(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貫通配線の他端は、前記基板の他方の面から突出し、前記貫通配線が設けられている貫通孔の前記基板の他方の面側の端部の周囲に延在している請求項1記載の発光素子搭載用パッケージ。
平面視において、前記2つの領域の一方には凹部が設けられており、他方には前記凹部に入り込むように配置された凸部が設けられており、前記凸部及び前記凹部が前記発光素子の一方の電極との接続部及び他方の電極との接続部となる請求項1乃至4の何れか一項記載の発光素子搭載用パッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの構造]
まず、第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する平面図である。
図2は、
図1のA部(破線で囲んだ部分)を拡大して例示する図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は
図2(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0013】
図1及び
図2を参照するに、発光素子搭載用パッケージ1は、大略すると、基板10と、接着層20と、配線30(配線31、32、バスライン33)と、めっき膜40(めっき膜41〜45)と、貫通配線50(貫通配線51及び52)と、絶縁層60とを有する。なお、本願において、平面視とは対象物を基板10の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基板10の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
図2において、二点鎖線で囲まれた領域Cは、最終的に二点鎖線に沿って切断されて個片化され、各々個別の発光素子搭載用パッケージとなる領域(以降、個別パッケージ領域Cと称する)である。つまり、発光素子搭載用パッケージ1は、1つの発光素子を搭載可能に構成された個別パッケージ領域Cを複数個有するパッケージである。なお、
図1の例では、発光素子搭載用パッケージ1は、60個の個別パッケージ領域Cを有するが、これには限定されない。
【0015】
発光素子搭載用パッケージ1において、基板10としては、例えば、可撓性を有する絶縁樹脂フィルムを用いることができる。絶縁樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド系樹脂製のフィルム(ポリイミドテープ)やエポキシ系樹脂製のフィルム、ポリエステル系樹脂製のフィルム等を用いることができる。但し、基板10は可撓性を有する絶縁樹脂フィルムには限定されず、例えば、FR4(Flame Retardant 4)規格のガラスエポキシ樹脂製の基板等を用いてもよい。基板10の厚さは、例えば、12〜75μm程度とすることができる。
【0016】
接着層20は、基板10の一方の面に貼着され、配線31及び32並びにバスライン33を基板10に接着している。接着層20としては、例えば、エポキシ系接着剤又はポリイミド系接着剤等の絶縁性樹脂製の耐熱性接着剤を用いることができる。接着層20の厚さは、例えば、8〜18μm程度とすることができる。
【0017】
基板10の両端部には、各々複数のスプロケットホール10xが所定方向に略一定間隔で連続的に設けられている。スプロケットホール10xは、発光素子を実装するために発光素子搭載用パッケージ1が実装機に装着された際、モータ等により駆動されるスプロケットのピンと噛み合って、発光素子搭載用パッケージ1をピッチ送りするための貫通孔である。
【0018】
基板10の幅(スプロケットホール10xの配列方向に垂直な方向)は、発光素子搭載用パッケージ1が装着される実装機に対応するように決定される。基板10の幅は、例えば、40〜90mm程度とすることができる。一方、基板10の長さ(スプロケットホール10xの配列方向)は、任意に決定することができる。
【0019】
図1では、個別パッケージ領域Cは10列とされている。しかし、基板10として、例えば、可撓性を有する絶縁樹脂フィルムを用いた場合には、基板10をより長くして個別パッケージ領域Cを例えば100列程度とし、テープ状の発光素子搭載用パッケージ1をリール状態で出荷することも可能である。
【0020】
基板10の両端部に配列されたスプロケットホール10xの間には、縦横に配列された個別パッケージ領域C全体を囲むように、表面をめっき膜45で覆われたバスライン33が配置されている。バスライン33は、電解めっき法により配線31及び32にめっき膜40を形成する際の給電に用いられる。発光素子搭載用パッケージ1内の発光素子搭載部を構成する配線31及び32は、バスライン33と電気的に接続されている。バスライン33を用いて配線30にめっき膜40を形成する具体的な方法については後述する。
【0021】
各個別パッケージ領域Cにおいて、基板10の一方の面には、接着層20を介して、配線31及び32が設けられている。配線31は、基板10及び接着層20を貫通する複数の貫通配線51の一端と電気的に接続されている。配線32は、基板10及び接着層20を貫通する複数の貫通配線52の一端と電気的に接続されている。
【0022】
各貫通配線51及び52の他端は、例えば、各々基板10の他方の面と略面一とすることができる。なお、配線31には2つの貫通配線51が接続され、配線32には2つの貫通配線52が接続されている。
【0023】
このように、放熱性を向上させる観点からは、貫通配線51及び52を各々複数個設けることが好ましいが、これには限定されない。配線31及び32には、各々最低1つずつの貫通配線が設けられていればよい。但し、配線31及び32に各々2つ以上の貫通配線51及び52を設けておくと、個別パッケージ領域Cが個片化された後に所定の平面部に配置された場合のバランスの点からは好適である。例えば、個別パッケージ領域Cの平面形状が矩形の場合、個別パッケージ領域Cの各隅部に貫通配線51及び52(接続端子)を設けておく。このように貫通配線51及び52を設けておくと、発光素子搭載用パッケージや発光素子パッケージを金属基板等に搭載する際に、パッケージが傾いて実装されることを防げ、好適である。
【0024】
