特許第6245726号(P6245726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245726
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】インクジェット装置および液滴測定方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20171204BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20171204BHJP
   G01F 22/00 20060101ALI20171204BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20171204BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 51/50 20060101ALN20171204BHJP
   H05B 33/10 20060101ALN20171204BHJP
【FI】
   B05C11/00
   B41J2/01 451
   G01F22/00
   B05C5/00 101
   B05D1/26 Z
   !H05B33/14 A
   !H05B33/10
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-10441(P2013-10441)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-140810(P2014-140810A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(72)【発明者】
【氏名】井口 真介
(72)【発明者】
【氏名】矢野目 勇士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】西新 貴人
(72)【発明者】
【氏名】滝田 友春
【審査官】 高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−102311(JP,A)
【文献】 特開2007−117834(JP,A)
【文献】 特開2010−169608(JP,A)
【文献】 特開2005−119139(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/005011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00−21/00
B05D
B41J2/01;2/165−2/20;2/21−2/215
H05B33/00−33/28
G01F22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの液滴を吐出可能な1以上のヘッド部と、
前記液滴が塗布される基板を支持し、かつ、前記ヘッド部に対して第1の軸方向に沿って相対移動可能なステージと、
前記基板上の前記液滴に照明光を照射可能な光源と、
前記液滴からの前記照明光の反射光を受光可能な受光部と、
前記受光部で受光された、前記液滴表面の曲率に応じて変化する前記反射光の強度に基づいて前記液滴の体積に関する情報を取得可能なコントローラと
を具備し、
前記コントローラは、
前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に沿って取得された前記反射光の輝度分布に基づいて、前記複数の液滴おのおのに対応する前記反射光の輝度の最大値と最小値を取得し、
前記最大値と前記最小値の差を当該液滴の体積に関する情報として取得する
インクジェット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット装置であって、
前記受光部を前記ステージに対して相対移動させることが可能に構成された駆動部をさらに具備し、
前記ヘッド部は、前記液滴をそれぞれ吐出可能な複数のノズルを有し、
前記コントローラは、前記駆動部による前記受光部の移動を制御し、前記複数のノズルから吐出され前記基板上に塗布された複数の液滴からの前記反射光の強度に基づいて前記複数の液滴の体積に関する情報をそれぞれ取得する
インクジェット装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェット装置であって、
前記受光部は、前記基板上に塗布された前記複数の液滴を同時に撮像可能なカメラを含む
インクジェット装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のインクジェット装置であって、
前記ステージは、前記ヘッド部に対して前記第1の軸方向に沿って相対移動可能に構成され、
前記コントローラは、前記受光部を前記第2の軸方向に沿って移動させるように前記駆動部を制御する
インクジェット装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のインクジェット装置であって、
前記受光部は、前記基板の表面と直交する軸に関して、前記光源とは非対称な位置に配置される
インクジェット装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のインクジェット装置であって、
前記ヘッド部は、一軸方向に沿って配列された複数のヘッド部を含む
インクジェット装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット装置であって、
前記コントローラは、前記液滴の体積に関する情報に基づいて前記液滴の吐出量を制御するための制御信号を生成し、前記制御信号を前記ヘッド部へ出力可能に構成される
