(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。なお各図、実施形態において、同一部材又は同一機能を有する部材には、基本的には同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。
【0008】
本実施形態は、電子写真方式の画像形成装置におけるトナー収容容器となるトナーカートリッジが、以下の特徴を有している。要するに、トナーカートリッジは、同カートリッジに係合し、トナーカートリッジの一辺を開放するための開放用係合部を備えたトナー収容装置に着脱自在である。このトナーカートリッジは、所定の厚さを持つ部材で覆われトナーを収容する略四面体からなる収容部と、四面体の一辺を開放することで形成されるトナー補給用開口部と備え、一辺の開放後に開放した辺を底辺とした三角形の略中線の位置で折りたたみ可能とされている。さらに、トナーカートリッジは、略中線上に配置され、トナー収容装置に装着された状態で開放用係合部と係合可能な係合部を有している。このため、トナーカートリッジをトナー収容装置に収納すると、開放用係合部と容器側の係合部とが係合することで、収容部の一辺が開放されてトナー補給用開口部から内部のトナーを外部に排出することができ、トナーの漏れもなく、手間を要さず、使い勝手が良い。また、トナー補給後のトナー収容容器を、収容部を構成する部材の2枚分の厚みに圧縮できるので、トナー収容容器の圧縮効率を向上し、多数のトナー収容容器を収容することができる。
【0009】
図1は、本発明に係る画像形成装置としてのモノクロプリンタ(以下「プリンタ」と称す)100の概略構成を示す図である。プリンタ100は、装置本体101、プロセスカートリッジ1、書込装置2、転写部材としての転写ローラ3、給紙ユニット4、定着ユニット5など備え、一般的な電子写真方式の作像プロセスに従って画像を形成する。
装置本体101には、前カバー7と後カバー8が開閉自在に設けられている。プロセスカートリッジ1、書込装置2、転写ローラ3、給紙ユニット4、定着ユニット5などの構成部材は、基本的には装置本体101に配置されている。これらプロセスカートリッジ1、書込装置2、転写ローラ3、給紙ユニット4、定着ユニット5による画像形成プロセスは、図示しない制御部によって制御されて実行され、給紙ユニット4から給紙される記録材としての用紙Pに画像がプリントとされる。このため、これら構成部材は制御部と信号線を介して各種情報の送受信が行われている。
装置本体101の前面側に設けられた前カバー7の上方には、表示部としての表示パネル6が設けられている。表示パネル6は、図示しない制御部と信号線などを介して接続されていて、様々な情報を表示してユーザに各種情報を報知するように構成されている。例えば、制御部は、プロセスカートリッジ1やトナー収容容器としてのトナーカートリッジ9が交換する必要があるときは、その旨を表示パネル6に表示する。ユーザは、プロセスカートリッジ1の交換表示がなされると、装置本体101の前カバー7を矢印Aで示す方向に開放してプロセスカートリッジ1を取り出して交換する。ユーザは、表示パネル6に紙詰まり発生情報が表示されると、前カバー7をA方向もしくは前カバー7と反対側に設けられた後カバー8を矢印Bの方向に開放して詰まった用紙を除去する。
なお、
図1では画像形成装置としてモノクロプリンタを例示したが、画像形成装置としては、カラープリンタ、カラー/モノクロの複写機やファクシミリ、これら複数の機能を備えた所謂、複合機であってもよい。
【0010】
次に
図2を用いてプロセスカートリッジ1の構成について説明する。プロセスカートリッジ1は、トナーカートリッジ9よりトナーTを補給可能とされていて、装置本体101に対して脱着可能とされている。プロセスカートリッジ1は、像担持体としてのドラム状の感光体11を中心とした画像形成部10と、トナーカートリッジ9を収容するトナー収容装置190と、トナー収容装置190内のトナーカートリッジ9からトナーTが補給されて貯留されるトナー貯留部18とを備えている。本実施形態に係るトナーTは、その外添剤にオイル含有シリカを含んでいる。
