【0030】
(b)は、透明伝熱部材20の表面に誘電体多層膜22を製膜し、その後に酸素プラズマに晒し、その後に異種表面活性接合する実施形態を示している。誘電体多層膜22を利用することによって接合界面での反射特性を調整することができる。この場合も、誘電体多層膜22の上面とレーザー媒質10の下面との間に、図示しないアモルファス層が形成される。
(c)は、透明伝熱部材20の表面に中間膜24を製膜し、その後に酸素プラズマに晒し、その後に異種表面活性接合する実施形態を示している。レーザー媒質10と透明伝熱部材20の屈折率の差が9%以上の場合、界面での損失が問題となる。その場合は、レーザー媒質10と透明伝熱部材20の中間値に近い屈折率を持っており、レーザー媒質10との屈折率の差が9%未満(好ましくは6%未満)であり、透明伝熱部材20との屈折率の差も9%未満(好ましくは6%未満)である材料によって中間膜24を製膜することが好ましい。屈折率の差を6%未満に抑えることによって、界面での損失を0.1%以下に抑えることが可能となる。レーザー媒質10と透明伝熱部材20の屈折率の差が9%未満であれば、界面での損失が0.3%以下であり、(a)(b)あるいは(d)に示すように、中間膜24を製膜しなくてもよい。レーザー媒質10と透明伝熱部材20の屈折率の差が6〜9%の場合は、レーザー媒質10と透明伝熱部材20の双方に対する屈折率の差が6%未満である中間膜24を利用する意味がある。その中間膜24を利用すると、界面での損失を0.1%以下に抑えることができる。この場合も、中間膜24の上面とレーザー媒質10の下面との間に、図示しないアモルファス層が形成される。
なお、中間膜24は、レーザー媒質10と透明伝熱部材20を酸素プラズマに晒し、不活性ガスの原子ビームに晒した後に製膜してもよい。原子ビームの照射、中間膜24の製膜、レーザー媒質10と透明伝熱部材20を接触させて加圧する一連の工程を真空中で実行することによって表面活性接合することができる。
(d)は、透明伝熱部材20の表面に、レーザー媒質10と同一組成の膜(以下では同質膜という)26を製膜し、その後に酸素プラズマに晒し、その後に同種表面活性接合する実施形態を示している。同質膜を利用すると同種表面活性接合することができる。
(e)は、透明伝熱部材20の表面に、誘電体多層膜22、中間膜24、同質膜26の順序で製膜し、その後に酸素プラズマに晒し、その後に同種表面活性接合する実施形態を示している。界面での反射特性が特に問題とならなければ、誘電体多層膜22を省略できる。レーザー媒質10と透明伝熱部材20の屈折率の差が9%未満の場合は、中間膜24を省略できる。異種接合できる場合は、同質膜26を省略できる。
(f)から(i)は、誘電体多層膜12、中間膜14、または同質膜16をレーザー媒質10に製膜しておく場合を示す。誘電体多層膜12を製膜しておけば(b)と同じ部品が得られ、中間膜14を製膜しておけば(c)と同じ部品が得られ、同質膜16を製膜しておけば(d)と同じ部品が得られ、誘電体多層膜12と中間膜14と同質膜16の全部を製膜しておけば(e)と同じ部品が得られる。
(j)は、レーザー媒質10と透明伝熱部材20の双方に中間膜14,24を製膜しておく実施例を示している。中間膜14と24は、同じ組成としてもよい。この場合は、中間膜14,24が同質膜16,26を兼用し、同種表面活性接合することができる。中間膜14,24を異なる組成としてもよい。このときは、屈折率が、レーザー媒質10、第1中間膜14、第2中間膜24、透明伝熱部材20の順で変化し、各界面における屈折率の差が9%未満の関係となるようにすれば、反射損失が0.3%以下になる。屈折率の差が6%未満の関係となるようにすれば、反射損失が0.1%以下になる。この場合は、第1中間膜14の下面と第2中間膜24の上面の間に、図示しないアモルファス層が形成される。
中間膜14,24が同質膜を兼用しない場合は、中間膜14,24のいずれか叉は双方の表面に同質膜を製膜してもよい。また、中間膜14,24に加えて、誘電体多層膜12,22の一方または双方を製膜してもよい。
本明細書に記載した技術は、YAGとサファイア、YVO
4と中間膜とダイアモンドといった組み合わせで接合したレーザー部品に適用可能である。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
図2は、
