特許第6246375号(P6246375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246375
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】加熱部材を含む電池セル折り曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20171204BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20171204BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALN20171204BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20171204BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M2/02 K
   !H01M10/058
   !H01M10/0583
   !H01M10/0585
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-544278(P2016-544278)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2016-534538(P2016-534538A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】KR2014004988
(87)【国際公開番号】WO2015046709
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0115338
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・グ・ロ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・ユン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ミン・ハン
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−223083(JP,A)
【文献】 特開2009−134986(JP,A)
【文献】 特開2012−074321(JP,A)
【文献】 特表2009−517834(JP,A)
【文献】 特開2011−258501(JP,A)
【文献】 特開2003−031264(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0667891(KR,B1)
【文献】 中国特許出願公開第103123982(CN,A)
【文献】 はじめての二次電池技術,株式会社工業調査会,2001年,初版,p.167
【文献】 設計技術シリーズ 次世代自動車用リチウムイオン電池の設計法,科学情報出版株式会社,2013年 1月25日,初版,pp. 30−31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、分離膜及び負極を含む電極組立体を電池ケースに装着し、熱融着により密封された構造の電池セルの外周面を折り曲げるための折り曲げ装置であって、
前記電池セルが搭載されるベースプレートと、
前記ベースプレートの両外縁に配置された一対の折り曲げガイドであって、前記電池セルがベースプレート上に搭載された状態で、電池ケースの左側及び右側の外周面と電極組立体収納部の外面との間に挿入される一対の折り曲げガイドと、
前記折り曲げガイドに対応して電池ケースの外周面を電極組立体収納部の外面側に折り曲げ加圧する加圧ローラと、
前記加圧ローラに隣接して位置し、折り曲げられた電池ケースの外周面を加熱するための加熱部材と、
を含み、
前記加圧ローラ及び前記加熱部材は、電池ケースの外周面を折り曲げ且つ加熱するために、前記折り曲げガイドに向けて下方に移動可能であり、
前記折り曲げガイドは、電池ケースの外周面と電極組立体収納部の外面との間への挿入方向に直径が減少する構造からなることを特徴とする、電池セル折り曲げ装置。
【請求項2】
前記電極組立体は、フォールディング型構造、スタック型構造、またはスタック/フォールディング型構造であることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル折り曲げ装置。
【請求項3】
前記電池ケースは、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートからなることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル折り曲げ装置。
【請求項4】
前記ラミネートシートはアルミニウムラミネートシートであることを特徴とする、請求項3に記載の電池セル折り曲げ装置。
【請求項5】
前記折り曲げガイドは、電池セルの大きさに対応して相互間の間隔の調節が可能な構造からなることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル折り曲げ装置。
【請求項6】
前記折り曲げガイドは、垂直断面視で三角形状であることを特徴とする、請求項に記載の電池セル折り曲げ装置。