【0011】
画像形成部10には、感光体11の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ12、感光体11に接触してトナーを感光体11に供給する現像剤担持体としての現像ローラ13、現像剤搬送部材としての供給ローラ15、感光体11上の転写残トナーを掻き取るクリーニンク手段としてのクリーニングブレード17が配置されている。現像ローラ13の周囲には、現像ローラ13が保持するトナー量を規制するための規制部材として規制ブレード14が配置されている。供給ローラ15はトナー貯留部18から搬送されるトナーTを現像ローラ13に供給するものである。
トナー貯留部18は、紙面垂直方向に延びる筒状空間であって、その内部中央には、トナーTを攪拌しながら供給ローラ15へと搬送する攪拌部材としてのアジテータ16が回転可能に配置されている。プロセスカートリッジ1は、電子写真方式の周知の一成分作像プロセスに従ってトナー像を感光体11の表面に形成する。
なお、本実施形態では、プロセスカートリッジ1としてトナー単体で構成された一成分現像剤による一成分プロセスを用いるものを例示した。しかし、プロセスカートリッジ1の構成は、一成分プロセスのものに限定されるものではなく、トナーとキャリアを備えた二成分現像剤による二成分現像プロセスを用いるプロセスカートリッジであっても良い。
【0012】
プロセスカートリッジ1は、トナー貯留部18の上方に、トナーカートリッジ収容部19を有するトナー収容装置190が配設されている。トナー収容装置190は、トナーカートリッジ収容部19の上部に開閉自在な上カバー191が配設され、トナーカートリッジ収容部19の下方にトナー貯留部18との間を仕切るようにシャッタ部材としての下カバー192が配設されている。トナー収容装置190は、上カバー191が
図2に示す閉状態にあるときにはプロセスカートリッジ1の外部からトナーカートリッジ収容部19内にトナーカートリッジ9をセットできず、上カバー191が
図3に示すように開状態にあるときには、プロセスカートリッジ1の外部からトナーカートリッジ9をトナーカートリッジ収容部19内の下カバー192の上に載置して装着(セット)できるように構成されている。トナー貯留部18内のトナー残量は、図示しないトナー残量検知手段で検知される。トナーTが所定量より少なくなると、
図1に示した表示パネル6にトナー補給を促すメッセージが表示され、ユーザは上カバー191を開いてトナーカートリッジ9をトナーカートリッジ収容部19内の下カバー192の上に装着することができる。
【0013】
図4に示すように、トナーカートリッジ収容部19は、上カバー191及び下カバー192と、固定部となるプロセスカートリッジ本体194及び圧縮部としての可動部195とで覆われた空間部として形成されている。可動部195は、プロセスカートリッジ本体194に対して近接離間する方向に移動自在に設けられている。以下、この近接離間する方向を移動方向Xと称する。本実施形態において、移動方向Xは下カバー192と平行な水平方向とするが、水平方向に限定されるものではない。プロセスカートリッジ本体194と可動部195とが斜めに配置されている場合、傾斜方向が移動方向Xとなる。また、図中矢印A1は可動部195の圧縮方向、矢印A2は可動部195の戻り方向をそれそれぞれ示す。
【0014】
プロセスカートリッジ本体194には、トナー貯留部18とトナーカートリッジ収容部19内とを連通する連通部193が、その底部194aに形成されている。プロセスカートリッジ本体194には、下カバー192によって開閉される開口194bが形成されているとともに、圧縮容器収容部としての圧縮トナーカートリッジ収容部197と、圧縮部として本体圧縮部1941が形成されている。本実施形態において、本体圧縮部1941は、開口194bよりも可動部195の圧縮方向X1側に凹んで形成された圧縮トナーカートリッジ収容部197の壁面として構成されている。圧縮トナーカートリッジ収容部197は圧縮されたトナーカートリッジ9を収容するものである。
