(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246857
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ロール状積層体、ロール状積層体の製造方法、積層体の製造方法、ビルドアップ基板の製造方法、プリント配線板の製造方法、電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 3/18 20060101AFI20171204BHJP
B32B 7/06 20060101ALI20171204BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20171204BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20171204BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20171204BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20171204BHJP
B21C 47/26 20060101ALI20171204BHJP
B65H 75/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
B32B3/18
B32B7/06
B32B15/08 N
B32B15/04 A
B65H37/04 A
H05K3/46 B
H05K3/46 S
B21C47/26 G
B65H75/02 Z
【請求項の数】35
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-103755(P2016-103755)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-210314(P2017-210314A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2016年6月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高森 雅之
【審査官】
増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−217978(JP,A)
【文献】
特開2013−044005(JP,A)
【文献】
特開2014−093523(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/077764(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
H05K 3/00−3/46
B21C 45/00−49/00
B65H 37/04
75/00−75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体であって、前記ロール状積層体は以下の(A)〜(C)のロール状積層体に該当しないロール状積層体。
(A)前記ロール状積層体は、前記第1金属箔の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第1絶縁層、及び、前記第1絶縁層の前記第1金属箔とは反対側の表面に第1銅箔層の2層のみをこの順で有する構造であって、かつ、
前記前記第2金属箔の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第2絶縁層、及び、前記第2絶縁層の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第2銅箔層の2層のみをこの順で有する構造のみからなるロール状積層体である、
(B)前記ロール状積層体は、前記第1金属箔の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第1絶縁層、及び、前記第1絶縁層の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第1銅箔層の2層、及び、前記第1絶縁層と前記第1銅箔層とを貫くビアホールのみを有する構造であって、かつ、
前記前記第2金属箔の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第2絶縁層、及び、前記第2絶縁層の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第2銅箔層の2層、及び、前記第2絶縁層と前記第2銅箔層とを貫くビアホールのみを有する構造のみからなるロール状積層体である、
(C)前記ロール状積層体は、前記第1金属箔の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第1絶縁層、及び、前記第1絶縁層の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第1銅箔層、及び、前記第1絶縁層と前記第1銅箔層とを貫く第1ビアホール、及び、前記第1銅箔層の前記第1絶縁層と接している側とは反対側の表面及び前記第1ビアホール内に第1金属層の3層のみを有する構造であって、かつ、
前記前記第2金属箔の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第2絶縁層、及び、前記第2絶縁層の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第2銅箔層、及び、前記第2絶縁層と前記第2銅箔層とを貫く第2ビアホール、及び、前記第2銅箔層の前記第2絶縁層と接している側とは反対側の表面及び前記第2ビアホール内に第2金属層の3層のみを有する構造のみからなるロール状積層体である。
【請求項2】
前記接着剤層の厚みは300μm以下である請求項1に記載のロール状積層体。
【請求項3】
前記接着剤層の幅は0.5mm以上である請求項1に記載のロール状積層体。
【請求項4】
前記接着剤層の幅は100mm以下である請求項1に記載のロール状積層体。
【請求項5】
前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のロール状積層体。
【請求項6】
前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載のロール状積層体。
【請求項7】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たすロール状積層体。
【請求項8】
以下の(1)〜(5)のいずれか1つ以上を満たす請求項7に記載のロール状積層体。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている。
【請求項9】
前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす請求項7または8に記載のロール状積層体。
【請求項10】
前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載のロール状積層体。
【請求項11】
前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である請求項10に記載のロール状積層体。
【請求項12】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っているロール状積層体。
【請求項13】
以下の(1)〜(9)のいずれか1つ以上を満たす請求項12に記載のロール状積層体。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である。
【請求項14】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔がキャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えた別のキャリア付金属箔のための前記極薄金属層であるロール状積層体。
【請求項15】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔であるロール状積層体。
【請求項16】
以下の(1)〜(10)のいずれか1つ以上を満たす請求項14または15に記載のロール状積層体。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である、