【請求項7】
前記加熱部材は、加熱温度を調節できる温度調節器をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル折り曲げ装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の電池セル折り曲げ装置を使用して電池セルの外周面を折り曲げる方法であって、
(a)電池セル折り曲げ装置上に電池セルを位置させ、電池セルの外周面を折り曲げる1次折り曲げ過程と、
(b)一対の折り曲げガイドの間の間隔を調節して電池セルの外周面を加圧する2次折り曲げ過程と、
(c)折り曲げガイドによって加圧した状態で、電池セルの外周面に加熱部材を位置させて加熱と同時に折り曲げる3次折り曲げ過程と、
を含むことを特徴とする、折り曲げ方法。
【請求項9】
前記過程(c)の加熱温度は150℃〜190℃の範囲であることを特徴とする、請求項に記載の折り曲げ方法。
【請求項10】
前記過程(c)の加熱温度は170℃〜190℃の範囲であることを特徴とする、請求項に記載の折り曲げ方法。
【請求項11】
前記過程(c)の加熱時間は1秒〜3秒の範囲であることを特徴とする、請求項に記載の折り曲げ方法。
【請求項12】
前記過程(c)の加熱は、1.5秒間隔で2回行うことを特徴とする、請求項11に記載の折り曲げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル折り曲げ装置に係り、より詳細には、正極、分離膜及び負極を含む電極組立体を電池ケースに装着し、熱融着により密封された構造の電池セルの外周面を折り曲げるための折り曲げ装置であって、前記電池セルが搭載されるベースプレート、前記電池セルがベースプレート上に搭載された状態で、電池ケースの左側及び右側の外周面と、電極組立体収納部の外面との間に挿入される一対の折り曲げガイド、前記折り曲げガイドに対応して電池ケースの外周面を電極組立体収納部の外面側に折り曲げ加圧する加圧ローラ、及び前記加圧ローラに隣接して位置し、折り曲げられた電池ケースの外周面を加熱するための加熱部材を含むことを特徴とする電池セル折り曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近使用量が増加している二次電池は、電池の形状面では、薄い厚さで携帯電話などのような製品に適用できる角型二次電池及びパウチ型二次電池に対する需要が高く、材料面では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの利点を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0003】
また、二次電池は、正極/分離膜/負極構造の電極組立体がどのような構造からなっているかによって分類されることもあり、代表的には、長いシート状の正極と負極とを分離膜が介在した状態で巻き取った構造のジェリーロール型(巻き取り型)電極組立体、所定の大きさの単位に切り取った多数の正極と負極とを分離膜を介在した状態で順次積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定単位の正極と負極とを分離膜を介在した状態で積層したバイセル(Bi−cell)又はフルセル(Full cell)を分離フィルムで巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体などを挙げることができる。
【0004】
最近は、スタック型又はスタック/フォールディング型電極組立体をアルミニウムラミネートシートのパウチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池が、低い製造コスト、小さい重量、容易な形態変形などを理由で、多くの関心を集めており、また、その使用量が次第に増加している。
【0005】
図1には、従来の代表的なパウチ型二次電池の一般的な構造が分解斜視図として模式的に示されている。
【0006】
図1を参照すると、パウチ型二次電池10は、電極組立体30、電極組立体30から延びている電極タブ40,50、電極タブ40,50に溶接されている電極リード60,70、及び電極組立体30を収容する電池ケース20を含んで構成されている。
【0007】
電極組立体30は、分離膜が介在した状態で正極と負極とが順次積層されている発電素子であって、スタック型又はスタック/フォールディング型構造からなっている。電極タブ40,50は電極組立体30の各極板から延びており、電極リード60,70は、各極板から延びた複数個の電極タブ40,50と、例えば、溶接によりそれぞれ電気的に接続されており、電池ケース20の外部に一部が露出している。また、電極リード60,70の上下面の一部には、電池ケース20との密封度を高めると同時に電気的絶縁状態を確保するために、絶縁フィルム80が付着されている。
【0008】
電池ケース20は、アルミニウムラミネートシートからなっており、電極組立体30を収容できる空間を提供し、全体的にパウチ形状を有している。図1に示したような積層型電極組立体30の場合、多数の正極タブ40及び多数の負極タブ50が電極リード60,70に共に結合され得るように、電池ケース20の内部上端は電極組立体30から離隔している。
【0009】
