(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬化後の物性として、JIS K 6251に準拠したダンベル状1号試験片を用いて、引張速度20mm/minの引張試験を行った際の、引張強さ[単位:N/mm2]と破断時伸び[単位:%]との比(引張強さ/破断時伸び)が0.08以下であり、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)と(メタ)アクリル系重合体(B)と可塑剤(D)を含有する樹脂組成物100質量部に対し、骨剤100〜300質量部を含有してなり、かつ、
前記樹脂組成物及び前記骨材を20℃に保持して前記骨材が均一に分散するように混合した後、硬化剤を投入して撹拌混合することで得られたてん充材組成物の、JIS K 5600 2−4に準拠した方法で測定した密度D1と、前記てん充材組成物を、20℃の雰囲気温度下で、幅110mm×長さ110mm×高さ26mmの内寸とされた型枠に流し込んで硬化養生させた後、幅100mm×長さ100mm×高さ25mmに切り出した硬化体の質量から算出される密度D2とから、下式(1)によって算出される硬化収縮率が6%以下である、てん充材組成物。
硬化収縮率(%)=[(D2−D1)/D2]×100 ・・・・・(1)
式(1)中、「D1」はJIS K 5600 2−4に準拠した方法で測定されるてん充材組成物の密度であり、「D2」はてん充材組成物の硬化体の密度である。
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)が、ホモポリマーとしたときのガラス転位温度Tgが20℃以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−1)と、ホモポリマーとしたときのガラス転位温度Tgが0℃以下の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−2)を含む請求項1に記載のてん充材組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のてん充材組成物、及び、それを用いたスラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の補修方法について、その実施形態の一例を挙げて詳述する。
【0016】
[てん充材組成物]
本発明のてん充材組成物の成分及び物性について以下に説明する。
本発明のてん充材組成物は、以下に説明する成分及び物性を備える樹脂組成物100質量部に対し、骨剤100〜300質量部を含んだ構成とされている。そして、本発明のてん充材組成物は、詳細を後述するように、樹脂組成物及び骨材を所定温度に保持して均一に分散させた後、所定量の硬化剤を投入して撹拌混合することで得られた状態における密度D1と、さらに、てん充材組成物を所定雰囲気温度下で型枠に流し込んで硬化養生させた後、所定寸法に成形した硬化体の質量から算出される密度D2とから、次式{[(D2−D1)/D2]×100}によって算出される硬化収縮率が6%以下、好ましくは5%以下である物性を有する。本発明のてん充材組成物は、樹脂組成物を構成する各成分及び骨剤が、上述した所定の物性を満たすように適宜組み合わされてなる。
【0017】
<樹脂組成物>
本発明のてん充材組成物に使用する樹脂組成物は、硬化後の物性として、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム」にて規定される打ち抜き具でダンベル状1号試験片に打ち抜いた後、この試験片を用いて引張速度20mm/minの引張試験を実施した際の引張強さ[単位:N/mm
2]と破断時伸び[単位:%]との比(引張強さ/破断時伸び)が0.08以下とされている。また、この引張強さと破断時伸びとの比(引張強さ/破断時伸び)は、0.07%以下であることが好ましく、0.05%以下であることがより好ましく、0.04以下がさらに好ましい。引張強さと破断時伸びとの比を0.08以下とすることで、後述の骨材と混合して得られるてん充材組成物の硬化時の収縮率(硬化収縮率)が小さくなる効果が得られる。
【0018】
なお、引張強さと破断時伸びを測定する際の具体的な試験条件としては、まず、樹脂組成物を厚み2mmで硬化させた後、JIS K 6251で規定される打ち抜き具を用いて樹脂組成物の硬化体からダンベル状1号試験片を採取する。そして、この試験片を引張試験機にセットし、引張速度20mm/minで引張試験を行う。なお、JIS K 6251においては、引張速度は500mm/minに規定されているが、本発明においては20mm/minで引張試験を行うものとする。
【0019】
本発明のてん充材組成物に使用する樹脂組成物とは、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等の重合体、並びにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴマーを含む組成物である。この樹脂組成物には、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むことが好ましい。
この樹脂組成物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)と、一種類以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を(共)重合した(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等の(メタ)アクリル系重合体(B)とから構成される樹脂組成物(以下、樹脂組成物Aという)が挙げられる。
また、樹脂組成物としては、その他、イソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタンオリゴマーに、さらに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を主成分に構成される樹脂組成物(以下、樹脂組成物Bという)、二塩基酸成分と多価アルコール成分とを反応させて得られる不飽和ポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を主成分に構成される樹脂組成物(以下、樹脂組成物Cという)、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーと、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を主成分に構成される樹脂組成物(以下、樹脂組成物Dという)、等も挙げられる。また、本発明においては、上述した(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法以外の方法で得られる、オリゴマーを用いた樹脂組成物も使用できる。
【0020】
「樹脂組成物A」
樹脂組成物Aに用いる単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸のC
1〜C
18のアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の水酸基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の室素含有モノマー類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルホリル等の官能基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂環型(メタ)アクリル酸エステル類;2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、一種を単独、又は、二種以上の組み合わせで使用される。
