特許第6245848号(P6245848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245848
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G01N35/10 F
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-114655(P2013-114655)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-235001(P2014-235001A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴之
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−209371(JP,A)
【文献】 実開昭57−054059(JP,U)
【文献】 特開昭55−140156(JP,A)
【文献】 特開平05−001983(JP,A)
【文献】 特開2011−220928(JP,A)
【文献】 特開2012−047504(JP,A)
【文献】 特開2007−322242(JP,A)
【文献】 特開昭57−053662(JP,A)
【文献】 特開2009−031175(JP,A)
【文献】 実開昭60−107744(JP,U)
【文献】 特開昭63−128261(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/142944(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0110493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬を反応容器内で混合攪拌し反応させて得られる反応液の特性を測定し、前記検体を分析する自動分析装置であって、
前記検体の吸入および吐出を行う検体ノズル、前記検体ノズルを保持する検体ノズルアーム、および前記検体ノズルアームを駆動する検体ノズルアーム駆動制御部を含み、前記検体を前記反応容器に分注する検体分注機構と、
前記試薬の吸入および吐出を行う試薬ノズル、前記試薬ノズルを保持する試薬ノズルアーム、および前記試薬ノズルアームを駆動する試薬ノズルアーム駆動制御部を含み、前記試薬を前記反応容器に分注する試薬分注機構と、
前記検体の分析中に、前記検体ノズルおよび前記試薬ノズルの少なくとも一方を、洗浄液に浸漬させることなく、洗浄水を吐出することにより洗浄する洗浄機構と、
前記検体ノズルを洗浄する際には、前記検体ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記検体ノズルアームを動作させることによって、前記検体ノズルを、前記洗浄機構に移動させるとともに、前記洗浄機構から前記検体ノズルに向けて洗浄水を吐出および前記検体ノズルから前記洗浄水を吐出させた状態で、前記検体ノズルを振動させ、若しくは、前記試薬ノズルを洗浄する際には、前記試薬ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記試薬ノズルアームを動作させることによって、前記試薬ノズルを前記洗浄機構に移動させるとともに、前記洗浄機構から前記試薬ノズルに向けて前記洗浄水を吐出および前記試薬ノズルから前記洗浄水を吐出させた状態で、前記試薬ノズルを振動させる装置制御部と、
を備えた、自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記検体ノズルを洗浄する際には、前記検体ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記検体ノズルアームを上下方向に動作させ、若しくは、前記試薬ノズルを洗浄する際には、前記試薬ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記試薬ノズルアームを上下方向に動作させる、自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記検体ノズルを洗浄する際には、前記検体ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記検体ノズルアームを水平方向に動作させ、若しくは、前記試薬ノズルを洗浄する際には、前記試薬ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記試薬ノズルアームを水平方向に動作させる、自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記検体ノズルを洗浄する際には、前記検体ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記検体ノズルアームを回転方向に動作させ、若しくは、前記試薬ノズルを洗浄する際には、前記試薬ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記試薬ノズルアームを回転方向に動作させる、自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記検体ノズルを洗浄する際には、前記検体ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記検体ノズルアームを、上下方向に動作、水平方向に動作、および回転方向に動作のうち、少なくとも2つを組み合わせた動作で、動作させ、若しくは、前記試薬ノズルを洗浄する際には、前記試薬ノズルアーム駆動制御部を制御し、前記試薬ノズルアームを、上下方向に動作、水平方向に動作、および回転方向に動作のうち、少なくとも2つを組み合わせた動作で、動作させる、自動分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記検体の種別または分注量に基づいて、固有の動作速度、動作時間、動作回数、および動作幅を変化させて、前記検体ノズルアームを動作させ、若しくは、前記試薬の種別または分注量に基づいて、固有の動作速度、動作時間、動作回数、および動作幅を変化させて、前記試薬ノズルアームを動作させる、自動分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記検体ノズルを洗浄する際には、前記洗浄機構から前記洗浄水が吐出される範囲内で前記検体ノズルアームを動作させ、若しくは、前記試薬ノズルを洗浄する際には、前記洗浄機構から前記洗浄水が吐出される範囲内で前記試薬ノズルアームを動作させる、自動分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記検体ノズルアーム駆動制御部および前記試薬ノズルアーム駆動制御部は、モータにより、前記検体ノズルアームおよび前記試薬ノズルアームを駆動し、