プロセスカートリッジ本体194には、下カバー192及び底面194aと平行になるように、スリット194cが形成されている。スリット194cは、本体圧縮部1941から可動部195の移動方向X(水平方向)に延びていて、可動部195と一体的に移動する下カバー192の一部を収納するためのものである。下カバー192の上面から圧縮トナーカートリッジ収容部197の入口197aまでの高さHは、トナーカートリッジ9が圧縮トナーカートリッジ収容部197内に進入可能な高さに形成されている。この入口197aの高さHは、トナーカートリッジ9の高さH1よりも低く設定されていて、圧縮されたトナーカートリッジ9が倒れた際に、入口197aの上部197bに引っかかって下カバー192上に倒れないように形成されている。また、下カバー192の上面から本体圧縮部1941の上部までの本体圧縮部1941の高さH2は、トナーカートリッジ9の高さH1よりも高く形成されていて、圧縮途中のトナーカートリッジ9が引っ掛かって圧縮の妨げにならないように形成されている。なお、本実施形態において、トナーカートリッジ9の高さH1は、圧縮前後において変化はないが、圧縮前後で変化するトナーカートリッジもトナー収容装置190に収納して用いることが出来る。
【0015】
プロセスカートリッジ1は、トナーカートリッジ収容部19内に収納されたトナーカートリッジ9に当接して圧縮する圧縮部としてのカバー圧縮部1922を可動部195に備えている。可動部195は、本体圧縮部1941と対向する側に配置されていて、底部194a上で移動方向Xに水平移動自在とされていて、圧縮方向X1への移動時にトナーカートリッジ9を圧縮する。可動部195には、上カバー191が開閉自在に支持されているとともに、移動方向Xに延在し、トナーカートリッジ収容部19の底部を構成する下カバー192が形成されている。本実施形態では、可動部195と下カバー192を一体的に移動可能にしている。このため、圧縮動作と連動して下カバー192を開放することができるので、ユーザが下カバー192の開閉動作をする必要がなくなり、操作性を向上できる。
【0016】
下カバー192には、同カバーを貫通するようにカバー連通部1921が形成されている。カバー連通部1921と連通部193とは、可動部195が圧縮方向X1に移動して圧縮動作する前の
図4に示すセット状態においては、可動部195の移動方向Xにずれていて、トナー補給時になり、
図8に示すように、可動部195が圧縮方向X1に移動して圧縮動作が開始すると連通するように配置されている。プロセスカートリッジ本体194と下カバー192は、図示しないシール部材としてのスポンジでシールされていて、トナー飛散が防止されている。
【0017】
可動部195における本体圧縮部1941と対面する部位には、カバー圧縮部1922が本体圧縮部1941に向かって突出して形成されている。カバー圧縮部1922は、可動部195に対して移動方向Xに進退可能に設けられていて、付勢手段としての圧縮コイルばね196によって可動部195から本体圧縮部1941に向かって突出するように付勢されている。カバー圧縮部1922には、後述する開放用係合部200との干渉を避けるための逃げ部1923が形成されている。逃げ部1923は、可動部195が圧縮方向X1に移動してトナーカートリッジ9を圧縮する過程で、開放用係合部200が侵入して可動部195及びカバー圧縮部1922の移動の妨げにならないように機能する。このため、本実施形態において、逃げ部1923は移動方向Xに貫通する孔部として形成している。逃げ部1923を貫通した孔部とすると、製作過程での作業性がよい。逃げ部1923としては移動方向Xに必ずしも貫通している必要は無く、少なくとも可動部195が圧縮方向X1に移動する際に、開放用係合部200が進入して両者の干渉による可動部195とカバー圧縮部1922の移動の妨げにならなければ良く、本体圧縮部1941側から戻り方向X2に凹んで窪み部であっても良い。
