特許第6244529号(P6244529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244529加熱媒体発生装置及び該加熱媒体発生装置を含む加熱処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244529
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】加熱媒体発生装置及び該加熱媒体発生装置を含む加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20060101AFI20171204BHJP
   H05B 3/44 20060101ALI20171204BHJP
   F22G 1/10 20060101ALI20171204BHJP
   F22B 27/08 20060101ALI20171204BHJP
   C09K 5/08 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F24H1/10 C
   F24H1/10 N
   H05B3/44
   F22G1/10
   F22B27/08
   C09K5/08
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-43024(P2013-43024)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-169842(P2014-169842A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】591048324
【氏名又は名称】株式会社タイヨー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100089381
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】五月女 格
(72)【発明者】
【氏名】五十部 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 幸雄
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−259955(JP,A)
【文献】 特開2007−017098(JP,A)
【文献】 特開2009−091386(JP,A)
【文献】 特開2011−106733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
C09K 5/08
F22B 27/08
F22G 1/10
H05B 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、前記外筒の内面側に備えられる断熱材と、によって、内部を密閉空間とする全体筒状に形成された外装体と、
前記外装体内に配される複数の遠赤外線放射ヒーターと、
給水部と吐水部を備えるとともに前記外装体の一端側から他端側に向けて配設され、内部空間を加熱媒体用供給水が通過する熱交換パイプと、
前記遠赤外線放射ヒーターから放射された遠赤外線を反射し、前記熱交換パイプへと再度放射可能な反射部材と、で構成され、
前記反射部材は、
筒状に形成され、前記外装体を構成する前記断熱材の内面に備えられるとともに、前記熱交換パイプとの間に所定の間隔をあけて配される内面が鏡面仕上げされた第一反射部材と、
前記外装体の筒軸中心から前記熱交換パイプに向けて表面が鏡面仕上げされた複数の仕切板を放射状に備えることにより、前記熱交換パイプと前記仕切板とによって前記内部空間の長さ方向にわたる第1領域〜第n領域の複数の独立した空間領域を形成する第二反射部材と、を含み、
前記第二反射部材は、各仕切板の先端が前記熱交換パイプと当接、若しくは僅かな隙間をもって配設されており、
前記遠赤外線放射ヒーターは、それぞれの前記独立した領域に囲われるようにしてそれぞれ配設されていることを特徴とする加熱媒体発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱媒体発生装置を構成要素とする加熱処理装置であって、
吐水部には加熱媒体発生装置によって発生した加熱媒体を噴射する加熱媒体噴射ノズルが接続されており、
加熱媒体は、噴射ノズル内で、0.01MPa〜0.30MPa、105℃〜150℃の範囲に制御されており、
加熱媒体は、熱交換パイプ内に供給された供給水を所定温度及び所定圧力で沸騰させることで熱交換パイプ内に生成される水蒸気と熱水からなる気液混合体であって、