【0021】
樹脂組成物Aに用いられる単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、例えば、ホモポリマーのガラス転位温度Tgが20℃以上の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−1)と、ホモポリマーのガラス転位温度Tgが0℃以下の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−2)を組み合わせたものを含む構成とすることが好ましい。
【0022】
ホモポリマーのガラス転位温度Tgが20℃以上の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−1)としては、例えば、メチルメタアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロテンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート等が挙げられ、硬化性、硬化物の物性等の観点から、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートが好ましく、さらに、てん充材組成物の粘度が低いことから、メチルメタアクリレートがより好ましい。
【0023】
また、ホモポリマーのガラス転位温度Tgが0℃以下の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−2)としては、例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシアクリレート、2−メトキシメタクリレート、2−エトシキアクリレート、2−エトキシメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート等があげられ、硬化性、硬化物に柔軟性を付与する観点から2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。
【0024】
また、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の含有量は、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)が50〜80質量%であることが好ましく、55〜75質量%がより好ましい。
【0025】
特に、ホモポリマーのガラス転位温度Tgが20℃以上の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−1)の含有量は、樹脂組成物Aの合計を基準とした場合、15〜40質量%が好ましく、20〜37質量%がより好ましい。この含有量が15質量%以上であれば、樹脂組成物及びてん充材組成物の粘度が低くなることから好ましい。また、この含有量が40質量%以下であれば、てん充材組成物の収縮率が低くなることから好ましい。
【0026】
また、ホモポリマーのガラス転位温度Tgが0℃以下の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−2)の含有量は、樹脂組成物Aの合計を基準とした場合、20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。この含有量が20質量%以上であれば、てん充材組成物等の硬化体物性に柔軟性が得られやすく、50質量%以下であれば、てん充材組成物の硬化体物性が好適となりやすく好ましい。
【0027】
樹脂組成物Aに用いる(メタ)アクリル系重合体(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを(共)重合して得られるポリアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル系重合体(B)は、一種単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。
【0028】
また、(メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度Tgは、0℃以上が好ましく、20〜105℃がより好ましく、30〜80℃が特に好ましい。(メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度Tgが0℃以上であれば、適正な粘度が得られ、また、105℃以下であれば、樹脂組成物やてん充材組成物の硬化性が向上する。
なお、本明細書において説明する(メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度Tgとは、示差走査熱量計(DSC)の測定により求めたものである。
【0029】
また、(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、樹脂液の適正な粘度や硬化速度が得られる点から5,000以上であることが好ましい。また、粘度が高くなり過ぎず良好な作業性が得られる点から、200,000以下であることが好ましい。さらに、重量平均分子量(Mw)の下限に関しては10,000以上が特に好ましく、上限に関しては150,000以下が特に好ましい。
なお、本発明で説明する(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量(Mw)とは、濃度が0.4質量%になるように重合体のテトラヒドロフラン溶液を調整し、この溶液をゲルパーミネーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)用装置に100μl注入し、流量:1ml/min、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件下で、GPC法により測定した分子量を標準ポリスチレン換算したものである。
【0030】
樹脂組成物Aにおける(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量としては、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、10〜30質量%が好ましく、15〜27質量%がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量が10質量%以上であれば、樹脂組成物の粘度を調整しやすい。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量が30質量%以下であれば、てん充材組成物の粘度を低くすることができ、充填するのが容易になる。
【0031】
樹脂組成物Aに用いられる1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロプレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタジエングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能化合物を用いてもよい。これらの中でも、てん充材組成物の硬化収縮を抑制する観点から、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)は、一種単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。
【0032】
