特許第6245305号(P6245305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245305
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】作動媒体および熱サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   C09K5/04 F
   C09K5/04 B
   C09K5/04 E
   C09K5/04 C
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-96091(P2016-96091)
(22)【出願日】2016年5月12日
(62)【分割の表示】特願2013-515235(P2013-515235)の分割
【原出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-172869(P2016-172869A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】特願2011-112417(P2011-112417)
(32)【優先日】2011年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−125981(JP,A)
【文献】 特表2002−500915(JP,A)
【文献】 特許第5825345(JP,B2)
【文献】 特表2010−533151(JP,A)
【文献】 特開2009−191212(JP,A)
【文献】 特表2012−505296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/00−5/20、
F25B1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,2−トリフルオロエチレンと、炭化水素とを含む(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものを除く。)ことを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
【請求項2】
1,1,2−トリフルオロエチレンと、ヒドロフルオロカーボンとを含む(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものを除く。)ことを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
【請求項3】
1,1,2−トリフルオロエチレンと、ヒドロクロロフルオロオレフィンまたはクロロフルオロオレフィンとを含む(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものを除く。)ことを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
【請求項4】
炭化水素を、熱サイクル用作動媒体(100質量%)中、1〜40質量%含む、請求項に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項5】
ヒドロフルオロカーボンを、熱サイクル用作動媒体(100質量%)中、1〜99質量%含む、請求項に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項6】
ヒドロクロロフルオロオレフィンおよびクロロフルオロオレフィンの合計の含有量が、熱サイクル用作動媒体(100質量%)中、1〜60質量%である、請求項に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項7】
炭化水素が、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、またはイソペンタンである、請求項1または4に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項8】
ヒドロフルオロカーボンが、1,1−ジフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたはペンタフルオロエタンである、請求項2または5に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項9】
ヒドロクロロフルオロオレフィンが、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンである、請求項3または6に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項10】
クロロフルオロオレフィンが、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、または1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレンである、請求項3または6に記載の熱サイクル用作動媒体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱サイクル用作動媒体を用いた、熱サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動媒体および該作動媒体を用いた熱サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動流体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の熱サイクル用作動媒体としては、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、またはクロロジフルオロメタン等のヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が用いられてきた。しかし、CFCおよびHCFCは、成層圏のオゾン層への影響が指摘され、現在、規制対象となっている。
【0003】