前記装置制御部は、前記検体ノズルアーム駆動制御部および前記試薬ノズルアーム駆動制御部の前記モータを、正方向の回転と負方向の回転とを繰り返し動作させ、前記検体ノズルアームおよび前記試薬ノズルアームを動作させる、自動分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動分析装置において、
前記モータはパルスモータであり、
前記装置制御部は、前記パルスモータを、正方向のパルスおよび負方向のパルスを交互に組み合わせたパルスにより、前記正方向の回転と前記負方向の回転とを繰り返し動作させる、自動分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自動分析装置において、
前記装置制御部は、前記正方向のパルスおよび前記負方向のパルスを、前記パルスモータの分解能に基づいたパルスとして制御する、自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学検査、免疫血清検査などの分析に用いられる自動分析装置に関し、特に、検体や試薬を分注するノズルの外壁および内壁を水などの液体で洗浄する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、検体を分注する検体分注機構や、試薬を分注する試薬分注機構や、反応容器内の反応液の成分の定性・定量分析するための光学系があり、この光学系1つで複数の反応液内の分析対象成分の定性・定量分析を順次実行できるように、反応容器を保持して恒温槽の周方向に沿って回転させるための反応容器回転機構を備えている。
【0003】
検体分注機構で検体を吸引・吐出し、吐出後、検体分注機構のノズルの外壁および内壁に検体が付着し、コンタミネーションが生じてしまうため、ノズルの外壁および内壁に、以下のような洗浄を実施している。
【0004】
ノズルの外壁に関しては液体をノズル外壁に当てることで、ノズル外壁と液体との間の速度差による剪断力を生じさせ、洗浄を実施している。
【0005】
ノズルの内壁に関しては、ノズル内に液体を流すことで、ノズル内壁と液体との間の速度差による剪断力を生じさせ、洗浄を実施している。
【0006】
しかし、上記の洗浄が不十分で、コンタミネーションが生じてしまい、分析性能に影響を及ぼす場合がある。
【0007】
試薬分注機構でも同様の洗浄方法で、ノズルの外壁および内壁の洗浄が不十分でコンタミネーションが生じてしまい、分析性能に影響を及ぼす場合がある。
【0008】
これに対し、従来では、特開2000−329771号公報(特許文献1)に記載のようにノズル部材に微小変位発生部材を設け、微小変位発生部材によりノズルを振動させ、ノズル表面に付着した液体を剥離洗浄することや、特開2009−068879号公報(特許文献2)に記載のようにノズルの外壁に表面弾性波素子を設け、洗浄水を吐出してノズルを洗浄する際に、ノズル内に音波を出射し、洗浄効率を向上させることで対応している。
【0009】
また、特開2011−220928号公報(特許文献3)に記載のようにノズルが分注した検体あるいは試薬の、種別または分注量のうち少なくともいずれか一方に基づいて、ノズルの洗浄に用いる洗浄時間を制御することで対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−329771号公報
【特許文献2】特開2009−068879号公報
【特許文献3】特開2011−220928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術では、新たに微小変位発生部材を追加し、特許文献2の技術では、新たに表面弾性素子を追加することにより、自動分析装置が複雑になることやコストが高くなるという問題が生じる。また、特許文献3の技術では、洗浄時間を制御して対応しているが、検体あるいは試薬の種別または分注量によって、自動分析装置が持つ処理能力に影響を及ぼすという問題が生じる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、新たに機構を追加することなく、また検体あるいは試薬の、種別または分注量によって自動分析装置が持つ処理能力に影響がないよう、検体ノズルおよび試薬ノズルの内壁および外壁における洗浄水の剪断力を大きくし、従来の洗浄方法より洗浄の能力を向上させることを可能とする自動分析装置を提供することである。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0015】
すなわち、代表的なものの概要は、検体と試薬を反応容器内で混合攪拌し反応させて得られる反応液の特性を測定し、検体を分析する自動分析装置であって、検体の吸入および吐出を行う検体ノズル、検体ノズルを保持する検体ノズルアーム、および検体ノズルアームを駆動する検体ノズルアーム駆動制御部を含み、検体を反応容器に分注する検体分注機構と、試薬の吸入および吐出を行う試薬ノズル、試薬ノズルを保持する試薬ノズルアーム、および試薬ノズルアームを駆動する試薬ノズルアーム駆動制御部を含み、試薬を反応容器に分注する試薬分注機構と、検体の分析中に、検体ノズルおよび試薬ノズルの少なくとも一方を洗浄し、検体ノズルを洗浄する際には、検体ノズルアーム駆動制御部を制御し、検体ノズルアームを動作させて、検体ノズルを振動させ、若しくは、試薬ノズルを洗浄する際には、試薬ノズルアーム駆動制御部を制御し、試薬ノズルアームを動作させて、試薬ノズルを振動させる装置制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0017】
すなわち、本発明によれば、検体ノズルアームおよび試薬ノズルアームを動作させ、検体ノズルおよび試薬ノズルに振動を与えることで、検体ノズルおよび試薬ノズルを洗浄する際の検体ノズルおよび試薬ノズルの壁における洗浄水の剪断力を大きくすることができ、検体ノズルおよび試薬ノズルの洗浄能力を向上させることができる。
【0018】
また、検体ノズルおよび試薬ノズルの洗浄の能力が向上することで、洗浄時間を制御する必要がなくなり、自動分析装置が持つ処理能力に影響がなく、さらに新たに機構を追加することなく、検体、試薬のコンタミネーションを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の構成を示す構成図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の検体吸入時の動作を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の検体吸入後の動作を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の検体吐出時の動作を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の移動時における駆動パルスの一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の試薬分注機構の構成および動作を示す図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。