(10)(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている。
【請求項17】
長尺状の第1金属箔の幅方向の両端部に前記第1金属箔が伸びる方向に沿って接着剤層を設ける工程であって、前記第1金属箔は、前記接着剤層を設ける側とは反対側の表面に、絶縁層及び銅箔の2層のみを、前記表面からこの順で有する金属箔ではない工程と、
前記接着剤層を設けた第1金属箔の前記接着剤層側表面に長尺状の第2金属箔を貼り合わせる工程であって、前記第2金属箔は、前記第1金属箔と貼り合せる側とは反対側の表面に、絶縁層及び銅箔の2層のみを、前記表面からこの順で有する金属箔ではない工程と、
前記接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第1及び第2金属箔を支持体に巻き付ける工程と、
を備えたロール状積層体の製造方法。
【請求項18】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または請求項17に記載の製造方法で製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出した後、前記第1金属箔側及び前記第2金属箔側のいずれか一つ以上に樹脂を積層し、その後前記第1金属箔及び前記第2金属箔及び樹脂を支持体に巻き付けるロール状積層体の製造方法。
【請求項19】
前記ロール状積層体が、以下の(1)〜(12)のいずれか1つ以上を満たす請求項18に記載のロール状積層体の製造方法。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である、
(10)(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている、
(11)前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔が前記極薄金属層である、
(12)前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔である。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のロール状積層体または請求項17〜19のいずれか一項に記載のロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法。
【請求項21】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または請求項17〜19のいずれか一項に記載のロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法で製造された積層体または請求項20に記載の方法で製造された積層体の少なくとも一方の表面に、ビルドアップ配線層を一層以上形成する工程を含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項22】
前記ロール状積層体が、以下の(1)〜(12)のいずれか1つ以上を満たす請求項21に記載のビルドアップ基板の製造方法。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である、
(10)(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている、
(11)前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔が前記極薄金属層である、
(12)前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔である。
【請求項23】
ビルドアップ配線層はサブトラクティブ法又はフルアディティブ法又はセミアディティブ法の少なくとも一つを用いて形成される請求項21または22に記載のビルドアップ基板の製造方法。
【請求項24】
長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または請求項17〜19のいずれか一項に記載のロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体Aを製造する方法で製造された積層体Aまたは請求項20に記載の方法で製造された積層体の少なくとも一方の表面に、樹脂、片面あるいは両面配線基板、片面あるいは両面金属張積層板、他の前記積層体A、請求項20に記載の方法で製造された他の積層体、樹脂基板付金属層、キャリア付金属層、配線、回路または金属層を1回以上積層することを含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項25】
前記ロール状積層体が、以下の(1)〜(12)のいずれか1つ以上を満たす請求項24に記載のビルドアップ基板の製造方法。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である、
(10)(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている、
(11)前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔が前記極薄金属層である、
(12)前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔である。
【請求項26】
請求項24または25に記載のビルドアップ基板の製造方法において、前記樹脂、前記片面あるいは両面配線基板、前記片面あるいは両面金属張積層板、前記積層体A、前記請求項20に記載の方法で製造された積層体、前記樹脂基板付金属層、前記キャリア付金属層、前記配線、前記回路または前記金属層に穴を開け、前記穴の側面および底面に導通めっきをする工程を更に含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項27】
請求項24〜26のいずれか一項に記載のビルドアップ基板の製造方法において、前記片面あるいは両面配線基板を構成する金属層、前記片面あるいは両面金属張積層板を構成する金属層、前記積層体Aを構成する金属箔、前記請求項20に記載の方法で製造された積層体を構成する金属箔、前記キャリア付金属層を構成する金属層、前記樹脂基板付金属層の金属層、及び前記金属層の少なくとも一つに配線を形成する工程を1回以上行うことを更に含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項28】
配線形成された表面の上に、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または請求項17〜19のいずれか一項に記載のロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法で製造された積層体または請求項20に記載の方法で製造された積層体を積層する工程を更に含む請求項24〜27のいずれか一項に記載のビルドアップ基板の製造方法。
【請求項29】
前記ロール状積層体が、以下の(1)〜(12)のいずれか1つ以上を満たす請求項28に記載のビルドアップ基板の製造方法。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である、
(10)(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている、
(11)前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔が前記極薄金属層である、
(12)前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔である。
【請求項30】
請求項24〜29のいずれか一項に記載のビルドアップ基板の製造方法において、前記積層体Aまたは前記請求項20に記載の方法で製造された積層体を、金属箔の面において平面視したときに、金属箔同士の積層面の少なくとも一つにて切断する工程を含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載のビルドアップ基板の製造方法において、前記切断後の積層体の金属箔同士を剥離して分離する工程を更に含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項32】
