(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高伸縮領域と、前記高伸縮領域よりも所定方向の伸縮性が低い低伸縮領域とを前記所定方向に並んで有し、少なくとも前記高伸縮領域に複数の孔部が形成されたシート状部材を複合シートから製造する方法であって、
前記所定方向に連続する第1不織布と、前記複合シートの厚さ方向に前記第1不織布に重なって配されつつ前記所定方向に連続する第2不織布との間に、前記所定方向に伸長状態で前記所定方向に連続する複数の弾性部材が、前記所定方向と交差するCD方向に並んだ状態で介挿されつつ、少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域に固定されてなる前記複合シートを、前記所定方向を搬送方向として搬送する搬送工程と、
前記複合シートの少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域において前記CD方向に隣り合う前記弾性部材同士の間の位置に前記厚さ方向に押し込み部材を押し込むことにより、前記領域に前記厚さ方向に前記孔部を形成して、少なくとも前記孔部の縁部で前記第1不織布と前記第2不織布とを係合する孔部形成工程と、
前記孔部形成工程で前記孔部を形成する孔部形成処理位置よりも前記搬送方向の下流側の位置において、前記低伸縮領域に対応する領域で前記複数の前記弾性部材を切断することにより、前記複合シートに前記高伸縮領域と前記低伸縮領域とを前記搬送方向に並べて形成する弾性部材切断工程と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシート状部材の製造方法。
高伸縮領域と、前記高伸縮領域よりも所定方向の伸縮性が低い低伸縮領域とを前記所定方向に並んで有し、少なくとも前記高伸縮領域に複数の孔部が形成されたシート状部材を複合シートから製造する装置であって、
前記所定方向に連続する第1不織布と、前記複合シートの厚さ方向に前記第1不織布に重なって配されつつ前記所定方向に連続する第2不織布との間に、前記所定方向に伸長状態で前記所定方向に連続する複数の弾性部材が、前記所定方向と交差するCD方向に並んだ状態で介挿されつつ、少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域に固定されてなる前記複合シートを、前記所定方向を搬送方向として搬送する搬送装置と、
前記複合シートの少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域において前記CD方向に隣り合う前記弾性部材同士の間の位置に前記厚さ方向に押し込み部材を押し込むことにより、前記領域に前記厚さ方向に前記孔部を形成して、少なくとも前記孔部の縁部で前記第1不織布と前記第2不織布とを係合する孔部形成装置と、
前記孔部形成装置で前記孔部を形成する孔部形成処理位置よりも前記搬送方向の下流側の位置において、前記低伸縮領域に対応する領域で前記複数の前記弾性部材を切断することにより、前記複合シートに前記高伸縮領域と前記低伸縮領域とを前記搬送方向に並べて形成する弾性部材切断装置と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシート状部材の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
高伸縮領域と、前記高伸縮領域よりも所定方向の伸縮性が低い低伸縮領域とを前記所定方向に並んで有し、少なくとも前記高伸縮領域に複数の孔部が形成されたシート状部材を複合シートから製造する方法であって、
前記所定方向に連続する第1不織布と、前記複合シートの厚さ方向に前記第1不織布に重なって配されつつ前記所定方向に連続する第2不織布との間に、前記所定方向に伸長状態で前記所定方向に連続する複数の弾性部材が、前記所定方向と交差するCD方向に並んだ状態で介挿されつつ、少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域に固定されてなる前記複合シートを、前記所定方向を搬送方向として搬送する搬送工程と、
前記複合シートの少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域において前記CD方向に隣り合う前記弾性部材同士の間の位置に前記厚さ方向に押し込み部材を押し込むことにより、前記領域に前記厚さ方向に前記孔部を形成して、少なくとも前記孔部の縁部で前記第1不織布と前記第2不織布とを係合する孔部形成工程と、
前記孔部形成工程で前記孔部を形成する孔部形成処理位置よりも前記搬送方向の下流側の位置において、前記低伸縮領域に対応する領域で前記複数の前記弾性部材を切断することにより、前記複合シートに前記高伸縮領域と前記低伸縮領域とを前記搬送方向に並べて形成する弾性部材切断工程と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシート状部材の製造方法である。
【0014】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、上記の弾性部材の切断に伴って、切断された弾性部材が高伸縮領域に対応する領域の方へと収縮するが、収縮後に、当該弾性部材が上記の孔部から見える状態になってしまうことを防ぐことができる。すなわち、仮に、上記領域への弾性部材の固定強度が弱い場合には、切断されて収縮する弾性部材が上記領域に大きく侵入する恐れがあるが、当該領域には、上記の孔部が形成されていて、当該孔部の縁部では、第1不織布と第2不織布とが係合している。よって、上記切断されて収縮する弾性部材が万一CD方向にふらついて孔部の方へ近づこうとしても、孔部の縁部での第1不織布と第2不織布との係合に基づいて、それ以上の孔部への弾性部材の接近は抑制される。よって、弾性部材の収縮後に孔部から当該弾性部材が見える状態になってしまうことを防ぐことができて、その結果、シート状部材の見栄えを良好にすることができる。
【0015】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記複合シートは、前記搬送方向に連続する基材シートを有し、
前記基材シートは、記第1不織布となる第1部分と前記第2不織布となる第2部分とを前記CD方向に隣り合って一体に有し、
前記孔部形成工程の前記孔部形成処理位置よりも前記搬送方向の上流側の位置において、前記第1部分と前記第2部分との間の境界位置を折り曲げ位置として前記基材シートを前記CD方向に折り曲げることにより、前記第1不織布に前記第2不織布が重なった状態にする折り曲げ工程を有するのが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、第1部分と第2部分とは、上記の孔部の縁部で強固に係合することができる。詳しくは、次の通りである。先ず、第1部分と第2部分とが重なった際に、互いの接触する面同士の間で不織布の密度(g/cm
3)等の性状が同じ又は類似している方が、上記の孔部の形成の際に当該孔部の縁部で繊維同士が交絡し易くなって、その結果、当該縁部では、高い係合度合いでもって第1部分と第2部分とが係合する。一方、基材シートにおける両面同士の間で互いの性状が相違する場合があり得るが、ここで、上記の構成によれば、上記の折り曲げ位置で折り曲げた際に、第1部分と第2部分とは、互いに基材シートの両面のうちの同じ面同士が対向して接触する。そして、これにより、第1部分と第2部分とは、互いに同じ性状の面同士が接触するので、当該面において第1部分と第2部分とは孔部の縁部で強固に係合することができる。
【0017】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記第1部分と前記第2部分とを一体に有する部分を第3部分とした場合に、
前記基材シートは、前記第3部分を、前記CD方向の両側にそれぞれ有し、
前記折り曲げ工程では、前記CD方向の両側にそれぞれ位置する前記折り曲げ位置で前記基材シートが折り曲げられるのが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、一枚の基材シートから、第1不織布と第2不織布とが重なった二層構造の部材を2つ形成することができる。よって、かかる2つの部材をそれぞれ二層構造に形成にするために、同じ装置を二つ設けずに済む。例えば、原反から不織布を繰り出す繰り出し装置を、一層目の不織布用及び二層目の不織布用といった具合に二つ設けずに済んで、つまり、基材シート用に一つの繰り出し装置を設けることで済ませることができる。そして、その結果、装置数の削減を図れて、設備費を節減できる。
【0019】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記高伸縮領域に対応する領域に前記弾性部材を固定するための固定部を有し、
前記固定部を介して前記第1不織布と前記第2不織布とが固定されており、
前記高伸縮領域に対応する領域には、前記固定部及び前記孔部の前記縁部以外に、前記第1不織布と前記第2不織布とを固定する固定部を有さないのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、上記の固定部だけでなく上記の縁部に基づいても第1不織布と第2不織布とは固定されている。よって、強固に固定することができる。また、高伸縮領域においては、第1不織布と第2不織布とを固定するためだけの機能の固定部を無くすことができて、これにより、柔らかいシート状部材を製造可能となる。
【0021】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記固定部は、前記弾性部材に塗布された接着剤であり、
前記縁部には、接着剤が存在しないのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、孔部の縁部には接着剤が存在せず、当該縁部では、第1不織布と第2不織布との係合のみによって、これら第1及び第2不織布同士は互いに固定されている。よって、製造されるシート状部材をより柔らかくすることができる。
