特許第6244615号(P6244615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼオン株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6244615-内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具 図000002
  • 特許6244615-内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具 図000003
  • 特許6244615-内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具 図000004
  • 特許6244615-内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具 図000005
  • 特許6244615-内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具 図000006
  • 特許6244615-内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244615
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/14 20060101AFI20171204BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20171204BHJP
   A61B 17/221 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A61M25/14 512
   A61M25/00 560
   A61B17/221
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-171270(P2012-171270)
(22)【出願日】2012年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-30492(P2014-30492A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】冨永 恭代
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515150(JP,A)
【文献】 特開2011−019937(JP,A)
【文献】 特開2012−045340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/14
A61B 17/221
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端側開口から処置具本体の遠位端を露出及び引き込み可能なメインルーメンが内部に形成されているメインチューブと、
前記メインチューブの遠位端部に固定されており3〜30mmの長さである固定部と、前記固定部から近位端側に伸びており前記メインチューブに固定されておらず前記メインチューブに対して離間可能である自由部とを有し、遠位端側開口からガイドワイヤの遠位端を露出及び引き込み可能なガイドワイヤルーメンが内部に形成されているガイドワイヤチューブと、を有する内視鏡用カテーテル。
【請求項2】
前記メインチューブの前記遠位端部周辺は、屈曲形状に癖付けされていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用カテーテル。
【請求項3】
前記ガイドワイヤチューブは、30〜1000mmの長さであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内視鏡用カテーテル。
【請求項4】
前記メインルーメンの遠位端側開口は前記ガイドワイヤルーメンの遠位端側開口より大きく、前記ガイドワイヤチューブの外径は前記メインチューブの外径より小さいことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の内視鏡用カテーテル。
【請求項5】
前記ガイドワイヤチューブは、前記固定部に対して前記自由部の少なくとも一部を挟んで配置されており、前記メインチューブに固定される中間固定部を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の内視鏡用カテーテル。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の内視鏡用カテーテルと、