そこで、熱サイクル用作動媒体としては、オゾン層への影響が少ない、ジフルオロメタン(HFC−32)、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン等のヒドロフルオロカーボン(HFC)が用いられている。しかし、HFCは、地球温暖化の原因となる可能性が指摘されている。そのため、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化係数の小さい熱サイクル用作動媒体の開発が急務となっている。
【0004】
たとえば、自動車空調機器用冷媒として用いられている1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)は、地球温暖化係数が1430(100年値)と大きい。しかも、自動車空調機器においては、接続ホース、軸受け部等から冷媒が大気中へ漏洩する確率が高い。
【0005】
HFC−134aに代わる冷媒としては、二酸化炭素、およびHFC−134aに比べて地球温暖化係数が124(100年値)と小さい1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)が検討されている。
しかし、二酸化炭素は、HFC−134aに比べて機器圧力が極めて高くなるため、全ての自動車へ適用するためには、多くの解決すべき課題を有する。HFC−152aは、燃焼範囲を有しており、安全性を確保するための課題を有する。
【0006】
オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない熱サイクル用作動媒体としては、大気中のOHラジカルによって分解されやすい炭素−炭素二重結合を有するヒドロフルオロオレフィン(HFO)が考えられる。
HFOの熱サイクル用作動媒体としては、たとえば、下記のものが知られている。
(1)3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、2−フルオロプロペン(HFO−1261yf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,1,2−トリフルオロプロペン(HFO−1243yc)(特許文献1)。
(2)1、2、3、3、3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))、HFO−1234yf(特許文献2)。
【0007】
しかし、(1)のHFOは、いずれもサイクル性能(能力)が不充分である。また、(1)のHFOのうちフッ素原子の割合が少ないものは、燃焼性を有する。
(2)のHFOも、いずれもサイクル性能(能力)が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本特開平04−110388号公報
【特許文献2】日本特表2006−512426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、燃焼性が抑えられ、オゾン層への影響が少なく、地球温暖化への影響が少なく、かつサイクル性能(能力)に優れる熱サイクルシステムを与える熱サイクル用作動媒体、および安全性が確保され、サイクル性能(能力)に優れる熱サイクルシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、熱サイクル用作動媒体(以下、作動媒体とも記す。)として、1,1,2−トリフルオロエチレン(以下、HFO−1123とも記す。)と、炭化水素とを含む(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものを除く。)ことを特徴とする。
また、HFO−1123と、HFCとを含む(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものを除く。)ことを特徴とする。
また、HFO−1123と、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)またはクロロフルオロオレフィン(CFO)とを含む(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むものを除く。)ことを特徴とする
本発明の熱サイクルシステムは、本発明の作動媒体を用いたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の作動媒体は、大気中のOHラジカルによって分解されやすい炭素−炭素二重結合を有するHFO−1123を含むため、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない。また、HFO−1123を含むため、サイクル性能(能力)に優れる熱サイクルシステムを与える。
本発明の熱サイクルシステムは、熱力学性質に優れる本発明の作動媒体を用いているため、サイクル性能(能力)に優れる。さらに、能力が優れていることから、システムを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】冷凍サイクルシステムの一例を示す概略構成図である。
図2】冷凍サイクルシステムにおける作動媒体の状態変化を温度−エントロピ線図上に記載したサイクル図である。
図3】冷凍サイクルシステムにおける作動媒体の状態変化を圧力−エンタルピ線図上に記載したサイクル図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<作動媒体>
本発明の作動媒体は、1,1,2−トリフルオロエチレンを含むものである。
本発明の作動媒体は、必要に応じて、炭化水素、HFC、HCFO、CFOなどの、HFO−1123とともに気化、液化する他の作動媒体を含んでもよい。また、本発明の作動媒体は、作動媒体とともに使用される作動媒体以外の成分と併用することができる(以下、作動媒体と作動媒体以外の成分を含む組成物を作動媒体含有組成物という)。作動媒体以外の成分としては、潤滑油、安定剤、漏れ検出物質、乾燥剤、その他の添加剤等が挙げられる。
HFO−1123の含有量は、作動媒体(100質量%)中、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0014】
(炭化水素)
炭化水素は、鉱物系潤滑油に対する作動媒体の溶解性を向上させる作動媒体成分である。
炭化水素としては、炭素数が3〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