なお、貫通配線51及び52は、便宜上別符号としているが、後述のように、同一材料を用いて同一工程で形成される。貫通配線51及び52を特に区別する必要のない場合には、貫通配線50と称する。又、貫通配線51及び52の露出部を接続端子と称する場合がある。貫通配線50の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0025】
貫通配線50の一端(配線30と接する部分)の平面形状は例えば円形とすることができ、その場合の直径は、例えば、0.5〜1mm程度とすることができる。但し、貫通配線50は電気的接続に寄与すると共に放熱にも寄与するため、特に放熱性を向上させたい場合等には貫通配線50の一端の直径を1mm以上としても構わない。又、貫通配線50の一端の平面形状は、例えば、矩形や楕円形等としても構わない。貫通配線50の一端の平面形状を矩形とすることにより、配線30と接する部分の面積を大きくできるため、放熱性をより向上可能となる(後述の、第4及び第5の実施の形態を参照)。
【0026】
又、貫通配線50の基板10に埋設されている部分は、貫通配線50の一端の平面形状よりも平面形状の大きな極大部Mを有する。例えば、断面視において、貫通配線50の両側面を、厚さ方向の一部(例えば、厚さ方向の中央部)が膨らむような円弧状とすることにより、極大部Mを形成できる。
【0027】
但し、貫通配線50の断面形状は、両側面を厚さ方向の一部が膨らむような円弧状とする場合には限定されない。例えば、
図3(a)に示すように、両側面を厚さ方向の一部が膨らむような、くの字状(断面形状が略六角形状)とすることにより、極大部Mを形成してもよい。或いは、
図3(b)に示すように、両側面を厚さ方向の一部が膨らむような、より複雑な形状とすることにより、極大部Mを形成してもよい。
【0028】
このように、貫通配線50の基板10に埋設されている部分が、貫通配線50の一端の平面形状よりも平面形状の大きな極大部Mを有することにより、配線30及び貫通配線50の鞘抜けを低減できる。
【0029】
配線31及び32は、一部の領域を除き、個別パッケージ領域Cの略全域に設けられた絶縁層60に覆われている。配線31及び32の一部の領域は絶縁層60から露出しており、配線31及び32の絶縁層60から露出する領域にはめっき膜41、42、43、及び44が形成されている。
【0030】
絶縁層60は、隣接する個別パッケージ領域Cの境界部分の接着層20の表面を露出するように設けると好適である。このように絶縁層60を設けると、発光素子搭載用パッケージ1を個別パッケージ領域C毎に切断する際に、絶縁層60周縁の欠けや脱落を防止できる。よって、絶縁層60の表面積の減少を防止でき、絶縁層60の反射率の低下を防止できる。又、この場合、発光素子搭載用パッケージ1を個別パッケージ領域C毎に切断した際に、絶縁層60周縁が基板10周縁から内方に後退して設けられる。
【0031】
なお、絶縁層60の欠け等が生じない場合、個別パッケージ領域Cの境界部分を含む接着層20上の全面に絶縁層60を設けてもよい。この場合、発光素子搭載用パッケージ1を個別パッケージ領域C毎に切断した際に、絶縁層60、基板10、及び接着層20の側面が略面一となる。
【0032】
なお、配線31及び32、及びバスライン33は、便宜上別符号としているが、後述のように、同一材料を用いて同一工程で形成される。配線31及び32、及びバスライン33を特に区別する必要のない場合には、配線30と称する。配線30の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線30の厚さは、例えば、12〜35μm程度とすることができる。
【0033】
同様に、めっき膜41、42、43、44、及び45は、便宜上別符号としているが、後述のように、同一材料を用いて同一工程で形成される。めっき膜41、42、43、44、及び45を特に区別する必要のない場合には、めっき膜40と称する。
【0034】
めっき膜40の材料としては、例えば、Ni又はNi合金/Au又はAu合金膜、Ni又はNi合金/Pd又はPd合金/Au又はAu合金膜、Ni又はNi合金/Pd又はPd合金/Ag又はAg合金/Au又はAu合金膜等を用いることができる。めっき膜40の材料として、例えば、Ag又はAg合金膜、Ni又はNi合金/Ag又はAg合金膜、Ni又はNi合金/Pd又はPd合金/Ag又はAg合金膜等を用いてもよい。なお、『AA/BB膜』は、AA膜とBB膜とが対象部分にこの順番で積層形成されていることを意味している(3層以上の場合も同様)。
【0035】
めっき膜40のうち、Au又はAu合金膜、Ag又はAg合金膜の膜厚は、0.1μm以上とすることが好ましい。めっき膜40のうち、Pd又はPd合金膜の膜厚は、0.005μm以上とすることが好ましい。めっき膜40のうち、Ni又はNi合金膜の膜厚は、0.5μm以上とすることが好ましい。なお、通常は貫通配線50の他端にも、めっき膜40と同様なめっき膜が設けられている。
【0036】
絶縁層60は、各個別パッケージ領域Cに搭載される発光素子の照射する光の反射率及び放熱率を上げるために設けられている。絶縁層60の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系樹脂に、酸化チタン(TiO
2)や硫酸バリウム(BaSO
4)等のフィラーや顔料を含有させたものを用いることができる。絶縁層60の材料として、これらの材料製の白色インクを用いてもよい。
【0037】
平面視において、配線31と配線32とは所定の間隔をおいて対向配置された2つの領域をなし、この2つの領域は発光素子搭載部を構成している。換言すれば、各個別パッケージ領域Cにおいて、発光素子搭載部は基板10表面の略全面にプレーン状(平面状)に設けられた金属層からなり、金属層に設けられた所定の間隙(スリット)により、対向配置された2つの領域(配線31と配線32)に分離されている。なお、所定の間隙(スリット)は、発光素子の一方の電極と他方の電極との間隙に対応した幅を有する。
【0038】
発光素子搭載部の周縁は、基板10の周縁よりも基板10の内方に後退して設けられている。発光素子搭載用パッケージ1を個別パッケージ領域C毎に切断した際に、発光素子搭載部(配線31と配線32)の側面が露出し、発光素子搭載用パッケージ1の使用時にショート等が発生しないようにするためである。
【0039】