樹脂組成物Aにおける、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)の含有量は、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、0〜15質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)の含有量が15質量%以下であれば、樹脂組成物の切断伸びが大きくなりやすく好ましい。
【0033】
樹脂組成物Aに用いられる可塑剤(D)としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;アルキルスルホン酸フェニルエステル、アジピン酸ポリエステル等が挙げられる。但し、上記のパラフィン類は、パラフィンワックスを含まないものである。
また、可塑剤(D)は、一種単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。
【0034】
樹脂組成物Aにおける可塑剤(D)の含有量は、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、0〜20質量%が好ましく、0〜15質量%がより好ましい。可塑剤(D)の含有量が20質量%以下であれば、てん充材組成物を硬化させた際の柔軟性が良好となる。
【0035】
「樹脂組成物B」
次に、樹脂組成物Bに用いられる単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、樹脂組成物Aにおいて説明したものを何ら制限なく使用できる。但し、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの種類により、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の含有量は、樹脂組成物Aの場合の好ましい範囲とは異なり、適宜決めればよい。
【0036】
樹脂組成物Bに用いられるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、イソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタンオリゴマーに、さらに、水酸基含有(メタ)アクリル酸を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0037】
ウレタン(メタ)アクリレートを構成するポリオールとしては、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の2価フェノールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加反応生成物類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、メチルペンタンジオール等の多価アルコールとフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸等の多塩基酸及び無水物との反応で得られるポリエステルポリオール類、アルキレングリコールとラクトンから得られるポリラクトンジオール類、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ヘプタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールとホスゲン、ジメチルカーボネート等のカーボネート化剤との反応で得られるカーボネート結合を含むポリカーボネートジオール類等が挙げられる。上記のように例示したポリオールのうち、柔軟性等の観点から、ポリアルキレングリコール類が好ましく、その中でもポリブチレングリコールが特に好ましい。
また、これらのポリオールは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0038】
ウレタン(メタ)アクリレートを構成するポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物で、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等や、該化合物と水やトリメチロールプロパン等とのアダクト化合物や、三量体環化化合物等が挙げられる。
また、これらのポリイソシアネートは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
【0039】
ウレタン(メタ)アクリレートを構成する水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトンと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート付加物等が挙げられる。
また、これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0040】
また、必要に応じ、水酸基含有(メタ)アクリレートの代わりにアリル基含有アルコールを使用してもよい。アリル基含有アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
【0041】
本発明では、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量に関し、特に制限は無いが、塗工時の作業性の観点から、重量平均分子量で30,000以下であることが好ましい。
また、樹脂組成物Bにおける、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量としては、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、重合体(ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、20〜70質量%が好ましい。
【0042】
なお、樹脂組成物Bに用いられる1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)及び可塑剤(D)は、樹脂組成物Aで説明したものが使用できる。
【0043】
「樹脂組成物C」
次に、樹脂組成物Cに用いられる単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、樹脂組成物Aにおいて説明したものを何ら制限なく使用できる。但し、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの種類により、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の含有量は、樹脂組成物Aの場合の好ましい範囲とは異なり、適宜決めればよい。
【0044】
樹脂組成物Cに用いられるポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、二塩基酸成分と多価アルコール成分とを反応させて得られる不飽和ポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0045】
不飽和ポリエステルに用いる二塩基酸成分としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。また、これらの二塩基酸成分は、一種単独、又は、二種以上を併用してもよい。
【0046】
多価アルコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。
【0047】