炭化水素としては、具体的には、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンが好ましい。
炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
炭化水素の含有量は、作動媒体(100質量%)中、1〜40質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。炭化水素が1質量%以上であれば、作動媒体への潤滑油の溶解性が充分に向上する。炭化水素が40質量%以下であれば、作動媒体の燃焼性を抑制するのに効果がある。
【0016】
(HFC)
HFCは、熱サイクルシステムのサイクル性能(能力)を向上させる作動媒体成分である。
HFCとしては、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さいHFCが好ましい。
【0017】
HFCとしては、炭素数が1〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
HFCとしては、具体的には、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタン、ヘプタフルオロシクロペンタン等が挙げられる。なかでもオゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さい点から、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)およびペンタフルオロエタン(HFC−125)が特に好ましい。
HFCは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
作動媒体(100質量%)中のHFCの含有量は、1〜99質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。たとえば、HFCがHFC−32の場合、1〜99質量%の範囲で成績係数および冷凍能力が向上する。HFC−134aの場合、1〜99質量%の範囲で成績係数が向上する。HFC−125の場合、成績係数と冷凍能力が低下するが、低下は顕著ではない。作動媒体の要求特性に応じてHFC含有量の制御を行うことができる。
【0019】
(HCFO、CFO)
HCFOおよびCFOは、作動媒体の燃焼性を抑える作動媒体成分である。また、作動媒体への潤滑油の溶解性を向上させる成分である。
HCFO、CFOとしては、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さいHCFOが好ましい。
【0020】
HCFOとしては、炭素数が2〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
HCFOとしては、具体的には、ヒドロクロロフルオロプロペン、ヒドロクロロフルオロエチレン等が挙げられる。なかでも熱サイクルシステムのサイクル性能(能力)を大きく低下させることなく、作動媒体の燃焼性を充分に抑える点から、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224yd)および1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122)が特に好ましい。
HCFOは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
CFOとしては、炭素数が2〜5であるのが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
CFOとしては、具体的には、クロロフルオロプロペン、クロロフルオロエチレン等が挙げられる。なかでも熱サイクルシステムのサイクル性能(能力)を大きく低下させることなく、作動媒体の燃焼性を充分に抑える点から、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)および1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFO−1112)が特に好ましい。
【0022】
HCFOとCFOの合計の含有量は、作動媒体(100質量%)中、1〜60質量%が好ましい。塩素原子は燃焼性を抑制する効果を有しており、HCFOとCFOの添加によって、熱サイクルシステムのサイクル性能(能力)を大きく低下させることなく、作動媒体の燃焼性を充分に抑えることができる。
【0023】
(潤滑油)
作動媒体含有組成物に使用される潤滑油としては、熱サイクルシステムに用いられる公知の潤滑油が用いられる。
潤滑油としては、含酸素系合成油(エステル系潤滑油、エーテル系潤滑油等)、フッ素系潤滑油、鉱物油、炭化水素系合成油等が挙げられる。
【0024】
エステル系潤滑油としては、二塩基酸エステル油、ポリオールエステル油、コンプレックスエステル油、ポリオール炭酸エステル油等が挙げられる。
【0025】
二塩基酸エステル油としては、炭素数5〜10の二塩基酸(グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等)と、直鎖または分枝アルキル基を有する炭素数1〜15の一価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール等)とのエステルが好ましい。具体的には、グルタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジトリデシル、セバシン酸ジ(3−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0026】
ポリオールエステル油としては、ジオール(エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,12−ドデカンジオール等)または水酸基を3〜20個有するポリオール(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物等)と、炭素数6〜20の脂肪酸(ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、エイコサン酸、オレイン酸等の直鎖または分枝の脂肪酸、もしくはα炭素原子が4級であるいわゆるネオ酸等)とのエステルが好ましい。