前記メインルーメンを移動可能であってワイヤと当該ワイヤの遠位端部に取り付けられる処置部からなる前記処置具本体と、を有する内視鏡処置具。
【請求項7】
前記処置部は、ワイヤによって構成されるバスケットであり、
胆管内の結石を除去するために用いられることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と共に用いられる内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡と共に用いられ、胆管内の結石等を除去する内視鏡処置具が知られている。例えば、内視鏡用処置具は、内視鏡の内部を挿通する内視鏡用カテーテルと、内視鏡用カテーテルの内部に形成されたルーメンを挿通する処置具本体を有しており、処置具本体の先端には、胆管内の結石を掴むためのバスケット等が備えられている(特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3132410号公報
【特許文献2】特開2004−249093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に開示されるような従来のシングルルーメンの内視鏡処置具では、処置具本体とガイドワイヤが同じルーメンを挿通し、同じ開口から体腔内へ露出する構造であるため、処置具本体の先端部に備えられたバスケットによって結石等を掴む際に、ガイドワイヤが邪魔になるという問題があった。また、ガイドワイヤ及び処置具本体のうち一方のみを体腔内に露出した状態からルーメン内に引き込み、他の一方を逆にルーメン内から体腔内に露出させるような操作を行う場合にも、ガイドワイヤと処置具本体が干渉し合い、円滑な操作の妨げとなる場合があった。
【0005】
そこで特許文献2に記載される様に2ルーメンのカテーテルチューブを用いて、処置具本体とガイドワイヤが挿通するルーメンを別々にする方法が考えられる。しかし、2ルーメンのカテーテルチューブには、カテーテルの肉厚が増大し、また、カテーテルチューブの可撓性が悪化するなどして、カテーテルの遠位端の円滑な位置操作に、悪影響が生じるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、処置具本体の円滑な操作を妨げず、かつ遠位端の円滑な位置操作を実現し得る内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る内視鏡用カテーテルは、
遠位端側開口から処置具本体の遠位端を露出及び引き込み可能なメインルーメンが内部に形成されているメインチューブと、
前記メインチューブの遠位端部に固定されており3〜30mmの長さである固定部と、前記固定部から近位端側に伸びており前記メインチューブに固定されておらず前記メインチューブに対して離間可能である自由部とを有し、遠位端側開口からガイドワイヤの遠位端を露出及び引き込み可能なガイドワイヤルーメンが内部に形成されているガイドワイヤチューブと、を有する。
【0008】
本発明に係る内視鏡用カテーテルは、処置具本体によって挿通されるメインルーメンが形成されているメインチューブとは別に、ガイドワイヤによって挿通されるガイドワイヤルーメンが形成されているガイドワイヤチューブを有し、ガイドワイヤチューブは、メインチューブに対して、遠位端部で固定されている。処置具本体のメインルーメンが、ガイドワイヤルーメンと分かれていることにより、ガイドワイヤと処置具本体が干渉することを防止し、ガイドワイヤ及び処置具本体の円滑な操作を実現することができる。
【0009】
また、ガイドワイヤチューブの固定部の長さは3〜30mmである。固定部の長さを3mm以上とすることにより、メインチューブとの確実な連結を確保するとともに、固定部の長さを30mm以下とすることにより、メインチューブの遠位端付近の可撓性が悪化することを防止し、内視鏡用カテーテルの円滑な位置操作を実現することができる。
【0010】
また、自由部を有することにより、メインチューブの可撓性を確保しつつ、ガイドワイヤルーメンの長さを長くすることができるため、ガイドワイヤが、ガイドワイヤチューブから誤って離脱することを防止できる。また、自由部を有することにより、操作者は、ガイドワイヤの遠位端をガイドワイヤルーメン内に収納しておく操作を、容易に行うことができる。したがって、このような内視鏡用カテーテルによれば、処置具本体の遠位端を露出させて結石の破砕等を行う際に、ガイドワイヤの遠位端をガイドワイヤルーメン内に引き込み、処置具本体の操作時にガイドワイヤが邪魔になる状態を、好適に回避できる。
【0011】
