(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハロゲン電球等の一般的な灯具は、その最大外径寸法や全長寸法等を規定した標準規格(例えば、C7527−JIS−6320−2)が制定されている。従って、ハロゲン電球をLED照明装置によって置き換える場合にも、LED照明装置の最大外径寸法や全長寸法等を既存の標準規格に適合させる必要があり、大きなヒートシンクを設けることが難しい。このため、ハロゲン電球をLED照明装置によって置き換える場合には、LEDから発する熱を充分に放熱させることができずにLEDが高温となり、その結果、発光効率が低下するというおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、既存の標準規格に適合させる場合であっても、発光効率の低下を有効に防止させ得るLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るLED照明装置は以下の手段を採用した。すなわち、本発明に係るLED照明装置は、LEDを有するLED発光モジュールと、LED発光モジュールを収容すると共に、口金に向かうにつれて断面積が小さくなる構造を有する筐体と、を備え、筐体は、LEDが発する熱を放熱するヒートシンクを少なくとも一部に備え、ヒートシンクは、LED発光モジュールを設置する底部と、底部の外周縁に複数並べられると共に、当該底部の前方及び側方に向かって伸びる板状の放熱フィンと、口金側から筐体を見た場合に、筐体の最外径から底部に向かって筐体最外直径の10%以上40%以下の範囲で筐体を覆うように設けられる板状の放熱体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、複数の放熱フィン及び放熱体により生じる、対流による放熱及び熱放射による放熱の双方を最大化することができる。また、一方向に対流させることができると共に、対流を安定させることができる。従って、LEDから発する熱を充分に放熱させることができ、LEDが高温となるのを有効に防止することができる。
【0008】
ここで、本発明に係るLED照明装置において、ヒートシンクの底部、放熱フィン及び放熱体には、熱放射率を向上させる処理が施されていてもよい。熱放射率を向上させる処理としては、ヒートシンクの底部、放熱フィン及び放熱体に対して、例えば、表面処理を施して熱放射率を向上させたり、熱放射率向上膜を塗布形成したり、熱放射率向上液に浸漬して熱放射率向上膜を形成する等、種々の方法が考えられる。このように、ヒートシンクの底部、放熱フィン及び放熱体に放射率を向上させる処理を施すことにより、複数の放熱フィン及び放熱体により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係るLED照明装置において、ヒートシンクの放熱体は、底部及び放熱フィンと熱放射率が異なっていてもよい。例えば、ヒートシンクの放熱体のみに熱放射率を向上させる処理を施し、ヒートシンクの底部及び放熱フィンには熱放射率を向上させる処理を施さないことが考えられる。このように、ヒートシンクの放熱体のみに熱放射率を向上させる処理を施すことにより、熱放射率を向上させる処理を低減しつつ、放熱体により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明に係るLED照明装置において、放熱体の表面積が筐体の外形形状に沿う場合に比して大きくてもよい。例えば、放熱体は厚さ方向に対して凹凸を有していてもよく、また、放熱体を放熱フィン同士の隙間に向かって入り込ませたり、所定の間隔で外側に向かって放熱体を波打つように構成してもよい。このように、放熱体の表面積を筐体の外形形状に沿う場合に比して大きくすることにより、放熱体の表面積を大きくすることができ、放熱体により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明に係るLED照明装置において、底部は略円形を有し、複数の放熱フィンは、底部の外周縁に放射状に並べられていても良い。さらに、複数の放熱フィンは、底部の外周縁に一定間隔に並べられていても良い。これらによれば、複数の放熱フィンにより生じる対流による放熱を一段と向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明に係るLED照明装置において、LED発光モジュールは、LEDが略中心に基板に搭載されており、LEDの光軸と底部の中心が略一致するように配置されていても良い。上記のように、所謂ワンコア型のLED発光モジュールを採用することで、LED照明装置全体として点光源とすることができる。このように、LED発光モジュールをコンパクト化することにより、複数の放熱フィンを大きくすることができ、複数の放熱フィンにより生じる対流による放熱及び熱放射による放熱を一段と向上させることができる。また、所謂ワンコア型のLED発光モジュールを採用することで、マルチシャドウを有効に解消又は緩和することができる。