このようなパウチ型電池は、電極組立体をラミネートシートに収納し、電解液を注入して熱融着などで密封するステップを経、電池セルの外周面又は熱融着部位(シール部)を垂直に折り曲げて収納部の側壁に密着させるために、折り曲げ装置に収納した後、シール部を加圧して折り曲げる過程を経るようになる。しかし、シール部を折り曲げ装置で垂直に折り曲げる場合、時間が経過するにつれて折り曲げ部位が復元され、電池セルの寸法設計に不良が発生して再び作業を繰り返さなければならないという問題点がある。
【0010】
したがって、パウチ型電池においてシール部を折り曲げる場合の問題点を根本的に解決できる技術に対する必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0012】
すなわち、本発明の目的は、電池セルの外周面をそれぞれ垂直に折り曲げて収納部の側壁に密着させる過程において、加熱部材を含む電池セル折り曲げ装置を使用することによって、時間が経過するにつれて折り曲げ部位が復元されて発生し得る、電池セルの寸法設計に不良が発生する問題点を解決するための電池セル折り曲げ装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、既存の折り曲げ工程の単純化、及び外観不良などの問題点を解決し、収率の向上及び高い良品率を確保すると同時に製造工程が容易な電池セル折り曲げ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セル折り曲げ装置は、正極、分離膜及び負極を含む電極組立体を電池ケースに装着し、熱融着により密封された構造の電池セルの外周面を折り曲げるための折り曲げ装置であって、
前記電池セルが搭載されるベースプレートと、
前記電池セルがベースプレート上に搭載された状態で、電池ケースの左側及び右側の外周面と電極組立体収納部の外面との間に挿入される一対の折り曲げガイドと、
前記折り曲げガイドに対応して電池ケースの外周面を電極組立体収納部の外面側に折り曲げ加圧する加圧ローラと、
前記加圧ローラに隣接して位置し、折り曲げられた電池ケースの外周面を加熱するための加熱部材と、
を含む構造で構成されている。
【0015】
したがって、本発明に係る電池セル折り曲げ装置は、電池セルの外周面を垂直に折り曲げて収納部の側壁に密着させる過程において折り曲げ部位を加熱する加熱部材を含むことによって、外周面の折り曲げと同時に加熱して、時間が経過するにつれて折り曲げ部位が復元されて発生し得る、電池セルの寸法設計に不良が発生する問題点を解決することができる。
【0016】
前記電極組立体は、多数の電極タブを接続して正極と負極とを構成する構造であれば特に制限されるものではなく、好ましくは、フォールディング型構造、スタック型構造及びスタック/フォールディング型構造を挙げることができる。スタック/フォールディング型構造の電極組立体についての詳細な内容は、本出願人の韓国特許出願公開第2001−0082058号、第2001−0082059号及び第2001−0082060号に開示されており、前記出願は、本発明の内容に参照として組み込まれる。
【0017】
本発明に係る電池セル折り曲げ装置は、特に、金属層と樹脂層とを含むラミネートシート、一具体例において、アルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースの収納部に電極組立体が内蔵されているパウチ型二次電池に好ましく適用され得る。
【0018】
一具体例において、前記折り曲げガイドは、電池セルの大きさに対応して相互間の間隔の調節が可能な構造からなることができる。このような構造により、様々な大きさの電池セルに応じて安定的に折り曲げ部位を形成させることができる。
【0019】
他の具体例において、前記折り曲げガイドは、電池ケースの外周面と電極組立体収納部の外面との間への挿入方向に直径が減少する構造からなってもよい。このような構造により、電池ケースの外周面が電極組立体の収納部の外面に効果的に密着して折り曲げられ、所望の折り曲げ位置を誘導することができる。具体的に、前記折り曲げガイドは、垂直断面視で三角形状からなることができる。
【0020】
前記加熱部材は、加熱温度を調節できる温度調節器をさらに含むことができ、前記折り曲げ部位を加熱するための最適の温度を設定して加圧と同時に加熱する過程を行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る電池セルは、リチウム含有電解液が電極組立体に含浸されているリチウムイオン二次電池、リチウム含有電解液がゲルの形態で電極組立体に含浸されている、いわゆる、リチウムイオンポリマー電池などのリチウム二次電池に好ましく適用され得る。
【0022】
参考に、リチウム二次電池は、正極、負極、分離膜、及びリチウム塩含有非水電解液で構成されている。
【0023】
前記正極は、例えば、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要に応じて、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0024】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物の全重量を基準として1〜30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0026】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1〜30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0027】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0028】