請求項31に記載のビルドアップ基板の製造方法において、剥離して分離した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項33】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のロール状積層体または請求項17〜19のいずれか一項に記載のロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法で製造された積層体、または、前記請求項20に記載の方法で製造された積層体、または、請求項21〜32のいずれか一項に記載の方法で製造されたビルドアップ基板を用いてプリント配線板を製造する方法。
【請求項34】
前記ロール状積層体が、以下の(1)〜(12)のいずれか1つ以上を満たす請求項33に記載のプリント配線板の製造方法。
(1)前記接着剤層の厚みは300μm以下である、
(2)前記接着剤層の幅は0.5mm以上である、
(3)前記接着剤層の幅は100mm以下である、
(4)前記第1金属箔及び前記第2金属箔の厚みが5〜70μmである、
(5)前記接着剤層が、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられている、
(6)前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たす、
(7)前記(6)において前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.05×r
を満たす、
(8)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下である、
(9)前記接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下である、
(10)(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている、
(11)前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔が前記極薄金属層である、
(12)前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔である。
【請求項35】
請求項33または34に記載の方法で製造されたプリント配線板を用いて電子機器を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状積層体、ロール状積層体の製造方法、積層体の製造方法、ビルドアップ基板の製造方法、プリント配線板の製造方法、電子機器の製造方法に関する。
【0002】
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。プリント配線板の製造には、銅箔等の金属箔が使用される。
【0003】
従来、金属箔を製造する際等、金属箔を支持体に巻き取ってロール状の金属箔とすることがある。ここで金属箔を巻き取る際、金属箔の蛇行が発生する場合がある。このような蛇行が生じた状態で金属箔をコイル状に巻き取ると、巻き取りリール上で巻ずれが生じ、この巻ずれに起因して金属箔が層間で互いに擦れ合い、該金属箔の表面に擦れ傷が発生するという問題がある。
【0004】
このような問題に対し、特許文献1には、圧延加工が施された金属箔を巻き取りリールの周りにコイル状に順次巻き取る金属箔の巻き取り装置において、該コイル状の金属箔の層間に挟み込まれる合紙を繰り出す合紙繰り出しロールを備え、前記合紙ロールは前記金属箔よりも幅広であることを特徴とする金属箔の巻き取り装置が開示されている。そして、このような構成により、圧延加工が施された金属箔を巻き取りリールの周りにコイル状に順次巻き取る際に、金属箔の蛇行が生じてこれにより巻きずれが発生した場合であっても、金属箔に擦り傷が生じるのを防止し、最終製品としての金属箔の品質を向上させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−22998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ロール状に巻き取った金属箔を繰り出してシート状の金属箔に加工等する際、合紙を除去する工程が生じるため生産効率の点で問題が生じる。
【0007】
そこで本発明は、長尺状の金属箔を巻き取ってロール状としても金属箔表面に擦り傷が生じることを良好に抑制するとともに、ロール状の金属箔を繰り出して使用する際の生産性を向上させることが可能なロール状積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねたところ、長尺状の金属箔同士を、所定の厚み及び所定の位置に設けた接着剤層を介して貼り合わせ、さらに支持体に巻き付けてロール状積層体とすることで、長尺状の金属箔を巻き取ってロール状としても金属箔表面に擦り傷が生じることを良好に抑制するとともに、ロール状の金属箔を繰り出して使用する際の生産性を向上させることが可能となることを見出した。
【0009】
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向
の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って設けられているロール状積層体
であって、前記ロール状積層体は以下の(A)〜(C)のロール状積層体に該当しないロール状積層体である。
(A)前記ロール状積層体は、前記第1金属箔の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第1絶縁層、及び、前記第1絶縁層の前記第1金属箔とは反対側の表面に第1銅箔層の2層のみをこの順で有する構造であって、かつ、
前記前記第2金属箔の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第2絶縁層、及び、前記第2絶縁層の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第2銅箔層の2層のみをこの順で有する構造のみからなるロール状積層体である、
(B)前記ロール状積層体は、前記第1金属箔の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第1絶縁層、及び、前記第1絶縁層の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第1銅箔層の2層、及び、前記第1絶縁層と前記第1銅箔層とを貫くビアホールのみを有する構造であって、かつ、
前記前記第2金属箔の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第2絶縁層、及び、前記第2絶縁層の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第2銅箔層の2層、及び、前記第2絶縁層と前記第2銅箔層とを貫くビアホールのみを有する構造のみからなるロール状積層体である、
(C)前記ロール状積層体は、前記第1金属箔の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第1絶縁層、及び、前記第1絶縁層の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第1銅箔層、及び、前記第1絶縁層と前記第1銅箔層とを貫く第1ビアホール、及び、前記第1銅箔層の前記第1絶縁層と接している側とは反対側の表面及び前記第1ビアホール内に第1金属層の3層のみを有する構造であって、かつ、
前記前記第2金属箔の前記第1金属箔と接している側とは反対側の表面に第2絶縁層、及び、前記第2絶縁層の前記第2金属箔と接している側とは反対側の表面に第2銅箔層、及び、前記第2絶縁層と前記第2銅箔層とを貫く第2ビアホール、及び、前記第2銅箔層の前記第2絶縁層と接している側とは反対側の表面及び前記第2ビアホール内に第2金属層の3層のみを有する構造のみからなるロール状積層体である。
【0010】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
前記ロール状積層体の前記第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、前記第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の前記接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、前記直線と前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、
式:0≦d≦0.1×r
を満たすロール状積層体である。
