けられる。レンズ鏡筒取付部11Aには、電気接点11Bが設けられている。電気接点11Bは、基端部12Aに設けられた電気接点12Bと接触することによって、撮影装置本体11と第1レンズ鏡筒12とを電気的に接続させる。
【0031】
また、撮影装置本体11には、APDフィルタ26を有する第1レンズ鏡筒12に代えて、APDフィルタ26を有しない第2レンズ鏡筒14が着脱可能とされている。第2レンズ鏡筒14は、基端部14Aが撮影装置本体11のレンズ鏡筒取付部11Aに取り付けられる。第1レンズ鏡筒12と同様に、第2レンズ鏡筒14の基端部14Aには、レンズ鏡筒取付部11Aの電気接点11Bと接触する電気接点14Bが設けられている。
【0032】
第1レンズ鏡筒12は、フォーカスレンズ20と、絞り22と、ID(Identification Data)記憶部24と、APDフィルタ26とを有している。第1レンズ鏡筒12の光軸LA上には、フォーカスレンズ20、絞り22、及びAPDフィルタ26が、被写体側からこの順に配置されている。光軸LAは、被写体からの入射光の光路に相当する。
【0033】
第2レンズ鏡筒14は、フォーカスレンズ20と、絞り22と、ID記憶部25とを有している。第2レンズ鏡筒14の光軸LA上には、フォーカスレンズ20及び絞り22が、被写体側からこの順に配置されている。
【0034】
フォーカスレンズ20は、被写体からの入射光を集光して結像する。また、フォーカスレンズ20は、後述する主制御部34の制御に基づいて、モータ28Aの駆動により光軸LA方向に移動し、撮影距離を調節する。モータ28Aは、ステッピングモータやサーボモータである。
【0035】
絞り22は、入射光の光量を調整する。絞り22は、後述する主制御部34の制御に基づいて、モータ28Bの駆動により複数枚の絞り羽根(図示せず)を移動させ、後述する撮像素子32への入射光量を変化させる。モータ28Bは、ステッピングモータやサーボモータである。
【0036】
ID記憶部24,25は、レンズ鏡筒の種類を特定するためのIDを記憶している。このIDは、後述する主制御部34によって、APDフィルタ26の有無を特定するために用いられる。第1レンズ鏡筒12のID記憶部24には、APDフィルタ26を有するという情報を含むIDが記憶されている。第2レンズ鏡筒14のID記憶部25には、APDフィルタ26を有しないという情報を含むIDが記憶されている。
【0037】
ID記憶部24に記憶されたIDは、撮影装置本体11と第1レンズ鏡筒12とが接続された場合に、電気接点11B,12Bを介して、撮影装置本体11に送信される。また、ID記憶部25に記憶されたIDは、撮影装置本体11と第2レンズ鏡筒14とが接続された場合に、電気接点11B,14Bを介して、撮影装置本体11に送信される。
【0038】
図3に示すように、APDフィルタ26は、光軸LAからの距離が大きくなるにつれて光透過率が低下するという光学特性を有する。APDフィルタ26は、像面での周辺光量は低下させずに、ピントの合っていないボケ像(点光ボケ等)に対してのみ周辺光量を低下させる。APDフィルタ26は、このような光学特性によって、ボケ像の輪郭にグラデーションを与え、美しいボケ味を実現するアポダイゼーション効果が得られる。
【0039】
APDフィルタ26は、絞り22の絞り値(F値)が開放値に近づくほど、減光量が大きくなる。F値は、絞り22の有効開口径で決まる絞り値であり、有効開口領域内の光透過率は考慮されていない。有効開口領域内の光透過率を考慮した実質的な絞り値はT値である。T値は、光透過率をPとすると、一般に式(1)で表される。
【0041】
式(1)の光透過率PにAPDフィルタ26の光透過率を適用すると、APDフィルタ26の光学特性を考慮したT値が得られる。T値とF値との関係は、
図4に示す曲線で表される。T値は、F値が開放値に近づくほどF値との差異が大きくなる。
【0042】
本実施形態では、APDフィルタ26は、F値が2.8を超えると減光量がほぼゼロとなり、F値が2.8以下の領域で減光効果が得られる。すなわち、アポダイゼーション効果が得られるF値の閾値Fthは、「2.8」である。
【0043】
図4には、式(2)及び式(3)で定義されるAV(F)及びAV(T)が記載されている。AV(F)は、F値に対応するAV(Aperture Value)である。AV(T)は、T値に対応するAVである。
【0044】
AV(F)=2×log
2(F) ・・・(2)
AV(T)=2×log
2(T) ・・・(3)
【0045】
本実施形態では、絞り22の開放絞り値Fminは、「1.4」である。
図4によると、開放絞り値Fminに対応するT値は「2.0」である。したがって、絞り22が開放絞り値Fminに設定された場合のAPDフィルタ26による減光量は、AVの1段分(光量を1/2とする値)に相当する。
【0046】
撮影装置本体11の内部には、シャッタユニット30と、撮像素子32と、主制御部34と、画像処理部36と、AF制御部38と、被写体情報取得部40と、露出制御部42と、表示部44と、メモリ46とが設けられている。