前記加熱媒体噴射ノズルを介して前記加熱媒体を加熱処理室内に噴射することにより、加熱処理室内を過熱水蒸気と高温微細水滴が混在する状態の加熱処理雰囲気に調整されることを特徴とする加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高品質で食品等を加熱加工可能な加熱媒体を発生し得る加熱媒体発生装置、及びその加熱媒体発生装置を用いて食品等の処理対象物を高品質で加熱処理可能な加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本発明者等は、過熱水蒸気加熱技術を応用した高品質調理、食材加工システムとして、所定温度及び所定圧力で水を沸騰させ、高温微細水滴(熱水)と過熱水蒸気からなる加熱媒体(気液混合体)を生成し、その加熱媒体(気液混合体)を所定温度に加熱した加熱処理室内に噴霧することにより、前記加熱媒体(気液混合体)が混在する状態の加熱処理雰囲気に調整する新規な加熱処理方法及び加熱処理装置に関する開発・特許化を図ってきた(特許文献1参照。)。
【0003】
また、加熱対象・目的に応じた最適加熱処理として新規な加熱媒体以外に、飽和水蒸気、過熱水蒸気を同一の装置にて発生させる方法及び発生装置についても開発し、特許出願している(特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、新規な加熱媒体の発生条件(臨界内部圧力の発見)を明らかにして安定的な制御方法についても開発し、特許出願している(特許文献3参照。)。
【0005】
また、ユニット化され、様々な機器に接続可能な新規な加熱媒体の発生装置についても開発し、特許出願している(特許文献4参照。)。
【0006】
本発明者等が先に開発した加熱媒体発生装置及び加熱処理装置は当初の課題を十分に達成し得るものではあるが、昨今、装置全体のコンパクト化及び低価格化の要請があり、本発明者等はこのコンパクト化及び低価格化の要請に応えるべく本発明の開発に至ったものである。
【0007】
本発明者等が先に提案している特許文献4に開示の加熱媒体発生装置の場合、電熱式発生機又は蒸気式発生機があり、電熱式発生機の場合、装置内部に発熱体として電熱線が用いられていた。
すなわち、コイル形状に形成された熱交換パイプの外周に、熱交換パイプよりも大径のコイル状に形成した電熱ヒーターを密着状態で取り付けて断熱構造のハウジング内に配設するとともに、高熱伝導率を持った熱伝セメント(例えば、米国サーモン・マニュファクチュアリング社製)を、前記ハウジング内に充填して構成していた。
このように、特許文献4では、電熱線と熱交換パイプとの間の伝導電熱によって熱伝達を図っていたものである。
【0008】
しかし、上述した加熱媒体発生装置及びこの加熱媒体発生装置を用いた加熱処理装置では、電熱線や熱伝セメントの価格が高価であり、さらに熱伝セメントのハウジング内への充填作業及び硬化作業などの製造工程に時間を要していたものである。その結果、加熱媒体発生装置及び加熱媒体発生装置を用いた加熱処理装置の製品価格を抑えることが困難であった。また、熱伝セメントを充填することから装置全体の重量も嵩張りコンパクト化の要請には応えられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4336244号公報
【特許文献2】特開2007−64564号公報
【特許文献3】特開2009−91386号公報
【特許文献4】特開2011−106733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的とするところは、低価格化の要請に対応し得る加熱媒体発生装置及び加熱処理装置を提供することである。また、省エネルギ化、軽量化及び装置製造工程・時間の短縮化を図ることも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、第1の本発明は、外筒と、前記外筒の内面側に備えられる断熱材と、によって、内部を密閉空間とする全体筒状に形成された外装体と、
前記外装体内に配される複数の遠赤外線放射ヒーターと、
給水部と吐水部を備えるとともに前記外装体の一端側から他端側に向けて配設され、内部空間を加熱媒体用供給水が通過する熱交換パイプと、
前記遠赤外線放射ヒーターから放射された遠赤外線を反射し、前記熱交換パイプへと再度放射可能な反射部材と、で構成され、
前記反射部材は、
筒状に形成され、前記外装体を構成する前記断熱材の内面に備えられるとともに、前記熱交換パイプとの間に所定の間隔をあけて配される内面が鏡面仕上げされた第一反射部材と、
前記外装体の筒軸中心から前記熱交換パイプに向けて表面が鏡面仕上げされた複数の仕切板を放射状に備えることにより、前記熱交換パイプと前記仕切板とによって前記内部空間の長さ方向にわたる第1領域〜第n領域の複数の独立した空間領域を形成する第二反射部材と、を含み、