【0011】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
(a)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の両端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている、または、
(b)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている、または、
(c)前記第1金属箔及び前記第2金属箔を平面視したときに、前記ロール状積層体の幅方向の一端において前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、前記ロール状積層体の幅方向の他端において、前記第1金属箔及び前記第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っているロール状積層体である。
【0012】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
前記第1金属箔が、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔のための前記キャリアであり、前記第2金属箔がキャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えた別のキャリア付金属箔のための前記極薄金属層であるロール状積層体である。
【0013】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、
前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられており、
前記第1金属箔及び前記第2金属箔がそれぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えるキャリア付金属箔であるロール状積層体である。
【0014】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔の幅方向の両端部に前記第1金属箔が伸びる方向に沿って接着剤層を設ける工程であって、前記第1金属箔は、前記接着剤層を設ける側とは反対側の表面に、絶縁層及び銅箔の2層のみを、前記表面からこの順で有する金属箔ではない工程と、
前記接着剤層を設けた第1金属箔の前記接着剤層側表面に長尺状の第2金属箔を貼り合わせる工程であって、前記第2金属箔は、前記第1金属箔と貼り合せる側とは反対側の表面に、絶縁層及び銅箔の2層のみを、前記表面からこの順で有する金属箔ではない工程と、
前記接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第1及び第2金属箔を支持体に巻き付ける工程と、
を備えたロール状積層体の製造方法である。
【0015】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または前記製造方法で製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出した後、前記第1金属箔側及び前記第2金属箔側のいずれか一つ以上に樹脂を積層し、その後前記第1金属箔及び前記第2金属箔及び樹脂を支持体に巻き付けるロール状積層体の製造方法である。
【0016】
また、本発明
は、別の一側面において、前記ロール状積層体または前記ロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法である。
【0017】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または前記ロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法で製造された積層体または前記方法で製造された積層体の少なくとも一方の表面に、ビルドアップ配線層を一層以上形成する工程を含むビルドアップ基板の製造方法である。
【0018】
また、本発明
は、別の一側面において、長尺状の第1金属箔と、前記第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなり、前記接着剤層の厚みは少なくとも一部において1μm以上であり、且つ、平面視したときに前記第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、前記第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って前記接着剤層が設けられているロール状積層体または前記ロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体Aを製造する方法で製造された積層体Aまたは前記方法で製造された積層体の少なくとも一方の表面に、樹脂、片面あるいは両面配線基板、片面あるいは両面金属張積層板、他の前記積層体A、前記方法で製造された他の積層体、樹脂基板付金属層、キャリア付金属層、配線、回路または金属層を1回以上積層することを含むビルドアップ基板の製造方法である。
【0019】
また、本発明
は、別の一側面において、前記ロール状積層体または前記ロール状積層体の製造方法により製造されたロール状積層体から前記第1及び第2金属箔を引き出して、前記第1及び第2金属箔を有する積層体を製造する方法で製造された積層体、または、前記方法で製造された積層体、または、前記方法で製造されたビルドアップ基板を用いてプリント配線板を製造する方法である。
【0020】
また、本発明
は、別の一側面において、前記方法で製造されたプリント配線板を用いて電子機器を製造する方法である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、長尺状の金属箔を巻き取ってロール状としても金属箔表面に擦り傷が生じることを良好に抑制するとともに、ロール状の金属箔を繰り出して使用する際の生産性を向上させることが可能なロール状積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明のロール状積層体の断面構成図である。
【
図2】本発明のロール状積層体の製造方法を説明するための模式図である。
【
図3】本発明の他の形態に係るロール状積層体を繰り出して切断して得られる第1及び第2金属箔の積層体の断面構成図である。
【
図4】本発明の他の形態に係るロール状積層体を繰り出して切断して得られる第1及び第2金属箔の積層体の断面構成図及び平面図である。
【
図5】本発明の接着剤層の厚みの測定方法を示すための第1及び第2金属箔の断面模式図である。
【
図6】ロール状積層体の断面の外郭を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<ロール状積層体>
図1に本発明のロール状積層体の断面構成図を示す。
図2に本発明のロール状積層体の製造方法を説明するための模式図を示す。本発明のロール状積層体は、長尺状の第1金属箔と、第1金属箔に接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第2金属箔とが支持体に巻き付けられてなる。なお、本発明において、ロール状積層体の第2金属箔を第1金属箔と読み替え、第1金属箔を第2金属箔と読み替えてもよい。
【0038】
支持体は柱状や管状に形成されていてもよい。支持体は、例えば円柱状または円筒状等に形成されており、金属製、樹脂性、紙製等を素材として用いてもよい。支持体は、コストや取り扱い等の容易さからスプール(紙管)等を用いることができる。
【0039】
本発明のロール状積層体の一つの製造方法は、
図2に示すように、長尺状の第1金属箔の幅方向の両端部に第1金属箔が伸びる方向に沿って接着剤ディスペンサを用いて接着剤層を設けてもよく、接着剤層を設けた第1金属箔の接着剤層側表面に長尺状の第2金属箔を貼り合わせる。次に、接着剤層を介して貼り合わせた長尺状の第1及び第2金属箔を支持体に巻き付けることで、ロール状積層体を得ることができる。このようにして作製されたロール状積層体は、
図1の断面構成図に示すように、接着剤層を介して貼り合わせられた長尺状の第1金属箔及び長尺状の金属箔という2層構造の長尺状の積層体が支持体に巻き付いており、当該2層構造の長尺状の積層体を多重巻取りしたロール状積層体を構成している。なお、接着剤層は第1金属箔の幅方向の両端部以外の部分に設けても良い。
【0040】
接着剤層は、第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って連続的に、または、非連続的に設けられていてもよい。接着剤層は、