発光素子は発光素子搭載部に搭載され、発光素子搭載部の一部領域に形成されているめっき膜41及び42の何れか一方が発光素子の一方の電極と接続され、他方が発光素子の他方の電極と接続される。つまり、配線31のめっき膜41が形成されている部分と配線32のめっき膜42が形成されている部分とは所定の間隔をおいて対向配置されており、めっき膜41とめっき膜42とは、発光素子の一方の電極との接続部と発光素子の他方の電極との接続部となる。発光素子搭載部である配線31の直下には貫通配線51が接続され、配線32の直下には貫通配線52が接続されている。これにより、発光素子の発する熱を貫通配線51及び52を介して効率よく放熱できる。
【0040】
又、配線31のめっき膜43が形成されている部分と配線32のめっき膜44が形成されている部分とは所定の間隔をおいて対向配置され、めっき膜43及び44上に保護部品を搭載可能としている。めっき膜43及び44の何れか一方は、保護部品の一方の電極と接続され、他方は保護部品の他方の電極と接続される。つまり、めっき膜43とめっき膜44とは、保護部品の一方の電極との接続部と保護部品の他方の電極との接続部となる。但し、保護部品の搭載は必須ではなく、必要に応じて搭載することができる。
【0041】
保護部品としては、例えば、ツェナーダイオードを搭載できる。ツェナーダイオードを搭載する場合には、めっき膜43及び44のうち、電位の高い方(発光素子の正極側)をアノード側、電位の低い方(発光素子の負極側)をカソード側とする。めっき膜43とめっき膜44との間にツェナーダイオードを搭載することにより、めっき膜43とめっき膜44との間が所定電圧(ツェナー電圧)以上になることを防止でき、搭載される発光素子を保護できる。
【0042】
なお、配線31と配線32とが所定の間隔をおいて対向する部分において、平面視において、配線31の一部が凸部となり、配線32の凹部に入り込むように配置されている。配線31の凸部と配線32の凹部が、発光素子の一方の電極との接続部及び他方の電極との接続部となる。又、配線31と配線32とが所定の間隔をおいて直線的に対向する部分(配線31の凸部と配線32の凹部以外の部分)が、保護部品の電極との接続部となる。
図2(a)に示す例では、配線31と配線32とが所定の間隔をおいて対向する部分の略中央に配線31の凸部と配線32の凹部が設けられており、その下側に保護部品の電極との接続部が設けられているが、この配置には限定されない。
【0043】
配線31及び32をこのようなパターンとした理由は、保護部品を搭載する部分を発光素子を搭載する部分から、できるだけ遠ざけるためである。保護部品を発光素子の近傍に搭載すると、発光素子が発光した光の一部が保護部品に遮られて照度が低下するおそれがある。
図2のようなパターンとすることにより、保護部品は発光素子からできるだけ遠い所に搭載され、保護部品が発光素子の真横に搭載されることを防止できるため、発光素子の照度の低下を抑制可能となる。但し、必ずしも、このようなパターンには限定されない。
【0044】
図4は、第1の実施の形態に係る発光素子パッケージを例示する断面図である。
図4を参照するに、発光素子パッケージ100は、個片化後の発光素子搭載用パッケージ1(個別パッケージ領域C)の発光素子搭載部(配線31及び32)に発光素子110を搭載して封止樹脂120により封止し、更に金属基板125上に搭載したものである。
【0045】
発光素子110としては、例えば、一端側にアノード端子、他端側にカソード端子が形成されたLEDを用いることができる。但し、発光素子はLEDには限定されず、例えば、面発光型レーザ等を用いてもよい。封止樹脂120としては、例えば、エポキシ系やシリコーン系等の絶縁性樹脂に蛍光体を含有させた樹脂を用いることができる。
【0046】
以降、発光素子110がLEDであり発光素子パッケージ100がLEDパッケージである場合を例にして説明を行う(発光素子110をLED110、発光素子パッケージ100をLEDパッケージ100と称する場合がある)。
【0047】
発光素子搭載用パッケージ1に搭載されるLED110の寸法の一例を挙げると、平面視において、縦0.3mm×横0.3mm、縦1.0mm×横1.0mm、縦1.5mm×横1.5mm等である。
【0048】
LED110には、一方の電極端子となるバンプ111と、他方の電極端子となるバンプ112が形成されている。LED110のバンプ111又は112の何れか一方がアノード端子であり、他方がカソード端子である。バンプ111及び112は、例えば、めっき膜41及び42上にフリップチップ接合されている。めっき膜41とめっき膜42との間隔は、搭載されるLED110のバンプ111と112との間隔(例えば、60μm)と対応するように決定されている。
【0049】
LEDパッケージ100において、LED110が搭載された発光素子搭載用パッケージ1は、更に、金属基板125上に搭載されている。金属基板125は、放熱部(放熱板)として機能する金属板130と、金属板130の一方の面に形成された絶縁層140と、絶縁層140上に形成された配線層150と、配線層150を選択的に被覆するソルダーレジスト層155とを有する。
【0050】
ソルダーレジスト層155には開口部155x及び155yが設けられている。開口部155x及び155yからは、各々配線層150の一部が露出している。以降、開口部155xから露出する配線層150をパッド150Aと、開口部155yから露出する配線層150を外部接続用パッド150Bと称する場合がある。
【0051】
金属板130の材料としては、例えば、熱伝導率の良い銅(Cu)やアルミニウム(Al)等を用いることができる。金属板130の厚さは、例えば、100〜500μm程度とすることができる。但し、特に放熱性を必要とする場合には、数mm程度の厚さとしてもよい。絶縁層140の材料としては、例えば、エポキシ系やシリコーン系の絶縁性樹脂等を用いることができる。配線層150の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0052】
パッド150Aの一方は、はんだや導電性ペースト等である接合部160を介して、貫通配線51の基板10の他方の面から露出する露出部(接続端子)と電気的に接続されている。つまり、パッド150Aの一方は、貫通配線51、配線31、及びめっき膜41を介してLED110の一方の電極端子であるバンプ111と電気的に接続されている。