【0013】
さらに、前記LEDが有するLEDチップは、GaN基板を有していてもよい。これによれば、LEDの電流密度を高くしても不具合が生じにくいという効果を奏する。その結果、LEDに対してより大きな駆動電力を供給することができるようになり、LED照明装置は、より大きな光束、照度で光を出射することができる。
【0014】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、LEDを光源として用いるLED照明装置において、既存の標準規格に適合させる場合であっても、発光効率の低下を有効に防止させ得るLED照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明を実施するための実施形態を例示的に詳しく説明する。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
<本実施形態に係るLED照明装置の全体構成>
本実施形態に係るLED照明装置は、光源として、発光ダイオード(以下、「LED」という)を備えたLED灯具であり、その筐体は、JIS(日本工業規格)等の標準規格によって制定されている規格サイズに適合するように構成されている。ここでは、まず
図1〜
図5を参照して、本実施形態に係るLED照明装置を、約50mmの外径を有するMR16型ハロゲン電球に代替可能なMR16型LED灯具1として構成する例について説明する。なお、既存の標準規格であるMR16型ハロゲン電球は、口金に向かうにつれて断面積が小さくなる略半球状の構造を有しており、同様に、MR16型LED灯具1は、口金に向かうにつれて断面積が小さくなる略半球状の構造を有している。
【0019】
図1は、本実施形態に係るMR16型LED灯具1の分解斜視図である。
図2は、本実施形態に係るMR16型LED灯具1の側面図である。
図3は、本実施形態に係るMR16型LED灯具1の斜視断面図である。
【0020】
MR16型LED灯具1は、LED発光モジュール2と、レンズモジュール3、筐体4等を有する。本明細書においては、レンズモジュール3が設けられている側をLED照明装置(MR16型LED灯具1)の「前方」として定義する。
【0021】
LED発光モジュール2は、光源としてのLED20、当該LED20を実装するモジュール基板21を有しており、モジュール基板21の中央部にLED20を集約配置した、ワンコア型のモジュールである。モジュール基板21は、例えば、熱伝導性が良好なアルミニウム等の金属材料、或いは絶縁材料等により形成されたメタルベース基板である。
【0022】
LED20は、例えば、1又は複数の近紫外LEDチップをモジュール基板21の実装面に設けた配線上に直接実装するチップ・オン・ボード構造であり、近紫外LEDチップにより励起されて発光する青色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体が混ぜ込まれた透光性樹脂によってポッティング等されることにより構成されている。なお、LEDチップは、近紫外LEDチップのみならず、青色LEDチップ等の種々のLEDチップを用いることができ、用いるLEDチップに応じて種々の蛍光体を選択することができる。また、本実施形態におけるLEDチップは、GaN基板を有している。このように、GaN基板を用
いたLEDチップを適用した場合、大電流を投入することができ、大光束の点光源を実現することができる。
【0023】
なお、LED20は、チップ・オン・ボード構造を用いる代わりに、パッケージ構造を採用することもでき、種々の形態に適用することができる。また、LED発光モジュール2は、複数のLED20をモジュール基板21上に分散して配置することもできる。また、LEDチップには、GaN基板以外の基板、例えば、サファイヤ基板やシリコン基板などを適用してもよい。
【0024】
レンズモジュール3は、レンズ30と、このレンズ30を装着可能なレンズホルダ31とを有する。レンズ30は、所定の配光角を有するレンズである。また、レンズ30は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などによって形成されており、例えば、全体として略円錐台形状を有している。レンズ30は、LED20が発する光を出射する出射面301を有している。レンズ30のうち、出射面301が形成されている側を「前方部位」と定義すると、レンズ30の後方部位にはLED20を収容するための凹部302が形成されている。
【0025】
レンズ30の出射面301は、例えば、コリメータレンズである。また、レンズ30における凹部302の底部には、例えば、後方部位に向かって凸となるように凸レンズが設けられている。出射面301はコリメータレンズに限定されず、例えば、フレネルレンズ等、種々のレンズを好ましく使用できる。また、
図3に示すように、レンズ30は、モジュール基板21に実装されたLED20と対向する位置に設けられると共に、その凹部302にLED20を収容することで、レンズ30とLED20とが干渉することを抑制している。なお、レンズ30の形状、大きさ、材質等は、適宜変更することができる。