インクジェット装置。
【請求項8】
ステージ上の基板に向けて、少なくとも1つのヘッド部からインクの液滴を吐出する第1の工程と
前記基板に塗布された乾燥前の前記液滴に向けて光源から照明光を照射する第2の工程と
前記液滴からの前記照明光の反射光を受光部で受光する第3の工程と
受光した、前記液滴表面の曲率に応じて変化する前記反射光の強度に基づいて前記液滴の体積に関する情報を取得する第4の工程と
を含み、
前記第1の工程は、前記ヘッド部の複数のノズルから複数の液滴を吐出し、
前記第3の工程は、前記受光部を前記ステージに対して第1の軸方向に沿って相対移動させながら、前記基板上に塗布された前記複数の液滴からの反射光を受光し、
前記第4の工程は、前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に沿って取得された前記反射光の輝度分布に基づいて、前記複数の液滴おのおのに対応する前記反射光の輝度の最大値と最小値を取得し、前記最大値と前記最小値の差を当該液滴の体積に関する情報として取得する
液滴測定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の液滴測定方法であって、
前記第1の工程は、前記ステージを前記ヘッド部に対して前記第1の軸方向に移動させながら前記液滴を吐出し、
前記第3の工程は、前記受光部を前記ステージに対して前記第2の軸方向に沿って移動させながら前記反射光を受光する
液滴測定方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の液滴測定方法であって、さらに、
前記液滴の体積に関する情報に基づいて前記液滴の吐出量を制御するための制御信号を生成し、前記制御信号を前記ヘッド部へ出力する
液滴測定方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1つに記載の液滴測定方法であって、さらに、
前記基板上に塗布された試験用液滴からの前記照明光の反射光を用いて前記液滴の吐出量を制御する
液滴測定方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1つに記載の液滴測定方法であって、
前記基板は、前記液滴の面積を一定に規制する規制部により囲まれた塗布領域を有し、
前記液滴を吐出する工程は、前記塗布領域に対して前記液滴を吐出する
液滴測定方法。
【請求項13】
請求項12に記載の液滴測定方法であって、
前記塗布領域は、長手方向と短手方向とを有し、
前記反射光を受光する工程は、前記短手方向に沿った前記液滴表面からの反射光を受光する
液滴測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクヘッドの複数のノズルから吐出される個々の液滴の体積を高精度に測定することが可能なインクジェット装置及び液滴測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法は、基板上の所定位置に精度よくインクを滴下することができるため、例えば有機ELディスプレイを製造する工程に採用されている。例えば下記特許文献1には、インクジェット法によりR(赤)、G(緑)、B(青)の各有機発光材料層を形成する方法が記載されている。またインクヘッドから吐出される液滴の形態に基づいて、インクの吐出口の良否判定を行う機構を備えたものが知られている。例えば下記特許文献2には、インクヘッドから吐出される液滴をその飛翔経路上で撮影し、液滴の撮影像に基づいて吐出口の良否を判定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−77678号公報
【特許文献2】特開2011−2641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、蒸着法によりR、G、Bの各有機発光材料層を塗り分ける方法で有機ELディスプレイが生産されているが、マスクを使用する必要があり、大型ディスプレイや大型基板には向いていない。そこで上述のようにインクジェットを用いた印刷法による発光層の製造が注目を浴びているが、吐出されるインクの量のバラツキがディスプレイの画質に大きな影響をもたらすため、発光層の膜厚は非常に精密に制御する必要があり、基板上に吐出される液滴の量を高精度に測定/制御する必要がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、インクの液滴量を高精度に測定することができるインクジェット装置及び液滴測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るインクジェット装置は、1以上のヘッド部と、ステージと、光源と、受光部と、コントローラとを具備する。
上記ヘッド部は、インクの液滴を吐出可能に構成される。
上記ステージは、上記液滴が塗布される基板を支持し、かつ、上記ヘッド部に対して相対移動可能に構成される。
上記光源は、上記基板上の上記液滴に照明光を照射可能に構成される。
上記受光部は、上記液滴からの上記照明光の反射光を受光可能に構成される。
上記コントローラは、上記受光部で受光された上記反射光の強度に基づいて上記液滴の量に関する情報を取得可能に構成される。
【0007】
また上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る液滴測定方法は、ステージ上の基板に向けて、少なくとも1つのヘッド部からインクの液滴を吐出する工程を含む。
上記基板に塗布された乾燥前の上記液滴に向けて光源から照明光が照射される。
上記液滴からの上記照明光の反射光が受光部で受光される。
