(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側入口部および/または外側出口部が、固体レーザ装置の使用時にチャンバの最も鉛直下側の部材となるチャンバ底壁部材に形成されている請求項1から6のいずれか1項に記載の固体レーザ装置。
前記レーザロッドおよび/または前記ランプの一部を内部に収める管状のフローチューブが設けられ、このフローチューブ内に冷却液が導入される請求項1から12のいずれか1項に記載の固体レーザ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および2に示された冷却構造は、レーザロッド励起用ランプの中でも特に高温になりやすい、両端の電極近辺を冷却する効果が低いことが認められている。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、チャンバ内にレーザロッドおよびレーザロッド励起用ランプを収容してなる固体レーザ装置において、ランプの電極近辺を効率良く冷却することができる固体レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による固体レーザ装置は、
棒状のレーザロッドと、
直管状に形成されて両端にそれぞれ電極部を有し、レーザロッドと長軸同士が平行で、かつレーザロッドと間隔を置いて並ぶ状態に配されたレーザロッド励起用ランプと、
レーザロッドおよびランプを収容するチャンバとを備えてなる固体レーザ装置において、
レーザロッドおよびランプの各々の少なくとも一部を収容して、冷却液が導入される第1水槽部と、
レーザロッドを基準にしてランプと反対側の位置において、チャンバを構成する部材に設けられ、冷却液をチャンバ内に受け入れる外側入口部と、
レーザロッドを基準にしてランプと反対側の位置において、チャンバを構成する部材に設けられ、冷却液をチャンバ外に排出する外側出口部と、
ランプの両端の電極部を各々収容して、第1水槽部に連通する2つの第2水槽部と、
一端が上記外側入口部に連通し、他端が第2水槽部のみに開口する内側入口部とされた冷却液流入通路と、
一端が上記外側出口部に連通し、他端が第1水槽部に開口する内側出口部とされた冷却液流出通路と、
が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
なお、上記の冷却液流入通路は、チャンバを構成する壁部材内に穿設されていることが望ましい。
【0011】
また、本発明の固体レーザ装置においては、
上記外側入口部が1つだけ設けられ、
冷却液流入通路が、上記1つの外側入口部に連通する1つの一端から他端に向かう部分においてチャンバの壁部材内で2つに分岐され、
2つに分岐された冷却液流入通路の他端がそれぞれ第2水槽部のみに開口していることが望ましい。
【0012】
他方、上記冷却液流出通路も、チャンバを構成する壁部材内に穿設されていることが望ましい。
【0013】
また、上記内側入口部は、電極部の少なくとも一部に対向する位置において、第2水槽部に開口していることが望ましい。
【0014】
また、チャンバのレーザロッドを収容する部分とランプを収容する部分とは、互いに分割可能とされていることが望ましい。
【0015】
また、上記外側入口部および/または外側出口部は、固体レーザ装置の使用時にチャンバの最も下側の部材となるチャンバ底壁部材に形成されていることが望ましい。
【0016】
ま
た、チャンバには、第1水槽部を形成している部分よりもランプ長軸方向に突出した突出部分が形成され、この突出部分内に第2水槽部が形成されていることが望ましい。
【0017】
またランプの電極部は、ランプ長軸方向に関して、レーザロッドの端部よりも外側に突出していることが望ましい。
【0018】
また第1水槽部内には、レーザロッドおよびランプの各一部を取り囲む集光部材が配設されていることが望ましい。
【0019】
また、第1水槽部の内壁面と上記集光部材との間には、間隙が設けられていることが望ましい。
【0020】
さらに、集光部材のレーザロッドを取り囲む部分とランプを取り囲む部分とは、互いに分割可能とされていることが望ましい。
【0021】
また、本発明の固体レーザ装置においては、レーザロッドおよび/またはランプの一部を内部に収める管状のフローチューブが設けられ、このフローチューブ内に冷却液が導入されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の固体レーザ装置によれば、ランプの電極部を効率良く冷却することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。まず