【0026】
レンズホルダ31は、内部にレンズ30を保持可能な略円筒形状を有するホルダ本体311を有する。ホルダ本体311の内径は、レンズ30の外径と等しく、レンズ30を保持部311に嵌め込むことで、レンズホルダ31はレンズ30を保持することができる。レンズホルダ31は、透光性を有し、例えば、透明樹脂によって形成されている。レンズホルダ31は、更に、ホルダ本体311から下方に向かって伸びるように突出した一組の突出腕部32を備えている。また、突出腕部32の先端には、鉤状の連結爪33が形成されている。
【0027】
筐体4は、MR16型LED灯具1の筐体(ハウジング)であり、LED発光モジュール2、レンズモジュール3等を収容する。また、筐体4は、LED20が発する熱を放熱するヒートシンクを少なくとも一部に有している。具体的には、筐体4は、LED20が発する熱を放熱するヒートシンク41と、LED発光モジュール2におけるLED20への駆動電力を電源から供給する電源用の回路基板6(
図2を参照)を収容するドライバハウジング42と、を有している。
【0028】
ドライバハウジング42の材料には、種々の樹脂、セラミック等の無機材料、アルミ等の金属を適用することができ、また、これらの材料を併用してドライバハウジング42を構成してもよい。本実施形態では、ドライバハウジング42にPBT(polybutylene terephthalate)を用いているが、これには限られない。また、ドライバハウジング42の材質としては、導電性を持たない樹脂系材料が好ましい。ドライバハウジング42は、回路基板6を収容する基板収容部421と、この基板収容部421の後方に連設された導線押さえ装着部422とを備える。基板収容部421には、ネジ等の締結具を螺合可能な一組の固定部423を有している。
【0029】
ドライバハウジング42の導線押さえ装着部422には、導線押さえ部材7が装着され
る。導線押さえ部材7は、絶縁部材によって形成されている。また、導線押さえ部材7には、その厚さ方向に一組のピン挿通孔71が穿設されている。このピン挿通孔71には、回路基板6(
図2を参照)に設けられる口金の口金ピン61(
図2を参照)が挿通されるようになっている。更に、導線押さえ部材7は、ドライバハウジング42の導線押さえ装着部422側に設けられた係止部424に係止される係止爪72を有している。
【0030】
図4、5は、本実施形態に係るヒートシンク41の斜視図である。ヒートシンク41は、ドライバハウジング42と共に筐体4を構成するハウジング部材である。また、ヒートシンク41は、上記の通りLED20が発する熱を放熱するための放熱部材でもある。ヒートシンク41は、熱伝導性が良好な部材、例えば、アルミニウムなどによって形成されている。
【0031】
ヒートシンク41は、LED発光モジュール2及びレンズモジュール3を設置するための設置部411、設置部411よりも後方に位置する外筒部412、外筒部412の周囲に設けられる複数の放熱フィン413等を備える。
【0032】
ヒートシンク41の設置部411は、平面形状が略円形をなしている。また、外筒部412には、ドライバハウジング42における基板収容部421を差し込むことができる。また、ヒートシンク41の設置部411には、一組のネジ挿通孔414と、レンズホルダ3のホルダ本体311における一組の突出腕部32をそれぞれ挿通可能な一組のアーム挿通孔415が形成されている。更に、第1ヒートシンク41Aの設置部411には、第1ドライバハウジング42に収容される回路基板6及びモジュール基板21のそれぞれの端子に接続される配線を通すための配線用開口部416が形成されている。
【0033】
また、ヒートシンク41は、複数の放熱フィン413が設置部411の外周縁に放射状に並べられている。各放熱フィン413は板形状を有しており、ヒートシンク41の表面積を増加させることで、LED20から設置部411に伝達された熱の放熱を促進させることができる。各放熱フィン413は、外筒部412の外面に接続されており、当該外筒部412の側部外方に向かって(言い換えると、設置部411の側部外方に向かって)放射状に延びている。また、各放熱フィン413は、第1ヒートシンク41における設置部411の中心を基準として、互いに一定間隔で放射状に配置されている。また、放熱フィン413は、ヒートシンク41における設置部411を基準として前方に向かって伸びており、各放熱フィン413の先端部同士は環状のリム部417によって互いに接続されている。
【0034】
<MR16型LED灯具1の組み立て>
図1及び
図3に示すように、ヒートシンク41の設置部411には、LED発光モジュール2及びレンズモジュール3が設置されている。詳しくは、LED発光モジュール2は、固定用ネジ5によって筐体4に固定されている。LED発光モジュール2のモジュール基板21には、固定用ネジ5を挿通させる切欠きである一組のネジ挿通部211と、レンズホルダ31のホルダ本体311における各突出腕部32を挿通させる切欠きである一組のアーム挿通部212が形成されている。更に、モジュール基板21には、ドライバハウジング42に収容される回路基板6及びモジュール基板21のそれぞれの端子に接続される配線を通すための切欠きである配線用切欠き部213が形成されている(