【0053】
同様に、パッド150Aの他方は、はんだや導電性ペースト等である接合部160を介して、貫通配線52の基板10の他方の面から露出する露出部(接続端子)と電気的に接続されている。つまり、パッド150Aの他方は、貫通配線52、配線32、及びめっき膜42を介してLED110の他方の電極端子であるバンプ112と電気的に接続されている。
【0054】
外部接続用パッド150Bを、例えば発光素子パッケージ100の外部に配置される電源や駆動回路等に接続し、LED110のバンプ111とバンプ112との間に所定の電位差を与えることにより、LED110が発光する。LED110は、発光時に発熱する。
【0055】
LED110の発した熱は、めっき膜41及び配線31を介して貫通配線51に伝わり、更に、パッド150Aの一方及び絶縁層140を介して金属板130に伝わる。同様に、LED110の発した熱は、めっき膜42及び配線32を介して貫通配線52に伝わり、更に、パッド150Aの他方及び絶縁層140を介して金属板130に伝わる。そして、金属板130に伝わった熱は、金属板130により放熱される。
【0056】
このように、貫通配線51及び52は、発光素子搭載部に搭載されるLED110と、主に放熱に寄与する金属基板125との電気的接続経路を構成すると共に、LED110の発する熱を金属基板125の金属板130に伝達する放熱経路を構成している。
【0057】
貫通配線51及び52はLED110の近傍(例えば、LED110の略直下)に配置されているため、LED110が発する熱を効率よく金属板130に伝達し、金属板130から放熱できる。
【0058】
[第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造方法について説明する。
図5〜
図7は、第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造工程を例示する図である。なお、第1の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造工程の説明で用いる断面図は、全て
図2(b)に対応する断面図である。
【0059】
まず、
図5に示す工程(
図5(a)は平面図、
図5(b)は、
図2(b)に対応する断面図)では、基板10として例えばリール状(テープ状)のポリイミドフィルム等を準備し、基板10の一方の面にエポキシ系接着剤等を塗布して接着層20を形成する。エポキシ系接着剤等の代わりにエポキシ系の接着フィルムを貼着して、接着層20を形成してもよい。
【0060】
そして、一方の面に接着層20が形成された基板10に、基板10及び接着層20を貫通するスプロケットホール10x及び貫通孔50xを形成する。スプロケットホール10xは、基板10の短手方向(図中の縦方向)の両端部に、基板10の長手方向(図中の横方向)に沿って略一定間隔で連続的に形成する。貫通孔50xは、後述の工程で配線30が形成される所定位置(
図1に示す貫通配線50に対応する位置)に形成する。
【0061】
スプロケットホール10x及び貫通孔50xは、例えば、ポンチとダイとを有する金型によるプレス加工により形成できる。この際、貫通孔50xを形成する部分において、ポンチとダイとのクリアランスを調整することにより、貫通孔50xの基板10内に形成される部分が、貫通孔50xの一端の平面形状よりも平面形状の大きな極大部Mを有する形状とすることができる。例えば、断面視において、貫通孔50xの両側面を、厚さ方向の一部(例えば、厚さ方向の中央部)が膨らむような円弧状とすることができる。
【0062】
次に、
図6(a)に示す工程では、接着層20上に金属層30Aを形成し、所定の温度に加熱して接着層20を硬化させる。金属層30Aは、例えば、接着層20上に銅箔をラミネートすることにより形成できる。金属層30Aの厚さは、例えば、18〜35μm程度とすることができる。なお、金属層30Aは、後にパターニングされることによって配線30となる。
【0063】
次に、
図6(b)に示す工程では、
図6(a)に示す構造体をウェットエッチング用の溶液(例えば、過酸化水素系の溶液)に含浸させ、貫通孔50x内に露出する金属層30Aの下面と、金属層30Aの上面のエッチングを行う(所謂マイクロエッチング)。このエッチング処理により、金属層30Aの表面に存在する防錆剤を除去すると共に、金属層30Aの表面を僅かな厚さ(例えば、0.5〜1μm程度)だけ除去する。なお、このエッチング処理は必要に応じて行えばよく、必須の処理ではない。
【0064】
次に、
図6(c)に示す工程では、金属層30Aの上面にマスキングテープ500を貼り付ける。マスキングテープ500は、後述の
図6(d)に示す工程で電解めっき法により貫通配線50を形成する際に、金属層30Aの上面側にめっき膜が成長しないようにするために、金属層30Aの上面を覆うものである。
【0065】
次に、
図6(d)に示す工程では、金属層30Aを給電層とする電解めっき法により貫通配線50(貫通配線51及び52)を形成後、
図6(c)に示すマスキングテープ500を除去する。貫通配線50は、貫通孔50x内に露出する金属層30Aの下面にめっき金属を析出させて、貫通孔50x内にめっき金属を充填することにより、柱状に形成する。
【0066】
貫通配線50は、一端(図中の上端)が金属層30Aと電気的に接続され、他端(図中の下端)が基板10の他方の面から露出する露出部をなすように形成する。貫通配線50の他端は、例えば、各々基板10の他方の面と略面一とすることができる。貫通配線50の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0067】
次に、
図7(a)に示す工程では、金属層30Aをパターニングして、配線31及び32(発光素子搭載部)、並びにバスライン33を含む配線30を形成する。具体的には、例えば、金属層30A上にレジスト(図示せず)を塗布し、配線30のパターンに合わせた露光を行い、レジストに配線30のパターンを現像する。そして、レジストを用いてエッチングを行うことにより、配線30を形成(パターニング)する。その後、レジストを除去する。
【0068】
次に、