前記第二反射部材は、各仕切板の先端が前記熱交換パイプと当接、若しくは僅かな隙間をもって配設されており、
前記遠赤外線放射ヒーターは、それぞれの前記独立した領域に囲われるようにしてそれぞれ配設されていることを特徴とする加熱媒体発生装置としたことである。
【0012】
本発明によれば、加熱媒体の熱交換方式として、従来の電熱線・熱伝セメントを用いた伝導伝熱方式に代えて、遠赤外線ヒーターを用いた放射伝熱方式とするとともに、遠赤外線の放射熱を反射させて繰り返し放射可能な構成とした。これにより、製造コストを低く抑えることが可能であると共に、装置製造工程も簡素化することに成功したため、大幅なコスト低減の実現となった。また、本発明のように第一反射部材を配設したことにより、単に遠赤外線の放射熱を一方通行で熱交換パイプに放射するだけではなく、遠赤外線の放射熱を第一反射部材によって反射させて再び熱交換パイプへと放射させることが可能であるため、伝熱効率も高くなり、全体として省エネルギ化が図れ、かつ従来のように熱伝セメントを採用していないため、装置全体の軽量化及び装置製造時間の短縮化も図れた。
また、外装体内の中心に配された棒状の遠赤外線放射ヒーターの周りにコイル状に形成した熱交換パイプが配され、その熱交換パイプとの間に所定の間隔をあけて筒状の第一反射部材が覆っているため、遠赤外線放射ヒーターから放射された熱は、熱交換パイプ内を通過してパイプ内の加熱媒体に伝熱する。そして、熱交換パイプを通過した放射熱は、第一反射部材で反射して再度熱交換パイプ内を通過してパイプ内の加熱媒体に伝熱する。このように本発明の構成によれば、遠赤外線放射ヒーターから放射された熱は、繰り返し熱交換パイプ内を通過して加熱媒体に伝熱するため、効率的な伝熱効果が発揮される。
また本発明によれば、外装体内が断熱性を有する密閉空間とし得るため、遠赤外線放射ヒーターからの放射熱を外部に逃すことなく有効利用して伝熱効率を向上せしめることが可能である。
本発明によれば、第一反射部材を筒状に形成したため、遠赤外線放射ヒーターからの放射熱は、その筒状の面部に反射して再度熱交換パイプに戻ってくるため伝熱効果が高い。
また本発明によれば、第一反射部材の内面が鏡面仕上げされていることから、第一反射部材に対する放射熱の反射効率が高い。
さらに本発明によれば、遠赤外線放射ヒーターが複数本配設されていることから、装置内の伝熱効率が向上する。
また本発明によれば、単に遠赤外線の放射熱を一方通行で熱交換パイプに放射するだけではなく、遠赤外線の放射熱を第一反射部材によって反射させて再び熱交換パイプへと放射させ、さらに、第二反射部材によって再び反射させて熱交換パイプへと放射可能である。よって、繰り返し放射熱による熱伝達が行なわれることとなるため、伝熱効率も高くなり、全体として高い省エネルギ化が図れた。
そして本発明によれば、第二反射部材の表面が鏡面仕上げされていることから放射熱の反射効率が高くなり、伝熱効率も高くなる。
【0013】
第2の本発明は、第1の本発明の加熱媒体発生装置を構成要素とする加熱処理装置であって、
吐水部には加熱媒体発生装置によって発生した加熱媒体を噴射する加熱媒体噴射ノズルが接続されており、
加熱媒体は、噴射ノズル内で、0.01MPa〜0.30MPa、105℃〜150℃の範囲に制御されており、
加熱媒体は、熱交換パイプ内に供給された供給水を所定温度及び所定圧力で沸騰させることで熱交換パイプ内に生成される水蒸気と熱水からなる気液混合体であって、
前記加熱媒体噴射ノズルを介して前記加熱媒体を加熱処理室内に噴射することにより、加熱処理室内を過熱水蒸気と高温微細水滴が混在する状態の加熱処理雰囲気に調整されることを特徴とする加熱処理装置としたことである。
【0014】
本発明によれば、本発明の加熱媒体発生装置を用いることで、加熱処理装置全体のコンパクト化及び低価格化の要請に対応し得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、コンパクト化及び低価格化の要請に対応し得る加熱媒体発生装置及び加熱処理装置を提供できた。また、本発明によれば、省エネルギ化、軽量化及び装置製造工程・時間の短縮化をも図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の加熱処理装置の一実施例を示す概略正面図である。
図2】本発明の加熱媒体発生装置の第一の実施例を一部断面して示す概略正面図である。
図3】本発明の加熱媒体発生装置の第一の実施例を一部断面して示す概略側面図である。
図4】本発明の加熱媒体発生装置の第二の実施例を一部断面して示す概略正面図である。
図5】本発明の加熱媒体発生装置の第二の実施例を一部断面して示す概略側面図である。
図6】本発明の加熱媒体発生装置の第三の実施例を一部断面して示す概略正面図である。
図7】本発明の加熱媒体発生装置の第三の実施例を一部断面して示す概略側面図である。