図2に示すように第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って設けられている。また、
図3(a)に示すように第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層の間にさらに別の接着剤層が設けられていてもよい。また、
図3(b)に示すように第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層の間にさらに複数の接着剤層が設けられていてもよい。また、第1及び第2金属箔の間に設けられる接着剤層の幅は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。接着剤層の幅の下限値は特に限定はされないが例えば0.5mm以上が好ましく、1mm以上が好ましく、1.5mm以上が好ましく、2mm以上が好ましく、2.5mm以上が好ましく、3mm以上が好ましい。接
着剤層の幅が0.5mm以上である場合、第1金属箔と第2金属箔が十分に密着し、プリント配線板の製造工程において、第1金属箔と第2金属箔が意図せずに剥離しにくくなるという効果がある。接着剤層の幅の上限値は特に限定はされないが例えば100mm以下が好ましく、95mm以下が好ましく、90mm以下が好ましく、50mm以下が好ましく、30mm以下が好ましく、20mm以下が好ましく、10mm以下が好ましい。接着剤層の幅の上限値が100mm以下である場合、接着剤の使用量が少なくなり、また、第1金属箔と第2金属箔のプリント配線板等への使用可能領域が増えるため好ましい。
【0041】
接着剤層は少なくとも一部において厚みが1μm以上であり、且つ、ロール状積層体の第1金属箔および第2金属箔を平面視したときに第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って設けられている。ここで、「両端部」とは、平面視したときに第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の両末端から当該領域の各幅の20%の長さまでの領域を示す。なお、「平面視したときに第1及び第2金属箔が重なり合う領域」については後述の平面図である
図4(a2)、(b2)及び(c2)に模式図の例が示されている。
ロール状積層体の第1金属箔および第2金属箔を平面視したときに第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅は特には限定されないが、第1金属箔及び第2金属箔の内、幅が同じか小さい方の金属箔の幅の50%以上の長さであることが好ましく、60%以上の長さであることが好ましく、70%以上の長さであることが好ましく、80%以上の長さであることが好ましく、90%以上の長さであることが好ましく、95%以上の長さであることが好ましい。第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅が、第1金属箔及び第2金属箔の内、幅が同じか小さい方の金属箔の幅の50%以上の長さである場合、第1金属箔及び第2金属箔において、擦り傷がより発生しにくくなるため好ましい。
【0042】
このように接着剤層は少なくとも一部において厚みが1μm以上であり、且つ、平面視したときに第1及び第2金属箔が重なり合う領域の幅方向の少なくとも両端部に、第1及び第2金属箔が伸びる方向に沿って設けられていることで、ロール状積層体を作製するときや、これを用いて積層体またはプリント配線板等を作製するとき等に、第1金属箔と第2金属箔とが互いに擦れ難くなり、当該金属箔の積層側表面の擦り傷の発生を抑制することができる。なお、平面視したときに第1及び第2金属箔が重なり合う領域は矩形であってもよい。なお、接着剤層の厚みはロール状積層体の外側、中央部、内側のいずれか一箇所以上で1μm以上となっていることが好ましく、いずれか2箇所以上で1μm以上となっていることが好ましく、3箇所で1μm以上となっていることがより好ましい。また、全長に渡って接着剤層厚みが1μm以上となっていることが好ましい。外側、中央部、内側の3箇所で接着剤層厚みが1μm以上となっている場合、ロール状積層体の全長に渡って接着剤層厚みが1μm以上となっているとみなすことができる。また、ロール状積層体から金属箔を取り出して加工する際、合紙等の除去が不要であり、そのまま第1及び第2金属箔が積層した状態で加工することができるため、生産性が向上する。さらに接着剤層を設ける領域以外の金属箔表面への張力が著しく低下するため、金属箔が電解銅箔である場合、銅箔M面(マット面)とS面(シャイニー面)が接触することでM面の粗化形状がS面に転写しS面の平滑性が失われたり、M面のノジュールが脱落しアンカー機能が失われること、トラック等による運搬時にロール銅箔が擦れたり、ズレる(テレスコープ)ことによる擦り傷(共擦れ)の発生を防止することができるロール状積層体を提供することができる。また、内周差外周差により発生する金属箔の皺を防止することが可能である。さらに、このロール状積層体はプリント回路基板への銅箔積層に用いることができる。このような構成によれば、積層体の強度が向上して金属箔の変形を防止するとともに、金属箔の取扱いを容易にし、しかも金属箔表面に樹脂の粉等の汚染物が付着することを良好に抑制することができ、トータルでプリント基板の生産性向上、歩留まり向上に寄与する。ロール状積層体の全ての箇所において、接着剤層の厚みが1μm未満である場合、第1金属箔と第2金属箔とが擦れる場合があり、擦り傷が発生する場合がある。
【0043】
ロール状積層体を構成する第1金属箔と第2金属箔とは、
図1〜3に示すように幅方向において互いに同じ大きさに作製されている以外の形態であってもよい。このような他の形態の具体例を
図4に示す。
図4(a1)はロール状積層体を構成する第1及び第2金属箔の断面模式図であり、
図4(a2)は当該第1及び第2金属箔の平面図である。
図4(a1)及び(a2)では、第1金属箔および第2金属箔を平面視したときに、ロール状積層体の幅方向の一端において第1金属箔及び第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、ロール状積層体の幅方向の他端において、第1金属箔及び第2金属箔の内、前記他方が前記一方からはみ出ている。
【0044】
また、
図4(b1)はロール状積層体を構成する第1及び第2金属箔の断面模式図であり、
図4(b2)は当該第1及び第2金属箔の平面図である。
図4(b1)及び(b2)では、第1金属箔および第2金属箔を平面視したときに、ロール状積層体の幅方向の一端において、第1金属箔及び第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ており、ロール状積層体の幅方向の他端において、第1金属箔及び第2金属箔の内、前記一方及び前記他方の端部が揃っている。
【0045】
また、
図4(c1)はロール状積層体を構成する第1及び第2金属箔の断面模式図であり、
図4(c2)は当該第1及び第2金属箔の平面図である。
図4(c1)及び(c2)では、第1金属箔および第2金属箔を平面視したときに平面視したときに、ロール状積層体の幅方向の両端において、第1金属箔及び第2金属箔の内、一方が他方からはみ出ている。
【0046】
図4に示すようにロール状積層体を構成する第1金属箔と第2金属箔の幅方向の大きさについて、少なくとも一方を他方からはみ出させる大きさとすることによって、第1金属箔と第2金属箔とを容易に区別することができる。また、第1金属箔及び第2金属箔の内、一方から他方を剥がす際、当該他方の金属箔からはみ出している一方の金属箔を持って剥がすことができるようになるため、他方の金属箔から一方の金属箔を剥がしやすくなる。これらにより、作業が効率的となる。また、当該はみ出した部分にロット番号等の印刷または記入をすることができるため、ロール状積層体や、ロール状積層体を繰り出して切断して得られ得る積層体の判別がしやすくなるため、作業効率が向上する。さらに、一方の金属箔のはみ出した部分が他方の金属箔の角部を保護する機能を有するため、搬送時等に金属箔の角が保護されて折れ曲がり等が生じ難い。
なお、前述の第1金属箔及び第2金属箔の内、一方から他方がはみ出す長さの下限値は特には限定されないが、例えば第1金属箔及び第2金属箔の内、幅が同じかまたは大きい方の金属箔の幅の0.5%以上の長さであることが好ましく、1%以上の長さであることが好ましく、2%以上の長さであることが好ましく、5%以上の長さであることが好ましい。第1金属箔及び第2金属箔の内、幅が同じかまたは大きい方の金属箔の幅の0.5%以上の長さである場合、上述した効果が増すためである。