そして、樹脂組成物Cに用いられるポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、不飽和ポリエステルの分子末端のカルボキシル基を、(メタ)アクリル酸グリシジル等の不飽和エポキシ化合物と反応させた不飽和ポリエステル(メタ)アクリレートや、不飽和ポリエステルの分子末端の水酸基を、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物と反応させて得られるウレタン結合含有不飽和ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
【0048】
樹脂組成物Cにおける、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量としては、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、重合体(ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、30〜80質量%が好ましい。
【0049】
なお、樹脂組成物Cに用いられる、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)及び可塑剤(D)は、樹脂組成物Aに記載されたものが使用できる。
【0050】
「樹脂組成物D」
次に、樹脂組成物Dに用いられる単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、樹脂組成物Aにおいて説明したものを何ら制限なく使用できる。但し、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの種類により、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の含有量は、樹脂組成物Aの場合の好ましい範囲とは異なり、適宜決めればよい。
樹脂組成物Dに用いるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸を反応させて得られる。
【0051】
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーに用いるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールE型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等が挙げられ、固形や液状のもの等、様々なものを用いることができる。また、これらのエポキシ樹脂は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸が挙げられる。
【0052】
樹脂組成物Dにおけるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量としては、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、重合体(エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー)、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計を基準とした場合、30〜80質量%が好ましい。
【0053】
なお、樹脂組成物Dに用いられる1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)及び可塑剤(D)としては、樹脂組成物Aにおいて説明したものを何ら制限なく使用できる。
【0054】
「樹脂組成物の組み合わせ等」
本発明のてん充材組成物においては、上述した樹脂組成物A〜Dについて、一種のみを単独用いてもよく、あるいは二種以上を併用して用いてもよい。
また、本発明では、樹脂物性や、樹脂粘度及びてん充材組成物の粘度を調整し易い点等から、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)と(メタ)アクリル系重合体(B)を含んでなる樹脂組成物Aを好適に用いることができる。
【0055】
「ワックス」
本発明のてん充材組成物に用いられる樹脂組成物には、硬化反応中におけるてん充材組成物の硬化体の表面の表面硬化性を、空気遮断作用によって向上させる等の目的で、ワックスを含有させることがより好ましい。
このようなワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスを石油ナフサ等、溶剤に分散させた特殊ワックスをはじめとする各種ワックスが挙げられる。
【0056】
樹脂組成物に含有されるワックスの融点は40℃以上が好ましく、120℃以下がより好ましい。ワックスの融点が40℃以上であれば、てん充材組成物を硬化させた際に十分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。また、ワックスの融点が80℃以下であれば、樹脂組成物を製造する際の、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)や(メタ)アクリル系重合体(B)への溶解性が良好となる。
【0057】
また、本発明においては、融点が異なる同一種類のワックスを組み合わせて用いてもよいし、異なる種類のワックスを併用してもよい。
また、ワックスとして、融点が異なるパラフィンワックスを2つ以上組み合わせて用いることが特に好ましい。このように、融点の異なる二種以上のパラフィンワックスを併用することにより、てん充材組成物を硬化させる際に、その周辺の温度が変わった場合であっても十分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。
なお、融点が異なるワックスを組み合わせて用いる場合には、それらの融点の差が5℃〜20℃程度のものを併用することが好ましい。
【0058】
樹脂組成物におけるワックスの含有量は、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、各種の重合体及びオリゴマー、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。樹脂組成物におけるワックスの含有量が0.2質量部以上であれば、てん充材組成物を硬化させた際に充分な空気遮断性が得られ、表面硬化性が良好となる。一方、ワックスの含有量が10質量部以下であれば、樹脂組成物(てん充材組成物)の粘度が高くなりすぎることもなく、硬化速度や塗膜の物性が良好となる。
【0059】
「芳香族3級アミン」
本発明のてん充材組成物に用いられる樹脂組成物は、後述する有機過酸化物と反応・硬化しやすくする目的で、さらに芳香族3級アミンを含有するのが好ましい。このような芳香族3級アミンは、硬化反応を促進させる硬化促進剤の役割を果たすものである。
【0060】
本発明で用いる芳香族3級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2―ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等を挙げることができる。
また、芳香族3級アミンは、一種単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。
【0061】
樹脂組成物における芳香族3級アミンの含有量としては、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、重合体、1分子中に2個以上の重合性二重結合を有する化合物(C)、可塑剤(D)の樹脂組成物の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.4〜8質量部がより好ましい。樹脂組成物における芳香族3級アミンの含有量が0.1質量部以上であれば、てん充材組成物の硬化性が良好となる。一方、芳香族3級アミンの含有量が10質量部以下であれば、作業に適した可使時間(組成物が流動性を有し、充填可能な時間)が得られやすくなる。