図1〜
図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る固体レーザ装置10について説明する。
図1はこの固体レーザ装置10の側断面形状を示すものであり、
図2および
図3はそれぞれ
図1のA−A線、B−B線に沿った部分の断面形状を示す立断面図、
図4、
図5、
図6および
図7はそれぞれ
図1のC−C線、D−D線、E−E線およびF−F線に沿った部分の断面形状を示す平断面図、そして
図8はこの固体レーザ装置10のレーザチャンバを示す斜視図である。なお
図4〜
図7では、不要な部分を適宜省いて示している。また以下では、
図1中での左右方向を固体レーザ装置10における左右方向と称することとする。
【0025】
図1に示されるようにこの固体レーザ装置10は、レーザチャンバ11と、一部がこのレーザチャンバ11内に収容される棒状のレーザロッド(固体レーザ媒質)12と、全体として直管状に形成されてその一部がレーザチャンバ11内に収容されるフラッシュランプ13とを有している。このフラッシュランプ13は、レーザロッド12と長軸同士が平行で、かつレーザロッド12と間隔を置いて並ぶ状態に配されている。
【0026】
なおレーザロッド12およびフラッシュランプ13は、長軸同士が厳密に平行となる状態に配置する他、長軸同士がある程度の範囲内において互いに角度をなす、平行に近い状態に配置されても構わない。本明細書では、そのような状態も「長軸同士が平行」であることに含むものとする。
【0027】
図8にも明示されているようにレーザチャンバ11は、中央部に概略直方体状の空間である第1水槽部21を有している。またレーザチャンバ11は左右に突出した部分11aを有し、それらの突出部分11aには、各々水平方向に延びる円柱状の空間である第2水槽部22が形成されている。これらの第2水槽部22は、それぞれ第1水槽部21に連通している。また上記突出部分11aの下方において、第1水槽部21の左右に位置する縦壁部材11bには、それぞれレーザロッド12を挿通させる円柱状のロッド保持孔23が穿設されている。
【0028】
レーザロッド12は、例えばアレキサンドライト(Cr:BeAl
2O
3)、ネオジムYAG(Nd:YAG)、チタンサファイア(Ti:Al
2O
3)等の固体レーザ結晶がロッド状に加工されてなるものである。なお、レーザロッド12としては上に挙げたものに限らず、その他公知のものが適宜用いられてもよい。
【0029】
フラッシュランプ13は、上記レーザロッド12を励起するための励起光源であり、両端にそれぞれ電極13aを有している。なお本明細書においては、電極13aが形成されているランプ端部から、それよりも中央側の発光部分の端部までの部分13bを、電極部と称することとする。2つの電極13aにはそれぞれ導線13cが接続され、それらの導線13cを介してフラッシュランプ13が点灯用光源に接続される。
【0030】
なおフラッシュランプ13としてより詳しくは、例えばキセノン・フラッシュランプ等が適用可能である。また、本発明の固体レーザ装置における励起光源としては、このようなフラッシュランプ13に限らず、例えばLED(発光ダイオード)を複数並べて透明な直管内に配置することにより、全体が棒状に形成されたもの等が適用されてもよい。
【0031】
フラッシュランプ13は、主に電極部13bがそれぞれ第2水槽部22内に位置し、主に発光部が第1水槽部21内に位置する状態にしてレーザチャンバ11内に配置される。そして、フラッシュランプ13の両端部にランプ保持部材25を例えば嵌合させ、それら1対のランプ保持部材25を各々突出部分11aに例えばネジ止めすることによって、フラッシュランプ13がレーザチャンバ11内に収容、固定される。なお、第2水槽部22の外端の外周位置にOリングが配され、各ランプ保持部材25はこのOリングを介して突出部分11aに圧接する状態とされる。それにより、第2水槽部22とレーザチャンバ11の外とが液密状態に保たれる。
図1では、それらのOリングを概略的に黒丸で示している。
【0032】
一方レーザロッド12は、前記縦壁部材11bのロッド保持孔23に左右端部を各々挿通させ、ロッド保持孔23から外に出た部分をロッド保持部材27に保持させ、それらのロッド保持部材27を中間部材26に例えばネジ止めすることによって、レーザチャンバ11内に収容、固定される。なお、レーザロッド12の端部の外周面にOリングが嵌着され、各ロッド保持部材27はこのOリングを介して中間部材26に圧接する状態とされる。それにより第1水槽部21の内部が、レーザチャンバ11の外と液密状態に保たれる。それらのOリングも、