図8】本発明の加熱媒体発生装置に接続されたノズル内の内圧と水蒸気水滴流量曲線との関係を示す図である。
図9】従来の加熱媒体発生装置と本発明の加熱媒体発生装置のそれぞれに接続されたノズル内温度制御安定性を比較した図で、(a)は従来の電熱線方式の加熱媒体発生装置の場合、(b)は本発明の加熱媒体発生装置の場合をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の加熱媒体発生装置及び加熱媒体発生装置を用いた加熱処理装置に関する一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎずなんらこれに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【実施例1】
【0034】
図1は本発明の加熱媒体発生装置を用いた本発明の加熱処理装置の一例を示す概略図、図2乃至図7は本発明の加熱媒体発生装置の一例を示す概略図である。
【0035】
加熱処理装置は、加熱処理室1と、加熱処理室1内に備えられ、加熱処理室1内を所定温度に加熱する処理室内加熱機構2と、加熱処理室1内に加熱媒体を噴射する加熱媒体発生装置3とで構成されている(図1参照。)。
【0036】
加熱処理室1は、例えば、処理対象物を投入する図示しない投入口を備えた非密閉状でかつ所定長さの矩形状に形成されている(図1参照。)。
加熱処理室1の全体長さ・全体形状・構造などは本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、加熱処理室1は、後述するように室内空間を所定温度以上に加熱制御するため、断熱性を有する材質(保温可能な材質)を選定して形成する。なお、加熱処理室1は、室内空間を所定温度以上に加熱制御処理可能な構成を備えているものであれば、例えば、処理室1の一方に投入口、他方に排出口を備えるとともに、投入口から排出口にわたって処理対象物を搬送可能なチェーンコンベアなどの搬送機構を備え、対象物を連続処理可能なように構成するものであっても本発明の範囲内である。
【0037】
処理室内加熱機構3は、例えば、周知の室内加熱ヒーターが想定される。本実施例では、この処理室内加熱機構(室内加熱ヒーター)3によって、加熱処理室1内全体を、常圧で、かつ105℃〜150℃程度(好ましくは115℃程度)に加熱制御している。
なお、処理室内加熱機構3の形状・構造及び配設数量などについては、適宜設計変更可能であって、何等本実施例に限定解釈されるものではない。
【0038】
加熱媒体発生装置3は、本実施例では次の構成を採用している。
【0039】
加熱媒体生成装置3は、断熱性を有する外装体5と、外装体5内に配され、後述する熱交換パイプ13内に供給される加熱媒体用供給水に伝熱する遠赤外線放射ヒーター11と、遠赤外線放射ヒーター11から放射された遠赤外線を反射し、再度熱交換パイプ13へと放射可能な第一反射部材23と、外装体5の側面一端側5aに給水部18を外装し、外装体5の側面他端側5bに吐水部19を外装するとともに、その外装体5の一端側5aから他端側5bに向けて給水部18と吐水部19にわたって連続して配設され、内部空間に供給される加熱媒体用供給水を前記遠赤外線放射ヒーター11からの放射熱(所定温度)及び所定圧力で沸騰させて加熱媒体を生成する熱交換パイプ13とで構成されている(図1乃至図3参照。)。
【0040】
外装体5は、例えば所定長さ・所定径(外径・内径)の筒状に形成された外筒7と、外筒7の内面側に筒状に備えられる断熱材9とで内部を密閉空間とする断熱性を有する全体筒状に形成されている。
【0041】
外筒7は、所定の金属材料で両端を非開放とした円筒状に形成されている。本実施例では、両端開放状の筒本体7aと、該筒本体7aの両端を閉鎖する左右の円盤状の蓋部7b,7bとにより、両端を非開放とした円筒状に形成している。
外筒7の全体長さ・全体形状・筒外径・筒内径などは本発明の範囲内で設計変更可能である。また、材質も本発明の範囲内で設計変更可能であって何ら限定解釈されるものではない。
【0042】
断熱材9は、グラスウール・ウレタンフォームなどからなり、外筒7の内面に密着させて備えられる所定内径を有した円筒状に形成されている。断熱材9は本発明の範囲内で周知のものが用いられ、その材質や筒状の肉厚(外径9aと内径9bとの間の厚み)なども本発明の範囲内で設計変更可能である。なお、断熱材9は、外装体5として所定の断熱性を有する程度に厚みをもって配される必要があるが、その中空の内部に遠赤外線放射ヒーター11と熱交換パイプ13と第一反射板23とを配設可能に構成する必要がある。
【0043】
遠赤外線放射ヒーター11は、所定長さ・所定径の単一の真直ぐな棒状に形成され、外装体5の一端側5aから他端側5bにわたってその外装体5の内部空間の中心位置に配設されている(図2及び図3参照。)。