また、前述の第1金属箔及び第2金属箔の内、一方から他方がはみ出す長さの上限値は特には限定されないが、例えば第1金属箔及び第2金属箔の内、幅が同じかまたは大きい方の金属箔の幅の40%以下の長さであることが好ましく、35%以下の長さであることが好ましく、30%以下の長さであることが好ましく、25%以下の長さであることが好ましく、20%以下の長さであることが好ましく、15%以下の長さであることが好ましい。例えば第1金属箔及び第2金属箔の内、幅が同じかまたは大きい方の金属箔の幅の40%以下の長さである場合、第1金属箔及び第2金属箔についてより擦り傷が発生しにくくなるという効果がある。
【0047】
接着剤層の厚みは好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上である。なお、接着剤層の厚みの上限は特に限定する必要はないが、500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることが好ましく、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが好ましい。接着剤層の厚みが小さい場合、接着剤の使用量を少なくすることができ、生産のためのコストを低減することができるからである。
【0048】
本発明における「接着剤層の厚み」は以下のように測定される。
図5(a)に、ロール状積層体を繰り出して第1及び第2金属箔の積層体を切断したときの第1及び第2金属箔の断面図を示す。当該断面図において、
図5(b)に示すように各接着剤層(
図5(b)では代表して接着剤層Jについて示す)に、接着剤層Jが一方の金属箔から離れる点Aから、一方の金属箔の板厚方向に直線を伸ばし、もう一方の金属箔と交わる点Bまでの距離の平均値を接着剤層Jの厚みとする。接着剤層Jが一方の金属箔から離れる点をそれぞれA1〜A4とする。点A1〜A4から点A1〜A4の存在する一方の金属箔の板厚方向に直線を伸ばし、もう一方の金属箔と交わる点をそれぞれ点B1〜B4とする。そして、A1からB1の距離をt1、A2からB2の距離をt2、A3からB3の距離をt3、A4からB4の距離をt4とした場合、前記接着剤層Jの厚みはt1〜t4の算術平均値とする。
接着剤層Jの厚みt=(t1+t2+t3+t4)/4
第1及び第2金属箔の積層体の一つの断面に複数の接着剤層がある場合には、接着剤層の厚みは、上述の方法により算出した各接着剤層の厚みの算術平均値とする。すなわち、第1及び第2金属箔の積層体の一つの断面に2つの接着剤層がある場合には、当該2つの接着剤層の厚みの算術平均値が接着剤層の厚みとなる。
【0049】
本発明における「接着剤層の幅」は以下のように測定される。
図5(b)において、A1とA4との距離をw1とする。また、A2とA3との距離をw2とする。前記接着剤層Jの幅はw1とw2の算術平均値とする。
接着剤層Jの厚みw=(w1+w2)/2
第1及び第2金属箔の積層体の一つの断面に複数の接着剤層がある場合には、接着剤層の幅は、上述の方法により算出した各接着剤層の幅の算術平均値とする。すなわち、第1及び第2金属箔の積層体の一つの断面に2つの接着剤層がある場合には、当該2つの接着剤層の幅の算術平均値が接着剤層の幅となる。
【0050】
また、貼り合わせる金属箔がいずれもシート状裁断物である場合は上部からローラー掛けして、裁断物間及び積層体内に存在する空気を抜き、しかる後に接着剤を硬化させて相互に接着する工程を有するが、本発明のように第1金属箔及び第2金属箔を、接着剤層を介して貼り合わせてロール状積層体を作製する場合は、金属箔のロール巻取り中に空気を排出する作用が生じるため空気抜き工程が不要になる。
【0051】
また、ロール状積層体から、第1金属箔及び第2金属箔を取り出し、いずれか一方の金属箔をガラス繊維強化エポキシ樹脂等のプリプレグシートに貼り合わせてプリプレグシート付き積層体を作製し、これをプリント回路基板への積層に用いることができる。このような構成によれば、積層体の強度が向上して金属箔の変形を防止するとともに、金属箔の取扱いを容易にし、しかも金属箔表面に樹脂の粉等の汚染物が付着することを良好に抑制することができる。
【0052】
本発明のロール状積層体は、上述のように第1及び第2金属箔の幅方向の両端部に接着剤層を設けて重ね合わせた2層構造の積層体が支持体に巻き付けられているため、
図6の断面の外郭を示す模式図に示すように、ロール状積層体の第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層に対応する位置に盛り上がり部が生じることがある。ここで、当該盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線Lを引いたとき、直線Lとロール状積層体の最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、式:0≦d≦0.1×rを満たすのが好ましい。
このように直線Lとロール状積層体の最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)がロール状積層体の巻き厚み(r)の10%以下であれば、当該隙間が十分小さいため、ロール状積層体とされた第1金属箔と第2金属箔とが撓んで接触してしまうことを良好に抑制することができる。
当該直線Lと前記ロール状積層体の前記最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)と、前記ロール状積層体の巻き厚み(r)とが、式:0≦d≦0.05×rを満たすのがより好ましく、典型的には、式:500μm≦d≦0.1×rである。
なお、巻き厚みrは特に限定されないが典型的には5mm以上、10mm以上、50mm以上、70mm以上、または100mm以上であり、また、典型的には1500mm以下、1400mm以下、1300mm以下、1000mm以下、または900mm以下である。
【0053】
接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下であるのが好ましい。接着剤層の粘度が高すぎると、第1金属箔及び第2金属箔を強固に固定し過ぎてしまい、何らかの外部からの負荷がかかったときに追従し難く、シワや亀裂が生じる原因となるおそれがある。これに対し、接着剤層を構成する接着剤の塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下であると、第1金属箔と第2金属箔とが貼り合わせられたままで外部の負荷に対して追従する余地があり、シワや亀裂の発生を抑制することができる。接着剤層を構成する接着剤は塗布後3分経過後の粘度が100万mPa・s(25℃)以下であるのがより好ましい。
接着剤層を構成する接着剤は、例えばエポキシ系、アクリル系、メタクリレート系、シリコンゴム系、セラミック系、ゴム系のいずれか一種以上を用いることができる。
【0054】
長尺状の第1金属箔と長尺状の第2金属箔とは、それぞれ金属箔であれば特に限定されないが、例えば銅箔、電解銅箔、圧延銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、亜鉛箔、亜鉛合金箔等であってもよい。
【0055】
長尺状の第1金属箔及び長尺状の第2金属箔は厚みが5〜70μmであるのが好ましい。このような構成によれば、接着剤層の厚み(すなわち第1金属箔と第2金属箔との隙間)である1〜50μmに対して、第1金属箔及び第2金属箔の撓みが少なく互いに接触することをより良好に抑制することができる。
なお、ロール状積層体に用いる金属箔の幅は特に限定をする必要は無いが、典型的には100mm以上、200mm以上、または300mm以上であり、また典型的には3000mm以下、2500mm以下、2000mm以下、1800mm以下、1600mm以下、または1500mm以下である。なお、本明細書で「金属箔」と記載した場合には、当該「金属箔」は第1金属箔および第2金属箔を含む概念とする。
なお、ロール状積層体に用いる金属箔の長さは特に限定をする必要は無いが、典型的には10m以上、20m以上、または30m以上であり、また典型的には50000m以下、40000m以下、30000m以下、20000m以下、または18000m以下である。
【0056】
<キャリア付金属箔>