図1中では概略的に黒丸で示している。
【0033】
ここで、レーザロッド12およびフラッシュランプ13の保持は、以上述べた構造とは別の構造を適用して行っても構わない。またレーザロッド12およびフラッシュランプ13は、それぞれ全体がレーザチャンバ11内に収容されてもよいし、あるいは一部のみがレーザチャンバ11内に収容されてもよい。
【0034】
第1水槽部21内には、集光部材39が配置されている。なお
図1では、この集光部材39の上部の一部だけを示している。集光部材39は
図2および
図3に示す通り、レーザロッド12およびフラッシュランプ13を取り囲む形状のものであり、その内壁面39aの上には、フラッシュランプ13が発した光を拡散反射させる拡散部材が層状に形成されている。それによりレーザロッド12は、フラッシュランプ13が発した光によって一様に照射されるようになる。
【0035】
こうして、フラッシュランプ13から発せられた光が照射されることによりレーザロッド12が励起され、誘導放出によりレーザロッド12からコヒーレントな特定波長の光が放出される。なおレーザロッド12の両端からその軸外方、つまり
図1において左方および右方に離れた位置には、レーザロッド12から放出された光を共振させる共振器ミラーが配置されるが、それらは本発明と直接関係しないので図示を省略する。
【0036】
ここで、上記の集光部材39は省かれても構わない。その場合は、第1水槽部21の周壁となるレーザチャンバ11の部分に、拡散部材を層状に形成しておくのが望ましい。
【0037】
次に、レーザロッド12およびフラッシュランプ13を冷却するための構造について説明する。特に
図8に明示されるようにレーザチャンバ11の1つの側面には、第1水槽部21よりも低い位置において、1つの外側入口部31が開口している。この外側入口部31は、固体レーザ装置10の使用時にレーザチャンバ11の最も下側の部材となる底壁部材11cの側面に開口している。外側入口部31は、レーザロッド12を基準にしてフラッシュランプ13と反対側の位置において開口している。ここで、上記の「反対側」とは、レーザロッド12、フラッシュランプ13および外側入口部31を、レーザロッド12、フラッシュランプ13の長軸を含む面に写影したとき、レーザロッド12を真ん中に置いてその外側にフラッシュランプ13および外側入口部31が位置する状態を意味するものである。
【0038】
レーザチャンバ11内には、上記の外側入口部31に連通した通路32と、この通路32から2つに分岐した分岐通路33とからなる冷却液流入通路が形成されている。通路32は上記底壁部材11c内に穿設され、同じく底壁部材11c内に穿設された2つの分岐通路33に分岐されている。各分岐通路33は、底壁部材11c内を延びてから立ち上がって縦壁部材11b内を垂直方向に延び、突出部分11a内を斜めに延びてから水平方向に延び、最後は1つの第2水槽部22のみに開口している。この開口した部分は、第2水槽部22に連なる内側入口部34とされている。つまり、通路32と分岐通路33とからなる冷却液流入通路は、一端が外側入口部31に連通し、他端が第2水槽部22のみに開口する内側入口部34とされたものである。
【0039】
なおフラッシュランプ13の電極部13bは、ランプ長軸方向に関して、レーザロッド12の端部よりも外側に突出している。そして上記外側入口部31は、電極部13bに対向する位置において、第2水槽部22に開口している。
【0040】
また、2つの縦壁部材11bに対して直角に配された1つの縦壁部材11dには、1つの外側出口部35が開口している。この外側出口部35は、レーザロッド12を基準にしてフラッシュランプ13と反対側の位置において開口している。ここで、上記の「反対側」とは、レーザロッド12、フラッシュランプ13および外側出口部35を、レーザロッド12、フラッシュランプ13の各長軸を含む面に写影したとき、レーザロッド12を真ん中に置いてその両外側にフラッシュランプ13および外側出口部35が位置する状態を意味するものである。
【0041】
そして上記縦壁部材11dには、一端が外側出口部35に連通し、他端が第1水槽部21に開口する内側出口部37とされた冷却液流出通路36が穿設されている。この冷却液流出通路36は、その下端が第1水槽部21の下端と整合するようになる上下位置に設けられている。なお外側出口部35は、レーザチャンバ11の側面に設ける他、レーザチャンバ11の底面、つまりより具体的には、底壁部材11cの下面に開口させてもよい。これは、外側入口部31についても同様である。