【0047】
シャッタユニット30は、フォーカルプレーンシャッタ等のメカシャッタである。シャッタユニット30は、レンズ鏡筒取付部11Aと撮像素子32との間の光路を遮断可能に設けられている。シャッタユニット30は、後述する主制御部34の制御に基づいてシャッタモータ31が駆動することにより開閉動作を行う。
【0048】
撮像素子32は、シャッタユニット30を介して入射する入射光を光電変換して撮像信号を出力する。撮像素子32から出力された撮像信号は、画像処理部36に入力される。撮像素子32は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型センサであり、電子シャッタ機能を有する。この電子シャッタ機能のシャッタ速度は、主制御部34により制御可能である。
【0049】
主制御部34は、CPU(Central Processing Unit)と、このCPUで使用されるプログラムやパラメータを記憶したROM(Read Only Memory)と、CPUのワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)など(いずれも図示せず)を備えている。主制御部34は、撮影装置10の各部と電気的に接続されており、操作部13から入力される操作信号に基づいて、撮影装置10の全体を統括的に制御する。主制御部34は、シャッタボタン13Bから、S1オン信号及びS2オン信号を受信する。また、主制御部34は、モード切替ダイヤル13Cから、現在設定されている動作モードを特定する。
【0050】
また、主制御部34は、電気接点11Bを介してID記憶部24,25からIDを受信する。主制御部34は、受信したIDに基づき、撮影装置本体11に接続されているレンズ鏡筒の種類(第1レンズ鏡筒12と第2レンズ鏡筒14とのいずれであるか)を特定する。
【0051】
また、主制御部34は、特定したレンズ鏡筒の種類に基づいて、APDフィルタ26の有無を判定する。具体的には、主制御部34は、特定したレンズ鏡筒が第1レンズ鏡筒12であった場合には、APDフィルタ26が有ると判定し、特定したレンズ鏡筒が第2レンズ鏡筒14であった場合には、APDフィルタ26が無いと判定する。そして、主制御部34は、この判定結果をAPDフィルタ情報として撮影露出決定部56に送信する。
【0052】
画像処理部36は、撮像素子32から受信した撮像信号から画像データを生成する。画像処理部36は、生成した画像データを表示部44及びメモリ46に送信する。表示部44には、画像データに基づいた画像が表示される。メモリ46には画像データが記憶される。また、画像処理部36は、受信した撮像信号をY/C変換することによって輝度信号を生成し、生成した輝度信号を露出制御部42に送信する。
【0053】
AF制御部38は、撮像信号に基づいて、コントラストAF方式によりAF制御を実行する。AF制御では、フォーカスレンズ20を移動させながら、撮像信号に基づいてAF評価値(高周波成分の積算値)を算出する。そして、AF制御部38は、AF評価値が最大となるフォーカスレンズ20の位置(合焦位置)を検出し、この合焦位置にフォーカスレンズ20を移動させる。AF評価値は、画像のコントラストに対応している。主要被写体の合焦位置を求めるAFエリアは、例えば、撮像範囲の中央領域である。AF制御部38は、撮像信号のうち、AFエリアに含まれる信号からAF評価値を算出して合焦位置を検出する。なお、この合焦位置の取得は、絞り22を開放とした状態で行われる。
【0054】
被写体情報取得部40は、撮像信号に基づき、画角内の被写体に関する被写体情報を取得する。本実施形態では、被写体情報は、主要被写体と、主要被写体から最も離れた被写体との距離差(被写体距離差)である。具体的には、被写体情報取得部40は、
図5に示すように、撮像素子32の撮像範囲48を複数のブロックに分割して、ブロック毎に被写体距離を求め、各ブロックの被写体距離から被写体距離差を求める。
【0055】
例えば、被写体情報取得部40は、撮像範囲48をブロックB1〜B9の9つのブロックに分割する。撮像範囲48の中央に位置するブロックB5は、前述のAFエリアである。ブロックB5には主要被写体49の画像が含まれる。被写体情報取得部40は、ブロックB5の合焦位置(主要被写体49の合焦位置)については、AF制御部38によってAFエリアについて得られる合焦位置を用いる。
【0056】
また、被写体情報取得部40は、AFエリアであるブロックB5の周囲のブロックB1〜B4,B6〜B9については、AF制御部38を制御して、ブロック毎にAF制御を行わせる。これにより、被写体情報取得部40は、ブロックB1〜B4,B6〜B9のそれぞれについて、主要被写体49以外の被写体の合焦位置を取得する。なお、この合焦位置の取得は、絞り22を開放とした状態で行われる。
【0057】
被写体情報取得部40は、ブロックB1〜B9のそれぞれについて得られた各合焦位置に基づいて、ブロックB1〜B9のそれぞれについて被写体距離を求める。被写体情報取得部40は、