受光した上記反射光の強度に基づいて上記液滴の量に関する情報が取得される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット装置を示す概略平面図である。
図2】上記インクジェット装置を示す概略側面図である。
図3】上記インクジェット装置におけるインクヘッドのインク吐出面を示す要部の拡大図である。
図4】上記インクジェット装置の作用を説明する概略平面図である。
図5】上記インクジェット装置における液量測定ユニットの概略構成図である。
図6】上記液量測定ユニットの作用を説明する図である。
図7】上記液量測定ユニットを構成する光源と受光部との位置的関係を説明する正面図である。
図8】乾燥後の液滴の様子を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の実施形態において、受光部で取得された液滴の反射光の輝度に関するコントローラの出力例を示す図である。
図10】上記液量測定ユニットの受光部の調整工程を説明する基板の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るインクジェット装置は、1以上のヘッド部と、ステージと、光源と、受光部と、コントローラとを具備する。
上記ヘッド部は、インクの液滴を吐出可能に構成される。
上記ステージは、上記液滴が塗布される基板を支持し、かつ、上記ヘッド部に対して相対移動可能に構成される。
上記光源は、上記基板上の上記液滴に照明光を照射可能に構成される。
上記受光部は、上記液滴からの上記照明光の反射光を受光可能に構成される。
上記コントローラは、上記受光部で受光された上記反射光の強度に基づいて上記液滴の量に関する情報を取得可能に構成される。
【0010】
基板上に塗布された液滴からの反射光の強度は、当該液滴の表面形状に応じて変化し、液滴の表面形状は、当該液滴の量(体積)によってほぼ決定される。液滴の表面形状は、例えばインク顔料あるいは染料を担持する有機溶媒の表面張力の影響を受け、特に液滴の乾燥前において液滴の量の違いが液滴の表面形状の違いとして現れやすい。上記コントローラは、このような液滴の表面形状と反射光の受光強度との相関に基づいて当該液滴の量に関する情報を取得する。
【0011】
上記インクジェット装置によれば、バラツキの少ない高精度な液滴測定が可能となる。また、ヘッド部から吐出された液滴をその飛翔経路上で撮影しそれを画像処理して液滴の量(体積)を測定する方法と比較して、コントローラにおける演算負荷を低減できるため短時間での液滴測定が可能となる。さらに、短時間での液滴測定が可能となるため、例えば吐出不良等を迅速にヘッド部へフィードバックすることで吐出量の最適化を図ることができるとともに、基板上のすべての液滴を対象にした塗布ムラの有無等の検査を実施することができる。
【0012】
典型的には、上記ヘッド部は、上記液滴をそれぞれ吐出可能な複数のノズルを有する。この場合、上記インクジェット装置は、上記受光部を上記ステージに対して相対移動させることが可能に構成された駆動部をさらに具備してもよい。
これにより、個々の液滴に対する反射光の受光方向等の測定条件を共通化でき、測定条件の相違による測定精度の低下を防止することができる。また複数の液滴を一単位とした受光強度の測定が可能となり、処理時間の短縮を図ることができる。
【0013】
上記コントローラは、上記駆動部による上記受光部の移動を制御し、上記複数のノズルから吐出され上記基板上に塗布された複数の液滴からの上記反射光の強度に基づいて、上記複数の液滴の量に関する情報をそれぞれ取得してもよい。
これにより個々の液滴についての量の比較等が可能となり、異常吐出等を容易に検出することができる。
【0014】
上記受光部は、上記基板上に塗布された上記複数の液滴を同時に撮像可能なカメラを含んでもよい。上記カメラには、リニアセンサあるいはエリアセンサが含まれる。上記構成により、複数の液滴からの反射光を同時に受光することができるため、測定時間の短縮を図ることができる。
【0015】
上記受光部は、上記基板の表面と直交する軸に関して、上記光源とは非対称な位置に配置されてもよい。これにより、基板表面における照明光の正規反射光が受光部で受光されることを抑制できるため、液滴からの反射光を精度よく検出することが可能となる。
【0016】
典型的には、上記ステージは、上記ヘッド部に対して第1の軸方向に沿って相対移動可能に構成される。この場合、上記コントローラは、前記受光部を前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に沿って移動させるように上記駆動部を制御することが可能に構成されてもよい。
これにより基板上への液滴の塗布と液滴の吐出量の測定とを同一のステージ上で実行することが可能となる。
【0017】
上記ヘッド部は、一軸方向に沿って配列された複数のヘッド部を含んでもよい。これにより大型基板へも容易に適用することができる。
【0018】
上記コントローラは、上記液滴の量に関する情報に基づいて上記液滴の吐出量を制御するための制御信号を生成し、上記制御信号を上記ヘッド部へ出力可能に構成されてもよい。これにより、インクの吐出異常が生じた場合に迅速にヘッド部へフィードバックすることができる。また、ノズル間のクロストークの影響を受けることはないため精密な液滴測定が可能となるとともに、ヘッド部の吐出異常を迅速にフィードバックすることが可能となる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る液滴測定方法は、ステージ上の基板に向けて、少なくとも1つのヘッド部からインクの液滴を吐出する工程を含む。
上記基板に塗布された乾燥前の上記液滴に向けて光源から照明光が照射される。