【0042】
以下、上記の構成によるレーザロッド12およびフラッシュランプ13の冷却について説明する。
図8に示すように外側入口部31には、図示外の冷却液循環系から送られた冷却水等の冷却液(冷媒)が流入する。なお、外側入口部31への冷却液の供給は、外側入口部31に接続された配管やホース等によってなされる。また冷却液の供給は、特に循環系を用いずに、いわゆる使い捨ての形態でなされてもよい。
【0043】
外側入口部31に流入した冷却液は、通路32、分岐通路33、内側入口部34を経て、2つの第2水槽部22の各々内に供給される。フラッシュランプ13の電極部13bは、通常、発光部よりも特に高温になりやすくなっている。そのような電極部13bを収容している第2水槽部22に最初に冷却液を供給すれば、まだ温度上昇していない冷却液によって電極部13bが効率良く冷却され得る。
【0044】
また、電極部13bの冷却効率を高める上では、第2水槽部22に供給する冷却液の流量を多くすることが望まれるが、本装置では、冷却液を第2水槽部22と第1水槽部21に同時に供給することはしないで、まず第2水槽部22のみに供給するようにしているので、第2水槽部22に供給する冷却液の流量が多く確保される。よって、この点からも、電極部13bが効率良く冷却され得る。
【0045】
2つの第2水槽部22の各々を流れた冷却液は、次に第1水槽部21内に流入して、この第1水槽部21内に収容されているフラッシュランプ13の発光部およびレーザロッド12を冷却する。なお本実施形態では、第1水槽部21内に集光部材39が配置されているが、冷却液はこの集光部材39の内側および外側を流れて、フラッシュランプ13の発光部およびレーザロッド12を冷却する。
【0046】
第1水槽部21内を流れた冷却液は、内側出口部37から冷却液流出通路36に流入し、外側出口部35からレーザチャンバ11の外に流出する。この流出した冷却液は、外側出口部35に接続された配管やホース等を介して、例えば冷却液循環系に設けられた熱交換器に送られ、そこで熱交換によって除熱された後、再び外側入口部31に供給される。あるいは、前述したように冷却液循環系には戻さずに、そのまま使い捨てとされても構わない。
【0047】
なおレーザロッド12やフラッシュランプ13は、保守点検や整備、あるいは交換等のためにレーザチャンバ11から取り外されることもある。その際に、第1水槽部21や第2水槽部22に冷却液が残っていると、レーザチャンバ11から冷却液が漏出することもある。しかし本実施形態に係る固体レーザ装置10においては、その使用状態において、外側入口部31および外側出口部35が第1水槽部21および第2水槽部22よりも鉛直方向下側に位置するので、冷却液をそれらの外側入口部31および外側出口部35から容易に抜き取り可能となり、よって上記の事態を招くことを防止できる。
【0048】
また、通路32および分岐通路33からなる冷却液流入通路および冷却液流出通路36を、レーザチャンバ11を構成する部材内に穿設すれば、通路による凹凸等が無い、簡潔な構成の固体レーザ装置10とすることができる。
【0049】
次に
図9および
図10を参照して、本発明の第2の実施形態に係る固体レーザ装置40について説明する。なおこれらの図において、先に説明した
図1〜
図8中のものと同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する(以下、同様)。
【0050】
図9はこの固体レーザ装置40の側断面形状を示すものである。図示の通りこの固体レーザ装置40は、前述した第1の実施形態に係る固体レーザ装置10と比べると、レーザチャンバが上下2つに分割されている点が基本的に異なるものである。すなわち本実施形態において、レーザチャンバは、フラッシュランプ13を収容する上側レーザチャンバ11Uと、この上側レーザチャンバ11Uと互いに分割された下側レーザチャンバ11Lとから構成されている。また、両レーザチャンバ11U、11Lが分割されたことに対応して、第2水槽部22に近い部分において、分岐通路33の形状も一部変更されている。
【0051】
上側レーザチャンバ11Uと下側レーザチャンバ11Lとは、例えばネジ止め等によって一体化される。上側レーザチャンバ11Uと下側レーザチャンバ11Lにはそれぞれ第1水槽部21が形成されており、上側レーザチャンバ11Uと下側レーザチャンバ11Lとが一体化されると、各々の第1水槽部21が一つの空間となって、第1の実施形態に係る固体レーザ装置10におけるのと同様の第1水槽部21が構成される。
【0052】