図6(A)に示すように、AFエリアであるブロックB5の合焦位置L5に基づいて、主要被写体49(
図5参照)までの被写体距離を求める。このブロックB5における被写体距離は、
図6(C)に示す主要被写体距離Dmに対応する。また、被写体情報取得部40は、
図6(B)に示すように、AFエリア以外のブロックB1〜B4,B6〜B9の各合焦位置に基づいて、主要被写体49以外の被写体までの被写体距離をそれぞれ求める。例えば、ブロックB3の合焦位置L3に基づいて、被写体50(
図5参照)までの被写体距離が求められる。このブロックB3における被写体距離は、
図6(C)に示す被写体距離Dnに対応する。
【0058】
被写体情報取得部40は、求めた主要被写体距離Dmとその他の被写体距離とを比較することによって、主要被写体49から最も離れた被写体の被写体距離と、主要被写体距離Dmとの被写体距離差Rxを求める。被写体距離差Rxは、主要被写体49の画像が含まれているブロックの合焦位置と、主要被写体49から最も距離が離れた被写体の画像が含まれているブロックの合焦位置との距離差に対応している。被写体情報取得部40は、求めた被写体距離差Rxを、主制御部34を介して撮影露出決定部56に送信する。
【0059】
具体的には、被写体情報取得部40は、ブロックB1〜B4,B6〜B9の各被写体距離と、主要被写体距離Dmとの距離差(差の絶対値)を求め、最も大きい距離差を、被写体距離差Rxとする。
図6(B)に示す例では、ブロックB3の合焦位置L3が、ブロックB5の合焦位置L5から最も距離が離れている。主要被写体距離Dmは、ブロックB3に含まれる被写体50の被写体距離Dnとの距離差(|Dn−Dm|)が最も大きく、この距離差が被写体距離差Rxとなる。
【0060】
この被写体距離差Rxを、被写界深度に基づいて定められた閾値Rthと比較することにより、ピントを合わせた主要被写体49の背景にボケ像が生じやすいか否かを判定することができる。
図7に示すように、閾値Rthは、絞り22を開放とした場合の被写界深度DOFをn倍としたものである。この定数nは、0.5以上の値に設定されている。
【0061】
したがって、
図6(B)に示すように、被写体距離差Rxが、Rx≧Rthの関係を満たす場合には、主要被写体49の背景にボケ像が生じやすい。一方、
図8(A)〜(C)に示すように、被写体距離差Rxが、Rx<Rthの関係を満たす場合には、主要被写体49の背景にはボケ像は生じにくい。
図8(A)は、主要被写体49が含まれるAFエリア(ブロックB5)の合焦位置L5を示している。
図8(B)は、Rx<Rthを満たす場合の被写体距離差Rxを示している。
図8(C)は、主要被写体49の主要被写体距離Dmと、主要被写体49から最も離れた被写体50の被写体距離Dnとを示している。
【0062】
露出制御部42は、輝度信号に基づいて、撮影に最適な露出量、シャッタ速度、及び絞り値(以下、撮影露出量、撮影シャッタ速度、及び撮影絞り値という)を決定する。露出制御部42は、測光部52と、プログラム線図記憶部54と、撮影露出決定部56とを備えている。
【0063】
測光部52は、画像処理部36から受信した輝度信号に基づいて測光値を算出することによって被写体の測光を行う。測光部52は、算出した測光値を撮影露出決定部56に送信する。
【0064】
プログラム線図記憶部54は、
図9に示す第1プログラム線
図P1と、
図10に示す第2プログラム線
図P2とを記憶している。第1及び第2プログラム線
図P1,P2は、APEX(Additive system of Photographic EXposure)演算式(4)を満たすEV(Exposure Value)、AV、及びTV(Time Value)で表されている。第1及び第2プログラム線
図P1,P2では、1つのEVに対して、一組のAV及びTVが対応している。
【0066】
EVは、露出量を示している。TVは、シャッタ速度t(単位:秒)と式(5)の関係にある。
【0067】
TV=−log
2(t) ・・・(5)
【0068】
第1及び第2プログラム線
図P1,P2では、AVを、前述のAV(F)を用いて表している。
【0069】
第1及び第2プログラム線
図P1,P2は、多段絞り方式である。多段絞り方式のプログラム線図では、AVが離散的な値を取っているので、測光値から求まる撮影露出量EVの変化に伴って、撮影絞り値(AV)が頻繁に変化することが防止される。
【0070】
第1プログラム線
図P1は、基本的に、APDフィルタ26を有していない第2レンズ鏡筒14が撮影装置本体11に接続されている場合に用いられる。
図9に示すように、第1プログラム線
図P1は、露出量が第1露出量EV1以下の領域で絞り値が開放絞り値Fminに固定されている。開放絞り値Fminは、「AV(F)=1」に対応している。本実施形態では、EV1=12である。また、第1露出量EV1に対応するシャッタ速度TV1は「11」である。
【0071】
第2プログラム線
図P2は、基本的に、APDフィルタ26を有している第1レンズ鏡筒12が撮影装置本体11に接続されている場合に用いられる。