ポリオールエステル油は、遊離の水酸基を有していてもよい。
ポリオールエステル油としては、ヒンダードアルコール(ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスルトール等)のエステル(トリメチロールプロパントリペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート等)が好ましい。
【0027】
コンプレックスエステル油とは、脂肪酸および二塩基酸と、一価アルコールおよびポリオールとのエステルである。脂肪酸、二塩基酸、一価アルコール、ポリオールとしては、上述と同様のものを用いることができる。
【0028】
ポリオール炭酸エステル油とは、炭酸とポリオールとのエステルである。
ポリオールとしては、上述と同様のジオールや上述と同様のポリオールが挙げられる。また、ポリオール炭酸エステル油としては、環状アルキレンカーボネートの開環重合体であってもよい。
【0029】
エーテル系潤滑油としては、ポリビニルエーテル油やポリオキシアルキレン系潤滑油が挙げられる。
ポリビニルエーテル油としては、アルキルビニルエーテルなどのビニルエーテルモノマーを重合して得られたもの、ビニルエーテルモノマーとオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーとを共重合して得られた共重合体がある。
ビニルエーテルモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーとしては、エチレン、プロピレン、各種ブテン、各種ペンテン、各種ヘキセン、各種ヘプテン、各種オクテン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン、各種アルキル置換スチレン等が挙げられる。オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルエーテル共重合体は、ブロックまたはランダム共重合体のいずれであってもよい。
ポリビニルエーテルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
ポリオキシアルキレン系潤滑油としては、ポリオキシアルキレンモノオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールのアルキルエーテル化物、ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールのエステル化物等が挙げられる。ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールは、水酸化アルカリなどの触媒の存在下、水や水酸基含有化合物などの開始剤に炭素数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を開環付加重合させる方法等により得られたものが挙げられる。また、ポリアルキレン鎖中のオキシアルキレン単位は、1分子中において同一であってもよく、2種以上のオキシアルキレン単位が含まれていてもよい。1分子中に少なくともオキシプロピレン単位が含まれることが好ましい。
開始剤としては、水、メタノールやブタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール等の多価アルコールが挙げられる。
【0031】
ポリオキシアルキレン系潤滑油としては、ポリオキシアルキレンモノオールやポリオキシアルキレンポリオールの、アルキルエーテル化物やエステル化物が好ましい。また、ポリオキシアルキレンポリオールとしては、ポリオキシアルキレングリコールが好ましい。特に、ポリグリコール油と呼ばれる、ポリオキシアルキレングリコールの末端水酸基がメチル基等のアルキル基でキャップされた、ポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテル化物が好ましい。
【0032】
フッ素系潤滑油としては、合成油(後述する鉱物油、ポリα−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等)の水素原子をフッ素原子に置換した化合物、ペルフルオロポリエーテル油、フッ素化シリコーン油等が挙げられる。
【0033】
鉱物油としては、原油を常圧蒸留または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、精製処理(溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、白土処理等)を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油等が挙げられる。
【0034】
炭化水素系合成油としては、ポリα−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられる。
【0035】
潤滑油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
潤滑油としては、作動媒体との相溶性の点から、ポリオールエステル油および/またはポリグリコール油が好ましく、安定化剤によって顕著な酸化防止効果が得られる点から、ポリアルキレングリコール油が特に好ましい。
【0036】
潤滑油の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、用途、圧縮機の形式等によっても異なるが、作動媒体(100質量部)に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜50質量部がより好ましい。
【0037】
(安定剤)
作動媒体含有組成物に使用される安定剤は、熱および酸化に対する作動媒体の安定性を向上させる成分である。
安定剤としては、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、金属不活性剤等が挙げられる。
【0038】
耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤としては、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、ジ−2−ナフチルアミン、N−アルキルフェノチアジン、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
金属不活性剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジメチルカプトチアジアゾール、サリシリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズアミダゾール、3,5−イメチルピラゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾール、有機酸またはそれらのエステル、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、有機酸または無機酸のアミン塩、複素環式窒素含有化合物、アルキル酸ホスフェートのアミン塩またはそれらの誘導体等が挙げられる。
【0040】
安定剤の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体含有組成物(100質量%)中、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0041】
(漏れ検出物質)
作動媒体含有組成物に使用される漏れ検出物質としては、紫外線蛍光染料、臭気ガスや臭いマスキング剤等が挙げられる。
紫外線蛍光染料としては、米国特許第4249412号明細書、特表平10−502737号公報、特表2007−511645号公報、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等、公知の紫外線蛍光染料が挙げられる。
臭いマスキング剤としては、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等、公知の香料が挙げられる。
【0042】
漏れ検出物質を用いる場合には、作動媒体への漏れ検出物質の溶解性を向上させる可溶化剤を用いてもよい。
可溶化剤としては、特表2007−511645号公報、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等が挙げられる。
【0043】
漏れ検出物質の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体含有組成物(100質量%)中、2質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0044】
(他の化合物)
本発明の作動媒体や作動媒体含有組成物は、炭素数1〜4のアルコール、または、従来の作動媒体、冷媒、熱伝達媒体として用いられている化合物(以下、該アルコールおよび化合物をまとめて、他の化合物と記す。)を含んでいてもよい。
【0045】
他の化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
含フッ素エーテル:ペルフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、ペルフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、ペルフルオロブチルエチルエーテル(COC)、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(CFHCFOCHCF、旭硝子社製、AE−3000)等。
【0046】
他の化合物の含有量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体含有組成物(100質量%)中、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
【0047】
<熱サイクルシステム>
本発明の熱サイクルシステムは、本発明の作動媒体を用いたシステムである。
熱サイクルシステムとしては、ランキンサイクルシステム、ヒートポンプサイクルシステム、冷凍サイクルシステム、熱輸送システム等が挙げられる。
【0048】
(冷凍サイクルシステム)
熱サイクルシステムの一例として、冷凍サイクルシステムについて説明する。
冷凍サイクルシステムとは、蒸発器において作動媒体が負荷流体より熱エネルギーを除去することにより、負荷流体を冷却し、より低い温度に冷却するシステムである。
【0049】
図1は、本発明の冷凍サイクルシステムの一例を示す概略構成図である。冷凍サイクルシステム10は、作動媒体蒸気Aを圧縮して高温高圧の作動媒体蒸気Bとする圧縮機11と、圧縮機11から排出された作動媒体蒸気Bを冷却し、液化して低温高圧の作動媒体Cとする凝縮器12と、凝縮器12から排出された作動媒体Cを膨張させて低温低圧の作動媒体Dとする膨張弁13と、膨張弁13から排出された作動媒体Dを加熱して高温低圧の作動媒体蒸気Aとする蒸発器14と、蒸発器14に負荷流体Eを供給するポンプ15と、凝縮器12に流体Fを供給するポンプ16とを具備して概略構成されるシステムである。
【0050】
冷凍サイクルシステム10においては、以下のサイクルが繰り返される。
(i)蒸発器14から排出された作動媒体蒸気Aを圧縮機11にて圧縮して高温高圧の作動媒体蒸気Bとする。
(ii)圧縮機11から排出された作動媒体蒸気Bを凝縮器12にて流体Fによって冷却し、液化して低温高圧の作動媒体Cとする。この際、流体Fは加熱されて流体F’となり、凝縮器12から排出される。
(iii)凝縮器12から排出された作動媒体Cを膨張弁13にて膨張させて低温低圧の作動媒体Dとする。
(iv)膨張弁13から排出された作動媒体Dを蒸発器14にて負荷流体Eによって加熱して高温低圧の作動媒体蒸気Aとする。この際、負荷流体Eは冷却されて負荷流体E’となり、蒸発器14から排出される。
【0051】
冷凍サイクルシステム10は、断熱・等エントロピ変化、等エンタルピ変化および等圧変化からなるサイクルであり、作動媒体の状態変化を温度−エントロピ線図上に記載すると図2のように表すことができる。
図2中、AB過程は、圧縮機11で断熱圧縮を行い、高温低圧の作動媒体蒸気Aを高温高圧の作動媒体蒸気Bとする過程である。BC過程は、凝縮器12で等圧冷却を行い、高温高圧の作動媒体蒸気Bを低温高圧の作動媒体Cとする過程である。CD過程は、膨張弁13で等エンタルピ膨張を行い、低温高圧の作動媒体Cを低温低圧の作動媒体Dとする過程である。DA過程は、蒸発器14で等圧加熱を行い、低温低圧の作動媒体Dを高温低圧の作動媒体蒸気Aに戻す過程である。