図1の(b)(d)を複合した実施例であり、(e)から中間膜24を省略した実施例を示す。レーザー媒質10はYAG(屈折率=1.82)であり、透明伝熱部材20はサファイア(屈折率=1.75)であり、両者の屈折率の差が3.8%(6%未満)であり、中間膜24が不要な場合に相当する。なおここでは、屈折率の差を、(高屈折率―低屈折率)/(高屈折率)の式で計算している。
この実施例では、透明伝熱部材20とするサファイア基板の表面に誘電体多層膜22を製膜し、その表面に同質膜26となるYAGの薄膜を製膜する。いずれもスパッタ法で製膜する。これらの試料を酸素プラズマ30に晒し、両試料が置かれている環境を真空とし、両試料の接合面にアルゴンの高速原子ビーム40を照射し、照射後の接合面同士を重ね合わせて加圧する。すると、同質膜26とレーザー媒質10が同種表面活性接合し、レーザー媒質10と透明伝熱部材20間の熱抵抗が低い状態で接合される。
図2において、参照番号17,27は、大気中におかれた試料表面を示し、酸素等と結合して安定した表面となっている。参照番号30は酸素プラズマ照射を示し、参照番号40はアルゴンの高速原子ビーム照射を示す。両処理を実施すると、(4)に示すように両試料の接合面に、活性化した接合手19,29が現れ、それが結合することによって、両試料が分子レベルで接合する。酸素プラズマに晒す前処理を加えるために、酸化物であるYAG(レーザー媒質10)の接合面が表面活性接合によって変質することがなく、YAGとサファイア基板の界面の透明度が低下しない。また常温で表面活性接合するために、YAG(レーザー媒質10)に大きな残留応力が作用することがない。
【0032】
(実施例2)
図3の(a)は、実施例2の
図2(1)に対応する図を示す。レーザー媒質10がYAG(屈折率=1.82)であり、透明伝熱部材20がダイアモンド(屈折率=2.42)であり、両者の屈折率の差が24.8%(9%以上)であり、中間膜24が必要な場合に相当する。中間膜は一層に限られず、多層であってもよい。2層を用いると、レーザー媒質10と第1中間膜の屈折率の差、第1中間膜と第2中間膜の屈折率の差、第2中間膜と透明伝熱部材の屈折率の差をいずれも9%以内に抑えることができる。たとえば、第1中間膜にサルファを用い、第2中間膜にTiO
2を使用すると、隣接する部材間の屈折率の差をおおむね9%以下におさえることができ、光損失を抑制することができる。この場合は、中間膜24の上面とYAG10の下面との間に図示しないアモルファス層が形成され、安定的に接合する。誘電体多層膜22は省略可能である。
【0033】
(実施例3)
図3の(b)に示すように、誘電体多層膜22、中間膜24、同質膜26の全部を利用することもできる。
【0034】
(実施例4)
図4は、
図2の誘電体多層膜22に対応する誘電体多層膜12と、同質膜26に対応する同質膜16をレーザー媒質10側に設けた実施例を示す。
図2の場合と同じ作用効果が得られる。
【0035】
(実施例5)
図5(a)は、
図3(a)の中間膜24の対応する中間膜14をレーザー媒質10側に設けた実施例を示す。
図3(a)の場合と同じ作用効果が得られる。この場合は、中間膜14の下面と透明伝熱部材20の上面との間に図示しないアモルファス層が形成され、安定的に接合する。
(実施例6)
図5(b)は、
図3(b)の誘電体多層膜22に対応する誘電体多層膜12と、中間膜24に対応する中間膜14と、同質膜26に対応する同質膜16をレーザー媒質10側に設けた実施例を示す。
図3(b)の場合と同じ作用効果が得られる。
【0036】
(実施例7)
図6は、レーザー媒質10の接合面に中間膜14を形成し、透明伝熱部材20の接合面に中間膜24を形成した実施例を示す。
中間膜14と中間膜24は同質膜を兼用してもよい。あるいは、中間膜14と24によって屈折率の差を2段階で緩和する2層の中間膜を形成してもよい。この場合は、中間膜14と中間膜24の間に図示しないアモルファス層が形成され、安定的に接合する。
【0037】
レーザー媒質には、既知の種々のレーザー媒質が利用可能であり、希土類イオンを添加した酸化物からなる光利得材料、遷移金属イオンを添加した酸化物からなる光利得材料、カラーセンターとなる酸化物からなる光利得材料等が利用できる。発光中心となる希土類イオンには、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybが例示できる。発光中心となる遷移金属イオンには、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuが例示できる。母体材料には、YAG,YSAG,YGAG,YSGG,GGG,GSGG,LuAGなどのガーネット系、YLF,LiSAF,LiCAF,MgF