図10に示すように、第2プログラム線
図P2は、露出量が第2露出量EV2以下の領域で、絞り値が開放絞り値Fminに固定されている。第2露出量EV2は、第1露出量EV1よりも大きい値である。本実施形態では、EV2=14としている。第2プログラム線
図P2では、絞り値が開放絞り値Fminに固定された領域が第1プログラム線
図P1より長い。第2プログラム線図では、第1プログラム線図の場合よりも、撮影絞り値として開放絞り値Fminがより優先的に決定される。
【0072】
第2露出量EV2に対応するシャッタ速度TV2は、「13」である。このシャッタ速度TV2は、第1プログラム線
図P1の第1露出量EV1に対応するシャッタ速度TV1より速い。本実施形態では、シャッタ速度TV2は、シャッタユニット30の高速側の限界速度とされている。
【0073】
撮影露出決定部56は、測光部52から受信した測光値に基づいて所定の演算を行うことにより、適正な撮影露出量EVを算出する。また、撮影露出決定部56は、主制御部34から受信したAPDフィルタ情報及び被写体情報に基づいて、後述する方法により、プログラム線図記憶部54から、第1プログラム線
図P1または第2プログラム線
図P2を選択する。
【0074】
撮影露出決定部56は、選択したプログラム線図を用いて、上記演算により求めた撮影露出量EVに基づき、一組の撮影絞り値及び撮影シャッタ速度を決定する。主制御部34は、撮影露出決定部56により決定された撮影絞り値及び撮影シャッタ速度を、絞り22及びシャッタユニット30にそれぞれ設定する。
【0075】
次に、
図11に示すフローチャートを参照して、撮影装置10の撮影動作を説明する。電源ボタン13Aの操作によって撮影装置10の電源がオンとされると、主制御部34は、撮影装置本体11に第1レンズ鏡筒12または第2レンズ鏡筒14が接続されているか否かを検出し、接続を検出した場合には、接続されているレンズ鏡筒からIDを取得する(ステップS11)。また、撮影装置10では、モード切替ダイヤル13Cの設定に応じて、静止画撮影モードまたは動画撮影モードが実行され、ライブビュー表示が行われる。
【0076】
このライブビュー表示中にシャッタボタン13Bが半押しされ、主制御部34がS1オン信号を取得すると(ステップS12でYES)、AF制御部38により、AFエリアを対象とした前述のAF制御が実行される(ステップS13)。
【0077】
画像処理部36は、撮像信号から輝度信号を取得し(ステップS14)、輝度信号を測光部52に送信する。測光部52は、受信した輝度信号に基づいて被写体の測光値を算出し(ステップS15)、測光値を撮影露出決定部56に送信する。撮影露出決定部56は、受信した測光値に基づいて撮影露出量EVを算出する(ステップS16)。
【0078】
そして、撮影露出決定部56は、プログラム線図記憶部54から第1プログラム線
図P1または第2プログラム線
図P2を選択する(ステップS17)。
【0079】
ステップS17のプログラム線図の選択動作は、
図12に示すフローチャートに基づいて行われる。まず、撮影露出決定部56は、主制御部34から受信したAPDフィルタ情報に基づいて、APDフィルタ26が光路上に配置されているか否か(APDフィルタ26の有無)を判定する(ステップS31)。撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されていないと判定した場合(ステップS31でNO)には、プログラム線図記憶部54から第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。
【0080】
一方、撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されていると判定された場合(ステップS31でYES)には、被写体情報取得部40に、被写体情報を取得させる(ステップS32)。本実施形態では、被写体情報取得部40により、被写体情報として、前述の被写体距離差Rxが取得される。
【0081】
そして、撮影露出決定部56は、取得した被写体距離差Rxが閾値Rth以上であるか否かを判定する(ステップS33)。撮影露出決定部56は、Rx≧Rthの場合(ステップS33でYES)には、主要被写体の背景にボケ像が生じやすいので、第2プログラム線
図P2を選択する(ステップS34)。
【0082】
一方、撮影露出決定部56は、Rx<Rthの場合(ステップS33でNO)には、主要被写体の背景にはボケ像が生じにくいので、第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。
【0083】
図11に戻り、撮影露出決定部56は、選択したプログラム線図を用いて、ステップS16で算出した撮影露出量EVに基づいて、撮影露出(撮影絞り値及び撮影シャッタ速度)を決定する(ステップS18)。主制御部34は、撮影絞り値及び撮影シャッタ速度を、絞り22及びシャッタユニット30にそれぞれ設定する(ステップS19)。
【0084】
