(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一主面が試料を載置する載置面であるセラミックス板状体、および、該セラミックス板状体の他の主面に設けられた静電吸着用内部電極を有する静電チャック部と、前記静電吸着用内部電極の温度を調整する冷却ベース部と、を備え、
前記セラミックス板状体の他の主面に、前記静電吸着用内部電極の周囲を覆うように、シート状またはフィルム状の第一の接着剤を介して、シート状またはフィルム状の絶縁性樹脂が接着され、
前記冷却ベース部の上面に、シート状またはフィルム状の第二の接着剤を介して、シート状またはフィルム状の第二の絶縁部材が接着され、該第二の絶縁部材の上面に加熱部材が設けられ、
前記静電チャック部と、前記加熱部材が設けられた冷却ベース部とが、有機系接着剤層を介して接着一体化され、
前記第一の接着剤、前記絶縁性樹脂、前記有機系接着剤層、前記第二の接着剤、前記第二の絶縁部材および前記冷却ベース部を厚み方向に貫通し、前記冷却ベース部の下面から前記静電吸着用内部電極に至る細孔内に、前記細孔の全長にわたって、前記静電吸着用内部電極に直流電圧を印加するための給電用端子が設けられ、
前記給電用端子は、前記細孔内に、前記細孔の全長にわたって設けられた筒状の碍子と、前記碍子内に、前記碍子の全長にわたって設けられた柱状の電極とからなり、
前記柱状の電極は、柱状の導電性材料からなることを特徴とする静電チャック装置。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造プロセスにおいては、素子の高集積化や高性能化に伴い、微細加工技術のさらなる向上が求められている。この半導体製造プロセスの中でもエッチング技術は、微細加工技術の重要な1つであり、近年では、エッチング技術の内でも、高効率かつ大面積の微細加工が可能なプラズマエッチング技術が主流となっている。
このプラズマエッチング技術は、ドライエッチング技術の1種であり、加工対象となる固体材料の上にレジストでマスクパターンを形成し、この固体材料を真空中に支持した状態で、この真空中に反応性ガスを導入し、この反応性ガスに高周波の電界を印加することにより、加速された電子がガス分子と衝突してプラズマ状態となり、このプラズマから発生するラジカル(フリーラジカル)とイオンを固体材料と反応させて反応生成物として取り除くことにより、固体材料に微細パターンを形成する技術である。
【0003】
一方、原料ガスをプラズマの働きで化合させ、得られた化合物を基板の上に堆積させる薄膜成長技術の1つとしてプラズマCVD法がある。この方法は、原料分子を含むガスに高周波の電界を印加することによりプラズマ放電させ、このプラズマ放電にて加速された電子によって原料分子を分解させ、得られた化合物を堆積させる成膜方法である。低温では、熱的励起だけでは起こらなかった反応も、プラズマ中では、系内のガスが相互に衝突して活性化されラジカルとなるので、可能となる。
プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置等のプラズマを用いた半導体製造装置においては、従来から、試料台に簡単にウエハを取付け、固定するとともに、このウエハを所望の温度に維持する装置として静電チャック装置が用いられている。
【0004】
ところで、従来のプラズマエッチング装置では、静電チャック装置に固定されたウエハにプラズマを照射すると、このウエハの表面温度が上昇する。そこで、この表面温度の上昇を抑えるために、静電チャック装置の温度調整用ベース部に水等の冷却媒体を循環させてウエハを下側から冷却しているが、この際、ウエハの面内で温度分布が発生する。例えば、ウエハの中心部では温度が高くなり、縁辺部では温度が低くなる。
また、プラズマエッチング装置の構造や方式の違い等により、ウエハの面内温度分布に差が生じる。
【0005】
そこで、静電チャック部と温度調整用ベース部との間にヒータ部材を取り付けたヒータ機能付き静電チャック装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このヒータ機能付き静電チャック装置は、ウエハ内に局所的に温度分布を作ることができるので、ウエハの面内温度分布を膜堆積速度やプラズマエッチング速度に合わせて設定することにより、ウエハ上へのパターン形成などの局所的な膜形成や局所的なプラズマエッチングを効率よく行なうことができる。
【0006】
静電チャック装置にヒータを取り付ける方法としては、セラミック製の静電チャックにヒータを内蔵する方法、静電チャックの吸着面の裏側、すなわちセラミック板状体の裏面にスクリーン印刷法にてヒータ材料を所定のパターンにて塗布し加熱硬化させることにより、ヒータを取り付ける方法、あるいは、このセラミック板状体の裏面に金属箔やシート状導電材料を貼着することにより、ヒータを取り付ける方法等が挙げられる。