前記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥して作製され、必要に応じて、上述したような成分が選択的にさらに含まれてもよい。
【0029】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料などを使用することができる。
【0030】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0031】
リチウム塩含有非水系電解液は、極性有機電解液とリチウム塩からなっている。電解液としては、非水系液状電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0032】
前記非水系液状電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0033】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0034】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0035】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0036】
また、非水系電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0037】
本発明はまた、前記電池セル折り曲げ装置を使用して電池セルの外周面を折り曲げる方法であって、
(a)電池セル折り曲げ装置上に電池セルを位置させ、電池セルの外周面を折り曲げる1次折り曲げ過程と、
(b)折り曲げガイドの間隔を調節して電池セルの外周面を加圧する2次折り曲げ過程と、
(c)折り曲げガイドによって加圧した状態で、電池セルの外周面に加熱部材を位置させて加熱と同時に折り曲げる3次折り曲げ過程と、
を含む折り曲げ方法を提供する。
【0038】
一具体例において、前記過程(c)の加熱温度は、150℃〜190℃の範囲であることが好ましく、より詳細には、170℃〜190℃の範囲であることが好ましい。
【0039】
前記加熱温度が低すぎる場合、所望の折り曲げ部位の復元抑制効果を発揮できず、逆に、前記加熱温度が高すぎる場合、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートからなる電池ケースの熱的損傷をもたらし得るため好ましくない。
【0040】
具体的に、前記過程(c)の加熱時間は1秒〜3秒の範囲であることが好ましく、折り曲げガイドによって加圧した状態で、電池セルの外周面に加熱部材を位置させて加熱と同時に折り曲げる過程を行い、1.5秒間隔で2回行うことが好ましい。
【0041】
本発明はまた、前記折り曲げ方法で外周面が折り曲げられた電池セルを含む電池パックを提供する。
【0042】
このような電池パックは、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用され得、デバイスの電源として使用される多数の電池セルを含む電池パックに単位電池としても好ましく使用され得る。
【0043】
前記デバイスの好ましい例としては、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】従来のパウチ型電池の一般的な構造に対する分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る電池セル折り曲げ装置を示す模式図である。
図3】本発明の一実施例に係る折り曲げ方法の順序を示す模式図である。
図4】本発明の一実施例に係る折り曲げ方法の順序を示す模式図である。
図5】本発明の一実施例に係る折り曲げ方法の順序を示す模式図である。
図6】実験例1に係る折り曲げ部位の復元の程度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0046】
図2は、本発明の一実施例に係る電池セル折り曲げ装置が模式的に示されている。
【0047】
図2を参照すると、本発明に係る電池セル折り曲げ装置100は、電池セルが収納されるベースプレート110、前記電池セルがベースプレート110上に収納された状態で、電池ケースの左側及び右側の外周面と電極組立体収納部の外面との間に挿入される一対の折り曲げガイド121,122、前記折り曲げガイド121,122に対応して電池ケースの外周面を電極組立体収納部の外面側に折り曲げ加圧する加圧ローラ131,132、及び前記加圧ローラ131,132に隣接して位置し、折り曲げられた電池ケースの外周面を加熱するための加熱部材141,142を含む構造となっている。
【0048】
図3図5は、本発明の一実施例に係る折り曲げ方法の順序が模式的に示されている。
【0049】