【0018】
トナー収容装置190は、トナーカートリッジ9の一辺を開放するための開放用係合部200を備えている。開放用係合部200は、トナーカートリッジ9に形成された孔形状の係合部99A、99Bに挿入して係合することで、トナーカートリッジ9の一辺を開放するものである。本実施形態の場合、可動部195が圧縮方向X1に移動して圧縮動作が開始し、トナーカートリッジ9が押されて圧縮方向X1に移動する際に、係合部99A、99Bに開放用係合部200が挿入し、挿入状態でトナーカートリッジ9が圧縮方向X1に移動することで、トナーカートリッジ9が開封される。
【0019】
次にトナーカートリッジ9の構成について説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジ9は、
図4、
図5に示すように略四面体からなる収容部となるトナー収容部91の内部にトナーを封入して収容している。本実施形態において、トナーカートリッジ9は、所定の厚さを持つ紙とポリエチレンのシート部材を用いて略四面体となるように組み立てて形成されている。トナーカートリッジ9の組み立てについては後述する。
下カバー192上に載置されるトナー収容部91(四面体)の一辺となる下辺92には、開放されることで外部と連通するトナー補給用開口部(以下「開口部」と称す)93が形成されている。開口部93は密閉されていて、カバー圧縮部1922によって圧縮方向X1に移動する際に、開放用係合部200が係合部99A、99Bに挿入し、開放用係合部200が挿入された状態で圧縮方向X1に移動することで圧縮方向X1と交差する開放方向Y(平面視において直交する方向)に開口するように構成されている。
図5において符号94は、トナー収容部91の上部を密着した密着部を示し、符号95はトナー収容部91の下部に設けた開口部93を密着した密着部を示す。符号96、97は、トナー収容部91の側部を密着した密着部をそれぞれ示す。密着部94〜97の密着方法としては、溶着や圧着、接着剤による接着が挙げられる。本実施形態では、接着剤として、三井化学東セロ株式会社製の接着用フィルム「CMPS(登録商標)」を用いて接着して密着させている。接着部96、97は接着部95と交差する(平面視において直交する)ように配置されている。本実施形態において、トナーカートリッジ9は接着部96、97が、開放方向Yに位置するように、トナーカートリッジ収容部19内に収納される。
【0020】
トナーカートリッジ9は、下辺92の開放後に、トナー収容部91における開放した下辺92を底辺とした三角形の中線Sで折り畳み可能に形成されている。本実施形態において、中線Sとは、下辺92を底辺とした三角形の頂点に位置する接触部94から対辺となる底辺92の中点を結んだ直線(中線)としている。しかし、三角形の頂点からの延びる直線は、必ずしも底辺92の中点を結ぶ必要は無く、中点を基準に底辺92の延びる方向にずれた位置で頂点と結ぶ直線であればよい。このように本実施形態における中線Sとは、その範囲に幅を有していることから略中線となる。本実施形態において、中線S上には、密着部96、97が配置されている。
【0021】
係合部99A、99Bは、開放方向Yに位置する密着部96、97の下部に圧縮方向X1に貫通する孔形状として形成されている。これら係合部99A、99Bは開放方向Yにおいて、その中心位置が同一となるように配置されている。すなわち、係合部99A、99Bは、中線Sから伸びる面上(中線上)に配置され、下辺92を開放する開放方向Yにそれぞれ1つずつ孔形状に形成されている。本実施形態において、開放方向Yにおけるトナー収容部91の幅をD、係合部99A、99B間の中心間隔をCとする。このとき、トナー収容部91が密閉状態のときは幅D>中心間隔Cであり、トナー収容部91の底辺92が全開で開放されたときに、幅D≦中心間隔Cとなるように、トナーカートリッジ9は形成されている。係合部99A、99Bの孔形状としては、真円、楕円、多角形のいずれであっても良く、開放用係合部の形状と同一の形状であるのが好ましい。