図10】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄時における駆動パルスの一例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作を示す図である。
図12】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。
図13】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図である。
図14】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。
図15】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図である。
図16】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。
図17】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作を示す図である。
図18】本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作中の試薬ノズル洗浄機構の拡大図である。
図19】本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図である。
図20】本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。
図21】本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作を示す図である。
図22】本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作中の試薬ノズル洗浄機構の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
(実施の形態1)
<自動分析装置の構成>
図1により、本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の構成について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の構成を示す構成図である。
【0022】
図1において、自動分析装置は、検体と試薬を反応容器内で混合攪拌し反応させて得られる反応液の特性を測定し、検体を分析するものであり、検体が入った検体容器1を保持する検体ラック2、検体容器1内の検体を分注する検体分注機構3、検体分注機構3の吸入および吐出動作を制御する検体シリンジ機構4、および検体分注機構3の検体ノズルを洗浄する検体ノズル洗浄機構5を備えている。
【0023】
自動分析装置は、また、試薬が入った試薬容器6を保持する試薬容器回転機構7、試薬を分注する試薬分注機構8、試薬分注機構8の吸入および吐出動作を制御する試薬シリンジ機構9、試薬分注機構8の試薬ノズルを洗浄する試薬ノズル洗浄機構10、および試薬容器6の外壁に貼り付けられているラベルの試薬識別情報を読み取る試薬識別情報読み取り装置11を備えている。
【0024】
自動分析装置は、また、試料および試薬が分注される反応容器12を保持する反応ディスク13、反応ディスク13の温度を一定に保つ恒温槽14、恒温槽14内に脱イオン水を送水する脱イオン水送流ポンプ15、恒温槽14内の脱イオン水を一定の温度に保つ脱イオン水恒温機構16、および光学系17を備えている。
【0025】
また、検体分注機構3、検体シリンジ機構4、検体ノズル洗浄機構5、試薬容器回転機構7、試薬分注機構8、試薬シリンジ機構9、試薬ノズル洗浄機構10、試薬識別情報読み取り装置11、反応ディスク13、脱イオン水送流ポンプ15、脱イオン水恒温機構16、および光学系17は、自動分析装置全体の制御を行う装置制御部18により制御されており、装置制御部18が各部を制御することにより、検体の分析処理を行っている。
【0026】
試薬容器回転機構7は、検体を分析するのに必要な試薬が入った試薬容器6を保持し、サンプリング位置に回転させるための機構であり、試薬容器回転機構7には、バーコードやICタグ等の試薬識別情報を表示したラベルが貼られた複数の試薬容器6が配置される。
【0027】
これらの試薬容器6には、自動分析装置によって分析する分析項目に対応する試薬液が収容されている。試薬容器回転機構7に付属された試薬識別情報読み取り装置11は、試薬投入時に、各試薬容器6の外壁に表示されているラベルから試薬識別情報を読み取る。読み取られた試薬情報は、試薬容器回転機構7上の配置ポジションと共にメモリに登録される。
【0028】
反応ディスク13は、間欠回転可能に構成されており、透光性の材料からなる多数の反応容器12が、円周に沿って配置されるよう、リング形状をしており、光学系17を1つ設けることで複数の反応容器12内の反応液の濃度を順次測定できるように、反応容器12を保持し、恒温槽14の円周方向に沿って回転させるための機構である。また、光学系17に挟まれた測光位置を通るように、複数の反応容器12の列を回転移動させる。また、この反応ディスク13は、検体と試薬を反応させた反応液が入った複数の反応容器12が、恒温槽14内の一定温度の脱イオン水に浸されることで反応液の温度を一定に保つように、反応容器12を保持している。
【0029】
恒温槽14は、一定温度の脱イオン水を貯水している。脱イオン水送流ポンプ15は、恒温槽14内に脱イオン水を送流するためのポンプである。また、脱イオン水恒温機構16は、恒温槽14内の脱イオン水を一定温度(例えば、37℃前後)に保つために、脱イオン水を加熱・冷却するための温度調整機構であり、脱イオン水恒温機構16で温度が調整された脱イオン水を、脱イオン水送流流路を介して脱イオン水送流ポンプ15により恒温槽14内に戻し、また、恒温槽14内の脱イオン水を、脱イオン水送流流路を介して脱イオン水恒温機構16に送ることで、恒温槽14内の脱イオン水の温度を一定に保っている。
【0030】
光学系17は、反応容器12内の反応液の成分の定性・定量分析するものであり、光源と多波長光度計とによって構成される。この光学系17では、光源からの特定の波長の光を反応液が入った反応容器12を透過させ、この透過後の光を光度計によって計測し、反応容器12内の反応液の吸光度を検出している。
【0031】
<検体分注機構および試薬分注機構の構成および動作>
次に、図2図7により、本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構および試薬分注機構の構成および動作について説明する。図2は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の構成を示す構成図である。
【0032】