本発明のロール状積層体は、第1金属箔及び第2金属箔が、それぞれ、キャリアと、中間層と、極薄金属層とをこの順に備えたキャリア付金属箔であってもよい。このとき、第1金属箔(第1キャリア付金属箔)のキャリア側表面と、第2金属箔(第2キャリア付金属箔)のキャリア側表面とを接着剤層を介して貼り合わせてロール状積層体を作製してもよい。このとき、第1及び第2のキャリア付金属箔のキャリア側同士を接着剤層で貼り合わせた積層体を用いることで、コアレス基板を作製することが可能となる。なお、前述の積層体はロール状積層体から第1金属箔と第2金属箔とを有する積層体を引き出した後に、切断してえられる積層体であっても良い。極薄金属層は極薄銅層であることが好ましい。また、本明細書においてキャリア付金属箔はキャリア付銅箔を含む概念である。また、本明細書において、キャリア付金属箔をキャリア付銅箔と読み替えてもよい。
また、第1金属箔(第1キャリア付金属箔)及び第2金属箔(第2キャリア付金属箔)のいずれか一方のキャリア側表面と、他方の極薄金属層側表面とを接着剤層を介して貼り合わせてロール状積層体を作製してもよい。
また、第1金属箔(第1キャリア付金属箔)及び第2金属箔(第2キャリア付金属箔)のいずれか一方の極薄金属層側表面と、他方の極薄金属層側表面とを接着剤層を介して貼り合わせてロール状積層体を作製してもよい。なお、第1及び第2キャリア付金属箔はそれぞれ公知のキャリア付金属箔を用いることができる。
【0057】
次に、プリント回路基板用のキャリア付金属箔のロール状金属箔の製造工程について説明する。キャリア付金属箔は、一般的にキャリア上に剥離層を介して極薄金属層を形成することで全面に極薄金属層を易剥離接着した構成である。特に、極薄金属層が電解金属箔で構成されているとき、そのマット面はキャリアと相対する面に形成される。このような、全面接着されたキャリア付金属箔はその製造工程において、例えば紙管に巻き取る際には極薄金属層のマット面がキャリアに接する構成となる。またこの際、極薄金属層のマット面にはキャリアと接することによるダメージ、例えばキャリアと極薄金属層とが擦れることによる極薄金属層のマット面に形成されている粗化処理層のノジュール(粗化処理粒子)の脱落が発生しやすい。また、このロール状金属箔(銅箔)の輸送時には振動による共擦れ(スクラッチ)が発生することがある。これに対し、上述のような本発明の構成によれば、接着剤層を介してキャリアとキャリアとを貼り合わせて、または、キャリアと極薄金属層とを貼り合わせて支持体に巻き付けられるため、キャリア及び極薄金属層のダメージが生じにくい。これはキャリアと極薄金属層とを貼り合わせた2層構造の積層体を支持体に巻き付けるときのテンション(張力)は通常100〜1000N/mであるが、その際の負荷は接着剤層に集中するためキャリアと極薄金属層との共擦れ(スクラッチ)やマット面ノジュールの脱落が良好に抑制されるからである。
また、ロール状積層体から金属箔(キャリア付金属箔)を取り出して加工する際、合紙等の除去が不要であり、そのまま第1及び第2金属箔(第1及び第2キャリア付金属箔)が積層した状態で加工することができるため、生産性が向上する。また、第1及び第2金属箔の接着剤層が設けられていない箇所には金属箔をロール状に巻き取る際の張力が掛かりにくいため、当該箇所における第1及び第2金属箔の互いのマット面(第1及び第2キャリア付金属箔の互いの極薄金属層のマット面)どうしがロールに巻き取る際に互いに接触して擦れてしまいマット面から発生する金属粉異物が積層側表面に生じることを良好に抑制することができ、また、第1及び第2金属箔を巻出し使用(ロール状積層体から取り出して使用)する際のハンドリング性が良好となる。
ここで、本明細書において「キャリア付金属箔」はキャリア付銅箔を含む概念である。また、本明細書において「極薄金属層」は極薄銅層を含む概念である。また、本明細書において「電解金属箔」は電解銅箔を含む概念である。また、本明細書において「ロール状金属箔」はロール状銅箔を含む概念である。
【0058】
当該ロール状積層体によって作製されるキャリア付金属箔を用いて、例えば極薄金属層表面またはキャリア表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後に極薄金属層またはキャリアを剥がし、極薄金属層またはキャリアを目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
【0059】
また、当該ロール状積層体の使用形態として、例えば、製造工程へ投入後に所望の長さにシート状にカットし、得られた第1及び第2金属箔を有する積層体(以下「シート金属箔積層体」ともいう。)を用いて、シート金属箔積層体/プリプレグ/シート金属箔積層体/SUS中間板、及びこの構成の繰り返し、という構成に積み上げた後、ホットプレスを行ってもよい。また、ロール状積層体から金属箔積層体を巻き出し、金属箔積層体/プリプレグ/金属箔積層体の構成とした上で、ホットプレスロールでラミネート積層する工程(Roll to Roll法、ロール・ツウ・ロール法)によって金属(銅)張積層板等を作製してもよい。
【0060】
<積層体、ビルドアップ基板、プリント配線板、電子機器>
本発明のロール状積層体から第1及び第2金属箔を引き出して、切断をすることで、第1及び第2金属箔を有する積層体を製造することができる。また、当該積層体または後述する第1及び第2金属箔を樹脂層と他の金属箔で覆って袋とじにする形態を有する積層体の少なくとも一方の表面に、ビルドアップ配線層を一層以上形成することでコアレスビルドアップ基板を作製することができる。
【0061】
ビルドアップ配線層はサブトラクティブ法又はフルアディティブ法又はセミアディティブ法の少なくとも一つを用いて形成してもよい。また、本発明の方法で製造された積層体の少なくとも一方の表面または両面に、樹脂、片面あるいは両面配線基板、片面あるいは両面金属張積層板、本発明の方法で製造された積層体、樹脂基板付金属層、キャリア付金属層、配線、回路または金属層を1回以上積層することでビルドアップ基板を製造することができる。また、樹脂、片面あるいは両面配線基板、片面あるいは両面金属張積層板、積層体、樹脂基板付金属層、キャリア付金属層、配線、回路または金属層に穴を開け、穴の側面および底面に導通めっきを更に実施してもよい。
【0062】
また、片面あるいは両面配線基板を構成する金属層、片面あるいは両面金属張積層板を構成する金属層、及び積層体を構成する金属箔、キャリア付金属層を構成する金属層、樹脂基板付金属層の金属層、及び金属層の少なくとも一つに配線を形成する工程を1回以上行うことでビルドアップ基板を作製してもよい。また、配線形成された表面の上に、本発明の方法で製造された積層体を積層する工程を更に行うことでビルドアップ基板を作製してもよい。また、積層体を、金属層の面において平面視したときに、金属層同士の積層面の少なくとも一つにて切断する工程を行うことでビルドアップ基板を作製してもよい。また、切断後の積層体の金属層同士を剥離して分離する工程を更に行うことでビルドアップ基板を作製してもよい。また、剥離して分離した金属層の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に行うことでビルドアップ基板を作製してもよい。
また、第1及び第2金属箔の積層体の両外側表面に樹脂層を積層してもよく、さらに樹脂層の上に金属箔を積層してもよい。このとき、樹脂層とその上の金属箔とは、第1及び第2金属箔より大きくすることで、第1及び第2金属箔を覆って袋とじにする形態を有する積層体とすることもできる。前述の第1及び第2金属箔はキャリア付金属箔であってもよい。また、前述の樹脂層には公知の樹脂および/またはプリプレグを用いてよい。また、前述の樹脂層は板状であってもよい。
【0063】
上述の本発明の方法で得られた積層体またはビルドアップ基板を用いてプリント配線板を作製することができ、更に、プリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。
【実施例】
【0064】
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
一般に、接着剤は塗工後硬化するため、接着剤の粘度は刻々と変化する。そこで、あらかじめ使用する接着剤の塗布後3分経過後の25℃における粘度を回転式粘度計(B型粘度計、Brookfield社製 Brookfield回転粘度計 HA DV3T)を用いて測定した。以下の例で使用した接着剤の粘度は、接着剤に含まれる高分子材料の重合度を調整することにより調整した。
【0065】
(実施例1)
1.ロール状積層体の作製
図2に示すような製造装置を準備し、搬送ロールから長尺状の第1及び第2金属箔を搬送した。第1金属箔として厚さ12μm、幅500mmの電解銅箔を用い、第2金属箔として厚さ18μm、幅500mmの圧延銅箔を用いた。
【0066】