【0023】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記弾性部材切断工程で前記弾性部材を切断する切断処理位置よりも前記搬送方向の下流側の位置において、前記複合シートにおける前記低伸縮領域に、前記吸収性物品に係る吸収性本体を固定する吸収性本体固定工程を有するのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、孔部形成工程及び弾性部材切断工程の後で、複合シートにおける低伸縮領域に吸収性本体を固定する。よって、この順番が逆の場合に起こり得る不具合、すなわち、吸収性本体が固定された複合シートに対して孔部を形成したり弾性部材を切断する際に、一緒に吸収性本体に対しても孔部の形成や切断を行ってしまって、当該吸収性本体を傷つけてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0025】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記孔部形成工程の前記孔部形成処理位置よりも前記搬送方向の下流側の位置において、前記所定方向に連続した連続シートを前記複合シートに固定する連続シート固定工程を有し、
前記連続シート接合工程では、前記連続シートは、幾つかの前記孔部を覆うように前記厚さ方向から重ねられるのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、幾つかの孔部を覆うように上記の連続シートは複合シートに重ねられる。よって、仮に上記孔部内に弾性部材が位置している場合でも、当該弾性部材を、連続シートで遮って見えないように隠すことができる。そして、これにより、シート状部材の見栄えを良好にすることができる。
【0027】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記弾性部材の切断は、カッター刃を前記複合シートに押圧することでなされるとともに、前記複合シートには、前記切断の痕跡が形成され、
前記痕跡が、前記複数の前記孔部のうちで前記痕跡の前記搬送方向の両側に最も近く位置する一対の孔部と前記CD方向に関してオーバーラップしないように前記切断が行われるのが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、カッター刃で弾性部材を切断する際に、上記の痕跡で上記の孔部を崩してしまうという不具合を防ぐことができる。
【0029】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記痕跡の前記搬送方向の大きさは、前記複数の前記孔部のうちで前記痕跡の前記搬送方向の両側に最も近く位置する一対の孔部同士の間の前記搬送方向の間隔よりも小さいのが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、カッター刃で弾性部材を切断する際に、上記の痕跡で上記の孔部を崩してしまうという不具合をより確実に防ぐことができる。
【0031】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記孔部は、前記厚さ方向に前記複合シートを貫通する貫通孔であるのが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、孔部は貫通孔であるので、シート状部材の高伸縮領域の通気性の向上を図れる。
【0033】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記孔部は、底部を有する有底孔であるのが望ましい。
【0034】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、孔部は有底孔であるので、孔部から弾性部材が見える状態となることを確実に防ぐことができる。
【0035】
また、
高伸縮領域と、前記高伸縮領域よりも所定方向の伸縮性が低い低伸縮領域とを前記所定方向に並んで有し、少なくとも前記高伸縮領域に複数の孔部が形成されたシート状部材を複合シートから製造する装置であって、
前記所定方向に連続する第1不織布と、前記複合シートの厚さ方向に前記第1不織布に重なって配されつつ前記所定方向に連続する第2不織布との間に、前記所定方向に伸長状態で前記所定方向に連続する複数の弾性部材が、前記所定方向と交差するCD方向に並んだ状態で介挿されつつ、少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域に固定されてなる前記複合シートを、前記所定方向を搬送方向として搬送する搬送装置と、
前記複合シートの少なくとも前記高伸縮領域に対応する領域において前記CD方向に隣り合う前記弾性部材同士の間の位置に前記厚さ方向に押し込み部材を押し込むことにより、前記領域に前記厚さ方向に前記孔部を形成して、少なくとも前記孔部の縁部で前記第1不織布と前記第2不織布とを係合する孔部形成装置と、
前記孔部形成装置で前記孔部を形成する孔部形成処理位置よりも前記搬送方向の下流側の位置において、前記低伸縮領域に対応する領域で前記複数の前記弾性部材を切断することにより、前記複合シートに前記高伸縮領域と前記低伸縮領域とを前記搬送方向に並べて形成する弾性部材切断装置と、を有することを特徴とする吸収性物品に係るシート状部材の製造装置である。
【0036】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造装置によれば、前述した製造方法の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
===第1実施形態===
第1実施形態の吸収性物品に係るシート状部材の製造方法及び製造装置は、例えば、吸収性物品の一例としての使い捨ておむつ1の製造ラインで使用される。
図2は、使い捨ておむつ1の一例としての3ピースタイプのおむつ1をパンツ型状態において腹側から見た概略斜視図である。また、
図3は、展開状態のおむつ1を肌側から見た概略平面図であり、
図4は、
図3中のIV−IV断面図である。
【0038】
このおむつ1は、
図2のパンツ型状態において、互いに直交する三方向として上下方向と横方向と前後方向とを有している。そして、以下では、このパンツ型状態において上下方向の上側及び下側のことを、それぞれ「胴回り開口側」及び「股下側」とも言い、また、前後方向の前側及び後側のことを、それぞれ「腹側」及び「背側」とも言う。
一方、
図3及び
図4の展開状態においては、おむつ1は、互いに直交する三方向として縦方向と横方向と厚さ方向とを有している。そして、以下では、この展開状態において縦方向の一方側及び他方側のことをそれぞれ「腹側」及び「背側」とも言い、また、厚さ方向の一方側及び他方側のことをそれぞれ「肌側」及び「非肌側」とも言う。
ちなみに、横方向については、パンツ型状態と展開状態とで互いに同じ意味である。また、展開状態の縦方向は、パンツ型状態の上下方向に沿っているとともに、展開状態の厚さ方向は、パンツ型状態の前後方向に沿っている。
更に、
図3及び
図4の展開状態では、おむつ1に伸縮性を付与するための後述の弾性部材たる糸ゴム16,35,45による収縮力が全く無いものと仮想して広がった状態のおむつ1を示している。
【0039】
このおむつ1は所謂3ピースタイプであることから、
図3の展開状態において、第1部品として、排泄物を吸収する吸収性本体10を有し、第2部品として腹側帯部材31を有し、第3部品として背側帯部材41を有している。詳しくは、腹側帯部材31と背側帯部材41とが縦方向に間隔をあけて平行に並んだ状態において、これら両者31,41同士の間に吸収性本体10が掛け渡されつつ、同吸収性本体10の縦方向の各端部10ea,10ebがそれぞれ最寄りの帯部材31,41に接合固定されていて、その外観形状は平面視略H形状をなしている。
そして、この略H形状の展開状態から、吸収性本体10の縦方向の所定位置CL10(縦方向におけるおむつ1の中央位置CL1に相当する位置)を折り位置として同吸収性本体10が二つ折りされるとともに、この二つ折りの状態において互いに対向する帯部材31,41同士が横方向の各端部31e,41eにて溶着等で接合されると、これら帯部材31,41同士が環状に繋がって、これにより、
図2に示すような胴回り開口BH及び一対の脚回り開口LH,LHが形成されたパンツ型状態のおむつ1となる。
【0040】
なお、
図3及び
図4の展開状態においては、吸収性本体10は、平面視略長方形状をなしている。そして、吸収性本体10の長手方向は、縦方向に沿うように配されている。また、吸収性本体10は、吸収体11と、同吸収体11を肌側から覆って設けられたトップシート13と、同吸収体11を非肌側から覆って設けられたバックシート15と、を備えている。
【0041】
吸収体11は、液体吸収性の吸収性コア11cと、同コア11cの外周面を被覆する不図示のティッシュペーパー等のコアラップシートと、を有する。吸収性コア11cは、所定の液体吸収性素材を所定形状の一例としての平面視略砂時計形状に成形した成形体である。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を例示できる。
【0042】
トップシート13は、吸収体11から縦方向及び横方向に突出するような平面サイズの不織布等の液透過性のシートである。また、バックシート15も、吸収体11から縦方向及び横方向に突出するような平面サイズのシートであり、その一例としては、
図4のような二層構造のラミネートシート15が挙げられる。すなわち、当該ラミネートシート15は、肌側に、ポリエチレンフィルム(PE)やポリプロピレンフィルム(PP)等の液不透過性の防漏シート15aを有し、非肌側には、不織布製の外装シート15bを有している。
そして、これらトップシート13とバックシート15との間に吸収体11を挟んだ状態において、吸収体11から縦方向及び横方向に突出した部分でこれら両シート13,15同士が例えば額縁状に接着や溶着等で接合されることにより、吸収性本体10が形成されている。なお、バックシート15は、外装シート15bを有さずに、防漏シート15aだけを有していても良い。
【0043】
また、この