なお、本実施例では、遠赤外線放射ヒーター11を単数配設した実施の一形態を想定している。
また、遠赤外線放射ヒーター11は、本実施例では電気式の遠赤外線放射ヒーター11を想定しているが、遠赤外線放射ヒーター11は電機式であってもガス式であってもよく、本発明の範囲内で周知のものが採択可能である。
【0044】
熱交換パイプ13は、内部空間を加熱媒体用供給水が通過する所定内径の中空の金属製パイプからなり、これを所定ピッチで所定の巻回数のコイル状に形成し、外装体5の中心位置に配した前記遠赤外線放射ヒーター11の外周(外径11a)との間に所定の間隔15をあけて、前記遠赤外線放射ヒーター11の長さ方向に巻回状に配設されている(図2及び図3参照。)。
また、熱交換パイプ13は、後述する第一反射部材23との間においても所定の間隔17をあけて配設されている(図2及び図3参照。)。
遠赤外線放射ヒーター11の外周と熱交換パイプ13の間隔15については、遠赤外線放射ヒーター11の中心点と熱交換パイプ13の中心点までの距離が1〜20mm程度で、好ましくは10〜13mmが効率が良く、熱交換パイプ13の中心点と第一反射部材23の内面までの距離が1〜18mm程度で、好ましくは2〜5mmが効率が良い。
すなわち、遠赤外線放射ヒーター11の外径11a<熱交換パイプ13のコイル内径13b、熱交換パイプ13のコイル外径13a<第一反射部材23の内径23bの関係を有している(図3参照。)。
なお、熱交換パイプ13の材質は特に限定されないが、熱伝導率に優れた金属材を採択するのが好ましい。
【0045】
本実施例において熱交換パイプ13は、黒色耐熱塗装が施されており、熱吸収率を高めている。
そして、熱交換パイプ13の一端側には、図示しない給水源と熱交換パイプを接続する給水部(給水ポート)18が備えられ、他端側には、吐水部(吐水ポート)19が備えられ、吐水部19には、熱交換パイプ13によって生成された加熱媒体を、熱交換パイプ13から加熱処理室1へと噴射する加熱媒体噴射ノズル21が接続されている(図1及び図2参照。)。
ちなみに、前記加熱媒体噴射ノズル21は、本実施例では、例えば、ノズル内径を0.1mm〜10mm(好ましくは0.5mm〜5mm)としている。
【0046】
第一反射部材(反射筒)23は、前記断熱材9の内面(内径9b)と密着させて配設される所定の外径23aを有した中空の金属製の筒部材で、前記熱交換パイプ13の長さ方向全域を覆う全体円筒状に形成されている。
また、前記熱交換パイプ13との間に所定の間隔17をあけて配することの可能な内径23bを有している。
すなわち、第一反射部材23の内径23b>熱交換パイプ13のコイル外径13aの関係を有する(図3参照。)。
また、放射熱の反射効率を高めるため、第一反射部材23の内面(内径23b)は、鏡面仕上げされているのが好ましい。
【0047】
本実施例によれば、図示しない所定のポンプ(例えば電磁定量ポンプなどを想定)を介して給水源から給水部(給水ポート)18を通過して熱交換パイプ13内に供給された加熱媒体用供給水は、所定径の熱交換パイプ13内で、遠赤外線放射ヒーター11から放射された熱及び所定の圧力によって沸騰させられる。
熱交換パイプ13内に供給される水量は、パイプ径・パイプ長さによって調整されるが、本実施例では、例えば0.7gr/sec以上、好ましくは0.7gr/sec〜25gr/secとする。これにより加熱媒体用供給水は所定の圧力が掛かった状態で加熱されることとなる。
【0048】
本発明の加熱処理装置の作動について以下に説明する。
【0049】
まず、給水源から定量ポンプにより給水部18を介して加熱媒体発生装置3の熱交換パイプ13内に、0.7gr/secで加熱媒体用供給水を供給する。
遠赤外線放射ヒーター11からの放射熱は、熱交換パイプ13に伝熱してパイプ13自体を加熱するとともに、前記放射熱パイプ13内を通過してパイプ13内に供給される加熱媒体用供給水に伝達される。
さらに、前記放射熱は、パイプ13を通過し、そして第一反射部材23によって反射して再度熱交換パイプ内を通過させることによって、再度供給水に伝熱する。
このようにして、前記供給水を所定温度、例えば120℃(好ましくは105℃〜150℃)及び所定圧力、例えば0.19MPa(好ましくは、0.01MPa〜0.30MPa)で沸騰させることで熱交換パイプ13内には水蒸気50と熱水52からなる気液混合体(加熱媒体)が生成される(図1参照。)。
【0050】
そして、加熱媒体噴射ノズル21を介し、前記したように115℃程度に加熱制御された加熱処理室1内に前記気液混合体(水蒸気50と熱水52)を噴出することにより、前記加熱処理室1内が過熱水蒸気60と高温微細水滴62が混在する状態の加熱媒体で満たされた加熱処理雰囲気70に調整される(図1参照。)。
【0051】