図3図5は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の動作を示す図であり、図3は検体吸入時の動作、図4は検体吸入後の動作、図5は検体吐出時の動作を示している。図6は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の移動時における駆動パルスの一例を示す図、図7は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の試薬分注機構の構成および動作を示す図である。
【0033】
[検体分注機構の構成および動作]
検体分注機構3は、図2に示すように、検体ノズル19を保持する検体ノズルアーム20および検体ノズルアーム20を駆動する検体ノズルアーム駆動制御部21を備えている。図2に示す例では、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20は、前後左右への水平移動、回転移動、および上下移動で動作制御され、検体ノズル19を検体容器1および反応容器12の間で移動する。
【0034】
検体分注機構3による検体の分注動作は、まず、図3に示すように、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平移動、上下移動させ検体容器1の位置に移動させ、検体ノズル19で検体容器1から所定量の検体を吸入する。
【0035】
そして、図4および図5に示すように、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平移動、回転移動、および上下移動させ、反応ディスク13上の反応容器12の位置に移動させ、反応容器12内に検体を吐出する。この検体の吸入および吐出動作は検体シリンジ機構4により行う。
【0036】
検体ノズルアーム20の所定位置への水平移動、回転移動、および上下移動の動作駆動パラメータとしては、検体ノズルアーム駆動制御部21は、例えば、パルスモータを使用していて、図6に示すように、パルスモータのパルス速度を徐々に上げていく加速、パルス速度を一定にする等速、パルス速度を徐々に下げていく減速を実施することで所定の位置に移動、静止させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、検体ノズルアーム駆動制御部21に、パルスモータを使用した例を示したが、パルスモータに限らず、速度制御などを行えるモータであれば、その他のモータを使用してもよい。また、モータに限らず、検体ノズルアーム20の所定位置への水平移動、回転移動、および上下移動させることができる構成であればよい。
【0038】
[試薬分注機構の構成および動作]
また、試薬分注機構8は、図7に示すように、試薬ノズル22を保持する試薬ノズルアーム23および試薬ノズルアーム23を駆動する試薬ノズルアーム駆動制御部24を備えている。図7に示す例では、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23は、回転移動および上下移動で動作制御され、試薬ノズル22を試薬容器6および反応容器12の間で移動する。
【0039】
試薬分注機構8による試薬の分注動作は、まず、図7に示すように、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を回転移動および上下移動させ試薬容器6の位置に移動させ、試薬ノズル22で試薬容器6から所定量の試薬を吸入し、試薬ノズルアーム23を回転移動および上下移動させ反応ディスク13上の反応容器12の位置に移動させ、反応容器12内に試薬を吐出する。この試薬の吸入および吐出動作は試薬シリンジ機構9により行う。
【0040】
試薬ノズルアーム23の所定位置への回転移動および上下移動の動作駆動パラメータは、検体分注機構3と同様で、試薬ノズルアーム駆動制御部24は、例えば、パルスモータを使用していて、図6に示すように、パルスモータのパルス速度を徐々に上げていく加速、パルス速度を一定にする等速、パルス速度を徐々に下げていく減速を実施することで所定の位置に移動、静止させることができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、試薬ノズルアーム駆動制御部24に、パルスモータを使用した例を示したが、パルスモータに限らず、速度制御などを行えるモータであれば、その他のモータを使用してもよい。また、モータに限らず、試薬ノズルアーム23の所定位置への回転移動および上下移動させることができる構成であればよい。
【0042】
<検体分注機構および試薬分注機構の洗浄動作>
次に、図8図12により、本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構および試薬分注機構の洗浄動作について説明する。図8は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図、図9は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。図10は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄時における駆動パルスの一例を示す図、図11は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作を示す図、図12は本発明の実施の形態1に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。
【0043】
[検体分注機構の上下振動による洗浄動作]
自動分析装置において、検体の分析中に次の分析を行う際には、前回の検体とのコンタミネーションにより、分析性能に影響を及ぼす場合、図8に示すように、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平移動、回転移動、および上下移動させて、検体ノズル洗浄機構5の位置に移動させ、検体ノズル19を、検体ノズル洗浄機構5から吐出される検体ノズル外壁洗浄水25および検体シリンジ機構4によって制御される検体ノズル内壁洗浄水26により洗浄する。この際、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を上下方向に動作させ、検体ノズル19に上下振動を与えながら洗浄を行う。
【0044】
このように検体ノズル19に上下振動を与えながら洗浄を行うことにより、図9に示すように、検体ノズル外壁19aの洗浄に関しては、検体ノズル外壁19aと検体ノズル外壁洗浄水25との間に新たに上下方向に剪断力が生じるため、検体ノズル外壁19aの洗浄能力を向上させることができる。
【0045】
また、検体ノズル内壁19bの洗浄に関しては、検体ノズル内壁洗浄水26の流れに上下方向の慣性力が作用し、検体ノズル内壁洗浄水26の流れが乱れることで、検体ノズル内壁19bと検体ノズル内壁洗浄水26との間に大きな剪断力が生じるため、検体ノズル内壁19bの洗浄能力を向上させることができる。
【0046】