図3の例にように、吸収性本体10における吸収体11よりも横方向の外側の各部分10LGには、それぞれ縦方向に伸縮するレッグギャザーLGを設けても良い。かかるレッグギャザーLGは、脚回り開口LHの一部を構成する。また、レッグギャザーLGの伸縮性の付与は、上記の各部分10LGに、それぞれ縦方向に沿って弾性部材としての糸ゴム16を縦方向に伸長した状態で固定することでなされる。なお、このレッグギャザーLGに加えて、更に、横漏れを防止する目的で、吸収性本体10における横方向の両側に防漏壁部として所謂立体ギャザー(不図示)を設けても良い。
【0044】
一方、
図3に示すように、腹側帯部材31は、不織布32,33を素材とした平面視略矩形形状のシート部材である。この例では、
図4に示すように、ホットメルト接着剤で不織布32,33を二枚重ねに接合することで腹側帯部材31は形成されている。そして、
図3及び
図4に示すように、腹側帯部材31の横方向の中央部が、吸収性本体10における縦方向の腹側の端部10eaに非肌側から重ねられて接合されている。
【0045】
また、背側帯部材41も、腹側帯部材31と同様に、不織布42,43を素材とした平面視略矩形形状のシート部材であり、この例では、
図4に示すように、ホットメルト接着剤で不織布42,43を二枚重ねに接合することで背側帯部材41は形成されている。そして、
図3及び
図4に示すように、背側帯部材41の横方向の中央部が、吸収性本体10における縦方向の背側の端部10ebに非肌側から重ねられて接合されている。
【0046】
なお、以下で説明する内容は、腹側帯部材31及び背側帯部材41の両者について共通の内容である。そのため、ここでは、両者を代表して腹側帯部材31についてのみ説明し、背側帯部材41については、対応する部材の符号を括弧書きで示すのみとする。
【0047】
図3及び
図4に示すように、腹側帯部材31(41)に係る2枚の不織布32,33(42,43)同士の間には、横方向に沿った弾性部材として複数本の糸ゴム35,35…(45,45…)が縦方向に並んで介挿されつつ、横方向に伸長下で同不織布32,33(42,43)にホットメルト接着剤で接合固定されている。そして、これにより、腹側帯部材31(41)には横方向の伸縮性が付与されている。
【0048】
また、この例では、
図3に示すように、腹側帯部材31(41)において吸収性コア11cと重なる部分の少なくとも一部(例えば、横方向の中央部)については、吸収体11の皺の発生を防ぐ等の目的で、糸ゴム35(45)が非連続とされている。そして、これにより、この部分については伸縮性が付与されていない。
すなわち、
図5の腹側帯部材31を厚さ方向の非肌側から見た概略平面図に示すように、腹側帯部材31(41)を、縦方向に二つの領域AU,ADに区分し、そして、縦方向において胴回り開口BH側に位置する領域AUのことを「上部領域AU」と言い、股下側に位置する領域ADのことを「下部領域AD」と言った場合に、前者の上部領域AUには、吸収性本体10の吸収性コア11cが概ね重なっていない。そのため、当該上部領域AUには、横方向の略全長に亘って伸縮性が付与されている。すなわち、当該上部領域AUには、横方向の略全長に亘って糸ゴム35,35…(45,45…)が設けられている。
【0049】
一方、後者の下部領域ADについては、その横方向の中央領域ADcに吸収性本体10の吸収性コア11cが重なっていることから、当該中央領域ADcの中央部には糸ゴム35,35…が配置されておらず、これにより、同中央領域ADcの中央部には、横方向の伸縮性がほぼ無い非伸縮領域AL(低伸縮領域に相当)が存在している。但し、この中央領域ADcの両側に位置する各端側領域ADe,ADeには、吸収性コア11cが概ね重ならないことから、当該端側領域ADe,ADeには糸ゴム35,35…(45,45…)が配置されていて、これにより、同端側領域ADe,ADeは、上記の非伸縮領域ALよりも高い伸縮性を有した伸縮領域AH,AH(高伸縮領域に相当)となっている。なお、このような非伸縮領域AL及び伸縮領域AHを下部領域ADに形成することの実現は、上記の中央部を横方向に横断して配された糸ゴムの連続体35a(45a)(
図9A及び
図9Bを参照)を、当該中央部で切断することによりなされているが、かような切断処理については後述する。
【0050】
また、かかる糸ゴム35(45)の繊度としては、例えば、400dtex〜1000dtexを例示でき、また、糸ゴム35(45)の具体例としては、LYCRA(商標)などを例示できる。但し、何等これに限らない。
【0051】
更に、この例では、
図4に示すように、2枚の不織布32,33(42,43)のうちで厚さ方向の非肌側に位置する不織布33(43)の平面サイズは、肌側に位置する不織布32(42)から縦方向の外側に突出するようなサイズとされている。そして、前者の不織布33(43)において突出する部分が、縦方向の内側に折り返されていて、この折り返し部33B(43B)が後者の不織布32(42)の縦方向の端部32Le(42Le)を肌側から覆っているが、何等これに限らない。
【0052】
また、
図3及び
図5に示すように、上記の腹側帯部材31(41)における横方向の両側には、上記の端側領域ADeを含め、吸収性本体10が重ね合わせられていない部分31s(41s)(以下、吸収性本体非存在部分31s(41s)とも言う)が存在しているが、当該吸収性本体非存在部分31s(41s)には、その通気性を良くする目的で、同非存在部分31s(41s)を貫通する複数の通気孔h(h)が所定の配置パターンで離散的に形成されていて、これにより、これら通気孔h(h)は、通気孔hの一群たる通気孔群Gh31(Gh41)をなしている。すなわち、この例では、吸収性本体非存在部分31s(41s)において縦方向に隣り合う糸ゴム35,35(45,45)同士の間の位置に、それぞれ、複数の通気孔h,h…(h,h…)が横方向に所定の形成ピッチで並んで形成されていて、これにより、これら通気孔h,h…(h,h…)は、横方向に沿った通気孔列Rh31(Rh41)をなしている。また、縦方向に隣り合う通気孔列Rh31,Rh31(Rh41,Rh41)同士は、互いに上記形成ピッチの半値だけ横方向にずれている。そして、これにより、これら通気孔h,h…(h,h…)は、概ね千鳥配置で配された通気孔群Gh31(Gh41)をなしている。但し、何等これに限らない。例えば、通気孔h,h…(h,h…)が、格子配置で形成されていても良い。
【0053】
更に、この例では、各通気孔h,h…は、例えば直径が0.2mm〜3mmの正円を目標の開口形状として形成されているが、形成精度の問題で正円になっていない通気孔h,h…も存在する。そして、そのような非正円形状の通気孔hの直径は、通気孔hの周方向の位置に応じて変動しているが、かかる変動する直径についても、例えば0.2mm〜3mmの範囲に入っている。よって、各通気孔hは、所期の通気性を速やかに奏することができる。但し、通気孔hの目標の開口形状は、何等上述の正円に限らない。例えば、正三角形や正方形などの多角形でも良い。
【0054】
また、
図6Aに、通気孔hを厚さ方向の非肌側から見た概略拡大図を示し、また、
図6Bには、
図6A中のB−B断面図を示すが、これら
図6A及び
図6Bを参照してわかるように、通気孔hの縁部heにはバリBが突出しており、また、当該バリB及びその近傍では、不織布32,33(42,43)同士が係合している。すなわち、当該縁部heでは不織布32,33(42,43)同士が互いの構成繊維の交絡等に基づいて係合している。よって、
図6Cの比較例のように通気孔h内に糸ゴム35(45)が入ってしまうことは、上記の縁部heでの係合に基づいて防止されていて、その見栄えの向上が図られている。なお、これについては後述する。
【0055】
更に、この例では、腹側帯部材31に係る2枚の不織布32,33及び背側帯部材41に係る2枚の不織布42,43の何れも、スパンボンド不織布が使用されている。但し、何等これに限らず、SMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布等の別の種類の不織布を用いても良い。また、この例では、不織布の構成繊維として熱可塑性樹脂の代表例のポリプロピレン(PP)の単独繊維を用いているが、何等これに限らない。例えば、ポリエチレン(PE)などの他の熱可塑性樹脂の単独繊維を用いても良いし、更には、PE及びPPの鞘芯構造などの複合繊維を用いても良い。
【0056】
このようなおむつ1は、製造ラインで製造される。同ラインでは、おむつ1の中間製品1mが、所定の搬送方向に沿って搬送されている(搬送工程に相当)。そして、かかる搬送中に、同中間製品1mには種々の処理が施され、各処理が施される度に、順次中間製品1mの形態が変化していって、最終的に
図2のようなおむつ1が完成する。
【0057】
なお、以下では、製造ラインの幅方向のことを「CD方向」とも言う。また、この例では、CD方向は水平方向に沿っている。そして、この製造ラインでは、このCD方向と直交する平面内の任意の方向を搬送方向として中間製品1mは搬送されている。すなわち、搬送方向は、鉛直な上下方向と水平な前後方向との両者で規定される方向を向いている。なお、ここで言う「上下方向」及び「前後方向」は、それぞれ、前述のおむつ1の説明で用いた「上下方向」及び「前後方向」とは直接的には関係しない別の方向である。
【0058】
また、中間製品1mの搬送は、ベルトコンベアや搬送ローラー等の適宜な搬送装置でなされる。よって、特段の説明が無い限りは、これらの搬送装置によって、中間製品1mが搬送方向に搬送されているものとする。なお、ベルトコンベアの一例としては、駆動周回する無端ベルトを搬送面として有した通常のベルトコンベアや、無端ベルトの外周面に吸着機能を有したサクションベルトコンベア等を挙げることができる。
【0059】
図7は、製造ラインでなされる各種処理を説明するための同ラインの概略平面図である。製造ラインは、通気孔形成工程S50(孔部形成工程に相当)と、スリット工程S60と、間隔形成工程S70と、腹側糸ゴム切断工程S80(弾性部材切断工程に相当)と、背側糸ゴム切断工程S90(弾性部材切断工程に相当)と、吸収性本体取り付け工程S100(吸収性本体固定工程に相当)と、二つ折り工程S110と、サイドシール工程S120と、切断工程S130と、を有している。そして、これらの各工程S50〜S130を行う各位置が、搬送方向の上流側から下流側へと、この順番で並んで位置している。
【0060】
図8Aは、通気孔形成工程S50へ搬送される直前の中間製品1mの概略平面図であり、