そして、このヒータ内蔵あるいはヒータを取り付けた静電チャック部と温度調整用ベース部とを有機系接着剤を用いて接着一体化することで、ヒータ機能付き静電チャック装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の静電チャック装置の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0016】
[静電チャック装置]
図1は、本実施形態の静電チャック装置の一例を示す概略断面図である。
本実施形態の静電チャック装置10は、円板状の静電チャック部11と、この静電チャック部11を所望の温度に調整する厚みのある円板状の冷却ベース部12と、冷却ベース部12の上面12aに第二の接着剤13を介して接着された第二の絶縁部材14と、静電チャック部11の下面(他の主面)側で、かつ、第二の絶縁部材14の上面14aに所定のパターンに設けられたヒータエレメント(加熱部材)15と、静電チャック部11と冷却ベース部12上のヒータエレメント15とを対向させた状態でこれらを接着一体化する有機系接着剤層16とから概略構成されている。
【0017】
静電チャック部11は、上面(一主面)17aが半導体ウエハ等の板状試料を載置する載置面とされた載置板(セラミックス板状体)17と、載置板17の下面(他の主面)17bに設けられた静電吸着用内部電極18と、載置板17の下面17bにおいて、静電吸着用内部電極18の周囲に、第一の接着剤19を介して接着された第一の絶縁部材20と、第一の接着剤19および第一の絶縁部材20、有機系接着剤層16、第二の接着剤13、第二の絶縁部材14および冷却ベース部12を貫通するようにして設けられ、静電吸着用内部電極18に直流電圧を印加する給電用端子21とから概略構成されている。
第一の絶縁部材20は、第一の接着剤19を介して、静電吸着用内部電極18の周囲(静電吸着用内部電極18における載置板17と接している面以外の面)を覆っている。これにより、載置板17と静電吸着用内部電極18が一体化されている。
【0018】
載置板17は、円板状のもので、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)複合焼結体、酸化アルミニウム(Al
2O
3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化イットリウム(Y
2O
3)焼結体、希土類金属−アルミニウム複合酸化物等の機械的な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有する絶縁性のセラミックス焼結体からなるものである。
載置板17の載置面(上面(一主面))17aには、突起部17cが所定の間隔を隔てて、複数個設けられている。これらの突起部17cが、半導体ウエハ等の板状試料を支える構成になっている。
【0019】
載置板17、静電吸着用内部電極18、第一の接着剤19および第一の絶縁部材20の合計の厚み、すなわち、静電チャック部11の厚みは0.3mm以上かつ5.0mm以下であることが好ましい。その理由は、静電チャック部11の厚みが0.3mmを下回ると、静電チャック部11の機械的強度を確保することができず、一方、静電チャック部11の厚みが5.0mmを上回ると、静電チャック部11の熱容量が大きくなり過ぎて、載置板17の上面17aに載置される板状試料の熱応答性が劣化し、さらには、静電チャック部11の横方向の熱伝達の増加により、板状試料の面内温度を所望の温度パターンに維持することが困難になるからである。
【0020】
特に、載置板17の厚みは、0.2mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましい。
載置板17の厚みが上記の範囲内であることが好ましい理由は、載置板17の厚みが0.2mmを下回ると、静電吸着用内部電極18に印加された電圧により放電する危険性が高まり、一方、載置板17の厚みが3.0mmを超えると、板状試料を十分に吸着固定することができず、したがって、板状試料を十分に加熱することが困難となるからである。
【0021】
静電吸着用内部電極18は、電荷を発生させて静電吸着力で板状試料を固定するための静電チャック用電極として用いられるもので、その用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
静電吸着用内部電極18は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al
2O
3−Ta
4C
5)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al
2O
3−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y
2O