固体レーザ装置40の保守、点検、フラッシュランプ13の交換等の作業を行う際には、上側レーザチャンバ11Uと下側レーザチャンバ11Lとが分離される。それにより、下側レーザチャンバ11Lに収容されているレーザロッド12のアライメントを崩すことなく、フラッシュランプ13の交換等を行うことが可能になる。
【0053】
上側レーザチャンバ11Uの下面と合わせられる下側レーザチャンバ11Lの上面には、
図10に示されるように、第1水槽部21および2つの分岐通路33を外側から囲う状態にして、Oリング41が配設されている。そこで、上側レーザチャンバ11Uと下側レーザチャンバ11Lとを一体化させたとき、このOリング41の内側と外側とが液密状態に保たれるので、第1水槽部21や分岐通路33から冷却液がチャンバ外に漏出することが防止される。
【0054】
次に
図11〜
図13を参照して、本発明の第3の実施形態に係る固体レーザ装置50について説明する。
図11はこの固体レーザ装置50の側断面形状を示すものである。図示の通りこの固体レーザ装置50は、前述した第2の実施形態に係る固体レーザ装置40と比べると、集光部材が設けられている点が基本的に異なるものである。すなわち本実施形態では、
図13に立面形状を示す上側集光部材39Uと下側集光部材39Lとからなる集光部材が、第1水槽部21の中に配設されている。
【0055】
上側集光部材39Uと下側集光部材39Lとからなる集光部材は、第1の実施形態において用いられている集光部材39と同じ作用を果たすものである。ただし本実施形態においては、上側レーザチャンバ11Uと下側レーザチャンバ11Lとを互いに分離する際に、上側集光部材39Uと下側集光部材39Lも互いに分離可能となっている。そこで、フラッシュランプ13の交換等をより容易に行うことができる。
【0056】
そして、
図11および、下側レーザチャンバ11Lの平面形状を示す
図12に示されている通り、上側集光部材39Uおよび下側集光部材39Lの外面と、第1水槽部21の周囲壁となっている上側レーザチャンバ11Uおよび下側レーザチャンバ11Lの内壁面との間には、適宜数のスペーサ51が配置されている。これにより、上側集光部材39Uおよび下側集光部材39Lの外面と、第1水槽部21の周囲壁との間に適宜の間隙が形成され、そこを冷却液が流通可能となって冷却効果が高められる。
【0057】
次に
図14および
図15を参照して、本発明の第4の実施形態に係る固体レーザ装置60について説明する。
図14はこの固体レーザ装置60の側断面形状を示すものであり、また
図15は下側レーザチャンバ11Lの平面形状を示すものである。
【0058】
図示の通りこの固体レーザ装置60は、前述した第3の実施形態に係る固体レーザ装置50と比べると、集光部材の保持に係る構成が基本的に異なるものである。すなわち本実施形態では、上側集光部材39Uおよび下側集光部材39Lの外面に、適宜数の突起61が形成されている。これにより、上側集光部材39Uおよび下側集光部材39Lの外面と、第1水槽部21の周囲壁との間に適宜の間隙が形成され、そこを冷却液が流通可能となって冷却効果が高められる。
【0059】
なお本発明の固体レーザ装置においては、
図16に示すように、レーザロッド12およびフラッシュランプ13を内部に収めるフローチューブ71を第1水槽部21の中に配置し、このフローチューブ71の内部において冷却液を流通させるようにしてもよい。そうする場合、フローチューブ71の外側でも冷却液が流れるようにしても構わない。
【0060】
また本発明の固体レーザ装置においては、レーザロッド12とフラッシュランプ13との間に、フラッシュランプ13が発する励起光に含まれる紫外域の光をカットするUVカットフィルター72を配置するのが望ましい。そのようなUVカットフィルター72は、例えば前述した上側レーザチャンバ11Uおよび下側レーザチャンバ11L並びに、上側集光部材39Uおよび下側集光部材39Lが適用される場合は、
図17に示すように下側集光部材39Lの上に配置し、その上に配される上側集光部材39U(図示せず)と下側集光部材39Lとで挟持して固定するのが好ましい。
【0061】
上述のUV(ultra violet:紫外線)カットフィルター72を設けておくことにより、励起光に含まれる紫外域の光によってレーザロッド12が変色してしまう、いわゆるソラリゼーションを抑えることができる。
【0062】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の固体レーザ装置は上記実施形態に限定されるものではなく、それらの実施形態の構成から種々の変更を施したものも本発明の範囲に含まれる。