図1を参照)。
【0035】
MR16型LED灯具1の組み立て時において、固定用ネジ5を、モジュール基板21に形成されたネジ挿通部211と、ヒートシンク41の設置部411に形成されたネジ挿通孔414に順次、挿通させた後、ドライバハウジング42における基板収容部421に設けられた固定部423に形成されたネジ溝と螺合させる。これにより、固定用ネジ5を
介してLED発光モジュール2がヒートシンク41の設置部411に固定されると共に、ヒートシンク41とドライバハウジング42とが連結される。
【0036】
一方、レンズモジュール3は、レンズホルダ31における突出腕部32の先端に形成された連結爪33によって、ヒートシンク41に固定される。具体的には、レンズホルダ31における突出腕部32が、モジュール基板21に形成されたアーム挿通部212、ヒートシンク41の設置部411に形成されたアーム挿通孔415に挿入され、突出腕部32の先端に形成された連結爪33を、設置部411の背面に引っ掛ける。これにより、レンズモジュール3は、LED発光モジュール2を保持しつつ、ヒートシンク41に装着される。更に、突出腕部32の連結爪33は、ヒートシンク41の設置部411の中心方向(すなわち、内側)に向かって設けられており、ヒートシンク41の設置部411に形成されたアーム挿通孔415に係止される。
【0037】
また、MR16型LED灯具1の組み立て時において、ドライバハウジング42の基板収容部421に回路基板6(
図2を参照)を収容すると共に、口金ピン61(
図2を参照)を導線押さえ部材7のピン挿通孔71に挿通させる。そして、導線押さえ部材7の係止爪72を導線押さえ装着部422の係止部424に引っ掛けることで、ドライバハウジング42に対して導線押さえ部材7を装着することができる。なお、導線押さえ部材7のピン挿通孔71を通じて外部に突出する口金ピン61は、図示しないソケットに差し込み、接続することができる。これにより、外部電源から回路基板6に電力を供給することができる。
【0038】
ドライバハウジング42に収容された回路基板6からの配線は、ヒートシンク41の設置部411に形成された配線用開口部416及びモジュール基板21に形成された配線用切欠き部213を通じてモジュール基板21におけるLED20の実装面へと導き、当該実装面に設けられている端子に接続することができる。これにより、モジュール基板21に実装されたLED20に対して、回路基板6からの駆動電力を供給することができる。
【0039】
<本実施形態に係るヒートシンクの特徴的構成>
図6は、本実施形態に係るMR16型LED灯具1の側面図である。
図7は、本実施形態に係るMR16型LED灯具1の上面図である。上述した通り、本実施形態に係るMR16型LED灯具1は、口金に向かうにつれて断面積が小さくなる略半球状の構造を有している。また、本実施形態に係るMR16型LED灯具1は、筐体4がLED20が発する熱を放熱するヒートシンク41を少なくとも一部に有しており、ヒートシンク41は、LED発光モジュール2を設置する底部411と、底部411の外周縁に複数並べられると共に、当該底部411の前方及び側方に向かって伸びる板状の放熱フィン413とを有している。
【0040】
これに加えて、本実施形態に係るMR16型LED灯具1のヒートシンク41には、特徴的構成として、連続性を有する帯状に構成された所定厚さの板状の放熱体418が設けられている。なお、放熱体418は、連続性を有する帯状のみならず、例えば、所定位置に1又は複数のスリットを有していてもよく、連続性を有していなくともよい。
【0041】
この場合、放熱体418は、ヒートシンク41と同様にLED20が発する熱を放熱するための放熱部材でもある。放熱体418は、熱伝導性が良好な部材、例えば、アルミニウムなどによって形成されている。また、放熱体418は、放熱フィン413の外周側の部位同士を接続し、筐体4の外側に向かって熱を放射する。よって、熱の再入射は低減され、熱放射の効率を向上させることができる。なお、放熱体418は、ヒートシンク41と一体に形成されていてもよく、別部材として構成されていてもよい。
【0042】
放熱体418は、環状のリム部417と接しており、
図6に示すように、環状のリム部417から口金ピン61側に向かって所定の高さで設けられている。つまり、放熱体418は、
図7に示すように、筐体4の最外径から底部411(口金ピン61側)に向かって所定範囲で筐体4を覆うように設けられている。
【0043】