図8Bは、通気孔形成工程S50を通過直後の中間製品1mの概略平面図である。
【0061】
図8A及び
図8Bを対比してわかるように、この通気孔形成工程S50では、腹側帯部材31及び背側帯部材41の両者の基材となる中間製品1mに対して前述の通気孔h,h…(孔部に相当)を形成する。ここで、この製造ラインでは、中間製品1mは、所謂横流れの搬送形態で搬送されている。すなわち、おむつ1の横方向が搬送方向を向き縦方向がCD方向を向いた姿勢で中間製品1mは搬送されている。そのため、
図8Aに示すように、上工程から通気孔形成工程S50に送られる時点の中間製品1mの形態は、概ね、複数の腹側帯部材31,31…が横方向に連続してなる腹側帯部材の連続体31aと、複数の背側帯部材41,41…が横方向に連続してなる背側帯部材の連続体41aとがCD方向に一体に繋がってなる一つのシート状部材30mfとなっている。
【0062】
より正確には、このシート状部材30mfは、腹側帯部材31の不織布32の縦方向の寸法と背側帯部材41の不織布42の縦方向の寸法との加算値に相当するCD方向の大きさを有しつつ搬送方向に連続する連続不織布30mf1(第1不織布に相当)と、腹側帯部材31の不織布33の縦方向の寸法と背側帯部材41の不織布43の縦方向の寸法との加算値に相当するCD方向の大きさを有しつつ搬送方向に連続する連続不織布30mf2(第2不織布に相当)と、を有している。そして、これらの連続不織布30mf1,30mf2は、厚さ方向に重ね合わせられた二枚重ねの状態でホットメルト接着剤で接合されている。また、これら連続不織布30mf1,30mf2同士の間には、前述の複数の糸ゴム35,45となるべき複数の糸ゴムの連続体35a,45aが、搬送方向に伸長状態で搬送方向に沿って連続しつつ、CD方向に並んだ状態で介挿されて各連続不織布30mf1,30mf2に固定されている。更に、2枚の連続不織布30mf1,30mf2のうちの一方の連続不織布30mf2は、もう一方の連続不織布30mf1よりもCD方向のサイズが大きくなっていて、これにより、前者たる一方の連続不織布30mf2は、後者たるもう一方の連続不織布30mf1からCD方向の両側に突出する部分30mf2p1,30mf2p2を有している。そして、かかる各突出する部分30mf2p1,30mf2p2が、それぞれCD方向の内側に折り返されていて、これにより、前述の折り返し部33B,43Bに相当する部分が形成されている。
【0063】
そして、この通気孔形成工程S50では、このようなシート状部材30mf(複合シートに相当)たる
図8Aの中間製品1mに対して、
図8Bに示すようにCD方向の一方側の領域に腹側帯部材31の一対の通気孔群Gh31,Gh31をそれぞれ搬送方向に製品ピッチP1で繰り返し形成し、また、他方側の領域には背側帯部材41の一対の通気孔群Gh41,Gh41をそれぞれ搬送方向に製品ピッチP1で繰り返し形成する。なお、ここで言う製品ピッチP1は、
図3の展開状態における腹側帯部材31及び背側帯部材41の横方向の全長L31,L41と概ね同値である。
【0064】
次のスリット工程S60では、
図7に示すように、中間製品1mとして通気孔hが形成済みの上記シート状部材30mfをCD方向に二分割して、これにより、糸ゴムの連続体35aが未切断状態の腹側帯部材の連続体31aと、糸ゴムの連続体45aが未切断状態の背側帯部材の連続体41aとを生成する。
【0065】
次の間隔形成工程S70では、同
図7に示すように、中間製品1mとしての腹側帯部材の連続体31aと背側帯部材の連続体41aとを、それぞれ、CD方向の外側にそれぞれ移動する。そして、これにより、これら連続体31a,41a同士のCD方向の間に、
図3の展開形状のおむつ1における腹側帯部材31と背側帯部材41との間の縦方向の間隔Ldに相当する大きさの間隔を形成する。
【0066】
次の腹側糸ゴム切断工程S80では、上記の腹側帯部材の連続体31aが通過する際に、同連続体31aにおける非伸縮領域ALに対応する領域AL1で糸ゴムの連続体35aを切断し、これにより、腹側帯部材の連続体31aに非伸縮領域ALを形成する。詳しくは次の通りである。
【0067】
先ず、この腹側帯部材の連続体31aにおいては、
図9Aの概略平面図に示すように、CD方向の一方側の領域が、前述の腹側帯部材31における上部領域AUに相当し、他方側の領域が、同じく下部領域ADに相当している。そして、この時点では、どちらの領域にも、糸ゴムの連続体35aが搬送方向に沿って当該搬送方向に伸長した状態で配されている。但し、上部領域AUに相当する前者の一方側の領域には、糸ゴムの連続体35aが搬送方向の全長に亘ってホットメルト接着剤で固定されているが、下部領域ADに相当する後者の他方側の領域には、糸ゴムの連続体35aが固定されている固定領域AH1と、固定されていない非固定領域AL1とが、搬送方向に存在している。そして、この非固定領域AL1は、搬送方向に製品ピッチP1で且つ搬送方向に前述の非伸縮領域ALの大きさで存在している。
よって、
図9Bの右部に示すように、この非固定領域AL1の所定位置PCで糸ゴムの連続体35aを切断すると、糸ゴムの連続体35aにおける下流側の端部35aedが同連続体35aから切り離される。すると、切り離された糸ゴム35における上流側の部分35euが、その下流側に位置する固定領域AH1の方へと収縮する。また、上記の切断に基づいて糸ゴムの連続体35aにおける新たな下流側の端部となった部分35aednは、その上流側に位置する固定領域AH1の方へ収縮する。そして、これにより、
図9Bの左部に示すように、非固定領域AL1は、糸ゴム35が存在しない状態となって、結果、当該非固定領域AL1が、前述の非伸縮領域ALとなる。一方、同
図9Bに示すように、固定領域AH1には、ホットメルト接着剤での固定に基づいて、上記の切り離された糸ゴム35及び上記新たな下流側の端部となった部分35aednがそれぞれ留まるので、当該糸ゴム35によって当該固定領域AH1には伸縮性が付与される。そして、これにより、当該固定領域AH1は、前述の伸縮領域AHとなる。
【0068】
なお、ここで望ましくは、固定領域AH1たる伸縮領域AHに糸ゴムの連続体35aを固定するための固定部としてのホットメルト接着剤が、腹側帯部材の連続体31aに係る連続不織布30mf1,30mf2の方に塗布されているのではなく、糸ゴムの連続体35aの方に塗布されていると良く、また、上記のホットメルト接着剤以外の接着剤が固定領域AH1に塗布されていないと良い。そして、この場合には、固定領域AH1たる伸縮領域AHでの連続不織布30mf1,30mf2同士の固定は、糸ゴムの連続体35aに塗布されたホットメルト接着剤、及び、前述の通気孔hの縁部heでの連続不織布30mf1,30mf2同士の係合(
図11の要部拡大図)だけによってなされていて、これにより、腹側帯部材の連続体31aの伸縮領域AHには、上記の接着剤及び縁部he以外に、連続不織布30mf1,30mf2同士を固定するための固定部が設けられていない。すなわち、同伸縮領域AHにおいては、連続不織布30mf1,30mf2同士を固定するためだけの機能の固定部を設けていない。よって、腹側帯部材の連続体31aの柔らかさを高めることができる。また、この例では、通気孔hの縁部heでは、連続不織布30mf1,30mf2同士の構成繊維の係合だけで連続不織布30mf1,30mf2同士が固定されているが、場合によっては、縁部heに接着剤が存在していて、当該接着剤が不織布30mf1,30mf2同士の固定に寄与していても良い。但し、腹側帯部材の連続体31aを柔らかくする観点からは、通気孔hの縁部heに接着剤が存在していない方が望ましい。
【0069】
次の背側糸ゴム切断工程S90では、
図7に示す上記背側帯部材の連続体41aが通過する際に、同連続体41aにおける非伸縮領域ALに対応する領域AL1で糸ゴムの連続体45aを切断し、これにより、背側帯部材の連続体41aに非伸縮領域ALを形成する。なお、この切断による非伸縮領域ALの形成処理は、腹側帯部材の連続体31aに対してなされた上述の切断処理と概ね同じである。よって、その説明については省略する。
【0070】
次の吸収性本体取り付け工程S100では、上記の各糸ゴム切断工程S80,S90から中間製品1mとして送られる各帯部材の連続体31a,41a同士に、不図示の別工程で生成された単票状の吸収性本体10を掛け渡して固定し、これにより、中間製品1mを、
図3の略H形状に展開されたおむつ1H,1H…が連続してなる略梯子状のおむつの連続体1Haの形態にする。
【0071】
次の二つ折り工程S110では、中間製品1mたる略梯子状のおむつの連続体1Haを、腹側帯部材の連続体31aと背側帯部材の連続体41aとが厚さ方向の上下に重なるように二つ折りする。
【0072】
次のサイドシール工程S120では、二つ折り工程S110で上下に重ねられた腹側帯部材の連続体31aと背側帯部材の連続体41aとを、おむつ1の横方向の端部31e,41eに相当する位置で溶着してサイドシール部SSを形成し、これにより、二つ折り状態に固定する。そして、その結果、中間製品1mは、複数のパンツ型のおむつ1,1…が横方向に繋がってなるパンツ型のおむつの連続体1aの形態となる。
【0073】
そうしたら、最後の切断工程S130では、中間製品1mとしてのパンツ型のおむつの連続体1aを各サイドシール部SSで切断して、これにより、パンツ型のおむつ1が製造される。
【0074】
以下、各工程S50〜S100についてより詳しく説明するが、ここで、二つ折り工程S110以降の各工程S110〜S130については、適宜、周知な方法で実現可能なことは明らかなので、これ以上の説明はしない。
【0075】
<<<通気孔形成工程S50>>>
通気孔形成工程S50には、シート状部材30mfに通気孔hを形成する通気孔形成装置50(孔部形成装置に相当)が配置されている。
図10は、一部の構成(上流側ロール51及び下流側ロール58)を縦断面視で示す同装置50の概略側面図であり、
図11は、
図10中のXI−XI矢視の概略拡大図である。