3−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されている。
【0022】
静電吸着用内部電極18の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1μm以上かつ100μm以下であることが好ましく、特に好ましくは1μm以上かつ50μm以下である。
静電吸着用内部電極18の厚みが上記の範囲内であることが好ましい理由は、静電吸着用内部電極18の厚みが0.1μmを下回ると、充分な導電性を確保することができず、一方、静電吸着用内部電極18の厚みが100μmを超えると、この静電吸着用内部電極18と載置板17との間の熱膨張率差に起因して、この静電吸着用内部電極18と載置板17との接合界面にクラックが入り易くなるからである。
このような厚みの静電吸着用内部電極18は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
【0023】
第一の接着剤19は、静電吸着用内部電極18と第一の絶縁部材20の間に介在して、静電吸着用内部電極18の周囲に第一の絶縁部材20を接着するものである。
第一の接着剤19としては、例えば、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂が用いられる。
【0024】
第一の接着剤19の厚みは、5μm以上かつ100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上かつ50μm以下である。
第一の接着剤19の面内の厚みのバラツキは10μm以内が好ましい。
第一の接着剤19の面内の厚みのバラツキが上記の範囲内であることが好ましい理由は、第一の接着剤19の面内の厚みのバラツキが10μmを超えると、冷却ベース部12と第一の絶縁部材20との間隔に10μmを超えるバラツキが生じ、その結果、冷却ベース部12による静電チャック部11の温度制御の面内均一性が低下し、静電チャック部11の載置面における面内温度が不均一となるので、好ましくない。
【0025】
第一の絶縁部材20は、第一の接着剤19を介して、静電吸着用内部電極18を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用内部電極18を保護するとともに、載置板17と静電吸着用内部電極18を接合一体化するものである。
第一の絶縁部材20としては、例えば、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状の絶縁性樹脂が用いられる。
【0026】
第一の絶縁部材20の厚みは、5μm以上かつ300μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上かつ100μm以下である。
第一の絶縁部材20の面内の厚みのバラツキは10μm以内が好ましい。
第一の絶縁部材20の面内の厚みのバラツキが上記の範囲内であることが好ましい理由は、第一の絶縁部材20の面内の厚みの大小により温度分布に高低の差が生じ、その結果、第一の絶縁部材20の厚み調整による温度制御に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
【0027】
第一の絶縁部材20の熱伝導率は、0.1W/mk以上が好ましい。
ここで、第一の絶縁部材20の熱伝導率が0.1W/mk未満であると、ヒータエレメント15から載置板17aへの熱伝達が阻害され、昇温速度が低下するので好ましくない。
【0028】
給電用端子21は、静電吸着用内部電極18に直流電圧を印加するために設けられた柱状のものである。給電用端子21は、柱状の電極22と、絶縁性を有する碍子23とから構成されている。
柱状の電極22の材料としては、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に限定されるものではないが、熱膨張係数が静電吸着用内部電極18の熱膨張係数に近似したものが好ましく、例えば、静電吸着用内部電極18を構成している耐食性部材、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、コバール合金等の金属材料が好適に用いられる。
【0029】
柱状の電極22は、絶縁性を有する碍子23により冷却ベース部12に対して絶縁されている。
また、柱状の電極22は、導電性接着剤23を介して、静電吸着用内部電極18に接続されている。
そして、給電用端子21は、絶縁部材20に接合一体化されて静電チャック部11を構成している。
【0030】
冷却ベース部12は、静電チャック部11を所望の温度に調整するためのもので、厚みのある円板状のものである。
冷却ベース部12としては、例えば、その内部に水を循環させる流路(図示略)が形成された水冷ベース等が好適である。