MR16型LED灯具の最外直径は、規格により約50mmであり、その放熱体は略半球状の構造を有している。ここで、放熱体418の高さは、5mm以上20mm以下が好ましく、5mm以上15mm以下がより好ましく、10mm以上15mm以下が更に好ましい。略半球状の構造を有する放熱体の曲率を、規格に収まる程度として換算すると、例えば、放熱体418の高さが5mm以上20mm以下の場合、放熱体418は、口金ピン61側から筐体4を見た場合に、筐体4の最外径から底部411に向かって筐体最外直径の10%以上40%以下の範囲で筐体4を覆う。同様に、放熱体418の高さが5mm以上15mm以下の場合、放熱体418は10%以上30%以下の範囲で筐体4を覆う。また、放熱体418の高さが10mm以上15mm以下の場合、放熱体418は20%以上30%以下の範囲で筐体4を覆う。すなわち、放熱体418は、口金ピン61側から筐体4を見た場合に、筐体4の最外径から底部411に向かって筐体最外直径の10%以上40%以下の範囲で筐体4を覆うように設けるのが好ましく、10%以上30%以下の範囲で筐体4を覆うように設けるのがより好ましく、20%以上30%以下の範囲で筐体4を覆うように設けるのが更に好ましい。なお、放熱体418の高さは、放熱体418の高さとリム部417の高さを合わせた高さとなっている。
【0044】
なお、
図6は、放熱体418の高さが10mmの場合のMR16型LED灯具1の側面図であり、
図7は、放熱体418が筐体4の最外径から底部411に向かって約15%の範囲で筐体4を覆った場合のMR16型LED灯具1の上面図である。また、
図8は、放熱体418の高さが5mmの場合のMR16型LED灯具1の側面図であり、
図9は、放熱体418が筐体4の最外径から底部411に向かって約10%の範囲で筐体4を覆った場合のMR16型LED灯具1の上面図である。さらに、
図10は、放熱体418の高さが20mmの場合のMR16型LED灯具1の側面図であり、
図11は、放熱体418が筐体4の最外径から底部411に向かって約40%の範囲で筐体4を覆った場合のMR16型LED灯具1の上面図である。
【0045】
本実施形態のMR16型LED灯具1は、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間を通る対流による放熱、並びに複数の放熱フィン413及び放熱体418から放射される熱放射による放熱の双方によって、LED20から発する熱の放熱を実現している。
【0046】
しかしながら、放熱体418の大きさが小さい場合には、放熱体418から放射される熱放射による放熱を充分に行うことができないというおそれがある。一方、放熱体418の大きさが大きい場合には、空気の流れる開口部の面積を小さくしてしまうため、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間を通る対流による放熱を充分に行うことができないというおそれがある。
【0047】
また、本実施形態に係るMR16型LED灯具1は、口金ピン61側に向かうにつれて断面積が小さくなる略半球状の構造を有している。従って、筐体4は、口金ピン61側に向かうにつれて外径が減少しており、MR16型LED灯具1を上面(口金ピン61側)から見た場合の放熱体418の設置位置と、放熱体418の高さは、放熱フィンの最外径の曲率により求めることができる。
【0048】
ここで、本実施形態に係るMR16型LED灯具1は、筐体4の中心に近い位置ほど曲率が小さくなる一方、筐体4の最外径に近い位置ほど曲率が大きいため、放熱体418が
筐体4の中心に近い位置に設けられる場合には、放熱体418の大きさが小さい場合であっても、MR16型LED灯具1を上面(口金ピン61側)から見た場合に筐体4の広い範囲を覆うこととなり、空気の流れる開口部の面積を小さくしてしまうため、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間を通る対流による放熱を充分に行うことができないというおそれがある。
【0049】
さらに、放熱体418が筐体4の中心に近い位置に設けられる場合には、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間が狭いため、放熱体418から放射された熱が放熱フィン413に吸収されたり、放熱フィン413から放射された熱が他の放熱フィン413に吸収されたりして再度筐体4内に回帰してしまうおそれがあり、放熱効果を最大限に活用することができないというおそれがある。
【0050】
これらの課題を解決するため、本実施形態のMR16型LED灯具1では、口金ピン61側から筐体4を見た場合に、筐体4の最外径から底部411に向かって所定範囲(筐体最外直径に対して10%以上40%以下)で筐体4を覆うように放熱体418を設けることによって、放熱体418から放射される熱放射による放熱を充分に行いつつ、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間を通る対流による放熱を充分に行うことができる。また、放熱体418の大きさが大きい場合であっても、MR16型LED灯具1を上面(口金ピン61側)から見た場合に筐体4の狭い範囲しか覆わないため、空気の流れる開口部の面積を大きくすることができ、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間を通る対流による放熱を充分に行うことができる。さらに、複数の放熱フィン413及び放熱体418の間の隙間が広いため、放熱体418や放熱フィン413から放射された熱が再度筐体4内に回帰せずに放熱効果を最大限に活用することができる。以上より、複数の放熱フィン及び放熱体により生じる、対流による放熱及び熱放射による放熱の双方を最大化することができる。また、一方向に対流させることができると共に、対流を安定させることができる。従って、LED20から発する熱を充分に放熱させることができ、LED20が高温となるのを有効に防止することができる。