【0022】
開放用係合部200は、
図6に示すように、可動部195の移動方向Xに延在する2本の棒状部材201、202で構成されている。棒状部材201、202は開放方向Yに水平に並んで配置されている。本実施形態では、棒状部材201、202を互いに個別な部材として構成しているので、棒状部分とは棒状部材201、202そのものである。しかし、棒状部材201、202が連結されて1部材として構成されている場合、連結されている部分以外の部位が棒状部分となる。棒状部材201、202は同一の大きさで、同一の断面形状とされている。棒状部材201、202の大きさは、トナーカートリッジ9の係合部99A、99B内に進入可能な大きさとされている。棒状部材201、202の断面形状は、係合部99A、99B内に進入できる断面形状であれば良く、真円、楕円、多角形の何れであっても良いが、係合部99A、99Bとの摺動抵抗を考慮すると、接触面となる外周面が曲面となる真円又は楕円が好ましいといえる。
【0023】
開放用係合部200は、棒状部材201、202の一端201a、202aが、プロセスカートリッジ本体194に固定されている。棒状部材201、202の一端201a、202aをプロセスカートリッジ本体194に対して着脱可能にして、異なる形状やサイズのものと変更可能としてもよい。棒状部材201、202は、プロセスカートリッジ本体194の本体圧縮部1941から可動部195に向かって水平方向に延在されている。可動部195側に位置する棒状部材201、202の他端201b、202bは、係合部99A、99Bとの導入端とされている。棒状部材201、202は、他端201b、202bと一端201a、202aの間に傾斜部201c、202cをそれぞれ有している。傾斜部201c、202cは、他端201b、202bから一端201a、202aに向かって末広がりになるように形成されている。すなわち、傾斜部201c、202cは、圧縮方向X1に向かって開放方向Yに末広がりになるように形成されている。
棒状部材201、202は、他端201b、202bから傾斜部201c、202cまでの区間G1と、一端201a、202aから傾斜部201c、202cまでの区間G3において、直線状であって互いに平行に配置されている。開放方向Yにおける、一端201a、202aの中心間隔E1は、係合部99A、99B間の中心間隔Cと同一とされている。開放方向Yにおける、他端201b、202bの中心間隔E2は、中心間隔E1よりも大きく、かつ、トナー収容部91の幅Dよりも大きく形成されている。
例えば、棒状部材201、202の中心間隔E1と係合部99A、99B間の中心間隔Cを15mm、トナー収容部91の幅Dを50mmとしたとき、中心間隔E1は15mm、中心間隔E2は、中心間隔C+幅Dとなる65mmとしている。
棒状部材201、202は、区間G1と区間G3の間に位置する区間G2に位置する傾斜部201c、202cが、棒状部材201、202の延在方向となる移動方向Xにおいて、中心間隔Cよりも開放方向Yに徐々に拡開するように形成されている。
【0024】
このような構成のトナーカートリッジ9は、
図4に示すように、プロセスカートリッジ1のトナーカートリッジ収容部19内に上カバー191を開いて開口部194cより収納される。
図7は、トナーカートリッジ収容部19内の下カバー192上に、トナーカートリッジ9が載置されて装着(セット)された状態をトナー貯留部18側から見た図である。この状態では、トナーカートリッジ9の底辺92は密閉されていて開口部93は閉じた状態になっている。また、この状態では、係合部99A、99Bと開放用係合部200の棒状部材201、202の他端201b、202bとは離れており、他端201b、202bは係合部99A、99Bに挿入されていない非係合状態となっている。
この状態からトナーカートリッジ9の底辺92を開放するには、