冷却ベース部12を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。冷却ベース部12の表面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。アルマイト処理や、絶縁膜が成膜されている場合、碍子23を用いなくてもよい。
【0031】
また、第二の接着剤13、第二の絶縁部材14および冷却ベース部12を貫通するようにして、ヒータエレメント15に直流電圧を印加するために、金属箔状の電極25が設けられている。電極25は、金属箔であることが好ましいが、熱応力を緩和できれば金属繊維や金属撚り線であってもよい。ヒータエレメント15と電極25は溶接により結線されていることが好ましいが、十分な導電性と接着強度があれば導電性接着剤等で接着してもよい。
電極25は、絶縁性を有する碍子26により冷却ベース部12に対して絶縁されている。電極25と碍子26との間は、シリコン樹脂のような低弾性接着剤で充填されていてもよく、さらに、その低弾性接着剤が、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物からなるフィラーを含有してもよい。該フィラーは、熱伝導性を改善できればよく、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子や窒化アルミニウム(AlN)粒子の表面に酸化ケイ素(SiO
2)からなる被覆層が形成された表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子であることが好ましい。
【0032】
電極25の材料としては、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に限定されるものではないが、熱膨張係数がヒータエレメント15の熱膨張係数に近似したものが好ましく、例えば、ヒータエレメント15を構成している非磁性金属材料からなる金属箔状のものが好適に用いられる。
【0033】
第二の接着剤13は、冷却ベース部12と第二の絶縁部材14の間に介在して、冷却ベース部12の上面12aに第二の絶縁部材14を接着するものである。
第二の接着剤13としては、例えば、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂が用いられる。
【0034】
第二の接着剤13の厚みは、5μm以上かつ100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上かつ50μm以下である。
第二の接着剤13の面内の厚みのバラツキは10μm以内が好ましい。
第二の接着剤13の面内の厚みのバラツキが上記の範囲内であることが好ましい理由は、第二の接着剤13の面内の厚みのバラツキが10μmを超えると、冷却ベース部12と第二の絶縁部材14との間隔に10μmを超えるバラツキが生じ、その結果、冷却ベース部12による静電チャック部11の温度制御の面内均一性が低下し、静電チャック部11の載置面における面内温度が不均一となるので、好ましくない。
【0035】
第二の絶縁部材14は、冷却ベース部12とヒータエレメント15の間に介在して、冷却ベース部12とヒータエレメント15を絶縁するものである。
第二の絶縁部材14は、絶縁性および耐電圧性を有し、かつ、腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性に優れるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミドシートからなるものが用いられる。
【0036】
第二の絶縁部材14の厚みは、5μm以上かつ300μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上かつ100μm以下である。
第二の絶縁部材14の面内の厚みのバラツキは10μm以内が好ましい。
第二の絶縁部材14の面内の厚みのバラツキが上記の範囲内であることが好ましい理由は、第二の絶縁部材14の面内の厚みの大小により温度分布に高低の差が生じ、その結果、第二の絶縁部材14の厚み調整による温度制御に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
【0037】
第二の絶縁部材14の熱伝導率は、0.05W/mk以上かつ0.5W/mk以下が好ましく、より好ましくは0.1W/mk以上かつ0.25W/mk以下である。
ここで、熱伝導率が0.1W/mk未満であると、静電チャック部11から冷却ベース部12への第二の絶縁部材14を介しての熱伝達が難くなり、冷却速度が低下するので好ましくなく、一方、熱伝導率が1W/mkを超えると、ヒータ部から冷却ベース部12への第二の絶縁部材14を介しての熱伝達が増加し、昇温速度が低下するので好ましくない。
【0038】
ヒータエレメント15は、冷却ベース部12の上面12aに、接着剤13および第二の絶縁部材14を介して配設されたものである。