2,CaF
2などのフッ化系、YVO
4,GdVO
4,LuVO
4などのバナデート系、FAP,sFAP,VAP,sVAPなどのアパタイト系、Al
2O
3、BeAl
2O
3などのアルミナ系、Y
2O
3,Sc
2O
3,Lu
2O
3などの二三酸化物系、KGW,KYWなどのタングステート系が例示される。母体材料は、単結晶であってもよいし多結晶セラミック材料であってもよい。また非晶質の各種ガラスなどでも良い。非線形光学材には、LN,LT,KTP,KTA,RTP,RTA,LBO,CLBO,CBO,BBO,BiBO,KBBF,BABF,水晶,COB,YCOB,GdCOB,GdYCOB,YAB,KDP,KD
*P,ZGPなどが例示される。
透明伝熱部材には、サファイア、ダイアモンド、無添加YAGが例示される。SiCも透明伝熱部材になり得るが、現時点では透明性が欠けるため、共振器外部に配置するなど使途が限られる。ダイアモンドに対する中間膜には、PbCl
2,Ta
2O
5,TiO
2,HfO
2,ZnS,ZnSe,NdO
2,ZrO
2などが例示される。サファイアに対する中間膜には、Al
2O
3,Y
2O
3,La
2O
3,MgO,PbF
2,Sc
2O
3,YAGなどが例示される。
【0038】
次に、レーザー部品を利用するレーザー装置を説明する。
(実施例1のレーザー装置)
図7は、いわゆるマイクロチップレーザー発振器を示す。レーザー媒質10の左端面に透明伝熱部材20Aを表面活性接合し、レーザー媒質10の右端面に透明伝熱部材20Bを表面活性接合している。図示はしないが、透明伝熱部材20A,20Bの左端面と右端面には、誘電体多層膜が製膜されており、界面での反射特性が下記のように調整されている。
透明伝熱部材20Aの左端面は、励起光波長に無反射で、レーザー光波長に高反射。
透明伝熱部材20Aの右端面は、励起光波長に無反射で、レーザー光波長に無反射。
透明伝熱部材20Bの左端面は、励起光波長に無反射で、レーザー光波長に無反射。
透明伝熱部材20Bの右端面は、励起光波長に高反射で、レーザー光波長に一部反射。
この実施例では、透明伝熱部材20Aの左端面と透明伝熱部材20Bの右端面の間に共振系が閉じ込められており、その共振器中に透明伝熱部材20Aと透明伝熱部材20Bが配置されている。
【0039】
例えば、レーザー媒質10には発光中心元素を添加したYAG、YVO
4、(s−)FAP等が利用でき、透明伝熱部材20A,20Bには、無添加のYAG,サファイア、ダイアモンド等が利用できる。レーザー媒質10と透明伝熱部材20A,20Bの屈折率の差が9%未満の場合は、中間膜が不要である。例えば、レーザー媒質10Aが発光中心元素を添加したYAGまたは(s−)FAPであり、透明伝熱部材20A,20Bが無添加のYAGまたはサファイアの場合は、中間膜が不要である。
レーザー媒質が発光中心物質を添加したYVO
4であり、透明伝熱部材がサファイアの場合は、屈折率の差が19%となり、中間膜を利用することが好ましい。両者の中間の屈折率を持つサルファ、SiO
2、HfOの一種または複数種類を中間膜に用いることが好ましい。
レーザー媒質が発光中心物質を添加したYVO
4であり、透明伝熱部材がダイアモンド場合は、両者の中間の屈折率を持つTiO
2、ZnS、Ta
2O
3の一種または複数種類を中間膜に用いることが好ましい。
【0040】
誘電体多層膜の最表面に、相手側接合面と同質膜を形成して同種表面活性接合してもよいし、同質膜を製膜しないで異種表面活性接合してもよい。後者の場合は、接合界面にアモルファス層が形成されて接合される。
このマイクロチップレーザー発振器は、透明伝熱部材20Aの左端面に励起光を照射すると、透明伝熱部材20Bの右端面からレーザー光が出力される。なお、レーザー光を出力する側の透明伝熱部材20Bは省略可能な場合がある。
【0041】
(実施例2のレーザー装置)
図8に示すように、レーザー媒質10Aと透明伝熱部材20Bの間にQスイッチ10Bを挿入し、それらの部材を表面活性接合してもよい。この場合、Qスイッチ10Bと透明伝熱部材20Bの間に、励起光波長には高反射であり、レーザー光波長の一部を反射する反射特性に調整する誘電体多層膜を形成して表面活性接合する。また、レーザー媒質10Aと透明伝熱部材20Aの間に、励起光波長には無反射であり、レーザー光を反射する反射特性に調整する誘電体多層膜を形成して表面活性接合する。この場合は、レーザー共振系の外側に透明伝熱部材20A,20Bが位置する。