【0062】
「その他の添加剤」
本発明のてん充材組成物に用いられる樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を含んでもよい。
その他の添加剤としては、例えば、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、顔料、湿潤剤等が挙げられる。
【0063】
(重合禁止剤)
重合禁止剤は、樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で配合される。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
【0064】
(消泡剤)
消泡剤は、作業性や、てん充材組成物の硬化体の物性を安定化させる等の目的で配合される。
このような消泡剤としては、公知の消泡剤が挙げられる。具体的には、例えば、特殊アクリル系重合物を溶剤に溶解させたアクリル系消泡剤、特殊ビニル系重合物を溶剤に溶解させたビニル系消泡剤等を挙げることができる。また、市販品の消泡剤としては、ディスパロンシリーズ(楠本化成株式会社製:登録商標)等が挙げられる。
また、消泡剤は、脱泡剤と組み合わせて用いてもよい。
【0065】
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、てん充材組成物の無機物への接着性を向上させる目的で配合される。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、このようなシランカップリング剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0066】
(湿潤剤)
湿潤剤は、樹脂組成物と、詳細を後述する骨材との分散性の向上や、てん充材組成物の流動性を向上させる目的で配合される。
このような湿潤剤としては、例えば、市販品であるDisperbykシリーズ(商品名:103、112、163、164、166、167、182,183、184、2000、2050、2150、2163、2164:ビックケミー・ジャパン株式会社製:登録商標)や、BYKシリーズ(商品名:W969、W980、W9010:同:登録商標)等が挙げられる。
【0067】
<骨材>
骨材は、てん充材組成物の硬化体の強度付与や硬化収縮率を抑制する成分として用いられる。
このような骨材としては、例えば、珪砂、セラミック骨材、炭酸カルシウム、シリカヒューム、フライアッシュ、タルク、クレー等が挙げられる。
また、骨材は、一種を単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。上記の中でも、珪砂、あるいは炭酸カルシウムを用いると、作業性、流動性が良好で、かつ硬化収縮率を低く抑えることができる点で好ましい。特に、硬化性や硬化体の均一性等の観点から、炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0068】
骨材の粒度(粒子径)としては、特に制限されないが、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
また、骨材として炭酸カルシウムを用いる場合には、重量累積粒径50%時の平均粒径が4〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0069】
骨材の配合量は、樹脂組成物100質量部に対して、100〜300質量部が好ましく、100〜250質量部がより好ましい。骨材の配合量が100質量部以上であれば、てん充材組成物の硬化収縮率を抑制できやすい。一方、骨材の配合量が300質量部以下であれば、硬化収縮率を確保し易く、かつてん充材組成物の流動性が損なわれることなく充填することが可能である。
【0070】
<てん充材組成物の調整>
本発明のてん充材組成物は、樹脂組成物を構成する上記各成分を混合して調整するとともに、この樹脂組成物に上記の骨材を混合することで調整することができる。この際の各成分の混合手順は特に限定されず、公知の方法を採用でき、例えば、樹脂組成物及び骨材を所定温度に保持して均一に分散させた後、所定量の硬化剤を投入して撹拌混合する方法を採用できる。
あるいは、本発明のてん充材組成物は、後述するように、硬化促進剤と硬化剤を別々の樹脂組成物に添加し、さらに骨材を配合して得た2液タイプのてん充材組成物とし、充填の直前に両者を混合して使用することも可能である。
【0071】
<てん充材組成物の物性>
本発明のてん充材組成物は、上述したように、まず、骨剤を除く樹脂組成物(合成樹脂)のみの硬化体の物性が、JIS K 6251に準拠したダンベル状1号試験片を用いて、引張速度20mm/minで引張試験を行った際の引張強さ[単位:N/mm
2]と破断時伸び[単位:%]との比(引張強さ/破断時伸び)で、0.08以下とされている。樹脂組成物の{引張強さ/破断時伸び}が0.08以下であることで、骨材と混合して得られるてん充材組成物の硬化時の収縮率が小さくなる効果が得られる。
【0072】
また、本発明のてん充材組成物は、「スラブ軌道各部補修の手引きII.合成樹脂によるてん充層及び突起周辺部補修の手引き(財団法人鉄道総合技術研究所刊)」に記載の方法で、雰囲気温度及び組成物温度を20℃に保持して測定した硬化収縮率が6%以下である。このように、硬化収縮率が6%以下であれば、補修箇所にてん充材組成物を充填・硬化させた後に、この硬化物とコンクリート等との間に隙間が生じ難くなる。
【0073】
なお、本発明における硬化収縮率の測定は、具体的には、上記文献の記載に準じて、以下のような条件及び手順とする。
まず、樹脂組成物及び骨材を20℃に保持し、高速分散機(プライミクス社製ホモディスパー;以下「ホモディスパー」という)を用いて均一に分散させた後、所定量の硬化剤を投入して撹拌混合することでてん充材組成物を得る。
次いで、JIS K 5600 2−4「塗料一般試験法−塗料の性状安定性−密度」において規定される金属製比重瓶(比重カップ:100ml)及び手順により、てん充材組成物の密度D1を測定・算出する。
次いで、20℃の雰囲気温度とされた恒温槽内において、てん充材組成物を、幅110mm×長さ110mm×高さ26mmの内寸とされた型枠に流し込んで硬化養生させる。てん充材組成物が硬化した後、この硬化体を幅100mm×長さ100mm×高さ25mmに成形し、この硬化体の質量を測定した後、密度D2を算出する。
【0074】
そして、硬化前のてん充材組成物の密度D1と、硬化後の密度D2から、下式(1)によって硬化収縮率を算出する。
硬化収縮率(%)=[(D2−D1)/D2]×100 ・・・・・(1)
式(1)中、「D1」はJIS K 5600 2−4に準拠した方法で測定されるてん充材組成物の密度であり、「D2」はてん充材組成物の硬化体の密度である。
【0075】
<硬化>
本発明のてん充材組成物又はこれに用いられる樹脂組成物を良好に硬化させるには、20℃の環境下の場合においては、そのゲル化時間を10分〜60分の範囲に調整することが好ましい。このゲル化時間が10分未満では、作業可能な可使時間が短くなる。また、ゲル化時間が60分を超えると、てん充材組成物又はこれに用いられる樹脂組成物の硬化形態が良好でなくなり、硬化体としての好ましい物性が得られ難くなる。
【0076】
なお、上述のゲル化時間をコントロールするためには、てん充材組成物又はこれに用いられる樹脂組成物に、硬化剤として有機過酸化物を添加することが好ましく、上述した芳香族3級アミン等の硬化促進剤と、有機過酸化物とを組み合わせたレドックス触媒を用いることがより好ましい。