図10に示すように、通気孔形成装置50は、CD方向に沿った回転軸回りに駆動回転する3本のロール51,55,58を有する。すなわち、搬送方向の上流側から下流側へと、上流側ロール51、中間ロール55、及び下流側ロール58の順番で各ロール51,55,58が並んで配置されている。また、中間ロール55は、上流側ロール51及び下流側ロール58の両者と、互いの外周面が対向するように各ロール51,58に近接配置されている。そして、通気孔形成装置50へ中間製品1mとして送られた上記のシート状部材30mfは、これら3本のロール51,55,58の回転動作に基づいて、略Ω形状の搬送ルートで搬送される。すなわち、先ず、シート状部材30mfは、当該上流側ロール51に巻き付いた状態となる円弧状の第1搬送ルートR51で搬送され、次に、中間ロール55に巻き付いた状態となる円弧状の第2搬送ルートR55で搬送され、最後に、下流側ロール58に巻き付いた状態となる円弧状の第3搬送ルートR58で搬送される。そして、しかる後に、シート状部材30mfは、下流側ロール58から離れて次工程のスリット工程S60へと送出される。
なお、上流側ロール51と中間ロール55とは、上流側ロール51の回転方向Dc51における所定位置P51で最接近しているが、この最接近位置P51が、第1搬送ルートR51から第2搬送ルートR55へと切り替わる位置である。同様に、中間ロール55と下流側ロール58とは、中間ロール55の回転方向Dc55における所定位置P55で最接近しているが、この最接近位置P55が、第2搬送ルートR55から第3搬送ルートR58へと切り替わる位置である。
【0076】
中間ロール55は、外周面に突出形成された複数のピン部材55p,55p…(押し込み部材)を有する。各ピン部材55p,55p…は、先端側が先細り形状の部材である。すなわち、
図11に示すように、この例では、ピン部材55pは、先端側に円錐部55paを有し、根元側に円錐部55paの底面と同径の円柱部55pbを一体に有している。また、上流側ロール51の外周面は、ピン部材55p,55p…を挿入可能な穴部51h,51h…を有している。すなわち、穴部51hは、ピン部材55pが挿入される範囲において、ピン部材55pの円錐部55paの直径よりも大きな直径を有している。そして、上記の最接近位置P51において、一つの穴部51hにピン部材55pが一つだけ挿入されるように、各穴部51hは各ピン部材55pに対応して形成されている。
【0077】
よって、
図10の上流側ロール51上に位置するシート状部材30mfにおいて通気孔hを形成すべき形成対象部分が上記最接近位置P51を通過する際には、
図11に示すように、上流側ロール51の各穴部51hに、対応するピン部材55pが挿入されることにより、ピン部材55pは、シート状部材30mfにおける上記形成対象部分に円滑に押し込まれて、これにより、当該形成対象部分に通気孔hが速やかに貫通形成される。ちなみに、この例では、上述のように最接近位置P51で通気孔hが形成されることから、当該最接近位置P51が、請求項に係る孔部形成処理位置に相当する。
【0078】
また、
図11中の要部拡大図に示すように、この通気孔hの貫通形成の際には、シート状部材30mfを構成する連続不織布30mf1,30mf2同士が、通気孔hの縁部heで係合される。すなわち、縁部heには、ピン部材55pの押し込み方向に突出したバリBが形成されるが、当該バリB及びその近傍部分では、連続不織布30mf1の構成繊維と連続不織布30mf2の構成繊維とが交絡等して係合している。そのため、これら連続不織布30mf1,30mf2同士は、通気孔hの縁部heで接合されていると言うこともできる。そして、かかる縁部heでの連続不織布30mf1,30mf2同士の係合に基づいて、当該連続不織布30mf1,30mf12同士の間の糸ゴムの連続体35a(45a)が通気孔hの内側に入ることは防止され、その結果、最終的に製造されたおむつ1において糸ゴム35(45)が通気孔hから見えてしまうという不具合を防止可能となる。
【0079】
なお、
図11の円錐部55paの頂角は、例えば20°〜45°の範囲から選択され、この例では36°である。また円錐部55paの高さは、例えば3mm〜8mmの範囲から選択され、この例では、4.6mmである。但し、何等これに限らない。更に、この例では、穴部51hの縁部が面取りされているが、何等これに限らず、つまり、面取りされていなくても良い。
【0080】
また、この例では、
図10の中間ロール55は、一回転につき
図8Bのようにおむつ二つ分の通気孔群Gh31,Gh31,Gh31,Gh31,Gh41,Gh41,Gh41,Gh41を形成するように、周長が前述の製品ピッチP1の略2倍に相当する長さの大径ロールとされている。一方、
図10の上流側ロール51は、一回転につき
図8Bのおむつ一つ分の通気孔群Gh31,Gh31,Gh41,Gh41を形成可能なように、周長が略製品ピッチP1に相当する長さの小径ロールとされている。但し、何等これに限らない。
【0081】
図12は、中間ロール55の外周面におけるピン部材55pの配置パターンの説明図であり、
図13は、上流側ロール51の外周面における穴部51hの配置パターンの説明図である。なお、何れの図も、各ロール55,51の外周面を平面上に展開して示している。また、
図12では、図の錯綜を防ぐ目的で後述の受け部55rを不図示としている。
【0082】
図12に示すように、ピン部材55pは、前述のシート状部材30mfに形成される通気孔群Gh31,Gh41に対応させて設けられている。すなわち、
図8Bに示すように、シート状部材30mfにおけるCD方向の一方側の領域には、おむつ一つにつき腹側帯部材31用に一対の通気孔群Gh31,Gh31が形成されるべきであることから、
図12に示すように、中間ロール55の外周面におけるCD方向の一方側の領域には、通気孔群Gh31と同じ千鳥配置で複数のピン部材55pを有したピン部材群G55p1,G55p1が、回転方向Dc55に一対並んで設けられている。同様に、シート状部材30mfにおいてCD方向の他方側の領域には、おむつ一つにつき背側帯部材41用の一対の通気孔群Gh41,Gh41が形成されるべきであることから、中間ロール55の外周面におけるCD方向の他方側の領域には、通気孔群Gh41と同じ千鳥配置で複数のピン部材55pを有したピン部材群G55p2,G55p2が回転方向Dc55に一対並んで設けられている。
【0083】
また、この例では、前述のように、中間ロール55は一回転でおむつ二つ分の通気孔hを形成することから、回転方向Dc55に並ぶ上記一対のピン部材群G55p1,G55p1(G55p2,G55p2)を1セットのピン部材群セットSG55p1(SG55p2)とした場合に、中間ロール55の外周面には、回転方向Dc55に180°の等ピッチで2セットのピン部材群セットSG55p1,SG55p1(SG55p2,SG55p2)が並んで設けられている。
【0084】
更に、
図14Aに、
図12中のXIVa部の拡大図を示し、
図14Bには、
図14A中のB−B矢視図を示すが、ここで、前者の
図14Aに示すように、この中間ロール55の外周面において隣り合うピン部材55p,55p同士の間の位置には、ピン部材55pとは別体の受け部55rが突出形成されている。そして、
図14Bに示すように、この受け部55rは、先端に、中間ロール55の回転半径方向Dr55の外方を向いた頂面55rtを有した略円柱体である。よって、シート状部材30mfは、ピン部材55p以外に当該受け部55rでも受け止められて保持される。そのため、シート状部材30mfを、全体として、中間ロール55の回転半径方向Dr55の適正な位置に安定して保持可能となる。また、このとき、同受け部55rは上記頂面55rtでシート状部材30mfの一方の面を貫通せずに受け止めるが、このことも、シート状部材30mfを上記の適正な位置に安定して保持することに有効に寄与する。
【0085】
また、この例では、
図14Aに示すように、かかる受け部55rは、ピン部材55pの周囲の四カ所にそれぞれ設けられていて、これにより、シート状部材30mfを確実に受け止め可能としているが、何等上記の四カ所に限らない。例えば、配置スペースを確保できない場合には、これより少なくても良いし、逆に配置スペースを確保できる場合には、これより多くても良い。
【0086】
更に、この
図14Bの例では、受け部55rの頂面55rtの位置は、ピン部材55pの頂点の位置よりも中間ロール55の回転半径方向Dr55の内方に位置している。そして、これにより、ピン部材55pによる通気孔hの貫通形成処理を、受け部55rが邪魔することを防止している。なお、ここで望ましくは、受け部55rの頂面55rtは、ピン部材55pの円錐部55paの底面の近傍に位置していると良く、例えば、当該頂面55rtは、回転半径方向Dr55の位置に関して上記底面の位置を中心とする±2mmの範囲に入っていると良い。そして、この例では、当該頂面55rtは、円錐部55paの底面と一致している。よって、受け部55rは、ピン部材55pの通気孔hの貫通形成処理を概ね邪魔せずにシート状部材30mfを確実に受け止めることができる。そして、これにより、ピン部材55pは、シート状部材30mfに対して速やかに通気孔hを形成可能となる。
【0087】
また、この例では、受け部55rの頂面55rtは正円形状とされていて、その直径は、例えば2mm〜5mmの範囲から選択されているが、何等これに限らない。例えば、正三角形や正方形などの多角形でも良いし、これら以外の形状でも良い。
【0088】
一方、
図13に示すように、上流側ロール51の外周面の穴部51hは、ピン部材55pに対応させて設けられている。すなわち、
図12に示すように、中間ロール55の外周面におけるCD方向の一方側の領域には一対のピン部材群G55p1,G55p1が回転方向Dc55に並んで設けられていることから、これに対応させて、上流側ロール51の外周面におけるCD方向の一方側の領域には、千鳥配置で複数の穴部51hを有した穴部群G51h1,G51h1が、回転方向Dc51に並んで一対設けられている。同様に、
図12に示すように、中間ロール55の外周面におけるCD方向の他方側の領域には一対のピン部材群G55p2,G55p2が回転方向Dc55に並んで設けられていることから、これに対応させて、上流側ロール51の外周面におけるCD方向の他方側の領域には、千鳥配置で複数の穴部51hを有した穴部群G51h2,G51h2が、回転方向Dc51に一対並んで設けられている。
【0089】