検体ノズルアーム駆動制御部21による検体ノズルアーム20の上下方向の動作については、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に検体ノズルアーム20を移動させるような上下方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を上下方向に動作させている。
【0047】
図10に示す例では、例えば、検体ノズルアーム駆動制御部21内の上下方向のパルスモータの最小分解能パルスにて、正方向へのパルス速度と負方向へのパルス速度を組み合わせたパルスを示し、このパルスにより、パルスモータの最小分解能により上下方向に動作し、検体ノズル19に微小な上下振動を与えることができる。
【0048】
なお、このパルスについては、検体ノズルアーム20を上下方向に動作させることができるパルスであれば、どのようなパルスを用いてもよい。
【0049】
図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を上下方向に動作させることで、検体ノズル19にパルスモータの分解能に基づいた微小な上下振動を与えることができる。
【0050】
[試薬分注機構の上下振動による洗浄動作]
また、自動分析装置において、前回の試薬とのコンタミネーションにより、分析性能に影響を及ぼす場合、図11に示すように、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を回転移動および上下移動させて、試薬ノズル洗浄機構10の位置に移動させ、試薬ノズル22を、試薬ノズル洗浄機構10から吐出される試薬ノズル外壁洗浄水27および試薬シリンジ機構9によって制御される試薬ノズル内壁洗浄水28により洗浄する。この際、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作させ、試薬ノズル22に上下振動を与えながら洗浄を行う。
【0051】
このように試薬ノズル22に上下振動を与えながら洗浄を行うことにより、図12に示すように、試薬ノズル外壁22aの洗浄に関しては、試薬ノズル外壁22aと試薬ノズル外壁洗浄水27との間に新たに上下方向に剪断力が生じるため、試薬ノズル外壁22aの洗浄能力を向上させることができる。
【0052】
また、試薬ノズル内壁22bの洗浄に関しては、試薬ノズル内壁洗浄水28の流れに上下方向の慣性力を作用させ、試薬ノズル内壁洗浄水28の流れを乱れさせることで、試薬ノズル内壁22bと試薬ノズル内壁洗浄水28との間に大きな剪断力が生じるため、試薬ノズル内壁22bの洗浄能力を向上させることができる。
【0053】
試薬ノズルアーム駆動制御部24による試薬ノズルアーム23の上下方向の動作については、検体分注機構3と同様に、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に検体ノズルアーム20を移動させるような上下方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作させている。
【0054】
図10に示すようなパルスにより、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作させることで、試薬ノズル22にパルスモータの分解能に基づいた微小な上下振動を与えることができる。
【0055】
[検体分注機構および試薬分注機構の制御例]
また、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24による、検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の上下方向の動作は、検体や試薬の種別または分注量によって、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24内のパルスモータに与えるパルスを制御することにより、固有の動作速度、動作時間、動作回数、および動作幅を変化させることも可能であり、このように制御することにより、分析項目によって最適な洗浄を実現することができる。
【0056】
また、検体および試薬のコンタミネーションの影響がない場合は、消費電力を抑えるために検体ノズル19および試薬ノズル22を振動させないことも可能である。また、検体ノズル19および試薬ノズル22の先端が、検体ノズル外壁洗浄水25および試薬ノズル外壁洗浄水27が吐出されている範囲から外れることなく、振動させることで、より効率的な洗浄を実現することができる。
【0057】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23を上下方向に動作させ、検体ノズル19および試薬ノズル22に上下振動を与えることにより、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄能力を向上させているため、検体や試薬の種別または分注量によって、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時間を変える必要がなく、全分析項目の洗浄時間を同時間にすることができ、自動分析装置が持つ処理能力に影響を及ぼさずに、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄の能力を向上させることができる。
【0058】
また、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24による検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の上下方向の動作は、検体の分注および試薬の分注動作と同様のパルスモータの駆動により行うため、新たに機構を追加することなく、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄の能力を向上させ、検体および試薬のコンタミネーションを軽減させることができる。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時の検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の上下方向の動作を、回転方向の動作または水平方向の動作としたものである。自動分析装置の構成は、図1に示す実施の形態1と同様であり、検体分注機構3および試薬分注機構8の検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時の動作以外の動作も実施の形態1と同様である。
【0060】
<検体分注機構および試薬分注機構の洗浄動作>
次に、図13図18により、本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構および試薬分注機構の洗浄動作について説明する。図13および図15は本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図、図14および図16は本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。図17は本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作を示す図、図18は本発明の実施の形態2に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作中の試薬ノズル洗浄機構の拡大図である。