上記液滴からの上記照明光の反射光が受光部で受光される。
受光した上記反射光の強度に基づいて上記液滴の量に関する情報が取得される。
【0020】
上記液滴測定方法によれば、バラツキの少ない高精度な液滴測定が可能となる。また、ヘッド部から吐出された液滴をその飛翔経路上で撮影しそれを画像処理して液滴の量(体積)を測定する方法と比較して、演算負荷を低減できるため短時間での液滴測定が可能となる。さらに、短時間での液滴測定が可能となるため、例えば吐出不良等を迅速にヘッド部へフィードバックすることで吐出量の最適化を図ることができるとともに、基板上のすべての液滴を対象にした塗布ムラの有無等の検査を実施することができる。
【0021】
典型的には、上記液滴を吐出する工程は、上記ヘッド部の複数のノズルから複数の液滴を吐出する。この場合、上記反射光を受光する工程は、上記受光部を上記ステージに対して相対移動させながら、上記基板上に塗布された上記複数の液滴からの反射光を受光してもよい。
これにより個々の液滴に対する反射光の受光方向等の測定条件を共通化でき、測定条件の相違による測定精度の低下を防止することができる。また複数の液滴を一単位とした受光強度の測定が可能となり、処理時間の短縮を図ることができる。
【0022】
上記情報を取得する工程は、上記基板上に塗布された上記複数の液滴からの反射光の強度に基づいて、上記複数の液滴の量に関する情報をそれぞれ取得してもよい。これにより個々の液滴についての量の比較等が可能となり、異常吐出等を容易に検出することができる。
【0023】
典型的には、上記液滴を吐出する工程は、上記ステージを上記ヘッド部に対して第1の軸方向に移動させながら上記液滴を吐出する。この場合、上記反射光を受光する工程は、上記受光部を上記ステージに対して上記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に沿って移動させながら上記反射光を受光してもよい。
これにより基板上への液滴の塗布と液滴の吐出量の測定とを同一のステージ上で実行することが可能となる。
【0024】
上記液滴測定方法は、さらに、上記液滴の量に関する情報に基づいて上記液滴の吐出量を制御するための制御信号を生成し、上記制御信号を上記ヘッド部へ出力してもよい。これによりインクの吐出異常が生じた場合に迅速にヘッド部へフィードバックすることができる。また、ノズル間のクロストークの影響を受けることはないため精密な液滴測定が可能となるとともに、ヘッド部の吐出異常を迅速にフィードバックすることが可能となる。
【0025】
上記液滴測定方法は、さらに、上記基板上に塗布された試験用液滴からの上記照明光の反射光を用いて上記液滴の吐出量を制御してもよい。これによりインキ量を更に高精度に測定及び制御することが可能となる。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット装置を示す概略平面図であり、図2はその概略側面図である。各図においてX軸及びY軸は相互に直交する水平方向を示し、Z軸はX軸及びY軸にそれぞれ直交する鉛直方向を示している。
【0028】
本実施形態のインクジェット装置1は、基板Sを支持するステージ11と、ステージ11上の基板Sにインクの液滴を塗布するヘッドモジュール12と、ステージ11を一軸方向に移動させる移動機構13と、ヘッドモジュール12、移動機構13等を含むインクジェット装置1の全体の駆動を制御するコントローラ15とを有する。
【0029】
本実施形態のインクジェット装置1は、例えば、カラーフィルタの着色層や、有機ELパネル用の発光層の印刷等に用いられる。
【0030】
基板Sは、略矩形状のガラス基板で構成されるが、これ以外にも、金属、プラスチック、紙等のプレート状、シート状あるいはフィルム状の基材で構成されてもよい。また、基板Sは単一層で構成されたものに限られず、表面に絶縁膜や導電膜等のベタ膜あるいは所定形状にパターニングされた機能膜が積層された多層構造を有していてもよい。
【0031】
ステージ11は、ベース部10の上にY軸方向に移動可能に設置される。ステージ11は、基板Sが支持する支持面11aを有する。支持面11aは、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ平行な平面(XY平面)に属し、本実施形態では略矩形の平坦な面で構成される。ステージ11は、支持面11a上に基板Sを保持するための各種チャック機構を備えていてもよい。
【0032】
インクジェット装置1は、ステージ11の支持面11aを所定温度以下に冷却するための冷却機構14を有してもよい。上記所定温度は特に限定されず、例えば、基板S上に塗布された液滴の乾燥を遅らせることができる適宜の温度に設定される。冷却機構14は、例えば、ステージ11の内部に形成された冷却水の循環通路と、当該循環通路に冷却水を循環させるポンプユニットを含む。上記ポンプユニットは、ステージ11に一体的に取り付けられてもよいし、冷却水が通過するフレキシブル性の管部材を介してベース部10あるいはこれ以外の部位に設置されてもよい。
【0033】
移動機構13は、ベース部10の上に敷設された一対のガイドレール13a,13bと、ステージ11をガイドレール13a,13bに沿って移動させるリニアモータ等の駆動源と、上記駆動源を制御する制御部等を含む。一対のガイドレール13a,13bはY軸方向に平行に延び、ステージ11はガイドレール13a,13bの上に設置される。上記駆動源はステージ11の内部に配置され、上記制御部によってガイドレールに沿ったステージ11の高精度な移動制御が行われる。
【0034】
[ヘッドモジュール]