そして、この撮影露出の設定後に、シャッタボタン13Bが全押しされ、主制御部34がS2オン信号を取得すると(ステップS20でYES)、撮影が実行される(ステップS21)。例えば、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、Rx≧Rthを満たし、第2プログラム線
図P2が選択されて撮影が実行されると、主要被写体の背景に生じたボケ像の輪郭に、APDフィルタ26の効果によってグラデーションが与えられ、美しいボケ味が得られる。
【0085】
以上のように、本発明の撮影装置10では、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合であっても、Rx<Rthの条件(第1条件)を満たし、主要被写体の背景にボケ像が生じにくい撮影シーンであると判定される場合には、APD用のプログラム線図である第2プログラム線
図P2ではなく、通常のプログラム線図である第1プログラム線
図P1が選択される。
【0086】
このようなボケ像が生じにくい撮影シーンで第2プログラム線
図P2が用いられると、露出オーバーとなった場合には、開放絞り値を優先して被写界深度を浅く維持するために、シャッタ速度の調整が行われ、撮影シャッタ速度が高速化する。このように撮影シャッタ速度が高速化すると、蛍光灯等の屋内光源下ではフリッカ等の弊害が発生することがある。
【0087】
本発明の撮影装置10では、上記撮影シーンにおいて、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合であっても、第1プログラム線
図P1を選択するので、フリッカ等の弊害の発生が防止される。すなわち、本発明の撮影装置10では、第1及び第2プログラム線
図P1,P2が適切に選択される。
【0088】
[第2実施形態]
第1実施形態では、撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、Rx≧Rthを満たすことを、第2プログラム線
図P2を選択するための条件(請求の範囲に記載の第1条件)としている。これは、アポダイゼーション効果を与える対象であるボケ像が生じるための条件である。
【0089】
しかし、ボケ像は、ピントの合った主要被写体の画像を引き立たせるために生じさせるためのものであるので、主要被写体距離がある程度小さく、画像中の主要被写体の大きさがある程度大きくなければ、主要被写体を引き立たせることはできない。例えば、遠距離にある建物や風景などを撮影する撮影シーンでは、ボケ像により主要被写体を引き立たたせた画像を得ることは期待できない。
【0090】
そこで、第2実施形態では、撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、Rx≧Rthを満たすことに加えて、主要被写体距離Dmが特定距離より小さいことを条件(請求の範囲に記載の第1条件)として、第2プログラム線
図P2を選択する。
【0091】
具体的に、第2実施形態では、
図13に示すフローチャートに基づいてプログラム線図を選択する。撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に存在すると判定した場合(ステップS31でYES)には、まず、主要被写体距離Dmが特定距離より小さいか否かを判定する(ステップS41)。
【0092】
撮影露出決定部56は、主要被写体距離Dmが特定距離より小さい場合(ステップS41でYES)には、被写体情報として被写体距離差Rxを取得する(ステップS32)。そして、撮影露出決定部56は、被写体距離差Rxが閾値Rth以上であるか否かを判定し(ステップS33)、Rx≧Rthである場合(ステップS33でYES)には、第2プログラム線
図P2を選択する(ステップS34)。
【0093】
一方、撮影露出決定部56は、主要被写体距離Dmが特定距離以上である場合(ステップS41でNO)には、第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。第2実施形態においては、ステップS41とステップS33が請求の範囲に記載の「第1条件」に対応する。
【0094】
このように、第2実施形態では、被写体距離差Rxに基づいてプログラム線図の選択を行う前に、主要被写体距離Dmに基づき、主要被写体距離Dmが特定距離以上の場合には、被写体距離差Rxを算出する動作を行うことなく第1プログラム線
図P1を選択するので、プログラム線図の選択処理が高速化するという効果もある。
【0095】
また、第1実施形態では、遠距離にある建物や風景などを撮影する撮影シーンでは、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、第2プログラム線
図P2が選択されて、開放絞り値が優先的に使用され、被写界深度が浅く維持される。これに対して、第2実施形態では、遠距離にある建物や風景などを撮影する撮影シーンでは、APDフィルタ26が光路上に配置されていても第1プログラム線
図P1が選択されるので、絞りが絞り込まれて被写界深度が深くなり、全被写体にピントが合ったシャープな画像が得られやすい。