また、例えば、前記メインチューブの前記遠位端部周辺は、屈曲形状に癖付けされていても良い。
【0012】
遠位端部周辺が屈曲形状に癖付けされていることにより、内視鏡の遠位端部の延在方向とは異なる方向に、内視鏡用カテーテルの遠位端部を進ませることができるため、このような内視鏡用カテーテルによれば、操作者は、メインチューブの遠位端部を、目的の位置まで円滑に案内することができる。
【0013】
また、例えば、前記ガイドワイヤチューブは、30〜1000mmの長さであっても良い。
【0014】
内視鏡用カテーテルにおけるガイドワイヤチューブの長さは適宜変更可能であるが、ガイドワイヤチューブが30mm以上であることにより、内視鏡用カテーテルの遠位端部を胆管内に進出させていった場合に、ガイドワイヤチューブの近位端が、内視鏡チャネルの遠位端側開口から露出することを防止できる。ガイドワイヤチューブの近位端が、内視鏡チャネルの遠位端側開口から露出した場合、内視鏡用カテーテルを引き込む際に、ガイドワイヤチューブが内視鏡チャネルの遠位端側開口の周縁部に引っ掛かり、円滑な操作を阻害する恐れがあるが、ガイドワイヤチューブを30mm以上とすることにより、このような現象を防止できる。また、ガイドワイヤチューブを、1000mm以下とすることにより、ガイドワイヤチューブと内視鏡チャネルの内壁との摩擦抵抗を低減し、内視鏡用カテーテルのより円滑な操作を実現することができる。
【0015】
また、例えば、前記メインルーメンの遠位端側開口は前記ガイドワイヤルーメンの遠位端側開口より大きくても良く、前記ガイドワイヤチューブの外径は前記メインチューブの外径より小さくても良い。
【0016】
メインルーメンの遠位端側開口を、ガイドワイヤルーメンの遠位端側開口より大きくし、ガイドワイヤチューブの外径をメインチューブの外径より小さくすることにより、処置具本体の遠位端に備えられるバスケット等の処置部が通過可能な開口径を確保しつつ、内視鏡用カテーテル全体が肉厚になることを、効果的に防止することができる。
【0017】
また、前記ガイドワイヤチューブは、前記固定部に対して前記自由部の少なくとも一部を挟んで配置されており、前記メインチューブに固定される中間固定部を有しても良い。
【0018】
中間固定部を設けることにより、ガイドワイヤチューブとメインチューブの一体性を高めることが可能である。
【0019】
また、本発明に係る内視鏡処置具は、上述のいずれかに記載の内視鏡用カテーテルと、
前記メインルーメンを移動可能であってワイヤと当該ワイヤの遠位端部に取り付けられる処置部からなる前記処置具本体と、を有する。
【0020】
本発明に係る内視鏡処置具は、処置具本体の円滑な操作を妨げず、かつ、内視鏡用カテーテルの遠位端部の円滑な位置操作を実現することができる。
【0021】
前記処置部は、ワイヤによって構成されるバスケットであっても良く、
内視鏡処置具は、胆管内の結石を除去する処置具であっても良い。
【0022】
処置部がバスケットである処置具本体を有する内視鏡処置具は、胆管内の結石を除去するために、好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡処置具の概略図である。
図2図2は、図1に示す内視鏡処置具に含まれる内視鏡用カテーテルの遠位端部の概略断面図及び正面図である。
図3図3は、図1に示す内視鏡処置具における遠位端周辺の操作状態ごとの形態を表す概略断面図である。
図4図4は、図1に示す内視鏡処置具の使用状態を表す概念図である。
図5図5は、参考例に係る内視鏡処置具の操作状態を表す概略断面図である。
図6図6は、図2に示す内視鏡用カテーテルの変形例を表す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る内視鏡用カテーテル及び内視鏡処置具を、図面に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡処置具10の概略図である。内視鏡処置具10は、図1において点線で表す内視鏡80と共に使用される。内視鏡処置具10は、内視鏡80の近位端側から、内視鏡チューブ82内に形成される内視鏡チャネル83に挿入されて、使用される。
【0026】
内視鏡処置具10は、操作部12と、内視鏡用カテーテル20と、処置具本体40と、ガイドワイヤ50とを有する。操作部12は、内視鏡用カテーテル20の近位端に接続されており、操作者が内視鏡処置具10を操作する際に把持するグリップや、内視鏡用カテーテル20内部に形成されたルーメン内に接続する外部流路等を設置するためのコネクタ等を有する。
【0027】