ヘッドモジュール12は複数のヘッド部121,122,123,124,125,126を有する。ヘッド部121〜126は、ガイドレール13a,13bに沿ってY軸方向に移動するステージ11上の基板Sの表面全域に、所定のインクの液滴Dを塗布するように構成される。なおヘッドモジュール12は、単一のヘッド部で構成されてもよい。
【0035】
ヘッド部121〜126は、ステージ11上の基板Sの表面全域をX軸方向に沿って配列された複数列の領域R1,R2,R3,R4,R5,R6で仮想的に区画したときに、上記複数列の領域R1〜R6の各々に対応するように配置されている。基板Sの表面に区画された領域R1〜R6はそれぞれY軸方向に平行な長手方向、X軸方向に平行な幅方向を有する矩形状に形成され、ヘッド部121〜126はこれら各領域R1〜R6にインクの液滴DをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ所定ピッチで塗布する。
【0036】
上記複数列の領域R1〜R6は、第1の領域群RAと、第2の領域群RBとに分けられる。本実施形態において第1の領域群RAは、複数列の領域R1〜R6のうち一列おきに選択された複数の領域R1,R3,R5で構成され、第2の領域群RBは、複数列の領域R1〜R6のうち残余の複数の領域R2、R3,R5で構成される。
【0037】
第1の領域群RAは、ヘッド部121,123,125によって処理される。すなわちヘッド部121,123,125は、第1の領域群RAを構成する領域R1,R3,R5にそれぞれ液滴Dを塗布する。一方、第2の領域群RBは、ヘッド部122,124,126によって処理される。すなわちヘッド部122,124,126は、第2の領域群RBを構成する領域R2,R4,R6にそれぞれ液滴Dを塗布する。
【0038】
ヘッド部121,123,125は、第1のヘッド群12Aを構成する。第1のヘッド群12Aは、支持フレーム120Aを介してベース部10の直上位置に設置され、ヘッド部121,123,125がそれぞれ基板S上の第1の領域群RA(R1,R3,R5)に対向するように位置決め配置されている。一方、ヘッド部122,124,126は、第2のヘッド群12Bを構成する。第2のヘッド群12Bは、支持フレーム120Bを介してベース部10の直上位置に設置され、ヘッド部122,124,126がそれぞれ基板S上の第2の領域群RB(R2,R4,R6)に対向するように位置決め配置されている。
【0039】
ヘッドモジュール12は、ヘッド部121〜126をそれぞれZ軸まわりに回動させることが可能な複数の回転機構部M(調整機構)を有する。これら回転機構部Mは、支持フレーム120A,120Bにそれぞれ設けられ、ヘッド部121〜126を各々個別にZ軸まわりに所定角度範囲にわたって回転させることが可能に構成されている。これら回転機構部Mは、コントローラ15によって制御される。
【0040】
コントローラ15は、典型的にはCPUや各種メモリを含むコンピュータで構成される。コントローラ15は、ヘッドモジュール12、移動機構13、冷却機構14、後述する液量測定ユニット16等の各種機構部の駆動を制御する。コントローラ15は、ベース部10に設置されるが、ベース部10とは異なる位置に設置されてもよい。
【0041】
各ヘッド部121〜126は、複数のノズルが形成されたインクの吐出面を有する。図3は、ヘッド部121のインク吐出面121sを示す要部の拡大図である。インク吐出面121sは、略長方形状を有し、その長手方向に沿って複数のノズルNが所定ピッチp0で形成されている。各々のノズルNは、図示しないインクタンクに接続されており、各々のノズルNには所定量のインクを吐出するための圧電駆動部Vが配置されている。圧電駆動部Vは、コントローラ15により制御される。インク吐出面121sは、その直下を通過する基板Sの表面に対して所定の距離を介して対向するように配置される。
【0042】
回転機構部Mは、ヘッド部121をZ軸まわりに回転させることで、X軸方向に沿った液滴の吐出ピッチを調整する。例えば図3(A)は、X軸に対してZ軸まわりに角度θ1だけヘッド部121を傾けたときのX軸方向に沿った液滴の吐出ピッチがp0からp1に変換される様子を示し、図3(B)は、X軸に対してZ軸まわりに角度θ2(θ2>θ1)だけヘッド部121を傾けたときのX軸方向に沿った液滴の吐出ピッチがp0からp2(p2<p1)に変換される様子を示している。このようにヘッド部121の回動角度によってX軸方向に沿った液滴の吐出ピッチを連続的に変化させることができる。
【0043】
ヘッド部122〜126もヘッド部121と同様に構成される。各ヘッド部121〜126のX軸方向に沿った液滴の吐出ピッチは同一に設定される。X軸方向に沿った液滴の吐出ピッチは、基板S上に塗布される液滴の種類や工程に応じて適宜調整される。
【0044】
第1のヘッド群12Aを構成するヘッド部121,123,125は、これらの長手方向に沿って同一の直線上に配列されている。同様に、第2のヘッド群12Bを構成するヘッド部122,124,126は、これらの長手方向に沿って同一の直線上に配列されている。これに代えて、第1及び第2のヘッド群12A,12Bを構成する各々のヘッド部は、X軸方向に沿って配列されてもよい。
【0045】
第2のヘッド群12Bは、第1のヘッド群12Aよりも基板Sの移動方向(Y軸方向)に関してオフセット(離間)した位置に配置されている。このようにヘッド部121〜126が基板S上の全領域R1〜R6に対応して配置されることで、Y軸方向への基板Sの一回の移動操作で、基板Sの表面全域にインクの液滴を塗布することが可能となる。これにより、基板Sに対する液滴塗布工程の効率が高まり、生産性を向上させることができる。
【0046】
図4は、ヘッドモジュール12によって基板Sの表面に液滴を塗布する様子を示す概略平面図である。基板Sはヘッドモジュール12の直下をY軸方向に沿って矢印Aで示す方向に所定速度で移動する。基板Sの表面には、その始端S1から終端S2に向かってヘッドモジュール12から吐出される液滴Dが塗布される。