【0096】
[第3実施形態]
第2実施形態では、撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、Rx≧Rthを満たすことに加えて、主要被写体距離Dmが特定距離より小さいことを条件として、第2プログラム線
図P2を選択している。第3実施形態では、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、Rx≧Rthを満たすことに加えて、画像中に検出された人物の顔の大きさが閾値以上であることを条件として、第2プログラム線
図P2を選択する。
【0097】
第3実施形態では、被写体情報取得部40は、画像処理部36から撮像信号に基づいて生成された画像データを受信し、この画像中に人物の顔が存在するか否かを検出する。例えば、被写体情報取得部40は、目、鼻、口など人物の顔に関する顔情報を予め記憶しており、この顔情報を用いたパターン認識を行うことによって、画像中から顔検出を行う。
【0098】
また、被写体情報取得部40は、顔検出により顔を検出した場合には、この顔の大きさを求める。例えば、被写体情報取得部40は、画像中において、顔として検出された領域の面積を求める。
【0099】
ボケ像により主要被写体を引き立たせる撮影シーンでは、主要被写体である顔の画像中の大きさをある程度大きくする必要がある。このため、ボケ像により主要被写体を引き立たたせた画像が得られるか否かは、顔の大きさ(例えば、面積)により判定することができる。
【0100】
具体的に、第3実施形態では、撮影露出決定部56は、
図14に示すフローチャートに基づいてプログラム線図の選択を行う。撮影露出決定部56は、APDフィルタ情報に基づいて、APDフィルタ26が光路上に配置されているか否かを判定する(ステップS31)。撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されていないと判定した場合(ステップS31でNO)には、プログラム線図記憶部54から第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。
【0101】
一方、撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に存在すると判定した場合(ステップS31でYES)には、被写体情報取得部40に、顔検出を行わせる(ステップS51)。被写体情報取得部40は、撮像信号に基づいて被写体の顔の有無を検出する(ステップS52)。被写体情報取得部40は、顔を検出した場合(ステップS52でYES)には、顔の大きさを取得する(ステップS53)。
【0102】
撮影露出決定部56は、被写体情報取得部40により得られた顔の大きさが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS54)。撮影露出決定部56は、顔の大きさが閾値未満である場合(ステップS54でNO)には、第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。一方、撮影露出決定部56は、顔の大きさが閾値以上である場合(ステップS54でYES)には、前述の被写体距離差Rxを取得する(ステップS32)。なお、ステップS52において、顔が検出されなかった場合(ステップS52でNO)にも、ステップS32に移行する。
【0103】
被写体距離差Rxが取得されると、撮影露出決定部56は、被写体距離差Rxが閾値Rth以上であるか否かを判定する(ステップS33)。撮影露出決定部56は、Rx≧Rthの場合(ステップS33でYES)には、第2プログラム線
図P2を選択する(ステップS34)。一方、撮影露出決定部56は、Rx<Rthの場合(ステップS33でNO)には、第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。第3実施形態においては、ステップS54とステップS33が請求の範囲に記載の「第1条件」に対応する。
【0104】
このように、第3実施形態では、APDフィルタ26が光路上に配置されている場合に、Rx≧Rthを満たすことに加えて、画像中に検出された顔の大きさが閾値以上であることを条件として、第2プログラム線
図P2を選択しているので、ボケ像により主要被写体を引き立たたせた画像が得られる撮影シーン以外で第2プログラム線
図P2が選択されることがなく、第2プログラム線
図P2を選択することによるフリッカ等の弊害の発生が防止される。
【0105】
[第4実施形態]
第1実施形態では、シャッタユニット30によりシャッタ速度を制御しているが、撮像素子32が備えている電子シャッタ機能によりシャッタ速度を制御しても良い。一般的に、電子シャッタ機能は、メカシャッタであるシャッタユニット30よりも、シャッタ速度を高速に設定可能である。このように、電子シャッタ機能を用いることにより、撮影絞り値として開放絞り値Fminが決定される範囲を高露出値側に広げることができる。