前記気液混合体(水蒸気50と熱水52)は、処理対象物の加熱処理中において、連続して噴射されるものであっても、断続して噴射されるものであってもよい。
【0052】
本実施例によれば、遠赤外線放射ヒーター11から放射された熱が、黒色耐熱塗装を施して熱吸収効率を高めた熱交換パイプ13内を通過してパイプ13内の加熱媒体に伝熱し、さらに熱交換パイプ13を通過した放射熱は、鏡面仕上げされた第一反射部材23で反射して再度熱交換パイプ13内を通過してパイプ13内の加熱媒体用供給水に伝熱する。図中の矢印は放射熱の放射方向の一例を示す。
【0053】
このように遠赤外線放射ヒーター11から放射された熱は、繰り返し熱交換パイプ13内を通過して加熱媒体用供給水に伝熱するため、効率的な伝熱効果が発揮され、短時間で加熱媒体供給水を加熱して加熱媒体を生成する。
【0054】
すなわち、単に遠赤外線の放射熱を一方通行で熱交換パイプ13に放射するだけではなく、遠赤外線の放射熱を第一反射部材23によって反射させて再び熱交換パイプ13へと放射させることが可能であるため、伝熱効率も高くなり、短時間で加熱媒体の生成がなし得る。
【0055】
したがって、全体として省エネルギ化(コスト減)が図れる。また、従来のように熱伝セメントを採用していないため、装置全体の軽量化及び装置製造時間の短縮化も図れる。具体的には、例えば、電熱線を用いた本発明者等の特許文献4に開示の加熱媒体発生装置(従来の加熱媒体発生装置)を用いた加熱処理装置と比した場合、本実施例の加熱媒体発生装置3を用いた加熱処理装置によれば、製造コストが60%以上節減され、40%の省エネルギ化、50%の軽量化も図れた。
【0056】
また、本実施例では、外筒7の蓋部7b,7bの外方(筒長さ方向の外方)にそれぞれ相対向せしめて、蓋部7b,7bと同一径の円板47,47を備えている。
円板47には、遠赤外線放射ヒーター11の端部をそれぞれ固定している。そして、蓋部7bと円板47との間、及び蓋部7bと円板47との間には、それぞれ所定の間隙48,48を形成し、遠赤外線放射ヒーター11からの排熱を目的としている。
【0057】
図8は、本実施例の加熱媒体発生装置3において、熱交換パイプ13と接続された加熱媒体噴射ノズル21内の温度を110℃、120℃、130℃、140℃、150℃に設定し、供給水量を毎分14g−140g程度まで変化させたときのノズル21の内圧(MPa)と供給水量(g/min)の関係を示す。図中「▲」印はノズル21内の温度110℃のときのノズル21の内圧(MPa)と供給水量(g/min)の関係、「●」印はノズル21内の温度120℃のときのノズル21の内圧(MPa)と供給水量(g/min)の関係、「■」印はノズル21内の温度130℃のときのノズル21の内圧(MPa)と供給水量(g/min)の関係、「◆」印はノズル21内の温度140℃のときのノズル21の内圧(MPa)と供給水量(g/min)の関係、「★」印はノズル21内の温度150℃のときのノズル21の内圧(MPa)と供給水量(g/min)の関係をそれぞれ示す。
例えばノズル21内の温度が110℃の場合、供給水量を増加させていき、毎分11.04gとなった段階でノズル21の内圧が0.142MPaに達した後は、加熱媒体(水蒸気50と熱水52からなる気液混合体)が発生する。同じく、ノズル内温度が120℃の場合、供給水量を増加させていき、毎分16.53gとなった段階でノズル内圧が0.186MPaに達した後は、加熱媒体(水蒸気50と熱水52からなる気液混合体)が発生する。同じく、ノズル内温度が150℃の場合、供給水量を増加させていき、毎分36.85gとなった段階でノズル内圧が0.476MPaに達した後は、加熱媒体(水蒸気50と熱水52からなる気液混合体)が発生する。
なお、図8中に記した「水滴」とは本明細書における「熱水」と同義語である。
本実施例の加熱媒体発生装置3によれば、110℃〜150℃のノズル21内の温度において加熱媒体の発生量が得られることが示されているが、幅広い温度(105℃〜150℃)において加熱媒体の発生量が得られることが分かった。
【0058】
図9は、ノズル21内の昇温速度と制御安定性を表した図で、図9(a)は従来の加熱媒体発生装置を用いた加熱処理装置、図9(b)は本実施例の加熱媒体発生装置を用いた加熱処理装置のそれぞれのデータを表している。
図9(a)における従来の加熱媒体発生装置は最大出力4.96kwで、図9(b)の本実施例の加熱媒体発生装置は最大出力2.0kwで、同量の給水における温度の立ち上がり速度において同等の性能が確認された。
更に、本実施例の加熱媒体発生装置3を用いた場合の方が、従来の加熱媒体発生装置を用いた場合に比して高精度な温度制御が安定して得られることも証明された。
「実施例2」
【0059】
図4及び図5は本発明加熱媒体発生装置の第2の実施例を示し、本実施例では、単一の装置3内に3個の遠赤外線放射ヒーター11,11,11を配設した実施の一例を想定している。