操作部12は、後述する内視鏡用カテーテル20より硬質の樹脂材料で形成することができ、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアクリレート、メタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂や、例えばSUSなどの金属で形成することができる。操作部12は、内視鏡処置具10による処置を実施する際に、患者の体外に位置し、操作者は、操作部12を動かすことにより、内視鏡用カテーテル20の遠位端の位置を操作する。したがって、操作部12は、操作者が片手で掴みやすい形状及び大きさに成形されることが好ましい。
【0028】
内視鏡用カテーテル20は、メインチューブ22と、メインチューブ22の遠位端部に取り付けられているガイドワイヤチューブ32とを有する。内視鏡用カテーテル20のメインチューブ22の近位端は、操作部12に接続されている。メインチューブ22の遠位端であるメインチューブ遠位端27は、内視鏡チャネル83を通過して内視鏡チャネル遠位端側開口84から露出することができる。メインチューブ22の長さは特に限定されないが、例えば800〜3500mm程度である。
【0029】
メインチューブ22の内部には、図2(a)及び(b)に示すようにメインルーメン23が形成されている。メインルーメン23の内径及びメインチューブ22の肉厚は特に限定されないが、例えばメインルーメン23の内径は0.2〜5.5mm程度、メインチューブ22の肉厚は0.01〜0.4mm程度とすることができる。メインルーメン23は、メインチューブ22の遠位端27から近位端まで連続しており、メインルーメン23には、処置具本体40(図1参照)が挿入される。なお、メインチューブ22の遠位端部26周辺には、X線造影による位置確認のための造影マーカーが備えられていても良い。
【0030】
図1に示すように、処置具本体40の遠位端である処置具本体遠位端47は、メインルーメン23の遠位端側開口24(図2参照)から露出及び引き込みが可能である。すなわち、操作者は、内視鏡用カテーテル20の操作部12を介して、若しくは直接に、処置具本体40の近位端を動かすことにより、処置具本体遠位端47の露出・引き込み動作を、操作することができる。メインチューブ22の材質は、適切な可撓性を有するものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、シリコーン樹脂等から選定することができる。
【0031】
メインチューブ22の遠位端部であるメインチューブ遠位端部26(図2参照)には、ガイドワイヤチューブ32が取り付けられている。図2(a)に示すように、ガイドワイヤチューブ32は、メインチューブ遠位端部26に固定されている固定部36と、固定部36から近位端側に伸びている自由部38とを有する。
【0032】
ガイドワイヤチューブ32の固定部36は、ガイドワイヤチューブ32の遠位端側に位置し、固定部36におけるガイドワイヤチューブ32の外周壁が、メインチューブ22の外周壁から離れないように固定されている。固定部36の固定方法は、特に限定されないが、例えばガイドワイヤチューブ32とメインチューブ22の外周壁同士を接着する方法や、外周壁同士を溶着する方法や、テープ若しくはひも状の材料でガイドワイヤチューブ32とメインチューブ22を束縛する方法や、樹脂や金属のリング等で固定する方法等が挙げられる。ガイドワイヤチューブ32の固定部36の長さd1は、3〜30mmとすることが好ましく、5〜20mmとすることがさらに好ましい。固定部36の長さを所定の長さ以上とすることにより、メインチューブ22との確実な連結を確保することができる。また、固定部36の長さを所定の長さ以下とすることにより、メインチューブ22の遠位端27付近の可撓性が悪化することを防止できる。
【0033】
ガイドワイヤチューブ32の自由部38は、固定部36とは異なり、メインチューブ22に固定されておらず、メインチューブ22に対して離間可能である。ただし、自由部38は、固定部36に連結されており固定部36と一体となってガイドワイヤチューブ32を構成しているため、固定部36を介して間接的にメインチューブ22に接続されている。
【0034】
ガイドワイヤチューブ32の内部には、図2(a)及び図2(b)に示すように、ガイドワイヤルーメン33が形成されている。ガイドワイヤルーメン33の内径及びガイドワイヤチューブ32の肉厚は特に限定されないが、例えばガイドワイヤルーメン33の内径は0.2〜1.2mm程度、ガイドワイヤチューブ32の肉厚は0.01〜0.2mm程度とすることができる。図2(a)に示すように、ガイドワイヤルーメン33は、ガイドワイヤチューブ32の遠位端37から近位端39まで連続しており、ガイドワイヤルーメン33には、ガイドワイヤ50(図1参照)が挿入される。