ヒータエレメント15は、例えば、相互に独立した2つのヒータ、すなわち、中心部に形成された内ヒータと、この内ヒータの周縁部外方に環状に形成された外ヒータとにより構成され、これら内ヒータおよび外ヒータ各々の両端部の給電用端子との接続位置それぞれには、上記の電極25が接続されている。
【0039】
これら内ヒータおよび外ヒータは、それぞれが、幅の狭い帯状の金属材料を蛇行させたパターンを、軸を中心として、この軸の回りに繰り返し配置し、かつ隣接するパターン同士を接続することで、1つの連続した帯状のヒータパターンとされている。
このヒータエレメント15では、これら内ヒータおよび外ヒータをそれぞれ独立に制御することにより、載置板17の載置面(上面(一主面))17aに静電吸着により固定されている板状試料の面内温度分布を精度良く制御するようになっている。
【0040】
ヒータエレメント15のヒータパターンは、上記のように相互に独立した2つ以上のヒータパターンにより構成してもよく、また、1つのヒータパターンにより構成してもよいが、上記の内ヒータおよび外ヒータのように、ヒータエレメント15を相互に独立した2つ以上のヒータパターンにより構成すると、これら相互に独立したヒータパターンを個々に制御することにより、処理中の板状試料の温度を自由に制御することができるので、好ましい。
【0041】
ヒータエレメント15は、厚みが0.2mm以下、好ましくは0.1mm以下の一定の厚みを有する非磁性金属、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等で構成される。ヒータパターンの形成方法としては、フォトリソグラフィー法により、所望のヒータパターンにエッチング加工する方法、スパッタリング法により薄膜を形成する方法、メッキにより薄膜を形成する方法等が用いられる。
ヒータエレメント15の厚みが上記の範囲内であることが好ましい理由は、ヒータエレメント15の厚みが0.2mmを超えると、ヒータエレメント15のパターン形状が板状試料の温度分布として反映され、板状試料の面内温度を所望の温度パターンに維持することが困難になるからである。
【0042】
また、ヒータエレメント15を非磁性金属で形成すると、静電チャック装置10を高周波雰囲気中で用いてもヒータエレメント15が高周波により自己発熱せず、したがって、載置板17の上面17aに載置した板状試料の面内温度を所望の一定温度または一定の温度パターンに維持することが容易となるので好ましい。
また、一定の厚みの非磁性金属薄膜を用いてヒータエレメント15を形成すると、ヒータエレメント15の厚みが加熱面全域で一定となり、さらに発熱量も加熱面全域で一定となるので、静電チャック部11の載置面(載置板17の上面17a)における温度分布を均一化することができる。
【0043】
有機系接着剤層16は、静電チャック部11と冷却ベース部12上のヒータエレメント15とを対向させた状態でこれらを接着一体化するとともに、熱応力の緩和作用を有するものである。
【0044】
有機系接着剤層16は、例えば、シリコーン系樹脂組成物を加熱硬化した硬化体またはアクリル樹脂で形成されている。
シリコーン系樹脂組成物は、耐熱性、弾性に優れた樹脂であり、シロキサン結合(Si−O−Si)を有するケイ素化合物である。このシリコーン系樹脂組成物は、例えば、下記の式(1)または式(2)の化学式で表すことができる。
【0046】
但し、上記の式(1)中、Rは、Hまたはアルキル基(C
nH
2n+1−:nは整数)である。
【0048】
但し、上記の式(2)中、Rは、Hまたはアルキル基(C
nH
2n+1−:nは整数)である。
【0049】
このようなシリコーン樹脂としては、特に、熱硬化温度が70℃〜140℃のシリコーン樹脂が好ましい。
ここで、熱硬化温度が70℃を下回ると、静電チャック部11と冷却ベース部12上のヒータエレメント15とを対向させた状態でこれらを接合する際に、接合過程で硬化が始まってしまい、作業性に劣ることとなるので好ましくない。一方、熱硬化温度が140℃を超えると、静電チャック部11の絶縁部材20と、冷却ベース部12および絶縁部材14との熱膨張差が大きく、静電チャック部11の第一の絶縁部材20と、冷却ベース部12および第二の絶縁部材14との間の応力が増加し、これらの間で剥離が生じるおそれがあるので好ましくない。
【0050】
このシリコーン樹脂としては、硬化後のヤング率が8MPa以下の樹脂が好ましい。ここで、硬化後のヤング率が8MPaを超えると、有機系接着剤層16に昇温、降温の熱サイクルが負荷された際に、静電チャック部11の第一の絶縁部材20と、冷却ベース部12との熱膨張差を吸収することができず、有機系接着剤層16の耐久性が低下するので、好ましくない。
【0051】