図7(b)に示す工程では、配線31及び32上の所定の部分(後に、めっき膜41及び42を形成しない部分)に、絶縁層60を形成する。絶縁層60としては、前述のように白系の材料を用いる。絶縁層60は、例えば、スクリーン印刷法等により形成できる。絶縁層60は、配線30全体を覆うように白色インク等を形成後、ブラスト処理やレーザ加工法等を用いて、めっき膜41及び42を形成する部分を露出させることにより形成してもよい。
【0069】
次に、
図7(c)に示す工程では、バスライン33から給電して電解めっきを行い、配線31及び32の絶縁層60から露出する部分の表面にめっき膜41、42、43、及び44を形成する。なお、バスライン33上には、めっき膜45が形成される。めっき膜41、42、43、44、及び45の材料や厚さ等は前述のとおりである。
【0070】
次に、
図7(c)に示す工程の後、所定位置で、基板10を長手方向に垂直な方向に切断して個片化することにより、
図1及び
図2に示す発光素子搭載用パッケージ1が完成する。
【0071】
なお、
図4に示す発光素子パッケージ100を作製するには、以下のようにすればよい。すなわち、例えば、発光素子搭載用パッケージ1を実装機に装着し、各個別パッケージ領域Cのめっき膜41及び42上に例えばクリームはんだを塗布する。そして、各個別パッケージ領域Cのめっき膜41及び42のクリームはんだ上に、各々発光素子110のバンプ111及び112を配置し、リフロー炉に通してクリームはんだを溶融後硬化させる。
【0072】
その後、発光素子搭載用パッケージ1上面を封止樹脂120により封止した後、各個別パッケージ領域Cの部分を、各個別パッケージ領域Cの境界部分で切断し個片化する。或いは、各個別パッケージ領域Cの部分を先に個片化した後、各個別パッケージ領域Cの部分を各々封止樹脂120により封止する。その後、個片化した発光素子搭載用パッケージ1を金属板130、絶縁層140、配線層150等を有する金属基板125上に搭載する。具体的には、貫通配線51及び52の各々の露出部(接続端子)を、接合部160を介してパッド150Aと電気的に接続することにより、
図4に示す発光素子パッケージ100が完成する。
【0073】
このように、発光素子搭載用パッケージ1において、貫通配線50の基板10に埋設されている部分が、貫通配線50の一端の平面形状よりも平面形状の大きな極大部Mを有することにより、配線30及び貫通配線50の鞘抜けを低減できる。
【0074】
又、貫通配線51及び52を電気的接続のための経路として用いると共に、発光素子の発した熱の放熱経路としても用いる。これにより、発光素子が発する熱を放熱部(金属板130)に伝達し放熱できる。この際、貫通配線51及び52は発光素子を搭載する発光素子搭載部(配線31及び32)の直下に配置されているため、発光素子が発する熱を効率よく放熱部(金属板130)に伝達し放熱できる。
【0075】
又、貫通配線51及び52を発光素子搭載部の直下に配置して放熱性を向上しているため、従来のように放熱性を向上するために配線30を必要以上に厚くしなくてもよい。その結果、配線30として比較的薄厚の12〜35μm程度の銅箔を用いることが可能となり、配線31と配線32との間隔を狭く(例えば、60μm)できる。
【0076】
又、従来の発光素子パッケージでは、発光素子と放熱板との熱膨張係数のミスマッチに起因して、発光素子と発光素子搭載部との間の接続信頼性を低下させるおそれがあった。一方、発光素子パッケージ100では、発光素子110と放熱板として機能する金属板130との間に柔軟性を有する樹脂を主成分とする基板10を配置している。そのため、発光素子110と金属板130との熱膨張係数のミスマッチが緩和され、発光素子110と発光素子搭載部との間の接続信頼性を向上できる。
【0077】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる発光素子搭載用パッケージの構造の例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0078】
図8は、第2の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する断面図であり、
図2(b)に対応する断面を示している。なお、第2の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する平面図は、
図1と同様であるため、図示を省略する。
【0079】
図8を参照するに、発光素子搭載用パッケージ1Aは、貫通配線50(貫通配線51及び52を含む)が貫通配線50A(貫通配線51A及び52Aを含む)に置換された点が、発光素子搭載用パッケージ1(
図2参照)と相違する。
【0080】
貫通配線50Aの他端は、基板10の他方の面から突出して突出部をなし、貫通孔50xの基板10の他方の面側の端部の周囲に延在している。貫通配線50Aの突出部は、貫通孔50xの基板10の他方の面側の端部の周囲に、例えば、環状(円環状、四角環状等)に延在している。つまり、貫通配線50Aの突出部の平面形状は、貫通配線50Aの他端の平面形状よりも大きくなっている。貫通配線50Aの突出部の基板10の他方の面からの突出量Tは、例えば、20〜50μm程度とすることができる。貫通配線50Aの突出部において、貫通孔50xの基板10の他方の面側の端部の周囲に延在している部分の幅Wは、例えば、2〜10μm程度とすることができる。
【0081】
突出部を形成するには、例えば、
図6(d)に示す工程において、金属層30Aを給電層とする電解めっき法により、貫通孔50x内にめっき金属を充填した後もめっきを継続し、貫通孔50x内に充填しためっき金属を基板10の他方の面から突出させればよい。この際、めっき時間を調整することにより、貫通配線50Aの他端を基板10の他方の面から突出させ、貫通孔50xの基板10の他方の面側の端部の周囲に延在させることができる。
【0082】
このように、貫通配線50Aの他端を基板10の他方の面から突出させ、貫通孔50xの基板10の他方の面側の端部の周囲に延在させることにより、極大部Mのみが存在する場合よりも、配線30及び貫通配線50の鞘抜けを更に低減できる。
【0083】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる発光素子搭載用パッケージの構造の他の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0084】