【0106】
第4実施形態では、プログラム線図記憶部54には、
図9に示す第1プログラム線
図P1と
図10に示す第2プログラム線
図P2に加えて、
図15に示す第3プログラム線
図P3が記憶されている。第3プログラム線
図P3は、第2露出量EV2より大きい第3露出量EV3以下で絞り値が開放絞り値Fminに固定されている。本実施形態では、EV3=16としている。
【0107】
第3露出量EV3に対応する撮影シャッタ速度TV3は、シャッタユニット30の高速側の限界速度であるシャッタ速度TV2よりも速い。例えば、TV3=15とする。このため、第3プログラム線
図P3において、TV2より高速側の領域で決定される撮影シャッタ速度は、撮像素子32の電子シャッタ機能を用いて設定される。
【0108】
撮像素子32は、ローリングシャッタ方式で撮像動作を行う。
図16に示すように、撮像素子32は、1画素行ごとに、電荷のリセット、露光及び蓄積された電荷の読み出しを行う。電荷のリセットタイミングと読み出しタイミングは、画素行ごとに異なっている。電荷のリセットが完了してから電荷の読み出しが開始されるまでの期間は、各画素行で同じである。このため、画素行ごとに露光期間が異なる。ライブビュー表示中や動画撮影モードの場合には、先頭の画素行から最終の画素行までのリセット及び読み出し動作が繰り返し行われる。
【0109】
しかし、ローリングシャッタ方式では、画素行ごとに露光期間が異なるので、主要被写体に動きが生じている場合には、主要被写体の像に歪みが生じることがある。この歪は、主要被写体の動き量が大きいほど大きくなる。また、この歪は、ローリングシャッタ方式では、撮影シャッタ速度が速くなるほど大きくなる。これは、ローリングシャッタ方式では、撮影シャッタ速度が速くなるほど、各画素行の露光期間の重なりが小さくなるためである。
【0110】
このため、第4実施形態では、撮影露出決定部56は、Rx≧Rthという条件(請求の範囲に記載の第1条件)を満たすことに加えて、主要被写体の動き量が特定値以下という条件(請求の範囲に記載の第2条件)を満たす場合に第3プログラム線
図P3を選択する。
【0111】
図17において、第4実施形態の撮影装置本体70には、第1実施形態の撮影装置本体11の各構成に加えて、主要被写体の動き量を検出する動き検出部72が設けられている。
【0112】
動き検出部72は、ライブビュー表示中に撮像素子32から出力された複数フレームの撮像信号に基づいて、主要被写体の動き量を検出する。例えば、
図18に示すように、動き検出部72は、画像処理部36から、ライブビュー表示中の時刻t1に得られた1フレーム(1フレーム目)の画像データ74と、時刻t2に得られた1フレーム(2フレーム目)の画像データ75とを取得する。動き検出部72は、取得した各画像データ74,75をそれぞれ複数エリアに分割し、フレーム毎に、各エリアの輝度値を求める。各画像データ74,75には、主要被写体76に対応する特定の輝度値を有するエリアが含まれている。動き検出部72は、フレーム間で輝度値が変化したエリアを検出することによって、主要被写体76の動き量を検出する。フレーム間で輝度値が変化したエリア数が多いほど、主要被写体76の動き量が大きいことに対応する。
【0113】
第4実施形態では、撮影露出決定部56は、
図19に示すフローチャートに基づいてプログラム線図の選択を行う。撮影露出決定部56は、APDフィルタ情報に基づいて、APDフィルタ26が光路上に配置されているか否かを判定する(ステップS31)。撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されていないと判定した場合(ステップS31でNO)には、プログラム線図記憶部54から第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。
【0114】
一方、撮影露出決定部56は、APDフィルタ26が光路上に配置されていると判定された場合(ステップS31でYES)には、被写体情報取得部40に、被写体情報として被写体距離差Rxを取得させる(ステップS32)。撮影露出決定部56は、被写体距離差Rxが閾値Rth以上であるか否かを判定する(ステップS33)。撮影露出決定部56は、Rx<Rthの場合(ステップS33でNO)には、第1プログラム線
図P1を選択する(ステップS35)。
【0115】
撮影露出決定部56は、Rx≧Rthの場合(ステップS33でYES)には、動き検出部72を制御することによって、主要被写体の動き量を検出させる(ステップS61)。動き検出部72は、検出した主要被写体の動き量を撮影露出決定部56に送信する。
【0116】
撮影露出決定部56は、受信した主要被写体の動き量が特定値以下であるか否かを判定する(ステップS62)。撮影露出決定部56は、動き量が特定値以下である場合(ステップS62でYES)には、第3プログラム線
図P3を選択する(ステップS63)。一方、撮影露出決定部56は、動き量が特定値より大きい場合(ステップS62でNO)には、第2プログラム線