【0047】
液滴Dは、X軸方向及びY軸方向に一定のピッチpx,pyで塗布される。ピッチpxは、回転機構部Mによるヘッド部121〜126の回転角度で調整され、ピッチpyは、ヘッド部121〜126からの液滴Dの吐出タイミングで調整される。基板S上に形成される液滴層は、一回の液滴Dの吐出によって形成されてもよいし、複数回の液滴Dの吐出によって形成されてもよい。また、基板S上に形成される液滴層は撥液性の材用で形成されたリブに囲まれたピクセルであってもよく、又は基板S上に直接、親液/撥液領域を形成してもよい。
【0048】
本実施形態では上述のようにヘッドモジュール12が第1のヘッド群12Aと第2のヘッド群12Bとで構成されており、第1のヘッド群12Aが第2のヘッド群12Bよりも上流側に配置される。したがって図4に示すように、基板Sには先ず、第1のヘッド群12A(ヘッド部121,123,125)により第1の領域群RA(R1,R3,R5)へ液滴Dの吐出が開始され、その後、第2のヘッド群12B(ヘッド部122,124,126)により第2の領域群RB(R2,R4,R6)へ液滴Dの吐出が開始される。
【0049】
[液量測定]
インクジェット印刷におけるインク吐出量は、直接的または間接的にインク吐出量を測定し、それが最適値となるようにフィードバックすることで調整される。吐出量の測定方法としては、飛翔している液滴の体積や速度を測定する方法、基板上に塗布された乾燥後の塗膜の膜厚を測定する方法等が知られている。しかし、飛翔状態の液滴を測定する方法は、ノズル毎に精密に測定を行う必要があるためフィードバックに時間を要し、また、ノズル間のクロストークの影響を受けやすい。一方、乾燥後の塗膜の膜厚を測定する方法は吐出異常が発生した場合に迅速にフィードバックすることができないなどの不具合があった。また、いずれの場合においても、測定に時間を要するため、測定点を少なくする必要があり、さらに測定ばらつきが大きく正確な測定が困難であった。
【0050】
そこで本実施形態では、ヘッド部121〜126から吐出された直後の基板S上の液滴Dについて、液滴Dが乾燥する前の液体の状態で液滴Dの吐出量の測定を実施可能に構成されている。液滴Dは、一滴のインクで形成されてもよいし、複数滴のインクの集合体で形成されてもよい。図5は、液量測定ユニット16の概略構成図である。
【0051】
液量測定ユニット16は、光源161と、受光部162とを有する。光源161は、ヘッドモジュール12によって塗布された基板S上の液滴Dに照明光L1を照射する。受光部162は、液滴Dからの照明光L1の反射光L2を受光し、その受光信号をコントローラ15へ出力する。
【0052】
光源161は、蛍光管のような線状光源でもよいし、LED(Light Emitting Diode)等の点状あるいは面状光源であってもよい。照明光L1の波長帯域は特に限定されず、例えば可視光が用いられ、好ましくは液滴Dに対して反射特性が高く、受光部162の受光感度が高い波長の光が用いられる。光源161は、例えば、基板Sの上方に設置される。さらに光源(照明光)としては、塗布したインキへの悪影響を防ぐことができる波長の光を選択することが好ましい。例えば紫外線や熱線域の赤外線等、インキの物性に変化をもたらす等の弊害を生じさせ得る波長帯域の光の使用は避けるべきである。なお、紫外線や赤外線は光源光として常に排除されるという趣旨ではなく、上記弊害が少ない又は生じないインキに対しては適用可能である。
【0053】
受光部162は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等の固体撮像素子(電子カメラ)で構成される。このような受光部162には、例えばリニアセンサやエリアセンサが含まれる。受光部162がCCDカメラ等のエリアセンサで構成されることにより、基板S上のマクロな領域について光学的な測定が可能となり、複数の液滴についての情報を取得することができる。
【0054】
液量測定ユニット16は、例えば、基板Sの上方に設置され、本実施形態では図1に示すように、ベース部10に設置された架台160に支持されている。架台160は、ヘッドモジュール12よりも基板Sの搬送方向下流側においてガイドレール13a,13bの上を跨ぐように設けられている。
【0055】
インクジェット装置1はさらに駆動部17(図2参照)を有しており、駆動部17は液量測定ユニット16を架台160に沿ってX軸方向に移動させることが可能に構成されている。これにより光源161及び受光部162は、Y軸方向に移動するステージ11上の基板Sに対してX軸方向に相対移動可能となり、受光部162は、基板Sの表面全域の液滴Dからの反射光L2を受光することが可能となる。駆動部17による液量測定ユニット16の移動は、コントローラ15によって制御される。
【0056】
光源161は、受光部162と一体的に構成される場合に限られず、受光部162とは別に構成されてもよく、例えば光源161は、例えば架台160に設置される。この場合、基板S上の各領域に照明光L1を均一に照射するために、光源161は、X軸方向に延在する線状光源で構成されてもよいし、X軸方向に直線的に配列された複数の点状光源で構成されてもよい。
【0057】
コントローラ15は、受光部162で受光された反射光L2の強度に基づいて液滴Dの量に関する情報を取得する。
【0058】
すなわち基板S上に塗布された液滴Dからの反射光L2の強度は、当該液滴の表面形状に応じて変化し、液滴の表面形状は、当該液滴の量(体積)、基板Sからの高さ等によってほぼ決定される。液滴Dの表面形状は、例えばインク顔料あるいは染料を担持する有機溶媒の表面張力の影響を受け、特に液滴の乾燥前において液滴の量の違いが液滴の表面形状の違いとして現れやすい。コントローラ15は、このような液滴Dの表面形状と反射光L2の受光強度や輝度等との相関に基づいて当該液滴の量に関する情報を取得する。