図7のように、レーザー共振系の内側に透明伝熱部材20A,20Bを配置してもよいし、
図8のように、レーザー共振系の外側に透明伝熱部材20A,20Bを配置してもよい。本明細書に記載の技術によって、透明伝熱部材を共振系の内側に配置しても高出力レーザーが発振可能な程度に透明な接合界面が得られる。
【0042】
(実施例3のレーザー装置)
図9に示すように、レーザー媒質10AとQスイッチ10Bの間に透明伝熱部材20Bを挿入し、それらの部材を表面活性接合してもよい。
透明伝熱部材20の直径をレーザー媒質10の直径より大型化することが好ましい。この場合、直列接合したレーザー部品を高熱伝導率の筒に収容し、透明伝熱部材20の外周面が筒の内周面に接する関係とする。レーザー媒質10の熱は、透明伝熱部材20を介して筒に伝熱される。筒を冷却すると、レーザー媒質10が冷却される。本明細書では、レーザー媒質10A,10B・・と、透明伝熱部材20A,20B・・・に共通する事象については、アルファベットの添え字を省略する。
【0043】
(実施例4のレーザー装置)
図10は、
図7のマイクロチップレーザー発振器を多段に直列接合して高出力化したレーザー発振器を示す。
図10の場合、最も左側の透明伝熱部材20の左端面または右端面に励起光波長には無反射であり、レーザー光に高反射な誘電体多層膜を形成する。最も右側の透明伝熱部材20の左端面または右端面に励起光波長には高反射であり、レーザー光に一部反射する誘電体多層膜を形成する。最も左側の透明伝熱部材20と最も右側の透明伝熱部材20は共振系の内部でも外部でもよいが、その他の透明伝熱部材は共振系の内側に配置されている。
各レーザー媒質10の厚みは、レーザー媒質の直径の1/5以下に薄くすることが好ましい。それほどに薄くすると、レーザー媒質中における光路に沿った温度分布がほぼ均質となり、ビーム品質が格段に向上する。
種類が相違するレーザー媒質を直列に配列してもよい。例えば共通発光中心物質を種類が異なる母材中に添加した複数種類の光利得物質を直列に配列すると、非特許文献3に開示されているように、レーザー発振器の発振波長を広帯域化することができる。発光中心物質が相違する複数種類の光利得物質を直列に配列してもよい。例えば「Tm;YAG,透明伝熱部材、Ho:YAG,透明伝熱部材」を単位とし、それを繰り返して直列に配置してもよい。これによって、Tmの発光でHoを励起する現象を得ることが可能となる。
【0044】
(実施例5のレーザー装置)
図11は、
図10の多段式マイクロチップレーザー発振器に空間変調素子60を挿入した実施例を示す。空間変調素子は、レーザー光ビームの空間モードを制御する。空間変調素子60に代えて、ハードアパーチャまたはソフトアパーチャを挿入してもよい。空間変調素子60等は、隣接する部材に表面活性接合してもよい。
(実施例6のレーザー装置)
図12は、
図10の多段式マイクロチップレーザー発振器にQスイッチ62を挿入したパルスレーザー発振器を示す。Qスイッチ62に代えて、可飽和素子、EO,AO,MO,非線形光学素子を用いることもできる。Qスイッチ62等は、隣接する部材に表面活性接合してもよい。また、可飽和吸収素子の場合、発熱の集中を分散するために、複数に分割し、分割した可飽和吸収素子の間に透明伝熱部材が介在する状態で接合してもよい。
(実施例7のレーザー装置)
図13は、
図11と
図12を組み合わせたパルスレーザー発振器を示す。
【0045】
(実施例8のレーザー装置)
図14は、レーザー増幅器を示し、光利得媒質10と透明伝熱部材20が交互に繰り返す順序に従って直列に配置されている。隣接する部材同士は表面活性接合されている。各界面は、次のいずれかの反射特性に調整されている。
1)全界面において、励起光にもレーザー光波長にも無反射。光利得媒質10にYAGを用い、透明伝熱部材20にサファイアを用いる場合、両者を異種表面活性接合すればよい。YAGとサファイアを表面活性接合すると、接合界面での反射率は0.1%以下となり、誘電体多層膜による無反射コートや中間層を施さなくとも良くなる。またYAGとサファイアは、双方がAl
2O
3を含むために同質膜も不要である。
2)最も右側の透明伝熱部材の左右のいずれかの界面では励起光に高反射で、レーザー光波長に無反射であり、それ以外の全界面では励起光にもレーザー光波長にも無反射。
3)前記1)または2)において、最も左側の透明伝熱部材の左右のいずれかの界面では励起光に無反射で、レーザー光波長に高反射。