【0061】
なお、実施の形態2においては、検体分注機構3は、検体ノズルアーム20の回転動作に加えて、水平動作も可能なため、回転方向の動作または水平方向の動作で動作させている。検体分注機構3は、試薬分注機構8と同様に上下方向の動作および回転方向の動作のみの構造であれば、回転方向の動作のみの動作となる。
【0062】
また、試薬分注機構8は、試薬ノズルアーム23の回転方向の動作で動作させている。試薬分注機構8は、試薬ノズルアーム23が水平方向への移動可能な構造であれば、試薬ノズル22においても同様に水平方向の振動は可能となる。
【0063】
[検体分注機構の回転振動による洗浄動作]
検体分注機構3により検体ノズル19の洗浄を行う場合、実施の形態1と同様に、図13に示すように、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平移動、回転移動、および上下移動させて、検体ノズル洗浄機構5の位置に移動させ、検体ノズル19を、検体ノズル洗浄機構5から吐出される検体ノズル外壁洗浄水25および検体シリンジ機構4によって制御される検体ノズル内壁洗浄水26により洗浄する。この際、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を回転方向に動作させ、検体ノズル19に回転振動を与えながら洗浄を行う。
【0064】
このように検体ノズル19に回転振動を与えることにより、図14に示すように、検体ノズル外壁19aの洗浄に関しては、検体ノズル外壁19aと検体ノズル外壁洗浄水25との間に新たに回転方向に剪断力が生じるため、検体ノズル外壁19aの洗浄能力を向上させることができる。
【0065】
また、検体ノズル内壁19bの洗浄に関しては、検体ノズル内壁洗浄水26の流れに回転方向の慣性力を作用させ、検体ノズル内壁洗浄水26の流れを乱れさせることで、検体ノズル内壁19bと検体ノズル内壁洗浄水26との間に大きな剪断力が生じるため、検体ノズル内壁19bの洗浄能力を向上させることができる。
【0066】
検体ノズルアーム駆動制御部21による検体ノズルアーム20の回転方向の動作については、実施の形態1と同様に、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に検体ノズルアーム20を移動させるような回転方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を回転方向に動作させている。
【0067】
図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を回転方向に動作させることで、検体ノズル19にパルスモータの分解能に基づいた微小な回転振動を与えることができる。
【0068】
[検体分注機構の水平振動による洗浄動作]
また、検体分注機構3により検体ノズル19の洗浄を行う別の方法として、図15に示すように、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平移動、回転移動、および上下移動させて、検体ノズル洗浄機構5の位置に移動させ、検体ノズル19を、検体ノズル洗浄機構5から吐出される検体ノズル外壁洗浄水25および検体シリンジ機構4によって制御される検体ノズル内壁洗浄水26により洗浄する。この際、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平方向に動作させ、検体ノズル19に水平振動を与えながら洗浄を行う。図15に示す例では、左右方向の水平振動を与えている。
【0069】
このように検体ノズル19に水平振動を与えることにより、図16に示すように、検体ノズル外壁19aの洗浄に関しては、検体ノズル外壁19aと検体ノズル外壁洗浄水25との間に新たに水平方向に剪断力が生じるため、検体ノズル外壁19aの洗浄能力を向上させることができる。
【0070】
また、検体ノズル内壁19bの洗浄に関しては、検体ノズル内壁洗浄水26の流れに水平方向の慣性力を作用させ、検体ノズル内壁洗浄水26の流れを乱れさせることで、検体ノズル内壁19bと検体ノズル内壁洗浄水26との間に大きな剪断力が生じるため、検体ノズル内壁19bの洗浄能力を向上させることができる。
【0071】
検体ノズルアーム駆動制御部21による検体ノズルアーム20の水平方向の動作については、実施の形態1と同様に、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に検体ノズルアーム20を移動させるような水平方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を水平方向に動作させている。
【0072】
図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を水平方向に動作させることで、検体ノズル19にパルスモータの分解能に基づいた微小な水平振動を与えることができる。
【0073】
[試薬分注機構の回転振動による洗浄動作]
試薬分注機構8により試薬ノズル22の洗浄を行う場合、実施の形態1と同様に、図17に示すように、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を回転移動および上下移動させて、試薬ノズル洗浄機構10の位置に移動させ、試薬ノズル22を、試薬ノズル洗浄機構10から吐出される試薬ノズル外壁洗浄水27および試薬シリンジ機構9によって制御される試薬ノズル内壁洗浄水28により洗浄する。この際、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を回転方向に動作させ、試薬ノズル22に回転振動を与えながら洗浄を行う。
【0074】
このように試薬ノズル22に回転振動を与えながら洗浄を行うことにより、図18に示すように、試薬ノズル外壁22aの洗浄に関しては、試薬ノズル外壁22aと試薬ノズル外壁洗浄水27との間に新たに回転方向に剪断力が生じるため、試薬ノズル外壁22aの洗浄能力を向上させることができる。
【0075】
また、試薬ノズル内壁22bの洗浄に関しては、試薬ノズル内壁洗浄水28の流れに回転方向の慣性力を作用させ、試薬ノズル内壁洗浄水28の流れを乱れせることで、試薬ノズル内壁22bと試薬ノズル内壁洗浄水28との間に大きな剪断力が生じるため、試薬ノズル内壁22bの洗浄能力を向上させることができる。
【0076】
試薬ノズルアーム駆動制御部24による試薬ノズルアーム23の回転方向の動作については、実施の形態1と同様に、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に試薬ノズルアーム23を移動させるような回転方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、試薬ノズルアーム23を回転方向に動作させている。