【0035】
ガイドワイヤチューブ32の固定部36は、ガイドワイヤチューブ遠位端37とメインチューブ遠位端27とが略一致するように、メインチューブ遠位端部26に固定されていることが好ましい。また、メインルーメン23の遠位端側開口24は、ガイドワイヤルーメン遠位端側開口34より大きいことが好ましく、ガイドワイヤチューブ32の外径は、メインチューブ22の外径より小さいことが好ましい。これにより、処置具本体40の遠位端に備えられるバスケット46が通過可能な開口径を確保しつつ、内視鏡用カテーテル20全体が肉厚になることを、効果的に防止することができる。また、ガイドワイヤチューブ32の長さd3(固定部36の長さd1と自由部38の長さd2との和)は、特に限定されないが、内視鏡用カテーテル20の円滑な操作を可能とするために、30〜1000mmであることが好ましく、50〜500mmであることがさらに好ましい。
【0036】
なお、図2に示す例では、ガイドワイヤチューブ32は、メインチューブ22の遠位端部26に固定される固定部36のみで、メインチューブ22と接続されているが、ガイドワイヤチューブ32とメインチューブ22との接続態様としてはこれに限定されない。例えば、図6に示すように、ガイドワイヤチューブ32は、固定部36に対して自由部38の少なくとも一部を挟んで配置されており、メインチューブ22に固定される中間固定部35を有していても良い。この場合、中間固定部35の位置は、自由部38を分割するように配置されても良く、ガイドワイヤチューブ32の近位端部39(図2参照)に配置されても良い。また、中間固定部35の数も1つに限定されず、ガイドワイヤチューブ32は、複数の中間固定部35を有していても良い。中間固定部35におけるガイドワイヤチューブ32とメインチューブ22との固定方法についても特に限定されず、例えば固定部36と同様の固定方法を用いることができる。
【0037】
図1に示すように、ガイドワイヤ50の遠位端であるガイドワイヤ遠位端57は、ガイドワイヤルーメン遠位端側開口34(図2参照)から露出及び引き込み可能である。すなわち、操作者は、内視鏡チャネル83を介して体外に導かれているガイドワイヤ50の近位端部を動かすことにより、ガイドワイヤ遠位端57の露出・引き込み動作を、操作することができる。ガイドワイヤチューブ32の材質は、適切な可撓性を有するものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、シリコーン樹脂等から選定することができる。
【0038】
図1に示すように、メインチューブ22のメインルーメン23を挿通する処置具本体40は、遠位端側に備えられるバスケット46と、バスケット46の近位端側に接続しており、メインルーメン23を通過して内視鏡処置具10の操作部12まで連続する支持ワイヤ43(図3(b)参照)を有する。バスケット46は、4本の弾力性ワイヤによって構成されており、メインルーメン遠位端側開口23から飛び出すことにより径方向に膨らみ、弾力性ワイヤの間に結石などを把持することが可能になっている。なお、バスケット46は、図3(b)に示すように、メインルーメン23の中に引き込まれている状態では、外径が小さくなるように弾性変形している。
【0039】
支持ワイヤ43は、バスケット46を構成する弾力性ワイヤのうち一本を延長して構成されたものであっても良いが、バスケット46を構成する弾力性ワイヤとは別の弾力性ワイヤを、バスケット46の近位端側に接続して構成されたものであっても良い。バスケット46を構成する弾力性ワイヤ及び支持ワイヤ43の線径は、特に限定されないが、例えば0.1〜1.5mm程度とすることができる。また、バスケット46及び支持ワイヤ43の材質としては、特に限定されず、ニッケルチタン合金、ステンレス、金、白金、ニッケル、鉄、チタン、アルミニウム、スズ、亜鉛、タングステンなどが挙げられるが、ニッケルチタン合金が特に好ましい。ニッケルチタン合金は、形状記憶合金の一種であり、ニッケルチタン合金によって作製された処置具本体40は、ワイヤのキンクを防止するとともに、メインルーメン23から飛び出した際のバスケット46の形状を好適に制御できる。
【0040】
なお、図1及び図3等では、処置部としてのバスケット46を遠位端に備える処置具本体40を例に説明を行っているが、処置具本体40としては、これに限定されない。処置具本体40としては、ワイヤからなり、近位端側に配置されるワイヤの遠位端に、処置部として機能するワイヤがつながっている構造を有するものが、好ましい例として挙げられる。処置具本体40のその他の例としては、把持鉗子(バスケット型把持鉗子)、バルーン型拡張器(バルーンカテーテル)、高周波電流を加えループ状ワイヤで焼灼を行うスネア、高周波ナイフ、止血クリップ等が挙げられる。
