(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246537
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】サンプリング機構
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20171204BHJP
B24B 55/12 20060101ALI20171204BHJP
G01N 33/18 20060101ALI20171204BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20171204BHJP
B23Q 11/10 20060101ALN20171204BHJP
G01N 21/05 20060101ALN20171204BHJP
【FI】
G01N1/10 N
B24B55/12
G01N33/18 A
G01N1/00 101H
!B23Q11/10 E
!G01N21/05
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-191898(P2013-191898)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-59753(P2015-59753A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】稲員 進
【審査官】
三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−044644(JP,A)
【文献】
特開平05−346379(JP,A)
【文献】
実開昭49−109586(JP,U)
【文献】
特開2004−301701(JP,A)
【文献】
特開昭49−104696(JP,A)
【文献】
実開昭50−147687(JP,U)
【文献】
米国特許第05456126(US,A)
【文献】
米国特許第05375477(US,A)
【文献】
米国特許第05134879(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10
B24B 55/12
G01N 1/00
G01N 33/18
B23Q 11/10
G01N 21/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液濾過手段によって加工廃液が濾過された清水を清水貯水タンクに導入すべく清水供給ホースと共に該清水貯水タンクに配設されるサンプリング機構であって、
該サンプリング機構は、液体経路の上流側に連結される第1のチューブと、液体経路の下流側に連結される第2のチューブと、該第1のチューブの下流側端に結合され逆止弁を備えた第1の連結手段と、該第2のチューブの上流側端に結合され逆止弁を備えた第2の連結手段と、該第1の連結手段に着脱可能に連結する第1の被連結手段と該第2の連結手段に着脱可能に連結する第2の被連結手段とを備え液体をサンプリングするサンプリング容器と、を具備している、
ことを特徴とするサンプリング機構。
【請求項2】
該サンプリング容器は、透明な樹脂によって形成されている、請求項1記載のサンプリング機構。
【請求項3】
該第1の被連結手段および第2の被連結手段は、それぞれ逆止弁を備えている、請求項1又は2記載のサンプリング機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削装置等の加工装置に付設され、加工時に供給される加工液の廃液を処理する加工廃液処理装置等の液体処理装置に配設され処理液をサンプリングするためのサンプリング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように表面にデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って切断することにより、デバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
上述した半導体ウエーハのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれる切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削ブレードを備えた切削手段と、切削ブレードに加工水を供給する加工水供給手段を具備し、該加工水供給手段によって加工水を回転する切削ブレードに供給することにより切削ブレードを冷却するとともに、切削ブレードによる被加工物の切削部に加工水を供給しつつ切削作業を実施する。
【0004】
このようにして分割されるウエーハは、ストリートに沿って切断する前に研削装置によって裏面が研削され、所定の厚さに加工される。研削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を研削する研削手段とを具備している。この研削手段は、回転スピンドルと、該回転スピンドルの下端に設けられたホイールマウントと、該ホイールマウントの下面に着脱可能に装着される研削ホイールとを具備しており、該研削ホイールがホイール基台と該ホイール基台の下面における外周部の砥石装着部に装着された複数の研削砥石とからなっており、研削ホイールを回転し加工水を供給しつつ研削砥石をチャックテーブルに保持された被加工物に押圧することにより被加工物を研削する。
【0005】