図8に示すように可動部195を図中右方である圧縮方向X1にスライド移動させる。すると、下カバー192上のトナーカートリッジ9も圧縮方向X1に移動し、その移動途中で係合部99A、99Bに棒状部材201、202の他端201b、202bが挿入する。可動部195の圧縮方向X1への移動が進むにつれてトナーカートリッジ9側の係合部99A、99Bも棒状部材201、202の区間G1を圧縮方向X1に移動する。そして、
図9に示すように、係合部99A、99Bが区間G2に位置する傾斜部201c、202c上を移動すると、その移動に伴い、係合部99A、99Bが徐々に開放方向Yに引っ張られ、底辺92の密着部95が剥がれて開放され開口部93が形成されて開口する。つまり、傾斜部201c、202c上を係合部99A、99Bが圧縮方向X1方向に移動することで、傾斜部201c、202cによって、係合部99A、99Bの中心間隔Cが徐々に大きくなるため、容易に底辺92を開放して開口部93を形成して開口することができる。
【0025】
このとき水平方向(移動方向X)にずれて配置されていたカバー連通部1921と連通部193とが、
図8に示すように、可動部195が移動することで重合する。このため、開口された開口部93から排出されたトナーTがトナー貯留部18に落下して補給される。すなわち、トナー貯留部18は、トナーカートリッジ9の開口部93と連通することでトナーTが補給される。つまり、下カバー192は、トナー貯留部18を覆うとともに、開放用係合部200の開放動作と連動してトナー貯留部18を開放する。
このため、係合部99A、99B間の中心間隔Cを開き、底部92を開放して開口部93を開口する開放動作と連動して下カバー192が開放されるので、ユーザが下カバー192の開閉処理をする必要がなくなり操作性を向上する。
また、可動部195が圧縮方向X1に移動することでプロセスカートリッジ本体194の開口部194cの開口面積が減少するとともに、上カバー191が開口部194cを覆っているので、トナー補給時のトナーカートリッジ収容部19からのトナー飛散を防止することができる。
【0026】
可動部195が、
図8に示す補給状態から圧縮方向X1に更に移動すると、
図10に示すように、トナーカートリッジ9は圧縮トナーカートリッジ収容部197内に浸入する。このとき、係合部99A、99Bが区間G2の傾斜部201c、202cを移動することで、開口部93が開放方向Yに向かって開口されるとともに、
図11に示すように区間G3に位置する直線上の一端201a、202aに到達する。一端201a、202aの間隔E2は、トナー収容部91の幅Dと同一か大きく設定されているため、トナーカートリッジ9は係合部99A、99Bが区間Bを移動することで、棒状部材201、202による開放動作と連動して2つに折り畳まれる。そして、折り畳まれたトナーカートリッジ9は、カバー圧縮部1922によってさらに圧縮方向X1に押されることで、本体圧縮部1941に押し付けられる。このため、棒状部材201,202による折り畳みが不十分な場合であっても、カバー圧縮部1922(可動体195)の移動により押しつぶすことができる。また、圧縮されたトナーカートリッジ9は圧縮トナーカートリッジ収容部196に位置して最大限に圧縮された状態にあり、圧縮トナーカートリッジ収容部196内に収納される。このようにトナーカートリッジ9を圧縮する圧縮手段となるカバー圧縮部1922と本体圧縮部1941とを備えていると、効率よくトナーカートリッジ9を圧縮することができる。
【0027】
圧縮時において、圧縮されたトナーカートリッジ9は、可動体195と一体の下カバー192の上に載置されて移動するとともに、カバー圧縮部1922によって押されることでも移動しながら開放用係合部200の棒状部材201、202が係合部99A、99Bに挿入することで開口部93が開放される。このため、本実施形態において、圧縮されたトナーカートリッジ9を圧縮トナーカートリッジ収容部197に移動する移動手段としては、カバー圧縮部1922、下カバー192、可動体195が該当することになる。