【0051】
さらに、ヒートシンク41の表面には、熱放射率を向上させる処理が施されている。熱放射率を向上させる処理としては、ヒートシンク41に対して、例えば、表面処理を施して熱放射率を向上させたり、熱放射率向上膜419を塗布形成したり、熱放射率向上液に浸漬して熱放射率向上膜419を形成する等、種々の方法が考えられる。具体的に、本実施形態では、ヒートシンク41の表面には、熱放射率向上膜419が設けられている。熱放射率向上膜419には、例えば、炭化ケイ素や所定の特殊セラミックを含有した塗料を用いることが好ましい具体的には、熱放射率向上膜419には、オキツモ株式会社のクールテックCT200や合同インキ株式会社のユニクール(水系タイプII)を用いることが好まし
い。このように、本実施形態のMR16型LED灯具1では、ヒートシンク41の表面に熱放射率を向上させる処理を施すことによって、ヒートシンク41の熱放射による放熱を一段と向上させることができる。従って、LED20から発する熱を充分に放熱させることができ、LED20が高温となるのを有効に防止することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、ヒートシンク41の表面全体に熱放射率を向上させる処理が施された場合のみならず、ヒートシンク41の放熱体418の表面のみに熱放射率を向上させる処理が施されていてもよい。つまり、ヒートシンク41の放熱体418は、底部411及び放熱フィン413と熱放射率が異なっていてもよい。このように、本実施形態のMR16型LED灯具1では、放熱体418の表面のみに熱放射率を向上させる処理を施すことによって、ヒートシンク41の表面全体に熱放射率を向上させる処理を施す場合に比して熱放射率を向上させる処理を低減しつつ、放熱体418により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。従って、LED20から発する熱を充分に放熱させることができ、LED20が高温となるのを有効に防止することができる。また、本実施
形態のMR16型LED灯具1では、複数の放熱フィン413に熱放射率を向上させる処理を施すという煩雑な処理を施すことなく、簡易に放熱体418により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。
【0053】
<シミュレーション結果>
図12は、本実施形態に係るLED発光モジュール設置面温度を示すグラフである。この場合、横軸は放熱体418の高さを示しており、縦軸はLED発光モジュール2のモジュール設置面温度を示している。(1)は熱放射率向上膜419が設けられていない場合のシミュレーション結果を示しており、(2)放熱体418のみに熱放射率向上膜419が設けられた場合のシミュレーション結果を示しており、(3)はヒートシンク41の表面全体に熱放射率向上膜419が設けられた場合のシミュレーション結果を示している。なお、シミュレーターは、SolidWorks Flow Simulationを使用した。
【0054】
このように、本実施形態のMR16型LED灯具1では、口金ピン61側から筐体4を見た場合に、筐体4の最外径から底部411に向かって所定範囲(筐体最外直径に対して10%以上40%以下)で筐体4を覆うように放熱体418を設けることによって、LED20が高温となるのを有効に防止して、LED発光モジュール設置面温度を格段に低下させることができた(
図8(1))。また、本実施形態のMR16型LED灯具1では、ヒートシンク41の表面に熱放射率を向上させる処理を施すことによって、LED20が高温となるのを有効に防止して、LED発光モジュール設置面温度を格段に低下させることができた(
図8(2))。さらに、本実施形態のMR16型LED灯具1では、放熱体418の表面のみに熱放射率を向上させる処理を施すことによって、熱放射率を向上させる処理を低減しつつ、LED20が高温となるのを有効に防止して、LED発光モジュール設置面温度を格段に低下させることができた(
図8(3))。
【0055】
<作用及び効果>