【0052】
同様に、作動媒体の状態変化を圧力−エンタルピ線図上に記載すると図3のように表すことができる。
【0053】
(水分濃度)
熱サイクルシステム内に水分が混入する問題がある。水分の混入は、キャピラリーチューブ内での氷結、作動媒体や潤滑油の加水分解、熱サイクル内で発生した酸成分による材料劣化、コンタミナンツの発生等の原因となる。特に、上述したエーテル系潤滑油、エステル系潤滑油等は、吸湿性が極めて高く、また、加水分解反応を生じやすく、水分の混入は、潤滑油としての特性が低下し、圧縮機の長期信頼性を損なう大きな原因となる。また、自動車空調機器においては、振動を吸収する目的で使用されている冷媒ホースや圧縮機の軸受け部から水分が混入しやすい傾向にある。したがって、潤滑油の加水分解を抑えるためには、熱サイクルシステム内の水分濃度を抑制する必要がある。熱サイクルシステム内の作動媒体の水分濃度は、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましい。
【0054】
熱サイクルシステム内の水分濃度を抑制する方法としては、乾燥剤(シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト等)を用いる方法が挙げられる。乾燥剤としては、乾燥剤と作動媒体との化学反応性、乾燥剤の吸湿能力の点から、ゼオライト系乾燥剤が好ましい。
【0055】
ゼオライト系乾燥剤としては、従来の鉱物系潤滑油に比べて吸湿量の高い潤滑油を用いる場合には、吸湿能力に優れる点から、下式(1)で表される化合物を主成分とするゼオライト系乾燥剤が好ましい。
2/nO・Al・xSiO・yHO ・・・(1)。
ただし、Mは、Na、K等の1族の元素またはCa等の2族の元素であり、nは、Mの原子価であり、x、yは、結晶構造にて定まる値である。Mを変化させることにより細孔径を調整できる。
【0056】
乾燥剤の選定においては、細孔径および破壊強度が重要である。
作動媒体の分子径よりも大きい細孔径を有する乾燥剤を用いた場合、作動媒体が乾燥剤中に吸着され、その結果、作動媒体と乾燥剤との化学反応が生じ、不凝縮性気体の生成、乾燥剤の強度の低下、吸着能力の低下等の好ましくない現象を生じることとなる。
したがって、乾燥剤としては、細孔径の小さいゼオライト系乾燥剤を用いることが好ましい。特に、細孔径が3.5Å以下である、ナトリウム・カリウムA型の合成ゼオライトが好ましい。作動媒体の分子径よりも小さい細孔径を有するナトリウム・カリウムA型合成ゼオライトを適用することによって、作動媒体を吸着することなく、熱サイクルシステム内の水分のみを選択的に吸着除去できる。言い換えると、作動媒体の乾燥剤への吸着が起こりにくいことから、熱分解が起こりにくくなり、その結果、熱サイクルシステムを構成する材料の劣化やコンタミナンツの発生を抑制できる。
【0057】
ゼオライト系乾燥剤の大きさは、小さすぎると熱サイクルシステムの弁や配管細部への詰まりの原因となり、大きすぎると乾燥能力が低下するため、約0.5〜5mmが好ましい。形状としては、粒状または円筒状が好ましい。
ゼオライト系乾燥剤は、粉末状のゼオライトを結合剤(ベントナイト等)で固めることにより任意の形状とすることができる。ゼオライト系乾燥剤を主体とするかぎり、他の乾燥剤(シリカゲル、活性アルミナ等)を併用してもよい。
作動媒体に対するゼオライト系乾燥剤の使用割合は、特に限定されない。
【0058】
(塩素濃度)
熱サイクルシステム内に塩素が存在すると、金属との反応による堆積物の生成、軸受け部の磨耗、作動媒体や潤滑油の分解等、好ましくない影響をおよぼす。
熱サイクルシステム内の塩素濃度は、作動媒体に対する質量割合で100ppm以下が好ましく、50ppm以下が特に好ましい。
【0059】
(不凝縮性気体濃度)
熱サイクルシステム内に不凝縮性気体が混入すると、凝縮器や蒸発器における熱伝達の不良、作動圧力の上昇という悪影響をおよぼすため、極力混入を抑制する必要がある。特に、不凝縮性気体の一つである酸素は、作動媒体や潤滑油と反応し、分解を促進する。
不凝縮性気体濃度は、作動媒体の気相部において、作動媒体に対する容積割合で1.5体積%以下が好ましく、0.5体積%以下が特に好ましい。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(冷凍サイクル性能の評価)
図1の冷凍サイクルシステム10に、作動媒体を適用した場合のサイクル性能(能力および効率)として冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)を評価した。
評価は、蒸発器14における作動媒体の平均蒸発温度、凝縮器12における作動媒体の平均凝縮温度、凝縮器12における作動媒体の過冷却度、蒸発器14における作動媒体の過熱度をそれぞれ設定し、実施した。また、機器効率および配管、熱交換器における圧力損失はないものとした。
【0062】
冷凍能力Qおよび成績係数ηは、各状態のエンタルピh(ただし、hの添え字は作動媒体の状態を表す。)を用いると、下式(2)、(3)から求められる。
Q=h−h ・・・(2)。
η=冷凍能力/圧縮仕事
=(h−h)/(h−h) ・・・(3)。
【0063】
なお、成績係数は、冷凍サイクルシステムにおける効率を表しており、成績係数の値が高いほど少ない入力(圧縮機を運転するために必要とされる電力量)により大きな出力(冷凍能力)を得ることができることを意味している。
【0064】
一方、冷凍能力は、負荷流体を冷却する能力を意味しており、冷凍能力が高いほど、同一のシステムにおいて、多くの仕事ができることを意味している。言い換えると、大きな冷凍能力を有する場合は、少ない作動媒体の量で目的とする性能を得ることができることを表しており、システムを小型化できる。
【0065】
冷凍サイクル性能の算出に必要となる熱力学性質は、対応状態原理に基づく一般化状態方程式(Soave−Redlich−Kwong式)、および熱力学諸関係式に基づき算出した。特性値が入手できない場合は、原子団寄与法に基づく推算手法を用い算出を行った。
【0066】
〔例1〕