【0028】
この状態で印刷動作を行い、トナー貯留部18内のトナー残量が所定量より少なくなると、表示パネル6(
図1参照)にはトナー補給を促すメッセージが表示される。ユーザは
図12に示すように、一点鎖線で示す閉状態の上カバー191を実線で示す開状態となるまで移動させ、新たなトナーカートリッジ9を下カバー192上に載置して装着(セット)する。そして、可動体195を圧縮方向X1に移動させることで、新たにセットしたトナーカートリッジ9は、圧縮方向X1へ移動しながら、カバー圧縮部1922によって押されることで移動しながら開放用係合部200の棒状部材201、202が係合部99A、99Bに挿入することで底辺92が開放されて開口部93が開口され、トナー補給が行なわれる。補給後は圧縮されて圧縮トナーカートリッジ収容部196内に圧縮後のトナーカートリッジ9Aとして収納される。
【0029】
このように、圧縮後のトナーカートリッジ9Aを収容する圧縮トナーカートリッジ収容部197と、圧縮後のトナーカートリッジ9Aを圧縮トナーカートリッジ収容部197に移動する移動手段となる可動部195、下カバー192、カバー圧縮部1922を有するので、圧縮後のトナーカートリッジ9Aを機外に排出する必要がなく、操作性を向上することができる。
すなわち、ユーザは、新たなトナーカートリッジ9をセットする毎に、使用後のトナーカートリッジ(圧縮後のトナーカートリッジ)9Aをカートリッジ収納部19内から廃棄する必要がなくなるので、操作性が向上する。また、仮に可動部195が圧縮方向X1と逆方向となる戻り方向X2に移動する際に、圧縮されたトナーカートリッジ9Aが下カバー192と一緒に移動しようとしても、圧縮されたトナーカートリッジ9Aの上部が入口197aの上部197bに引っかかるため、倒れることが無く、新たなトナーカートリッジ9のセットの妨げになることがない。
【0030】
図13を用いてトナーカートリッジ9の組み立てについて説明する。
図13(a)は、トナーカートリッジ9の展開状態を示し、
図13(b)は組み上がった状態を示す。トナーカートリッジ9を構成する1枚の長方形状のシート部材900には、その全長を均等に2分割する分割線901を中心に、組み立て後に上下左右に接着部があり、中央部が略四面体となる形状を破線と一点差線で線対称に形成されている。本実施形態の場合、破線部を山折り、一点鎖線部を谷折りとている。シート部材900の長手方向に位置する一端902と他端903の四隅には、組み立て後に係合部99A、99Bとなる孔904A、904Bと孔905A、905Bが分割線901を中心に線対称に形成されている。
そして、シート部材900の外側よりに形成した斜線で示す額縁状の密着領域904に接着剤を塗布し、例えば分割線901を中心に他端903を一端902側に折込み、破線部と一点鎖線部に沿ってシート部材900を折り込んで組み立てる。すると、
図13(b)に示すように、略四面体のトナー収納部91を備え、その外側に接着部94〜97を有し、接着部96、97の下部に係合部99A、99Bを備えたトナーカートリッジ9が形成される。そして、開口部93を底辺とする三角形の中線Sとし、この中線Sに予め折り目をつけておく、もくしは継ぎ目にし、係合部99A、99Bを配置することで、確実に中線Sでトナーカートリッジ9が折り畳まれ、圧縮効率を高くすることができる。
【0031】
図14(a)、
図14(b)は、本実施形態に係るトナーカートリッジ9と従来のトナーカートリッジ9Bを示す。
図14(b)に示す従来のトナーカートリッジ9Bでは、下辺の開放後に、四面体における開放した下辺を底辺とした三角形の中線で折り畳み可能にしていないので、圧縮された際にトナー収容部931の内側に折り畳まれてしまい、トナーカートリッジ9Bを構成するシート部材の厚みtの4枚分の厚さ4tとなってしまう。
しかし、