但し、前述のように上流側ロール51は、一回転でおむつ一つ分の通気孔hの形成に関与することから、回転方向Dc51に並ぶ上記一対の穴部群G51h1,G51h1(G51h2,G51h2)を1セットの穴部群セットSG51h1(SG51h2)とした場合に、上流側ロール51の外周面には、かかる穴部群セットSG51h1(SG51h2)が1セットだけ設けられている。
【0090】
また、場合によっては、
図10の中間ロール55の内部に電熱ヒーター等の加熱装置(不図示)を内蔵させて、これにより、中間ロール55のピン部材55pを加熱しても良い。そして、このようにすれば、加熱されたピン部材55pに基づいて、シート状部材30mfの連続不織布30mf1,30mf2の熱可塑性樹脂の構成繊維を軟化させることができる。よって、当該ピン部材55pをシート状部材30mfに押し込む際に当該構成繊維を周囲に押し退け易くなって、これにより、通気孔hを形成し易くなる。また、加熱温度を上げることにより、通気孔hの縁部heを部分的に又は全周に亘って溶融することができて、これにより、縁部heにてシート状部材30mfの連続不織布30mf1,30mf2同士が溶着する。よって、前述の縁部heでの連続不織布30mf1,30mf2同士の係合をより強固にすることができる。
【0091】
ちなみに、加熱の目安としては、例えば、ピン部材55pの温度が、上記の熱可塑性樹脂の軟化点以上となるように加熱することが挙げられ、また、場合によっては、融点以上にすることが挙げられる。軟化点については、JISK7196(熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法)のTMA(熱機械分析)で求めることができる。また、融点については、JISK7121(プラスチックの転移温度測定方法)のDSC(示差走査熱量測定)において融解ピーク温度として求めることができる。
【0092】
他方、
図10の下流側ロール58の構成は、概ね上流側ロール51のそれと同じである。例えば、下流側ロール58の外周面には、上流側ロール51の外周面の穴部群G51h1,G51h2と同仕様の穴部群G58h1,G58h2が設けられている。そして、これにより、シート状部材30mfを中間ロール55から受け取る際に、これら穴部群G58h1,G58h2の各穴部58hには、中間ロール55のピン部材55pが円滑に挿入されて、これにより、シート状部材30mfに形成された通気孔hの形状を大きく崩すことなく、当該シート状部材30mfを受け取り可能である。
【0093】
<<<スリット工程S60>>>
図7に示すように、スリット工程S60では、上工程の通気孔形成工程S50から送られる通気孔hを形成済みの上記シート状部材30mfを、CD方向の一方側の領域と他方側の領域との境界位置BL(
図8B)において二分割する。そして、これにより、糸ゴムの連続体35aが未切断状態の腹側帯部材の連続体31aと、糸ゴムの連続体45aが未切断状態の背側帯部材の連続体41aとが、CD方向に並んだ状態で生成される(
図7)。
【0094】
かかる二分割処理は、
図7の周知のスリッター装置60を用いて実施可能である。すなわち、同装置60は、例えば上下一対の円盤状の回転刃を有し、そして、回転刃の外周縁の刃先でもって上記のシート状部材30mfをCD方向に二分割するが、かような装置60は周知である。よって、これ以上の説明については省略する。
【0095】
<<<間隔形成工程S70>>>
図7に示すように、間隔形成工程S70では、上工程のスリット工程S60から送られる腹側帯部材の連続体31aと背側帯部材の連続体41aとを、それぞれ、CD方向の外側にそれぞれ移動して、これにより、これら連続体31a,41a同士のCD方向の間に、
図3の展開形状のおむつ1における腹側帯部材31と背側帯部材41との間の縦方向の間隔Ldに相当する大きさの間隔を形成する。
【0096】
なお、かかる腹側帯部材の連続体31aのCD方向の外側への移動及び背側帯部材の連続体41aのCD方向の外側への移動については、それぞれ、上記移動を考慮した搬送経路に沿って複数の搬送ローラー(不図示)を配置することにより実現可能であり、その内容については上記の記載から想到可能である。そのため、これ以上の説明については省略する。
【0097】
<<<腹側糸ゴム切断工程S80>>>
腹側糸ゴム切断工程S80においては、上工程の間隔形成工程S70から送られる
図9Aの腹側帯部材の連続体31aに対して、
図9Bに示すように、非伸縮領域ALに対応する非固定領域AL1では、糸ゴムの連続体35aを切断する一方、伸縮領域AHに対応する固定領域AH1では、糸ゴムの連続体35aを切断しない。そして、これにより、腹側帯部材の連続体31aに非伸縮領域ALと伸縮領域AHとが形成される。なお、非伸縮領域ALに対応する領域AL1は、搬送方向におむつ1の製品ピッチP1で現れる。よって、かかる切断処理は、腹側帯部材の連続体31aに対しておむつ1の製品ピッチP1で行われる。
【0098】
この切断処理は、腹側用カッター装置80(弾性部材切断装置に相当)によりなされる。
図15Aは、同装置80の概略側面図であり、
図15Bは、
図15A中のB−B矢視図である。
図15Aに示すように、カッター装置80は、互いの外周面81ua,81daを対向させつつ、CD方向に沿った回転軸回りに駆動回転する上下一対のロール81u,81dと、各軸受け部材82を介してこれらロールロール81u,81dを支持するハウジング85と、を有する。
【0099】
各ロール81u,81dは、駆動源としての不図示のサーボモータによって上記回転軸回りに回転方向Dc81u,Dc81dに沿って回転する。よって、上下一対のロール81u,81dの外周面81ua,81da同士の間に送り込まれた腹側帯部材の連続体31aは、当該外周面81ua,81da同士の間を通過して搬送方向の下流に送り出される。
【0100】
また、この例では、上ロール81uがカッターロールであり、下ロール81dがアンビルロールである。すなわち、上ロール81uの外周面81uaには、回転方向Dc81uにおいておむつ1の製品ピッチP1に対応する角度おきに、少なくとも一つのカッターブロック84が設けられている。詳しくは、この例では、
図15A中にハッチングで示すように、二つのカッターブロック84,84が回転方向Dc81uに180°の角度おきに設けられている。また、各カッターブロック84には、複数のカッター刃C,C…が突出形成されており、アンビルロールたる下ロール81dの外周面81daは、上記のカッター刃C,C…を受けるべく平滑面とされている。更に、これらロール81u,81dは、腹側帯部材の連続体31aの搬送動作と連動して回転するように制御されていて、これにより、非伸縮領域ALに対応する前述の非固定領域AL1が通過する度に、同非固定領域AL1にカッターブロック84が対向するようにカッターロール81uは回転する。
【0101】
よって、これら一対のロール81u,81dの外周面81ua,81da同士の間に位置しつつ、これら外周面81ua,81da同士が最接近する最接近位置P81(切断処理位置に相当)を、
図9Aの非伸縮領域ALに対応する非固定領域AL1が通過する度に、同非固定領域AL1は、カッターロール81uのカッターブロック84のカッター刃C,C…とアンビルロール81dの外周面81daとで押圧される。そして、押圧された各位置PCで各糸ゴムの連続体35a,35a…がそれぞれ切断される。
【0102】
すると、この切断によって、
図9Bの右部に示すように、糸ゴムの連続体35aにおける下流側の端部35aedが同連続体35aから切り離されて、切り離された糸ゴム35における上流側の部分35euが、その下流側に位置する固定領域AH1の方へと収縮する。また、上記の切断に基づいて糸ゴムの連続体35aにおける新たな下流側の端部となった部分35aednは、その上流側に位置する固定領域AH1の方へ収縮する。そして、これにより、
図9Bの左部に示すように、非固定領域AL1は、糸ゴム35が存在しない状態となって、結果、当該非固定領域AL1が、前述の非伸縮領域ALとなる。一方、同
図9Bに示すように、固定領域AH1には、ホットメルト接着剤での固定に基づいて、上記の切り離された糸ゴム35及び上記新たな下流側の端部となった部分35aednがそれぞれ留まるので、当該糸ゴム35によって当該固定領域AH1には伸縮性が付与される。そして、これにより、当該固定領域AH1は、前述の伸縮領域AHとなる。
【0103】
一方、
図9Aに示すように、この切断前の時点では、腹側帯部材の連続体31aにおいて伸縮領域AHに対応する上記の固定領域AH1には、前述の通気孔hが形成済みであり、前述のように、当該通気孔hの縁部heでは、腹側帯部材の連続体31aを構成する連続不織布30mf1,30mf2同士が構成繊維の交絡等でもって互いに係合した状態にある(
図11の要部拡大図を参照)。そのため、万一、固定領域AH1での糸ゴム35及び糸ゴムの連続体35aの固定強度が弱いことに起因して、切断されて収縮する糸ゴムの上記部分35eu,35aednが固定領域AH1内に大きく侵入するとともに、当該部分35eu,35aednがCD方向にふらついて通気孔hの方に近づこうとしても、
図11の要部拡大図の通気孔hの縁部heでの連続不織布30mf1,30mf2同士の係合に基づいて、それ以上の通気孔hへの接近は抑制される。よって、糸ゴム35及び糸ゴムの連続体35aの収縮後に通気孔hから当該糸ゴム35が見える状態になってしまうことを防ぐことができて、その結果、腹側帯部材の連続体31aの見栄えを良好にすることができる。
【0104】
図15Bに示すように、この例では、カッターロール81uの外周面81uaの各カッターブロック84には、カッター刃Cが、各糸ゴムの連続体35a,35a…のそれぞれに対して一つずつ設けられている。例えば、
図9Bに示すように腹側帯部材の連続体31aの下部領域ADには14本の糸ゴムの連続体35a,35a…が配されているので、各カッターブロック84には、それぞれ14個のカッター刃C,C…が設けられている。そして、これにより、各カッター刃Cが、それぞれ、対応する1本の糸ゴムの連続体35aを搬送方向の一カ所PCで切断する。
但し、何等これに限らない。例えば、各糸ゴムの連続体35aを確実に切断する目的で、各糸ゴムの連続体35aに対して、それぞれ、複数のカッター刃C,C…を対応させても良い。すなわち、複数のカッター刃C,C…が、カッターロール81uの回転方向Dc81uに沿った直線上に並んで配置されていても良い。