図P2を選択する(ステップS64)。第4実施形態においては、ステップS33が請求の範囲に記載の「第1条件」に対応し、ステップS62が請求の範囲に記載の「第2条件」に対応する。
【0117】
このように、第4実施形態では、主要被写体の動き量に基づいて第2プログラム線
図P2と第3プログラム線
図P3とを選択することにより、電子シャッタ機能を適切に使用することができる。動き量が特定値以下である場合に第3プログラム線
図P3が選択されるので、撮像素子32の電子シャッタ機能を用いたとしても主要被写体の像に歪みが生じることが防止される。
【0118】
[第5実施形態]
第4実施形態では、撮影露出決定部56は、主要被写体の動き量が特定値以下であることを、第3プログラム線
図P3を選択するための条件としているが、第5実施形態では、フリッカが検出されていないことを条件(請求の範囲に記載の第2条件)として、第3プログラム線
図P3を選択する。これは、電子シャッタ機能を用いて、撮影シャッタ速度が速くなるほど、画像にフリッカの影響が生じやすくなるためである。
【0119】
図20において、第5実施形態の撮影装置本体80には、第1実施形態の撮影装置本体11の各構成に加え、フリッカの有無を検出するフリッカ検出部82が設けられている。フリッカは、商用交流電源によって点灯される蛍光灯の照明下で撮像を行った場合に、蛍光灯の輝度変化の周波数と、撮像周波数との違いによって、撮像信号に時間的な明暗の変化が生じる現象である。この明暗の変化が、画像に、チラつきや縞模様として現れる。
【0120】
フリッカ検出部82は、複数フレームの撮像信号から輝度値の変化を求めてフリッカの有無を検出する。このフリッカ検出処理としては、特開2005−33616号公報に記載された技術を用いることが可能である。フリッカ検出部82は、以下のように、蛍光灯の輝度変化の周波数として、50Hzの場合と60Hzの場合とを想定してフリッカの検出を行う。
【0121】
フリッカ検出部82は、ライブビュー表示中に、撮像素子32のフレームレートを50Hz、シャッタ速度を1/50秒として、撮像素子32に周期的に撮像動作を行わせる。フリッカ検出部82は、各フレームで出力された撮像信号に基づいて、フレーム間の画角中央の輝度値に変化が有るか否かを判定する。フリッカ検出部82は、輝度値の変化が有る場合には、フリッカが存在すると判定する。
【0122】
この後、フリッカ検出部82は、撮像素子32のフレームレートを60Hz、シャッタ速度を1/60秒と設定して、上記と同様のフリッカ検出動作を行い、フレーム間の画角中央の輝度値に変化が有る場合には、フリッカが存在すると判定する。
【0123】
第5実施形態では、撮影露出決定部56は、
図21に示すフローチャートに基づいてプログラム線図の選択を行う。このフローチャートでは、被写体の動き量に代えて、フリッカの検出を行い(ステップS71)、動き量に基づく判定に代えて、フリッカの検出の有無に基づく判定を行う(ステップS72)点が、第4実施形態と異なる。
【0124】
第5実施形態では、撮影露出決定部56は、フリッカ検出部82によりフリッカが検出された場合(ステップS72でNO)には第3プログラム線
図P3を選択し(ステップS73)、フリッカが検出されない場合(ステップS72でNO)には第2プログラム線
図P2を選択する(ステップS74)。第5実施形態においては、ステップS33が請求の範囲に記載の「第1条件」に対応し、ステップS72が請求の範囲に記載の「第2条件」に対応する。
【0125】
このように、第5実施形態では、フリッカの有無に基づいて第2プログラム線
図P2と第3プログラム線
図P3とを選択することにより、電子シャッタ機能を適切に使用することができる。フリッカが無い場合に第3プログラム線
図P3が選択されるので、撮像素子32の電子シャッタ機能を用いたとしても画像にフリッカの影響が生じることが防止される。
【0126】
また、上記各実施形態では、レンズ鏡筒と撮影装置本体とが着脱可能なレンズ交換型の撮影装置を例として本発明を説明しているが、本発明は、レンズ鏡筒と撮影装置本体とが一体化された一体型の撮影装置にも適用可能である。レンズ交換型の撮影装置では、レンズ鏡筒を交換することによりAPDフィルタが光路上から挿脱されるが、一体型の撮影装置では、APDフィルタを光路上に挿脱させる機構を設ければよい。
【0127】
上記各実施形態では、撮像素子32としてCMOS型イメージセンサを用いているが、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いてもよい。
【0128】
上記各実施形態では、AF制御部38は、コントラストAF方式によりAF制御を行っているが、位相差AF方式によりAF制御を行ってもよい。すなわち、
図5に示す撮像範囲48を分割した各ブロックについての合焦位置の取得を、位相差AF方式により行ってもよい。
【0129】
上記各実施形態では、シャッタボタン13Bが半押しされた後に露出制御を行っているが、シャッタボタン13Bが半押しされる前のライブビュー表示時においても露出制御を行ってもよい。