この有機系接着剤層16には、平均粒径が1μm以上かつ10μm以下の無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物からなるフィラー、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子が含有されていることが好ましい。
この酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子は、シリコーン樹脂の熱伝導性を改善するために混入されたもので、その混入率を調整することにより、有機系接着剤層16の熱伝達率を制御することができる。
【0052】
この酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子の平均粒径は、1μm以上かつ10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上かつ5μm以下である。
ここで、この酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子の平均粒径が1μmを下回ると、粒子同士の接触が不十分となり、結果的に熱伝達率が低下する虞があり、また、粒径が細か過ぎると、取扱等の作業性の低下を招くこととなり、好ましくない。一方、平均粒径が10μmを超えると、接着層の厚みにばらつきが生じ易くなるので好ましくない。
【0053】
また、この有機系接着剤層16は、ヤング率が1GPa以下で、柔軟性(ショア硬さがA100以下)を有する熱硬化型アクリル樹脂接着剤で形成されていてもよい。この場合は、フィラーは含有していてもよく、含有していなくともよい。
【0054】
本実施形態の静電チャック装置10は、載置板17の他の主面17bに、静電吸着用内部電極18の周囲を覆うように、シート状またはフィルム状の第一の接着剤19を介して、シート状またはフィルム状の第一の絶縁部材20が接着され、冷却ベース部12の上面12aに、シート状またはフィルム状の第二の接着剤13を介して、シート状またはフィルム状の第二の絶縁部材14が接着され、第二の絶縁部材14の上面にヒータエレメント15が設けられ、静電チャック部11と、ヒータエレメント15が設けられた冷却ベース部12とが、有機系接着剤層16を介して接着一体化されているので、静電チャック部11と冷却ベース部12との間の絶縁破壊を防止することができるとともに、耐電圧性を向上させることができる。また、静電チャック部11の板状試料の載置面の面内温度の均一性を向上させることができるとともに、静電チャック部11と冷却ベース部12との間に、より均一に電圧を印加することができるので、ヒータエレメント15の耐電圧性を向上させることができる。
【0055】
次に、この静電チャック装置10の製造方法について説明する。
まず、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)複合焼結体、酸化イットリウム(Y
2O
3)焼結体または希土類金属−アルミニウム複合酸化物焼結体により、板状の載置板17を作製する。
この場合、炭化ケイ素粉末および酸化アルミニウム粉末を含む混合粉末または酸化イットリウム粉末を所望の形状に成形し、その後、例えば、1400℃〜2000℃の温度、非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気下にて所定時間、焼成することにより、載置板17を得る。
【0056】
次いで、載置板17の上面17aを研削加工し、載置板17の厚みを所望の厚みに調整するとともに、この載置板17の上面17aに、突起部17cを所定の間隔を隔てて、複数個形成し、載置板17の上面17aを、半導体ウエハ等の板状試料を載置する載置面とする。
【0057】
次いで、載置板17の下面17bに、上記の導電性セラミックス粉末等の導電材料を有機溶媒に分散した静電吸着用内部電極形成用塗布液を塗布し、乾燥して、静電吸着用内部電極18を形成する。
静電吸着用内部電極形成用塗布液の塗布法としては、均一な厚さに塗布する必要があることから、スクリーン印刷法等を用いることが望ましい。また、他の方法としては、蒸着法あるいはスパッタリング法により上記の高融点金属の薄膜を成膜する方法、上記の導電性セラミックスあるいは高融点金属からなる薄板を配設して静電吸着用内部電極形成層18を形成する方法等が挙げられる。
【0058】
次いで、静電吸着用内部電極18の載置板17と接している面以外の面を、例えば、アセトンを用いて脱脂、洗浄し、この面上を覆うように、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂を貼着し、第一の接着剤19とする。
【0059】
次いで、この第一の接着剤19の静電吸着用内部電極18と接している面以外の面を覆うように、この第一の接着剤19と同一の平面形状のポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性および耐電圧性を有するフィルム状またはシート状の樹脂を貼着し、第一の絶縁部材20とする。