【0105】
また、この例では、各カッター刃C,C…は、刃先の平面視形状が直線状である。そして、その刃先の長さLCは、例えば4mm〜15mmの範囲から選択され、刃先の幅寸WCは、例えば0.1mm〜0.5mmの範囲から選択されている。但し、刃先の形状は、何等上述の如き直線状に限らず、例えばジグザク形状の折れ線状であっても良いし、円弧線状等の曲線状であっても良い。
【0106】
更に、かかる切断に伴って各カッター刃Cが押圧した各位置PCでは、糸ゴムの連続体35aを切断した痕跡TCとして線状の圧着部か、或いは線状の切断部が形成される(
図9B)。なお、前者の圧着部は、腹側帯部材の連続体31aにおける連続不織布30mf1.30mf2同士が圧着されたものであり、後者の切断部は、これら連続不織布30mf1,30mf2の両者が切断されて貫通されたものである。
【0107】
ここで望ましくは、
図16Aに示すように、当該痕跡TCが、全ての通気孔hのうちで痕跡TCの搬送方向の両側に最も近く位置する一対の通気孔h,hとCD方向に関してオーバーラップしないように、上記の切断処理が行われると良い。そして、このようにされていれば、通気孔hの近接位置で糸ゴムの連続体35aを切断せざるを得ない場合でも、カッター刃Cで通気孔hを崩さずに、糸ゴムの連続体35aを切断可能となる。例えば
図16Bに示す例のように非固定領域AL1に通気孔hが形成されている場合でも、カッター刃Cで通気孔hを崩さずに、糸ゴムの連続体35aを切断可能となる。
【0108】
ちなみに、この
図16Bの例では、全ての痕跡TCが、通気孔hに対して上記の非オーバーラップの位置関係となっている。しかし、何等これに限らない。すなわち、少なくとも1つの痕跡TCが非オーバーラップの位置関係になっていても、上記の作用効果を相応に享受することができる。そのため、1つの痕跡TCが、非オーバーラップの位置関係を満たしていても良い。また、かような切断処理の実現は、痕跡TCと通気孔hとが上記のような位置関係となるように、ピン部材55pとカッター刃CとのCD方向の相対位置を調整することでなすことができる。
【0109】
また、更に望ましくは、
図16Aに示すように、上記の痕跡TCの搬送方向の大きさLTCが、全ての通気孔hのうちで当該痕跡TCの搬送方向の両側に最も近く位置する一対の通気孔h,h同士の間の搬送方向の間隔Dhより小さくなっていると良い。そして、このようになっていれば、上記のようなカッター刃Cで通気孔hを崩してしまうという不具合をより確実に防ぐことができる。なお、
図16Bの例では、全ての痕跡TCが、対応する一対の通気孔h,hに対して上記のような大小関係になっている。しかし、何等これに限らない。すなわち、少なくとも1つの痕跡TCが、対応する通気孔h,hに対して上記のような大小関係になっていても、上記の作用効果を相応に享受することができる。そのため、1つの痕跡TCが、上記の大小関係を満たしていても良い。また、かような切断処理の実現は、カッター刃Cの刃先の搬送方向の大きさが、当該カッター刃Cの搬送方向の両側に位置する一対のピン部材55p,55p同士の間の搬送方向の間隔より小さくなるようにカッター刃C及び一対のピン部材55p,55pの相対位置関係を調整することでなすことができる。
【0110】
<<<背側糸ゴム切断工程S90>>>
図7に示すように、背側糸ゴム切断工程S90においては、上工程の間隔形成工程S70から送られる背側帯部材の連続体41aに対して、
図9A及び
図9Bを参照して説明したのと同様の切断処理を行う。すなわち、非伸縮領域ALに対応する領域AL1では、糸ゴムの連続体45aを切断し、伸縮領域AHに対応する領域AH1では、糸ゴムの連続体45aを切断しない。そして、これにより、背側帯部材の連続体41aに非伸縮領域ALと伸縮領域AHとが形成される。なお、上述からわかるように、かかる切断処理は、前述の腹側糸ゴム切断工程S80と概ね同じであり、また、当該切断処理を行う
図7の背側用カッター装置90(弾性部材切断装置に相当)の構成も、腹側用カッター装置80のそれと同じである。そのため、ここでは、その詳細な説明については省略する。
【0111】
<<<吸収性本体取り付け工程S100>>>
吸収性本体取り付け工程S100においては、
図7に示すように、上工程の各糸ゴム切断工程S80,S90から中間製品1mとして送られる各帯部材の連続体31a,41a同士に、不図示の別工程で生成された単票状の吸収性本体10を掛け渡して固定し、これにより、中間製品1mを、
図3の略H形状に展開されたおむつ1H,1H…が連続してなる略梯子状のおむつの連続体1Haの形態にする。
【0112】
ここで、この吸収性本体10を取り付ける時点では、既に腹側帯部材の連続体31a及び背側帯部材の連続体41aには、通気孔hは形成済みであり、また、糸ゴムの連続体35a,45aも切断済みである。よって、例えば各帯部材の連続体31a,41aに吸収性本体10を取り付け後に通気孔hの形成処理及び糸ゴムの連続体35a,45aの切断処理を行う場合に起こり得る不具合、すなわち、これら形成処理や切断処理と一緒に吸収性本体10にも同じ処理をしてしまって、当該吸収性本体10を傷つけてしまうという不具合を防ぐことができる。ちなみに、吸収性本体10の取り付け処理の実現については、例えば、外周面に吸収性本体10を吸着保持する複数の保持部を回転方向に製品ピッチP1で並んで有した回転ドラム(不図示)を使用してなすことができ、かかる回転ドラムは周知である。そのため、詳細な説明については省略する。
【0113】
===第2実施形態===
図17は、第2実施形態の製造方法の概略説明図である。
前述の第1実施形態では、
図8Aに示すように、互いに別体の二枚の連続不織布30mf1,30mf2を厚さ方向に重ね合わせることで、通気孔形成工程S50へと送るべき2層構造のシート状部材30mfが形成されていたが、この第2実施形態では、
図17に示すように、この2層構造のシート状部材30mfを一枚の連続不織布30mf3から形成している点で主に相違する。そして、これ以外の点については概ね前述の第1実施形態と同じである。よって、同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
【0114】
図17に示すように、この第2実施形態では、先ず、シート状部材30mfの材料として不図示の原反コイルから1枚の基材シート30mf3が繰り出される。この基材シート30mf3は、CD方向と交差する方向たる搬送方向に連続した例えば単層の連続不織布であり、そして、同基材シート30mf3は、CD方向の一方側に腹側帯部材の連続体31aとなる腹側材料部分31aZ(第3部分に相当)を有し、他方側に背側帯部材の連続体41aとなる背側材料部分41aZ(第3部分に相当)を有している。また、前者の腹側材料部分31aZは、CD方向に腹側帯部材の連続体31aの2つ分の大きさを有し、更に、後者の背側材料部分41aZは、CD方向に背側帯部材の連続体41aの2つ分の大きさを有している。
【0115】
よって、搬送方向の所定位置に設定された折り曲げ工程SBを通過する際に、同工程SBに配された周知の折り曲げ装置(不図示)によって、腹側材料部分31aZにおけるCD方向の中央位置CL31aZ(境界位置に相当)を折り曲げ位置として腹側材料部分31aZがCD方向の内側に折り曲げられて、これにより、腹側材料部分31aZにおけるCD方向の外側部分31aZ2(第2部分に相当)が、内側部分31aZ1(第1部分に相当)に重なった状態にされる。同様に、同工程SBに配された周知の折り曲げ装置(不図示)によって、背側材料部分41aZにおけるCD方向の中央位置CL41aZ(境界位置に相当)を折り曲げ位置として背側材料部分41aZがCD方向の内側に折り曲げられて、これにより、背側材料部分41aZにおけるCD方向の外側部分41aZ2(第2部分に相当)が、内側部分41aZ1(第1部分に相当)に重なった状態にされる。そして、これにより、CD方向の一方側に腹側帯部材の連続体31aとなる部分31apが形成され、他方側に背側帯部材の連続体41aとなる部分41apが形成される。
【0116】
なお、上記の折り曲げの際には、搬送方向に沿って連続しつつ搬送方向に伸長状態の糸ゴムの連続体35a,35a…(45a,45a…)が、CD方向に複数並んだ状態で、外側部分31aZ2(41aZ2)と内側部分31aZ1(41aZ1)との間に介挿されるとともに、この介挿される搬送方向の位置より上流側の位置では、これら糸ゴムの連続体35a(45a)又は基材シート30mf3に対してホットメルト接着剤が塗布されている。よって、当該接着剤によって糸ゴムの連続体35a(45a)は、基材シート30mf3に固定される。
【0117】
そして、このような第2実施形態の製造方法によれば、一枚の基材シート30mf3から、腹側帯部材の連続体31a及び背側帯部材の連続体41aの両者をそれぞれ二層構造の部材として製造することができる。よって、これらの連続体31a,41aをそれぞれ二層構造にするために、同じ装置を二つ設けずに済む。例えば原反から不織布を繰り出すための繰り出し装置を、一層目の不織布用及び二層目の不織布用といった具合に二つ設けずに済んで、つまり、基材シート30mf3用に一つの繰り出し装置を設けることで済ませることができる。そして、その結果、装置数の削減を図れて、設備費を節減できる。
【0118】
また、この製造方法によれば、腹側帯部材の連続体31aとなるべき内側部分31aZ1と外側部分31aZ2とを、上記の通気孔hの縁部heで強固に係合させることもできる。詳しくは、次の通りである。先ず、内側部分31aZ1と外側部分31aZ2とが重なった際に、互いの接触する面同士の間で不織布の密度(g/cm
3)等の性状が同じ又は類似している方が、上記の通気孔hの形成の際に通気孔hの縁部he(
図11の要部拡大図を参照)で構成繊維同士が交絡し易くなって、その結果、当該縁部heでは、高い係合度合いでもって内側部分31aZ1と外側部分31aZ2とが係合する。一方、基材シート30mf3における両面同士で互いに上記の密度等の性状が相違する場合があり得るが、ここで、上記の構成によれば、上記の折り曲げ位置で折り曲げた際に、内側部分31aZ1と外側部分31aZ2とは、互いに基材シート30mf3の両面のうちの同じ面同士が対向して接触する。よって、内側部分31aZ1と外側部分31aZ2とは、互いに同じ性状の面同士が接触して、これにより、当該面において内側部分31aZ1と外側部分31aZ2とを通気孔hの縁部heで強固に係合させることができる。なお、上述したことは、背側帯部材の連続体41aとなるべき内側部分41aZ1及び外側部分41aZ2についても同様である。