上述したように切削装置による切削時や研削装置による研削時に供給された純水からなる加工水にはシリコンを切削や研削することによって発生するシリコン微粒子が混入される。このシリコン微粒子が混入された加工廃液は環境を汚染することから、加工廃液を処理して排水しなければならず、廃液処理コストがかかるという問題がある。このような問題を解消するために、加工廃液をフィルターで濾過して清水を生成し、切削水または研削水として循環して使用する加工廃液処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−190128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
而して、加工廃液を再生する過程における加工水の純度を調べるために加工廃液処理装置の稼働を一時停止して液体をサンプリングしなければならず、生産性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、加工廃液処理装置等の流体処理装置の稼働を停止することなく再生過程における液体をサンプリングすることができるサンプリング機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、
廃液濾過手段によって加工廃液が濾過された清水を清水貯水タンクに導入すべく清水供給ホースと共に該清水貯水タンクに配設されるサンプリング機構であって、該サンプリング機構は、液体経路の上流側に連結される第1のチューブと、液体経路の下流側に連結される第2のチューブと、該第1のチューブの下流側端に結合され逆止弁を備えた第1の連結手段と、該第2のチューブの上流側端に結合され逆止弁を備えた第2の連結手段と、該第1の連結手段に着脱可能に連結する第1の被連結手段と該第2の連結手段に着脱可能に連結する第2の被連結手段とを備え液体をサンプリングするサンプリング容器と、を具備している、
ことを特徴とするサンプリング機構が提供される。
【0010】
上記サンプリング容器は、透明な樹脂によって形成されていることが望ましい。
また、上記第1の被連結手段および第2の被連結手段は、それぞれ逆止弁を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるサンプリング機構は、
廃液濾過手段によって加工廃液が濾過された清水を清水貯水タンクに導入すべく清水供給ホースと共に該清水貯水タンクに配設されるサンプリング機構であって、該サンプリング機構は、液体経路の上流側に連結される第1のチューブと、液体経路の下流側に連結される第2のチューブと、第1のチューブの下流側端に結合され逆止弁を備えた第1の連結手段と、第2のチューブの上流側端に結合され逆止弁を備えた第2の連結手段と、第1の連結手段に着脱可能に連結する第1の被連結手段と該第2の連結手段に着脱可能に連結する第2の被連結手段とを備え液体をサンプリングするサンプリング容器とを具備しているので、サンプリング機構が装備された加工廃液処理装置等の液体処理装置の稼働を停止することなくサンプリング容器を取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に従って構成されたサンプリング機構を備えた加工廃液処理装置の要部斜視図。
【
図2】
図1に示すサンプリング機構を構成するサンプリング容器の斜視図。
【
図3】
図2に示すサンプリング容器を分解して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された加工廃液処理装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1には本発明に従って構成されたサンプリング機構を備えた加工廃液処理装置の要部斜視図が示されている。
図1に示すサンプリング機構2は、加工廃液処理装置を構成する清水貯水タンク10に配設されている。
図1に示す清水貯水タンク10は、図示しない廃液濾過手段に連通し、廃液濾過手段によって加工廃液が濾過された清水が供給されるように構成されている。この清水貯水タンク10を構成する側板101の外側にサンプリング機構2が配設されている。なお、清水貯水タンク10には図示しない廃液濾過手段に接続された清水送給ホース11およびサンプリング機構2を介して清水が導入されようになっており、清水貯水タンク10に導入された清水は流出口102から例えば純水生成手段に送られるようになっている。
【0015】
図示の実施形態におけるサンプリング機構2は、図示しない廃液濾過手段に清水送給ホース11を介して接続された液体経路の上流側である清水貯水タンク10の下部に連結される第1のチューブ3と、液体経路の下流側である清水貯水タンク10の上部に連結される第2のチューブ4と、第1のチューブ3の下流側端に結合された第1の連結手段5と、第2のチューブ4の上流側端に結合された第2の連結手段6と、第1の連結手段5と第2の連結手段6にそれぞれ着脱可能に連結されるサンプリング容器7とを具備している。第1の連結手段5には、サンプリング容器7が装着されると流体の流通を許容し、サンプリング容器7が外されると流体の流通を遮断する逆止弁(図示せず)が配設されている。また、第2の連結手段6にも、サンプリング容器7が装着されると流体の流通を許容し、サンプリング容器7が外されると流体の流通を遮断する逆止弁(図示せず)が配設されている。
【0016】
上記サンプリング容器7は、
図2および