これら図面を参照して折り曲げ方法を説明すると、まず、電池セル200は、第1のシート状ケース210の収納部212に正極/分離膜/負極構造の電極組立体(図示せず)を装着した後、それに対応する第2のシート状ケース220を熱融着させて所定の過程を通じて作製され、熱融着過程で収納部212の外周面方向にシール部230,240が形成される。ここで、第1のシート状ケース210と第2のシート状ケース220は1単位の部材であってもよく、独立した2単位の部材であってもよい。
【0050】
その後、電池セル200は、電池セル折り曲げ装置100に形成されているベースプレート110上に搭載されて、シール部230,240の折り曲げ部位が折り曲げガイド121,122によって固定され、加圧ローラ131,132が下向きに移動してシール部230,240を垂直下方に折り曲げる。このとき、電池セル200のシール部230,240は、加圧ローラ131,132の隣接部位に装着された加熱部材141,142によってシール部230,240が折り曲げられると同時に加熱されて、電池セルの側壁212a,212bに効果的に密着する。
【0051】
以下、実施例を参照して本発明の内容を詳細に説明するが、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0052】
〔電池セルの製造〕
正極活物質としてLiCoO95重量%、Super−P(導電剤)2.5重量%及びPVdF(結合剤)2.5重量%を溶剤であるNMP(N−methyl−2−pyrrolidone)に添加して正極混合物スラリーを製造し、負極活物質として人造黒鉛95重量%、Super−P(導電剤)2.5重量%及びPVdF(結合剤)2.5重量%を溶剤であるNMPに添加して負極混合物スラリーを製造した後、アルミニウムホイルと銅ホイル上にそれぞれコーティング、乾燥及び圧着することで、正極及び負極を製造した。
【0053】
分離膜としてセルガードTMを使用し、前記正極と負極及び前記分離膜を順に積層して電極組立体を構成した後、ラミネートシートのケースに前記電極組立体と電解液を注入した後、密封して、電池セルを製造した。
【0054】
〔電池セル折り曲げ装置の構成〕
正極、分離膜及び負極を含む電極組立体を電池ケースに装着し、熱融着により密封された構造の電池セルの外周面を折り曲げるための折り曲げ装置であって、前記電池セルが搭載されるベースプレート、前記電池セルがベースプレート上に搭載された状態で、電池ケースの左側及び右側の外周面と電極組立体収納部の外面との間に挿入される一対の折り曲げガイド、前記折り曲げガイドに対応して電池ケースの外周面を電極組立体収納部の外面側に折り曲げ加圧する加圧ローラ、及び前記加圧ローラに隣接して位置し、折り曲げられた電池ケースの外周面を加熱するための加熱部材を含む電池セル折り曲げ装置を構成した。
【0055】
<実施例1>
前記で製造された電池セルを、電池セル折り曲げ装置を用いて電池ケースの外周面を折り曲げた。このとき、加熱部材による加熱温度を150℃に設定して1.5秒間隔で2回加圧及び加熱することで、外周面が折り曲げられた電池セルを作製した。
【0056】
<実施例2>
加熱部材の加熱温度を180℃に設定した以外は、実施例1と同一の構成で電池セルを作製した。
【0057】
<比較例1>
加熱部材の加熱温度を25℃に設定した以外は、実施例1と同一の構成で電池セルを作製した。
【0058】
<実験例1>
前記実施例1〜2及び比較例1でそれぞれ作製された電池セルの折り曲げ部位の復元の程度を経時的に測定し、その結果を下記表1及び図6に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
前記実験の結果において、表1及び図6からわかるように、実施例1の電池セルの場合、時間が経過するにつれて折り曲げ部位の復元の程度が大きくない反面、比較例1の電池セルの場合、復元の程度が相対的に大きいことが確認できた。これは、電池セルの外周面をそれぞれ垂直に折り曲げて収納部の側壁に密着させる過程において、加熱部材を含む電池セル折り曲げ装置を使用することによって、時間が経過するにつれて折り曲げ部位の復元が抑制されることを確認することができ、150℃〜180℃の温度で優れた抑制効果があることを確認することができる。
【0061】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上で説明したように、本発明に係る電池セル折り曲げ装置は、電池セルの外周面を垂直に折り曲げて収納部の側壁に密着させる過程において前記電池セルの外周面を加熱する加熱部材を含むことによって、外周面の折り曲げと同時に加熱して、時間が経過するにつれて折り曲げ部位が復元されて発生し得る電池セルの寸法設計の不良を根本的に防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 パウチ型二次電池
20 電池ケース
30 電極組立体、積層型電極組立体
40 正極タブ、電極タブ
50 負極タブ、電極タブ
60 電極リード
70 電極リード
80 絶縁フィルム
95 人造黒鉛
100 装置
110 ベースプレート
121 ガイド
122 ガイド
131 加圧ローラ
132 加圧ローラ
141 加熱部材
142 加熱部材
200 電池セル
210 第1のシート状ケース
212 側壁、収納部
220 第2のシート状ケース
230 シール部
240 シール部
図1
図2
図3-4】
図5
図6