[第3の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの構造]
まず、第3の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの構造について説明する。
図9は、第3の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する平面図である。
図10は、
図9のD部(破線で囲んだ部分)を拡大して例示する図であり、
図10(a)は平面図、
図10(b)は
図10(a)のB−B線に沿う断面図である。なお、便宜上、
図10(a)において、金属部材80を梨地模様で示している。
【0085】
図9及び
図10を参照するに、発光素子搭載用パッケージ1Bは、絶縁層60に代えて表面に金属部材80が設けられている点が発光素子搭載用パッケージ1(
図1及び
図2参照)と主に相違する。
【0086】
発光素子搭載用パッケージ1Bにおいて、配線31の上面及び側面を覆うように、めっき膜41が形成されている。又、配線32の上面及び側面を覆うように、めっき膜42が形成されている。又、第1の実施の形態と同様に、バスライン33の上面及び側面を覆うように、めっき膜45が形成されている。なお、第1の実施の形態でめっき膜43及び44が形成されていた領域は、本実施の形態ではめっき膜41及び42が形成されている。従って、本実施の形態では、めっき膜43及び44は存在しない。
【0087】
金属部材80は、めっき膜40(めっき膜41、42、及び45)上に接着層70を介して貼り付けられている。接着層70としては、例えば、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、又はポリイミド系接着剤等の絶縁性樹脂製の接着剤を用いることができる。必要に応じ、接着層70として絶縁性の耐熱性接着剤を用いても構わない。接着層70の厚さは、例えば、8〜18μm程度とすることができる。なお、接着層70は、接着層20と同一種類の接着剤を用いてもよいし、異なる種類の接着剤を用いてもよい。
【0088】
発光素子搭載用パッケージ1Bにおいて、個片化されて個別の発光素子搭載用パッケージとなる複数の個別パッケージ領域Cが基板10上に縦横に配列されている。金属部材80は、所定の間隔で縦横に配列された複数の反射板81と、所定の間隔で縦横に配列された反射板81全体を囲むように設けられた枠部82と、枠部82と枠部82に隣接する反射板81及び隣接する反射板81同士を連結する吊り部83とを有する。反射板81は、各個別パッケージ領域C内の発光素子搭載部上に1つずつ配置されている。反射板81、枠部82、及び吊り部83は一体に形成されている。
【0089】
なお、本実施の形態では、吊り部83は一方向(紙面の縦方向)のみに設けられているが、吊り部83を紙面の横方向のみに設けてもよいし、紙面の縦方向及び横方向に設けてもよい。金属部材80の枠部82には、スプロケットホール10xと同様に機能するスプロケットホール80xが設けられている。
【0090】
金属部材80の各反射板81には、めっき膜41及び42の各々の一部を露出する開口部81xが設けられている。開口部81x内に露出するめっき膜41と42は、発光素子の一方の電極との接続部と発光素子の他方の電極との接続部となる。開口部81xの内壁面は上側に行くにつれて広がるラッパ状の傾斜面とされており、開口部81x内に露出するめっき膜41及び42に発光素子が実装されて発光した際に、発光素子の照射する光を所定方向に反射する機能を有する。
【0091】
開口部81xの内壁面のめっき膜40の上面に対する傾斜角度は、要求する仕様に応じて適宜設定できるが、例えば、20〜50度程度とすることができる。但し、開口部81xの内壁面の断面形状は直線状でなくてもよく、曲線部を含んでいてもよい。なお、反射率を向上させる観点からは、開口部81xの平面形状は小さい方が好ましい。開口部81xの平面形状は、例えば円形とすることができ、その際の直径は、例えば、数mm程度とすることができる。但し、開口部81xの平面形状は円形には限定されず、楕円形や矩形等であってもよい。
【0092】
金属部材80の厚さは、例えば、0.5mm程度とすることができる。金属部材80の材料としては、例えば、銅やアルミニウム、それらの合金等を用いることができる。この際、金属部材80の表面を研磨(化学研磨等)して光沢を上げることにより、発光素子が実装されて発光した際に、反射板81の開口部81xの内壁面での反射率が高くなり好適である。
【0093】
又、金属部材80の表面に金めっきや銀めっき等を施すことにより、光沢を上げてもよい。この際、発光素子の発光波長に対して反射率の高いめっき材料を選択することが好ましい。研磨処理やめっき処理は、金属部材80の全体に対して実施してもよいし、必要な領域のみ(例えば、開口部81xの内壁面のみ)に対して実施してもよい。
【0094】
なお、各反射板81において、例えば、第1の実施の形態でめっき膜43及び44が形成されていた領域上に開口部81xとは異なる開口部を設け、開口部内に露出するめっき膜41及び42上にツェナーダイオード等の保護部品を搭載可能としてもよい。
【0095】
図11は、第3の実施の形態に係る発光素子パッケージを例示する断面図である。
図11を参照するに、発光素子パッケージ100Bは、個片化後の発光素子搭載用パッケージ1Bの発光素子搭載部(配線31及び32)に発光素子110を搭載して封止樹脂120により封止し、更に金属基板125上に搭載したものである。封止樹脂120は、反射板81の開口部81x内に設けられている。
【0096】
本実施の形態では、反射板81の開口部81xの内壁面を傾斜面としているため、発光素子110が発光した際に、発光素子110の照射する光を所定方向に効率よく反射させることができる(反射率を向上できる)。
【0097】
[第3の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造方法]
次に、第3の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造方法について説明する。
図12は、第3の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージの製造工程を例示する図であり、