なお、本明細書において説明するゲル化時間とは、硬化剤と硬化促進剤が同時に存在した時間から、流動性を失うまでの時間のことである。
【0077】
「有機過酸化物」
硬化剤に用いられる有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。また、有機過酸化物としては、硬化性が良好なことから過酸化ベンゾイルを用いることが好ましい。また、硬化剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0078】
有機過酸化物の添加量は、てん充材組成物又はこれに用いられる樹脂組成物の使用温度によって異なるため、一概には決められないが、例えば、20℃の環境下においては、樹脂組成物100質量部に対して1〜5質量部が好ましい。有機過酸化物の添加量が1質量部以上であれば、てん充材組成物又は樹脂組成物の未硬化部が生じることがなく、硬化が長時間にわたることがない。一方、有機過酸化物の添加量が5質量部以下であれば、硬化性が良く、かつ作業時間も確保できる。
なお、使用温度が20℃以外の場合は、有機過酸化物の添加量を調整して使用することが好ましい。
【0079】
<用途>
本発明のてん充材組成物は、スラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の欠損部等補修を目的とする補修材等として用いることができる。
また、本発明のてん充材組成物は、その他、例えば、各種構造物のクラックや隙間が開いた箇所への充填材等としても使用することができる。
【0080】
<作用効果>
以上説明したような、本発明のてん充材組成物によれば、樹脂組成物の硬化後の特性として、JIS K 6251に準拠したダンベル状1号試験片を用いた引張試験における引張強さと破断時伸びとの比を所定範囲とすることにより、この樹脂組成物に骨材を配合して得られる当該てん充材組成物が硬化する際の収縮率が小さくなり、また、充填性にも優れ、てん充材としての特性及び作業性が良好な硬化体が得られる。
また、本発明のてん充材組成物を、鉄道のスラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の欠損の補修材等として用い、このセメントアスファルトモルタル層に注入した後に硬化させる補修方法を採用することで、常温から低温下の幅広い条件下において迅速な施工が可能で、硬化収縮率が小さな硬化体が得られる。
従って、本発明によれば、例えば、鉄道の軌道スラブの高低調整や、軌道スラブの列車通過時のあおり防止、雨水の進入防止、風化等により破砕したセメントアスファルトモルタルの飛散防止等、構造物の安定化を目的とした用途において非常に有用である。
【0081】
[スラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の補修方法]
本発明のスラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の補修方法は、上述した本発明のてん充材組成物を用いた方法であり、該てん充材組成物を、スラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層に注入した後、これを硬化させる方法である。
【0082】
てん充材組成物をスラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層に注入する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、所定量の硬化促進剤、硬化剤及び骨材を混合した1液タイプのてん充材組成物を注入充填・硬化させる方法が挙げられる。あるいは、硬化促進剤と硬化剤を別々の樹脂組成物に添加し、さらに骨材を配合して得た2液タイプのてん充材組成物を機械等で送液し、送液経路中において、スタティックミキサー等のラインミキサーによって混合し、充填・硬化させる方法等、様々な方法で充填・硬化させることができる。
また、充填したい箇所に予め不織布等の筒状の袋を設置し、その筒状の袋内に、1液タイプや2液タイプのてん充材組成物を充填・硬化させる方法も適用することができる。
【0083】
<作用効果>
本発明のスラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の補修方法によれば、本発明のてん充材組成物を用いた上記方法を採用することにより、常温から低温下の幅広い条件下において迅速に施工できるとともに、硬化収縮率が小さな硬化体が得られることから、優れた作業性で確実な補修を行うことが可能となる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を挙げて、本発明のてん充材組成物及びそれを用いたスラブ軌道のセメントアスファルトモルタル層の補修方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、以下の例における「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
【0085】
[樹脂組成物の調製]
<樹脂組成物(S−1)の調製>
撹拌機、コンデンサーを備えた容器に、単量体(A)としてメタアクリル酸メチル(以下「MMA」と略す。(a−1)成分。)30部、メタアクリル酸n−ブチル(以下、「n−BMA」と略す。)5部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「2−EHA」と略す。)25部、及びポリブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルPBOM(登録商標)、(以下、「PBOM」と略す。))15部と、ワックスとして融点47℃のパラフィンワックス(以下、「ワックス1」と略す。)0.2部、融点55℃のパラフィンワックス(以下、「ワックス2」と略す。)0.2部、及び、融点66℃のパラフィンワックス(以下、「ワックス3」と略す。)0.2部と、芳香族3級アミン(硬化促進剤)としてN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン(以下、「PTEO」と略す。)0.8部と、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(以下「BHT」と略す。)0.05部と、湿潤剤としてDisperbyk−167(ビックケミー・ジャパン社製:登録商標(以下、「D−167」と略す。))0.5部を加え、撹拌しながら、重合体(B)としてポリマー1(メチルメタクリレート(以下「MMA」と略す。)/n−ブチルメタアクリレート(以下「n−BMA」と略す。)=40/60の共重合体、Mw=60000、Tg=49℃)25部を投入した。水浴にて溶液温度を60℃にし2時間加熱し、重合体(B)を溶解した。溶解を確認後、冷却し、樹脂組成物(S−1)を得た。
【0086】
<樹脂組成物(S−2)〜(S−4)、(S−7)、(S−8)の調製>
表1に記載の配合組成にした点以外は、樹脂組成物(S−1)の調製と同様にして樹脂組成物(S−2)〜(S−4)及び(S−7)、(S−8)を得た。
【0087】
<樹脂組成物(S−5)の調製>