次に、長尺状の第1金属箔S面の幅方向の両端部に第1金属箔が伸びる方向に沿って、塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下であるアクリル系の接着剤層を連続的に塗布した。
【0067】
次に、長尺状の第1金属箔S面と長尺状の第2金属箔S面とを接着剤層を介して貼り合わせて2層構造の積層体とし、支持体としてのスプールに巻き付けることで、
図1及び
図6に示すようなロール状積層体を作製した。
【0068】
2.ロール状積層体の評価
ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の厚みはそれぞれ8.5μm、10μm、11.3μmであった。ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の幅はそれぞれ0.8mm、0.6mm、0.5mmであった。なお、接着剤層の厚みおよび幅は以下の様に測定した。(ロール状積層体の元の巻き厚みをr1[mm]とする。)
サンプリング
・外側:ロール状積層体の1周目を剥がし、2周目の積層体をシート状に切り出した。
・中央:巻き厚みがr1×(1/2±0.05)まで、ロール状積層体を巻きほぐし、積層体をシート状に切り出した。
・内側:ロール状積層体を巻き厚みがr1×0.1〜r1×0.05となるまで、ロール状積層体を巻きほぐし、積層体をシート状に切り出した。
そして、上述の外側、中央、内側の切り出したシート状の積層体の、切り出した切断面に存在する2箇所の接着剤層の厚みおよび幅をそれぞれ上述の様に測定し、当該2か所の接着剤層の厚みおよび幅の算術平均値を求めた。
また、第1及び第2金属箔にシワや亀裂は発生していなかった。さらに、ロール状積層体から第1及び第2金属箔を取り出して剥がしたとき、第1及び第2金属箔の接着剤層側表面に擦り傷が生じていなかった。
また、ロール状積層体の第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶようにストレートエッジ(松井精密株式会社製、下端定規、長さ600mm、片刃/凹みなし)を当て、当該ストレートエッジとロール状積層体の最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)が50μmであり、ロール状積層体の巻き厚み(r)が500mmであったため、式:0≦d≦0.1×rを満たしていた。なお、ストレートエッジの代わりに、剛性が高く変形しない金属や有機物の板や定規等を使用して測定しても良い。なお、dの測定には組合わせすきまゲージを用いても良い。dはロール状積層体の円周方向に3か所位置を変えて測定し、当該3か所のdの測定値の算術平均値を、当該ロール状積層体の最大深さdとした。
【0069】
(実施例2)
1.ロール状積層体の作製
図2に示すような製造装置を準備し、搬送ロールから長尺状の第1及び第2金属箔を搬送した。第1金属箔としてキャリア付銅箔(極薄銅層厚5μm、キャリア厚18μm、幅540mm)を用い、第2金属箔としてキャリア付銅箔(極薄銅層厚5μm、キャリア厚18μm、幅540mm)を用いた。
【0070】
次に、長尺状の第1金属箔のキャリア面の幅方向の両端部に第1金属箔が伸びる方向に沿って、塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下であるシリコンゴム系の接着剤層を断続的(塗工部1cm長、未塗工部3cm長)に塗布した。
【0071】
次に、長尺状の第1金属箔と長尺状の第2金属箔のキャリア面どうしを、接着剤層を介して貼り合わせて2層構造の積層体とし、支持体としてのスプールに巻き付けることで、
図1及び
図6に示すようなロール状積層体を作製した。
【0072】
2.ロール状積層体の評価
ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の厚みはそれぞれ6.8μm、5.0μm、5.2μmであった。ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の幅はそれぞれ1.4mm、1.5mm、1.5mmであった。また、第1及び第2金属箔にシワや亀裂は発生していなかった。さらに、ロール状積層体から第1及び第2金属箔を取り出して剥がしたとき、第1及び第2金属箔の接着剤層側表面および極薄銅層表面に擦り傷が生じていなかった。
また、ロール状積層体の第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、直線とロール状積層体の最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)が30μmであり、ロール状積層体の巻き厚み(r)が500mmであったため、式:0≦d≦0.1×rを満たしていた。
【0073】
(実施例3)
1.ロール状積層体の作製
図2に示すような製造装置を準備し、搬送ロールから長尺状の第1及び第2金属箔を搬送した。第1金属箔としてキャリア付銅箔(極薄銅層厚5μm、キャリア厚18μm、幅500mm)を用い、第2金属箔としてアルミ箔(厚さ40μm、幅510mm)を用いた。
【0074】
次に、長尺状の第1金属箔のキャリア面の幅方向の両端部に第1金属箔が伸びる方向に沿って、塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下であるメタクリレート系の接着剤層を継続的に塗布した。
【0075】
次に、長尺状の第1金属箔のキャリア面と長尺状の第2金属箔どうしを、接着剤層を介して貼り合わせて2層構造の積層体とし、支持体としてのスプールに巻き付けることで、
図1及び
図6に示すようなロール状積層体を作製した。なお、当該2層構造の積層体は、第1金属箔としてのキャリア付銅箔(幅500mm)に対して、第2金属箔としてのアルミ箔(幅510mm)が幅方向の両端に5mmずつはみ出て積層された構成となっている。
【0076】
2.ロール状積層体の評価
ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の厚みはそれぞれ2.1μm、3.0μm、4.0μmであった。ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の幅はそれぞれ3.5mm、3.4mm、3.4mmであった。また、第1及び第2金属箔にシワや亀裂は発生していなかった。さらに、ロール状積層体から第1及び第2金属箔を取り出して剥がしたとき、第1及び第2金属箔の接着剤層側表面および極薄銅層表面に擦り傷が生じていなかった。
また、ロール状積層体の第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、直線とロール状積層体の最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)が10μmであり、ロール状積層体の巻き厚み(r)が500mmであったため、式:0≦d≦0.1×rを満たしていた。
【0077】
(実施例4)
1.ロール状積層体の作製
図2に示すような製造装置を準備し、搬送ロールから長尺状の第1及び第2金属箔を搬送した。第1金属箔として厚さ12μm、幅1290mmの電解銅箔を用い、第2金属箔として厚さ12μm、幅1290mmの電解銅箔を用いた。
【0078】
次に、長尺状の第1金属箔S面の幅方向の両端部に第1金属箔が伸びる方向に沿って、塗布後3分経過後の粘度が300万mPa・s(25℃)以下であるアクリル系の接着剤層を連続的に塗布した。
【0079】
次に、長尺状の第1金属箔S面と長尺状の第2金属箔S面とを、接着剤層を介して貼り合わせて2層構造の積層体とし、支持体としてのスプールに巻き付けることで、
図1及び
図6に示すようなロール状積層体を作製した。
【0080】
2.ロール状積層体の評価
ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の厚みはそれぞれ15.9、10.8μm、13.6μmであった。ロール状積層体における外側、中央、内側の接着剤層の幅はそれぞれ35.3mm、36.1mm、35.8mmであった。また、第1及び第2金属箔にシワや亀裂は発生していなかった。さらに、ロール状積層体から第1及び第2金属箔を取り出して剥がしたとき、第1及び第2金属箔の接着剤層側表面に擦り傷が生じていなかった。
また、ロール状積層体の第1及び第2金属箔の厚み方向における最表面において、第1及び第2金属箔の幅方向の両端部の接着剤層に対応する位置における盛り上がり部の頂点同士を結ぶように直線を引いたとき、直線とロール状積層体の最表面との間に生じる隙間の最大深さ(d)が50μmであり、ロール状積層体の巻き厚み(r)が500mmであったため、式:0≦d≦0.1×rを満たしていた。