【0059】
図6(A),(B)は、液滴Dの表面形状と受光部162で受光される反射光L2との関係を説明する模式図であり、図5のB−B’線方向に沿った断面図である。ここでは基板Sの表面に液滴Dの塗布領域を規定する枠状のリブSaが形成された例を示す。光源161は、照明光L1が測定対象である液滴Dに対して斜め方向から入射するように配置され、受光部162の光軸は、基板Sに対して常に一定の角度となるように固定される。
【0060】
液滴の表面は、その乾燥前において有機溶媒の表面張力により上方へ凸なる形状の曲面形状を有する。液滴表面の曲率は、液滴の量が多いほど大きく(曲率半径は小さく)なり、液滴の高さは、液滴の量が多いほど高くなる。図6(A)に示すように設定値よりも少ない吐出量で基板S上に塗布された液滴D1は、その吐出量に応じた表面形状に対応する反射強度分布で反射光L2を受光部162に向けて反射する。
【0061】
一方、図6(B)に示すように、設定値よりも多い吐出量で基板S上に塗布された液滴D2は、液滴D1よりも大きな曲率を有するため、反射光L2の反射強度分布が液滴D1の場合と異なる。その結果、受光部162で受光される反射光L2の強度で液滴D1とD2との間に違いが生じ、その反射光強度の違いから液滴D1とD2との量の比較が可能となる。
【0062】
光源161と受光部162との位置関係は上述の例に限られず、液滴D1の吐出量の相違を判別できる位置関係で光源161と受光部162とが各々配置されていればよい。また、液滴D1の吐出量と受光部162における反射光L2の強度との関係も特に限定されず、光源161と受光部162との位置関係に応じて適宜設定可能である。したがって光源161と受光部162の位置関係は、例えば、液滴D1の吐出量が多いほど反射光L2の強度が大きくなるような関係であってもよいし、これとは逆に、液滴D1の吐出量が少ないほど反射光L2の強度が大きくなるような関係であってもよい。
【0063】
また、受光部162に入射する照明光L1の反射光には、液滴Dからの反射光L2だけでなく、基板Sの表面における反射光が含まれる。受光部162に入射する基板Sの表面反射光が多くなると、液滴Dからの反射光L2の測定精度が低下するおそれがある。そこで本実施形態では、図7に示すように受光部162は、基板Sの表面と直交する軸Z1(あるいは平面)に関して、光源161とは非対称な位置に配置される。これにより、基板Sの表面における照明光L1の正規反射光L3が受光部162で受光されることを抑制できるため、液滴Dからの反射光L2を精度よく検出することが可能となる。
【0064】
例えば、受光部162は、その光軸が設定吐出量で塗布された液滴からの反射光の光軸と一致するように配置されてもよい。あるいは、受光部162は、基板表面での正規反射光L3を受光しない位置に配置されてもよい。あるいは、受光部162の受光面に、正規反射光L3をカットするフィルタが配置されてもよい。
【0065】
なお基板S上の液滴Dが等方的な形状ではなく、図5に示すようにY軸方向に長手方向(長軸方向)を有する形状のような場合、Y軸方向に沿った断面形状と比較してX軸方向に沿った断面形状の方が液滴量に起因する反射光の強度変化を判定しやすい。したがって上述のように基板S上の液滴Dが形状異方性を有する場合には、短軸方向に沿った表面の反射光強度を評価することで、高精度な液滴測定を容易に行うことができる。
【0066】
コントローラ15は、駆動部17による受光部162のX軸方向への移動を制御し、複数のノズルNから吐出され基板S上に塗布された複数の液滴からの反射光L2の強度に基づいて、上記複数の液滴の量に関する情報をそれぞれ取得する。これにより個々の液滴についての吐出量の比較等が可能となる。また、一台の受光部162で基板S上のすべての液滴についての情報を取得することが可能となる。
【0067】
コントローラ15は、受光部162から出力される個々の液滴についての反射光強度に基づいて、ヘッド部121〜126の各ノズルNの圧電駆動部Vを制御する。
【0068】
例えばコントローラ15は、ある液滴について反射光L2の受光強度が基準範囲から外れている場合、当該液滴を吐出するノズルNの圧電駆動部Vの駆動(例えば電圧波形)を制御して、上記基準範囲内となるように当該ノズルNから吐出される液滴の量を調整する。上記基準範囲は、インクの種類や製品の仕様等に応じて適宜設定することができる。
【0069】
以上のように本実施形態においては、印刷直後の液体の状態にある複数の液滴Dから照明光L1の反射光L2を受光し、その受光強度から各ノズルNから吐出された液滴量を測定するようにしている。これにより、ヘッド部から吐出された液滴をその飛翔経路上で撮影しそれを画像処理して液滴の量(体積)を測定する方法と比較して、コントローラにおける演算負荷を低減できるため短時間での液滴測定が可能となる。
【0070】
また、反射光L2の受光強度に基づいて各液滴について吐出量の相対的な比較を行うため、測定誤差を減少でき、より正確な吐出量制御が可能となる。さらに、吐出不良等を迅速にヘッド部へフィードバックすることで吐出量の最適化を図ることができるとともに、基板上のすべての液滴を対象にした塗布ムラやスジムラの有無等の検査を実施することができる。これにより、安定した印刷を継続でき、生産性の向上を図ることができる。
【0071】
以上のように本実施形態によれば、飛翔状態の液滴を測定する方法と比較して、ノズル間のクロストークの影響を受けることなく精密な液滴測定が可能であるとともに、乾燥後の塗膜の膜厚を測定する方法と比較して、ヘッド部の吐出異常を迅速にフィードバックすることが可能となる。