図14(a)に示す本実施形態に係るトナーカートリッジ9の場合、底辺92の開放後に、四面体における開放した下辺92を底辺とした三角形の中線Sで折り畳み可能にしている。このため、シート部材の厚みtの2枚分の厚さ2tに圧縮することができ、多数のトナーカートリッジ9をトナーカートリッジ収容部19(圧縮トナーカートリッジ収容部197)内に収容することができる。
【0032】
本実施形態において、トナーカートリッジ9には、三角形の中線Sの位置で折りたたみ可能であって、中線S上にトナー収容装置190に装着された状態で開放用係合部200と係合可能な係合部99A、99Bを有している。このため、トナーカートリッジ9をトナー収容装置190に収納し、開放用係合部200と容器側の係合部99A、99Bとが係合することで、トナー収容部91の四面体の下辺92が開放されて開口部93が開口されて内部のトナーを排出することができるため、トナーの漏れもなく手間を要さず、使い勝手が良い。
【0033】
本実施形態においては、係合部99A、99Bは、開口部93を開放する開放方向Yにそれぞれ形成されているので、係合部99A、99Bを開放方向Yに引っ張ることで、容易に下辺92を開放して開口部93を開口することができる。また、本実施形態において、係合部99A、99Bに係合する開放用係合部200は、開放方向Yに位置し、孔形状の係合部99A、99Bにそれぞれ挿入し、下辺92を開放して開口部93を開口する棒状部分201、202を備え、棒状部分の間隔が、棒状部分の延在方向において、係合部99A、99B間の中心間隔Cよりも下辺92の開口部93の開放方向Yに徐々に拡開するように形成されているので、係合部99A、99Bが延在方向に移動することで、開放方向Yに効率よく開口部93を開口することができる。
なお、実施形態中、係合部99A、99Bと棒状部材201,202は、密着部95を境にして開放方向Yにそれぞれ1つずつ配設した構成しているが、係合部99A、99Bと棒状部材201,202は1つずつに限定するものではなく、密着部95を境にして開放方向Yにそれぞれ複数配設した構成であってもよい。
【0034】
上述の実施形態では、プロセスカートリッジ1にトナーカートリッジ9を装着する形態を用いて説明したが、トナーカートリッジ9のセット位置はプロセスカートリッジ1に限定されるものではない。
例えば、
図15に示すように装置本体101にトナーカートリッジ9を設置し、当該トナーカートリッジ9から搬送経路103を用いてプロセスカートリッジ1のトナー収納部18にトナーTを搬送するタイプの画像形成装置に適用しても良い。
このように画像形成装置に上述のトナーカートリッジ9を適用する場合、装置本体101の底部101aにカバー連通部1921を形成する。また装置本体101側に、開放用係合部200を備えたトナーカートリッジ収容部19、カバー圧縮部1922と下カバー192を備えた可動部195と、圧縮トナーカートリッジ収容部196、本体圧縮部1941とを備えたトナー収容装置190を設け、下カバー192の上にトナーカートリッジ9を載置してセットする。そして、可動部195を圧縮方向X1に移動することで、効率的な開口部93の開放によるトナー補給と、効率的なトナーカートリッジ9の圧縮と、圧縮したトナーカートリッジ9Aの効率的な収容を行なえる。
【0035】
このような構成の場合、プロセスカートリッジ1に設ける場合よりもコスト低減を図ることができる。すなわち、プロセスカートリッジ1は交換部品であるので、一定のサイクルで交換される。このため、トナーカートリッジ1だけでなく、構成Zも、プロセスカートリッジ1の交換時に交換されてしまい、プロセスカートリッジ1のコストが高くなり、画像形成装置のコストアップ要因となる。
しかし、装置本体101側に、これら各構成(トナーカートリッジ収容部19、カバー圧縮部1922と下カバー192を備えた可動部195と、圧縮トナーカートリッジ収容部196、本体圧縮部1941)を備えたトナー収容装置190を設置しておけば、プロセスカートリッジ1に構成Zを設置しなくて済むので、プロセスカートリッジ1のコスト低減を図ることができ、画像形成装置のコスト低減にもつながる。