これにより、載置板17と、静電吸着用内部電極18と、第一の接着剤19と、第一の絶縁部材20とがこの順に積層された静電チャック部11を得る。
【0060】
一方、金属、金属−セラミックス複合材料のいずれかの材料に機械加工を施し、必要に応じてアルマイト処理または絶縁膜の成膜を施し、次いで、例えば、アセトンを用いて脱脂、洗浄することにより、冷却ベース部12を得る。
【0061】
次いで、冷却ベース部12の上面12aを、例えば、アセトンを用いて脱脂、洗浄し、この面上を覆うように、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性および絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂を貼着し、第二の接着剤13とする。
【0062】
次いで、この第二の接着剤13の冷却ベース部12と接している面とは反対側の面上に、この第二の接着剤13と同一の平面形状のポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性および耐電圧性を有するフィルム状またはシート状の樹脂を貼着し、第二の絶縁部材14とする。
【0063】
次いで、この第二の絶縁部材14上に、厚みが0.2mm以下、好ましくは0.1mm以下の一定の厚みを有する、例えば、チタン(Ti)薄板、タングステン(W)薄板、モリブデン(Mo)薄板等の非磁性金属薄板を貼着し、この非磁性金属薄板をフォトリソグラフィー法により、所望のヒータパターンにエッチング加工し、ヒータエレメント15とする。
【0064】
次いで、第二の接着剤13、第二の絶縁部材14およびヒータエレメント15が積層された冷却ベース部12上の所定領域に、例えば、シリコーン系樹脂組成物からなる有機系接着剤を塗布する。この有機系接着剤の塗布量は、静電チャック部11と冷却ベース部12とがスペーサにより一定の間隔を保持した状態で接合一体化できるように、所定量の範囲内とする。
この有機系接着剤の塗布方法としては、ヘラ等を用いて手動で塗布する他、バーコート法、スクリーン印刷法等が挙げられるが、冷却ベース部12上の所定領域に精度良く形成する必要があることから、スクリーン印刷法等を用いることが好ましい。
【0065】
塗布後、静電チャック部11と冷却ベース部12とを、有機系接着剤を介して重ね合わせる。
次いで、静電チャック部11と冷却ベース部12との間隔がスペーサの厚みになるまで落し込み、押し出された余分な接着剤を除去する。
【0066】
以上により、静電チャック部11と冷却ベース部12とは、第二の接着剤13、第二の絶縁部材14および有機系接着剤層16を介して接合一体化される。
【0067】
また、給電用端子21は、例えば、静電チャック装置10を厚み方向に貫通し、冷却ベース部12の下面から静電吸着用内部電極18に至る細孔を形成した後、その細孔に密着固定し得る大きさ、形状となるように作製される。
【0068】
給電用端子21を作製するには、まず、上記の細孔内に、筒状の碍子23を挿入する。
次いで、静電吸着用内部電極18における柱状の電極22と接する面(静電吸着用内部電極18における細孔に露出している面)に導電性接着剤24を塗布する。
次いで、碍子23内に、柱状の電極22を作製する。柱状の電極22の作製方法としては、例えば、柱状の電極22を導電性複合焼結体とする方法や、柱状の電極22を金属とする方法が挙げられる。
【0069】
柱状の電極22を導電性複合焼結体とする方法としては、例えば、導電性セラミックス粉末を、所望の形状に成形して加圧焼成する方法等が挙げられる。このとき、柱状の電極22に用いられる導電性セラミックス粉末としては、静電吸着用内部電極18と同様の材質からなる導電性セラミックス粉末が好ましい。
柱状の電極22を金属とする方法としては、例えば、高融点金属を用い、研削法、粉末治金等の金属加工法等により形成する方法等が挙げられる。
【0070】
また、電極25は、例えば、静電チャック装置10を厚み方向に貫通し、冷却ベース部12の下面からヒータエレメント15に至る細孔を形成した後、その細孔に、金属箔状の電極を挿入することにより作製される。電極25は、金属箔であることが好ましいが、熱応力を緩和できれば金属繊維や金属撚り線であってもよい。ヒータエレメント15と電極25は溶接により結線されることが好ましいが、十分な導電性と接着強度があれば導電性接着剤等で接着してもよい。
【0071】
電極25を作製するには、まず、上記の細孔内に、筒状の碍子26を挿入する。
次いで、碍子26内に、金属箔状の電極を挿入し、電極25を作製する。
金属箔状の電極としては、ヒータエレメント15を構成している非磁性金属材料からなる金属箔状のものが好ましい。
【0072】
このようにして、本実施形態の静電チャック装置10が得られる。