撹拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に、アジピン酸とプロピレングリコールから得られる平均分子量2000のポリエステルポリオール6000部(3mol)、MMA 1500部、ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名アクリエステルDM(登録商標))34.7部、重合禁止剤としてBHT 6.94部を仕込み、攪拌しながら65℃まで加熱した。この温度を維持した状態で、トリレンジイソシアネート(以後TDIと略す)696.0部(4mol)を1時間かけて滴下し、次いでMMA 174.0部を加え、65℃にて更に2時間反応を進行させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以後2−HEAと略す)241.5部(2.08mol)を1時間かけて滴下しつつ、90℃まで昇温し、MMA 60.4部を加え、90℃を保持したまま反応を進行させた。そして、イソシアネート基の反応率が98%以上となった時点で反応を終了し、冷却した。これに、MMA 4705.3部、2−EHA 3485.4部、ワックス2 50.1部、ワックス3 33.4部、重合促進剤(N,N−ジメチル−p−トルイジン(以後、DMPTと略す。))104.7部を加え、オリゴマー含有量約40%のウレタンアクリレート系樹脂組成物(S−5)を得た。なお、製造したウレタンアクリレートオリゴマーをUA−2と略す。
【0088】
<樹脂組成物(S−6)の調製>
上記樹脂組成物(S−5)の場合と同様の容器に、平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール3000部(3mol)、MMA 750部、ジメチルアミノエチルメタクリレート19.7部、BHT 3.94部を仕込み、攪拌しながら65℃まで加熱した。この温度を維持した状態で、TDI 696.0部(4mol)を1.5時間かけて滴下し、次いでMMA 174.0部を加え、65℃にて更に2時間反応を進行させた。その後、2−HEA 241.5部(2.08mol)を1時間かけて滴下しつつ、90℃まで昇温し、MMA 60.4部を加え、90℃を保持したまま反応を進行させた。そして、イソシアネート基の反応率が98%以上となった時点で反応を終了し、冷却した。これに、MMA 5604.9部、2−EHA 1858.2部、アクリルポリマー(MMA/n−BMA=60/40、重量平均分子量30000)695.4部、ワックス1 52.3部、ワックス2 39.2部、ワックス3 39.2部、重合促進剤(N,N−ジメチル−p−トルイジン)104.8部を加え、オリゴマー含有量約30%のウレタンアクリレート系樹脂組成物(S−6)を得た。なお、製造したウレタンアクリレートオリゴマーをUA−1と略す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1中の記号はそれぞれ以下のものを示す。
・MMA:メタクリル酸メチル。
・n−BMA:メタクリル酸n−ブチル。
・EHOA:2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート(東亞合成社製、商品名:アロニックスM−120(登録商標))。
・2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学社製)。
・ポリマー1:MMA/n−BMA=40/60の共重合体(Tg=49℃、Mw=60,000)。
・ポリマー2:MMA/n−BMA=60/40の共重合体(Tg=55℃、Mw=24,000)。
・ポリマー3:MMA/n−BA=92.5/7.5の共重合体(Tg=87℃、Mw=73,000)。
・PBOM:ポリブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルPBOM(登録商標))。
・3ED:トリエチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステル3ED(登録商標))。
・可塑剤1:アルキルスルホン酸フェニルエステル(島貿易社製、商品名:メザモール(登録商標))。
・可塑剤2:(花王社製、商品名:ビニサイザー105(登録商標))。
・可塑剤3:(東ソー社製、商品名:トヨパラックス150(登録商標))。
・DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン。
・PTEO:N、N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン。
・ワックス1:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:パラフィン115(登録商標))。
・ワックス2:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:パラフィン130(登録商標))。
・ワックス3:パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:パラフィン150(登録商標))。
・BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフエノール。
・BYK−1752:消泡剤(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−1752)。
・BYK−052:消泡剤(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−052)。
・Disperbyk−167:湿潤剤(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:Disperbyk−167(登録商標))。
・BPO−50:過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L(登録商標)、純度50%)。
【0091】
[実験例1]
樹脂組成物(S−1)100部に、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L(登録商標)、(以下「有機過酸化物1」と略す。)、純度50%)を2部添加して充分に撹拌し、混合物(樹脂配合物)を得た後、硬化させて硬化物を得た。
そして、得られた樹脂配合物を用いて、以下の測定を実施した。その結果を下記表2に示す。
【0092】
<樹脂硬化体の引張強さ及び破断時伸びの測定>
有機化酸化物1を樹脂組成物(S−1)100部に対して2部添加し、十分に撹拌・溶解した後、20℃の環境下でセルキャストに樹脂配合物を流し込み、硬化させた。次いで、厚み2mmで硬化させた樹脂硬化物を、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム」に規定される打ち抜き具にて打ち抜くことで、ダンベル型1号試験片を採取した。次いで、この試験片を用いて引張試験機(テンシロン万能引張試験機:登録商標)にて引張試験を実施し、引張強さと破断時の伸びを測定した。そして、測定した際の引張強さ[単位:N/mm
2]と破断時の伸び[単位:%]の比(引張強さ/破断時伸び)を算出した。但し、JIS K 6251で規定される引張速度は500mm/minであるが、本発明(本実施例)においては20mm/minとした。
【0093】
[実験例2〜8]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−2)〜(S−8)に変更した点以外は、実験例1と同様にして混合物(樹脂配合物)を調製し、同様の測定を実施した。その結果を下記表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
表2の結果に示すように、(S−1)〜(S−6)の樹脂組成物は、引張強さと破断時の伸びの比(引張強さ/破断時伸び)が0.08以下である。
これに対して、(S−7)、(S−8)の樹脂組成物は、引張強さと破断時の伸びの比(引張強さ/破断時伸び)が0.08を超えたものである。
【0096】