【0060】
外装体5内の長さ方向にわたって配される熱交換パイプ13のコイル形状の中心領域には、コイル形状の内部空間の長さ方向にわたる第1領域25〜第3領域27が並設され、遠赤外線放射ヒーター11,11,11は、これらの領域25〜27にそれぞれ独立して配設されている。
【0061】
第1領域25〜第3領域27は、遠赤外線放射ヒーター11から放射された遠赤外線をそれぞれ反射し、再度熱交換パイプ13へとそれぞれ放射可能な第二反射部材28で仕切られることによって構成されている。
【0062】
第二反射部材28は、第1領域25、第2領域26、第3領域27が、120度毎に均等に区切られるように仕切り板30,31,32が備えられている。
仕切り板30,31,32は、それぞれの基端側を合わせるとともに、それぞれ60度毎に均等に領域が区切られるように立ち上げ形成されている。すなわち、外筒7の長さ方向に外筒7と略同一長さで、かつ所定の高さで立ち上げ形成されている。
本実施例では、それぞれの仕切り板30,31,32の上端(遊端)30a,31a,32aがコイル形状を有する熱交換パイプ13の内面(内径13b)に接する程度の高さに設定されている。
第二反射部材28の表面、すなわち、各仕切り板30,31,32の表面は、それぞれ鏡面仕上げされている。
【0063】
したがって、本実施形態では、中心に第二反射部材28、第1領域25〜第3領域27、各遠赤外線放射ヒーター11,11,11、熱交換パイプ13、第一反射部材23、断熱材9、外筒7の順に内方から外方に向けて配設されている。
【0064】
本実施例によれば、熱交換パイプ13には、各遠赤外線放射ヒーター11,11,11からの放射熱がそれぞれ通過し、パイプ13内部を流通する供給水に伝熱する。
そして本実施例によれば、熱交換パイプ13を通過した放射熱が、第一反射部材23によって反射されて再び熱交換パイプ13内を通過して供給水に伝熱する。
さらに、熱交換パイプ13を通過した放射熱は、第二反射部材28の各仕切り板30,31,32によって反射されて再び熱交換パイプ13内を通過して供給水に伝熱する。
このように、それぞれの遠赤外線放射ヒーター11…は、第一反射部材23と第二反射部材28によって囲われるとともに、その囲われた領域内を熱交換パイプ13が通過しているため、上述のような作用が繰り返し行なわれ、伝熱効率が極めて高く短時間で加熱媒体の生成が可能である。図中の矢印は放射熱の放射方向の一例を示す。
【0065】
また、本実施例では、それぞれの仕切り板30,31,32の上端(遊端)30a,31a,32aがコイル形状を有する熱交換パイプ13の内面(内径13b)に接している形態としているが、非接触とすることも可能で本発明野範囲内である。
仕切り板30,31,32の厚みは特に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。また、本実施例において、仕切り板30,31,32は、それぞれが連続した一つの板部材としているが、長さ方向で複数に分割されて断続的に配設される形態でもよい。
【0066】
本実施例は、第二反射部材28を備えて第1領域25〜第3領域27を形成するとともに、それぞれの領域25〜27に、それぞれ遠赤外線放射ヒーター11を配設した点に特徴的な構成を有しているが、それ以外の構成・作用効果については実施例1と同じであるため詳細な説明は省略する。
「実施例3」
【0067】
図6及び図7は本発明加熱媒体発生装置3の第3の実施例を示し、本実施例では、単一の装置3内に6個の遠赤外線放射ヒーター11,11,11,11,11,11を配設した実施の一例を想定している。
【0068】
外装体5内の長さ方向にわたって配される熱交換パイプ13のコイル形状の中心領域には、コイル形状の内部空間の長さ方向にわたる第1領域33〜第6領域38が並設され、遠赤外線放射ヒーター11,11,11,11,11,11は、これらの領域33〜38にそれぞれ独立して一本ずつ配設されている。
【0069】
第1領域33〜第6領域38は、遠赤外線放射ヒーター11,11,11,11,11,11から放射された遠赤外線をそれぞれ反射し、再度熱交換パイプ13へとそれぞれ放射可能な第二反射部材39で仕切られることによって構成されている。
【0070】
第二反射部材39は、第1領域33、第2領域34、第3領域35、第4領域36、第5領域37、第6領域38が、それぞれ60度毎に均等に区切られるように仕切り板40,41,42,43,44,45が備えられている。
なお、本実施例では、外筒7の一端部7aから他端部7bにわたる長さのパイプ46を中心に設け、そのパイプ46の外径46aから所定間隔おきに仕切り板40,41,42,43,44,45を一体に立ち上げ形成して第二反射部材39を構成している。