【0077】
図10に示すようなパルスにより、試薬ノズルアーム23を回転方向に動作させることで、試薬ノズル22にパルスモータの分解能に基づいた微小な回転振動を与えることができる。
【0078】
[検体分注機構および試薬分注機構の制御例]
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24による、検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の上下方向の動作は、検体や試薬の種別または分注量によって、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24内のパルスモータに与えるパルスを制御することにより、固有の動作速度、動作時間、動作回数、および動作幅を変化させることも可能であり、このように制御することにより、分析項目によって最適な洗浄を実現することができる。
【0079】
また、検体および試薬のコンタミネーションの影響がない場合は、消費電力を抑えるために検体ノズル19および試薬ノズル22を振動させないことも可能である。また、検体ノズル19および試薬ノズル22の先端が、検体ノズル外壁洗浄水25および試薬ノズル外壁洗浄水27が吐出されている範囲から外れることなく、振動させることで、より効率的な洗浄を実現することができる。
【0080】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、検体ノズルアーム20を回転方向に動作または水平方向に動作させ、試薬ノズルアーム23を回転方向に動作させ、検体ノズル19に回転振動または水平振動を与え、試薬ノズル22に回転振動を与えることにより、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄能力を向上させているため、検体や試薬の種別または分注量によって、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時間を変える必要がなく、全分析項目の洗浄時間を同時間にすることができ、自動分析装置が持つ処理能力に影響を及ぼさずに、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄の能力を向上させることができる。
【0081】
また、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24による検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の回転方向の動作または水平方向の動作は、検体の分注および試薬の分注動作と同様のパルスモータの駆動により行うため、新たに機構を追加することなく、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄の能力を向上させ、検体および試薬のコンタミネーションを軽減させることができる。
【0082】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1および2において、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時の検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の微小上下動作、微小回転動作または微小水平動作を、微小上下動作、微小回転動作および微小水平動作を組み合わせた動作としたものである。自動分析装置の構成は、図1に示す実施の形態1と同様であり、検体分注機構3および試薬分注機構8の検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時の動作以外の動作も実施の形態1と同様である。
【0083】
<検体分注機構および試薬分注機構の洗浄動作>
次に、図19図22により、本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の検体分注機構および試薬分注機構の洗浄動作について説明する。図19は本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作を示す図、図20は本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の検体分注機構の洗浄動作中の検体ノズル洗浄機構の拡大図である。図21は本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作を示す図、図22は本発明の実施の形態3に係る自動分析装置の試薬分注機構の洗浄動作中の試薬ノズル洗浄機構の拡大図である。
【0084】
[検体分注機構の上下振動、回転振動および水平振動による洗浄動作]
検体分注機構3により検体ノズル19の洗浄を行う場合、実施の形態1および2と同様に、図19に示すように、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を水平移動、回転移動、および上下移動させて、検体ノズル洗浄機構5の位置に移動させ、検体ノズル19を、検体ノズル洗浄機構5から吐出される検体ノズル外壁洗浄水25および検体シリンジ機構4によって制御される検体ノズル内壁洗浄水26により洗浄する。この際、検体ノズルアーム駆動制御部21により、検体ノズルアーム20を上下方向、回転方向および水平方向に動作させ、検体ノズル19に上下振動、回転振動および水平振動を与えながら洗浄を行う。
【0085】
このように検体ノズル19に上下振動、回転振動および水平振動を与えることにより、図20に示すように、検体ノズル外壁19aの洗浄に関しては、検体ノズル外壁19aと検体ノズル外壁洗浄水25との間に新たに上下方向、回転方向および水平方向に剪断力が生じるため、検体ノズル外壁19aの洗浄能力を向上させることができる。
【0086】
また、検体ノズル内壁19bの洗浄に関しては、検体ノズル内壁洗浄水26の流れに上下方向、回転方向および水平方向の慣性力を作用させ、検体ノズル内壁洗浄水26の流れを乱れさせることで、検体ノズル内壁19bと検体ノズル内壁洗浄水26との間に大きな剪断力が生じるため、検体ノズル内壁19bの洗浄能力を向上させることができる。
【0087】
検体ノズルアーム駆動制御部21による検体ノズルアーム20の上下方向の動作、回転方向の動作および水平方向の動作については、実施の形態1および2と同様に、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に検体ノズルアーム20を移動させるような上下方向、回転方向および水平方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を上下方向に動作、回転方向に動作および水平方向に動作させている。