図1の冷凍サイクルシステム10に、HFO−1123と表1に示すHFCとからなる作動媒体を適用した場合の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)を評価した。
評価は、蒸発器14における作動媒体の平均蒸発温度を0℃、凝縮器12における作動媒体の平均凝縮温度を50℃、凝縮器12における作動媒体の過冷却度を5℃、蒸発器14における作動媒体の過熱度を5℃として実施した。
【0067】
HFC−134aの冷凍サイクル性能を基準にし、HFC−134aに対する各作動媒体の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)の相対性能(各作動媒体/HFC−134a)を求めた。作動媒体ごとに表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1の結果から、HFO−1123に、HFC−32を添加することによって、HFO−1123の成績係数と冷凍能力を改善できることが確認された。HFC−134aの添加では、成績係数が改善された。HFC−125の添加では、成績係数と冷凍能力が低下するが、冷凍能力は1.0以上を維持した。HFC−125は、燃焼性を抑制する効果が優れており、作動媒体の燃焼性を充分に抑えることができることから、燃焼性の抑制が作動媒体に要求される場合には有効であると考えられる。
【0070】
〔例2〕
図1の冷凍サイクルシステム10に、HFO−1123と表2または表3に示すHFOとからなる作動媒体を適用した場合の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)を評価した。
評価は、蒸発器14における作動媒体の平均蒸発温度を0℃、凝縮器12における作動媒体の平均凝縮温度を50℃、凝縮器12における作動媒体の過冷却度を5℃、蒸発器14における作動媒体の過熱度を5℃として実施した。
【0071】
例1のHFC−134aの冷凍サイクル性能を基準にし、HFC−134aに対する各作動媒体の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)の相対性能(各作動媒体/HFC−134a)を求めた。作動媒体ごとに表2および表3に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
表2および表3の結果から、HFO−1123は、従来のHFOに比べ、冷凍能力が高いことが確認された。また、HFOを添加することによって、冷凍能力の大幅低下なしに、成績係数を改善できることが確認された。
【0075】
〔例3〕
図1の冷凍サイクルシステム10に、HFO−1123と表4に示す炭化水素とからなる作動媒体を適用した場合の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)を評価した。
評価は、蒸発器14における作動媒体の平均蒸発温度を0℃、凝縮器12における作動媒体の平均凝縮温度を50℃、凝縮器12における作動媒体の過冷却度を5℃、蒸発器14における作動媒体の過熱度を5℃として実施した。
【0076】
例1のHFC−134aの冷凍サイクル性能を基準にし、HFC−134aに対する各作動媒体の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)の相対性能(各作動媒体/HFC−134a)を求めた。作動媒体ごとに表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
表4の結果から、HFO−1123に、炭化水素を添加することによって、冷凍能力の大幅低下なしに、HFO−1123の成績係数を改善できることが確認された。
【0079】
〔例4〕
図1の冷凍サイクルシステム10に、HFO−1123と表5に示すHCFOとからなる作動媒体を適用した場合の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)を評価した。
評価は、蒸発器14における作動媒体の平均蒸発温度を0℃、凝縮器12における作動媒体の平均凝縮温度を50℃、凝縮器12における作動媒体の過冷却度を5℃、蒸発器14における作動媒体の過熱度を5℃として実施した。
【0080】
例1のHFC−134aの冷凍サイクル性能を基準にし、HFC−134aに対する各作動媒体の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)の相対性能(各作動媒体/HFC−134a)を求めた。作動媒体ごとに表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】
表5の結果から、HFO−1123に、HCFOを添加することによって、冷凍能力の大幅低下なしに、HFO−1123の成績係数を改善できることが確認された。
【0083】
〔例5〕
図1の冷凍サイクルシステム10に、作動媒体としてHFO−1123を適用した場合の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)を評価した。
蒸発器14における作動媒体の蒸発温度、凝縮器12における作動媒体の凝縮温度、凝縮器12における作動媒体の過冷却度、蒸発器14における作動媒体の過熱度は、表6に示す温度とした。
【0084】
例1のHFC−134aの冷凍サイクル性能を基準にし、HFC−134aに対するHFO−1123の冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)の相対性能(HFO−1123/HFC−134a)を求めた。結果を表6に示す。
【0085】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の作動媒体は、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動流体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の熱サイクル用作動媒体として有用である。
なお、2011年5月19日に出願された日本特許出願2011−112417号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【符号の説明】
【0087】
10 冷凍サイクルシステム
図1
図2
図3