以上のように、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、放熱体418の高さが5mm以上20mm以下の口金ピン61側から筐体4を見た場合に、筐体4の最外径から底部411に向かって所定範囲(10%以上40%以下)で筐体4を覆うように放熱体418を設ける。これにより、複数の放熱フィン413及び放熱体418により生じる、対流による放熱及び熱放射による放熱の双方を最大化することができる。また、一方向に対流させることができると共に、対流を安定させることができる。従って、LED20から発する熱を充分に放熱させることができ、LED20が高温となるのを有効に防止することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、ヒートシンク41に熱放射率を向上させる処理に施すことによって、複数の放熱フィン413及び放熱体418により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、ヒートシンク41の放熱体418の表面のみに熱放射率を向上させる処理を施すことによって、熱放射率を向上させる処理を低減しつつ、放熱体418により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、底部411が略円形を有し、複数の放熱フィン413は、底部411の外周縁に放射状に並べられると共に、底部411の外周縁に一定間隔に並べられることによって、複数の放熱フィン413により生じる対流による放熱を一段と向上させることができる。
【0059】
さらに、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、LED発光モジュール2は、
LED20が略中心に基板に搭載されており、光軸と底部411の中心が略一致するように配置することによって、LED発光モジュール2を所謂ワンコア型として全体として点光源とすることができる。従って、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、LED発光モジュール2をコンパクト化することができるため、複数の放熱フィン413を大きくすることができ、複数の放熱フィン413により生じる対流による放熱及び熱放射による放熱を一段と向上させることができる。また、複数のLEDが点在するLED灯具では、マルチシャドウが発生し、照明効果上好ましくない場合もある。マルチシャドウを解消、緩和するため、一般的には、拡散板やレンズ等の光学部材の採用、組み合せ、LEDの最適な配置等がなされているが、本実施形態に係るMR16型LED灯具1では、所謂ワンコア型のLEDを使用することにより、このマルチシャドウの問題を有効に解消又は緩和することができる。
【0060】
さらに、LED20が有するLEDチップは、GaN基板を有することによって、LED20の電流密度を高くしても不具合が生じにくいという効果を奏し、その結果、LED20に対してより大きな駆動電力を供給することができるようになり、より大きな光束、照度で光を出射することができる。
【0061】
<変形例>
本実施形態で述べたMR16型LED灯具1は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。例えば、本実施形態では、既存の標準規格に適合させるLED照明装置として、MR16型LED灯具1を例示しているが、本発明はこれに限らず、例えば、MR11型LED灯具や、AR111型LED灯具、PAR型LED灯具等、他の標準規格に適合するLED灯具としてLED照明装置を構成してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、MR16型LED灯具1の口金としてGU5.3という規格を採用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、EZ10等、異なる口金の規格であっても適用することができ、他の標準規格に適合するLED灯具の場合にも種々の口金の規格を適用することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、放熱体418の高さを放熱体418の高さとリム部417の高さを合わせた高さとした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、リム部417の高さを含まない放熱体418の高さのみであってもよい。
【0064】
さらに、本実施形態では、放熱体418が筐体4の最外径から底部411に向かって所定範囲で筐体4を覆うように、すなわち、放熱体418を筐体4の外形形状に沿って構成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、放熱体の表面積が筐体の外形形状に沿う場合に比して大きくてもよい。例えば、放熱体は厚さ方向に対して凹凸を有していてもよく、また、放熱体を放熱フィン同士の隙間に向かって入り込ませたり、所定の間隔で外側に向かって放熱体を波打つように構成してもよい。このように、放熱体の表面積を筐体の外形形状に沿う場合に比して大きくすることにより、放熱体の表面積を大きくすることができ、放熱体により生じる熱放射による放熱を一段と向上させることができる。