[実施例1−1]
樹脂組成物(S−1)100部に、炭酸カルシウムG−100(三共製粉社製、商品名:G−100)を220部添加し、ホモディスパーを用いて3000r.p.m.で3分間撹拌した後、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L(登録商標)、(以下「有機過酸化物1」と略す。)、純度50%)を2部添加して、さらに1分間撹拌し、てん充剤組成物を得た。
そして、得られたてん充材組成物を用いて、以下に説明する測定及び評価を実施した。その結果を下記表3に示す。
【0097】
<硬化収縮率>
20℃に設定した樹脂組成物100部と、下記表3に示す所定量の骨材を、ホモディスパーにて撹拌して均一に分散させた後、所定量の硬化剤を投入して撹拌混合し、JIS K 5600 2−4「塗料一般試験法−塗料の性状安定性−密度」に規定の金属製比重瓶(比重カップ:100ml)を用いて、てん充材組成物の密度D1を測定・算出した。その後、20℃の恒温槽内にて、内寸が幅110mm×長さ110mm×高さ26mmの型枠にてん充材組成物を流し込み、硬化養生させた。てん充材組成物が硬化した後、この硬化体を幅100mm×長さ100mm×高さ25mmに成形し、質量を測定して密度D2を算出した。そして、密度D1、D2から下式を用いて、てん充材組成物の硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)=[(D2−D1)/D2]×100
【0098】
<流動性の評価>
20℃に設定した樹脂組成物100部と、下記表3に示す所定量の骨材を、ホモディスパーにて撹拌して均一に分散させた後、20℃の雰囲気温度において、その組成物(硬化剤混入前のもの)について、回転粘度計BM型(東機産業株製)を用いてローターNo.4にて1分後に粘度を測定した。この際、隙間への注入に良好な流動性を考慮し、以下を指標として評価した。
○ : 測定した粘度が10Pa・s以下。
× : 測定した粘度が10Pa・sを超える。
【0099】
【表3】
【0100】
表3中の記号は、それぞれ以下のものを示す。
・G−100 :炭酸カルシウム、平均粒径65μm、(三共製粉社製、商品名:G−100)
・A :炭酸カルシウム、平均粒径12μm、(三共製粉社製、商品名:重質炭酸カルシウム 汎用品 A)
・K−6 :珪砂6号(三河珪砂社製、商品名:普通珪砂6号)
・K−8 :珪砂8号(三河珪砂社製、商品名:普通珪砂8号)
【0101】
[実施例1−2]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−2)に変更し、骨材である炭酸カルシウムG−100を200部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0102】
[実施例1−3]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−3)に変更し、骨材を珪砂8号 260部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0103】
[実施例1−4]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−4)に変更し、骨材である炭酸カルシウムG−100を220部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0104】
[実施例1−5]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−5)に変更し、骨材を珪砂6号 120部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0105】
[実施例1−6]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−6)に変更し、骨材を珪砂6号 150部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0106】
[比較例1−1]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−7)に変更し、骨材である炭酸カルシウムG−100を200部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0107】
[比較例1−2]
樹脂組成物(S−1)を樹脂組成物(S−8)に変更し、骨材である炭酸カルシウムG−100を200部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0108】
[比較例1−3]
骨材を炭酸カルシウムA 50部に変更した以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0109】
[比較例1−4]
骨材である炭酸カルシウムG−100を350部に変更した以外は、実施例1と同様にして、てん充材組成物を調製し、同様の測定及び評価を実施した。
【0110】
表3の結果に示すように、実施例1−1〜1−6のてん充材組成物は、硬化収縮率が5%以下と小さく、かつ流動性が良好であった。
これに対して、比較例1−1〜1−3は硬化収縮率が5%を超えたものであり、また、比較例1−4は硬化収縮率が5%以下で小さいものの、流動性が悪く充填性に欠ける評価となった。
【0111】
[実施例2]
実施例1−4のてん充材組成物を用いて、以下に説明する評価(可使時間、バネ定数)を実施し、その結果を下記表4に示した。
【0112】
<可使時間>
20℃に設定した樹脂組成物400部に、炭酸カルシウムG−100(三共製粉社製、商品名:G−100)880部を添加しながら、ホモディスパーにて3分間撹拌して均一に分散させた後、有機化酸化物 8部を添加し、さらに1分間撹拌・溶解し、てん充材組成物を得た。その後、20℃の恒温槽内において、てん充材組成物について、回転粘度計BM型(東機産業株製)を用いて、ローターNo.4にて、粘度が40Pa・sを超えるまでの時間を測定した。なお、可使時間は、有機化酸化物1を添加した時点から、てん充材組成物の粘度が40Pa・sを超えるまでの時間として評価した。
【0113】
<バネ定数>
樹脂組成物200部に、炭酸カルシウムG−100(三共製粉社製、商品名:G−100)を440部添加し、ホモディスパーを用いて3000r.p.m.で3分間撹拌した後、有機過酸化物(硬化剤)として過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックスCH−50L(登録商標)、(以下「有機過酸化物1」と略す。)、純度50%)を4部添加して、さらに1分間撹拌し、てん充剤組成物を得た。得られたてん充材組成物を、20℃の恒温槽内にて、内寸が幅110mm×長さ110mm×高さ26mmの型枠に流し込み、硬化養生させた。てん充剤組成物が硬化した後、この硬化体を幅100mm×長さ100mm×高さ25mmに成形し、バネ定数試験体とした。そして、この試験体に、荷重速度1mm/minで、0〜4.4kNの載荷を3回繰り返し、3回荷重載荷時の0.98〜3.92kN間の変位量(δ)を測定して、この際の荷重と変位量(δ)から、以下の式を用いて静的バネ定数を算出し、結果を下記表4に示した。
バネ定数=(3.92kN−0.98kN)/δmm
【0114】
【表4】
【0115】
表4に示すように、実施例1−4のてん充材組成物を用いて測定した可使時間、バネ定数は、いずれも「スラブ軌道各部補修の手引きII.合成樹脂によるてん充材層及び突起周辺部補修の手引き(財団法人鉄道総合技術研究所刊)」に記載の規格を満足しており、施工時の作業性に優れることが明らかである。