図10(b)に対応する断面図である。
【0098】
まず、第1の実施の形態の
図5〜
図7(a)と同様の工程を実行する。そして、
図12(a)に示す工程では、
図7(c)の工程と同様にして、めっき膜41、42、及び45を形成する。但し、本実施の形態では絶縁層60を形成しないため、配線31の上面及び側面を覆うように、めっき膜41が形成される。又、配線32の上面及び側面を覆うように、めっき膜42が形成される。
【0099】
次に、
図12(b)に示す工程では、めっき膜41、42、及び45上の所定領域にエポキシ系接着剤等を塗布して接着層70を形成する。或いは、エポキシ系接着剤等の代わりにエポキシ系の接着フィルムを貼着して、接着層70を形成してもよい。なお、所定領域は、各反射板81の開口部81x内に露出する部分を除いた領域である。
【0100】
次に、
図12(c)に示す工程では、予め所定位置に開口部81xや吊り部83を設けた金属部材80を準備し、めっき膜41、42、及び45上に接着層70を介して貼り付ける。開口部81xや吊り部83を設けた金属部材80は、例えば、金属板のプレス加工やエッチング処理等により形成できる。この工程により、金属部材80の各反射板81は、各個別パッケージ領域C内に位置するように縦横に配列され、各反射板81の開口部81x内に発光素子が搭載される部分となるめっき膜41及び42が露出する。
【0101】
その後、
図12(c)に示す構造体を所定位置で切断して個片化することにより、
図9及び
図10に示す発光素子搭載用パッケージ1Bが完成する。なお、
図12(c)に示す構造体の個片化の際に吊り部83が切断される。
【0102】
このように、発光素子搭載用パッケージの表面に反射板を有する金属部材を貼り付けることにより、発光素子搭載用パッケージの剛性が向上して反りが低減するため、発光素子搭載用パッケージの製造工程や出荷後における取り扱いが容易となる。
【0103】
又、第1の実施の形態のように、白色インク等の絶縁層60を形成する場合には、反射率向上のために絶縁層60をある程度の厚さ(40〜50μm程度)とする必要があるが、この厚さを1回の印刷工程では実現できないため、複数回の印刷工程を実行する。一方、本実施の形態では、反射板の開口部の内壁面を傾斜面とすることにより、傾斜面で光を効率よく反射できるため、白色インク等を印刷する工程を廃止可能となり、発光素子搭載用パッケージの製造工程を簡略化できる。
【0104】
又、例えば、第1の実施の形態において、発光素子パッケージ100の製造工程で封止樹脂を形成する際に、封止樹脂の流れ出しを防止するために、発光素子搭載用パッケージ1の各個別パッケージ領域Cの絶縁層60上に環状のダムを形成する場合があった。本実施の形態では、発光素子パッケージの製造工程で封止樹脂を形成する際に、反射板の開口部の内壁面が封止樹脂の流れ出しを防止するためのダムとして機能する。そのため、ダムとして機能する部材を特別に設ける必要がなく、発光素子搭載用パッケージ又は発光素子パッケージの製造工程を簡略化できる。
【0105】
又、発光素子が発する熱を反射板からも放熱できるため、発光素子パッケージの放熱性能を向上できる。なお、放熱性を重視する場合には、反射板の材料として熱伝導率の高い金属(銅等)を用いることが好ましく、軽量化を重視する場合には比重の軽い金属(アルミニウム等)を用いることが好ましい。
【0106】
〈第3の実施の形態の変形例1〉
第3の実施の形態の変形例1では、第3の実施の形態において、反射板の表面に反射膜を設ける例を示す。なお、第3の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0107】
図13は、第3の実施の形態の変形例1に係る発光素子搭載用パッケージを例示する断面図であり、
図10(b)に対応する断面を示している。
図14は、第3の実施の形態の変形例1に係る発光素子パッケージを例示する断面図であり、
図11に対応する断面を示している。
図13に示す発光素子搭載用パッケージ1C及び
図14に示す発光素子パッケージ100Cのように、反射板81の上面及び開口部81xの内壁面に反射膜61を形成してもよい。但し、反射膜61を形成する領域を、開口部81xの内壁面のみとしてもよい。
【0108】
反射膜61の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系樹脂に、酸化チタン(TiO
2)や硫酸バリウム(BaSO
4)等のフィラーや顔料を含有させたものを用いることができる。反射膜61の材料として、これらの材料製の白色インクを用いてもよい。
【0109】
反射膜61は、例えばプレス加工やエッチング処理等により開口部81xや吊り部83を形成した金属部材80に、例えばスクリーン印刷法等により形成できる。なお、金属部材80の下面にも反射膜61を形成し、めっき膜40上に配置してから硬化させることにより、接着層70を用いずに、金属部材80をめっき膜40上に貼り付けることができる。つまり、金属部材80の下面に形成された反射膜61が接着層70の機能を兼ねることができる。
【0110】
なお、金属部材80上に反射膜61を形成するため、第1の実施の形態の絶縁層60と比べて反射膜61は薄くてもよい。反射膜61の厚さは、例えば、50μm程度とすることができる。反射膜61が薄くてもよいため、第1の実施の形態の絶縁層60を形成する場合よりも印刷回数を低減できる。
【0111】
このように、反射板81の上面及び開口部81xの内壁面(或いは、開口部81xの内壁面のみ)に反射膜61を設けることにより、発光素子の照射する光の反射率を更に高くできる。なお、枠部82の上面に反射膜61を形成する必要はないが、枠部82をマスクする工程等を削除するため、枠部82の上面に反射膜61を形成してもよい。
【0112】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる発光素子搭載用パッケージの構造の更に他の例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0113】
図15及び
図16は、第4の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する図である。
図15(a)は、
図2に示す個別パッケージ領域Cに対応する部分を示す平面図、
図15(b)は