【0041】
図1に示すガイドワイヤ50の線径は、例えば0.2〜1.2mmとすることができるが、ガイドワイヤ50が内視鏡チャネル83及びガイドワイヤルーメン33を円滑に移動できる線径であれば特に限定されない。ガイドワイヤ50の材質も特に限定されず、例えば、形状記憶合金(NiTiなど)、ステンレス、樹脂等が挙げられる。なお、処置具本体40およびガイドワイヤ50を構成するワイヤは、単線であっても良く、また、撚り線やコイルチューブであっても良い。
【0042】
以下に、主に図3及び図4を用いて、内視鏡処置具10の使用方法の一例について説明する。図4は、内視鏡処置具10による胆管94内の胆石の除去処理における一使用状態を表したものである。まず、内視鏡処置具10を用いる前に、内視鏡チューブ82の遠位端を十二指腸91まで通し、乳頭92近傍に配置する。そして、図3(a)に示すように、内視鏡チャネル遠位端側開口84からガイドワイヤ遠位端57を露出させ、図4に示す胆管94の内部に、ガイドワイヤ遠位端57を挿入する。
【0043】
次に、図4及び図3(b)に示すように、あらかじめ胆管94内に挿入されたガイドワイヤ50に沿って、メインチューブ遠位端27及びガイドワイヤチューブ遠位端37を胆管94内に挿入する。この際、内視鏡用カテーテル20のガイドワイヤチューブ32は、ガイドワイヤ50によって挿通されており、かつ、ガイドワイヤ遠位端57がガイドワイヤルーメン遠位端側開口34から露出した状態にある。したがって、ガイドワイヤ50によって挿通されているガイドワイヤチューブ遠位端37及びこれと連結されているメインチューブ遠位端27は、ガイドワイヤ50に沿って円滑に胆管94内へ進むことができる。図4に示すように、メインチューブ22の遠位端27が胆管94に配置された状態において、必要に応じて、メインルーメン23を介して造影剤を胆管94内に流し込み、胆管94内をX線により観察しても良い。
【0044】
その後、図3(c)に示すように、ガイドワイヤ遠位端57をガイドワイヤルーメン遠位端側開口34からガイドワイヤルーメン33へ引き込み、ガイドワイヤ遠位端57をガイドワイヤルーメン33内部に位置させる。さらに、メインルーメン23内に収納されていた処置具本体40のバスケット46を、メインルーメン遠位端側開口24から飛び出させ、胆管94内の結石を、バスケット46に把持させ、これを破砕又は除去する。
【0045】
また、さらに、メインチューブ遠位端27の位置を変更する必要が生じた場合には、図3(b)に示すように、ガイドワイヤ遠位端57を再度ガイドワイヤルーメン遠位端側開口34から露出させ、ガイドワイヤ50に沿ってメインチューブ遠位端27(及びガイドワイヤチューブ遠位端37)を移動させることができる。なお、結石をバスケット46に把持させた状態で、バスケット46を十二指腸91に引き出すことによって、胆管94から結石を除去するような場合には、バスケット46をメインルーメン23から飛び出させた状態のままで、メインチューブ遠位端27の位置を変更しても良い。
【0046】
このように、内視鏡用カテーテル20は、処置具本体40が内部を移動するメインルーメン23が、ガイドワイヤルーメン33と分かれていることにより、ガイドワイヤ50と処置具本体40が干渉することを防止し、ガイドワイヤ50及び処置具本体40の円滑な操作を実現することができる。
【0047】
図5に示すように、従来技術に係る内視鏡用カテーテル98では、拡張したバスケットの内部をガイドワイヤが通過することにより、バスケットによる結石の把持を阻害するという問題があった。しかし、内視鏡用カテーテル20は、図3(c)に示すように、バスケット46を用いて結石を把持する際には、ガイドワイヤルーメン33にガイドワイヤ遠位端57を引き込むことにより、バスケット46による処置に支障がない状態に、容易にガイドワイヤ50を収納することができる。また、メインチューブ遠位端27の位置を変更する必要が生じたような場合には、ガイドワイヤチューブ遠位端37を、ガイドワイヤルーメン遠位端側開口34から素早く露出させることができる。
【0048】
また、図2に示すように、内視鏡用カテーテル20のガイドワイヤチューブ32は、固定部36と自由部38を有する。仮に内視鏡用カテーテルとして、遠位端から近位端までの全長にわたって、ガイドワイヤルーメンがメインルーメンに対して離間できない通常の2ルーメンチューブを用いた場合、内視鏡用カテーテルのトータルの肉厚が増加し、内視鏡用カテーテルの可撓性が悪化するという問題が生じる。特に、内視鏡用カテーテルの遠位端には、操作部からの操作に応じて自由に変形できるしなやかさが求められるが、メインルーメンに加えてガイドワイヤルーメンも引き連れて変形しなければならない通常の2ルーメンチューブでは、その要求に十分に答えることができない。