【0119】
ちなみに、この係合性向上観点からは、
図17の腹側材料部分31aZと背側材料部分41aZとが一体になっていなくても、この係合性向上の作用効果を奏し得る。そのため、仮にこの作用効果のみを奏すれば良い場合には、腹側材料部分31aZと背側材料部分41aZとの境界位置BL2で上記の基材シート30mf3が分断されたような形態の二枚の基材シートを予め用意しても良い。すなわち、互いに別体の腹側材料部分用の基材シートと背側材料部分用の基材シートとをそれぞれ用意しても良い。
【0120】
===第3実施形態===
図18は、第3実施形態の製造方法の概略説明図である。
図3に示す前述の第1実施形態では、おむつ1の腹側帯部材31の肌側において着用者の肌ストレスが懸念される。すなわち、この腹側帯部材31は、吸収性本体10における縦方向の端縁部10eaeよりも縦方向の外側に突出する部分31tpを有しているが、ここで、当該突出する部分31tpよりも、吸収性本体10の上記端縁部10eaeの方が、厚さ方向の肌側に段差状に突出している。そのため、当該段差状に突出する上記端縁部10eaeにおいて着用者は肌ストレスを感じ得る。
【0121】
そこで、この第3実施形態では、
図18の肌側から見た概略拡大図に示すように肌ストレス軽減用の緩衝シート5を腹側帯部材31の肌側面に設けている。そして、この点で前述の第1実施形態と主に相違し、これ以外の点については第1実施形態と概ね同じである。よって、同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
【0122】
同
図18に示すように、この第3実施形態でも、腹側帯部材31は、吸収性本体10の端縁部10eaeよりも縦方向の外側に突出する部分31tpを有している。しかし、この突出する部分31tpには、肌側から例えばエアスルー不織布製の緩衝シート5(
図18中にてドット模様の部分を参照)が配されている。より詳しくは、当該緩衝シート5は、上記の突出する部分31tpと吸収性本体10の上記端縁部10eaeとの両者を縦方向に跨ぐように配されつつ、これら両者にホットメルト接着剤などで固定されている。よって、上記の肌ストレスを軽減することができる。
また、かかる緩衝シート5は、縦方向よりも横方向に長い横長形状である。そのため、同シート5は、吸収性本体10よりも横方向の両側に突出しているが、ここで、当該横方向に突出する部分5tp,5tpでは、同シート5は、腹側帯部材31に形成された通気孔hの幾つかを肌側から覆っている。よって、万一上記通気孔h内に糸ゴム35が位置している場合でも、当該糸ゴム35を、緩衝シート5で遮って見えないように隠すことができる。そして、これにより、腹側帯部材31の見栄えを良好にすることができる。
【0123】
なお、かかる緩衝シート5の固定処理は、
図7の吸収性本体取り付け工程S100と二つ折り工程S110との間で行われる。そして、当該固定処理は、次のようにして実現可能である。すなわち、搬送方向に連続する緩衝シート5(連続シートに相当)を、
図7の腹側帯部材の連続体31aに対して吸収性本体10の縦方向の端縁部10eaeを当該縦方向に跨ぐように肌側から重ねて固定することで実現可能である。そして、これを実現するのに、これ以上の説明は不要と思われる。よって、これ以上の説明については省略する。
【0124】
更に、不図示であるが、同様の緩衝シート5を腹側帯部材31において胴回り開口BHをなす部分、すなわち、腹側帯部材31の上部領域AU(
図18)に対して設けても良い。そして、この場合にも、同シート5は、吸収性本体10よりも横方向の外側に突出して設けられていて、当該突出する部分5tp,5tpでは、同シート5は、腹側帯部材31の上部領域AUに形成された通気孔hの幾つかを肌側から覆っている。よって、上述と同様の腹側帯部材31の見栄えの向上効果を奏することができる。
【0125】
また、不図示であるが、場合によっては、上記のような幾つかの通気孔hを覆うシート5を、腹側帯部材31の非肌側から腹側帯部材31に重ねて固定しても良い。
【0126】
更には、上記シート5を背側帯部材41に対して設けても良いのは言うまでもなく、その場合の実現方法については、上記の記載から容易に想到可能であるので、その説明については省略する。
【0127】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0128】
上述の実施形態では、孔部の一例として通気孔hを例示し、同通気孔hは貫通孔であったが、何等これに限らない。例えば、上記の孔部は、底部を有した有底孔でも良い。そして、有底孔の場合には、底部を有していることから、同孔から糸ゴム35(45)が見えてしまうという不具合をより確実に防ぐことができる。ちなみに、有底孔の形成の実現は、互いの外周面を対向させて駆動回転する不図示のエンボスロールとアンビルロールとの間に前述のシート状部材30mfを通すことでなすことができる。なお、エンボスロールは、その外周面に、略平坦な頂面の複数の凸部を有したロールであり、アンビルロールは、略平滑な外周面を有したロールである。
【0129】
上述の実施形態では、連続する弾性部材の一例として糸ゴムの連続体35a,45aを例示したが、何等これに限らない。例えば、帯ゴムの連続体でも良い。
【0130】
上述の実施形態では、
図11に示すように、中間ロール55のピン部材55pは、円錐部55paと円柱部55pbとを有していたが、何等これに限らない。例えば、円錐部55paに代えて三角錐や四角錐等の断面多角形の錐状部を有しても良いし、円柱部55pbに代えて三角柱や四角柱等の断面多角形の柱状部を有していても良い。
【0131】
上述の実施形態では、
図10に示すように中間製品1mとしてのシート状部材30mfを、通気孔形成工程S50の通気孔形成装置50の上流側ロール51及び中間ロール55にそれぞれ巻き付けていたが、何等これに限らない。すなわち、上流側ロール51及び中間ロール55のどちらにも巻き付けずに各ロール51,55同士の間にシート状部材30mfを通すようにしても良い。
【0132】
上述の実施形態では、吸収性物品の一例として3ピースタイプの使い捨ておむつ1を例示したが、何等これに限らない。例えば、2ピースタイプの使い捨ておむつの材料となるシート状部材を製造する際に、本発明のシート状部材の製造方法及び製造装置を適用しても良い。ちなみに、2ピースタイプの使い捨ておむつとは、例えば腹側部と股下部と背側部とを有した外装シートを第1部品として有し、同外装シートの肌側面に固定される吸収性本体10を第2部品として有するタイプのおむつのことである。そして、その場合には、上述の外装シートの連続シートが二枚重ねの不織布で形成されていて、当該二枚重ねの不織布に孔部を形成したり、二枚重ねの不織布同士の間の弾性部材を切断する際に、本発明のシート状部材の製造方法及び製造装置を使用することになる。
更に言えば、この2ピースタイプのおむつが、所謂テープ式の使い捨ておむつであっても良い。なお、テープ式の使い捨ておむつとは、着用者の胴部を腹側から覆う上記腹側部と、同胴部を背側から覆う上記背側部とを連結するのに、ファスニングテープを用いるタイプのおむつのことである。
また、更に言えば、吸収性物品は、何等使い捨ておむつ1に限らない。すなわち、不織布を材料として製造される吸収性物品であれば、その製造の際に、本発明のシート状部材の製造方法及び製造装置を適用可能である。そのため、この吸収性物品の概念には、尿取りパッドや生理用ナプキン等も含まれる。
【0133】
上述の実施形態では、
図9Bに示すように、連続する弾性部材の一例としての糸ゴムの連続体35aを、非伸縮領域ALに対応する非固定領域AL1において搬送方向の一カ所の位置PCで切断し、切断した糸ゴム35及び糸ゴムの連続体35aを伸縮領域AHに対応する固定領域AH1の方へそれぞれ収縮させることにより、非伸縮領域ALを形成していたが、何等これに限らない。
例えば、
図9Aの非伸縮領域ALに対応する領域AL1において各糸ゴムの連続体35aをそれぞれ搬送方向の複数の位置PC,PC…で切断することにより、同領域AL1で糸ゴムの連続体35aを細切れ状に切断し、これにより、同領域AL1を非伸縮領域ALにしても良い。なお、その場合には、切断前の糸ゴムの連続体35aは、伸縮領域AHに対応する領域AH1だけでなく、非伸縮領域ALに対応する領域AL1にもホットメルト接着剤で固定されていても良い。
【0134】
上述の実施形態では、スリット工程S60の位置よりも搬送方向の上流側に通気孔形成工程S50の位置が設定されていたが、何等これに限らない。例えば、スリット工程S60の位置よりも搬送方向の下流側に通気孔形成工程S50が設定されていても良い。
【0135】
上述の実施形態では、スリット工程S60の位置よりも搬送方向の下流側に腹側糸ゴム切断工程S80及び背側糸ゴム切断工程S90の各位置が設定されていたが、何等これに限らない。例えば、スリット工程S60の位置よりも搬送方向の上流側に腹側糸ゴム切断工程S80及び背側糸ゴム切断工程S90の各位置が設定されていても良い。
1)に重なって配されつつ搬送方向に連続する第2不織布(30mf2)との間に、伸長状態で搬送方向に連続する弾性部材(35a,35a…)が、CD方向に並んだ状態で介挿されつつ、高伸縮領域(AH)に対応する領域(AH1)に固定されてなるシート(30mf)を搬送する工程と、シート(30mf)の高伸縮領域(AH)に対応する領域(AH1)においてCD方向に隣り合う弾性部材(35a,35a)同士の間の位置に厚さ方向に押し込み部材(55p)を押し込むことで、領域(AH1)に孔部(h,h…)を形成し、孔部(h)の縁部(he)で不織布(30mf1,30mf2)同士を係合する工程(S50)と、同工程(S50)で孔部(h)を形成する処理位置(P51)よりも下流側の位置にて、低伸縮領域(AL)に対応する領域(AL1)で弾性部材(35a,35a…)を切断することでシート(30mf)に高伸縮領域(AH)と低伸縮領域(AL)とを形成する工程(S80)と、を有する。