仕切り板40,41,42,43,44,45は、パイプ46の軸方向中心からそれぞれ60度毎に均等に区切られる位置で立ち上げ形成されている。すなわち、パイプ46の外径において、パイプ46の長さ方向にパイプ46と同一長さで、かつ所定の高さで立ち上げ形成されている。
【0071】
このようにパイプ46を有する形態とした理由は、それぞれの領域33〜38の空間に遠赤外線放射ヒーター11…が、その周囲に空間を形成した状態で配設することが可能なように可能な限り広い空間を形成するためである。
第二反射部材39の表面、すなわち、各仕切り板40,41,42,43,44,45の表面は、それぞれ鏡面仕上げされている。
仕切り板40,41,42,43,44,45の厚みは特に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。また、本実施例では、仕切り板40,41,42,43,44,45の高さは全て同一としているが、異なる高さとすることも可能である。
本実施例において、仕切り板40,41,42,43,44,45は、それぞれが連続した一つの板部材としているが、長さ方向で複数に分割されて断続的に配設される形態でもよい。
【0072】
したがって、本実施形態では、中心に第二反射部材39、第1領域33〜第6領域38、各遠赤外線放射ヒーター11…、熱交換パイプ13、第一反射部材23、断熱材9、外筒7の順に内方から外方に向けて配設されている。
【0073】
本実施例によれば、熱交換パイプ13には、各遠赤外線放射ヒーター11…からの放射熱がそれぞれ通過し、パイプ13内部を流通する供給水に伝熱する。
そして本実施例によれば、熱交換パイプ13を通過した放射熱が、第一反射部材23によって反射されて再び熱交換パイプ13内を通過して供給水に伝熱する。
さらに、熱交換パイプ13を通過した放射熱は、第二反射部材39の各仕切り板40,41,42,43,44,45によって反射されて再び熱交換パイプ13内を通過して供給水に伝熱する。
このように、それぞれの遠赤外線放射ヒーター11…は、第一反射部材23と第二反射部材39によって囲われるとともに、その囲われた領域内を熱交換パイプ13が通過しているため、上述のような作用が繰り返し行なわれ、伝熱効率が極めて高く短時間で加熱媒体の生成が可能である。図中の矢印は放射熱の放射方向の一例を示す。
【0074】
また、本実施例では、実施例2とは異なり、それぞれの仕切り板40,41,42,43,44,45の上端(遊端)40a,41a,42a,43a,44a,45aがコイル形状を有する熱交換パイプ13の内面(内径13b)と非接触形態としているが、熱交換パイプ13の内面(内径13b)と接触する形態とすることも可能で本発明野範囲内である。
【0075】
本実施例は、第二反射部材39を備えて第1領域33〜第6領域38を形成するとともに、それぞれの領域33〜38に、それぞれ遠赤外線放射ヒーター11を配設した点に特徴的な構成を有しているが、それ以外の構成・作用効果については実施例1と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0076】
なお上述の実施例1−実施例3は本発明の一実施の形態であって、本発明は何等これに限定解釈されるものではなく、遠赤外線放射ヒーター11の配設される数量や第二反射部材28(39)によって仕切られる領域の数などは本発明の範囲内において設計変更可能である。
また、実施例2や実施例3では、一つの領域毎に一本の遠赤外線放射ヒーターを配設した実施の形態をもって説明したが、一つの領域毎に複数本の遠赤外線放射ヒーターを配設する形態であってもよく本発明の範囲内である。
さらに、本実施例では、一つの加熱媒体発生装置に対して一本の熱交換パイプを配設する形態をもって説明したが、一つの加熱媒体発生装置に対して複数本の熱交換パイプを配設する形態であってもよく本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本明細書では、食品等を高品質で加熱加工可能な加熱媒体を発生し得る加熱媒体発生装置、及びその加熱媒体発生装置を用いて食品等の処理対象物を高品質で加熱処理可能な加熱処理装置について説明したが、本発明は、高温微細水滴(熱水)と過熱水蒸気からなる新規な加熱媒体(気液混合体)を用いて処理対象物を加熱処理する分野、例えば、医薬品や化学品などの造粒物(造粒製品)を生成する分野においても利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 加熱処理室
3 加熱媒体発生装置
5 外装体
11 遠赤外線放射ヒーター
13 熱交換パイプ
18 給水部
19 吐水部
21 加熱媒体噴射ノズル
23 第一反射部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9