【0088】
図10に示すようなパルスにより、検体ノズルアーム20を上下方向に動作、回転方向に動作および水平方向に動作させることで、検体ノズル19にパルスモータの分解能に基づいた微小な上下振動、パルスモータの分解能に基づいた微小な回転振動およびパルスモータの分解能に基づいた微小な水平振動を与えることができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、検体分注機構3での検体ノズル19の洗浄は、上下振動、回転振動および水平振動により洗浄しているが、少なくとも、2つの振動を組み合わせればよい。
【0090】
[試薬分注機構の微小上下振動および微小回転振動による洗浄動作]
試薬分注機構8により試薬ノズル22の洗浄を行う場合、実施の形態1および2と同様に、図21に示すように、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を回転移動および上下移動させて、試薬ノズル洗浄機構10の位置に移動させ、試薬ノズル22を、試薬ノズル洗浄機構10から吐出される試薬ノズル外壁洗浄水27および試薬シリンジ機構9によって制御される試薬ノズル内壁洗浄水28により洗浄する。この際、試薬ノズルアーム駆動制御部24により、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作および回転方向に動作させ、試薬ノズル22に上下振動および回転振動を与えながら洗浄を行う。
【0091】
このように試薬ノズル22に上下振動および回転振動を与えながら洗浄を行うことにより、図22に示すように、試薬ノズル外壁22aの洗浄に関しては、試薬ノズル外壁22aと試薬ノズル外壁洗浄水27との間に新たに上下方向および回転方向に剪断力が生じるため、試薬ノズル外壁22aの洗浄能力を向上させることができる。
【0092】
また、試薬ノズル内壁22bの洗浄に関しては、試薬ノズル内壁洗浄水28の流れに上下方向および回転方向の慣性力を作用させ、試薬ノズル内壁洗浄水28の流れを乱れさせることで、試薬ノズル内壁22bと試薬ノズル内壁洗浄水28との間に大きな剪断力が生じるため、試薬ノズル内壁22bの洗浄能力を向上させることができる。
【0093】
試薬ノズルアーム駆動制御部24による試薬ノズルアーム23の上下方向の動作および回転方向の動作については、実施の形態1および2と同様に、図6に示すようなパルスによる、所定の位置に試薬ノズルアーム23を移動させるような上下方向および回転方向への加速、等速、減速の動作ではなく、図10に示すようなパルスにより、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作および回転方向に動作させている。
【0094】
図10に示すようなパルスにより、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作および回転方向に動作させることで、試薬ノズル22にパルスモータの分解能に基づいた微小な上下振動およびパルスモータの分解能に基づいた微小な回転振動を与えることができる。
【0095】
[検体分注機構および試薬分注機構の制御例]
本実施の形態においても、実施の形態1および2と同様に、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24による、検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の上下方向の動作は、検体や試薬の種別または分注量によって、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24内のパルスモータに与えるパルスを制御することにより、固有の動作速度、動作時間、動作回数、および動作幅を変化させることも可能であり、このように制御することにより、分析項目によって最適な洗浄を実現することができる。
【0096】
また、検体および試薬のコンタミネーションの影響がない場合は、消費電力を抑えるために振動させないことも可能である。また、検体ノズル19および試薬ノズル22の先端が、検体ノズル外壁洗浄水25および試薬ノズル外壁洗浄水27が吐出されている範囲から外れることなく、振動させることで、より効率的な洗浄を実現することができる。
【0097】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、検体ノズルアーム20を上下方向に動作、回転方向に動作および水平方向に動作させ、試薬ノズルアーム23を上下方向に動作および回転方向に動作させ、検体ノズル19に上下振動、回転振動および水平振動を与え、試薬ノズル22に上下振動および回転振動を与えることにより、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄能力を向上させているため、検体や試薬の種別または分注量によって、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄時間を変える必要がなく、全分析項目の洗浄時間を同時間にすることができ、自動分析装置が持つ処理能力に影響を及ぼさずに、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄の能力を向上させることができる。
【0098】
また、実施の形態1および2の個別の振動を組み合わせることにより、それぞれの特長を活かした検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄を実施することができる。
【0099】
また、検体ノズルアーム駆動制御部21および試薬ノズルアーム駆動制御部24による検体ノズルアーム20および試薬ノズルアーム23の上下方向の動作、回転方向の動作および水平方向の動作は、検体の分注および試薬の分注動作と同様のパルスモータの駆動により行うため、新たに機構を追加することなく、検体ノズル19および試薬ノズル22の洗浄の能力を向上させ、検体および試薬のコンタミネーションを軽減させることができる。
【符号の説明】
【0100】
1…検体容器、2…検体ラック、3…検体分注機構、4…検体シリンジ機構、5…検体ノズル洗浄機構、6…試薬容器、7…試薬容器回転機構、8…試薬分注機構、9…試薬シリンジ機構、10…試薬ノズル洗浄機構、11…試薬識別情報読み取り装置、12…反応容器、13…反応ディスク、14…恒温槽、15…脱イオン水送流ポンプ、16…脱イオン水恒温機構、17…光学系、18…装置制御部、19…検体ノズル、19a…検体ノズル外壁、19b…検体ノズル内壁、20…検体ノズルアーム、21…検体ノズルアーム駆動制御部、22…試薬ノズル、22a…試薬ノズル外壁、22b…試薬ノズル内壁、23…試薬ノズルアーム、24…試薬ノズルアーム駆動制御部、25…検体ノズル外壁洗浄水、26…検体ノズル内壁洗浄水、27…試薬ノズル外壁洗浄水、28…試薬ノズル内壁洗浄水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22