図15(a)のD−D線に沿う断面図である。
図16(a)は、
図15(a)において、めっき膜41〜44及び絶縁層60の図示を省略した平面図である。
図16(b)は、
図15(a)に示す発光素子搭載用パッケージ1Dに発光素子110及び保護部品190を搭載した発光素子パッケージ100Dを例示する平面図である。なお、図示を省略している部分(バスライン33等)については、
図1及び
図2と同様である。
【0114】
図15及び
図16を参照するに、発光素子搭載用パッケージ1Dは、配線31及び32が配線31A及び32Aに置換され、貫通配線51及び52が貫通配線51B及び52Bに置換された点が、発光素子搭載用パッケージ1(
図2参照)と相違する。又、保護部品190の電極と接続される部分となるめっき膜43及び44の位置が、発光素子搭載用パッケージ1(
図2参照)と相違する。
【0115】
配線31Aの平面形状は略矩形状であり、配線32Aの平面形状は略逆L字状である。平面視において、配線31Aの配線32A側の2辺は、所定の間隔をおいて配線32Aの逆L字の内側の2辺と対向配置されている。平面視において、配線31Aと配線32Aとを合わせた形状は、略矩形状である。なお、配線31A及び32Aに形成されためっき膜41及び42の位置は、
図2と同様である。
【0116】
貫通配線51B及び52Bの一端(配線31A及び32Aと接する部分)の平面形状は略矩形状とされている。すなわち、貫通配線51B及び52Bは、基板10及び接着層20を貫通する平面形状が略矩形状の貫通孔を形成し、略矩形状の貫通孔内に銅(Cu)等のめっき金属を充填したものである。
【0117】
貫通配線51B及び52Bの基板10に埋設されている部分は、貫通配線51B及び52Bの一端の平面形状よりも平面形状の大きな極大部Mを有する。例えば、断面視において、貫通配線51B及び52Bの両側面を、厚さ方向の一部(例えば、厚さ方向の中央部)が膨らむような円弧状とすることにより、極大部Mを形成できる。但し、極大部Mを
図3に示した形状を含めた他の形状としてもよい。
【0118】
貫通配線51B及び52Bの夫々の一端を合わせた面積(配線31A及び32Aと接する部分の総面積)は、発光素子搭載用パッケージ1D全体の面積(
図15(a)のE×F)の60%以上を占めるようにすることが好ましい。このようにすることで、貫通配線51B及び52Bの一端の面積及び貫通配線51B及び52Bの体積を大きくできるため、放熱性を大幅に向上できる。
【0119】
めっき膜44の位置は配線32Aの略逆L字の短部の隅近傍とされ、めっき膜43の位置は配線31Aのそれに対向する部分とされている。めっき膜43及び44の位置は、発光素子搭載用パッケージ1(
図2参照)と相違しているが、保護部品190を搭載する部分(めっき膜43及び44)を発光素子110を搭載する部分(めっき膜41及び42)から遠ざけて配置している点では同様である。保護部品190を発光素子110からできるだけ遠い所に搭載することで、発光素子110から放出された光を、反射層として機能する絶縁層60で反射する際の妨げにならないため、発光素子110の照度の低下を抑制可能となる。但し、必ずしも、このようなパターンには限定されない。
【0120】
このように、貫通配線51B及び52Bの一端の平面形状を略矩形状とすることで、貫通配線51B及び52Bの一端の平面形状を略円形状とした場合よりも貫通配線51B及び52Bの一端の面積及び貫通配線51B及び52Bの体積を大きくできる。そのため、発光素子搭載用パッケージ1Dの放熱性を発光素子搭載用パッケージ1に比べて大幅に向上できる。
【0121】
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第4の実施の形態において、第2の実施の形態と同様に、貫通配線に突出部を設ける例を示す。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0122】
図17は、第5の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する断面図であり、
図15(b)に対応する断面を示している。なお、第5の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージを例示する平面図は、
図15(a)と同様であるため、図示を省略する。
【0123】
図17を参照するに、発光素子搭載用パッケージ1Eは、貫通配線51B及び52Bが貫通配線51C及び52Cに置換された点が、発光素子搭載用パッケージ1D(
図15参照)と相違する。貫通配線51C及び52Cの他端には、
図8に示す貫通配線51A及び52Aと同様の突出部が設けられている。貫通配線51C及び52Cの突出部は、貫通配線51A及び52Aの突出部と同様の製造工程で形成できる。
【0124】
このように、貫通配線51C及び52Cの他端を基板10の他方の面から突出させ、貫通孔の基板10の他方の面側の端部の周囲に延在させる。これにより、極大部Mのみが存在する場合よりも、配線31A及び32A及び貫通配線51C及び52Cの鞘抜けを更に低減できる。
【0125】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0126】
例えば、貫通配線51及び52の露出部や貫通配線51A及び52Aの突出部、貫通配線51B及び52Bの露出部や貫通配線51C及び52Cの突出部に、例えば、ニッケル(Ni)や金(Au)を含むめっき膜を形成してもよい。
【0127】
又、貫通配線51及び52の露出部や貫通配線51A及び52Aの突出部に、例えば、酸化防止処理(例えば、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等)をしてもよい。貫通配線51B及び52Bの露出部や貫通配線51C及び52Cの突出部についても同様である。
【0128】
又、各発光素子搭載用パッケージに、発光素子をワイヤボンディングで搭載し、発光素子パッケージとしてもよい。
【0129】
又、各実施の形態及びその変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、発光素子搭載用パッケージ1Bや1Cにおいて、発光素子搭載用パッケージ1Aと同様に、貫通配線51や52に代えて貫通配線51A及び52Aを設けてもよい。