【0049】
しかし、図2に示すように、本実施形態に係る内視鏡用カテーテル20において、固定部36の長さは3〜30mmと短いため、内視鏡用カテーテル20の遠位端部周辺は、操作部12からの操作に応じて自由に変形できるしなやかさを有する。すなわち、ガイドワイヤチューブ32の自由部38は、メインチューブ22に固定されていないため、メインチューブ22の可撓性をほとんど阻害しない。なぜなら、メインチューブ22の遠位端部周辺を曲げようとした場合、ガイドワイヤチューブ32の自由部38は、メインチューブ22から自由に離間することが可能であるため、メインチューブ22は、固定部36が固定されている部分を除き、ガイドワイヤチューブ32とは独立して変形することができるからである。
【0050】
また、ガイドワイヤチューブ32は、自由部38を有することにより、ガイドワイヤ遠位端57を一次的に収納するために十分な長さを確保することができる(図3(c)参照)。ガイドワイヤチューブ32の全体の長さd3(図2参照)は、特に限定されないが、30〜1000mmとすることが好ましい。ガイドワイヤチューブ32の長さd3を30mm以上とすることにより、ガイドワイヤ遠位端57を、ガイドワイヤルーメン33内に容易に位置させることができ、ガイドワイヤ遠位端57が、引き込みの際の勢いによりガイドワイヤチューブ近位端39から抜け落ちることを防止できる。
【0051】
また、ガイドワイヤチューブ32の長さを30mm以上とすることにより、図3(b)及び図4に示すように、メインチューブ22及びガイドワイヤチューブ32の遠位端27,37を胆管94内に進めた際に、ガイドワイヤチューブ近位端39が、内視鏡チャネル遠位端側開口84から露出してしまうことを防止できる。ガイドワイヤチューブ近位端39が内視鏡チャネル遠位端側開口84から露出すると、ガイドワイヤ50のみを残してその他の内視鏡処置具10を内視鏡チャネル83から引き出す場合に、ガイドワイヤチューブ近位端39が内視鏡チャネル遠位端側開口84周辺に引っ掛かり、このような処置が困難になる恐れがあるが、ガイドワイヤチューブ32の長さを30mm以上とすることにより、これを防止できる。また、ガイドワイヤチューブ32の長さを1000mm以下とすることにより、ガイドワイヤチューブ32と内視鏡チャネル83の内壁との摩擦抵抗を低減し、内視鏡用カテーテル20のより円滑な操作を実現することができる。また、ガイドワイヤチューブ32の長さを1000mm以下とすることにより、短いガイドワイヤ50が使用可能となり、ガイドワイヤ50及びこれを含む内視鏡用処置具10の操作を容易にすることができる。
【0052】
その他の実施形態
上述した実施形態に係る内視鏡処置具10は、様々な改変を行うことが可能である。例えば、図1に示すメインチューブ遠位端部26周辺は、屈曲形状に癖付けされていても良い。図4に示すように、乳頭92から胆管94内にメインチューブ遠位端部26を進める場合、メインチューブ遠位端部26を、内視鏡チューブ82及び内視鏡チャネル83の延在方向とは異なる方向に進める必要があるが、メインチューブ遠位端部26周辺を屈曲形状に癖付けしておくことにより、このような操作を容易に行うことができる。メインチューブ遠位端部26周辺を屈曲形状に癖付けする方法は特に限定されないが、例えばメインチューブ遠位端部26周辺を屈曲形状になるように固定したのち、この状態でメインチューブ遠位端部26周辺を加熱及び冷却する方法や、指等でメインチューブをしごいて加圧、延伸する方法等により、行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
10…内視鏡処置具
12…操作部
20…内視鏡用カテーテル
22…メインチューブ
23…メインルーメン
24…メインルーメン遠位端側開口
26…メインチューブ遠位端部
27…メインチューブ遠位端
32…ガイドワイヤチューブ
33…ガイドワイヤルーメン
34…ガイドワイヤルーメン遠位端側開口
35…中間固定部
36…固定部
37…ガイドワイヤチューブ遠位端
38…自由部
39…ガイドワイヤチューブ近位端
40…処置具本体
43…支持ワイヤ
46…バスケット
47…処置具本体遠位端
50…ガイドワイヤ
57…ガイドワイヤ遠位端
80…内視鏡
82…内視鏡チューブ
83…内視鏡チャネル
84…内視鏡チャネル遠位端側開口
91…十二指腸
92…乳頭
94…胆管
図1
図2
図3
図4
図5
図6