図3に示すように容器本体71とキャップ72を備えている。容器本体71とキャップ72は、図示の実施形態においては透明な樹脂によって形成されている。容器本体71のキャップ装着側には係止手段711が設けられているとともに、該係止手段711の基部にシールリング712が装着されている。一方、キャップ72は、装着側に上記係止手段711と係合する図示しない係合手段が設けられており、容器本体71に着脱可能に装着するようになっている。このように構成されたサンプリング容器7の容器本体71には、キャップ装着側と反対側(上流側)の端部に上記第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5と着脱可能に連結するための第1の被連結手段8が装着されている。また、サンプリング容器7のキャップ72には、装着側と反対側(下流側)の端部に上記第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6と着脱可能に連結するための第2の被連結手段9が装着されている。なお、第1の被連結手段8には、第1の連結手段5に連結すると流体の流通を許容し、第1の連結手段5から取り外すと流体の流通を遮断する逆止弁(図示せず)が配設されている。また、第2の被連結手段9にも、第2の連結手段6に連結すると流体の流通を許容し、第2の連結手段6から取り外すと流体の流通を遮断する逆止弁(図示せず)が配設されている。
【0017】
図示の実施形態におけるサンプリング機構2は以上のように構成されており、以下使用方法について説明する。
容器本体71とキャップ72とからなるサンプリング容器7は、容器本体71に設けられた係止手段711にキャップ72に設けられた図示しない係合手段を係合することにより、
図2に示すように一体的に組み付けられる。このようにして一体的に組み付けられたサンプリング容器7は、
図1に示すように容器本体71に装着された第1の被連結手段8を第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5と着脱可能に連結するとともに、キャップ72に装着された第2の被連結手段9を第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6と着脱可能に連結する。この結果、第1の連結手段5と第1の被連結手段8と第2の被連結手段9と第2の連結手段6にそれぞれ配設された図示しない逆止弁が流体の流通を許容する形態となるので、加工廃液処理装置を構成する図示しない廃液濾過手段に接続された清水送給ホース11によって清水貯水タンク10に供給される清水は、水位を上昇させながら溜まるとともにサンプリング機構2を介して清水貯水タンク10に導入され、流出口102から例えば純水生成手段に送られる。
【0018】
以上のようにして加工廃液処理装置が稼働している際に、図示しない廃液濾過手段に接続された清水送給ホース11によって供給される清水の純度を調べる際には、サンプリング容器7の容器本体71に装着された第1の被連結手段8と第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5との連結を解除すとともに、キャップ72に装着された第2の被連結手段9を第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6との連結を解除する。この結果、第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5に配設された図示しない逆止弁および第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6に配設された図示しない逆止弁が流体の流通を遮断する形態となるので、サンプリング容器7を取り外しても第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5および第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6から清水は流出することはない。従って、加工廃液処理装置の稼働を停止することなくサンプリング容器7を取り外すことができる。一方、サンプリング容器7は、上記第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5と第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6から取り外すと、容器本体71に装着された第1の被連結手段8およびキャップ72に装着された第2の被連結手段9にそれぞれ配設された図示しない逆止弁が流体の流通を遮断する形態となるので、清水を封入した状態となり、容易に清水検査工程に搬送することができる。
なお、図示の実施形態におけるサンプリング容器7は透明樹脂によって形成されているので、第1のチューブ3に結合された第1の連結手段5および第2のチューブ4に結合された第2の連結手段6に連結した状態において、内部を流通する清水の透明度を目視にて確認することができる。
【0019】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。図示の実施形態においては本発明によるサンプリング機構を加工廃液処理装置における廃液濾過手段によって加工廃液を濾過した清水のサンプリングに適用した例を示したが、本発明によるサンプリング機構は清水を純水生成手段によって生成した純水のサンプリングに適用してもよく、また他の液体処理装置のサンプリングに適用してもよい。
【符号の説明】
【0020】
2:サンプリング機構
3:第1のチューブ
4:第2のチューブ
5:第1の連結手段
6:第2の連結手段
7:サンプリング容器
71:容器本体
72:キャップ
8:第1の被連結手段
9:第2の被連結手段
10:清水貯水タンク
102:流出口
11:清水送給ホース