【0072】
また、液量測定ユニット16がヘッドモジュール12の直下流側に設置されているため、印刷直後の個々の液滴Dについて乾燥前の液体状態での光学測定が可能となり、これにより測定精度の高い吐出量測定が可能となる。例えば図8に乾燥後の液滴D3の様子を模式的に示す。乾燥後の液滴D3は、有機溶媒が蒸発して固化した状態にあり、そのため表面は略平坦な形状となる。このような状態では、吐出量の大小に基づく表面形状の違いは現れ難くなり、したがって反射光強度の違いを検出できなくなる結果、正確な液量測定がもはや不可能となる。
【0073】
本実施形態のインクジェット装置1においては、受光部162をステージ11に対してX軸方向に相対移動可能に構成されているため、個々の液滴に対して反射光の受光方向等の測定条件を共通化でき、測定条件の相違による測定精度の低下や受光部162の画素のばらつきを最小限に抑えることができる。また複数の液滴を一単位とした受光強度の測定が可能となり、処理時間の短縮を図ることができる。さらに大型基板へも容易に適用することが可能となる。
【0074】
図9は、受光部162で取得された液滴Dの反射光L2の輝度に関するコントローラ15の出力例を示している。図中、縦軸は反射光の輝度(任意単位)、横軸はノズルスキャン方向(図5においてX軸方向)に沿って取得された画像ピクセルの数を表している。ここでは、1ピクセルが1つの液滴Dに相当する。また横軸における矢印の範囲は、1ヘッド部あたりのノズル数(64ノズル)を表している。
【0075】
図9に示すように、1ピクセル毎に反射光の明確な輝度変化が生じており、その最大値と最小値との差が当該ピクセルの輝度の大きさに相当する。図示の例では、各ピクセルにおける輝度の最大値と最小値との差は、液滴反射光の受光強度と基板表面での反射光の受光強度との差分に相当し、輝度の最小値は基板表面での反射光強度(ベースライン)に相当する。
【0076】
以上のように本実施形態によれば、各ピクセル(液滴)の輝度の大きさに基づいて当該液滴Dの形状を容易に把握することが可能となり、さらには複数のピクセル(液滴D)間の形状の相違に基づいて液滴Dの形状のばらつきを把握することができる。
【0077】
さらに受光部162がステージ11の移動方向と交差(本実施形態では直交)する方向に移動可能に構成されているため、基板上への液滴の塗布と液滴の吐出量の測定とを同一のステージ上で実行することが可能となるとともに、オンラインでのインク吐出量のフィードバック制御が可能となる。
【0078】
本実施形態では、インク吐出量のフィードバック制御として、ベースラインに対する液滴反射光強度が一定となるように個々のノズルに対して吐出量を制御する。これにより、複数のノズル間においてインク吐出量を一定にすることができる。
【0079】
さらに液量測定ユニット16による液滴の測定精度を向上させる目的で、受光部162の受光感度を調整する工程を実施してもよい。この調整工程は、基板S上に塗布された試験用液滴からの照明光L1の反射光L2を用いて実施することができる。図10にその一例を示す。
【0080】
図10において、基板Sは、画素を形成する液滴Dを塗布する製品領域S10と、試験用の液滴Dsを塗布する調整領域S20とを有する。調整領域S20は、製品領域S10よりも、基板Sの搬送方向に関して上流側に位置する。製品領域S10にはヘッド部から吐出される液滴Dを収容するためのリブSaが形成され、調整領域S20にも同様に液滴Dsを収容するためのリブSbが形成される。
【0081】
調整領域S20は、リブSb内にあらかじめ吐出された所定量の液滴Dsからの反射光を液量測定ユニット16で測定し、受光部162の受光感度や閾値の初期設定、更には液滴の高精度な測定あるいは制御を行うために設けられる。初期設定は、液滴Dsの液量や種類、光学特性等の種々の条件に応じて定められる。これにより製品領域S10内における安定した液滴測定を実現することができる。
【0082】
本実施形態では、調整領域S20内のリブSbは、製品領域S10内のリブSaよりも幅狭で形成されている。このためリブSaに供給される液滴Dと同量の液滴DsがリブSbに供給されると、リブSb内の液滴Dsは、リブSa内の液滴Dよりも高く盛り上がる。そこで受光部162を、基板表面からの高さが大きい液滴ほど受光強度が高くなるような位置に配置等しておくことにより、製品領域S10で液滴Dの反射光よりも調整領域S20で液滴Dsの反射光の受光強度を大きくすることができる。したがって製品領域S10上で液滴を測定及び吐出制御する場合と比較して、更に高精度な液滴測定及び制御が可能となる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0084】
例えば以上の実施形態では、液量測定ユニット16がヘッドモジュール12の直下流側に配置された例を説明したが、これに限られない。例えば、乾燥時間が長いインクが使用される場合には、ヘッドモジュール12からより離れた位置に液量測定ユニット16が設置されてもよいし、ベース部10とは異なるベース部上に設置されてもよい。
【0085】
また、液量測定ユニット16に加えて、ヘッド部121〜126から吐出される液滴をその飛翔中で撮像するための撮像ユニットや、ヘッド部121〜126のインク吐出面121sをクリーニングするためのブロッティングユニット等が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…インクジェット装置
11…ステージ
15…コントローラ
16…液量測定ユニット
17…駆動部
121〜126…ヘッド部
161…光源
162…受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10