この装置では、左端面を励起光で照射し、右端面にレーザー光を入力する。すると、右端面から入力したレーザー光を増幅したレーザー光が右端面から出力する。
この実施例では、強い励起光に照射される左側の光利得媒質10の発光中心元素の添加濃度を薄くし、励起光が減衰する右側の光利得媒質10の発光中心元素の添加濃度を濃くする。これによって、励起光が一部の領域で強く吸収されることが無く、励起領域全体で吸収量が均一になるように調整できる。レーザー装置内の温度が均質化され、局所的な過熱を防止することができる。あるいは直列接続の両端部近傍と中央部を区別し、両端部近傍では発光中心元素の添加濃度を薄くし、中央部では発光中心元素の添加濃度を濃くする場合もある。
なお、増幅器への種光としてはマイクロチップレーザー、ファイバーレーザー、ロッドレーザー、ディスクレーザーなどが挙げられる。
複数個の同種のレーザー媒質を直列に配置して増幅する装置によると、増幅率を高めることが可能となる。それに代えて、直列に配置するレーザー媒質の種類を変えたレーザー増幅装置も有用である。入射レーザー光の波長帯域が広い場合は、複数種類のレーザー媒質を利用することによって、入射レーザー光の全波長帯を増幅することが可能となる。いずれの場合も、個々のレーザー媒質が両面から冷却されるために、レーザー媒質の過熱を防止することができる。
(実施例9のレーザー装置)
図15に示すように、
図14の構造によって、波長変換装置を構成することもできる。この場合、光利得媒質に代えて、非線形光学素子をレーザー媒質10とする。この場合、非線形光学素子の厚みを変えて直列に配置してもよい。そうすると、入力したレーザー光を広帯域な波長幅をもつレーザー光に変換することが可能となる。あるいは、独立した複数の波長を有するレーザー光に変換することが可能となる。
なお、
図7の構造で波長変換装置を実現することもできる。厚みが相違する複数個の非線形光学材料を直列に接合したものを、
図7のレーザー媒質10とすることができる。
また、目的波長のコヒーレンス長に応じて非線形分極の符号が逆転するよう、または一時的に休止することを繰り返すなどの擬似位相整合を実現するように接合してもよい。なお、擬似位相整合では帯域を拡げたり位相関係を制御するためのチャープ構造を造り込んでもよい。
【0046】
共振器形状としては、安定共振器よりも平行平板共振器の方が高出力化に適している。
図7〜13は、平行平板共振器を示している。さらなる高出力化のためには、励起面積を拡げる必要が有るところ、従来技術では利得が不足するために励起面積を拡げることが難しかった。本明細書で開示するレーザー発振器は、透明度が高くて過熱しづらいことから励起面積を拡げることができる。それを利用して不安定共振器を形成することが可能になる。本明細書に記載の技術によって不安定共振器を実現することが可能となる。
酸素プラズマに晒してから表面活性接合する技術は、レーザー媒質と透明伝熱部材の接合に特に有効であるが、それに限られない。例えば、酸化物からなるレーザー媒質を不透明伝熱部材(Cu,CuWといった金属製ヒートシンク)に接合する場合も有効である。この場合は、レーザー媒質の表面に誘電体多層膜を製膜して全反射する特性に調整する。誘電体多層膜の最表面には、アルミナ膜、あるいはAu,AuSnといった金属膜を形成する。そのレーザー媒質と金属製ヒートシンクを酸素プラズマに晒してから表面活性接合する。それによって、レーザー媒質と金属製ヒートシンク間の熱抵抗が低く、接合信頼性が向上する。
また、酸素プラズマに晒す前処理を、他の洗浄処理であって損傷の少ない洗浄処理に代えてもよい。
本明細書に記載の技術は、レーザー媒質と透明伝熱部材の一方または双方が酸化物である場合に特に有効であるが、それに限られず、レーザー媒質と透明伝熱部材の一方または双方が軽元素を含む場合にも有効である。特に、周期律表の第3周期までに含まれる軽元素が含まれている場合は、酸素プラズマに晒して予備洗浄することによって、接合面の透明性と安定性が改善する。
【0047】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。例えば、実施例では、レーザー媒質と透明伝熱部材が交互に出現しているが、その一部で、レーザー媒質が続けて出現する場合がある。この場合は、連続するレーザー媒質の全体を一個のレーザー媒質を評価することができる。従って、これもまたレーザー媒質と透明伝熱部材が交互に出現する規則に従っている。
特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。